特許第5750459号(P5750459)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5750459-壁パネルの支持構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750459
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】壁パネルの支持構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/72 20060101AFI20150702BHJP
   E04B 2/82 20060101ALI20150702BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   E04B2/72 H
   E04B2/82 511J
   E04H1/12 301
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-377(P2013-377)
(22)【出願日】2013年1月7日
(65)【公開番号】特開2014-132141(P2014-132141A)
(43)【公開日】2014年7月17日
【審査請求日】2013年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】313014077
【氏名又は名称】トクラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101188
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 義雄
(72)【発明者】
【氏名】行森 直志
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 智久
(72)【発明者】
【氏名】小川 智弘
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−032414(JP,A)
【文献】 特開2012−117257(JP,A)
【文献】 特開2008−082063(JP,A)
【文献】 特開2009−138436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72
E04H 1/12
E03C 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体からなる板状の基部の上面に、当該基部の外周に沿って延びる支持部材を介して壁パネルを支持する壁パネルの支持構造において、
前記基部の上面部分に、当該基部の外周に沿って延びる凹部が設けられ、当該凹部に前記支持部材が配置され
前記基部は下面側に位置するフレームを介して支持され、当該フレームは前記支持部材の下面領域内の下部に位置し、前記支持部材はフレームの上面幅よりも大きい幅を備えていることを特徴とする壁パネルの支持構造。
【請求項2】
前記支持部材の上面に、前記壁パネルの起立位置を規制する溝部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の壁パネルの支持構造。
【請求項3】
前記支持部材が壁パネルを支持したときに、前記支持部材の幅は、壁パネルから表出する大きさを備え、当該壁パネルよりも室内側に位置する支持部材の上面側は、前記基部の上面側に配置される表面材によって覆われることを特徴とする請求項1又は2記載の壁パネルの支持構造。
【請求項4】
前記支持部材は、当該支持部材のパネルから表出した部分の室内側に突条部を備え、当該突条部は、前記表面材の端部位置決め部材として機能することを特徴とする請求項記載の壁パネルの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は壁パネルの支持構造に係り、特に、浴室や洗面室等の壁パネルの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室等に用いられる壁パネルの支持構造としては、例えば、特許文献1に開示された構造が知られている。同特許文献1には、発泡プラスチックからなる床面材の外周側に床面材枠を配置し、当該床面材枠の上面側に設けられた溝部に壁パネルの下部を受容して当該壁パネルを支持する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−117257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された構造にあっては、壁パネルの荷重を床面材枠が実質的に支える構造となり、床面枠材自体に高い強度、耐久性が要求される、という制約がある。
また、床面枠材は、床面材の外周縁に突き合わせて平面内に配置されるため、両者間を相互に連結する専用の作業が不可避となり、作業に熟練度を要する、という問題がある。また、床面材と床面枠材との接合面が、例えば浴室等の床面内に位置するため、当該接合面間に意図しない隙間が発生する施工不良があった場合には、それが漏水要因になるという不都合もある。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、壁パネルの荷重を分散させることができるようにして強度及び耐久性を付与することができ、施工の容易性を図ることができるとともに、漏水原因を排除することができる壁パネルの支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、発泡体からなる板状の基部の上面に、当該基部の外周に沿って延びる支持部材を介して壁パネルを支持する壁パネルの支持構造において、
前記基部の上面部分に、当該基部の外周に沿って延びる凹部が設けられ、当該凹部に前記支持部材が配置され
前記基部は下面側に位置するフレームを介して支持され、当該フレームは前記支持部材の下面領域内の下部に位置し、前記支持部材はフレームの上面幅よりも大きい幅を備える、という構成を採っている。
【0008】
また、前記支持部材の上面に、前記壁パネルの起立位置を規制する溝部が形成されていることが好ましい。
【0009】
更に、前記支持部材が壁パネルを支持したときに、前記支持部材の幅は、壁パネルから表出する大きさを備え、当該壁パネルよりも室内側に位置する支持部材の上面側は、前記基部の上面側に配置される表面材によって覆われる、という構成を採るとよい。
【0010】
また、前記支持部材は前記溝部の幅方向室内側に位置する突条部を備え、当該突条部は、前記表面材の端部位置決め部材として機能するように設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基部の上面に設けられた凹部に支持部材を配置するため、基部と支持部材との相互位置決めを極めて容易に行うことができる。
【0012】
更に、フレームを支持部材の下面領域内に位置させ、基部下面側に位置するフレームの幅よりも支持部材の幅が大きければ、基部に働くせん断応力を低減できるので、基部の変形等を効果的に回避することができる。
【0013】
また、壁パネルの起立位置を規制する溝部を支持部材に形成した構成では、壁パネルと支持部材との相互位置決めの負担がなく、作業者の単独施工による設置コストの削減を図ることができる。
【0014】
また、支持部材の幅は壁パネルから表出する大きさである。すなわち、支持部材の幅は壁パネルの厚みよりも大きいので、基部に働く壁パネルの荷重を分散でき、基部の耐久性を高めることができる。
【0015】
更に、表面材を設けて支持部材を覆う大きさにすれば、基部上面の凹部に支持部材が配置されている内部構造を隠蔽することができ、外観上の体裁も良好に保つことができる。
【0016】
また、支持部材の上面に設けられた突条部に表面材を突き当てることで当該表面材の端部位置を決定させて施工容易性が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る壁パネルの支持構造の要部概略断面図。
図2】前記支持構造の要部を示す概略斜視図。
図3図2の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示されるように、浴室や洗面室に用いられる壁パネル10は、板状の基部11の上面に配置された支持部材12を介して支持されている。壁パネル10は、例えば、石膏ボード等からなるパネル本体15と、当該パネル本体15の一方の面に設けられた鋼板等からなる表面材16とにより構成され、当該表面材16の外周側は屈曲面16Aとされ、当該屈曲面16Aは、パネル本体15の端面との間に空間を形成するように設けられている。
【0019】
前記基部11は、例えば、熱可塑性樹脂発泡体により構成され、本実施形態では、平面形状が略方形となる約40mm厚の発泡ポリスチレンからなる板材が用いられている。この基部11は、外周側下面に、その板厚を減ずる段部20を備えており、当該段部20内に位置する角柱材からなるフレーム21を介して支持されている。また、基部11の上面部分となる外周側には、当該基部11の外縁に沿って延びる凹部22が形成され、当該凹部22に支持部材12を配置することで、支持部材12の上面が基部11の上面と略同一平面位置となるようになっている。ここで、凹部22を形成する外縁側は、基部11の上面高さ位置よりも高い位置となる外縁部11Aとされ、何らかの原因によって凹部22内に水が浸入することがあっても、外部への水漏れリスクが効果的に回避できるようになっている。
【0020】
前記支持部材12は、ABS、PS、PP等からなる略板状の硬質の樹脂成形体により構成されている。この支持部材12は、凹部22内に収まる幅と、当該凹部22に沿って延びる長さを備えて構成されている。支持部材12の上面には壁パネル10の起立位置を規制する溝部25が形成され、当該溝部25の幅方向一端側となる支持部材12の上面中間部には突条部26が図1中紙面直交方向に沿って形成されている。また、溝部25の幅方向他端側となる支持部材12の外側端部は壁パネル10よりも外側に表出して基部11の外縁部11Aの上部に位置するフランジ部28とされ、溝部25は、突条部26とフランジ部28との間に設けられる形状となっている。
なお、支持部材12は、前記フレーム21の上面幅よりも大きい幅を備えており、必要に応じて、ねじ等からなる締結部材30を用いて基部11と共にフレーム21に固定することができる。
【0021】
前記基部11及び支持部材12の上面側には塩ビシート等からなる表面材32が図示しない両面テープを介して貼付される。表面材32を貼付する際には、前記突条部26が表面材32の外側端部の位置決め部材として機能するようになっている。また、突条部26と壁パネル10との間には可撓性を備えた樹脂製の細長い目地材34が圧入される。目地材34は、突条部26と表面材32の端部上面に着座する平面部36と、当該平面部36の下面側に連設されて突条部26と壁パネル10との間に位置する垂下部37と、当該垂下部37の下端部に設けられて突条部26の基部に係合可能なフック37Aと、垂下部37の面から先端側が斜め上方に向けられた上下2枚の薄片39とを備え、当該薄片39が壁パネル10の面を押圧するようになっている。
なお、図1中符号40は壁パネル10と凹部22の底面との間に配置される片状のパッキンであり、符号41は、壁パネル10の下端外面とフランジ部28との間に挿入されるスペーサを示す。
【0022】
以上の構成において、壁パネル10を支持するに際しては、基部11の凹部22内に支持部材12を配置し、突条部26を位置決め部材として表面材32を基部11及び支持部材12に貼付する。
次いで、溝部25の底面にパッキン40を介して壁パネル10を上方より落とし込み、壁パネル10と支持部材12のフランジ部28との間にスペーサ41を位置させる。
この状態で、壁パネル10と突条部26との間に目地材34を圧入し、フック37Aを突条部26の基部に係合させることにより、支持部材12上に壁パネル10を支持させることができる。
なお、壁パネル10は、基部11の4辺に沿ってそれぞれ起立支持されることになるため、コーナーは、平面視L型の凹部25を備えた別途の支持部材が用いられる。
【0023】
従って、このような実施形態によれば、基部11の上面部分に設けられた凹部22に支持部材12を配置して壁パネル10を支持することができるので、壁パネル10の荷重を分散させて支持することが可能になる。
【0024】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部剤の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0025】
例えば、前記実施形態では、支持部材12が締結部材30を用いて基部11と共にフレーム21に固定される構成を示したが、締結部材30を用いることなく接着により固定することでもよい。また、凹部22内で支持部材12の位置が一義的に定まる相対寸法に設定されている場合には、支持部材12を基部11に固定することを省略することも可能である。
【0026】
また、支持部材12は、基部12の凹部22に配置される構成であって、壁パネル10を所定位置に支持することができる限り、その細部の形状や、相対寸法を任意に変更することができる。
また、支持部材12は、アルミニウムなどの金属で成形しても良い。
【符号の説明】
【0027】
10…壁パネル、11…基部、12…支持部材、21…フレーム、22…凹部、25…溝部、26…突条部、32…表面材、13…表面材
図1
図2
図3