(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、添付の図面と併せて読まれるべき以下の説明を通じてより完全に理解されるであろう。この説明では、同様の符号は、本発明の様々な実施形態の中の同様の要素を指す。この説明においては、特許請求される本発明が実施形態に関連して説明されることになる。当業者は、本明細書に記載される方法及びシステムがあくまでも例示に過ぎず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく変更を加え得ることを容易に理解するであろう。
【0017】
本発明の実施形態は、患者試料を自動的に分析するための臨床計測器分析システムに関する。一実施形態において、この分析器は、体液試料、例えば、血液、血漿、血清、尿、又は脳脊髄液中の標的生体分子を分析するために用いられ得る。本発明に係る臨床計測器分析システムは、例えば、患者試料中の標的生体分子を検出するための免疫化学分析を自動化する。標的生体分子を検出するため、標的生体分子に特異的な第1の抗体が、発光測定用マーカーで標識される。発光測定用マーカーは、発光測定装置で検出可能な物質である。標的生体分子に特異的な第2の抗体は、磁性粒子に付着する。磁性粒子に付着した抗体及び発光測定用マーカーに付着した抗体は、免疫化学反応において標的生体分子を認識し、それらと結合する。結果として、磁性粒子、発光測定用マーカー、及び標的生体分子からなる特異的複合体が形成される。次に、こうした特異的複合体が、発光測定装置で検査される。
【0018】
本発明の実施形態はまた、患者試料を保持するバイアルに一定分量の磁性粒子溶液を吸引する前に、混合管において磁性粒子を溶液中に一様に懸濁するための装置及び方法にも関する。続いて、診断分析において標的生体分子の存在及び/又は量が確定される。磁性粒子は、その重量に起因して、時間が経つと混合管の底面に堆積する傾向を有する。本明細書で使用されるように、混合管中の磁性粒子を懸濁するとは、混合管の底面から粒子を取り除き、磁性粒子を混合管の溶液中に懸濁することを指す。磁性粒子が溶液中に一様に分散することは、臨床分析において重要であり、これは、溶液中の磁性粒子の分布におけるいかなる偏りも、診断分析の精度に影響を及ぼし得るためである。
【0019】
図1Aは、本発明の実施形態に係る臨床計測器分析システムの上面図である。例示される臨床計測器分析システム20は、バイアル(
図1には図示せず)に入った患者試料を処理及び分析するための1つ又は複数のステーション又はモジュールを含む。バイアルは、試料を保持するのに好適なキュベット、管又は任意の他の容器であり得る(
図1には図示せず)。一実施形態において、臨床計測器分析システム20は、少なくとも以下のもの、すなわち、バイアルローダ22と、バイアルに試料を添加するための試料ステーション(図示せず)と、バイアルに1種又は複数の試薬を添加するための試薬ステーション23と、バイアルに洗浄液及びリンス液を提供するための複数のピペット24と、バイアルローダから1つ又は複数のバイアルを受け取って、そのバイアルを配給するためのカルーセル28と、磁気洗浄モジュール30と、発光測定装置32と、バイアルを培養するための加熱器モジュール25とを含む。
【0020】
一実施形態において、バイアルローダ22は複数のバイアルを保持する。バイアルローダ22は、例えば、同時出願の「Apparatus and Methods for Dispensing Sample Holders」と題される米国特許出願(代理人整理番号第INL−098号)に記載されるとおり、バイアルをカルーセル28に装填する。ある実施形態において、バイアルローダ22は、バイアルの積層列を保持するための垂直方向スロットを有する回転可能なカルーセルを備える。バイアルは、例えばスリーブ内に積み重ねられてもよく、このスリーブはバイアルローダ22に挿入され得る。バイアルローダ22は、バイアルをスリーブからカルーセル28に追い出す。
【0021】
引き続き
図1Aを参照すると、一実施形態においてカルーセル28は、複数のバイアルを保持し、及び/又はそれらを臨床計測器分析システム20内の様々なステーション又はモジュール、例えば、試料ステーション、試薬ステーション23、磁気洗浄モジュール30、加熱器モジュール、又は発光測定装置32などに配給する。例示的カルーセル28は、例えば、モータと動作可能に連結され、回転する。カルーセル28内のバイアルは、それに近接する複数のステーション又はモジュールのいずれか1つに引き渡され得る。一実施形態では、移送アーム(図示せず)が、カルーセル28から臨床計測器分析システム20の様々なステーション又はモジュールへのバイアルの移動を可能にする。
【0022】
一実施形態では、試料添加ステーション(図示せず)が選択された試料をバイアルに添加する。
【0023】
引き続き
図1Aを参照すると、磁気洗浄モジュール30は、バイアル中に存在する磁性粒子を洗浄することができるように構成される。磁気洗浄モジュール30は、磁気アレイを含む1つ又は複数の磁石ステーションを含む。バイアル中の粒子の磁気洗浄は、バイアルを磁気アレイに近接して固定することによって実施され得る。磁石ステーション内の磁石アレイの磁界がバイアルの壁を貫通し、特異的複合体中に存在する磁性粒子を1つ又は複数の磁気アレイの方に引き付ける。ひいては、特異的複合体がバイアル壁のうち磁石アレイに近接した壁に一塊に集合し、特異的複合体のペレットを形成する。粒子が磁気アレイに引き付けられている間に、1本又は複数のピペットの使用を介して、洗浄溶液又はリンス溶液がバイアルに注入及び/又は吸引され、それによりバイアル中の特異的複合体を除く複合体化しなかった粒子及び溶液が濯ぎ流され、除去される。特異的複合体のペレットは、発光測定装置32で発光の大きさについて分析される。発光の大きさは、患者試料中の標的分子の濃度の指標となる。
【0024】
引き続き
図1Aを参照すると、患者試料に関して行われる分析、及びどの標的生体分子が分析されるかに応じて、試薬ステーション23は、例えば、リンス液、標的生体分子に対する1つ又は複数の抗体、化学発光反応を誘発するための試薬、緩衝液、他の試薬、ルミノゲン(luminogen)を含む発光測定用マーカー物質、及び/又は磁化可能粒子を添加する。
【0025】
ある実施形態において、磁化可能粒子は、鉄又は任意の他の磁性材料若しくは磁化可能材料で作製される。特定の実施形態において、磁性粒子は常磁性であり、従って磁石が取り除かれると、粒子はゼロ磁化状態を呈する。磁性粒子は実質的に一様な直径であってもよく、例えば1〜10μmの範囲、好ましくは1.0μm、8.0μm、又は4.7μmの粒径を有してもよい。一実施形態において、例えば、磁化可能粒子の外側は、標的生体分子に対する特異的抗体を含有するラテックス層で被膜される。磁化可能粒子は、以下でさらに詳細に記載される試薬混合管内の溶液中に保持される。この溶液は、水、リンス液、又は分析に必要な任意の他の液体を含有し得る。
【0026】
図1Bは、本発明の例示的実施形態に係る試薬ステーション23の斜視図であり、この試薬ステーション23は、試薬ステーションハウジング33と、バーコードスキャナ37と、1つ又は複数の試薬カートリッジ75とを含み、各試薬カートリッジはバーコード82を有する。試薬ステーションハウジング33は、例えば、鋳造金属又はプラスチックで作製されたボウル形状の容器であってもよい。1つ又は複数の試薬カートリッジ75が試薬ステーションボウル33内に保管される。例えば、試薬カートリッジ75は、ボウル形状ハウジング33の中心から半径方向に配分され得る。一実施形態において、試薬カートリッジ75は、試薬ステーションハウジング33に配置された回転カルーセル(図示せず)に挿入される。試薬ステーションハウジング33は温度及び/又は湿度が制御され得る。
【0027】
試薬カートリッジ75には、バイアルに注入される1種又は複数の試薬が入っている。一実施形態において、試薬カートリッジ75は、複数の試薬カートリッジ75がボウル形状の試薬ステーションハウジング33に収まり得るような楔形状又は扇形状である。例えば、試薬ステーションハウジング33のサイズに応じて、5〜35個の試薬カートリッジ75、又はより具体的には、10、20若しくは30個、又はそれ以上の試薬カートリッジ75を、一度に試薬ステーションハウジング33に置くことができる。
【0028】
引き続き
図1Bを参照すると、バーコードスキャナ37によって使用者は、試薬ステーションハウジング33内の様々な試薬カートリッジ75にインデックスを付し、追跡することができる。バーコードスキャナ37は、試薬カートリッジ75のなかでバーコードスキャナ37と向かい合う側面に付されたバーコード82を読み取り得る。バーコードの読み取り値はコンピュータプロセッサに送られ、そのコンピュータプロセッサが臨床計測器分析システム20(図示せず)の使用者に、試薬ステーションハウジング33内の様々な試薬カートリッジ75の位置について警告する。加えて、バーコードスキャナ37によって使用者は、患者試料中の所望の標的生体分子分析に対し、様々な試薬カートリッジ75及びそこに入っている試薬を電子的に選択することができる。使用者は特定の試薬を要求でき、バーコードスキャナ37がその試薬の入った対応する試薬カートリッジ75を特定する。このように、バーコードラベル82は試薬カートリッジ75内の種々の試薬を識別するために用いることができ、使用者が試薬ステーション23内にある特定の試薬の位置を判断するのを補助し得る。
【0029】
ここで、試薬カートリッジについて、
図2A〜2Cを参照してさらに詳細に説明される。
図2Aは、本発明の実施形態に係る試薬カートリッジの斜視図である。例示される試薬カートリッジ75は、例えば、チャンネル68と、ホルダ76と、基材77と、混合管78と、1本又は複数の試薬管80と、バーコードラベル82と、穴開けキャップアセンブリ84とを含む。穴開けキャップアセンブリ84は、スライドキャップ69と、穴開けキャップ71と、スプリング70、蒸発防止カバー81(図示せず)、脚部79を含むアクセススライド72とを含む。穴開けキャップアセンブリ84及びその構成要素は、以下でより詳細に考察される。ある実施形態において、試薬カートリッジ75は、溶液中に試薬又は磁性粒子を保持する1本又は複数本、好ましくは4本の密封管を有する使い捨てパッケージである。試薬カートリッジ75が試薬ステーション23(図示せず)内に置かれると、試薬カートリッジ75は、例えば、約4〜8℃の範囲の温度、より詳細には摂氏約6度まで冷却され得る。試薬カートリッジ75を低温にすると、試薬の有効期間が延長され得る。
【0030】
図2Bは、本発明の実施形態に係る試薬カートリッジ75の斜視図であり、基材77、混合管78及び試薬管80を例示する。
【0031】
図2Bを参照すると、試薬管80は底端で閉鎖され、上面が開放されていて密封可能であり、特定の臨床分析を実施するのに必要な試薬が入っている。試薬管80の短軸を通る断面形状は、矩形、正方形、円形、楕円形、又は略円形など、試薬を保管し易い任意の形状であってよい。試薬管80は、試薬ステーション23内の試薬カートリッジ75に収まるサイズとされる(
図1を参照)。試薬管80は、試薬を保管するうえで比較的不活性な任意の物質、例えば、成形ポリプロピレン、プラスチック、金属、又はセラミックで作製され得る。試薬管80の容積は、そのサイズによって異なるが、約1ミリリットル〜約100ミリリットルの範囲であり得る。一実施形態において、適切な試薬が試薬管80に導入されると、試薬管80の上面は、例えば、アルミニウム・ポリエステル膜によって密封される。
図2Bに示される試薬管80は密封されている。このシールは易破断性であってもよい。以下で説明される穴開けキャップアセンブリ84の複数の突起85(
図2Cを参照)が穴開けキャップアセンブリ84に配置されることにより、使用者は必要に応じてこのシールを破ることができる。
【0032】
引き続き
図2Bを参照すると、試薬管80及び混合管78は、試薬が管に添加される前か、又は添加された後に、基材77に挿入される。基材77は、所要の試薬管80を保持するサイズの成形プラスチック、例えば、ABSであり得る。一実施形態において、試薬管80及び混合管78の基部を基材77に係合するサイズ及び形状の窪み又は凹部67が、試薬管80及び混合管78を基材77に保持する。試薬管80は基材77に固定され得る。この固定は、例えばスナップロックであり得る。試薬管80及び混合管78はまた、基材77と着脱可能であってもよい。
【0033】
さらに
図2Bを参照すると、本発明に係る一実施形態において、混合管78には磁性粒子溶液が入っている。以下でさらに詳細に考察される混合管78は、試薬管80と同様のサイズ及び材料製であり得る。或いは、混合管78の作製には他の材料が使用されてもよい。磁性粒子溶液は、混合管が試薬カートリッジ75の基材77に挿入される前か、又は挿入された後に、混合管78に導入される。混合管78中の磁性粒子溶液が十分な量に達すると、次に混合管78の上面が密封され得る。
図2Bに示される混合管78は密封されている。このシールは易破断性であってもよい。以下で説明される穴開けキャップアセンブリ84の複数の突起85(
図2Cを参照)がシールを破り得る。一実施形態において、このシールはアルミニウム・ポリエステル膜である。
【0034】
混合管78は回転自在に装着されてもよく、すなわち、混合管78は基材77に取り付けられた状態で、窪み又は凹部において回転し得る。一実施形態において、混合管78は、モータと動作可能に連結された回転可能部材と動作可能に連結される。回転可能部材は混合管78を時計回り又は反時計回りに回転させ、それによって磁性粒子を溶液中に懸濁する。
【0035】
図2Cは、穴開けキャップアセンブリ84の上面斜視図である。上述のとおり、穴開けキャップアセンブリ84は、穴開けキャップ71と、スライドキャップ69と、アクセススライド72とを含み、アクセススライド72は、蒸発防止カバー81と、スプリング70と、脚部79とを含む。アクセススライド72は、穴開けキャップ71とスライドキャップ69との間に挟まれる。スライドキャップ69は平坦なプラスチック片であり、使用者が混合管78及び試薬管80にアクセスできるようにするためのアクセスホールを有する。スライドキャップ69は、例えば超音波溶接又はヒートステーキングを介し、穴開けキャップ71上に固定的に嵌まるサイズとされる。ヒートステーキングは、一方の構成要素から突出し、第2の構成要素の穴に嵌まり込むプラスチックスタッドを使用して別個の構成要素を連結する方法である。次にスタッドは、プラスチックを軟化させることによって変形され、それにより形成されたヘッドが、2つの構成要素を共に機械的に固定する。
【0036】
蒸発防止カバー81、スプリング70、及び脚部79を含むアクセススライド72は、穴開けキャップ71上で摺動し、それによって混合管78及び試薬管80(図示せず)へのアクセスを可能とする。蒸発防止カバー81は平坦な矩形のプラスチック片であり、混合管78及び試薬管80に選択的にアクセスできるようにするためのアクセスホールを有する。蒸発防止カバー81が第1の位置にあり、そのホールが、混合管78及び試薬管80並びにスライドキャップ69のアクセスホールに対して整列しているとき、蒸発防止カバー81によって使用者は、混合管78及び試薬管80にアクセスすることができる。蒸発防止カバー81が第2の位置にあるとき、蒸発防止カバー81のアクセスホールは混合管78及び試薬管80と整列せず、従って混合管78及び試薬管80を外気から遮断し、混合管78に入っている溶液及び試薬管80中の試薬の蒸発を防ぐ。
【0037】
図2Dは、穴開けキャップ71の底面の斜視図である。穴開けキャップ71は、混合管78及び試薬管80が収まるサイズのプラスチックキャップであり、蓋83と、第1のノッチ73及び第2のノッチ73Aと、1つ又は複数の突起85とを含む。突起85は、穴開けキャップ71の蓋83から下方に延在し、試薬管80及び混合管78(図示せず)に入り込み得る。突起85は、斜角が付けられた自由端66を有する中空円筒体であってもよく、この自由端66により混合管78又は試薬管80の易破断性シールを破裂させることができる。
【0038】
図2Eは、ホルダ76の斜視図である。ホルダ76はプラスチックで構成され、ホルダ76の内側に、穴開けキャップ(図示せず)と係合するための第1の溝74と第2の溝(図示せず)とを有する。第1の溝74は穴開けキャップの第1のノッチ73(図示せず)に対応し、第2の溝(図示せず)は穴開けキャップの第2のノッチ73A(図示せず)に対応する。第1のノッチ73及び第2のノッチ73Aの第1の溝74及び第2の溝との相互作用は、以下でより詳細に考察される。
【0039】
再び
図2Aを参照すると、典型的な動作において、穴開けキャップアセンブリ84は試薬管80及び混合管78の上部に被せて配置される。一実施形態において、穴開けキャップアセンブリ84はホルダ76と連結される。穴開けキャップアセンブリ84は、スプリング70の脚部79を基材77の前面のチャンネル68にフック留めすることにより基材77に装着され得る。次に脚部79をチャンネル68内で摺動させると、アクセススライド72を動かすことができ、混合管78及び試薬管80にアクセスすることが可能となる。或いは、穴開けキャップアセンブリ84はホルダ76と分離可能であってもよい。
【0040】
図2Dを参照すると、穴開けキャップアセンブリ84の突起85は中空であってもよく、又は穴開けキャップアセンブリ84が1つ又は複数の貫通孔を含んでもよく、それにより穴開けキャップアセンブリ84を取り外す必要なしに、ピペットを突起85に挿通して試薬管80(図示せず)及び混合管78(図示せず)から試薬及び磁性粒子溶液を吸引することができる。例えば使用者が押圧すると、穴開けキャップアセンブリ84の突起85によって試薬管80及び混合管78のシールが破裂する。穴開けキャップ71は、穴開けキャップ71に位置する第1のノッチ73及び第2のノッチ73Aが、ホルダ76(
図2Eに図示される)に位置する第1の溝74及び第2の溝(図示せず)と嵌合することによって、押圧されたままとなる。破裂すると、1つ又は複数の突起85を通じて様々なピペットが挿入され、試薬管80から試薬を、及び混合管78から磁性粒子溶液を吸引することができる。
【0041】
図2Fは、穴開けキャップアセンブリのアクセススライドの斜視図であり、これはプラスチックで構成される。アクセススライド72のスプリング70は、例えばリーフスプリングであり、使用されていないとき、付勢されることで試薬カートリッジ75を閉鎖状態に保つ。このアクセススライド72の付勢による閉鎖により、蒸発及び汚染が最小限に抑えられる。従って、穴開けキャップの突起85が試薬管80及び混合管78を破裂させた後は、試薬カートリッジ75をアクセススライド72の蒸発防止カバー81で遮断することによって、試薬及び混合管溶液の蒸発を防止できる。
【0042】
図2Aに示されるとおり、試薬カートリッジ75を開くには、付属のステッピングモータ(図示せず)によってスプリング70を偏向させ得る。次に、アクセススライド72の脚部79を基材77のチャンネル68内で摺動させると、それにより蒸発防止カバー81(図示せず)が摺動して開き、使用者は試薬管80及び混合管78にアクセスできるようになる。
【0043】
図3A〜3Fは、本発明の実施形態に係る混合管78をより詳細に図示する。
図3A〜3Fを参照すると、ある実施形態において、混合管78はほぼ円筒体であり、壁98と、内表面95と、上端92の開口と、下部96と、上部87と、床面94と、基端89とを含む。上部87は、混合管78の上端92から床面94まで延在する。下部96は、床面94から、管78のなかで上端92と反対側の端部にある基端89まで延在する。
【0044】
図3Cに示される平面3A−3A’を通る混合管の断面である
図3Aを参照すると、管床面94は混合管78のなかで最も深い部分であり、磁性粒子溶液を保持する。管床面94は、例えば、平坦であっても、凸面状であっても、又は凹面状であってもよい。
【0045】
混合管78の下部96は、
図3A、3C、及び3Eに示されるとおり、混合管78のうち管床面94と基端89との間にある部分である。
図3Eを参照すると、混合管78の下部96は、長手方向に配置された円筒形部材99と、第1のスロット100と、第2のスロット101と、第1のフランジ102と、第2のフランジ103とを含む。下部96は、管床面94を約5〜25ミリメートル越えて延在し得る。一実施形態において、回転可能部材が下部96に係合し、混合管78を回転させ得る。
【0046】
引き続き
図3A〜Fを参照すると、混合管78の壁98は、成形ポリプロピレン、プラスチック、セラミック、金属又は磁性粒子を含む溶液を保管することが可能な任意の他の不活性材料からなり得る。混合管78の容積はそのサイズによって異なるが、約1ミリリットル〜約100ミリリットルの範囲であり得る。壁98の短軸方向の断面形状は円形であり得る。一実施形態において、混合管78は、混合管78の開口92から基端89まで一定の直径又は幅を有する。特定の実施形態において、混合管は円錐台形であり、すなわち、開口92が基端89より大きい直径を有するものである。
【0047】
図3A〜Fを参照すると、混合管78の基端89は略平坦であり、混合及び保管中の混合管78の不要な動揺が防止される。
【0048】
図3Aを参照すると、第1の撹拌部材86と第2の撹拌部材88とを含む例示的混合管78の、
図3Cに示される平面3A−3A’を通る混合管の断面が例示される。第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88は、混合管78において磁性粒子を溶液中に撹拌する。第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88は混合管78のルーメン97内に突出しており、混合管の床面94から混合管の上端92まで延在し得る。或いは、第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88は、混合管の床面94から混合管の上端92より下の任意の位置まで延在し得る。
【0049】
図3Aを参照すると、第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88の形状は、混合管78が回転すると混合管78のルーメン97に乱流を生じさせ得る当業者に公知の任意の形状であってよい。例えば、第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88の断面は、三角形、円形、略円形、矩形、正方形、又は混合管78の内部に保持される溶液中に乱流を生じさせ得る任意の他の断面形状であってもよい。例示的第1の撹拌部材86及び例示的第2の撹拌部材88は平坦か、又はブレード状であり得る。第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88のみが示されるが、多数の撹拌部材、例えば、3、4、5個、又はそれ以上が用いられてもよく、本発明は例示される実施形態に限定されるものではない。
【0050】
ある実施形態において、第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88は、混合管78の壁98の内側表面95を成形することにより形成され得る。本明細書で使用されるように、壁98の内側表面95を成形することにより形成されるとは、第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88が管78に固着されるのではなく、混合管78の壁98が成形されるときに、例えば押出し成形によって形成されることを意味する。
【0051】
混合管78が成形加工によって製作されるとき、第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88は、外壁の特定の部分で、混合管78の内側の壁95をルーメン97内に押し込むことによって形成される。混合管78の外側から見たとき、内壁95のうちルーメン97内に延在する部分は、外壁98にある溝のように見える。第1の溝90及び第2の溝91は、
図3B、3C、3E及び3Fに図示される。第1の溝90及び第2の溝91は、ルーメン97から見たときの第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88に対応する。第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88を形成するために混合管78に追加的な材料が加えられることがないため、壁98は混合管78の長さに沿って一定の厚さを有し、すなわち壁98は、第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88が位置するところでも厚くなることはない。一定の厚さにより、製造中の均等な冷却及び付形が確保される。
【0052】
或いは、混合管78は、第1の溝90及び第2の溝91なしに形成されてもよい(図示せず)。この実施形態において、第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88は、例えば、接着剤、熱ボンド、又はスナップロック継手などの機械的係止機構によって壁98の内表面95に取り付けられる。
【0053】
図3A、3B、3D、3E、及び3Fを参照すると、一実施形態において、第1の溝90及び第2の溝91は、それぞれ
図3E及び3Fに示されるとおり、混合管78の下部96にある第1のスロット100及び第2のスロット101として混合管78の基端89を起点とし、混合管78の長さに沿って上端92又はその近傍まで延在する。一実施形態において、第1の溝90及び第2の溝91は、混合管78の基端89から上端92に向かって、混合管78の長さの約3分の2に延在する。
【0054】
図4は、本発明の実施形態に係る混合管の上面図である。この図は、混合管のルーメン97内に突出する第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88を示す。
【0055】
図5は、本発明の実施形態に係る混合管の底面図である。下部96の壁98は、1つの連続した部分ではないこともある。むしろ、一実施形態において、壁98は1本又は複数のスロット、例えば、第1のスロット100と第2のスロット101とを有し、ひいてはこれらが第1の溝90及び第2の溝91(
図3E及び3Fに図示される)を形成し得る。
図5はまた、長手方向に配置された円筒形部材99、第1のフランジ102、及び第2のフランジ103も図示する。長手方向に配置された円筒形部材99、第1のフランジ102、及び第2のフランジ103は、モータによる混合管78の係合を補助し得る。付属モータによる混合管78の回転は、以下でより詳細に考察される。
【0056】
別の態様において、本発明は、上記の本発明に係る混合管78において磁性粒子を溶液中に一様に懸濁する方法に関する。本発明の方法の一実施形態に従えば、試料プローブが混合管78から磁性粒子溶液を吸引して試料バイアルに入れる前に、磁性粒子は混合管78内で懸濁される。磁性粒子は、第1の撹拌部材86及び第2の撹拌部材88が回転又は振動して溶液中に乱流を生じさせることによって懸濁される。乱流によって磁性粒子は撹拌され、溶液中に懸濁される。
【0057】
図6に示されるとおり、混合管78を回転又は振動させて乱流を生じさせるため、モータ105が使用され得る。モータ105は、回転用のステッピングモータ107と、モータに対し、
図6で点線によって示されるZ方向に動かすためのリニアアクチュエータ104とを組み合わせてもよい。リニアアクチュエータ104は、例えば10〜25mmの範囲、例えば、10mm、15mm、20mm又は25mmのZ方向行程が可能であり得る。特定の実施形態において、ステッピングモータ107は両方向に回転し得る。
【0058】
作動中、リニアアクチュエータ104はまず初めに上昇して混合管78と係合する。次に、ステッピングモータ107が混合プロトコル、すなわち磁性粒子を懸濁するために用いられる一連の回転に従い混合管を回転させ、次に回転可能部材が降下して混合管78を切り離す。
【0059】
図6を参照すると、本発明の一実施形態に従えば、リニアアクチュエータ104は1つ又は複数のピン、例えば、第1のピン106と第2のピン108とを有する。第2のピン108は、矢印110によって示されるとおり、混合管78の第1のスロット100に係合する。第1のピン106は、混合管78の下部96に位置する円筒形部材99に係合し得る。
【0060】
別の実施形態(図示せず)において、混合管98の下部96は複数の長手方向に配置された円筒形部材99を含み得る。次に追加的なピン(図示せず)が、別個の各円筒形部材と係合し、混合管を時計回り及び反時計回りに、振動方式で回転させ得る。さらに別の実施形態(図示せず)において、歯車が混合管78の基端89に固定されてもよい。次に回転可能部材がこの歯車と係合し、混合管78を時計回り及び反時計回りの両方向に回転させ得る。
【0061】
本発明の方法の一実施形態に従えば、混合管78は1つ又は複数の方向に回転して磁性粒子を撹拌する。特定の実施形態において、混合管78はまず初めに、第1の時間周期にわたってある方向、例えば時計回りに回転し、次に第2の時間周期にわたって反対方向、例えば反時計回りに回転する。別の実施形態において、混合には別個の段階、例えば、2段階、3段階、4段階又はそれ以上の段階が関わり得る。各段階は、一方向への所定数の完全な、又は部分的な回転のある回転と、それに続く所定数の完全な、又は部分的な回転の別の方向へのある回転からなる。一連の回転は数回繰り返される。従って、混合プロセスに関連する変数としては、(1)回転方向、(2)回転の振幅又は回転の度数/角度、及び(3)回転の回数が挙げられる。第1の段階と第2の段階とは異なる回転角で混合管78を回転させ、及び混合管78は、各段階について異なる回数を回転する。
【0062】
例えば、例示的混合プロトコルにおいて、第1の段階は、各方向につき完全な一回転を1周と、その後の15回の回転方向の切り替えを含み得る。第1の混合段階は最高約6.8秒間続き、約0.452秒間の振動時間を含み得る。第2の段階は、各方向につき完全な一回転を4周と、3回の回転方向の切り替えを含み得る。第2の混合段階は約3.0秒間までであってもよく、振動時間は約1.01秒間であり得る。双方の段階の総混合時間は、回転可能部材の上昇及び下降、並びに第1の段階及び第2の段階の双方における混合を含め、約10.6秒であり得る。所要の混合レベルに応じて、混合プロトコルを、2、3回又はそれ以上繰り返し、磁性粒子の所望の懸濁を得てもよい。さらに、上述される手順を、計測器の1サイクルにつき2回繰り返し、所望の程度の磁性粒子再懸濁を達成してもよい。磁性粒子の混合及び懸濁のプロセス及び方法は、本明細書に開示される例に限定されず、確実に磁性粒子溶液を一様に懸濁し得る任意の混合プロトコルを用いて達成することができる。
【0063】
本教示の別の態様は、混合管78の製造方法に関する。混合管は、成形、例えば押出し成形又は射出成形によって製造され得る。射出成形は、当業者に公知のとおり、溶融材料を成形型に注入して所望の形状を形成することを含む。押出し成形は、当業者に公知のとおり、溶融材料をダイに押し通して所望の形状を形成することを含む。押出し成形による製造方法では、混合管78を円錐台形状に製造すると、混合管78の成形したダイからの離型が容易なため有利である。
【0064】
当業者には、本明細書に記載されるものの変形例、修正例、及び他の実施態様が、特許請求されるとおりの本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく想起されるであろう。従って、本発明は先述の例示的説明によって定義されるのではなく、以下の特許請求の範囲の趣旨及び範囲によって定義される。