【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、被締結部材の基材との対向面及び基材の被締結部材との対向面のうち何れか一方に座繰り部を形成し、例えば、座繰り部の深さよりも大きな厚みを有するワッシャを座繰り部に嵌合させることで、被締結部材が基材に締結された状態において、ワッシャが厚み方向に圧縮された状態とすれば、基材と被締結部材とのシール性を高めることができることを見出した。
【0011】
具体的には、本発明者らは、基板処理装置の場合、基材(チャンバの壁材)に設けられた雌ねじ部の表面に化学変化(デポや腐食)が発生する原因は、雌ねじ部にボルトが螺合していたとしても、基材と被締結部材との間に入り込んだエッチングガス、異物等の物質が雌ねじ部に浸入するためであることを見出した。そして、基材と被締結部材との何れか一方に座繰り部を形成し、座繰り部に可撓性のワッシャを嵌合させることで基材と被締結部材との間に圧縮されたワッシャを介在させれば、基材と被締結部材とのシール性が高まり、雌ねじ部の表面の化学変化を抑制することができるという知見を得た。
【0012】
しかしながら、外縁が円形状である一般的なワッシャを内縁が円形状の座繰り部に嵌合させたのでは、被締結部材を基材から取り外す際に、ワッシャが座繰り部から抜け落ちるおそれがあり、取扱いが困難になるという問題が生じる。特に、基板処理装置においては、被締結部材を取り外す作業は、クリーンルーム内で行われるため、クリーン手袋を手に装着した状態で作業を行う必要がある。クリーン手袋を装着した状態では、基材に被締結部材を締結させているボルトを取り外し難くなるため、被締結部材を基材から取り外す際に、ワッシャが座繰り部から抜け落ちるおそれが高くなり、更に取扱いが困難になる。このため、本発明者らは、内縁が円形状の座繰り部に嵌合させるワッシャの外縁の形状を変更することで、ワッシャが座繰り部から抜け落ち難くなる可能性があるという推察の下、さらに鋭意検討を行った。その結果、外縁が正多角形状である等、外接円の存在する多角形状のワッシャを用いることを考えた。
ワッシャの外縁が円形状である場合、内縁が円形状の座繰り部にワッシャをしっかりと嵌合させるためには、ワッシャの外縁の直径を座繰り部の内縁の直径よりもわずかに大きくする必要がある。つまり、外縁が円形状のワッシャでは、ワッシャの外縁が変形し難いため、ワッシャの外縁の直径が大きくなりすぎると、ワッシャを座繰り部に嵌合させ難くなる。このため、ワッシャの外縁の直径が大きくなりすぎないようにする必要がある。
一方、ワッシャの外縁が正多角形状である等、外接円の存在する多角形状である場合、座繰り部にワッシャを嵌合させれば、ワッシャを平面視したときに、座繰り部の内縁とワッシャの外縁との間には、ワッシャの外縁の各頂点以外の部位に隙間が生じる。このため、多角形状のワッシャの外縁が前記隙間に向けて変形し易くなり、その結果、大きなワッシャを座繰り部に嵌合させ易い。つまり、座繰り部に嵌合させることができるワッシャの外縁の直径(外縁が多角形状のワッシャの場合は、外縁の外接円の直径)の最大値は、ワッシャの外縁が円形状である場合よりもワッシャの外縁が多角形状である場合の方が大きい。よって、同じ座繰り部に嵌合させる場合、外縁が多角形状のワッシャは、外縁が円形状のワッシャよりも、大きな外接円の直径となるように設計可能である。本発明者らは、用いる多角形状のワッシャの外縁の外接円の直径が大きければ大きいほど、座繰り部にワッシャが嵌合された際にワッシャの外縁から座繰り部の内縁に加わる付勢力が大きくなるため、座繰り部にワッシャが強嵌合され易くなる、つまり、ワッシャが座繰り部から抜け落ち難くなるという知見を得た。
【0013】
本発明は、上記の本発明者らの知見に基づき完成されたものである。すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、第1の手段として、ボルトと、該ボルトに螺合可能な雌ねじ部が設けられた基材と、該ボルトを挿通可能な貫通孔が設けられた被締結部材とを備え、前記ボルトが前記貫通孔に挿通されて前記雌ねじ部と螺合することにより、前記被締結部材が前記基材に締結される締結構造であって、前記被締結部材の前記基材との対向面及び前記基材の前記被締結部材との対向面のうち何れか一方に、内縁が円形状の座繰り部が形成され、前記ボルトを挿通可能であり、なお且つ、前記座繰り部に強嵌合される、外縁が外接円の存在する多角形状である可撓性ワッシャを更に備え、前記ワッシャは、前記被締結部材が前記基材に締結された状態において、厚み方向に圧縮された状態であることを特徴とする締結構造を提供する。
【0014】
本発明に係る締結構造によれば、ボルトが被締結部材に設けられた貫通孔に挿通されて基材に設けられた雌ねじ部と螺合するため、被締結部材が基材に締結される。ここで、締結後の被締結部材とボルトとの密着部分の面積は、一般的には、基材と被締結部材との密着部分の面積よりも小さいと考えられる。従って、締結後の被締結部材とボルトとの密着部分には、ボルトによる集中的な荷重がかかり、高い応力が生じ易いため、ボルトと被締結部材との間がシールされる。このため、物質(プラズマ、固体、気体、液体等)がボルトと被締結部材との間から雌ねじ部に浸入することを抑制可能である。そして、本発明に係る締結構造によれば、被締結部材の基材との対向面及び基材の被締結部材との対向面のうち何れか一方に座繰り部が形成される。この座繰り部の内縁は円形状であるため、外縁が外接円の存在する多角形状であるワッシャが座繰り部に嵌合された際、ワッシャを平面視したときにワッシャの外縁を構成する各頂点が、座繰り部の内縁に当接する。また、内縁が円形状の座繰り部に強嵌合される可撓性のワッシャが、ボルトを挿通可能であり、被締結部材が基材に締結された状態において、厚み方向に圧縮された状態であるため、締結後の基材と被締結部材との間にワッシャが密着した状態で介在することになる。締結後の基材と被締結部材との間にワッシャが密着した状態で介在する態様としては、ワッシャが厚み方向に圧縮されて被締結部材と基材とが接する態様(例えば、圧縮されたワッシャの厚みが座繰り部の深さと略同一になる態様)、又は、ワッシャが厚み方向に圧縮されるが被締結部材と基材とが接していない態様(例えば、圧縮されたワッシャの厚みが座繰り部の深さよりも大きい態様)を例示できる。締結後の基材と被締結部材との間にワッシャが密着した状態で介在することにより、基材とワッシャとの密着部分と、被締結部材とワッシャとの密着部分との双方で、基材と被締結部材との間がシールされるため、基材と被締結部材とのシール性を高めることができる。その結果、基材と被締結部材との隙間に物質(プラズマ、固体、気体、液体等)が入り込んだとしても、物質が基材に設けられた雌ねじ部に浸入することを抑制可能である。
【0015】
ここで、本発明において、可撓性を有するワッシャが座繰り部に強嵌合されるとは、座繰り部を下向きにしたとしてもワッシャが落下しないようにワッシャが座繰り部に嵌合されることを意味する。座繰り部を下向きにしたとしてもワッシャが落下しないようにワッシャが座繰り部に嵌合される態様としては、座繰り部の円形状の内縁の直径よりも、座繰り部に嵌合される前のワッシャの外縁の外接円の直径の方が大きく、ワッシャが座繰り部に嵌合されたときにワッシャの変形を伴う態様、又は、ワッシャが座繰り部に嵌合されたときにワッシャの変形を伴わないものの、ワッシャの外縁が座繰り部の内縁に当接し(すなわち、座繰り部の円形状の内縁の直径と、座繰り部に嵌合される前のワッシャの外縁の外接円の直径とがほぼ等しい)、ワッシャの外縁と座繰り部の内縁との間の摩擦力によりワッシャが保持される態様を例示できる。
図3は、外縁が正5角形状のワッシャ4Aが内縁が円形状の座繰り部32に嵌合される前後の状態の一例を示す説明図である。
図3(a)はワッシャ4Aが座繰り部32に嵌合される前の状態を示し、
図3(b)はワッシャ4Aが座繰り部32に強嵌合された状態を示している。なお、
図3は、ワッシャが座繰り部に嵌合されたときにワッシャの変形を伴う状態の理解を容易にするため、変形の程度を誇張して示している。
【0016】
前述の通り、プラズマ処理装置では、エッチングガスにより異物の堆積(デポ)や腐食が被締結部材に発生するため、1〜2ヶ月毎に、被締結部材を基材(チャンバの壁材)から取り外して、被締結部材若しくはそれに付随する部材に付着した異物を除去する又は腐食した被締結部材若しくはそれに付随する部材を新しい被締結部材に交換する等のメンテナンスを行う必要がある。特に、座繰り部が被締結部材に形成される構成の場合、被締結部材を新しい被締結部材に交換する一方、交換前の被締結部材に用いていたワッシャを転用しようとすると、ワッシャを交換前の被締結部材に形成された座繰り部から取り外し、新しい被締結部材に形成された座繰り部に取り付けることになる。
上記のようにワッシャの座繰り部からの取り外し・取り付けを繰り返すことで、ワッシャの外縁が摩耗したり、あるいは、座繰り部への長時間の取り付けにより、ワッシャの外縁にクリープ変形が生じる可能性がある。しかしながら、本発明における外縁が外接円の存在する多角形状であるワッシャは、前述のように外接円の直径を大きく設計できるため、外縁が円形状のワッシャよりも座繰り部に強嵌合される状態を維持し易い。つまり、被締結部材を基材から取り外してメンテナンスを行う際に、ワッシャが座繰り部から抜け落ち難い状態を維持し易く、取扱いが容易になる。
【0017】
なお、外縁が外接円の存在する多角形状のワッシャ、例えば正多角形状のワッシャでは、外縁の外接円の直径が同じである場合、頂点の数が増えれば増えるほど、基材及び被締結部材に密着するワッシャの上面及び下面の面積が大きくなる。基材及び被締結部材に密着するワッシャの上面及び下面の面積が大きくなれば大きくなるほど、基材と被締結部材とのシール性が高まる。つまり、基材と被締結部材とのシール性を高めるためには、ワッシャの外縁の頂点の数を増やすことが好ましい。この点で、例えば、外縁が正多角形状のワッシャの場合、ワッシャの外縁が正5角形状以上の正多角形状であることが好ましい。
しかしながら、ワッシャの頂点の数が過度に増えれば、ワッシャの外縁が円形状に近づくため、前述の通り、ワッシャを座繰り部に嵌合させ難くなる。つまり、過度に頂点の数を増やすことは、嵌合させ易さの観点から望ましくない。この点で、例えば、外縁が正多角形状のワッシャの場合、ワッシャの外縁が正15角形状以下の正多角形状であることが好ましい。
すなわち、ワッシャの外縁が正n角形状(nは5以上であり、15以下である整数)であることが好ましい。
【0018】
本発明の第1の手段において、前記ワッシャの外縁は、正奇数角形状であることが好ましい。
【0019】
以下に述べるように、ワッシャの外縁が正奇数角形状の場合と正偶数角形状の場合とでは、ワッシャが円形状の座繰り部に嵌合されるとき、嵌合させ易さに差が生じる。
図4は、外縁が正5角形状のワッシャ4Aと正6角形状のワッシャ4Bとをそれぞれ内縁が円形状の座繰り部32に嵌合させる方法を説明する説明図である。
図4(a)、(b)に示すように、ワッシャ4を座繰り部32に嵌合させようとするときは、通常、ワッシャ4を傾けた状態で、ワッシャ4を平面視したときにワッシャ4の外縁を構成する2つの頂点(例えば、
図4(a)に示す外縁が正5角形状のワッシャ4Aの頂点A及びB、
図4(b)に示す外縁が正6角形状のワッシャ4Bの頂点D及びE)を最初に座繰り部32の内縁に当接させることになる。ワッシャ4の外縁を構成する1つの頂点のみが座繰り部32の内縁に当接している状態では、ワッシャ4が横揺れ可能な不安定な状態になるからである。
【0020】
次に、上記の当接箇所を支点としてワッシャ4を座繰り部32に向けて回動することで、ワッシャ4を座繰り部32に嵌合させていく。この際、外縁が正5角形状のワッシャ4Aでは嵌合過程の最後に座繰り部32の内縁に当接する頂点は1つのみ(
図4(a)に示す頂点Cのみ)であるのに対して、外縁が正6角形状のワッシャ4Bでは最後に2つの頂点(
図4(b)に示す頂点F及びG)が同時に座繰り部32の内縁に当接することになる。つまり、外縁が正5角形状のワッシャ4Aの方が、外縁が正6角形状のワッシャ4Bよりも、最後に座繰り部32の内縁に当接する頂点の数が少ないので、ワッシャ4の変形を伴う箇所が少なくなる。このため、外縁が正5角形状のワッシャ4Aを座繰り部32に嵌合させるために必要な力、すなわちワッシャ4の変形に要する力が小さくて済み、嵌合させ易くなる。
【0021】
ワッシャ4の外縁が正5角形状以外の正奇数角形状の場合も、嵌合過程の最後に座繰り部32の内縁に当接する頂点は1つのみであるため、2つの頂点が同時に当接する正偶数角形状の場合よりも嵌合させ易くなる。このため、嵌合させ易さの観点より、前述のように、ワッシャ4の外縁は、正奇数角形状であることが好ましい。
なお、ワッシャ4の外縁が正偶数角形状の場合であっても、最初に1つの頂点のみを座繰り部32の内縁に当接させ、この当接箇所を支点としてワッシャ4を回動して座繰り部32に嵌合させれば、最後に座繰り部32の内縁に当接する頂点は1つのみとなり、ワッシャ4Aを座繰り部32に嵌合させるために必要な力は少なくて済む。しかしながら、前述の通り、ワッシャ4が不安定な状態での作業になるため、好ましい嵌合方法ではない。
以上のように、上記好ましい構成によれば、ワッシャの外縁が正奇数角形状であるため、正偶数角形状である場合に比べて、ワッシャを座繰り部に嵌合させ易いという利点が得られる。
【0022】
前記課題を解決するためには、前述した第1の手段のように、内縁が円形状の座繰り部と外縁が外接円の存在する多角形状(例えば、正多角形状)の可撓性ワッシャとの組み合わせが考えられる一方、内縁が内接円の存在する多角形状(例えば、正多角形状)の座繰り部と外縁が円形状の可撓性ワッシャとの組み合わせも考えられる。内縁が内接円の存在する多角形状の座繰り部に外縁が円形状のワッシャを嵌合させる場合も、ワッシャを平面視したときに、座繰り部の内縁とワッシャの外縁との間には、座繰り部の内縁の各頂点の近傍部位に隙間が生じる。このため、前記隙間に向けてワッシャの外縁が変形し易くなり、その結果、大きなワッシャを座繰り部に嵌合させ易い。つまり、座繰り部に嵌合させることができるワッシャの外縁の直径の最大値は、座繰り部の内縁が円形状である場合よりも座繰り部の内縁が多角形状である場合の方が大きい。内縁が多角形状の座繰り部に嵌合させるワッシャの外縁の直径が大きければ大きいほど、座繰り部にワッシャが嵌合された際にワッシャの外縁から座繰り部の内縁に加わる付勢力が大きくなるため、座繰り部にワッシャが強嵌合され易くなる、つまり、ワッシャが座繰り部から抜け落ち難くなる。
【0023】
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、第2の手段として、ボルトと、該ボルトに螺合可能な雌ねじ部が設けられた基材と、該ボルトを挿通可能な貫通孔が設けられた被締結部材とを備え、前記ボルトが前記貫通孔に挿通されて前記雌ねじ部と螺合することにより、前記被締結部材が前記基材に締結される締結構造であって、前記被締結部材の前記基材との対向面及び前記基材の前記被締結部材との対向面のうち何れか一方に、内縁が内接円の存在する多角形状である座繰り部が形成され、前記ボルトを挿通可能であり、なお且つ、前記座繰り部に強嵌合される、外縁が円形状の可撓性ワッシャを更に備え、前記ワッシャは、前記被締結部材が前記基材に締結された状態において、厚み方向に圧縮された状態であることを特徴とする締結構造としても提供される。
【0024】
本発明の第2の手段についても、前述した本発明の第1の手段と同様の作用効果を奏する。
前述のように、可撓性を有するワッシャが座繰り部に強嵌合されるとは、座繰り部を下向きにしたとしてもワッシャが落下しないようにワッシャが座繰り部に嵌合されることを意味する。第2の手段において、座繰り部を下向きにしたとしてもワッシャが落下しないようにワッシャが座繰り部に嵌合される態様としては、座繰り部の内縁の内接円の直径よりも、座繰り部に嵌合される前のワッシャの円形状の外縁の直径の方が大きく、ワッシャが座繰り部に嵌合されたときにワッシャの変形を伴う態様、又は、ワッシャが座繰り部に嵌合されたときにワッシャの変形を伴わないものの、座繰り部の内縁にワッシャの外縁が当接し(すなわち、座繰り部の内縁の内接円の直径と、座繰り部に嵌合される前のワッシャの円形状の外縁の直径とがほぼ等しい)、ワッシャの外縁と座繰り部の内縁との間の摩擦力によりワッシャが保持される態様を例示できる。
図7は、外縁が円形状のワッシャ4Cが内縁が正5角形状の座繰り部32Cに嵌合される前後の状態の一例を示す説明図である。
図7(a)はワッシャ4Cが座繰り部32Cに嵌合される前の状態を示し、
図7(b)はワッシャ4Cが座繰り部32Cに強嵌合された状態を示している。なお、
図7は、ワッシャが座繰り部に嵌合されたときにワッシャの変形を伴う状態の理解を容易にするため、変形の程度を誇張して示している。
【0025】
本発明の第2の手段において、前記座繰り部の内縁は、正奇数角形状であることが好ましい。
かかる好ましい構成によれば、前述した第1の手段においてワッシャの外縁を正奇数角形状にする場合と同様に、座繰り部の内縁が正奇数角形状であるため、正偶数角形状である場合に比べて、ワッシャを座繰り部に嵌合させ易いという利点が得られる。
【0026】
本発明の第1の手段及び第2の手段に係る締結構造をプラズマ処理装置等の基板処理装置に適用する場合、前記基材は、例えば、基板処理装置が具備するチャンバの壁材とされ、前記被締結部材は、前記チャンバの内側から前記壁材に締結される。
【0027】
斯かる構成によれば、基材(チャンバの壁材)と被締結部材とのシール性が高まるため、デポの原因となる異物やチャンバ内に供給されるエッチングガスが、チャンバの壁材と被締結部材との隙間から、チャンバの壁材に設けられた雌ねじ部に浸入することが抑制される。このため、雌ねじ部の化学変化(デポや腐食)の発生を抑制することができる。
【0028】
また、前述のように、ワッシャの座繰り部への取り外し・取り付けを繰り返すことで、ワッシャの外縁が摩耗したり、あるいは、座繰り部への長時間の取り付けにより、ワッシャの外縁にクリープ変形が生じたとしても、ワッシャが座繰り部に強嵌合される状態を維持し易い。つまり、被締結部材をチャンバの壁材から取り外してメンテナンスを行う際に、ワッシャが座繰り部から外れて、チャンバ内に落下することを防止可能である。
【0029】
また、前記課題を解決するため、本発明は、前記締結構造を備えることを特徴とする基板処理装置としても提供される。
【0030】
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、前記締結構造に用いられるワッシャ付被締結部材であって、前記基材との対向面に前記座繰り部が形成された前記被締結部材と、前記座繰り部に強嵌合された前記ワッシャとを備えることを特徴とするワッシャ付被締結部材としても提供される。