(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は画像形成装置の概略構成図を示し、
図2は本装置のプリンタ機能における機能ブロック図を示す。本装置は、例えばコピー、プリンタ又はファクシミリ等を一体的に備えた複合機等の機能を有する。本装置は、主制御部1と、スキャナ部2と、プリンタ部3と、操作パネル4と、プリンタドライバ内蔵装置5とから構成されている。主制御部1は、本装置の画像形成動作の全体を制御する。この主制御部1は、メインCPU10を搭載し、このメインCPU10に画像形成制御プログラムを記憶するROM11と、画像形成時の各種のデータを一時的に記憶するRAM12と、各種画像処理を行う画像処理部13とを接続して成る。メインCPU10は、ROM11に記憶されている画像形成制御プログラムを実行することにより、例えば、操作パネル4等からの指示に従い、スキャナ部2や画像処理部13、プリンタ部3にそれぞれ各動作指令を発し、記録媒体に画像を形成するという画像形成動作の全体の制御を行う。
【0010】
画像形成制御プログラムは、メインCPU10に、プリンタドライバ内蔵装置5又はスキャナ部2からの画像データを入力させる画像入力機能と、画像処理部13において画像入力機能により入力された画像データの明るさに関する情報を当該明るさよりも明るい情報への変換処理を含まない第1の画像処理機能、又は明るい情報への変換処理を含む第2の画像処理機能の選択を可能とする画像処理機能と、第1の画像処理機能が選択された場合、画像処理部13により画像処理された画像データを消去不可能な第1の色材により記録媒体に記録をプリンタ部3により行わせる第1の記録機能と、第2の画像処理機能が選択された場合、画像処理部13により画像処理された画像データを消去可能な第2の色材により記録媒体に記録をプリンタ部3により行わせる第2の記録機能と、第1又は第2の記録機能のうちいずれか一方で記録媒体への記録を行うかの選択を行う記録選択機能とを実現する。このうち画像処理機能は、第2の画像処理機能が選択されると、明るさに関する情報として明度成分を大きな値に変換する処理、又は画像データの濃度の濃淡を強調する処理のうちいずれか一方又は両方を行う。
【0011】
図2は本装置のメインCPU10により実現する機能ブロック図を示す。画像入力部100は、スキャナ部2又はプリンタドライバ内蔵装置5からの画像データを入力する。
印字選択部104は、第1の印字部(第1の記録部)102又は第2の印字部(第2の記録部)103のうちいずれか一方で記録媒体への記録を行うかの選択を行う。
【0012】
第1の画像処理部101aは、画像入力部100により入力された画像データの明るさに関する情報を当該明るさよりも明るい情報への変換処理を含まない画像処理、すなわち消去の不可能な通常の記録を行うための画像処理を行う。
第2の画像処理部101bは、画像入力部100により入力された画像データの明るさに関する情報を当該明るさよりも明るい情報への変換処理を含む画像処理、すなわち消去可能な記録を行うための画像処理を行う。この第2の画像処理部101bは、明るさに関する情報として明度成分を大きな値に変換する処理、又は画像データの濃度の濃淡を強調する処理のうちいずれか一方又は両方を行う。
【0013】
第1の印字部102は、消去の不可能な通常の記録を行うもので、印字選択部104により第1の画像処理部101aが選択された場合、当該第1の画像処理部101aにより画像処理された画像データを消去不可能な第1の色材、例えば第1のトナーにより記録媒体に印字(記録)を行う。
第2の印字部103は、消去可能な記録を行うもので、印字選択部104により第2の画像処理部101bが選択された場合、当該第2の画像処理部101bにより画像処理された画像データを消去可能な第2の色材、例えば第2のトナーにより記録媒体に印字(記録)を行う。
【0014】
画像処理部13は、プリンタドライバ内蔵装置5又はスキャナ部2からの画像データをプリンタ部3により記録媒体に記録し易いデータに画像処理するもので、第1の画像処理部101aと第2の画像処理部101bとの各機能を有する。
この画像処理部13は、本装置がプリンタとして動作する場合、プリンタドライバ内蔵装置5のプルダウン52によって消去不可能な第1のトナーを用いての記録であることをメインCPU10から受けると、第1の画像処理部101aを動作し、消去可能な第2のトナーを用いての記録であることをメインCPU10から受けると、第2の画像処理部101bを動作する。
この画像処理部13は、本装置がコピーとして動作する場合、液晶表示器42に表示される消去インク選択ボタン42aが選択されない指示をメインCPU10から受けると、第1の画像処理部101aを動作し、消去インク選択ボタン42aが選択された指示をメインCPU10から受けると、第2の画像処理部101bを動作する。
【0015】
スキャナ部2は、本装置がプリンタとして動作する場合に、原稿に記録されている画像を読み取り、この画像をRGB色空間で表現される画像信号Aとして出力する。
プリンタ部3は、画像処理部13により画像処理された画像データに従って記録用紙等の記録媒体上に印字する。このプリンタ部3は、記録媒体上から消去不可能な第1のトナーと、消去可能な第2のトナーとを備え、メインCPU10からのインクの選択指示に従って第1又は第2のトナーを用いて記録媒体上に画像の印字を行う。
このプリンタ部3は、画像処理部13により画像処理された画像データを受け取り、この画像データを記録媒体に印字する。このプリンタ部3は、ICCプロアァイルと呼ばれる特定機器の色特性や見た目の要求仕様を定義したデータを使用することが多い。ICCプロフアイルには、モニタ色空間とデバイスに非依存なPCS(Profile Connection Space)間の変換に使用されるモニタプロファイルと、プリンタ・印刷機などの色空間とPCSとの間の変換を行う出力プロファイルとなどがある。PCSは、CIELab色空間(以下、Lab色空間と称する)又はXYZ色空間を使用する。
【0016】
ここで、Lab色空間のLは明度成分を表し、abは色味を表す。明度成分Lを大きくすると、記録媒体に記録される画像の明るさが明るくなり、明度成分Lを小さくすると、記録媒体に記録される画像の明るさが暗くなる。
商業印刷等でユーザ(デザイナ)が指定した色で確実に印字することを求められる場合には、入力原稿をCMYK色空間で指定して入稿する場合もある。この場合、原稿を作成するパーソナルコンピュータ(PC)等で予めモニタプロファイルと出力プロファイルとから各RGB値に対応するCMYK値を求めておき、本装置にはCMYK色空間で指定した原稿を入稿する。
【0017】
図3は本装置がプリンタとして動作する場合の第1及び第2の画像処理部101a、101bの機能ブロック図を示す。第1の画像処理部101aは、前段の第1の色変換部111と、後段の第1の色変換部112と、第1のガンマ(γ)補正部113と、第1のトナーリミット部114と、第1のスクリーン処理部115とを有する。
第1の色変換部111及び第1の色変換部112を合わせた機能は、プリンタドライバ内蔵装置5から出力されたRGB色空間で表現される画像信号Aをプリンタ部3のCMYK色空間で表現される画像信号に変換する。
【0018】
具体的に第1の色変換部111は、プリンタドライバ内蔵装置5から出力されたRGB色空間で表現される画像信号AをLab色空間で表現される画像信号に変換する。
第1の色変換部112は、Lab色空間で表現される画像信号をCMYK色空間で表現される画像信号に変換する。
【0019】
第1のγ補正部113は、第1の色変換部112からの画像信号の濃度を補正し、プリンタ部3の特性に合わせた画像濃度のキャリブレーションや好みの階調特性を得る。γ補正は、画像の明るさの変化に対する電圧換算値の変化の比であるγ(ガンマ)値の補正である。具体的にγ補正は、より自然に近い画像を得るためのCMYK色空間のビットマップデータを有し、第1の色変換部112からの画像信号の濃度をビットマップデータに従って補正する。
【0020】
第1のトナーリミット部114は、プリント部3の記録動作に不具合を生じないようにCMYK色の総和の最大の闘値を設定する。すなわち、第1のトナーリミット部114は、第1のγ補正部113からの画像信号を受け、ビットマップデータのCMYK色空間に使用する各色のトナーのトータル量をプリンタ部3による記録可能な範囲内に収まるように、ビットマップデータのCMYK色空間の各色のトナー量にリミット値(閾値)を設定する処理を行う。
【0021】
第1のスクリーン処理部115は、第1のトナーリミット部114からの画像信号を受け、CMYKの各色についてスクリーン処理を行い、ビットマップデータを、プリンタ部3の記録能力に合わせたCMYK色空間の各色数bitのより小さい階調数を有するビットマップデータに変換する。
【0022】
第2の画像処理部101bは、前段の第2の色変換部121と、後段の第2の色変換部122と、第2のγ補正部123と、第2のトナーリミット部124と、第2のスクリーン処理部125とを有する。これら第2の色変換部121と、第2の色変換部122と、第2のγ補正部123と、第2のトナーリミット部124と、第2のスクリーン処理部125とは、それぞれ第1の画像処理部101aにおける第1の色変換部111と、第1の色変換部112と、第1のγ補正部113と、第1のトナーリミット部114と、第1のスクリーン処理部115と同一機能を有するので、これらの詳しい説明は省略する。
【0023】
この第2の画像処理部101bは、プリンタドライバ内蔵装置5から入力された画像データの明るさに関する情報を当該明るさよりも明るい情報への変換処理を行うための第1の明度変換部126と、第2の明度変換部127と、ターゲットカーブ変換部128と、閾値変換部129とを有する。
具体的に第1の明度変換部126は、第2の色変換部121に使用される忠実に色再現するための画像データのモニタプロファイルの明度成分Lの値を大きな値に変換する。この第1の明度変換部126は、一律に定数(>1)を掛け算しても良いし、非線形な演算でも良い。明度成分Lの値は、離散値であるので、各RGBに対応する明度成分Lの値をテーブルなどを使用して個別に変換することも可能である。モニタプロフアイルの中間色空間の明度成分Lの値を大きくすることで、プリンタ部3により記録される画像全体を明るく記録することが可能である。
【0024】
第2の明度変換部127は、第2の色変換部122で使用される出力側の画像データのプリントプロファイルを補正することで、プリンタ部3により記録される画像を明るくすることが可能である。すなわち、忠実色再現するためのプリントプロファイルがある場合、第2の明度変換部127は、第2の色変換部122から出力されるCMYKを変えずに対応する明度成分Lの値を小さくすることで、プリンタ部3により印字される画像を明るくすることが可能である。
【0025】
ターゲットカーブ変換部128は、第2のγ補正部123によりγ補正を行うときのターゲットのγカーブを
図4に示す忠実な色再現するためのターゲットカーブK1から
図5に示す明るくするためのターゲットカーブK2に変換する。ターゲットカーブK1は、消去の不可能な第1のトナーにより通常の記録を行うときに設定される。このターゲットカーブK1は、CMYK色空間の濃度の入出力を比例関係に設定する。ターゲットカーブK2は、消去可能な第2のトナーにより印字を行うときに設定される。このターゲットカーブK2は、例えばCMYK色空間の濃度の入出力を2次元関数の関係に設定する。このターゲットカーブK2であれば、CMYK色空間全色を薄くする。特に濃い色ほど薄くなるが、濃淡の関係は逆転しない。このターゲットカーブK2は、CMYK色空間の濃度の濃淡を強調するものであれば、2次元関数に限らず、CMYK色空間の濃度の入出力の関係を他の関係に設定してもよい。
【0026】
閾値変換部129は、第1のトナーリミット部114に設定される閾値を小さな値に設定し、プリンタ部3により印字される画像のシャドー部において画像を明るくする。
【0027】
なお、上記第2の画像処理部101bは、入力される画像データがRGB色空間で表現される場合について説明したが、例えば商業印刷等において画像データをCMYK色空間で表現する場合がある。この場合、第2の色変換部121は、出力プロファイルを逆変換することで、CMYK色空間で表現されている画像データをLab色空間に変換可能である。第1の明度変換部126は、明度成分Lの値を大きな値に変換することで、プリンタ部3により印字される画像全体を明るく記録することが可能である。
【0028】
又、入力される画像データがRGB色空間で表現される場合であっても、第2の明度変換部127と、ターゲットカーブ変換部128と、閾値変換部129とのいずれか1つによりプリンタ部3により印字される画像全体を明るく記録することが可能である。
【0029】
操作パネル4は、本装置の例えばコピー、プリンタ又はファクシミリ等の選択や、記録媒体のサイズの選択、記録する記録媒体の枚数の選択、コピー、プリンタ又はファクシミリ等の各動作のスタートを行うためのものである。この操作パネル4は、パネルCPU44を搭載し、このタッチパネル41と、液晶表示器42と、操作キー43とを接続して成る。
【0030】
液晶表示器42は、表示画面上に、例えば消去可能な第2のトナーを使用するか否かを選択するための消去インク選択ボタン42aや、記録媒体のサイズ、枚数の各選択等の各種ボタンを表示する。タッチパネル41は、液晶表示器42上に設けられ、液晶表示器42上に表示される各種ボタンの位置に対応するボタン選択信号を発生する。操作キー43は、例えば記録媒体の枚数の設定やコピー、プリンタ又はファクシミリ等の選択、コピー、プリンタ又はファクシミリの動作スタートのボタン43a等を備える。パネルCPU44は、タッチパネル41からの消去インク選択ボタン42aの選択の有無を示すボタン選択信号や、操作キー43からの動作スタート等の信号をメインCPU10に発する。
【0031】
主制御部1のメインCPU10には、上記プリンタドライバ内蔵装置5がローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続されている。このプリンタドライバ内蔵装置5は、プリンタドライバ51を内蔵する。このプリンタドライバ51は、例えばパーソナルコンピータ(PC)であって、プリンタ部3における記録媒体のサイズや給紙方法、記録媒体のタイプ等の設定を行うもので、例えばPDLコードやプリントするための画像データのラスターデータを作成し、メインCPU10に転送する。
又、プリンタドライバ51は、消去不可能な第1のトナー又は消去可能な第2のトナーのいずれかを使用するか等の設定を行う。具体的にプリンタドライバ51は、液晶表示器を備え、この液晶表示器の表示画面上にプルダウン52と許可ボタン(OKボタン)53とを表示する。このプルダウン52は、プリンタ部3において消去不可能な第1の色材である第1のトナーを用いての記録か、又は消去可能な第2のトナーを用いての記録かのいずれかを設定する。OKボタン53は、例えばPDLコードやラスターデータのメインCPU10への転送を許可するものである。
【0032】
次に、上記の如く構成された装置のプリント動作について
図6に示す画像形成制御フローチャートに従って説明する。
ユーザは、プリンタドライバ51に設けられているプルダウン52を操作し、プリンタ部3において消去不可能な第1のトナーを用いるか、又は消去可能な第2のトナーを用いるかのいずれかを設定する。
ユーザがOKボタン53を操作すると、プリンタドライバ51は、プリンタ部3における記録媒体のサイズや給紙方法、記録媒体のタイプ等の設定し、そのPDLコードやプリントするための画像データのラスターデータをLANを経由して本装置のメインCPU10へ転送する。
このメインCPU10は、パネルCPU44からの信号を受けて、プリンタとして動作を開始し、
PDLコードやプリントするための画像データのラスターデータ、プリンタ部3において消去不可能な第1のトナーを用いるか、又は消去可能な第2のトナーを用いるかを示す信号を画像処理部13に送る。
画像処理部13は、プリントするための画像データのラスターデータを入力する(動作ACT1)。
画像処理部13は、プリンタ部3において消去不可能な第1のトナーを用いるか、又は消去可能な第2のトナーを用いるかを示す信号を読み取る(動作ACT2)。
【0033】
この画像処理部13は、プリンタ部3において消去不可能な第1のトナーを用いるのであれば(動作ACT3)、第1の画像処理機能101aを動作させる(動作ACT4)。この第1の画像処理機能101aにおいて第1の色変換部111は、
図3に示すようにスキャナ部2から出力されたRGB色空間で表現される画像信号AをLab色空間で表現される画像信号に変換する。
第1の色変換部112は、Lab色空間で表現される画像信号をCMYK色空間で表現される画像信号に変換する。
第1のγ補正部113は、第1の色変換部112からの画像信号の濃度を補正し、プリンタ部3の特性に合わせた画像濃度のキャリブレーションや好みの階調特性を得る。
【0034】
第1のトナーリミット部114は、プリント部3の記録動作に不具合を生じないようにCMYK色の総和の最大の闘値を設定する。
第1のスクリーン処理部115は、第1のトナーリミット部114からの画像信号を受け、CMYK色空間の各色についてスクリーン処理を行い、ビットマップデータを、プリンタ部3の記録能力に合わせたCMYK色空間の各色数bitのより小さい階調数を有するビットマップデータに変換する。
プリンタ部3の第1の印字部102は、第1の画像処理部101aにより画像処理された画像データを消去不可能な第1のトナーにより記録媒体に記録を行う(動作ACT5)。
【0035】
一方、画像処理部13は、プリンタ部3において消去可能な第2のトナーを用いるのであれば(動作ACT3)、第2の画像処理部101bを動作させる(動作ACT6)。この第1の画像処理部101bは、第1の明度変換部126、第2の明度変換部127、ターゲットカーブ変換部128又は閾値変換部129のうち少なくとも1つによりプリンタドライバ51から入力された画像データの明るさに関する情報を当該明るさよりも明るい情報へ変換処理する。すなわち、第1の明度変換部126は、第2の色変換部121に使用される忠実に色再現するためのモニタプロファイルの明度成分Lの値を大きな値に変換する。
第2の明度変換部127は、第2の色変換部122から出力されるCMYKを変えずに対応する明度成分Lの値を小さくすることで、プリンタ部3により印字される画像を明るくする。
ターゲットカーブ変換部128は、第2のγ補正部123によりγ補正を行うときのターゲットのγカーブを
図4に示す忠実な色再現するためのターゲットカーブK1から
図5に示す明るくするためのターゲットカーブK2に変換する。このターゲットカーブK2であれば、CMYK色空間の全色を薄くする。特に濃い色ほど薄くなるが、濃淡の関係は逆転しない。
閾値変換部129は、第1のトナーリミット部114に設定される閾値を小さな値に設定し、プリンタ部3により印字される画像のシャドー部において画像を明るくする。
【0036】
プリンタ部3の第2の印字部103は、第2の画像処理部101bにより画像処理された画像データを消去不可能な第2のトナーにより記録媒体に印字を行う(動作ACT7)。
【0037】
このように上記第1の実施の形態によれば、消去可能な第2のトナーにより記録媒体に印字を行う場合、画像データの明るさに関する情報の明度成分Lの値を大きくして当該明るさよりも明るい情報へ変換するので、画像データの色合いを変えることなく、明るい画像として記録することができ、これにより記録媒体への1回の記録に使用するトナーの量を少なくすることができる。この結果、記録用紙上に残留するトナーの量を少なくでき、記録媒体のリユース回数を増加できる。
【0038】
次に、第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
図7は本装置がコピーとして動作する場合の機能ブロック図を示す。なお、
図3と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
コピー機能の場合、本装置は、上記プリンタ機能の場合と相違し、画像データを入力するのは備え付けられたスキャナ部2であることに設定される。これにより、画像処理部13は、第1の画像処理部101aにおいて第1の色変換部111及び第1の色変換部112の代わりに第1の色変換部130を備え、かつ第1の画像処理機能101bにおいて第2の色変換部121及び第2の色変換部122の代わりに第2の色変換部131を備える。
【0039】
これら第1と第2の色変換部130、131は、それぞれRGB色空間で表現される画像信号をLab色空間等の中間色に変換せずに、RGB色空間で表現される画像信号をCMYK色空間で表現される画像信号に変換する。RGB色空間で表現される画像信号からCMYK色空間で表現される画像信号への変換は、RGB色空間からCMYK色空間へ変換するための参照テーブルを用いる、又は関数による演算など様々の手法を用いることが可能である。
【0040】
第1と第2の色変換部130、131は、設計段階において、RGB色空間とLab色空間との対応関係と、Lab色空間とCMYK色空間との対応関係とを測色して求めた後、RGB色空間とCMYK色空間との対応関係を設計する。
具体的に、第1と第2の色変換部130、131は、先ず、(1)Lab値が既知のカラーパッチなどを入力手段により入力して各パッチのRGB値を得る。(2)指定されたCMYK値によりカラーパッチなどを記録する。この記録結果を測色してCMYK値とLab値との対応関係を求める。(3)RGB値からLab値への変換するときの対応関係と、Lab値からCMYK値へ変換するときの対応関係に基づいてRGB値からCMYK値へ変換するときの関係を設定する。
第2の明度変換部127は、明度成分Lの値を小さくすることで、プリンタ部3により印字される画像を明るくする。
【0041】
次に、上記の如く構成された装置のプリント動作について上記
図6に示す画像形成制御フローチャートに従って説明する。
ユーザは、液晶表示器42に表示されている消去インク選択ボタン42aを操作して消去可能な第2のトナーを使用するか否かを選択する。又、ユーザは、液晶表示器42に表示されている各種ボタンを操作して例えばコピー機能を使用することや、記録媒体のサイズ、枚数等を選択する。パネルCPU44は、タッチパネル41からの消去インク選択ボタン42aの選択の有無を示すボタン選択信号や、操作キー43からの動作スタート等の信号をメインCPU10に発する。
【0042】
このメインCPU10は、パネルCPU44からの信号を受けて、コピー機能として動作を開始し、タッチパネル41からの消去インク選択ボタン42aの選択の有無を示すボタン選択信号を画像処理部13に送る。
スキャナ部2は、原稿の画像を読み取り、その画像データを出力する。
画像処理部13は、スキャナ部2等から画像データを入力する(動作ACT1)。
画像処理部13は、パネルCPU44からの信号から消去インクの選択の有無を読み取る(動作ACT2)。
【0043】
この画像処理部13は、消去インク選択ボタン42aが選択されていなければ(動作ACT3)、
図7に示す第1の画像処理部101aを行う(動作ACT4)。この第1の画像処理部101aにおいて、第1の色変換部130は、RGB色空間で表現される画像信号をCMYK色空間で表現される画像信号に変換する。以下、上記第1の実施の形態と同様に、第1のγ補正部113と、第1のトナーリミット部114と、第1のスクリーン処理部115とが動作し、プリンタ部3の第1の記録機能102により消去不可能な第1のトナーにより記録媒体に記録が行われる(動作ACT5)。
【0044】
一方、画像処理部13は、プリンタ部3において消去可能な第2のトナーを用いるのであれば(動作ACT3)、第2の画像処理部101bを動作させる(動作ACT6)。この第2の画像処理部101bは、ターゲットカーブ変換部128又は閾値変換部129のうちいずれか1つによりスキャナ部2等から入力された画像データの明るさに関する情報を当該明るさよりも明るい情報へ変換処理する。
【0045】
プリンタ部3の第2の印字部103は、第2の画像処理機能101bにより画像処理された画像データを消去不可能な第2のトナーにより記録媒体に印字を行う(動作ACT7)。
【0046】
このように上記第2の実施の形態によれば、コピー機能においても、上記第1の実施の形態と同様に、画像データの色合いを変えることなく、明るい画像として記録することができ、これにより記録媒体への1回の記録に使用するトナーの量を少なくすることができる。この結果、記録用紙上に残留するトナーの量を少なくでき、記録媒体のリユース回数を増加できる。
【0047】
次に、第3の実施の形態について図面を参照して説明する。
図8は本装置がプリンタとして動作する場合の機能ブロック図を示す。なお、
図3と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
本装置は、警告表示部140と、明度選択部141と、第3の画像処理部101cとを有する。このうち第3の画像処理部101cは、画像処理部13に含まれる。
警告表示部140は、プリンタ部3において消去可能な第2のトナーを用いることが選択されると、当該消去可能な第2のトナーにより記録を行う旨の報知、具体的には、
図9に示すような警告ウィンドウWPをプリンタドライバ51における液晶表示器の表示画面上に表示する。この警告ウィンドウWPは、消去可能な第2のトナーが選択されたこと、画像データの明るさよりも明るく記録して良い否かの問い合わせを表示する。又、警告ウィンドウWPは、原稿色でプリントすなわち消去不可能な第1のトナーを用いて記録することを選択する第1の選択ボタン143と、明るくプリントすなわち消去可能な第2のトナーを用いて記録することを選択する第2の選択ボタン144とを表示する。
【0048】
明度選択部141は、警告ウィンドウWP内の第1の選択ボタン143又は第2の選択ボタン144のいずれか一方が選択されたかを判定し、第1の選択ボタン143が選択されると第3の画像処理部101cでの画像処理に進み、第2の選択ボタン144が選択されると第2の画像処理部101bでの画像処理に進む。
【0049】
図10は第1乃至第3の画像処理部101a、101b、101cの機能ブロック図を示す。なお、
図3と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。第3の画像処理部101cは、前段の第3の色変換部151と、後段の第3の色変換部152と、第3のγ補正部153と、第3のトナーリミット部154と、第3のスクリーン処理部155とを有する。これら第3の色変換部151と、第3の色変換部152と、第3のγ補正部153と、第3のトナーリミット部154と、第3のスクリーン処理部155とは、それぞれ第1の画像処理機能101aにおける第1の色変換部111と、第1の色変換部112と、第1のγ補正部113と、第1のトナーリミット部114と、第1のスクリーン処理部115と同一機能を有するので、これらの詳しい説明は省略する。
【0050】
次に、上記の如く構成された装置のプリント動作について上記
図11に示す画像形成制御フローチャートに従って説明する。なお、上記
図6に示す動作(ACT)と同一動作(ACT)についてはその説明を省略する。
画像処理部13は、プリンタ部3において消去不可能な第1のトナーを用いるか、又は消去可能な第2のトナーを用いるかを示す信号を読み取り(動作ACT2)、プリンタ部3において消去可能な第2のトナーを用いるのであれば(動作ACT3)、警告表示部140は、
図9に示すような警告ウィンドウWPをプリンタドライバ51における液晶表示器の表示画面上に表示し、消去可能な第2のトナーにより記録を行う旨の警告を行う(動作ACT10)。
ユーザが第2の選択ボタン144を操作すると、明度選択部141は、明るくプリントすなわち消去可能な第2のトナーを用いて記録することを選択されたことを判定し、上記動作ACT6に移り、第2の画像処理部101bでの画像処理に進む。
【0051】
一方、ユーザが第1の選択ボタン143を操作すると、明度選択部141は、原稿色でプリントすなわち消去不可能な第1のトナーを用いて記録することを選択されたことを判定し、第3の画像処理部101cでの画像処理に進む(動作ACT12)。この第3の画像処理部101cは、上記第1の画像処理部101aと同様の動作、すなわち、第3の色変換部151は、RGB色空間で表現される色信号AをLab色空間で表現される画像信号に変換する。第3の色変換部152は、Lab色空間で表現される画像信号をCMYK色空間で表現される画像信号に変換する。第3のγ補正部153は、第1の色変換部112からの画像信号の濃度を補正し、プリンタ部3の特性に合わせた画像濃度のキャリブレーションや好みの階調特性を得る。第3のトナーリミット部154は、プリント部3の記録動作に不具合を生じないようにCMYK色の総和の最大の闘値を設定する。第3のスクリーン処理部155は、第1のトナーリミット部114からの画像信号を受け、CMYK色空間の各色についてスクリーン処理を行い、ビットマップデータを、プリンタ部3の記録能力に合わせたCMYK色空間の各色数bitのより小さい階調数を有するビットマップデータに変換する。
プリンタ部3の第1の印字部102は、第3の画像処理部101cにより画像処理された画像データを消去不可能な第1のトナーにより記録媒体に印字を行う(動作ACT13)。
【0052】
このように上記第3の実施の形態によれば、消去可能な第2のトナーを用いるのであれば、警告ウィンドウWPをプリンタドライバ51における液晶表示器の表示画面上に表示し、消去可能な第2のトナーにより印字を行う旨の警告を行うので、消去可能な第2のトナーにより印字を行うことを確認でき、消去可能な第2のトナーを使用しての印字を間違いなく行うことができる。警告ウィンドウWPは、消去不可能な第1のトナーを用いて印字することを選択する第1の選択ボタン143と、消去可能な第2のトナーを用いて印字することを選択する第2の選択ボタン144とを表示するので、記録に使用するトナーを変更することが可能である。
【0053】
次に、第4の実施の形態について図面を参照して説明する。
図12は本装置のコピー機能における機能ブロック図を示す。なお、
図7及び
図10と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
第3の色変換部170は、上記第3の色変換部130と同様に、RGB色空間で表現される画像信号をLab色空間等の中間色に変換せずに、RGB色空間で表現される画像信号をCMYK色空間で表現される画像信号に変換する。
【0054】
警告表示部140は、プリンタ部3において消去可能な第2のトナーを用いることが選択されると、当該消去可能な第2のトナーにより記録を行う旨の報知、具体的には、
図13に示すような警告ウィンドウWCを液晶表示器42の表示画面上に表示する。この警告ウィンドウWCは、消去可能な第2のトナーが選択されたこと、画像データの明るさよりも明るく記録して良い否かの問い合わせを表示する。この警告ウィンドウWCは、原稿色でプリントすなわち消去不可能な第1のトナーを用いて印字することを選択する第1の選択ボタン156と、明るくプリントすなわち消去可能な第2のトナーを用いて印字することを選択する第2の選択ボタン157とを表示する。
【0055】
次に、上記の如く構成された装置のプリント動作について上記
図11に示す画像形成制御フローチャートに従って説明する。
ユーザは、操作パネル4の液晶表示器42に表示されている消去インク選択ボタン42aを操作して消去可能な第2のトナーを使用するか否かなどを選択する。パネルCPU44は、タッチパネル41からの消去インク選択ボタン42aの選択の有無を示すボタン選択信号等をメインCPU10に発する。このメインCPU10は、消去インク選択ボタン42aの選択の有無を示すボタン選択信号を画像処理部13に送る。
【0056】
画像処理部13は、プリンタ部3において消去不可能な第1のトナーを用いるか、又は消去可能な第2のトナーを用いるかを示す信号を読み取り(動作ACT2)、プリンタ部3において消去可能な第2のトナーを用いるのであれば(動作ACT3)、警告表示部140は、
図13に示すような警告ウィンドウWCを液晶表示器42の表示画面上に表示し、消去可能な第2のトナーにより記録を行う旨の警告を行う(動作ACT10)。
【0057】
ユーザが第2の選択ボタン157を操作すると、明度選択部141は、明るくコピーすなわち消去可能な第2のトナーを用いて記録することを選択されたことを判定し、上記動作ACT6に移り、第2の画像処理部101bでの画像処理に進む。
【0058】
一方、ユーザが第1の選択ボタン156を操作すると、明度選択部141は、原稿色でコピーすなわち消去不可能な第1のトナーを用いて記録することを選択されたことを判定し、第3の画像処理部101cでの画像処理に進む(動作ACT12)。この第3の画像処理部101cは、上記第1の画像処理部101aと同様の動作、すなわち、第3の色変換部151は、RGB色空間で表現される色信号AをCMYK色空間で表現される色信号に変換する。第3のγ補正部153は、第1の色変換部112からの色信号の濃度を補正し、プリンタ部3の特性に合わせた画像濃度のキャリブレーションや好みの階調特性を得る。第3のトナーリミット部154は、プリント部3の記録動作に不具合を生じないようにCMYK色の総和の最大の闘値を設定する。第3のスクリーン処理部155は、第1のトナーリミット部114からの色信号を受け、CMYKの各色についてスクリーン処理を行い、ビットマップデータを、プリンタ部3の記録能力に合わせたCMYKの各色数bitのより小さい階調数を有するビットマップデータに変換する。
プリンタ部3の第1の印字部102は、第3の画像処理部101cにより画像処理された画像データを消去不可能な第1のトナーにより記録媒体に印字を行う(動作ACT13)。
【0059】
このように上記第4の実施の形態によれば、本装置がコピーとして動作する場合においても、上記第3の実施の形態と同様に、消去可能な第2のトナーにより印字を行うことを確認でき、消去可能な第2のトナーを使用しての印字を間違いなく行うことができ、かつ印字に使用するトナーを変更することが可能である。
【0060】
なお、上記各実施の形態は、そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0061】
例えば、上記第3及び第4の実施の形態は、それぞれ警告ウィンドウWP、WC内で消去可能な第2のトナーにより記録を行う旨の警告を行っているが、これら警告ウィンドウWP、WCは、オプションで表示されないように設定してもよい。例えば、消去不可能な第1のトナーを用いるか、又は消去可能な第2のトナーを用いるかの判定(動作ACT3)の前に、明度の調整を実施するようにしてもよい。明度の調整を実施する場合、各警告ウィンドウWP、WCは、表示しなくても良い。
【0062】
明度の調整について説明すると、
図14は明度調整ボタンの表示例を示し、同図(a)はプリンタドライバ51における液晶表示器の表示画面上に表示される明度調整ボタン170を示し、同図(b)は操作パネル4の液晶表示器42に表示される明度調整ボタン171を示す。
プリンタドライバ51に表示される明度調整ボタン170は、明度を数値で表示する数値表示欄170aと、明度を高く調整するための第1のボタン170bと、明度を低く調整するための第2のボタン170cと、明度をその表示濃度により表示するバー表示部170dと、バー表示部170d上で調整された明度を指示する指示部170eとを有する。
操作パネル4上に表示される明度調整ボタン171は、明度を高く調整するための第1のボタン171aと、明度を低く調整するための第2のボタン171bと、明度の位置を表示するためのバー表示部171cと、バー表示部171c上で調整された明度を指示する指示部171dとを有する。
【0063】
図15は明度の調整を実施する場合の画像形成制御フローチャートを示す。なお、
図11と同一動作(ACT)の部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
メインCPU10は、画像調整するか否かを判断する(動作ACT20)。画像調整する場合、プリンタの設定では、
図14(a)に示すプリンタドライバ51における液晶表示器の表示画面上に表示される明度調整ボタン170を操作することにより行われ、コピーの設定では、同図(b)に示す操作パネル4の液晶表示器42に表示される明度調整ボタン171を操作することにより行われる(動作ACT21)。プリンタ設定の場合、
図14(a)に示す第1のボタン170bをタッチ操作する毎に明度が順次高くなり、第2のボタン170cをタッチ操作する毎に明度が順次低くなる。コピー設定の場合、
図14(b)に示す第1のボタン171bをタッチ操作する毎に明度が順次高くなり、第2のボタン171cをタッチ操作する毎に明度が順次低くなる。
【0064】
プリンタ部3において消去可能な第2のトナーを用いるのであれば(動作ACT3)、メインCPU10は、画像調整が行われたか否かを判定する(動作ACT22)。この判定の結果、メインCPU10は、画像調整が既に行われていれば、動作ACT13に移って第3の画像処理を行い、画像調整が既に行われていなければ、動作ACT10に移って警告表示を行う。