【実施例1】
【0011】
図1は、本実施例における伝送システムの一例を示すブロック図であって、ソース機器11がシンク機器21とケーブル31を介して接続されており、シンク機器21からソース機器11へ電力を供給し、ソース機器からシンク機器へ映像信号を供給する。
【0012】
ソース機器11は例えばディスクプレイヤー、ディスクレコーダ、半導体レコーダ、放送受信機、ゲーム機、PC等の映像信号送出機器である。光ディスクや磁気記録ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体や放送、ネットワーク等から得たデータから映像信号を再生する再生部111と映像送信部112、EDID(Extended Display Identification Data)読出部113、CEC(Consumer Electronics Control)通信部114、電圧検出部115、DDC(Display Data Channel)+5V供給部116、HPD(Hot Plug Detect)検出部117、制御部118、電源回路119を有する。
【0013】
シンク機器21は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディプレイ、有機ELディスプレイ等の表示デバイスを備えた映像信号受信機器である。シンク機器21は表示部211と映像受信部212、EDID記憶部213、CEC通信部214、電流制限部215、HPD出力部216、制御部217、電力供給部218、電源回路219を有する。なお、アンテナで受信した放送波を処理するチューナ、デスクランブラ、デマルチプレクサ、デコーダ、録画機能等も含む構成とし、シンク機器単体でも映像コンテンツを再生可能としてもよい。
【0014】
ケーブル31は、ソース機器とシンク機器との間を接続するケーブルであって、例えばHDMIケーブルである。映像信号伝送線302、EDIDを伝送するDDC線303、CEC通信線304、電力を供給するUtility線305.DDC+5V線306、HPD線307を有する。
【0015】
ここで、
図1における各ブロックの動作を説明する。ソース機器11の再生部111で再生された映像信号が映像送信部112から送信され、ケーブル31の映像信号伝送線302を介してシンク機器21の映像受信部212で受信される。受信された映像信号はシンク機器21の表示部211に表示される。
【0016】
また、ソース機器11のEDID読出部113は、ケーブル31のDDC線303を介してシンク機器21のEDID記憶部213に記録されているシンク機器のEDIDを読み出す。
【0017】
また、ソース機器11のCEC通信部114とシンク機器21のCEC通信部214とはケーブル31のCEC通信線304を介してCECメッセージの送受信を行う。
【0018】
また、シンク機器21の電力供給部218はケーブル31のUtility線305を介してソース機器の電源回路部119に電力を供給する。電流制限部215は、電力供給部218から供給される電力を監視し、必要に応じて供給される電力の制限を行う。電圧検出部115は、電源回路119が受給する電力の電圧を検出する。
【0019】
また、ソース機器のDDC+5V供給部116は、5Vの電流をケーブル31のDDC+5V線306を介してHPD出力216及び電源回路219に供給する。
【0020】
また、ソース機器のHPD検出部117は、ケーブル31のHPD線307を介してシンク機器のHPD出力216からの電流を検出する。
【0021】
次に、CEC通信部114と214が交換するCDCメッセージの構造の一例を
図6に示す。特許文献2に記載のように、CDCメッセージはCECメッセージの一つとして定義され、メッセージの先頭を示すStart Bitに続き、メッセージの送信機器の論理アドレスと受信機器の論理アドレスとを記述したCEC Header Block、CDCメッセージであることを示すCEC Opcode Block、メッセージ送信機器の物理アドレスを示すInitiator Physical Address、CDCメッセージの種別を示すCDC Opcode、CDCメッセージの引数を示すCDC Parameterから構成されている。
【0022】
以下、CDCメッセージを例にとって説明するが、本発明はCDCメッセージ構造に限定されること無く、CEC OpcodeにCDC Opcodeを定義すれば、CDCメッセージに代えてCECメッセージを使うこともできる。また、EDID読出しで使われるDDCやHDMI Ethernet(登録商標) Channelなどの双方向通信メッセージを用いても良い。
【0023】
図7はCDCメッセージの一例を示す表である。<CDC_Power_Request>は、電力受給機器が引数[Port]で示される端子へ、引数[Power]で示される電流供給を、電力供給機器へ要求するメッセージである。引数[Error]は常に”No Error”を意味する0を設定する。
【0024】
<CDC_Power_Status>は、電力供給機器が引数[Port]で示される端子から、引数[Power]で示される電流を供給開始したことを知らせるメッセージである。このメッセージは<CDC_Power_Request>や<CDC_Power_Notice>への応答メッセージとして使用される。引数[Error]はその応答結果を示すものである。
【0025】
<CDC_Power_Notice>は、電力供給機器が引数[Port]で示される端子から、引数[Power_Sink]で示される電流へ供給電流の変更を予告するメッセージである。引数[Error]は常に”No Error”を意味する0を設定する。
【0026】
図7のResponseの欄には、それぞれのメッセージに対して、宛先の機器が本実施例の機能に対応していれば、応答する応答メッセージが記されている。
【0027】
図8と
図9は、メッセージの引数の一例を示す表である。[Port]は、メッセージ発信元の電力受給端子または電力供給端子を示しおり、Port Numberが4 bits で構成されている。Port Numberは0が映像出力端子を示し、1〜15が映像入力端子を示している。映像入力端子の1〜15は各映像入力端子のEDIDに記載されるソース機器の物理アドレスを決めるInput Port Numberと共通であり、CDCメッセージ中のInitiator Physical Addressと組合せれば、接続先のソース機器の物理アドレスを認識できる。端子番号に代えて接続先の物理アドレス(すなわち、該当入力端子のEDID中に記載されている物理アドレス)2 bytesを用いてもよいが、メッセージ長を抑えて通信時間を短くする為には、Port numberの 4 bitsで示す方が効率的である。
【0028】
[Error]は、<CDC_Power_Request>や<CDC_Power_Notice>への応答結果を示すものであり、4bitsから構成されている。0は“No Error”であり、要求された電圧と電流を供給している状態を示している。1は応答するメッセージ中の引数に矛盾がある場合、例えば電圧と電流の組合せや、端子を示すPort Numberとの組合せが不適当であることを示す。2は、要求された電力を供給する機能はあるが、何らかの原因、例えばセット電源オフなどにより電力供給ができないことを示す。この引数2を含む応答メッセージを受信した場合は、所定時間後に再度要求できる。3は、要求された電力を供給する機能を持っていないことを示す。4〜15は将来拡張用の予約領域である。尚、[Error]が0以外の場合であっても、[Port]で示された端子の電力供給状況を適切に[Power]で表記する必要がある。
[Power]は、受給または供給電力を表し、電圧を示す[Voltage]の4bitsと電流を示す[Current]の4bitsから構成される。[Voltage]は0が5 Vを示し、許容範囲を5%程度として。供給電圧範囲は4.8 V〜6.3 Vとしている。1が3.3 Vを示し、供給電圧範囲は3.1 V〜3.5 Vとしている。2が12 Vを示し、供給電圧範囲は11.4 V〜12.6 Vとしている。3が供給電圧なしの場合であり、0から5Vの範囲でもれ電流は0.1 mA 以下としている。3が設定されている場合、[Current]は電流受給能力が無いことを示す0または8でなければならない。4以降は、将来拡張用の予約領域である。
【0029】
[Current]は0〜7が映像入力端子のDDC+5V pinが受給できる電流値を、8〜15が、映像出力端子のUtility端子が受給できる電流値を示している。[Port]が示す入力端子または出力端子とが異なる場合は[Error]を1に設定し、[Current]は[Port]が示す端子の供給電流を記載する。
【0030】
[Current]は、電力を受給する映像入力端子のDDC+5V pinがセット電源オン時に受給する電流が10mA以下の場合に0を、50mA以下が1、450mA以下が2と記載する。電力を供給する映像出力端子のDDC+5V pinに対しては、0は 電流供給できないことを、1は55mA以上、2は455mA以上の電流を供給することを示し、3〜7は将来拡張用の予約領域である。0〜2のいずれの設定においても、VESAが規定する500mAを越える電流を供給しないこととすることにより、従来機器との後方互換性を保つことができる。500mAを超える電流を供給する場合は、より安全性を考慮して、前記CECメッセージでの設定に加え、シンク機器のEDIDにも500mAを超える電流受給に関する情報を記載し、てダブルチェックとしてもよい。尚、受給電流上限値と供給電流の下限の差5mAは、ケーブルで消費されることを考慮した結果である。また、電流供給無しの場合、逆電流防止の為、-0.1mAと定義している。
【0031】
同様に、[Current]は、電力を受給する映像出力端子のUtility pinが受給する電流が無い場合に0.または9、450mA以下である場合に10と記載する。Utility pinとHPD端子双方からそれぞれ450mAずつ受給する場合は11と記載する。12〜15は将来拡張用の予約領域である。8〜11いずれの設定においても、540 mA を超える電流は供給しないものとすることにより、過電流防止による安全性が高まる。この上限電流はDDC+5V端子では500mAとしているが、ケーブルへの電流供給を5mAから40mAに供給拡大した分だけ上限値を大きくしている。同様に、電力供給を行う映像入力端子のUtility Pinは、8が電流供給できないことを、9はケーブルが消費する40mA以上を、10と11は490mA以上、供給することを示している。映像入力端子のHPD pinは、8と9、10が電流供給できないことを、11が490mA供給でき、Utility pinと合せて980mA以上供給できるものとする。
【0032】
以上のようにメッセージを定義し、電力受給機器は電力供給機器に対する要求メッセージである<CDC_Power_Request>で所定の電圧と電流を要求し、電力供給機器はその要求された電圧と電流を供給開始した上で、応答メッセージである<CDC_Power_Status>を返信する。この返信を受けた上で、電力受給機器は電力を使用し始める。電力受給が不要になった場合は、電流不要の引数付の電力要求メッセージ<CDC_Power_Request>を送信することによって、電力供給停止してよいことを電力供給機器へ伝え、電力供給機器は電力供給を停止した上で、供給電流無しを示す引数をつけた応答メッセージ<CDC_Power_Status>を返信する。
【0033】
また、電力供給機器が電力供給を中止または供給電流を変えたい場合は、<CDC_Power_Notice>メッセージを電力受給機器へ送信して予告する。この予告を受けた電力受給機器がそれを受諾できる場合はその予告と同じ引数で、受諾できない場合は必要な電圧と電流を示す引数を付けて、電力要求メッセージとして<CDC_Power_Request>を電力供給機器へ返信する。この返信メッセージを受けて、電力供給機器はそれに対応して、要求どおりの電力を供給するかどうかを判断する。受諾できない場合は、再度予告メッセージである<CDC_Power_Notice>を出す。再度、受諾できない電力供給を示す電力要求メッセージである<CDC_Power_Request>が所定時間(例えば2秒)の間隔で所定回数(例えば2回)繰り返された場合、電力供給を停止することにしてもよい。所定回数繰り返すことで、誤動作を最小限にすることができる。
【0034】
ケーブル31は、電力消費しない導線のみで構成されている場合もあるが、光ファイバや無線伝送など、電気信号を変換または周波数特性を補正するために電力を必要とする変換ケーブルやアクティブケーブルなどがある。上記の例では、ソース機器11のDDC+5V pinから最大5mAを、シンク機器21のUtility端子から5Vの電圧で最大40mAをメッセージ交換無しに使用できる仕組みとしている。しかし、シンク機器21が40mAといえども常に電流供給を続けると、セットの待機電力を増大させてしまう場合もある。このため、本実施例では、常時電源が必要なソース機器11が接続されているか、または常時電源が必要な接続機器が接続されているかどうかを映像受信機器が確認して電流を供給することによって、電力供給時間を最小限として、待機電力を減らすことを特徴としている。
【0035】
図2は、
図1のHPD検出部117とHPD出力部216の内部回路の一例を記した回路図である。
図1と同じブロックには同じ番号を付与している。308は
図1では記載を省略していたGND線であり、ケーブル31に含まれる。
【0036】
HPD検出部117は、HPD線307の電圧レベルを検出する電圧検出器122と、HPD線307とGND線308を接続する抵抗121を有する。抵抗121は例えば10kΩ程度であり、HPD線307が接続されていない場合に、電圧検出器122の入力電位を0Vに保つ特徴があり、プルダウン抵抗と呼ばれる。電圧検出器122は入力電位0Vを“L”と扱い、HPD線307を含むケーブルが未接続時と判断する。
【0037】
HPD出力部216において、従来機器においてはDDC+5V線306とHPD線を接続する抵抗器221のみで構成されている。抵抗221は例えば1.2kΩ程度が使用される。ケーブルが接続されると、DDC+5V供給部116から5VがDDC+5V線306に供給され、抵抗221を通じてHPD線307に伝えられる。このため、HPD線の電圧は、DDC+5V線306に印加された5Vと、GND線308の0Vを、抵抗221と抵抗121で分圧した電圧である4.46Vになる。この電圧を電圧検出器122が“H”と検出してケーブルが接続されたことを検知する。
【0038】
この従来機器においては、ソース機器11は、DDC+5V線306に5Vを供給してHPD線が“H”になったことを検出すればシンク機器21と接続されていることがわかる。しかし、シンク機器21は、DDC+5V線306にソース機器11から5Vが供給されないと接続されているかどうかを判別できなかった。本実施例では、それを判別する為に、電源回路219と、抵抗222、スイッチ223、電圧検出器224を追加して備えている。以下、シンク機器21がソース機器11とケーブルで接続されていることを判別する方法について説明する。
【0039】
スイッチ223は、通常時は開放されており、短絡していない。ソース機器11がシンク機器21DDC+5V線を通じて5Vを供給している場合、前記したように抵抗221を介してHPD線307をプルアップして“H”レベルとして接続されていることをソース機器11に伝える。しかし、シンク機器21がEDID書き換え中などEDIDの読出しができない期間においては、スイッチ23がHPD線307をGNDに短絡して“L”レベルをソース機器11に伝え、仮想的に未接続状態を作っている。
【0040】
シンク機器21がソース機器と接続されていることを判別する場合、スイッチ223はHPD線307と抵抗222を短絡する。抵抗222は抵抗121に比べて十分に高い抵抗値、例えば100kΩであり、電源回路219から供給される電圧、例えば3.3VでHPD線をプルアップする。HPD線307が未接続時には電圧検出器224の入力は3.3Vとなり、電圧検出器224は“H”を検出する。HPD線が接続されている時は、HPD線の電位は、3.3Vを抵抗222の100kΩと抵抗121の10kΩで分圧した電圧0.3Vとなるので、電圧検出器224は“L”を検出する。この時、DDC+5V線306がつながる電源回路219の入力は抵抗222に比べて十分に高いインピーダンスにしておけば、上記の分圧電圧への影響を小さくすることができる。
【0041】
このように、HPD線が接続時に電圧検出器224は“L”を、HPD線が未接続時に“H”を検出することによって、HPD線307を含むケーブルがソース機器11とシンク機器21を接続しているか、未接続であるかを判別できる。
【0042】
例えばHDMIにおいて、シンク機器21のHPD pinが2.0V〜5.3Vの範囲を“H”、0V〜0.8Vの範囲を“L”と定義している。一方、ソース機器11のHPD pinが2.4V〜5.3Vの範囲を“H”、0V〜0.4Vの範囲を“L”と定義している。シンク機器21からソース機器11との接続を判別する場合においても、この定義を満たすことが。後方互換性の観点から求められる。
【0043】
シンク機器21がHPD線を抵抗222によりプルアップする際に、抵抗121の抵抗値が抵抗222と同程度の場合、HPD線307の電圧は、プルアップ電圧の半分の電圧にまで達する。プルアップ電圧として5Vを用いると2.5V程度まで上昇して、前記のシンク機器21のHPD pinが “H” の下限である2.0Vを超えてしまい、仕様を満足しなくなってしまう。このため、プルアップ電圧は5V未満が望ましく、“H”の下限電圧である2.0Vの2倍以下のプルアップ電圧がさらに望ましい。前記の説明において、電源回路219から供給するプルアップ電圧を、HDMIのデータチャネルの終端電圧として用いられる3.3Vと共通と想定して説明した。終端電圧と共通化することで、セットが用意する電源電圧の種類を減らすことができる利点がある。
【0044】
図3は、本実施例における処理の一例を示すフローチャートである。以下、
図3を用いてその動作を説明する。
【0045】
シンク機器21がスタンバイ状態であるとする(601)。
【0046】
シンク機器21は電源回路219がDDC+5V線306のDDC+5Vの電圧を判別する(601)。+5Vを検出すると、抵抗221を通じてHPD線307を“H”とする(608)。0.4V以下の場合は603へ進み、ソース機器11との接続を確認する動作に入る。ここで、DDC+5V線306が0.4V〜4.5Vの範囲であった場合については、例えば2.5Vをスレシホールド(閾値)としてそれ以上を“H”,それ以下を“L”と扱ってもよい。スレシホールドとなる電圧は、シンク機器の設置環境に基づいて、適宜変えてもよい。
【0047】
ソース機器11との接続確認動作として、シンク機器21はスイッチ223が抵抗222を選択し、HPD線を抵抗222が3.3Vにプルアップする(603)。続いて電圧検出器224でHPD線307の電圧を判別する(604)。“L”であればHPD線307がソース機器11と接続されていると判断し、電力供給を開始する606へ進む。
【0048】
電圧検出器224の判別結果が“H”であれば、HPD線307がソース機器11と接続されていないと判断し、スイッチ223を非接続状態としてHPD pinのプルアップを終了する(615)。所定時間、例えば2秒間待機する(616)。その後DDC+5Vの電圧を判別する602に進む。
【0049】
このように、シンク機器21はソース機器11がケーブル接続されたことを検出するまで、所定の時間間隔で検出動作を繰り返す。繰返し周期は、各機器の使用状況に応じて変えてもよい。例えば、シンク機器の動作履歴から使用される確率が高い時間帯や、人感センサで人を検知した場合、照度センサで明るい環境にある場合などは、所定時間周期を短くすると使い勝手がよい。さらに、所定時間周期を例えば10秒と長くとる一方で、DDC+5V検出の602のステップは常時動作させてもよい。
【0050】
HPD線307がソース機器11と接続されていると判断された場合、スイッチ223を非接続状態としてHPD pinのプルアップを終了して、Utility pinへ待機電流として、例えば40mAを供給開始する(606)。供給電流を制限回路215で最大40mAまたは500mAを超えない値とするとよい。最大40mAであれば、電力供給部218の電流供給能力を小さくできるので電力損失を減らせる利点がある。
【0051】
DDC+5V pinへ5Vの電圧が印加されているかどうかを電源回路219が判別する(607)。所定時間、例えば10秒待って5V印加が検出できない場合はUtility pinへの待機電力供給を停止する(613)。その後、所定時間、例えば10秒待機する(614)。その後、DDC+5V電圧検出の602に戻る。
【0052】
607で5Vの電圧が検出されると、抵抗221を介してHPD pinを“H”にプルアップする(608)。続いてソース機器11のEDID読出し部113の求めに応じて、シンク機器21のEDID記憶部213がEDID情報を出力する(609)。
【0053】
その後、ソース機器11から電力要求のメッセージを待つ(610)。同メッセージを受信したら、Utility pinへ要求された所定電力を供給する(611)。続いて、ソース機器11の映像送信部112が出力する映像信号を、シンク機器21の映像受信部212が受信する(612)。
【0054】
610において、所定時間例えば10秒、電力要求メッセージを受信できない場合はUtility待機電力の供給を停止する(617)。続いて、シンク機器21のCEC通信部214がソース機器11のCEC通信部114へ、ソース機器11の存在を確認するCECメッセージ、例えば<Request Physical Address>や、ポーリングメッセージなどをソース機器へ送る(618)。CEC通信部214は応答メッセージを所定時間、例えば1秒待つ(619)。
【0055】
応答メッセージが受信できれば、待機電力供給不要と判断して待機電力供給停止状態を継続する(620)。 応答メッセージが無い場合は、ソース機器11とシンク機器21間のCEC通信メッセージ交換に待機電力が必要と判断して、待機電力供給を再開する(621)。
【0056】
尚、618において、ソース機器11とシンク機器21間のCECメッセージ交換が無い場合は、存在確認メッセージを送信できないので、待機電力供給不要と判断して待機電力供給停止状態を継続してよい。
【0057】
また、CECメッセージ交換だけでなく、HEC(HDMI Ethernet channel)の通信が確立されている場合は同通信動作もあわせて確認するとよい。
【0058】
図4は、本実施例における、メッセージの送受信や信号の送受信の一例を示す図である。最初、ソース機器11はDDC+5Vに5Vを出力せず(699)、ソース機器11とシンク機器21が未接続状態(622)から始めている。この状態で、シンク機器は前に述べた方法によって、ソース機器とケーブル接続されているかどうかを判定し、未接続と判別している(623)。
【0059】
次にケーブルでソース機器11とシンク機器21を接続する(624)。シンク機器はHPD線を3.3Vへ100kΩでプルアップする(625)。この時、HPD線が“H”にならないことを検出して、ソース機器11とシンク機器21がケーブル接続されていることを判別する(626)。判別したらHPD線のプルアップは中止し、Utility線へ5Vの所定の待機電流、たとえば最大40mAを供給開始する(627)。
【0060】
待機電力の供給を受けたソース機器11は、DDC+5V線へ5Vの供給を開始する(628)。シンク機器21は、DDC+5V線から受けた5Vを、抵抗を介してHPD線へ伝え、HPD線を“H”レベルにする(629)。HPD線が“H”になったことを検出したソース機器11は、シンク機器の映像受信に関する機器情報を記述したEDIDを読み出す(630)。
【0061】
EDID情報を読み出して自身の物理アドレスを設定または確認したソース機器11は、シンク機器へ電力供給を要求する要求メッセージである<CDC_Power_Rewuest>をシンク機器21へ送信する(631)。
図4において、631は、引数として電流値のみ表記して、他を省略記述している。同メッセージを受信したシンク機器21は、Utility線へ要求された電圧と電流を供給開始する(632)。電力供給を開始したことを、シンク機器21はソース機器11へ、応答メッセージである<CDC_Power_Status>を送信する(633)。
【0062】
ソース機器11は論理アドレスの空きを調べるメッセージである<Polling message>をブロードキャスト」して、ACK応答が無いことを確かめて論理アドレスを取得する(634)。続けて、シンク機器へ電源ONと映像表示を要求するメッセージである<Image View On>を送信(635)する、さらに映像信号送信開始を示すメッセージである<Active Source>を送信し(636)、映像信号をシンク機器21へ供給開始する(637)。
【0063】
ユーザがシンク機器の電源オフを操作する(636)と、シンク機器21は、待機状態移行を要求するメッセージである<Standby>をソース機器11へ送る(637)。同メッセージを受信したソース機器11は映像信号出力とDDC+5V出力を停止し(640)、シンク機器21へ電力供給が不要になったことを伝える引数例えば」[0]をつけたメッセージ<CDC_Power_Request>を送信する(641)。同メッセージを受信したシンク機器21は、Utility線への電流を減らして、待機電流として例えば40mAのみ供給とする(642)。合わせて、待機電流のみの電流供給としたことを知らせる引数をつけた応答メッセージである<CDC_Power_Status>を、ソース機器11へ送信して知らせる。
【0064】
この後、シンク機器21は、ソース機器と接続しているケーブルが待機電流を必要としているかを確かめる。このために、シンク機器21はUtility線への電流供給を停止(642)後、ソース機器11」へ<Polling message>を送る(645)。<Polling message>への応答がある場合は待機電流不要と判断する。所定時間、例えば2秒待っても応答が無い場合は、待機電流供給が必要と判断してUtility線への待機電流供給を復活させる(646)。
【0065】
以上で述べてきたように、シンク機器はソース機器と接続されていない間や、接続されていても待機電力供給なしてCECメッセージの送受信ができる場合のみ、電力供給を停止することができる。このようにして省電力化を実現できる。
【実施例2】
【0066】
実施例1では、シンク機器21はUtility線への電流供給を停止後、CECメッセージの応答有無を検知して待機電流要または不要を判断していた。本実施例ではそれに代えて、電流制限回路215が電流値を監視し、所定時間、例えば30秒程度電流が検出されない場合に待機電流不要と判断して待機電流を停止させる。
【0067】
実施例1では、待機電流を止めた際に、ソース機器11のCEC通信部が保持していた物理アドレスなどの制御パラメータが消去されてしまい、CEC通信が停止してしまう場合が考えられる。本実施例では電流使用が継続されている間は電流供給を継続するので、CEC通信が中断することなく継続できる。また、信頼性向上のために、電流制限回路215が電流無しと判断した場合にのみ、実施例1で述べたUtility線への電流供給を停止後、CECメッセージの応答有無を検知して待機電流は不要を再確認するようにしてもよい。
【0068】
ケーブル31のUtility線305が細い線で抵抗が高い場合、例えば5Ωの場合、ソース機器11の電源回路119が200mAの電流を使用すると、Utility線305の両端で1Vの電圧降下が生じる。また、ソース機器やシンク機器のコネクタ部の接触抵抗があると、さらに電圧降下が大きくなり、ケーブルやコネクタ部の発熱の課題が考えられる。ソース機器11の電圧検出部115が、ソース機器11が受給する電圧を検出して制御部118へ伝え、所定の電圧、例えば4V以下にならないように、制御部118が電源回路119を制御して、受給電流を抑制または遮断する。これより、ケーブルの定格を超えた過電流を防止できる。
【0069】
電圧検出部115が検出する前記所定の検出電圧は以下のように決定する。ソース機器が受信するCDCメッセージである<CDC Power Status>の引数が示す電圧Vtとする。電力供給部218の出力電圧設定許容範囲が5%であるとし、ケーブルでの電圧降下分を同様に5%許容し、電圧検出部115の検出精度を同様に5%とすると、前記所定の検出電圧はVtより15%低い0.85Vtとなる。電圧検出115の検出精度を5%としたので、最低検出電圧は20%低い0.8Vtであり、電力供給部218の最高電圧は1.05Vtであるので、Utility線305の両端電位差は0.25Vt(=1.05Vt−0.8Vt)となる。Utility線305の抵抗値をRとすると、電流は0.25Vt/R、電力損失は(0.25Vt)^2/Rで示される。
【0070】
電力供給電圧Vtが5V(±0.25V)、Utility線抵抗Rが10Ωである場合、前記所定の検出電圧は4.25V(±0.25V)、Utility線での最大電流は125mA、電力損失は156mWとなる。Utility線抵抗Rが1Ωである場合、最大電流は1.25A、電力損失は1.56Wとなる。
【0071】
上記設定における、供給電流の保証値について考察する。最高検出電圧は0.9Vtであり、電力供給部218の最低電圧は0.95Vtであるので、Utility線305の両端電位差は0.05Vt(=0.95Vt−0.9Vt)となる。電流は0.05Vt/R、電力損失は(0.05Vt)^2/Rで示される。
【0072】
電力供給電圧Vtが5V(±0.25V)、Utility線抵抗Rが10Ωである場合、前記所定の検出電圧は4.25V(±0.25V)、Utility線での供給電流保証値は25mA、損失は6mWとなる。Utility線抵抗Rが1Ωである場合、供給電流保証値は0.25A、損失は63mWとなる。
【0073】
このように、Utility線を流れる最大電流と、供給電流保証値が大きく異なる課題がある。この差を小さくするには、次の2つの改善策がある。第一の改善策は、電源回路部119が電流を消費しないタイミングで電圧検出部115が電圧を検出し、その電圧に対して約5%低い電圧を検出電圧とする方法である。このやり方では、電力供給部218の電圧設定ばらつきや、電圧検出部115の電圧検出ばらつきを補償することができるので、Utility線305両端の最大電位差は常に0.05Vtとなる。従って、最大電流値と供給電流保証値は0.05Vt/Rと等しく、損失は(0.05Vt)^2/Rになる。
【0074】
第2の改善策は、電圧検出部115に加えて電流検出部も設け、直接電流を測定する方法である。上記第1の方法と同様に、最大電流値と供給電流保証値を等しくすることができる。電流検出部だけでは、受給電圧が極端に低くなる場合もあるので、所定の受給電圧以下では電力を受給しないように、電圧検出部115も必要である。
【0075】
DDC+5V線306から電力を受給するシンク機器21が、DDC規格で決められている50mA以上の電流供給を受ける場合において、上記Utility線305からソース機器11が電力を受給する場合と同様に、電圧検出部を設けることによって、DDC+5V線306の抵抗値が高い場合のDDC+5V線306による電力損失の増大による発熱等の課題を回避できる。
【0076】
DDC+5V線306から供給される電力の電圧検出部として、
図2記載の電圧検出部224を活用してもよい。電圧検出部224が検出する電圧はHPD線307の電圧であり、DDC+5V線306に印加される電圧を抵抗221と抵抗121で分割した電位である。通常、抵抗221の抵抗値は抵抗121の抵抗の1/10程度であり、DDC+5V線の電圧の90%程度として換算することが出来る。また、電圧検出部224の入力部にスイッチを設け、HPD線307とDDC+5V線306を切換えられるようにしてもよい。
【0077】
以上で述べてきたように、シンク機器とソース機器が接続されていても電流使用が検出されない場合に電力供給を停止することができる。このようにして省電力化を実現できる。さらに、電力受給側で受給した電圧検出部をもうけることによって、ケーブルによる電圧降下や発熱といった課題を解決できる。
【実施例3】
【0078】
ソース機器11とシンク機器21を光ケーブル接続させた場合のブロック図を
図5に示す。
図1と異なる点は、ソース機器11とシンク機器21を接続するケーブルが電気線束31から、電気を光に変換して光ファイバ伝送を行う光変換ケーブル32に変更した点である。
【0079】
321は電気光変換部、322は光電気変換部、323はI
2Cバッファ、324はCECバッファ、326は電源回路である。これらの素子は、Utility線からの電力供給によって動作しているので、待機電力供給が止まると、CECメッセージの交換ができない。実施例1で示した手順によれば、待機電力有無におけるメッセージ交換機能の変化から、待機電力の要/不要を判別できる。このように、待機電力の要/不要検出することにより、必要最小限の待機電力を実現できるので、
シンク機器の低電力化が実現できる利点がある。
【0080】
光ケーブル32は、シンク機器21からUtility線335を介しての電力を受給するだけでなく、ソース機器11からDDC+5V線316を介しての電力受給を併用しても良い。ソース機器からの電力受給について以下に説明する。
【0081】
HDMI規格において、ソース機器11はDDC+5V線へ5V 55mA以上の電流供給が義務付けられる一方、シンク機器21は待機時(または電源オフ時)に最大50mA、電源ON時には最大10mAの電流消費が認められている。従って、光ケーブル32はシンク機器21が待機時には5mA、動作時(電源ON時)は45mAを消費してもよい。
【0082】
シンク機器21は、待機時には映像信号伝送が不要なので、電気光変換部321と光電気変換部322への電力供給は不要である。ソース機器11からDDC+5V線316へ電力供給されている間、I
2Cバッファ323とCECバッファ324を動作させて、EDIDの読出しとCEC通信メッセージ交換ができるようにしておく必要がある。これらのI
2Cバッファ323とCECバッファ324は各2mA程度以下で動作させることができ、前記のシンク機器21待機時に使用可能な5mA以内で実現できる。
【0083】
電気光変換部321は、動作時にはソース機器11の映像送信部112へ終端電源としてチャネル当り3,3V 10mA、クロックチャネルと3個のデータチャネル合計で3.3V 40mAに加えて、光レーザ駆動電流とその制御回路電力の3〜10mA、合計3.3V 43〜50mAを使用する。DDC+5Vから変換効率90%のスイッチングレギュレータを使うとすると、5V 32〜37mAになる。I
2Cバッファ323とCECバッファ324の動作電流各2mAと合計すると、5V 36〜41mAとなり、前記した、シンク機器21動作時に使用可能な45mA以内で実現できる。尚、光電気変換部322は、残りの4mAで動作させてもよいし、シンク機器212の映像受信部212から供給される終端電源を活用してもよい。
【0084】
尚、シンク機器21が待機状態か電源ON状態かは、映像受信部212が光電気変換部322へ終端電源3.3Vを出力しているかどうかで判断すればよい。すなわち、光電気変換部322に電圧検出部または電流検出部を設け、電圧または電流を検出したら電源ON状態と判断する。その後、ソース機器11の映像送信部112へ終端電源を供給する手順とする。また、映像受信部312からの終端電源供給が停止したら、待機状態と判断して、直ちに映像送信部112への終端電源供給を停止する必要がある。但し、シンク機器21からUtility線335で電力供給されている場合は。映像送信部112への電源供給をしばらく継続して、シンク機器からの終端電源供給が復活した場合の復帰動作を早めるようにしてもよい。
【0085】
このように、光ケーブル32は、シンク機器21からの電力供給でも、ソース機器11からの電力供給でも動作させることができ、どちらの電力を使うか、または併用するかを電源回路326が、DDC+5V線316の電圧検出と、Utility線335の電圧検出によって決めるとよい。例えば、ソース機器が携帯電話などの電池駆動型のモバイル機器である場合を想定し、シンク機器21からの電力を優先して受給するようにしてもよい。
【0086】
シンク機器21やソース機器11から電力を受給しない場合、光ケーブル32は他にACアダプタを用意し、常にAC電源と接続しておかねばならず、光ケーブルが接続されていない場合や映像信号を伝送していない場合であってもACアダプタの待機電力が無視できなくなる。本実施例によれば、光ケーブル32の待機電力を低減できる効果もある。