特許第5750553号(P5750553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750553
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】電子制御ブレーキブースター
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/74 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
   B60T13/74 D
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-545078(P2014-545078)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-502886(P2015-502886A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】CN2012085918
(87)【国際公開番号】WO2013083039
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2014年6月9日
(31)【優先権主張番号】201110397940.5
(32)【優先日】2011年12月5日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,チウシュヨン
【審査官】 中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−191133(JP,A)
【文献】 特開昭63−013855(JP,A)
【文献】 特開2004−168162(JP,A)
【文献】 特開2001−071888(JP,A)
【文献】 米国特許第04395883(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00−13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルによって駆動され、軸方向に沿って前に移動するプッシュロッドと、前記プッシュロッドによって前にプッシュされ、ブレーキペダルからのブレーキ力を出力するブレーキ力出力素子と、ブレーキ助力を出力する助力出力素子とを備え、車両ブレーキシステムに用いられる電子制御ブレーキブースターであって、
前記助力出力素子を駆動して前記ブレーキ助力を発生するモータと、
前記ブレーキ力出力素子との間には、電流を流れる助力スイッチが形成され、前記助力出力素子との間には、電流を流れる解除スイッチが形成されている、前記プッシュロッドによって軸方向に沿って前に弾性押圧される押さえブロックと、
前記助力スイッチ及び解除スイッチの開閉状態に基づいて、前記モータの運転を制御する電子制御ユニットとを、さらに備えることを特徴とする電子制御ブレーキブースター。
【請求項2】
前記助力出力素子は軸方向に延びる内部空間を備え、前記ブレーキ力出力素子は軸方向に対して移動可能に前記内部空間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電子制御ブレーキブースター。
【請求項3】
前記助力出力素子及び前記ブレーキ力出力素子は、それぞれの、軸方向に沿って前記押さえブロックに面した後端を備え、前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子のそれぞれの後端と前記押さえブロックとの間に、それぞれ、前記解除スイッチ及び助力スイッチが構成され、電子制御ブレーキブースターの非ブレーキ位置において、前記助力出力素子及び前記ブレーキ力出力素子のそれぞれの後端がいずれも前記押さえブロックと導電接触することを特徴とする請求項2に記載の電子制御ブレーキブースター。
【請求項4】
電子制御ブレーキブースターのブレーキ位置において、前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子のそれぞれの後端はいずれも前記押さえブロックと導電接触することを特徴とする請求項3に記載の電子制御ブレーキブースター。
【請求項5】
電子制御ブレーキブースターがその非ブレーキ位置とそのブレーキ位置との途中の位置にある場合に、前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子の後端の内の1つは前記押さえブロックとの接触から離れることを特徴とする請求項4に記載の電子制御ブレーキブースター。
【請求項6】
前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子のぞれぞれの後端には、前記押さえブロックに向かって突出している導電突起がそれぞれ設けられ、又は、前記押さえブロックには、前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子のそれぞれの後端に向かって突出している導電突起がそれぞれ設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の電子制御ブレーキブースター。
【請求項7】
前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子の両者の先端と車両ブレーキシステムのブレーキマスターシリンダーの主ピストンとの間に配置されるリアクションプレートをさらに備え、前記助力出力素子から出力されるブレーキ助力及びブレーキ力出力素子から出力されるブレーキ力が前記リアクションプレートを介して前記主ピストンに転達されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子制御ブレーキブースター。
【請求項8】
前記助力出力素子を軸方向に沿って後退させる復帰力を前記助力出力素子に付勢するリターンスプリングをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子制御ブレーキブースター。
【請求項9】
前記モータは減速装置を介して前記助力出力素子に接続されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子制御ブレーキブースター。
【請求項10】
前記モータは直流回転モータ又は直流リニアモータであることを特徴とする請求項9に記載の電子制御ブレーキブースター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ブレーキシステムに用いられる電子制御ブレーキブースターに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両は車両速度の低減及び/又は車両停止に用いられる油圧ブレーキシステムを含んでいる。人の力でブレーキペダルを制御するのは困難なことである。そのため、多くの車両は、油圧ブレーキ伝動装置を基に、ブレーキブースターが追加されている構造となる。ブレーキブースターは、一般的に、エンジン吸気マニホルドの真空をブレーキブースタソースとして利用して、油圧ブレーキ装置に力を付勢するものである。
【0003】
最も一般的に、ブレーキブースターはダイアフラム型真空ブースターであり、ブレーキペダルとブレーキマスターシリンダーとの間に取付けられるとともに、ハウジング中においてダイアフラムによって分けられた真空室及び作業室を含んでおり、真空室はエンジン吸気マニホルドに接続され、作業室はエアバルブを介して大気に接続され、真空室と作業室とが真空バルブを介して接続されている。非ブレーキ状態で、エアバルブが閉めてられて真空バルブが開けられていることにより、ダイアフラムを基本的な静止に保持するように、真空室と作業室との圧力がほぼ同一に保持されている。ブレーキ状態で、車両運転手によりブレーキペダル上に付勢された力に応答することにより、真空バルブが閉められて、エアバルブが開けられて、空気が作業室に吸入されている。そのため、作業室における圧力は、真空室における圧力よりも大きくなっている。真空室と作業室との間の圧力のアンバランスにより、ダイアフラム移動の原因となり、このように、ブレーキマスターシリンダーにおいて、ペダル力より複数倍大きいバキュームサーボが発生されている。こうして、ブレーキマスターシリンダーが同時にペダル力及びバキュームサーボを受け、そのため、ブレーキマスターシリンダーの出力圧力が向上でき、そして、ペダル力が軽減される。
【0004】
ここから見ると、このような真空ブースターは、エンジン吸気マニホルドに発生された真空度を利用してバキュームサーボを発生する。エンジンの停止後、吸気真空度がなくなってしまうため、十分なバキュームサーボ(真空助力)を生じることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術では、真空ブースターが完全にエンジン吸気マニホルドの真空度に依存して、主動にブースターの動作に対して制御することが困難であるなどのことである。
【0006】
このため、本発明の一つの側面によれば、車両ブレーキシステムに用いられる電子制御ブレーキブースターであって、該電子制御ブレーキブースターは、ブレーキペダルによって駆動され、軸方向に沿って前に移動するプッシュロッドと、前記プッシュロッドによって前にプッシュされ、ブレーキペダルからのブレーキ力を出力するブレーキ力出力素子と、ブレーキ助力を出力する助力出力素子と、前記助力出力素子を駆動して前記ブレーキ助力を発生するモータと、前記ブレーキ力出力素子との間には、電流を流れる助力スイッチが形成され、前記助力出力素子との間には、電流を流れる解除スイッチが形成されている、前記プッシュロッドによって軸方向に沿って前に弾性押圧される押さえブロックと、前記助力スイッチ及び解除スイッチの開閉状態に基づいて、前記モータの運転を制御する電子制御ユニットとを、備える。
【0007】
本発明の好ましい実施形態において、前記助力出力素子は軸方向に延びる内部空間を備え、前記ブレーキ力出力素子は軸方向に対して移動可能に前記内部空間に配置される。
【0008】
本発明の好ましい実施形態において、前記助力出力素子及び前記ブレーキ力出力素子は、それぞれの、軸方向に沿って前記押さえブロックに面した後端を備え、前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子のそれぞれの後端と前記押さえブロックとの間に、それぞれ、前記解除スイッチ及び助力スイッチが構成され、電子制御ブレーキブースターの非ブレーキ位置において、前記助力出力素子及び前記ブレーキ力出力素子のそれぞれの後端がいずれも前記押さえブロックと導電接触する。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、電子制御ブレーキブースターのブレーキ位置において、前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子のそれぞれの後端はいずれも前記押さえブロックと導電接触する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、電子制御ブレーキブースターがその非ブレーキ位置とそのブレーキ位置との途中の位置にある場合に、前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子の後端の内の1つは前記押さえブロックとの接触から離れる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子のぞれぞれの後端には、前記押さえブロックに向かって突出している導電突起がそれぞれ設けられ、又は、前記押さえブロックには、前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子のそれぞれの後端に向かって突出している導電突起がそれぞれ設けられる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、前記助力出力素子及びブレーキ力出力素子の両者の先端と車両ブレーキシステムのブレーキマスターシリンダーの主ピストンとの間に配置されるリアクションプレートをさらに備え、前記助力出力素子から出力されるブレーキ助力及びブレーキ力出力素子から出力されるブレーキ力が前記リアクションプレートを介して前記主ピストンに転達される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、前記助力出力素子を軸方向に沿って後退させる復帰力を前記助力出力素子に付勢するリターンスプリングをさらに備える。
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、前記モータは減速装置を介して前記助力出力素子に接続される。前記モータは直流回転モータ又は直流リニアモータであってよい。
【0015】
本発明によれば、エンジン吸気マニホルド真空度ではなく、モータをブレーキブースタソースとし、これは車両ブレーキシステムのブレーキ助力方案に有利な選択を提供している。
【0016】
また、本発明によれば、ブレーキブースター自体の構造を利用して、助力スイッチ及び解除スイッチを構成して、両者の組合せの役割については、伝統的な真空ブースターにおけるエアバルブ及び真空バルブに相当する。モータ、助力スイッチ及び解除スイッチがいずれも電子制御ユニットに接続され、電子制御ユニットは助力スイッチ及び解除スイッチからの電気信号に基づいて、運転手のブレーキ動作意図を判断して、これにより、モータの運転を正確に制御し、さらには、主動的にブレーキブースターの動作に対してリアルタイム制御を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る好ましい実施形態の車両電子制御ブレーキブースターの断面図である。
図2】本発明のブレーキブースターにおける採用されるバルブボデー及びプランジャの拡大概略図である。
図3】本発明のブレーキブースターにおける採用されるバルブボデー及びプランジャの拡大概略図である。
図4】本発明のブレーキブースターにおける採用される助力スイッチ及び解除スイッチの概略図である。
図5】本発明に係る車両電子制御ブレーキブースターのブレーキ操作時の助力スイッチ及び解除スイッチの動作概略図である。
図6】本発明に係る車両電子制御ブレーキブースターのブレーキ操作時の助力スイッチ及び解除スイッチの動作概略図である。
図7】本発明に係る車両電子制御ブレーキブースターのブレーキ操作時の助力スイッチ及び解除スイッチの動作概略図である。
図8】本発明に係る車両電子制御ブレーキブースターのブレーキ解除操作時の助力スイッチ及び解除スイッチの動作概略図である。
図9】本発明に係る車両電子制御ブレーキブースターのブレーキ解除操作時の助力スイッチ及び解除スイッチの動作概略図である。
図10】本発明に係る車両電子制御ブレーキブースターのブレーキ解除操作時の助力スイッチ及び解除スイッチの動作概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明に係る好ましい実施形態の、車両ブレーキシステムに用いられる電子制御ブレーキブースターは、任意の適当な材料から作製可能なハウジング1を含んで、該ハウジング1は、例えば、伝統的な真空ブースターのように金属板材プレス加工により作製される。
【0020】
ハウジング1は、適当な固定装置、例えば図1に示すようなタイロッド2を介して車体に取付けられることができる。もちろん、他の適当な締結装置や構成を利用してハウジング1を車体に固定してもよい。
【0021】
ハウジング1には、金属や高強度プラスチック材料から作製されるスタンド4が固定され取付けられる。スタンド4は、3つの部分、即ち、中間スタンド部分4a、中間スタンド部分のほぼ中央から軸方向に沿って近側に向かって延びる近側スタンド部分4b、中間スタンド部分のほぼ中央から軸方向に沿って遠側に向かって延びる遠側スタンド部分4cを含む。この3つの部分は一体的に形成されてよい、又は別々に形成されてから組み立てされてもよい。
【0022】
近側スタンド部分4b及び遠側スタンド部分4cは同軸上に配置される円筒形が好ましい。そして、4b及び4cの内腔には、バルブボデー6回転防止の構成、例えばガイドピン、ガイド溝などが設けられる。
【0023】
本発明において、「近側」或いは「後側」とはブレーキペダルに近い一側を指し、「遠側」或いは「前側」とはブレーキペダルから離れ、即ちブレーキマスターシリンダーに近い一側を指す。
【0024】
近側スタンド部分4b及び遠側スタンド部分4cにおいて、軸方向に移動できるようにバルブボデー(助力出力素子)6が配置され、該バルブボデー6の詳細構成はより明確に図2に示されている。
【0025】
バルブボデー6は、一般的に、軸方向に沿って3つの部分、即ち中間駆動部分6a、軸方向に沿って中間駆動部分の近端から近側に向かって伸び出す近側筒形部分6b、軸方向に沿って中間駆動部分の遠端から遠側に向かって伸び出す遠側筒形部分6cを含む。この3つの部分において、各自の収納空間6−1、6−2、6−3が形成され、これらの収納空間同士が軸方向に沿って貫通接続される。また、この3つの部分は一体的に形成されてよい、又は別々に形成されてから組み立てされてもよい。
【0026】
中間駆動部分6aの収納空間6−1はほぼ一定の内径を備える。
【0027】
近側筒形部分6bの収納空間6−2は、遠側から近側に向かって直径の逐次増大の小径部分6−2a、中間部分6−2b、大径部分6−2cを含む。中間部分6−2bと大径部分6−2cとの間に、近側に向かう段階6−2dが形成される。
【0028】
遠側筒形部分6cの収納空間6−3は近側の小径部分6−3a及び遠側の大径部分6−3bを含む。小径部分6−3aと遠側の大径部分6−3bとの間に遠側方向に向かう段階6−3cが形成される。小径部分6−3aは遠側に向かう端面6−3d及び端面6−3dから朝遠側に向かって延びる周壁により限定される。大径部分6−3bは段階6−3cの位置する平面及び該平面から遠側に向かって延びる周壁により限定される。
【0029】
近側筒形部分6bは近側スタンド部分4bに配置されるとともに、軸方向に沿って近側スタンド部分4bにおいてスライド可能である。遠側筒形部分6cは遠側スタンド部分4cに配置されるとともに、軸方向に沿って遠側スタンド部分4cにおいてスライド可能である。このように、バルブボデー6全体はスタンド4において軸方向に沿って移動できる。
【0030】
また、バルブボデー6はその中心軸線まわりにスタンド4において回転できない。このため、近側筒形部分6bと近側スタンド部分4bとの間に、及び/又は遠側筒形部分6cと遠側スタンド部分4cとの間に、ガイド素子(未示出)、例えば鍵、ガイドピンなどが配置される可能である。
【0031】
中間駆動部分6aは駆動バルブボデー6の軸方向に移動する部分である。図1に示す例において、中間駆動部分6aは、ボールスクリューの形式、即ち中間駆動部分6aに外面にボールねじ山が形成されることである。大歯車8は中間駆動部分6aに装着されるとともに、径方向内側の軸スリーブ部分8a及び径方向外側の外歯車部分8bを備える。大歯車8の中心軸線は中間駆動部分6aの中心軸線と重なる。
【0032】
大歯車8は、大歯車8がその中心軸線まわりに回転できるように、軸方向両側の軸受10(例えばスラスト軸受)を介して中間スタンド部分4aに取付けられ、しかし、軸方向に沿って移動できない。
【0033】
軸スリーブ部分8aの内周には、中間駆動部分6aのボールねじ山に合わせるボール11が実装される。こうして、大歯車8が回転されると、中間駆動部分6aを駆動して軸方向に移動できるため、スタンド4に対するバルブボデー6の軸方向における移動を実現する。
【0034】
大歯車8に回転動力を提供するのは回転モータ12であり、それはハウジング1に取付けられるとともに、その出力軸が小歯車14に接続されている。該小歯車14は中間スタンド部分4aに取付けられるとともに、大歯車8の外歯車部分8bと噛み合う。
【0035】
モータ12は車両中の通常利用のブラシレス直流モータであってよい。車のバッテリーによりモータ12に給電できる。モータ12は電子制御ユニット(未示出)に接続されるとともに該電子制御ユニットに制御される。
【0036】
小歯車14と大歯車8との間及び大歯車8と中間駆動部分6aとの間の速度伝達比は、モータ12起動時に中間駆動部分6aが適当な軸方向での移動の速度を得るように選択されている。図1に示す小歯車14と大歯車8とが直接に噛み合う場合に十分的に大きい速度伝達比が得られないと、小歯車14と大歯車8との間に他の伝動歯車が追加されることができる。
【0037】
図1に表示される駆動中間駆動部分6aの軸方向に移動する方式がただ例示されることは理解できる。当業者は、本発明に開示された原理に基づいて、各種のほかの適当なモータによる駆動される中間駆動部分6aの軸方向に移動する方式を発想することにある。例えば、大歯車8と中間駆動部分6aとの間の駆動構成は、ウォーム歯車型、ラック歯車型などのように変換されてもよい。
【0038】
また、図に示す回転モータ12はリニアモータに変換されてもよい、レベレッジ伝動装置運動学により中間駆動部分6aに接続され、軸方向に移動するように中間駆動部分6aを駆動する。
【0039】
また、モータ12がバルブボデー6の任意の部分を駆動でき、中間駆動部分6aのみを駆動することに限定されていないことは理解できる。例えば、モータ12により、軸方向に移動するように近側筒形部分6b或いは遠側筒形部分6cを駆動する方式でもよい。
【0040】
そのため、任意使用態様の、スタンド4に対するバルブボデー6の軸方向に移動する方式も本発明の保護範囲内に属するべきである。
【0041】
バルブボデー6には、プランジャ(ブレーキ力出力素子)16が実装される。該プランジャ16の詳細構成はより明確に図3に示されている。
【0042】
プランジャ16は、軸方向に延びるシャフト部分16a及びシャフト部分の近端から近側に向かって延びる拡大部分16bを含む。拡大部分16bの近端には、径方向に外に突出している突縁部分16eが形成される。該突縁部分16eはプランジャ16の近側に向かう端面16fを限定している。
【0043】
シャフト部分16aは中間駆動部分6aの軸方向の収納空間6−1に挿入される。中間駆動部分6aには、径方向の位置決め用穴20が形成され、シャフト部分16aには、対応する径方向の通り穴22が形成される。位置決め用ピン18は通り穴22から通って位置決め用穴20に固定される。通り穴22の軸方向における寸法が位置決め用穴20よりもわずかに大きいことにより、シャフト部分16aは、中間駆動部分6aに対して、軸方向に沿って軸方向における短い距離だけ移動でき、該距離は、一般的に、通り穴22と位置決め用穴20との間の軸方向の寸法差の値と同じである。
【0044】
位置決め用ピン18の配置及び上述軸方向寸法差によれば、プランジャ16が軸方向に沿って移動して軸方向における短い距離だけ経てからバルブボデー6と一緒に軸方向に同期移動することを確保できる。
【0045】
拡大部分16bに収納空間16−1が形成されており、該収納空間16−1は近側に向かう端壁16c及び端壁から近側に向かって延びる周壁16dにより限定される。
【0046】
収納空間16−1内には、ブレーキペダル(未示出)に駆動されるプッシュロッド24の一部が収容されている。プッシュロッド24は軸方向に沿って延び、その中心軸線がプランジャ16の中心軸線と同一線にある。プッシュロッド24は、中間ロッド部、直径増加の近端24a及びボール形の遠端24bを含む。近端24aは遠側方向に向かう段階24cを限定している。
【0047】
プッシュロッド24の近端24aは、プッシュロッド24が軸方向に沿って遠側に向かって移動するように、ブレーキペダルにより駆動される。プッシュロッド24のボール形の遠端24bは、拡大部分16bの収納空間16−1に収納され、遠側に向かう方向に沿って収納空間16−1を限定する端壁16cに押し当てられる。
【0048】
シャフト部分16aの遠端は遠側筒形部分6cにおける端面6−3dに延びっている。遠側筒形部分6cの収納空間6−3には、リアクションプレート28が実装され、小径部分6−3aには、プランジャ板26が実装され、該プランジャ板26は、軸方向において、リアクションプレート28の近側表面の内側部分とシャフト部分16aの遠端との間に挟まれている。リアクションプレート28の近側表面の外周部分は、段階6−3cにより遠側に向かう方向に沿って押し当てられる。
リアクションプレート28の遠側表面は、遠側に向かう方向に沿って駆動杆30に押し当てられ、該駆動杆30の軸方向の遠端は、車両ブレーキシステムのブレーキマスターシリンダーの主ピストン32に接続されている。
【0049】
リアクションプレート28が弾性であって、例えば弾性ゴムから作製されることが好ましい。
ブレーキブースターはリターンスプリング34をさらに含み、該リターンスプリング34の近端が近側に向かう方向に沿って遠側筒形部分6cの遠側端面に押し当てられ、該リターンスプリング34の遠端がハウジング1内に固定される。図1に示すブレーキブースターの非ブレーキ位置の場合に、リターンスプリング34は、遠側筒形部分6cの近側端面がスタンド4におけるバックストップ部分4dに当接するように、近側に向かう方向に沿って遠側筒形部分6cを押圧することにより、バルブボデー6の原位置(図1の最右側位置)を限定している。このとき、プランジャ16も、主ピストン32により、駆動杆30、リアクションプレート28及びプランジャ板26を介して近側に向かう方向に押圧されて原位置に位置している。
【0050】
リターンスプリング34によりバルブボデー6を復帰する傾向にするとともに原位置に保持される方式の切替又は追加として、遠側筒形部分6cの段階6−3cに対するリアクションプレート28の外周部分の軸方向における押圧作用によりバルブボデー6を復帰する傾向にするとともに原位置に保持される方式を利用できることは理解できる。
【0051】
バルブボデー6の近側筒形部分6bには、押さえブロック36が実装され、該押さえブロック36が略円盤状であり且つ中央通り穴を備え、該中央通り穴がプッシュロッド24の中間ロッド部によって挿通されている。図1に示すブレーキブースターの非ブレーキ位置の場合に、プランジャ16の近側端面16fとバルブボデー6の近側筒形部分6bにおける段階6−2dとは略同一の軸方向位置にあるが、押さえブロック36はそれとプッシュロッド24との間の押圧装置に配置されて、遠側に向かう方向に沿ってプランジャ16の近側端面16f及びバルブボデー6の段階6−2dの両方の上に押し当てられている。
【0052】
図1に示す例において、押さえブロック36とプッシュロッド24との間に配置される押圧装置は、内挿筒状件38、ケーシングパイプ44、第一圧縮ばね46及び第二圧縮ばね48を含む。内挿筒状件38は、近側筒形部分6bにスライド可能に取付けられ、該内挿筒状件38が軸方向に沿って押さえブロック36の近側に位置するとともに、遠端内反部分38a及び近端外反部分38bを備え、該近端外反部分38bが近側筒形部分6bの近端に押し当てられると、内挿筒状件38が遠側に向かう方向に沿って近側筒形部分6bに対してさらに移動することを停止することができる。
【0053】
ケーシングパイプ44は、プッシュロッド24の中間ロッド部に取付けられ且つプッシュロッド24における段階24cに押し当てられ、ケーシングパイプ44の近端には、外反突縁のみが配置されている。第一圧縮ばね46は押さえブロック36と内挿筒状件38の遠端面との間に圧縮されている。第二圧縮ばね48は、内挿筒状件38の遠端内反部分38aとケーシングパイプ44の近端外反突縁との間に圧縮されている。
【0054】
第二圧縮ばね48の推力は第一圧縮ばね46の推力より大きい。こうして、この2つのばねを含む押圧装置と前記位置決め用ピン18とにより、バルブボデー6とプランジャ16との間の相対的な位置関係を安定することができる。
【0055】
ブレーキブースターは、シールシース(未示出)、例えばゴムシースを含んでよい、それがブレーキブースターの各機能素子を保護している。
【0056】
本発明の重要な面によれば、バルブボデー6及びプランジャ16の両者と押さえブロック36との間には、それぞれ電流路L1及びL2が形成されており、図4を参照して、電子制御ユニットはこの2つの電流路の開閉(オン/オフ)状况に基づいて運転手のブレーキ意図を判断する。このため、押さえブロック36は導電材料、例えば金属から作製されており、バルブボデー6、プランジャ16は、少なくとも、それらと押さえブロック36との接続により電流路が構成された箇所において導電材料、例えば金属から作製されるようにする。
【0057】
前記のように、図1に示すブレーキブースターの非ブレーキ位置の場合に、プランジャ16の近側端面16f及びバルブボデー6の近側筒形部分6bにおける段階6−2dはいずれも押さえブロック36と接触されている。こうして、図4に示すように、押さえブロック36は前記押圧装置(Pで概略的に描いてマークする)により遠側に向かう方向に沿って押圧され、バルブボデー6と押さえブロック36との間の電流路L1と、プランジャ16と押さえブロック36との間の電流路L2とはいずれもオン状態にある。
【0058】
バルブボデー6及びプランジャ16と押さえブロック36との間の接触にされに信頼性があるようにするために、バルブボデー6の近側筒形部分6bにおける段階6−2dには、押さえブロック36に向かって突出している突起6A(図2など参照)が形成され、プランジャ16の近側端面16fには、押さえブロック36に向かって突出している突起16A(図3など参照)が形成されている。突起6A、16Aは連続的なリング状であってもよい、又は離散した点や円弧セグメントにより構成されてもよい。
【0059】
その代わりに、押さえブロック36の遠側表面に、バルブボデー6及びプランジャ16にそれぞれ向かって突出している突起が形成されてもよい、それによって、同様にバルブボデー6及びプランジャ16と押さえブロック36との間の接触の信頼性が向上できる。
【0060】
図4に示すように、電流路L1は矢印に示す方向に沿ってバルブボデー6から突起6Aを介して押さえブロック36の外周に達し、電流路L2は矢印に示す方向に沿ってプランジャ16から突起16Aを介して押さえブロック36の内周に達する。押さえブロック36の内周と外周との間には、絶縁材料により分離されてよい。
【0061】
そのため、バルブボデー6と押さえブロック36との間には1つの回路スイッチ(本発明において解除スイッチS1と称する)が形成され、プランジャ16と押さえブロック36との間にはもう1つの回路スイッチ(本発明において助力スイッチS2と称する)が形成される。電子制御ユニットは、電流路L1、L2に電流が流れたか否かを検出することにより、電流路L1、L2の開閉状態、即ち2つの回路スイッチの開閉状態を判断できる。したがって、電子制御ユニットにより、運転手のブレーキ意図が判断されている。
【0062】
図5−7において、本発明に係るブレーキブースターのブレーキ操作時の助力スイッチ及び解除スイッチの動作及び開閉状態を表示し、図8−10において、本発明に係るブレーキブースターのブレーキ解除操作(ブレーキ解除)時の助力スイッチ及び解除スイッチの動作及び開閉状態を表示する。
【0063】
以下、図1及び図5−7を参照しながら本発明に係るブレーキブースターのブレーキ操作を説明する。
【0064】
図1では、ブレーキブースターが非ブレーキ位置にあり、即ち、運転手がブレーキペダルを踏み込んでいない。このとき、図5に示すように、バルブボデー6及びプランジャ16はいずれも押さえブロック36と接触され、電流路L1、L2における解除スイッチS1及び助力スイッチS2はいずれもオン状態にある。電子制御ユニットは、電流路L1、L2を流れた電流に基づいて、この2つのスイッチ状態を確定している。
【0065】
次に、運転手はブレーキペダルを踏み込んで車両ブレーキを実行する。ブレーキペダルの踏み込みにより、プッシュロッド24が第二圧縮ばね48の推力を抵抗して遠側に向かって軸方向に沿って移動している。プッシュロッド24の遠端24bによりプランジャ16がプッシュされて遠側に向かって移動して、プランジャ16の遠端がプランジャ板26を介して遠側方向に向かってリアクションプレート28の内側部分を押圧し、これによって、リアクションプレート28の内側部分が駆動杆30を介して遠側に向かってブレーキマスターシリンダーの主ピストン32をプッシュする。このように、運転手の人工的なブレーキ力が主ピストン32に転達されている。
【0066】
プランジャ16が遠側に向かって移動する初期段階において、バルブボデー6は、リターンスプリング34からの近側に向かう押圧作用を受けて軸方向に沿って動かないように保持する。図6に示すように、この段階において、即ちブレーキブースターがその非ブレーキ位置からそのブレーキ位置へ移行するプロセス途中の位置にある時に、バルブボデー6が押さえブロック36との接触を保持し、解除スイッチS1がオンを保持するため、電流路L1を流れている電流が存在する。一方、プランジャ16が矢印R1に示す方向に沿って遠側に向かって移動するため、押さえブロック36との接触から離れている。こうして、助力スイッチS2がオフするため、電流路L2を流れている電流がなくなってしまう。電子制御ユニットにより、このようなスイッチ状態変化、即ち解除スイッチS1及び助力スイッチS2がいずれもオンする状態から、解除スイッチS1がオンして助力スイッチS2がオフする状態に変更する変化が検出されることで、運転手がブレーキ動作を実行していると判断される。
【0067】
次に、電子制御ユニットにより、モータ12が正転運転のように起動され、モータ12の正転運転出力が小歯車14、大歯車8を介してバルブボデー6のスクリュー形式の中間駆動部分6aに転達され、これによって、バルブボデー6がリターンスプリング34の推力を抵抗して遠側に向かって移動する。バルブボデー6の遠側筒形部分6cにおける段階6−3cが遠側に向かう方向に向かってリアクションプレート28の外周部分を押圧し、これによって、リアクションプレート28の外周部分が駆動杆30を介して遠側に向かってブレーキマスターシリンダーの主ピストン32をプッシュする。このように、モータ12が提供するブレーキ助力が主ピストン32に転達されている。
運転手による人工的なブレーキ力及びモータにより提供されるブレーキ助力により、主ピストン32がブレーキマスターシリンダー中のブレーキ液を各車輪のブレーキ装置に輸送するため、車両のブレーキを実現できる。このとき、ブレーキブースターはブレーキ位置にある。
【0068】
バルブボデー6が遠側に向かって移動していると、押さえブロック36とプッシュロッド24との間の押圧装置により、押さえブロック36がバルブボデー6に伴って一緒に矢印R1に示す方向に沿って遠側に向かって移動し、図7に示すように、最終的に、押さえブロック36はバルブボデー6及びプランジャ16のいずれにも再接触されている。こうして、解除スイッチS1及び助力スイッチS2は図7に示す状態に達し、即ち両者はいずれもオンされている。電子制御ユニットは、ブレーキ動作が進行中であると判断し、そして、モータ12が正転運転のように保持され、又はモータ12が一定の時間に正転運転した後で運転を停止し、ブレーキ動作の終了を待っている。
【0069】
次に、図1及び図8−10を参照しながら本発明に係るブレーキブースターのブレーキ解除操作を説明する。
【0070】
ブレーキ動作が継続している継続状態において、図8に示すように、解除スイッチS1及び助力スイッチS2はいずれもオン状態にある。
【0071】
運転手がブレーキ動作を終了しようとする時に、ブレーキペダルを離す。主ピストン32に受けられたブレーキマスターシリンダーにおける油圧力が駆動杆30、リアクションプレート28の内側部分及びプランジャ板26を介して近側に向かう方向に沿ってプランジャ16に付勢されて、プランジャ16が近側に向かう方向に沿って移動して図1に示す原位置に戻る。同時に、押さえブロック36はそれとプッシュロッド24との間に配置された押圧装置により、近側に向かう方向に沿って移動して図1に示す原位置に戻る。ブレーキ解除操作の初期段階において、即ちブレーキブースターがそのブレーキ位置からその非ブレーキ位置へ移行する帰路途中の位置にある時に、図9に示すように、プランジャ16及び押さえブロック36はいずれも図中の矢印R2に示す方向に沿って近側に向かって移動する。第一圧縮ばね46により、プランジャ16と押さえブロック36とがまだ接触するように保持されるが、このとき、バルブボデー6が軸方向に沿って動かないように保持されるため、バルブボデー6が押さえブロック36との接触から離れている。こうして、解除スイッチS1がオフする。電子制御ユニットは、このようなスイッチ状態変化、即ち解除スイッチS1及び助力スイッチS2がいずれもオンする状態から、助力スイッチS2がオンして解除スイッチS1がオフする状態に変更する変化を検出し、これにより、運転手がブレーキ動作を解除していると判断する。
【0072】
次に、電子制御ユニットにより、モータ12が逆転運転のように起動され、モータ12の逆転運転出力が小歯車14、大歯車8を介してバルブボデー6のスクリュー形式の中間駆動部分6aに転達され、これによって、バルブボデー6が近側に向かって移動する。リターンスプリング34及びリアクションプレート28の外周部分の推力により、バルブボデー6が近側に向かって移動する。図10に示すように、バルブボデー6が矢印R2に示す方向に沿って近側に向かって移動することにより、最終的に、バルブボデー6が押さえブロック36と再接触するため、スイッチ状態は、再び、解除スイッチS1及び助力スイッチS2がいずれもオンする状態になっている。電子制御ユニットにより、ブレーキ解除動作が完了したことが判断され、そしてモータ12の逆転運転が停止されている。
【0073】
なお、リターンスプリング34の推力が十分に大きい、且つ同時に大歯車8の軸スリーブ部分8aのボールと中間駆動部分6aのボールねじ山との間に閉鎖(即ちバルブボデー6を軸方向に移動させて大歯車8の回転を駆動すること)が存在しないと、モータ12の逆転運転が必要なしに、リターンスプリング34の推力だけでも、バルブボデー6を近側に向かう方向に沿って原位置に復帰させることができる。
【0074】
ブレーキ操作であっても、ブレーキ解除操作であっても、プランジャ16は軸方向に沿ってバルブボデー6に対して先に僅かな距離を移動する。前記の位置決め用ピン18及び通り穴22と位置決め用穴20との前記の軸方向の寸法差により、プランジャ16のこのような率先的な動作は可能になる。
【0075】
本発明によれば、従来技術でのエンジン吸気マニホルドの真空をブレーキブースタソースとすることに代わって、モータ12をブレーキブースタソースとする技術案が得られる。そのため、本発明のブレーキブースターは、エンジンが停止した後でも、ブレーキブースターが依然としてモータから提供されるブレーキ助力を利用できる可能性を提供し、これは車両運転の快適性及び安全性の向上に有利になる。
【0076】
なお、エンジンが停止した後で、本発明の電子制御ブレーキブースターを利用して車両ブレーキに協力する必要があるか否かについては、車両電源管理によって決定される。いずれにしても、本願により、エンジンが停止した後でのブレーキ助力の実現の可能性が提供されている。
【0077】
また、本発明によれば、ブレーキブースター自体の構造、即ちバルブボデー6及びプランジャ16と押さえブロック36とを利用して、解除スイッチS1及び助力スイッチS2を構成し、両者のスイッチ状態の組合せの作用は、基本的に伝統的な真空ブースターにおけるエアバルブ及び真空バルブに対応する。モータ12、解除スイッチS1及び助力スイッチS2がいずれも電子制御ユニットに接続され、電子制御ユニットは助力スイッチ及び解除スイッチからの電気信号に基づいて、運転手のブレーキ動作意図を判断し、これにより、主動的にモータの運転時間、運転方向、運転速度などを正確に制御し、さらには、ブレーキブースターの動作に対してリアルタイム制御を正確に行うことができる。また、本発明では、ストロークセンサーやモータ回転センサーが必要ではない。そのため、本発明のブレーキブースターは電子制御ブレーキブースターと言ってもよい。
【0078】
ここで、具体的な実施形態を参照しながら本発明を説明したが、これに限らず。発明の要旨を逸脱しない範囲で、これに対して様々な変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10