(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750576
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
A63F7/02 326C
A63F7/02 312A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-260898(P2010-260898)
(22)【出願日】2010年11月24日
(65)【公開番号】特開2012-110464(P2012-110464A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2013年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148287
【氏名又は名称】株式会社浅間製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(74)【代理人】
【識別番号】100161403
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 義雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 富士夫
(72)【発明者】
【氏名】工藤 允
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 進
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 光次
【審査官】
大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−152339(JP,A)
【文献】
特開2002−065968(JP,A)
【文献】
特開2005−323929(JP,A)
【文献】
特開2001−327717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射レールを介して弾球器により球を発射する球発射装置と、発射レールから受け入れた球を遊技盤の遊技領域に案内する外レールとを備えた弾球遊技機において、
一端にヒンジ部を有した取付ベースを、遊技機枠の一側に水平回動自在に設けるとともに、この取付ベースの前面に発射レールを有する球発射装置と、発射レールに続く外レールとを、ファール球を回収するためのファール球回収口を挟んで配設したうえに、取付ベースの裏側には遊技機枠の他側に向けて開口した差し込み凹部を設けて、この差し込み凹部に遊技領域が形成された遊技盤を挿着したことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記外レールを、長手方向を徐々に曲率半径の小さくなる円弧形状に曲成したことを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤を着脱式で交換可能な弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機即ち弾球遊技機として、特許文献1に示すような円形状の遊技領域が設けられた遊技盤を着脱式で交換可能としたものが知られている。この方式のものにおいて、遊技盤は外枠に開閉自在に取り付けられた遊技機枠に対して裏側から着脱式で交換される。しかしながら、遊技機枠の裏側には、貯留タンク、球整列レール、球払出装置などを備えた機構盤が配設されており、遊技盤の着脱に際してはこれを取り外す必要があるため、作業に手間取っていた。特に、ホールにおける作業においては、貯留タンクに球が入っているためにこれを抜く必要があるうえに、遊技機枠の開放角度が小さいために裏側から作業がしづらく、そのため作業性がたいへん悪いという問題があった。
【0003】
以上のような問題点を解決するものとして、特許文献2には遊技機の遊技機枠の一側に保持部を回動自在に設け、この保持部に前面側から差し込み式で遊技盤を装着するようにしたものが開示されている。しかしながら、このものにおいては、発射装置側の発射レール(一次レール)と遊技盤側の外レール(二次レール)とが別個の基板に装着されているために、組み立て後にレール同士の中心位置がずれやすく、弾球が外レールに衝突したり、弾球軌道がぶれて安定しないという問題がある。
【0004】
特許文献3には、発射レールと外レールとをレールベースに一体に設けたものが開示されている。このものは、レール同士の中心位置合わせが不要となって、発射球が外レールに衝突したり、弾球軌道が不安定になるという問題は解消できる。しかしながら、レールベースは遊技盤に着脱自在に設けられているので、条件の悪いパチンコホールでは遊技盤を交換する時に、レールベースを古い遊技盤から取り外して新しい遊技盤に取り付ける事は、工数・品質管理の面から実際には非常に困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−181079号公報 (
図3)
【特許文献2】特開2001−327717号公報 (
図3)
【特許文献3】特開2002−65968号公報 (
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、遊技盤交換後においても発射レールと外レールとの中心位置がずれることがなく、且つ遊技盤交換の作業性が良好な弾球遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明に係る弾球遊技機は、発射レールを介して弾球器により球を発射する球発射装置と、発射レールから受け入れた球を遊技盤の遊技領域に案内する外レールとを備えた弾球遊技機において、
一端にヒンジ部を有した取付ベースを、遊技機枠の一側に水平回動自在に設けるとともに、この取付ベースの前面に発射レールを有する球発射装置と、発射レールに続く外レールとを、ファール球を回収するためのファール球回収口を挟んで配設したうえに、取付ベースの裏側には遊技機枠の他側に向けて開口した差し込み凹部を設けて、この差し込み凹部に遊技領域が形成された遊技盤を挿着したことを特徴とするものである。
【0008】
上記した発明において、前記外レールを、長手方向を徐々に曲率半径の小さくなる円弧形状に曲成
している。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明は、発射レールと外レールとが位置決めされて一つの平面に固定されているので、レール同士の中心位置がずれることはなく、弾球軌道が安定する。さらに、遊技盤は取付ベースに差し込み式で装着されるので、遊技盤交換の作業性が良好であるという利点を有する。
請求項2に係る発明は、発射球の減速による遠心力の低下を軽減できるため発射球が遊技領域に到達するまで外レールに沿って移動する
。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の弾球遊技機の開放状態を示す斜視図である。
【
図2】取付ベースが装着された遊技機枠の斜視図である。
【
図5】発射装置が配設された取付ベースの斜視図である。
【
図6】発射レールと外レールが配設された取付ベースの斜視図である。
【
図9】遊技盤の装着途中を示す弾球遊技機の斜視図である。
【
図10】遊技盤が装着された弾球遊技機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の弾球遊技機が開放された状態を示す斜視図であって、1はガラス窓11を有する前面枠、3は遊技機枠である。遊技機枠3の内側には、取付ベース4が水平回動自在に軸着され、この取付ベース4に遊技盤5が側方から差し込まれて装着されている。以下、前面枠1側を前方、遊技機枠3側を後方とし、左右および上下は、弾球遊技機を前方から見た状態を基準として説明する。
【0012】
図2は、取付ベース4が装着された遊技機枠3を示す図であって、遊技機枠3には、遊技盤5装着用の窓部31が設けられ、窓部31の上部には、段差32をもって嵌め込み凹部33が形成されている。また、窓部31の下面34には、前方から後方にかけて高く傾斜する突条35が複数本形成されており、窓部31に嵌め込まれた遊技盤5を上方に押し上げてがたつくことなく堅固に保持する構造となっている。
【0013】
図3、4は、取付ベース4の詳細を示す図であって、取付ベース4は、金属板で形成された前面41と、その上下端に後方に向ってコの字状に折り曲げて形成された差し込み凹部42とを有する。差し込み凹部42の入口には、遊技盤5の差し込みを容易とするために入口から外側に向って斜めに折り曲げられて形成されたガイド板45が設けられている。前面41の右側一端は、円形状の遊技領域に対応して湾曲部44が形成されている。取付ベース4の下部には、球発射装置6固定用のねじが4本設けられている。また、取付ベース4は左側部の側板43を有し、側板43には遊技盤5の上下方向の位置を決めるための突部46が形成されている。
【0014】
差し込み凹部42の左右方向の長さは、遊技盤5の曲がりによる脱着不良に対応するため遊技盤5の左右方向の長さに比べて必要最低限の短いものとしてある。さらに、差し込み凹部42の前後方向の長さは、遊技盤5の厚みの変動に対応するために若干の遊び空間が生ずるように遊技盤5の厚みよりも1mm程度厚くしてある。また、前面41の左端部には、上方と下方にヒンジ部47が設けられ、これらのヒンジ部47が遊技機枠3の内側に装着されて、取付ベース4は水平回動することができる。
【0015】
取付ベース4の前面41には、
図5に示すように、発射装置6と長手方向を徐々に曲率半径の小さくなる円弧形状に曲成された外レール7とが設けられている。発射装置6は、弾球されたが後述する遊技領域51に到達せずにファール球となった球を回収するためのファール球回収口63が形成されたケーシング64を有し、このケーシング64の内部に、発射レール61と、発射レール61上の球を弾球するプランジャ型ソレノイド即ち弾球器62とが配設されている(
図6)。外レール7はステンレスまたはスーパーエンジニアリングプラスチックで形成されており、断面が円弧形状になっている。発射レール61が固定された発射装置6と外レール7とは、ファール球回収口63を挟んで同一平面である前面41の所要位置に固定されているので、遊技盤5の交換に際しても、弾球軌道の中心位置がずれることはない。なお、弾球器62として、直動式の槌に代わって回動式の槌を用いることができる。
【0016】
図7に示すように遊技盤5は、全体形状角形で内レール8に囲まれて遊技領域51が形成されている。遊技盤5は、上辺52、底辺53を有し、それぞれの左側端部に上縁コーナー54、下縁コーナー55が形成されている。上縁コーナー54、下縁コーナー55をガイド板45によって案内させながら差し込み凹部42に右側から挿通することによって、遊技盤5を取付ベース4に取り付けることができる(
図9、10)。このとき、湾曲部44は内レール8と同一形状に形成されており、内レール8と外レール7との間には、発射球の通路が形成される。内レール8の終端には、遊技領域51から発射球の通路に球が戻ることを防止するための戻り防止弁81が配設されている。なお、内レール8の左側の一部、および、戻り防止弁81を遊技盤5ではなく取付ベース4に設けてもよい。
【0017】
そして、ヒンジ部47を中心にして遊技盤5の右側を後方に向って回動させて窓部31に嵌め込む。これによって、底辺53が前記した突条35によって上方に押し上げられて上辺52が遊技機枠3の内側に当接された状態で、遊技盤5の上部が嵌め込み凹部33に嵌め込まれる。さらに、クランプ部材9を回して締め付けることによって、遊技盤5をがたつくことなく遊技機枠3に装着することができる。
【0018】
以上のように、遊技盤5を取付ベース4に差し込んだうえ後方に回動するだけで遊技機枠3に装着することができるので、遊技盤5の交換に際して機構盤の取り外しや球タンクからの玉抜きを必要とせず、交換作業を簡単に行うことができる。このとき、発射レール61と外レール7は取付ベース4の前面41の所定位置に固定されているので、遊技盤5の交換によってレール同士の中心位置がずれたりすることは全くない。
【符号の説明】
【0019】
3 遊技機枠、4 取付ベース、5 遊技盤、6 球発射装置、7 外レール、41 取付ベースの前面、51 遊技領域、61 発射レール、62 弾球器