特許第5750605号(P5750605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750605
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】多管式貫流ボイラの給水制御装置
(51)【国際特許分類】
   F22D 5/00 20060101AFI20150702BHJP
   F22D 5/30 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   F22D5/00 B
   F22D5/30
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-3428(P2011-3428)
(22)【出願日】2011年1月11日
(65)【公開番号】特開2012-145264(P2012-145264A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2013年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000199887
【氏名又は名称】川重冷熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096839
【弁理士】
【氏名又は名称】曽々木 太郎
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 博文
(72)【発明者】
【氏名】田中 良知
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−294203(JP,A)
【文献】 特開2009−186055(JP,A)
【文献】 特開平11−287405(JP,A)
【文献】 特開2005−282932(JP,A)
【文献】 特開2010−216706(JP,A)
【文献】 米国特許第05148775(US,A)
【文献】 特開2003−240206(JP,A)
【文献】 実開平03−021611(JP,U)
【文献】 特開平08−292080(JP,A)
【文献】 特開昭61−295401(JP,A)
【文献】 特開昭63−150503(JP,A)
【文献】 特開2010−121890(JP,A)
【文献】 特開平08−320105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 1/00 − 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多管式貫流ボイラの給水制御装置であって、
給水量制御値演算手段と給水量指令値演算手段と、蒸気圧力により給水量指令値を補正する指令値補正手段とを備え、
前記給水量制御値演算手段は、水位制御値と水位測定値との偏差に基づいて給水量入力値を算出するものとされ、
前記給水量指令値演算手段は、比例動作と積分動作とにより前記給水量入力値と給水量測定値との偏差に基づいて給水量指令値を演算するものとされ
前記蒸気圧力により給水量指令値を補正する指令値補正手段は、給水流量の下限値を常用圧力時に50%とする点とゼロ点とを結ぶ直線上に規定する一方、給水流量の上限値を蒸気圧力がゼロの時に100%給水量の90%とし、常用圧力以降は100%給水量となるように規定するよう蒸気圧力を補正するようにされてなる
ことを特徴とする多管式貫流ボイラの給水制御装置。
【請求項2】
水位測定値を補正する測定水位補正手段を備えてなることを特徴とする請求項1記載の多管式貫流ボイラの給水制御装置。
【請求項3】
給水量指令値演算手段は微分動作も含むものとされ、前記微分動作により給水量測定値の微分がなされることを特徴とする請求項1記載の多管式貫流ボイラの給水制御装置。
【請求項4】
給水量測定値の移動平均を算出する給水量移動平均演算手段を備えてなることを特徴とする請求項1記載の多管式貫流ボイラの給水制御装置。
【請求項5】
給水量測定値をフィルター処理するローパスフィルターを備えなることを特徴とする請求項1記載の多管式貫流ボイラの給水制御装置。
【請求項6】
水位測定値をフィルター処理するローパスフィルターを備えなることを特徴とする請求項1記載の多管式貫流ボイラの給水制御装置。
【請求項7】
給水量指令値の上限を規定するリミッタを備えてなることを特徴とする請求項1記載の多管式貫流ボイラの給水制御装置。
【請求項8】
給水量指令値の変化率を規定する変化率リミッタを備えてなることを特徴とする請求項1記載の多管式貫流ボイラの給水制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多管式貫流ボイラの給水制御装置に関する。さらに詳しくは、給水ポンプの回転数変動を抑制しながら、汽水分離器の水位を安定させることができる多管式貫流ボイラの給水制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図13に示すような構成とされた多管式貫流ボイラBが、蒸気を得るために用いられている。この多管式貫流ボイラBにおいては、構成の簡素化および低コスト化の観点から給水ポンプをオン・オフさせることにより汽水分離器の水位制御がなされている。
【0003】
しかるに、よく知られているように、多管式貫流ボイラBはその所要数を並列運転させて所望の蒸気量を確保することがなされている。そのため、負荷変動が大きい場合には、並列運転されている多管式貫流ボイラBのそれぞれは頻繁に起動・停止されることになる。また、このことは、給水ポンプも頻繁にオン・オフされることにもつながる。ただし、頻繁なオン・オフは給水ポンプにとっては好ましくはないことなので、図14に示すように、水位制御値と水位測定値と偏差に基づいて給水ポンプをいわゆるPID制御して給水ポンプの頻繁なオン・オフを回避しようとする試みがなされている。
【0004】
しかしながら、多管式貫流ボイラBは、前記の如き構成とされているところから、ボイラの水位は燃焼量の変化によっても敏感に変動する。
【0005】
このため、図14に示すようなPID制御を行っても給水ポンプをオン・オフさせた状態と似たようなこととなり、汽水分離器の水位の安定と、給水ポンプの安定した運転とを両立させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、多管式貫流ボイラの汽水分離器の水位を安定させながら、しかも給水制御量の変動が抑制される多管式貫流ボイラの給水制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の多管式貫流ボイラの給水制御装置は、給水量制御値演算手段と給水量指令値演算手段と、蒸気圧力により給水量指令値を補正する指令値補正手段とを備え、前記給水量制御値演算手段は、水位制御値と水位測定値との偏差に基づいて給水量入力値を算出するものとされ、前記給水量指令値演算手段は、比例動作と積分動作とにより前記給水量入力値と給水量測定値との偏差に基づいて給水量指令値を演算するものとされ、前記蒸気圧力により給水量指令値を補正する指令値補正手段は、給水流量の下限値を常用圧力時に50%とする点とゼロ点とを結ぶ直線上に規定する一方、給水流量の上限値を蒸気圧力がゼロの時に100%給水量の90%とし、常用圧力以降は100%給水量となるように規定するよう蒸気圧力を補正するようにされてなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の多管式貫流ボイラの給水制御装置においては、水位測定値を補正する測定水位補正手段を備えてなるのが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の多管式貫流ボイラの給水制御装置においては、給水量指令値演算手段は微分動作も含むものとされ、前記微分動作により給水量測定値の微分がなされるのが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の多管式貫流ボイラの給水制御装置においては、給水量測定値の移動平均を算出する給水量移動平均演算手段を備えてなるのが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の多管式貫流ボイラの給水制御装置においては、給水量測定値をフィルター処理するローパスフィルターを備えなるのが好ましい
【0013】
さらに、本発明の多管式貫流ボイラの給水制御装置においては、水位測定値をフィルター処理するローパスフィルターを備えなるのが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の多管式貫流ボイラの給水制御装置においては、給水量指令値の上限を規定するリミッタを備えてなるのが好ましい。
【0015】
さらに、本発明の多管式貫流ボイラの給水制御装置においては、給水量指令値の変化率を規定する変化率リミッタを備えてなるのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は前記の如く構成されているので、汽水分離器の水位を一定に保ちながら、給水制御量の変動が抑制されるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態1に係る多管式貫流ボイラの給水制御装置のブロック図である。
図2】本発明の実施形態2に係る多管式貫流ボイラの給水制御装置の要部ブロック図である。
図3】同実施形態に用いられる蒸気圧力と給水量との関係を規定するグラフである。
図4】本発明の実施形態3に係る多管式貫流ボイラの給水制御装置の要部ブロック図である。
図5】本発明の実施形態4に係る多管式貫流ボイラの給水制御装置の要部ブロック図である。
図6】本発明の実施形態5に係る多管式貫流ボイラの給水制御装置の要部ブロック図である。
図7】本発明の実施形態6に係る多管式貫流ボイラの給水制御装置の要部ブロック図である。
図8】本発明の実施形態7に係る多管式貫流ボイラの給水制御装置の要部ブロック図である。
図9】本発明の変形例の一例の要部ブロック図である。
図10】本発明の変形例の他の例の要部ブロック図である。
図11】実施例における汽水分離器の水位変動および給水流量の時間変化を示す模式図である。
図12】比較例における汽水分離器の水位変動および給水流量の時間変化を示す模式図である。
図13】多管式貫流ボイラの概略図である。
図14】従来の多管式貫流ボイラにおける給水制御のPID制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0019】
実施形態1
図1に、本発明の実施形態1に係る多管式貫流ボイラ(以下、単にボイラということもある)の給水制御装置(以下、単に制御装置という)C1を示す。
【0020】
制御装置C1は、図1に示すように、給水量制御値演算手段1と、給水量指令値演算手段2とを主要構成要素として含むものとされる。
【0021】
給水量制御値演算手段1は、制御水位と測定水位との偏差から要求給水量、つまり給水量入力値を演算するものとされる。給水量指令値演算手段2は、給水量制御値演算手段1により算出された給水量入力値と給水量測定値との偏差から給水量指令値、つまり給水制御量を演算するものとされる。 給水量指令値演算手段2は、より具体的にはPI制御、すなわち比例動作と積分動作とを組み合わせた制御により給水量指令値を演算するものとされる。
【0022】
ここで、給水量指令値演算手段2の入力を給水量とするのは、前述したように、汽水分離器内の水位変動が大きいところから、汽水分離器の水位を入力にした場合には、制御の安定性を欠き、従来技術におけるPID制御と同様に給水ポンプの安定した運転を確保できなくなるおそれがあることによる。
【0023】
なお、前記機能を有する各手段は、マイコンに対応するプログラムを格納することにより実現される。あるいは、いわゆるPID調整計により実現されてもよい。
【0024】
このように、実施形態1によれば、制御水位と測定水位との偏差から給水流量入力値を演算により算出し、それと給水流量測定値との偏差を給水量指令値演算手段2の入力としているので、水位偏差を入力する場合に比して燃焼負荷による水位変動を緩和しつつ、汽水分離器の水位をほぼ一定としながら、給水制御量の変動を小さくすることができる。
【0025】
実施形態2
本発明の実施形態2に係る制御装置C2の要部を図2にブロック図で示す。
【0026】
実施形態2は実施形態1を改変してなるものであって、給水量指令値演算手段2の出力を多管式貫流ボイラの蒸気圧力により補正する指令値補正手段3を備えてなるものとされる。
【0027】
ここで、給水量指令値演算手段2の出力を蒸気圧力により補正するのは、給水ポンプの回転数が同じであっても、ボイラの圧力が異なれば実際にボイラに給水される給水量が異なるためである。とりわけ、多管式貫流ボイラにおいては、前述したように台数制御が予定されているところから、蒸気圧力がゼロの状態から給水することもめずらしくないためである。
【0028】
蒸気圧力による補正は、例えば図3のようにしてなされる。すなわち、給水流量の下限値を常用圧力時に50%とする点とゼロ点とを結ぶ直線上に規定する一方、給水流量の上限値を蒸気圧力がゼロの時に最高給水量(100%給水量)の例えば90%とし、常用圧力以降は最高給水量(100%給水量)となるように規定される。
【0029】
なお、実施形態2のその余の構成は、実施形態1と同様とされているので、その詳細な説明は省略する。
【0030】
このように、実施形態2においては、給水量指令値演算手段2により出力された給水量指令値を多管式貫流ボイラの蒸気圧力により補正するようにしているので、蒸気圧力に応じた給水がなし得る。そのため、給水制御量の変動を実施形態1に比して小さくすることができる。
【0031】
なお、実施形態2のその余の作用・効果は実施形態1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0032】
実施形態3
本発明の実施形態3の要部を図4にブロック図で示す。
【0033】
実施形態3は実施形態1を改変してなるものであって、測定水位を補正する測定水位補正手段4を備えてなるものとされる。
【0034】
測定水位補正手段4を設けるのは、前述した理由によりボイラの圧力が変動し、この圧力変動により比体積が変動して水位測定器により測定される水位に誤差が生じるので、この誤差を補正するためである。
【0035】
なお、実施形態3のその余の構成は、実施形態1と同様とされているので、その詳細な説明は省略する。
【0036】
このように、実施形態3においては、測定水位補正手段4により水位測定器で測定された水位を補正して実水位に近づけているので、ボイラの圧力変動による影響を緩和できて汽水分離器の水位をほぼ一定としながら、給水制御量の変動を実施形態1に比して小さくすることができる。
【0037】
なお、実施形態3のその余の作用・効果は実施形態1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0038】
実施形態4
本発明の実施形態4の要部を図5にブロック図で示す。
【0039】
実施形態4は実施形態1を改変してなるものであって、給水量指令値演算手段2に給水量測定値も入力し、給水量測定値の微分値も組み合わせて、つまり微分動作を含むPID制御により給水量指令値を演算して算出するものとされる。
【0040】
なお、実施形態4のその余の構成は、実施形態1と同様とされているので、その詳細な説明は省略する。
【0041】
このように、実施形態4においては、給水量測定値も用いてPID制御により給水量指令値を算出しているので、実施形態1に比して制御性能が向上する。つまり、給水制御量の変動をより小さくすることができる。
【0042】
なお、実施形態4のその余の作用・効果は実施形態1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0043】
実施形態5
本発明の実施形態5の要部を図6にブロック図で示す。
【0044】
実施形態5は実施形態3を改変してなるものであって、給水量移動平均演算手段5を設け、給水量測定値の所定時間の移動平均を演算して算出し、その算出された移動平均値を給水量制御値演算手段からの出力に加算し、その加算された値と給水量測定値との偏差を給水量指令値演算手段の入力としてなるものとされる。所定時間は、15秒間から30秒間とされる。所定時間をこのように選定するのは、あまり短時間であると、移動平均をとる意義がなくなり、その逆にあまり長時間であると、制御の応答性が悪くなるためである。
【0045】
このように給水量測定値の移動平均値を加算するのは、燃焼による水位の外乱を補償して制御の安定を確保するためである。
【0046】
つまり、多管式貫流ボイラにおいては並列運転がなされる関係上、個々のボイラにおける負荷変動が激しいところから燃焼量が常に変化しているので、ボイラが発生する蒸発量も常に変化している。そのような状態において給水量を一定とすれば、蒸発量が給水量を上回っているといつしかボイラはいわゆる空缶となり、その逆に給水量が蒸発量を上回っているといつしかボイラが満水となるという状態が発生する。
【0047】
かかる状態を回避するため、一般的にボイラにおいては水位制御がなされているわけであるが、多管式貫流ボイラの場合は、燃焼量の変化が外乱となり、水位(汽水分離器側)変動が激しくなる特性がある。そのため、水位に基づいて算出される給水量指令値による制御では安定した制御がなし得ないおそれがある。そこで、給水量制御値演算手段1により算出された給水量制御値に、給水量測定値の移動平均値を加味することにより制御の安定性を図ることにしたのである。
【0048】
なお、実施形態5のその余の構成は、実施形態3と同様とされていので、その詳細な説明は省略する。
【0049】
このように、実施形態5においては、給水量制御値演算手段1により算出される給水量制御値に給水量測定値の移動平均値を加味しているので、負荷変動が激しい場合にも、給水制御量の変動を小さく抑えることができるという実施形態3では得られない効果も得られる。
【0050】
なお、実施形態5のその余の作用・効果は実施形態3と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0051】
実施形態6
本発明の実施形態6の要部を図7にブロック図で示す。
【0052】
実施形態6は実施形態4を改変してなるものであって、給水量測定値をローパスフィルター6を通した後に給水量指令値演算手段2に入力してなるものとされる。つまり、ローパスフィルター処理をされた給水量測定値を入力としてなるものとされる。
【0053】
なお、実施形態6のその余の構成は、実施形態3と同様とされているので、その詳細な説明は省略する。
【0054】
このように、実施形態6においては、ローパスフィルター処理をされた給水量測定値を入力としているので、給水量測定値に含まれるノイズが除去されるため、実施形態4に比して制御の安定性が向上する。つまり、給水制御量の変動をより抑制できる。
【0055】
なお、実施形態6のその余の作用・効果は実施形態4と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0056】
実施形態7
本発明の実施形態7の要部を図8にブロック図で示す。
【0057】
実施形態7は実施形態3を改変してなるものであって、水位測定値はローパスフィルター7を通した後に測定水位補正手段4に入力されてなるものとされる。つまり、ローパスフィルター処理をされた水位測定値を入力としてなるものとされる。
【0058】
なお、実施形7のその余の構成は、実施形態3と同様とされているので、その詳細な説明は省略する。
【0059】
このように、実施形態7においては、ローパスフィルター処理をされた水位測定値を入力としているので、水位測定値に含まれるノイズが除去されるため、実施形態3に比して制御の安定性が向上する。つまり、給水制御量の変動をより抑制できる。
【0060】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではなく種々改変が可能である。
【0061】
例えば、図9に示すように、給水量指令値演算手段2から出力される給水量指令値の上限を規定するリミッタ8や変化率を規定する変化率リミッタ9を設けるようにされてもよく、あるいは給水量制御値演算手段1からの出力の上限を規定するリミッタ10を設けるようにされてもよい。
【0062】
また、図10に示すように、給水量移動平均演算手段5の入力の上限を規定するリミッタ11を設けるようにされてもよい。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。
【0064】
実施例
下記に示す仕様の多管式貫流ボイラにおいて、実施形態5の給水制御を適用してその負荷変動に対する汽水分離器の水位および給水量の30分間における変動を測定し、その結果を図11に模式図で示す。
【0065】
比較例
実施例と同一仕様の多管式貫流ボイラにおいて、図14に示すPID制御を適用してその負荷変動に対する汽水分離器の水位および給水量の30分間における変動を測定し、その結果を図12に模式図で示す。
【0066】
図11および図12より、実施例においては給水量の変動を抑制しながら、しかも汽水分離器の水位がほぼ一定に保たれているのがわかる。
【0067】
ボイラ要目
圧力 1MPa
蒸発量 6T/H
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は多管式貫流ボイラの給水制御に利用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 給水量制御値演算手段
2 給水量指令値演算手段
3 指令値補正手段
4 測定水位補正手段
5 給水量移動平均値算出手段
6 ローパスフィルター
7 ローパスフィルター
8 リミッタ
9 変化率リミッタ
10 リミッタ
11 リミッタ
B 多管式貫流ボイラ
C 給水量制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図13
図14
図11
図12