【実施例】
【0131】
以下、実施例により本発明をより具体的に詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0132】
〔実施例1〕(抗体のSCCA1、SCCA2との結合性の確認)
SCCA1に特異的に結合することができる抗SCCA1抗体、SCCA2に特異的に結合することができる抗SCCA2抗体、並びにSCCA1及びSCCA2に結合する抗体の、SCCA1及びSCCA2それぞれとの結合性を免疫沈降法及びウェスタンブロット法により確認した。
また、抗SCCA1抗体、及び抗SCCA2抗体の、SCCA1及びSCCA2それぞれとの結合性を酵素免疫測定法により確認した。
【0133】
〔1〕.免疫沈降法及びウェスタンブロット法
1.抗体
(1)抗SCCA1抗体
SCCA1のcDNAを、
pGEX−KGベクター(Guan KLら,Anal Biochem,1991,Vol.192,p.262−267)に組み込んで、大腸菌BL21にトランスフェクションした。
これをアンピシリン入りLB培地にて培養し、菌体よりグルタチオンセファロース4B(GE Healthcare社、米国)により、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)を付加したSCCA1を精製した。
【0134】
このGST付加SCCA1を、TiterMax Goldアジュバント(CytRx社、米国)と混合して、Wistarラットの足蹠皮下に投与した(50μg/ラット)。
2週間〜2ヵ月後、同じ抗原を足蹠皮下に投与し、3日後に、鼠径、膝窩、及び腸骨リンパ節よりリンパ球を調製し、Sp2/Oミエローマ細胞とポリエチレングリコール法にて細胞融合した。
抗体産生ハイブリドーマクローンのスクリーニングは、固相化抗体としてSCCA1及びSCCA2に結合する抗体(ポリクローナル抗体)を用い、抗原についてはSCCA1抗原として293T/SCCA1細胞株の培養上清を用い(又はSCCA2抗原として293T/SCCA2細胞株の培養上清を用い)、そして検出抗体としてこの抗体産生ハイブリドーマの培養上清を用いた酵素免疫測定法(ELISA)により行った。
SCIDマウスの腹腔内にハイブリドーマを投与して、貯留した腹水を採取し、腹水よりプロテインGセファロース(GE Healthcare社、米国)を用いて抗体(クラス:IgG)を精製した。
SCCA1に結合し、SCCA2には結合しないモノクローナル抗体を産生する細胞株(クローン)であったSS11G細胞株を、SCCA1に特異的に結合する抗体である抗SCCA1抗体の産生細胞株として選択した。
そして、以後、このSS11G細胞株が産生するモノクローナル抗体を、抗SCCA1抗体として用いた。
【0135】
(2)抗SCCA2抗体
SCCA2のcDNAを、
pGEX−KGベクター(Guan KLら,Anal Biochem,1991,Vol.192,p.262−267)に組み込んで、大腸菌BL21にトランスフェクションした。
これをアンピシリン入りLB培地にて培養し、菌体よりグルタチオンセファロース4B(GE Healthcare社、米国)により、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)を付加したSCCA2を精製した。
【0136】
このGST付加SCCA2を、TiterMax Goldアジュバント(CytRx社、米国)と混合して、Wistarラットの足蹠皮下に投与(50μg/ラット)する以外は、前記(1)の記載の通りに行い、SCCA2に結合し、SCCA1には結合しないモノクローナル抗体を産生する細胞株(クローン)であったSS8G細胞株を、SCCA2に特異的に結合する抗体である抗SCCA2抗体の産生細胞株として選択した。
そして、以後、このSS8G細胞株が産生するモノクローナル抗体を、抗SCCA2抗体として用いた。
【0137】
(3)SCCA1及びSCCA2に結合する抗体
SCCA2のcDNAを、
pGEX−KGベクター(Guan KLら,Anal Biochem,1991,Vol.192,p.262−267)に組み込んで、大腸菌BL21にトランスフェクションした。
これをアンピシリン入りLB培地にて培養し、菌体よりグルタチオンセファロース4B(GE Healthcare社、米国)により、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)を付加したSCCA2を精製した。
【0138】
このGST付加SCCA2を、TiterMax Goldアジュバント(CytRx社、米国)と混合して、Wistarラットの足蹠皮下に投与(50μg/ラット)する以外は、前記(1)の記載の通りに行い、SCCA1に結合し、かつSCCA2にも結合するモノクローナル抗体を産生する細胞株(クローン)であったSS14B細胞株を、SCCA1及びSCCA2に結合する抗体の産生細胞株として選択した。
そして、以後、このSS14B細胞株が産生するモノクローナル抗体を、SCCA1及びSCCA2に結合する抗体として用いた。
【0139】
2.SCCA1、SCCA2
(1)SCCA1
SCCA1のcDNAを、pIRESpuro3ベクター(Clontech社、米国)に組み込んで、HEK293T細胞にトランスフェクションした後、puromycin耐性株を選択して、SCCA1の安定発現細胞株(293T/SCCA1)を樹立した。
この293T/SCCA1細胞株の培養上清には、Hisタグを付加したSCCA1が含まれる。
【0140】
(2)SCCA2
SCCA2のcDNAを、pIRESpuro3ベクター(Clontech社、米国)に組み込んで、HEK293T細胞にトランスフェクションした後、puromycin耐性株を選択して、SCCA2の安定発現細胞株(293T/SCCA2)を樹立した。
この293T/SCCA2細胞株の培養上清には、Hisタグを付加したSCCA2が含まれる。
【0141】
3.免疫沈降法及びウェスタンブロット法
(1)抗SCCA1抗体
(a) 前記1の(1)の抗SCCA1抗体の産生細胞株(SS11G細胞株)の培養上清(抗SCCA1抗体を含む)の1mLと、予め4℃で1時間反応させたプロテインGセファロースビーズの20μLを、前記2の(1)の293T/SCCA1細胞株の培養上清(SCCA1を含む)の1mLと混合し、4℃で1時間静置し、免疫沈降法を行った。
次に、一次抗体として、SCCA1及びSCCA2に結合する抗体(ポリクローナル抗体)を用いて、常法によりウェスタンブロット法を行った。
【0142】
(b) また、前記293T/SCCA1細胞株の培養上清(SCCA1を含む)に代えて、前記2の(2)の293T/SCCA2細胞株の培養上清(SCCA2を含む)を用いる以外は、前記(a)の記載の通りに行い、
免疫沈降法及びウェスタンブロット法を行った。
【0143】
(c) 前記(a)及び(b)の免疫沈降法及びウェスタンブロット法の結果、すなわち、前記の抗SCCA1抗体(SS11G細胞株)のSCCA1及びSCCA2それぞれとの結合性を確認した結果(写真)を、
図1に示した。
なお、この図において、上段はSCCA1との結合性を示し、下段はSCCA2との結合性を示す。
【0144】
(2)抗SCCA2抗体
前記の抗SCCA1抗体の産生細胞株(SS11G細胞株)の培養上清(抗SCCA1抗体を含む)に代え、前記1の(2)の抗SCCA2抗体の産生細胞株(SS8G細胞株)の培養上清(抗SCCA2抗体を含む)を用いる以外は、前記(1)の記載の通りに行い、免疫沈降法及びウェスタンブロット法を行った。
【0145】
この免疫沈降法及びウェスタンブロット法の結果、すなわち、前記の抗SCCA2抗体(SS8G細胞株)のSCCA1及びSCCA2それぞれとの結合性を確認した結果(写真)についても、
図1に示した。
なお、この図において、上段はSCCA1との結合性を示し、下段はSCCA2との結合性を示す。
【0146】
(3)SCCA1及びSCCA2に結合する抗体
前記の抗SCCA1抗体の前記産生細胞株(SS11G細胞株)の培養上清(抗SCCA1抗体を含む)に代え、前記1の(3)のSCCA1及びSCCA2に結合する抗体の産生細胞株(SS14B細胞株)の培養上清(SCCA1及びSCCA2に結合する抗体を含む)を用いる以外は、前記(1)の記載の通りに行い、免疫沈降法及びウェスタンブロット法を行った。
【0147】
この免疫沈降法及びウェスタンブロット法の結果、すなわち、前記のSCCA1及びSCCA2に結合する抗体(SS14B細胞株)のSCCA1及びSCCA2それぞれとの結合性を確認した結果(写真)についても、
図1に示した。(この図において、この抗体を「抗SCCA1/2共通抗体」と表した。)
なお、この図において、上段はSCCA1との結合性を示し、下段はSCCA2との結合性を示す。
【0148】
4.まとめ
(1) 前記の免疫沈降法及びウェスタンブロット法の結果である
図1より、抗SCCA1抗体(SS11G細胞株)は、SCCA1には結合するものの、SCCA2には結合しないことが分かる。
よって、この抗SCCA1抗体は、SCCA1に特異的に結合する抗体であることが、この免疫沈降法及びウェスタンブロット法により確かめられた。
【0149】
(2) また、この
図1より、抗SCCA2抗体(SS8G細胞株)は、SCCA2には結合するものの、SCCA1には結合しないことが分かる。
よって、この抗SCCA2抗体は、SCCA2に特異的に結合する抗体であることが、この免疫沈降法及びウェスタンブロット法により確かめられた。
【0150】
(3) また、この
図1より、SCCA1及びSCCA2に結合する抗体(SS14B細胞株)は、SCCA1に結合し、かつSCCA2にも結合することが分かる。
よって、このSCCA1及びSCCA2に結合する抗体は、SCCA1及びSCCA2に結合する抗体であることが、この免疫沈降法及びウェスタンブロット法により確かめられた。
【0151】
〔2〕.酵素免疫測定法
1.測定試薬
(1)抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレート
前記〔1〕の1の(3)の抗体産生細胞株〔SS14B細胞株〕の培養上清に含まれるSCCA1及びSCCA2に結合する抗体(モノクローナル抗体)をプロテイン
Gを用いて精製し、これをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)でその濃度が2μg/mLとなるように希釈した。
次に、これを、マイクロプレート(マイクロタイタープレート)〔Nunc社、商品名:Maxisorp〕の各ウェルに100μLずつ分注し、25℃で一晩静置し、前記のSCCA1及びSCCA2に結合する抗体をマイクロプレートのウェルに固相化した。
次に、マイクロプレートのウェル中の液を除去し、0.5%カゼイン及び0.1%アジ化ナトリウムを含むトリス緩衝生理食塩水(TBS)の250μLずつを各ウェルに分注し、室温で3時間静置し、ブロッキング処理を行った。
この後、各ウェルの上をプレートシールで封をし、蒸発しないようにして、使用時まで冷蔵保存した。
これを、抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレートとした。
【0152】
(2)ビオチン標識抗SCCA1抗体
前記〔1〕の1の(1)の抗体産生細胞株〔SS11G細胞株〕の培養上清に含まれる抗SCCA1抗体(モノクローナル抗体)を、Sulfo−NHS−LC−Biotin(Pierce社、商品コード番号:21335)を用いてビオチン標識を行った。
これを、ビオチン標識抗SCCA1抗体とした。
【0153】
(3)ビオチン標識抗SCCA2抗体
前記〔1〕の1の(2)の抗体産生細胞株〔SS8G細胞株〕の培養上清に含まれる抗SCCA2抗体(モノクローナル抗体)を、Sulfo−NHS−LC−Biotin(Pierce社、商品コード番号:21335)を用いてビオチン標識を行った。
これを、ビオチン標識抗SCCA2抗体とした。
【0154】
(4)ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲート
Streptavidin−PolyHRP40(Stereospecific Detection Technologies社、ドイツ、商品コード番号:SP40C)を、0.5%カゼインナトリウム及び100mM塩化ナトリウムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)で15,000倍に希釈した。
これを、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートとした。
【0155】
(5)洗浄液
0.05%のTween20を含むリン酸緩衝生理食塩水を、洗浄液とした。
【0156】
(6)希釈液
0.5%カゼインナトリウム、100mM塩化ナトリウム及び0.1%アジ化ナトリウムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を、希釈液とした。
【0157】
(7)発色液
0.2mMのEDTA・2ナトリウムを含む0.045%の3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン塩酸塩水溶液(pH2.0)を、発色液とした。
【0158】
(8)基質液
5mM過酸化水素、41mMクエン酸、0.2mMのEDTA・2ナトリウムを含む60mMリン酸二ナトリウム水溶液(pH4.3)を、基質液とした。
【0159】
(9)発色基質
前記の発色液と基質液を使用前に室温に戻した上で、使用時に等量混合し、発色基質とした。
【0160】
(10)反応停止液
0.7N硫酸を、反応停止液とした。
【0161】
2.試料
(1)SCCA1
SCCA1のcDNAを、
pGEX−KGベクター(Guan KLら,Anal Biochem,1991,Vol.192,p.262−267)に組み込んで、大腸菌BL21にトランスフェクションした。
これをアンピシリン入りLB培地にて培養し、菌体よりグルタチオンセファロース4B(GE Healthcare社、米国)により、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)を付加したSCCA1を精製した。
【0162】
このGST付加SCCA1について、トロンビンにてGSTを切断し、再度グルタチオンセファロース4Bにより精製し、SCCA1を得た。
これをBradford法〔プロテインアッセイキットII(バイオラッド社)を使用〕にてタンパク質濃度を決定し、この精製標品をSCCA1として用いた。
【0163】
このSCCA1を、前記1の(6)の希釈液で希釈して、0.00625ng/mL、0.0125ng/mL、0.025ng/mL、0.05ng/mL、0.1ng/mL、及び0.2ng/mLの各濃度のSCCA1溶液を調製した。
なお、前記1の(6)の希釈液を、SCCA1もSCCA2も含まない、SCCA1濃度及びSCCA2濃度が0ng/mLのSCCA1溶液とした。
これにより、濃度が異なる7種類のSCCA1試料を調製した。
【0164】
(2)SCCA2
SCCA2のcDNAを、
pGEX−KGベクター(Guan KLら,Anal Biochem,1991,Vol.192,p.262−267)に組み込んで、大腸菌BL21にトランスフェクションした。
これをアンピシリン入りLB培地にて培養し、菌体よりグルタチオンセファロース4B(GE Healthcare社、米国)により、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)を付加したSCCA2を精製した。
【0165】
このGST付加SCCA2について、トロンビンにてGSTを切断し、再度グルタチオンセファロース4Bにより精製し、SCCA2を得た。
これをBradford法〔プロテインアッセイキットII(バイオラッド社)を使用〕にてタンパク質濃度を決定し、この精製標品をSCCA2として用いた。
【0166】
このSCCA2を、前記1の(6)の希釈液で希釈して、0.00625ng/mL、0.0125ng/mL、0.025ng/mL、0.05ng/mL、0.1ng/mL、及び0.2ng/mLの各濃度のSCCA2溶液を調製した。
なお、前記1の(6)の希釈液を、SCCA1もSCCA2も含まない、SCCA1濃度及びSCCA2濃度が0ng/mLのSCCA2溶液とした。
これにより、濃度が異なる7種類のSCCA2試料を調製した。
【0167】
3.測定
(1) 前記1の(1)の抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレートの各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで3回洗浄した。
【0168】
(2) 次に、前記2の(1)の7種類のSCCA1試料それぞれの100μLを各ウェルに分注した後、各ウェルの上をプレートシールで封をし、室温で一晩静置し、抗原抗体反応を行わせた。
【0169】
(3) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0170】
(4) 次に、前記1の(2)のビオチン標識抗SCCA1抗体を、前記1の(6)の希釈液で20ng/mLとなるように希釈し、この100μLを各ウェルに分注し、室温で90分間静置し、抗原抗体反応を行わせた。
【0171】
(5) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0172】
(6) 次に、各ウェルに、前記1の(4)のストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートを100μL分注し、室温で60分間静置し、「ビオチン−ストレプトアビジン」の結合反応を行わせた。
【0173】
(7) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0174】
(8) 次に、各ウェルに、前記1の(9)の発色基質を100μL分注し、室温で20分間静置し、標識酵素であるペルオキシダーゼによる発色反応を行わせた。
【0175】
(9) 次に、各ウェルに、前記1の(10)の反応停止液を100μL分注し、発色反応を停止させた。
【0176】
(10) 次に、各ウェルの液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定し、前記の7種類のSCCA1試料をそれぞれ測定した場合の吸光度を得た。
【0177】
(11) 前記(2)における7種類のSCCA1試料の代わりに、前記2の(2)の7種類のSCCA2試料を用いる以外は、前記(1)〜(10)の記載の通りに行い、前記の7種類のSCCA2試料をそれぞれ測定した場合の吸光度を得た。
【0178】
(12) 前記(4)におけるビオチン標識抗SCCA1抗体の代わりに、前記1の(3)のビオチン標識抗SCCA2抗体を用いる以外は、前記(1)〜(11)の記載の通りに行い、前記の7種類のSCCA1試料及び前記の7種類のSCCA2試料をそれぞれ測定した場合の吸光度を得た。
【0179】
4.測定結果
(1) 前記3の(4)でビオチン標識抗SCCA1抗体を用い、前記の7種類のSCCA1試料及び前記の7種類のSCCA2試料をそれぞれ測定した場合の吸光度を、
図2に示した。
この図において、横軸はSCCA1試料中のSCCA1濃度(ng/mL)又はSCCA2試料中のSCCA2濃度(ng/mL)を示し、縦軸は測定により得られた吸光度を示す。
また、この図において、「◆」は試料がSCCA1試料であるときの測定値(吸光度)を示し、「■」は試料がSCCA2試料であるときの測定値(吸光度)を示す。
【0180】
(2) また、前記3の(4)でビオチン標識抗SCCA2抗体を用い、前記の7種類のSCCA1試料及び前記の7種類のSCCA2試料をそれぞれ測定した場合の吸光度を、
図3に示した。
この図において、横軸はSCCA1試料中のSCCA1濃度(ng/mL)又はSCCA2試料中のSCCA2濃度(ng/mL)を示し、縦軸は測定により得られた吸光度を示す。
また、この図において、「◆」は試料がSCCA1試料であるときの測定値(吸光度)を示し、「■」は試料がSCCA2試料であるときの測定値(吸光度)を示す。
【0181】
5.まとめ
(1) 前記の酵素免疫測定法の結果である
図2より、前記3の(4)でビオチン標識抗SCCA1抗体を用いた場合、すなわち、抗SCCA1抗体(SS11G細胞株)を用いた場合には、SCCA1試料では試料中のSCCA1の濃度に応じて得られる吸光度が増加するのに対して、SCCA2試料では試料中のSCCA2の濃度がいずれの濃度であっても吸光度はほとんど得られていないことが分かる。
つまり、抗SCCA1抗体(SS11G細胞株)は、SCCA1には結合するものの、SCCA2には結合しないことが分かる。
よって、この抗SCCA1抗体は、SCCA1に特異的に結合する抗体であること、及びこの抗SCCA1抗体を用いることにより生体試料中のSCCA1を定量的かつ精確に測定することができることが、この酵素免疫測定法の結果から確かめられた。
【0182】
(2) また、前記の酵素免疫測定法の結果である
図3より、前記3の(4)でビオチン標識抗SCCA2抗体を用いた場合、すなわち、抗SCCA2抗体(SS8G細胞株)を用いた場合には、SCCA1試料では試料中のSCCA1の濃度がいずれの濃度であっても吸光度はほとんど得られていないのに対して、SCCA2試料では試料中のSCCA2の濃度に応じて得られる吸光度が増加していることがわかる。
つまり、抗SCCA2抗体(SS8G細胞株)は、SCCA2には結合するものの、SCCA1には結合しないことが分かる。
よって、この抗SCCA2抗体は、SCCA2に特異的に結合する抗体であること、及びこの抗SCCA2抗体を用いることにより生体試料中のSCCA2を定量的かつ精確に測定することが
できることが、この酵素免疫測定法の結果から確かめられた。
【0183】
〔実施例2〕(アレルギー疾患の検査方法としての適性の確認−1)
アレルギー疾患の罹患者、非罹患者それぞれの生体試料中のSCCA1濃度、SCCA2濃度を測定し、アレルギー疾患の検査方法としての適性を確かめた。
【0184】
1.測定試薬
(1)抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレート
前記実施例1の〔2〕の1の(1)の抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレートを用いた。
【0185】
(2)ビオチン標識抗SCCA1抗体
前記実施例1の〔2〕の1の(2)のビオチン標識抗SCCA1抗体を用いた。
【0186】
(3)ビオチン標識抗SCCA2抗体
前記実施例1の〔2〕の1の(3)のビオチン標識抗SCCA2抗体を用いた。
【0187】
(4)ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲート
前記実施例1の〔2〕の1の(4)のストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートを用いた。
【0188】
(5)洗浄液
前記実施例1の〔2〕の1の(5)の洗浄液を用いた。
【0189】
(6)希釈液
前記実施例1の〔2〕の1の(6)の希釈液を用いた。
【0190】
(7)発色基質
前記実施例1の〔2〕の1の(9)の発色基質を用いた。
【0191】
(8)反応停止液
前記実施例1の〔2〕の1の(10)の反応停止液を用いた。
【0192】
2.試料
(1)アレルギー疾患試料
アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎及び食物アレルギーの合併)に罹患している72名(生後2ヵ月〜8歳)の計188の血清検体をアレルギー疾患試料とした。
【0193】
(2)非アレルギー疾患試料
アレルギー疾患に罹患していないことが確認されている49名(1歳〜10歳)の計49の血清検体を非アレルギー疾患試料とした。
【0194】
3.測定
(1) 前記1の(1)の抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレートの各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで3回洗浄した。
【0195】
(2) 次に、前記2の(1)の計188のアレルギー疾患試料それぞれを前記1の(6)の希釈液でSCCA1濃度が0.2ng/mL以内となるように希釈し、そして、これらの100μLを各ウェルに分注した後、各ウェルの上をプレートシールで封をし、室温で一晩静置し、抗原抗体反応を行わせた。
【0196】
(3) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0197】
(4) 次に、前記1の(2)のビオチン標識抗SCCA1抗体を、前記1の(6)の希釈液で20ng/mLとなるように希釈し、この100μLを各ウェルに分注し、室温で90分間静置し、抗原抗体反応を行わせた。
【0198】
(5) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0199】
(6) 次に、各ウェルに、前記1の(4)のストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートを100μL分注し、室温で60分間静置し、「ビオチン−ストレプトアビジン」の結合反応を行わせた。
【0200】
(7) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0201】
(8) 次に、各ウェルに、前記1の(7)の発色基質を100μL分注し、室温で20分間静置し、標識酵素であるペルオキシダーゼによる発色反応を行わせた。
【0202】
(9) 次に、各ウェルに、前記1の(8)の反応停止液を100μL分注し、発色反応を停止させた。
【0203】
(10) 次に、各ウェルの液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定し、前記の計188のアレルギー疾患試料をそれぞれ測定した場合の吸光度を得た。
【0204】
(11) 次に、前記の測定により得られた吸光度から、前記の計188のアレルギー疾患試料中のSCCA1の濃度を求めた。
なお、この各生体試料中のSCCA1の濃度は、前記の測定により得られた吸光度と、前記実施例1の〔2〕の2の(1)のSCCA1の濃度が既知であるSCCA1の精製標品を測定して得た吸光度とを対比して算出することにより得た。
【0205】
(12) 前記(2)における計188のアレルギー疾患試料の代わりに、前記2の(2)の計49の非アレルギー疾患試料を用いる以外は、前記(1)〜(11)の記載の通りに行い、前記の計49の非アレルギー疾患試料中のSCCA1の濃度を得た。
【0206】
(13) 前記(2)においてSCCA2濃度が
0.2ng/mL以内となるように生体試料を希釈すること、前記(4)におけるビオチン標識抗SCCA1抗体の代わりに、前記1の(3)のビオチン標識抗SCCA2抗体を用いること、及び前記(11)のSCCA1の濃度が既知であるSCCA1の精製標品の代わりに、前記実施例1の〔2〕の2の(2)のSCCA2の濃度が既知であるSCCA2の精製標品を用いること以外は、前記(1)〜(12)の記載の通りに行い、前記の計188のアレルギー疾患試料中のSCCA2の濃度、及び前記の計49の非アレルギー疾患試料中のSCCA2の濃度を得た。
【0207】
4.測定結果
(1) 前記の計188のアレルギー疾患試料のそれぞれについて、前記3の測定で得たSCCA1の濃度〔ng/ml(ng/mL)〕を横軸に、SCCA2の濃度〔ng/ml(ng/mL)〕を縦軸に取ってプロットしたグラフを
図4の(A)に示した。
なお、このグラフにおいて、xをSCCA1の濃度とし、yをSCCA2の濃度としたときの回帰式はy=2.12x−1.54であり、相関係数Rは0.98であった。
【0208】
(2) また、前記の計49の
非アレルギー疾患試料のそれぞれについて、前記3の測定で得たSCCA1の濃度〔ng/ml(ng/mL)〕を横軸に、SCCA2の濃度〔ng/ml(ng/mL)〕を縦軸に取ってプロットしたグラフを
図4の(B)に示した。
なお、このグラフにおいて、xをSCCA1の濃度とし、yをSCCA2の濃度としたときの回帰式はy=0.89x−0.08であり、相関係数Rは0.87であった。
【0209】
5.まとめ
(1) 前記の
図4の(A)より、アレルギー疾患試料、すなわちアレルギー疾患の罹患においては、生体試料中のSCCA2の濃度が、SCCA1の濃度のおよそ2倍以上となっていることが分かる。
すなわち、同一のアレルギー疾患試料を測定しても、SCCA1の濃度を測定するよりも、SCCA2の濃度を測定する方が、より高い測定値(シグナル)を得ることができることが分かる。
このことより、SCCA1の濃度を測定するよりも、SCCA2の濃度を測定する方が、測定の感度が高く、測定の正確性及び精密性において有利であり、アレルギー疾患の検査に適していることが確かめられた。
なお、この
図4の(A)
のグラフの回帰式の相関係数Rが0.98であり、この測定結果が非常に精確なものであることが分かる。
【0210】
(2) また、前記の
図4の(B)より、非アレルギー疾患試料、すなわちアレルギー疾患に罹患していない非罹患においては、生体試料中のSCCA2の濃度は、概してSCCA1の濃度以下となっていることが分かる。
すなわち、同一の非アレルギー疾患試料を測定しても、SCCA1の濃度を測定するよりも、SCCA2の濃度を測定する方が、より低い測定値(シグナル)を得ることができることが分かる。
このことより、SCCA1の濃度を測定するよりも、SCCA2の濃度を測定する方が、アレルギー疾患の非罹患を反映したより低い測定値(シグナル)を得ることができ、高い測定値となるアレルギー疾患の罹患の測定値との差をより広げ、差異を明確にすることができるので、この点においても有利であり、アレルギー疾患の検査に適していることが確かめられた。
なお、この
図4の(B)
のグラフの回帰式の相関係数Rが0.87であり、この測定結果が精確なものであることが分かる。
【0211】
〔実施例3〕(アレルギー疾患の検査方法としての適性の確認−2)
アレルギー疾患の罹患者、非罹患者、癌罹患者それぞれの生体試料中のSCCA1濃度、SCCA2濃度を測定し、アレルギー疾患の検査方法としての適性を確認した。
【0212】
1.
測定試薬
(1)抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレート
前記実施例1の〔2〕の1の(1)の抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレートを用いた。
【0213】
(2)ビオチン標識抗SCCA1抗体
前記実施例1の〔2〕の1の(2)のビオチン標識抗SCCA1抗体を用いた。
【0214】
(3)ビオチン標識抗SCCA2抗体
前記実施例1の〔2〕の1の(3)のビオチン標識抗SCCA2抗体を用いた。
【0215】
(4)ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲート
前記実施例1の〔2〕の1の(4)のストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートを用いた。
【0216】
(5)洗浄液
前記実施例1の〔2〕の1の(5)の洗浄液を用いた。
【0217】
(6)希釈液
前記実施例1の〔2〕の1の(6)の希釈液を用いた。
【0218】
(7)発色基質
前記実施例1の〔2〕の1の(9)の発色基質を用いた。
【0219】
(8)反応停止液
前記実施例1の〔2〕の1の(10)の反応停止液を用いた。
【0220】
2.試料
(1)アレルギー疾患試料
アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎及び食物アレルギーの合併)に罹患している72名(生後2ヵ月〜8歳)の計188の血清検体をアレルギー疾患試料とした。
【0221】
(2)非アレルギー疾患試料
アレルギー疾患に罹患していないことが確認されている49名(1歳〜10歳)の計49の血清検体を非アレルギー疾患試料とした。
【0222】
(3)癌罹患試料
癌(子宮頸癌)に罹患している194名の計194の血清検体を癌罹患試料とした。
【0223】
3.測定
(1) 前記1の(1)の抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレートの各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで3回洗浄した。
【0224】
(2) 次に、前記2の(1)の計188のアレルギー疾患試料それぞれを前記1の(6)の希釈液でSCCA1濃度が0.2ng/mL以内となるように希釈し、そして、これらの100μLを各ウェルに分注した後、各ウェルの上をプレートシールで封をし、室温で一晩静置し、抗原抗体反応を行わせた。
【0225】
(3) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0226】
(4) 次に、前記1の(2)のビオチン標識抗SCCA1抗体を、前記1の(6)の希釈液で20ng/mLとなるように希釈し、この100μLを各ウェルに分注し、室温で90分間静置し、抗原抗体反応を行わせた。
【0227】
(5) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0228】
(6) 次に、各ウェルに、前記1の(4)のストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートを100μL分注し、室温で60分間静置し、「ビオチン−ストレプトアビジン」の結合反応を行わせた。
【0229】
(7) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0230】
(8) 次に、各ウェルに、前記1の(7)の発色基質を100μL分注し、室温で20分間静置し、標識酵素であるペルオキシダーゼによる発色反応を行わせた。
【0231】
(9) 次に、各ウェルに、前記1の(8)の反応停止液を100μL分注し、発色反応を停止させた。
【0232】
(10) 次に、各ウェルの液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定し、前記の計188のアレルギー疾患試料をそれぞれ測定した場合の吸光度を得た。
【0233】
(11) 次に、前記の測定により得られた吸光度から、前記の計188のアレルギー疾患試料中のSCCA1の濃度を求めた。
なお、この各生体試料中のSCCA1の濃度は、前記の測定により得られた吸光度と、前記実施例1の〔2〕の2の(1)のSCCA1の濃度が既知であるSCCA1の精製標品を測定して得た吸光度とを対比して算出することにより得た。
【0234】
(12) 前記(2)における計188のアレルギー疾患試料の代わりに、前記2の(2)の計49の非アレルギー疾患試料を用いる以外は、前記(1)〜(11)の記載の通りに行い、前記の計49の非アレルギー疾患試料中のSCCA1の濃度を得た。
【0235】
(13) 前記(2)における計188のアレルギー疾患試料の代わりに、前記2の(3)の計194の癌罹患試料を用いる以外は、前記(1)〜(11)の記載の通りに行い、前記の計194の癌罹患試料中のSCCA1の濃度を得た。
【0236】
(14) 前記(2)においてSCCA2濃度が
0.2ng/mL以内となるように生体試料を希釈すること、前記(4)におけるビオチン標識抗SCCA1抗体の代わりに、前記1の(3)のビオチン標識抗SCCA2抗体を用いること、及び前記(11)のSCCA1の濃度が既知であるSCCA1の精製標品の代わりに、前記実施例1の〔2〕の2の(2)のSCCA2の濃度が既知であるSCCA2の精製標品を用いること以外は、前記(1)〜(13)の記載の通りに行い、前記の計188のアレルギー疾患試料中のSCCA2の濃度、前記の計49の非アレルギー疾患試料中のSCCA2の濃度、及び前記の計194の癌罹患試料中のSCCA2の濃度を得た。
【0237】
4.測定結果
(1) 前記の計188のアレルギー疾患試料、前記の計49の非アレルギー疾患試料、及び前記の計194の癌罹患試料のそれぞれについて、前記3の測定で得たSCCA1の濃度の範囲を、各疾患毎にまとめて、
図5の(A)に示した。
この図において、横軸はアレルギー疾患試料、非アレルギー疾患試料、及び癌罹患試料の別を示し、縦軸は測定により得たSCCA1の濃度〔ng/ml(ng/mL)〕を示す。
【0238】
(2) また、前記の計188のアレルギー疾患試料、前記の計49の非アレルギー疾患試料、及び前記の計194の癌罹患試料のそれぞれについて、前記3の測定で得たSCCA2の濃度の範囲を、各疾患毎にまとめて、
図5の(B)に示した。
この図において、横軸はアレルギー疾患試料、非アレルギー疾患試料、及び癌罹患試料の別を示し、縦軸は測定により得たSCCA2の濃度〔ng/ml(ng/mL)〕を示す。
【0239】
5.まとめ
(1) 前記の
図5の(A)及び(B)より、生体試料中のSCCA1濃度において、アレルギー疾患におけるSCCA1濃度の範囲は、非アレルギー疾患におけるSCCA1濃度の範囲とはその相違は明らかである。
しかし、癌罹患におけるSCCA1濃度の範囲とは、その相違は明確ではないことが分かる。
これに対し、生体試料中のSCCA2濃度において、アレルギー疾患におけるSCCA2濃度の範囲は、非アレルギー疾患におけるSCCA2濃度の範囲とはその相違は明らかであり、癌罹患におけるSCCA2濃度の範囲ともその相違は明らかである。
すなわち、SCCA1の濃度を測定するよりも、SCCA2の濃度を測定する方が、アレルギー疾患の罹患と癌の罹患とをより明確に区別することができる点で、アレルギー疾患の検査方法として優れていることが確かめられた。
【0240】
(2) また、前記の
図5の(A)及び(B)より、アレルギー疾患におけるSCCA1濃度の範囲に比べ、アレルギー疾患におけるSCCA2濃度の範囲は、およそ2倍高く拡がっていることが分かる。
このことからも、SCCA1の濃度を測定するよりも、SCCA2の濃度を測定する方が、測定の感度が高く、測定の正確性及び精密性において有利であり、アレルギー疾患の検査に適していることが分かる。
【0241】
〔実施例4〕(アレルギー疾患の検査方法としての適性の確認−3)
異なる重症度のアレルギー疾患の罹患者、アレルギー疾患の非罹患者それぞれの生体試料中のSCCA1濃度、SCCA2濃度を測定し、アレルギー疾患の検査方法としての適性を確認した。
【0242】
1.
測定試薬
(1)抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレート
前記実施例1の〔2〕の1の(1)の抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレートを用いた。
【0243】
(2)ビオチン標識抗SCCA1抗体
前記実施例1の〔2〕の1の(2)のビオチン標識抗SCCA1抗体を用いた。
【0244】
(3)ビオチン標識抗SCCA2抗体
前記実施例1の〔2〕の1の(3)のビオチン標識抗SCCA2抗体を用いた。
【0245】
(4)ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲート
前記実施例1の〔2〕の1の(4)のストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートを用いた。
【0246】
(5)洗浄液
前記実施例1の〔2〕の1の(5)の洗浄液を用いた。
【0247】
(6)希釈液
前記実施例1の〔2〕の1の(6)の希釈液を用いた。
【0248】
(7)発色基質
前記実施例1の〔2〕の1の(9)の発色基質を用いた。
【0249】
(8)反応停止液
前記実施例1の〔2〕の1の(10)の反応停止液を用いた。
【0250】
2.試料
(1)非アレルギー疾患試料
アレルギー疾患に罹患していないことが確認されている計77の血清検体を非アレルギー疾患試料とした。
【0251】
(2)アレルギー疾患試料〔軽症〕
アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎及び食物アレルギーの合併)に罹患していて軽症である計49の血清検体をアレルギー疾患試料〔軽症〕とした。
【0252】
(3)アレルギー疾患試料〔中等症〕
アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎及び食物アレルギーの合併)に罹患していて中等症である計34の血清検体をアレルギー疾患試料〔中等症〕とした。
【0253】
(4)アレルギー疾患試料〔重症〕
アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎及び食物アレルギーの合併)に罹患していて重症である計27の血清検体をアレルギー疾患試料〔重症〕とした。
【0254】
(5)アレルギー疾患試料〔最重症〕
アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎及び食物アレルギーの合併)に罹患していて最重症である計5の血清検体をアレルギー疾患試料〔最重症〕とした。
【0255】
3.測定
(1) 前記1の(1)の抗SCCA1・SCCA2抗体固相化マイクロプレートの各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで3回洗浄した。
【0256】
(2) 次に、前記2の(1)の計77の非アレルギー疾患試料それぞれを前記1の(6)の希釈液
でSCCA1濃度が0.2ng/mL以内となるように希釈し、そして、これらの100μLを各ウェルに分注した後、各ウェルの上をプレートシールで封をし、室温で一晩静置し、抗原抗体反応を行わせた。
【0257】
(3) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0258】
(4) 次に、前記1の(2)のビオチン標識抗SCCA1抗体を、前記1の(6)の希釈液で20ng/mLとなるように希釈し、この100μLを各ウェルに分注し、室温で90分間静置し、抗原抗体反応を行わせた。
【0259】
(5) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0260】
(6) 次に、各ウェルに、前記1の(4)のストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートを100μL分注し、室温で60分間静置し、「ビオチン−ストレプトアビジン」の結合反応を行わせた。
【0261】
(7) 次に、各ウェルを、前記1の(5)の洗浄液の250μLで5回洗浄した。
【0262】
(8) 次に、各ウェルに、前記1の(7)の発色基質を100μL分注し、室温で20分間静置し、標識酵素であるペルオキシダーゼによる発色反応を行わせた。
【0263】
(9) 次に、各ウェルに、前記1の(8)の反応停止液を100μL分注し、発色反応を停止させた。
【0264】
(10) 次に、各ウェルの液の吸光度(主波長:450nm、副波長:550nm)を測定し、前記の計77の非アレルギー疾患試料をそれぞれ測定した場合の吸光度を得た。
【0265】
(11) 次に、前記の測定により得られた吸光度から、前記の計77の非アレルギー疾患試料中のSCCA1の濃度を求めた。
なお、この各生体試料中のSCCA1の濃度は、前記の測定により得られた吸光度と、前記実施例1の〔2〕の2の(1)のSCCA1の濃度が既知であるSCCA1の精製標品を測定して得た吸光度とを対比して算出することにより得た。
【0266】
(12) 前記(2)における計77の非アレルギー疾患試料の代わりに、前記2の(2)の計49のアレルギー疾患試料〔軽症〕を用いる以外は、前記(1)〜(11)の記載の通りに行い、前記の計49のアレルギー疾患試料〔軽症〕中のSCCA1の濃度を得た。
【0267】
(13) 前記(2)における計77の非アレルギー疾患試料の代わりに、前記2の(3)の計34のアレルギー疾患試料〔中等症〕を用いる以外は、前記(1)〜(11)の記載の通りに行い、前記の計34のアレルギー疾患試料〔中等症〕中のSCCA1の濃度を得た。
【0268】
(14) 前記(2)における計77の非アレルギー疾患試料の代わりに、前記2の(4)の計27のアレルギー疾患試料〔重症〕を用いる以外は、前記(1)〜(11)の記載の通りに行い、前記の計27のアレルギー疾患試料〔重症〕中のSCCA1の濃度を得た。
【0269】
(15) 前記(2)における計77の非アレルギー疾患試料の代わりに、前記2の(5)の計5のアレルギー疾患試料〔最重症〕を用いる以外は、前記(1)〜(11)の記載の通りに行い、前記の計5のアレルギー疾患試料〔最重症〕中のSCCA1の濃度を得た。
【0270】
(16) 前記(2)においてSCCA2濃度が
0.2ng/mL以内となるように生体試料を希釈すること、前記(4)におけるビオチン標識抗SCCA1抗体の代わりに、前記1の(3)のビオチン標識抗SCCA2抗体を用いること、及び前記(11)のSCCA1の濃度が既知であるSCCA1の精製標品の代わりに、前記実施例1の〔2〕の2の(2)のSCCA2の濃度が既知であるSCCA2の精製標品を用いること以外は、前記(1)〜(15)の記載の通りに行い、前記の計77の非アレルギー疾患試料中のSCCA2の濃度、前記の計49のアレルギー疾患試料〔軽症〕中のSCCA2の濃度、前記の計34のアレルギー疾患試料〔中等症〕中のSCCA2の濃度、前記の計27のアレルギー疾患試料〔重症〕中のSCCA2の濃度、及び前記の計5のアレルギー疾患試料〔最重症〕中のSCCA2の濃度を得た。
【0271】
4.測定結果
(1) 前記の計77の非アレルギー疾患試料、前記の計49のアレルギー疾患試料〔軽症〕、前記の計34のアレルギー疾患試料〔中等症〕、前記の計27のアレルギー疾患試料〔重症〕、及び前記の計5のアレルギー疾患試料〔最重症〕のそれぞれについて、前記3の測定で得たSCCA1の濃度の範囲を、罹患の有無及び各重症度毎にまとめて、
図6の(A)に示した。
この図において、横軸は、非アレルギー疾患試料(「なし」と表示)、アレルギー疾患試料〔軽症〕、アレルギー疾患試料〔中等症〕、アレルギー疾患試料〔重症〕、及びアレルギー疾患試料〔最重症〕の別を示し、縦軸は測定により得たSCCA1の濃度〔ng/ml(ng/mL)〕を示す。
【0272】
(2) 前記の計77の非アレルギー疾患試料、前記の計49のアレルギー疾患試料〔軽症〕、前記の計34のアレルギー疾患試料〔中等症〕、前記の計27のアレルギー疾患試料〔重症〕、及び前記の計5のアレルギー疾患試料〔最重症〕のそれぞれについて、前記3の測定で得たSCCA2の濃度の範囲を、罹患の有無及び各重症度毎にまとめて、
図6の(B)に示した。
この図において、横軸は、非アレルギー疾患試料(「なし」と表示)、アレルギー疾患試料〔軽症〕、アレルギー疾患試料〔中等症〕、アレルギー疾患試料〔重症〕、及びアレルギー疾患試料〔最重症〕の別を示し、縦軸は測定により得たSCCA2の濃度〔ng/ml(ng/mL)〕を示す。
【0273】
5.まとめ
前記の
図6の(A)及び(B)より、アレルギー疾患〔重症〕の範囲とアレルギー疾患〔中等症〕の範囲の重なり度合いは、SCCA2濃度測定の場合よりもSCCA1濃度測定の場合の方が、重なり度が大きいことが分かる。
すなわち、SCCA1の濃度を測定するよりも、SCCA2の濃度を測定する方が、アレルギー疾患の重症度をより明確に区別することができる点で、アレルギー疾患の検査方法として優れていることが確かめられた。