特許第5750647号(P5750647)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750647
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】紙折装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/16 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
   B65H45/16
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-17707(P2011-17707)
(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-158409(P2012-158409A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2013年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】中村 智哉
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−260671(JP,A)
【文献】 特開昭60−015358(JP,A)
【文献】 特開2010−137937(JP,A)
【文献】 特開平11−049396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00−37/06
B65H 41/00
B65H 45/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する用紙搬送手段と、
前記用紙搬送手段により搬送された用紙の先端側が挿入される用紙挿入空間、及び、前記用紙挿入空間内において用紙の先端が当接する用紙突き当て部材を設けてなる折トレイと、
前記用紙突き当て部材にその先端が当接した用紙の後端側に設けられ、前記用紙搬送手段による搬送に伴って形成された湾曲部分を挟み込んで用紙を折り重ねる一対の折りローラとを備えた紙折装置であって、
一対の折りローラへ前記湾曲部分を案内するガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、揺動自在に軸支され、用紙挿入空間に挿入された用紙の先端が該ガイド部材の一端部に接触することで、該ガイド部材の他端部が用紙の後端側を押えるよう揺動することを特徴とする紙折装置。
【請求項2】
折トレイを用紙の搬送経路に複数設け、少なくとも用紙搬送方向下流側の折トレイにガイド部材を設けた請求項1に記載の紙折装置。
【請求項3】
用紙搬送手段は、用紙を2つの折片に区画する第1折線で前記用紙を折り返し、二つ折りにした状態で、前記第1折線を先頭にして搬送する一対の搬送ローラを備え、
用紙挿入空間は、前記一対の搬送ローラによる前記用紙の搬送方向に対し、前記用紙を一方の折片側へ傾斜させつつ前記用紙を挿入させる一対の板状部材により形成され、
一対の折りローラは、前記第1折線を突き当て部材に突き当てた状態で、前記用紙の後端側を搬送手段により搬送することで、他方の折片に湾曲部分を形成し、形成された湾曲部分を挟み込み、用紙に第2折線を形成するとともに、一方の折片を他方の折片の内方へ折り畳んで用紙を内三つ折りするものであり、
ガイド部材は、第1折線が一端部に接触して揺動し、他端部が一方の折片の少なくとも後端部を他方の折片に押し付け、密着させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の紙折装置。
【請求項4】
ガイド部材は、用紙挿入空間への用紙未挿入時、該ガイド部材の他端部が用紙に接触する接触位置から退避した退避位置に移動可能に構成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の紙折装置。
【請求項5】
ガイド部材は、用紙挿入空間への用紙未挿入時、該ガイド部材の一端部が用紙挿入空間を横切って設置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の紙折装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙折装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙を折り畳む紙折装置について、下記特許文献1には、用紙の剛性、カール等に関わらず正確に2つ折り或いは3つ折りを可能とし、搬送異常や折り不良等の異常発生が少なく、トラブル処理等による生産性の低下を抑制することを目的として、第1回目の折りが行われた用紙を、用紙挿入空間に挿入したことにより揺動されるレバーと、レバーの揺動により第1回目の折りが行われた用紙表面を一対のローラのニップ部に向けて付勢可能とする付勢部材とを有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−6566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の紙折装置では、レバーと、該レバーの揺動により作動する付勢手段という複数の部材を用いて用紙を一対の折りローラへ案内するので、構造が複雑となり、コストが高くなる。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、用紙を適正に折り畳むことができ、簡単な構造により安価に製造することが可能な紙折装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる紙折装置は、用紙を搬送する用紙搬送手段と、前記用紙搬送手段により搬送された用紙の先端側が挿入される用紙挿入空間、及び、前記用紙挿入空間内において用紙の先端が当接する用紙突き当て部材を設けてなる折トレイと、前記用紙突き当て部材にその先端が当接した用紙の後端側に設けられ、前記用紙搬送手段による搬送に伴って形成された湾曲部分を挟み込んで用紙を折り重ねる一対の折りローラとを備えた紙折装置であって、一対の折りローラへ前記湾曲部分を案内するガイド部材を備え、前記ガイド部材は、揺動自在に軸支され、用紙挿入空間に挿入された用紙の先端が該ガイド部材の一端部に接触することで、該ガイド部材の他端部が用紙の後端側を押えるよう揺動するものである。
【0007】
また、前記構成において、折トレイを用紙の搬送経路に複数設け、少なくとも用紙搬送方向下流側の折トレイにガイド部材を設けたものである。
【0008】
そして、前記各構成において、用紙搬送手段は、用紙を2つの折片に区画する第1折線で前記用紙を折り返し、二つ折りにした状態で、前記第1折線を先頭にして搬送する一対の搬送ローラを備え、用紙挿入空間は、前記一対の搬送ローラによる前記用紙の搬送方向に対し、前記用紙を一方の折片側へ傾斜させつつ前記用紙を挿入させる一対の板状部材により形成され、一対の折りローラは、前記第1折線を突き当て部材に突き当てた状態で、前記用紙の後端側を搬送手段により搬送することで、他方の折片に湾曲部分を形成し、形成された湾曲部分を挟み込み、用紙に第2折線を形成するとともに、一方の折片を他方の折片の内方へ折り畳んで用紙を内三つ折りするものであり、ガイド部材は、第1折線が一端部に接触して揺動し、他端部が一方の折片の少なくとも後端部を他方の折片に押し付け、密着させるものである。
【0009】
更に、前記各構成において、ガイド部材は、用紙挿入空間への用紙未挿入時、該ガイド部材の他端部が用紙に接触する接触位置から退避した退避位置に移動可能に構成されてなるものである。
【0010】
更に、前記各構成において、ガイド部材は、用紙挿入空間への用紙未挿入時、該ガイド部材の一端部が用紙挿入空間を横切って設置されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る紙折装置によれば、一対の折りローラへ前記湾曲部分を案内するガイド部材を備え、ガイド部材は、揺動自在に軸支され、用紙挿入空間に挿入された用紙の先端が該ガイド部材の一端部に接触することで、該ガイド部材の他端部が用紙の後端側を押えるよう揺動するので、ガイド部材によって容易に用紙の湾曲部分を一対の折ローラへ適正に案内することができ、ガイド部材は一の部材から構成されているので、簡単な構造により安価に製造することが可能である。
【0013】
また、折トレイを用紙の搬送経路に複数設け、少なくとも用紙搬送方向下流側の折トレイにガイド部材を設けた場合には、用紙を複数の折線で折り畳む際、2番目以降に形成される折線を、適正に形成可能である。
【0014】
そして、用紙が内三つ折される際、用紙に形成された第1折線にガイド部材の一端部が接触して揺動し、ガイド部材の他端部が一方の折片の少なくとも後端部を他方の折片に押し付け、密着させる場合には、一方の折片の後端部に意図しない折線が形成されることなく、適正に内三つ折することができる。
【0015】
そして、ガイド部材は、用紙挿入空間への用紙未挿入時、該ガイド部材の他端部が用紙に接触する接触位置から退避した退避位置に移動可能に構成されてなる場合は、用紙を用紙挿入口から用紙挿入空間へ容易に導き挿入させることができる。
【0016】
更に、ガイド部材は、用紙挿入空間への用紙未挿入時、該ガイド部材の一端部が用紙挿入空間を横切って設置される場合は、用紙挿入空間に挿入された用紙の先端が、ガイド部材の一端部に確実に接触することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る紙折装置を用いた用紙加工処理装置の外観斜視図である。
図2】前記用紙加工装置の内部の構成を示す縦断面図である。
図3】前記製紙装置による用紙の折り畳み方法を示す図である。
図4】前記製紙装置の第2折トレイの下部の拡大斜視図である。
図5】前記第2折トレイの一の切欠き部及びガイド部材の拡大斜視図である。
図6】前記切欠き部及びガイド部材の拡大断面図である。
図7】前記紙折装置の使用態様図である。
図8】前記紙折装置の使用態様図である。
図9】前記紙折装置の使用態様図である。
図10】前記紙折装置の使用態様図である。
図11】前記紙折装置の使用態様図である。
図12】従来の紙折装置の使用態様図である。
図13】従来の紙折装置の使用態様図である。
図14】従来の紙折装置により折り畳まれた用紙を示す図である。
図15参考例として示す紙折装置の第2折トレイの下部の拡大斜視図である。
図16】別の実施形態に係る紙折装置の使用態様図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図1図6を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る紙折装置を用いた用紙加工装置としてのメールシーラー装置の全体斜視図であり、図2は、内部の構成を示す縦断面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、メールシーラー装置10は、装置本体12の両側に、給紙部3と紙受台6とを設けており、給紙部3と紙受台6との間の装置本体12の中央部に、紙折部4と、圧着部5とを設けてなる。給紙部3から供給された用紙2(カット紙)は、紙折部4において3つに折り畳まれた後に、圧着部5にてプレスされ、圧着された用紙2が紙受台6に排出される。
【0021】
装置本体12の上部には、操作パネル14とダイヤル46とが設けられている。操作パネル14は、表示パネル14aと操作キー14bとを含む。ダイヤル46を回転すると、圧着部5に設置された一対のシーラーローラ42,44間の隙間を調整できるようになっている。
【0022】
給紙部3は、給紙台22と、給紙ローラ26と、さばき板27と、搬送ローラ対29を含む。給紙台22は、用紙2を載置するものであり、不図示のばねによって給紙ローラ26側に、すなわち図において上向きに、弾力的に付勢され、給紙台22上に載置された用紙2が給紙ローラ26に圧接するようになっている。
【0023】
給紙ローラ26は、給紙台22上の用紙2のうち最上位の用紙2を1枚ずつ下流側へ送り出すものである。さばき板27は、給紙台22から用紙2が重なった状態で送り出されたときに下側の用紙2に接触し、下側の用紙2が送り出されないようにする。用紙通過センサ28a、28bは、例えば透過型センサであり、上側のセンサ28aが受光部、下側のセンサ28bが発光部であり、用紙2の通過を検出する。
【0024】
紙折部4は、紙折装置40により構成され、用紙2の2箇所に折線を形成し用紙2を内三つ折するものである。即ち、図3(a)に示すように、用紙2を2つの折片19,20に区画する第1折線24を形成した後、同図(b)に示すように、第1折線24が形成された用紙2に第2折線25を形成し、一方の折片19である内折片17を、他方の折片20である外折片18の内方へ折り畳んで用紙2を内三つ折する。
【0025】
紙折部4には、用紙2を搬送する用紙搬送手段31と、用紙搬送手段31の上方に設置された第1折トレイ33及び第2折トレイ34からなる2つの折トレイ32とを備えている。用紙搬送手段31は、用紙搬送経路に沿って上下に交互に配置された第1乃至第5の5つの搬送ローラ35〜39と、ターンガイド41とを有する。
【0026】
第1搬送ローラ35と第2搬送ローラ36とは、搬送ローラ対29から送られた用紙を第1折トレイ33に向けて搬送する。また、第2搬送ローラ36と第3搬送ローラ37とは、第1折トレイ33の後述する用紙突き当て部材50に先端が当接した用紙2の後端側に設けられ、用紙2の搬送に伴って形成された湾曲部分48を挟み込んで用紙2を折り重ね、用紙2を2つの折片に区画する第1折線24を形成する一対の折ローラ51,52として機能する。
【0027】
そして、第3搬送ローラ37と第4搬送ローラとは、第1折線24で折り返され、二つ折りにされた状態で、用紙2を、第1折線24を先頭にして搬送する一対の搬送ローラとして機能する。第4搬送ローラ38と第5搬送ローラ39とは、第2折トレイ34の用紙突き当て部材50に先端となる第1折線24が当接した用紙2の後端側に設けられ、第3搬送ローラ37及び第4搬送ローラ38による搬送に伴って外折片18に湾曲部分49を形成し、形成された湾曲部分49を挟み込み、用紙2に第2折線25を形成するとともに、内折片17を外折片18の内方へ折り畳んで用紙2を内三つ折りする一対の折りローラ53,54として機能する。
【0028】
第1折トレイ33は、用紙2を2つの折片19,20に区画する第1折線24を形成するよう用紙2を案内し、第2折トレイ34は、第1折線24で折り返され、二つ折りにされた状態で、第1折線24を先頭にして搬送される用紙2に第2折線25を形成するよう用紙2を案内する。第1折トレイ33および第2折トレイ34は、装置本体12に設けられた差込部56に抜き差しできるようになっている。
【0029】
図2に示すように、第1折りトレイ33及び第2折トレイ34は、ともに第1、第2ローラ35、36及び第3,4搬送ローラ37、38による用紙2の搬送方向に対し、用紙2を所定角度傾斜させつつ用紙2を挿入させる対向配置された前板58及び後板59からなる一対の板上部材57を備えている。前板58は、用紙2の搬送方向下流側に、後板59は、用紙2の搬送方向上流側に設置され、前板58と後板59との間に、用紙2が挿入される用紙挿入空間62,63が形成されている。第2折トレイ34に形成された用紙挿入空間63は、第3搬送ローラ37及び第4搬送ローラ38による用紙2の搬送方向に対し、用紙2を内折片側へ傾斜させつつ用紙2を挿入させるようになっている。
【0030】
前板58の下部は、断面視直線状に形成されてなる平面部67を有する一方(図5参照)、後板59の下部は後方に湾曲して形成された湾曲部68を有する。この平面部67と湾曲部68との間の空間は、用紙挿入空間62、63に連通する用紙挿入口65となっており、用紙挿入口65は、用紙2が容易に用紙挿入空間63に挿入されるよう下端部に近づくにしたがって拡開して形成されている。
【0031】
更に、第1折トレイ33及び第2折トレイ34には、それぞれ用紙挿入空間62、63内において用紙2の先端が当接する用紙突き当て部材50が、用紙挿入空間62,63を横断して設けられている。第1折トレイ33の用紙突き当て部材50は後板59に、第2折トレイ34の用紙突き当て部材50は前板58にそれぞれ高さ調整自在に支持されている。
【0032】
図4は、第2折トレイ34の下部の拡大斜視図である。第2折トレイ34の下部には、一対の折りローラ53,54としての第4搬送ローラ38及び第5版沿うローラ39へ湾曲部分49を案内するガイド部材60を備えている。このガイド部材60は、第2折トレイ34の後板59の湾曲部68の幅方向に沿って、複数形成された切欠き部69に設置され、揺動自在に軸支されてなる。そして、ガイド部材60は、用紙挿入空間63に挿入された用紙2の先端に該ガイド部材60の一端部71が接触することで、該ガイド部材60の他端部72が用紙2の後端側を押えるよう揺動する。
【0033】
図5は、一の切欠き部69及びガイド部材60の拡大斜視図、図6は、切欠き部69及びガイド部材60の拡大断面図である。ガイド部材60は、短冊状に形成され、切欠き部69内に収容された揺動部74と、揺動部74の長手方向略中央部で横方向に延びる支持腕部75とを備えている。
【0034】
揺動部74は、用紙挿入空間63に挿入された用紙2の先端となる第1折線24が、該揺動部74の一端部に接触して揺動し、該ガイド部材60の他端部が用紙2の後端側にある一方の折片19としての内折片17の少なくとも後端部を、他方の折片20としての外折片18に押し付け、密着させる。揺動部74の一端部及び他端部は、揺動部74の上下両端部近傍位置で屈曲して形成された上屈曲部77及び下屈曲部78により構成される。
【0035】
支持腕部75の左右両端部には、矩形状に形成された固着部80を設けており、該固着部80に貼り付けられた両面テープ等の接着材により、湾曲部68の外側の面の切欠き部69の両側に該固着部80が固着されている。
【0036】
ガイド部材60は用紙挿入空間63に用紙2が挿入されていない状態では、上屈曲部77が用紙挿入空間83bを横切って設置された傾斜姿勢を維持し、上屈曲部77の上端部が前板58に形成された五角形状の窓部81に挿通され、前方へ突出している。一方、用紙挿入空間63に用紙2が挿入された状態では、用紙2の先頭部分である第1折線24が、用紙挿入空間63を横断する上屈曲部77に接触し、その後、用紙搬送手段31が用紙2の後端側を搬送することで、用紙2の先端が上屈曲部77を押し上げる。これにより、揺動部74を、支持腕部75を軸心に、図6において反時計回りに揺動させ、破線で示すように、ガイド部材60は起立姿勢となる。
【0037】
ガイド部材60の下屈曲部78は、用紙挿入空間63に用紙2が挿入され、揺動部74が起立姿勢となった際、用紙2に接触する接触位置にある。用紙挿入空間63から用紙2が抜き取られた、或いは未だ用紙2が挿入されていないときには、下屈曲部78は用紙2の後端側に接触する接触位置から退避した退避位置に移動する。これは、支持腕部75が捩れた状態から元の状態へ復元しようことによる。即ち、用紙2が上屈曲部77に接触している間は、支持腕部75が捩れた状態となっており、用紙2が用紙挿入空間63から抜き取られると、上屈曲部77が用紙2に押えられた状態から解放され、支持腕部75の捩れが元に戻ろうとするからである。
【0038】
下屈曲部78が用紙2への接触位置から退避位置へと移動することにより、揺動部74の下部は後板59の湾曲部68より後方へ退避し、用紙挿入口65は下方に行くに従い広く拡開され、用紙挿入空間63へ用紙2を容易に導き挿入することができる。
【0039】
圧着部5は、用紙2の流れを検出する用紙通過センサ83,84と、搬送ローラ対86,87,88と、一対のシーラーローラ42,44とを備える。用紙通過センサ83,84は、例えば反射型センサである。
【0040】
シーラーローラ42,44は、ダイヤル46を回転すると、上側のシーラーローラ42が下側のシーラーローラ44に対して接離する方向に平行を保ちながら移動し、シーラーローラ42,44間の隙間を調整できるようになっている。
【0041】
紙受台6は、大略、立板90と底板91とが断面L字状に結合されている。
【0042】
紙受台6は、装置本体12の用紙出口93に立板90の上部が対向し、用紙出口93から排出された用紙2の先端が立板90に当たり、用紙出口93から排出された用紙2が底板91の上に積み重ねられるようになっている。
【0043】
次に、メールシーラー装置10の動作について説明する。動作の概略に関し、給紙台22に圧着用接着剤の塗布された用紙2を載置し、操作パネル14の所定の操作キー14bが操作され、制御部9に操作キー14bからの信号が入力されると、制御部9は運転を開始させ、給紙台22上の用紙2は、所定の給紙タイミングで上から1枚ずつ搬送され、紙折部4で所定形状に折り畳まれた後、圧着部5のシーラーローラ42,44間を通過する際にプレスされ、折り畳まれ圧着された状態の用紙2が、紙受台6の底板52b上に積み重ねられる。
【0044】
次に、紙折部4における動作について、図7図11を参照しながら詳細に説明する。図7図11は、紙折り動作を模式的に示す説明図である。図7、11に示すように、第1折トレイ33及び第2の折トレイ34の各用紙突き当て部材50の一対の折ローラ51,52,53,54のニップ部からの高さは、ともに用紙2長さの1/3程度に設定することで、用紙2を内三つ折に折り畳むことができる。
【0045】
図7に示すように、給紙部3から送られた用紙2を、第1搬送ローラ35と第2搬送ローラ36との間に挟持し両ローラを回転すると、用紙2の先端95が第1折トレイ33の平面部67に当たって上方へ案内され、用紙挿入口65から用紙挿入空間63内へ挿入され、用紙突き当て部材50に当接する。この状態で更に第1搬送ローラ35及び第2搬送ローラ36を回転して用紙2の後端側を送り出すことで、用紙2は図8に示すよう湾曲し、この湾曲部分48を第2搬送ローラ36及び第3搬送ローラ35の間に挟み込んで用紙2を折り重ね、下流側へ搬送する。これにより、第1折線24が形成される。
【0046】
図9に示すように、用紙2は、第1折線24で折り返され、内折片17が上に外折片18が下になり重ね合わされた状態で下流側のターンガイド41へと搬送され、ターンガイド41に接触して上方へ案内され、第3搬送ローラ37及び第4搬送ローラ38の間に挟持され、第2折トレイ34へと搬送される。
【0047】
第2折トレイ34のガイド部材60の下屈曲部78は、湾曲部68より退避し外方に位置しているため、用紙挿入口65は広く開放されている。このように、下屈曲部78が屈曲して形成されているので、用紙挿入口65に搬送されてきた用紙2の搬送の妨げになることなく、適正に用紙挿入空間63へ導くことができる。
【0048】
そして、第1折線24が用紙2の先頭となって用紙挿入口65に進入し、平面部67に当接して上方へ案内され、用紙挿入空間63内へ挿通される。第1折線24が上屈曲部77に接触すると、揺動部74は支持腕部75を軸心に図9において反時計回りに回転し、下屈曲部78が同図において右方へ移動し、図10に示すように、下屈曲部78の屈曲部分79が送られてくる用紙2の後端側に接触する。
【0049】
この用紙挿入空間63に挿入されてきた用紙2が揺動部74に接触する際、上屈曲部77が屈曲して形成され、用紙挿入空間63を横切って設置されるので、用紙2の先端に確実に接触することができる。また、用紙挿入空間63において上屈曲部77が、やや傾斜して設置されているので、用紙挿入空間63の長手方向に対し直交して設置される場合に比較して、小さい力で揺動部74を揺動させることができ、用紙2がコシの弱い薄い紙等であっても、内折片17を前板58側へ押し付けることが可能である。
【0050】
下屈曲部78は、用紙2に接触して、用紙2を前板58側へ押すことで、内折片17を外折片18に押し付け、密着させる。揺動部74が揺動した後、第3搬送ローラ37及び第4搬送ローラ38が用紙2の後端側を更に搬送することで、図11に示すように、第1折線24が第2折トレイ34の用紙突き当て部材50に突き当たり、該用紙突き当て部材50に第1折線24が当接した用紙2の後端側を更に搬送することで、外折片18に湾曲部分49が形成される。
【0051】
下屈曲部78は、第4搬送ローラ38及び第5搬送ローラ39の間に、形成された湾曲部分49を案内し、第4搬送ローラ38及び第5搬送ローラ39がこの湾曲部分48を挟み込み、用紙2に第2折線25を形成するとともに、内折片17を外折片18の内方へ折り畳んで用紙2を内三つ折りする。
【0052】
仮に、本実施形態のように、ガイド部材60を設けることなく、ガイド部材60の下屈曲部78が用紙2の後端側を押えなかった場合には、図12に示すように、内折片17の後端部17aが、外折片18から離れた状態となり、このままで湾曲部分49が第4搬送ローラ38及び第5搬送ローラ39に挟持搬送されると、図13に示すように、内折片17の後端部17aの近傍位置で折り返され、折線16が形成されてしまう。この結果、図14(a)〜(c)に示すように、内折片17の後端部17a近傍を矩形状や三角形状に折り畳む折線16が形成されることとなる。特に、内折片17の後端部がカールしていた場合等には、図14(b)、(c)に示すように、内折片17の後端部17aの幅方向いずれか一方または双方の端部が三角形状に折り返される不具合を生じやすくなる。
【0053】
しかし、本実施形態では、ガイド部材60を設けたので、湾曲部分49を第4搬送ローラ38及び第5搬送ローラ39へ案内することができる。また、ガイド部材60によって内折片17の少なくとも後端部を外折片18に押しつけ、密着させることで、適正に内三つ折することができる。
【0054】
そして、ガイド部材60は一の部材から構成されているので、簡単な構造により安価に製造することが可能である。ガイド部材60が揺動することで他の部材(図示しない)を移動させ、該他の部材により用紙2を抑える場合に比較して、単純な機構により確実に用紙2を押えることができ、各部の故障や紙詰まり、搬送不良等といった不具合が生じにくい。
【0055】
ガイド部材60が合成樹脂により形成されている場合には、金属等により形成する場合に比較して、より小さい力で揺動させることができる。また、用紙2がガイド部材60に接触した後用紙突き当て部材50まで搬送される間に、用紙2とガイド部材60との間に生じる摩擦を小さくすることができる。
【0056】
これにより、用紙2の先端がガイド部材を揺動させるのに必要な力が大きいため、用紙2が用紙突き当て部材50の設置位置まで到達することなく、その手前のガイド部材60の設置位置で、用紙2の先端の移動がガイド部材60によって阻害されてしまうといったことがない。用紙2の先端がガイド部材に突き当たり湾曲部分48が形成されてしまうと、本来予定していた位置とは異なる位置に第2折線を形成し、正しい位置で折り畳むことができなくなるが、そのようなことは生じにくくなる。
【0057】
紙折部4で内三つ折にされた用紙2は、第4搬送ローラ38と第5搬送ローラ39とによって圧着部5へと搬送され、圧着部5において、一対のシーラーローラ42,44の間に用紙2を圧着し、紙受台6へ排出する。
【0058】
以上より、本実施形態では、ガイド部材60が用紙2の内折片17の少なくとも下端部を押し付け外折片18へ密着させるので、自由端となっている内折片17の端縁が第2折線より手間位置で折り返されることなく、適正に内三つ折することができる。また、下屈曲部78は、外折片18に接触するのではなく、内折片17自体に直に接触するので、外折片18を押えたことによって間接的に内折片17を外折片18に沿わせるといった不安定な作用ではなく、内折片17自体を直に押さえつけ、該内折片17を確実に外折片に密着させ、適正に内三つ折することができる。
【0059】
そして、ガイド部材60が用紙搬送手段31による用紙2の搬送方向に対し、用紙2を内折片17側へ傾斜させつつ用紙挿入空間63へと案内し、用紙2を挿入させるので、外折片18を正しい方向へ湾曲させ、湾曲部分49を一対の折ローラに挟み込ませることができる。
【0060】
次に、参考例として示す紙折装置について説明する。図15は、参考例として示す紙折装置40aの第2折トレイ34aの下部の拡大斜視図である。参考例では、ガイド部材60aは、揺動部74aの上部が湾曲部68の幅方向に延びる揺動軸96に固設されてなる。
【0061】
揺動軸96は、歯車97、ラック98、ソレノイド99からなる駆動部94に連結され、ソレノイド99の先端100が所定のタイミングで突出し、ラック98を回動中心92を中心に回動させることで、歯車97を回動し、揺動軸96を回動して揺動部74aを揺動させるようになっている。
【0062】
後板59の湾曲部68の上方位置の略幅方向中央部には、第2折トレイ34aの用紙挿入空間63aに用紙2が挿入されたことを検出するセンサ89が設置されている。用紙2が第1折線24を先頭に用紙挿入空間63aに挿入されると、センサ89が用紙2の通過を検出し、制御部(図示省略)は、ソレノイド99を作動し、揺動軸96を回動させ、揺動部74aの下屈曲部78aを退避位置から用紙接触位置へ揺動させる。これにより、第1折線24が形成された用紙2の内折片17の少なくとも後端部17aを押え、外折片18に密着させ、適正に内三つ折することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。即ち、上記実施形態では、紙折装置40をメールシーラー装置1,1aに用いたが、これに限定されず、他の紙加工処理装置に用いてもよい。例えば、本紙折装置を圧着部のない紙折処理のみを行う装置に用いてもよく、本紙折装置により折り畳まれた用紙を自動で又は手動で市販の封筒へ封入し、封緘処理する際に用いるなどしてもよい。また、複写、FAX等の機能を備えた複合機の内部に、本紙折装置を収容し、印刷物の後処理部として用いてもよい。
【0064】
また、ガイド部材60,60aを、用紙2に第2折線25を形成する第2折トレイ34,34aに設けたが、これに限定されず、第1折線を形成する第1折トレイに設けてもよく、用紙を内三つ折に替えて、二つ折りや外三つ折するための折トレイに設けてもよい。その場合には、ガイド部材が一対の折りローラへ用紙の湾曲部分を案内することにより、適正に折線を形成し、用紙を折り畳むことができる。
【0065】
また、第1折トレイ33及び第2折トレイ34を用紙搬送手段31の上方に設置したが、両折トレイを用紙搬送手段の下方に設けてもよく、いずれか一方のみを下方に設けてもよい。第1折トレイを用紙搬送手段の上方に、第2折トレイを下方に設ける場合には、図16に示すように、上記実施形態におけるターンガイド41設置位置となる第3搬送ローラ37の下方に第2折トレイ34bを設置する。第3搬送ローラ37、第4搬送ローラ38は第2折線24を形成する一対の折ローラ53,54として機能する。
【0066】
また、図16に示す場合、第1折トレイ33aにおける用紙突き当て部材(図示省略)の一対の折ローラ51,52としての第2搬送ローラ36及び第3搬送ローラ37のニップ部からの高さは、折り畳む用紙2の長さの3分の2とし、第2折トレイ34bの用紙突き当て部材50aの一対の折ローラ53,54のニップ部からの長さは、折り畳む用紙2の長さの3分の1とする。
【0067】
図16に示す紙折装置40bにより用紙2を内三つ折する際は、第1折トレイ33aの用紙突き当て部材に用紙2の先端を当接させ、第1の搬送ローラ35及び第2搬送ローラ36で用紙2を搬送し、該用紙の先端から3分の2の長さの箇所を湾曲させ、第2搬送ローラ36及び第3搬送ローラ37によりこの湾曲部分を挟持搬送して、第1折線24を形成する。その後、内方に収容される内折片17を下側に、外折片18を上側として第2搬送ローラ36及び第3搬送ローラ37により、第1折線24を先頭にして二つ折りにした用紙2を搬送する。
【0068】
第2折トレイ34bに至った用紙2は、用紙挿入空間63aに挿入される際、ガイド部材60bの上屈曲部77aに接触してガイド部材60bを揺動させ、下屈曲部78aが内折片17の少なくとも後端部を外折片18に押し付け、密着させる。その後、第2折トレイ34bの用紙突き当て部材50aに第1折線24が当接し、この状態で更に、第2の搬送ローラ36及び第3搬送ローラ37によって用紙2を搬送することで外折片18に湾曲部分49を形成し、第3搬送ローラ37及び第4搬送ローラ38によりこの湾曲部分を挟持搬送して、第2折線25を形成するとともに用紙2を内三つ折する。
【符号の説明】
【0069】
2 用紙
19 一方の折片
20 他方の折片
24 第1折線
25 第2折線
31 用紙搬送手段貯留部
32 折トレイ
37,38 搬送ローラ
40,40a,40b 紙折装置
49 湾曲部分
50,50a 用紙突き当て部材
57 板状部材
51,52,53,54 折りローラ
60,60a、60b ガイド部材
63,63a 用紙挿入空間
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10
図11
図12
図13
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図16