特許第5750744号(P5750744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社MRSホールディングズの特許一覧

<>
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000002
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000003
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000004
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000005
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000006
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000007
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000008
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000009
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000010
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000011
  • 特許5750744-バーコード表示装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750744
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】バーコード表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/06 20060101AFI20150702BHJP
   G06K 1/12 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   G06K19/06 112
   G06K19/06 018
   G06K1/12 A
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-151006(P2013-151006)
(22)【出願日】2013年7月19日
(65)【公開番号】特開2015-22578(P2015-22578A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2014年12月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509260949
【氏名又は名称】株式会社MRSホールディングズ
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】松原 高司
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−117372(JP,A)
【文献】 特開2012−73482(JP,A)
【文献】 特開2003−115025(JP,A)
【文献】 特開平1−177182(JP,A)
【文献】 特開平5−342385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/06
G06K 1/12
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコード画像を表示するためのディスプレイと、
バーコード画像を生成するための情報であるバーコード画像情報を取得するバーコード画像情報取得部と、
バーコード画像を表示すべきディスプレイ画面上の表示領域を取得する表示領域取得部と、
取得された表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像情報を用いてバーコード画像を表示するバーコード表示部と、
を有するバーコード表示装置。
【請求項2】
前記バーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色は白である請求項1に記載のバーコード表示装置。
【請求項3】
ディスプレイ端から濃色バーに至る間に表示される前記バーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色の幅は少なくとも2ミリメートル以上である請求項1又は2に記載のバーコード表示装置。
【請求項4】
バーコードの表示に際してディスプレイ画面の向きが縦型表示状態であるために、バーコード画像の左右両端の濃色バーからディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として表示することができない場合にはディスプレイ画面の向きを横型の表示状態として取得したバーコード画像を表示する決定をする表示方向決定部を有する請求項1から3のいずれか一に記載のバーコード表示装置。
【請求項5】
表示領域取得部は、取得した複数のバーコード画像を縦方向に並べて同時に表示するための表示領域を取得する同時表示領域取得手段を有し、
バーコード表示部は、表示しようとするバーコードが前記複数同時表示である場合には、上下に並ぶバーコード間のディスプレイ上の色をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像を表示する複数同時表示手段を有する請求項1から4のいずれか一に記載のバーコード表示装置。
【請求項6】
前記バーコード表示部は、ディスプレイの表示輝度を最大にしてバーコード画像を表示する最大輝度表示手段を有する請求項1から5のいずれか一に記載のバーコード表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載のバーコード表示装置を備えた携帯端末。
【請求項8】
バーコード画像を表示するためのディスプレイを有するバーコード表示装置の動作方法であって、
バーコード画像を生成するための情報であるバーコード画像情報を取得するバーコード画像情報取得ステップと、
バーコード画像を表示すべきディスプレイ画面上の表示領域を取得する表示領域取得ステップと、
取得された表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像情報を用いてバーコード画像を表示するバーコード表示ステップと、
を計算機に実行させるバーコード表示装置の動作方法。
【請求項9】
バーコード画像を表示するためのディスプレイを有するバーコード表示装置において、
バーコード画像を生成するための情報であるバーコード画像情報を取得するバーコード画像情報取得ステップと、
バーコード画像を表示すべきディスプレイ画面上の表示領域を取得する表示領域取得ステップと、
取得された表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像情報を用いてバーコード画像を表示するバーコード表示ステップと、
をバーコード表示装置の計算機に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置などのディスプレイに読み取り精度の高いバーコード画像を表示するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気や水道、ガスなどの利用料金の支払いに際してバーコードが印刷された払込票等をコンビニエンスストアなどに提示して支払いを行っていた。しかし、近年では携帯電話機のディスプレイにバーコードを表示して提示することで支払いが行われるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−115025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ディスプレイに表示されるバーコード画像は、印刷されたバーコード画像に比べバーコードリーダでの読み取り精度が低いというのが現状である。読み取り精度の低さは、例えば、種々存在する携帯電話機等の表示機能にばらつきがあることや、バーコードリーダの読み取り能力が十分ではないことなどの様々な要因が考えられる。そこで、本発明は、バーコード画像をディスプレイにどのように表示させるかという観点から、バーコード画像の読み取り精度を高めることを図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明において、以下のバーコード表示装置などを提供する。すなわち、バーコード画像を表示するためのディスプレイと、バーコード画像を生成するための情報であるバーコード画像情報を取得するバーコード画像情報取得部と、バーコード画像を表示すべきディスプレイ画面上の表示領域を取得する表示領域取得部と、取得された表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像情報を用いてバーコード画像を表示するバーコード表示部と、を有するバーコード表示装置を提供する。
【0006】
また、上記構成を備え、上記バーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色は白であるバーコード表示装置を提供する。また、ディスプレイ端から濃色バーに至る間に表示される上記バーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色の幅は少なくとも2ミリメートル以上であるバーコード表示装置を提供する。また、バーコードの表示に際してディスプレイ画面の向きが縦型表示状態であるために、バーコード画像の左右両端の濃色バーからディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として表示することができない場合にはディスプレイ画面の向きを横型の表示状態として取得したバーコード画像を表示する決定をする表示方向決定部を有するバーコード表示装置を提供する。また、上記表示領域取得部は、取得した複数のバーコード画像を縦方向に並べて同時に表示するための表示領域を取得する同時表示領域取得手段を有し、バーコード表示部は、表示しようとするバーコードが前記複数同時表示である場合には、上下に並ぶバーコード間のディスプレイ上の色をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像を表示する複数同時表示手段を有するバーコード表示装置を提供する。さらに、上記のバーコード表示装置の動作方法やプログラムも提供する。
【発明の効果】
【0007】
以上のような構成をとる本発明によって、読み取り精度の高いバーコード画像を表示するバーコード表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1のバーコード表示装置の概要を示す概念図
図2】ディスプレイに表示されるバーコードの読み取りができない場合を示す概念図
図3】実施形態1のバーコード表示装置における機能ブロックの一例を表す概念図
図4】実施形態1の表示領域を説明するための概念図
図5】実施形態1の「表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域」を説明するための概念図
図6】実施形態1のバーコード表示装置のハードウェア構成の一例を示す概念図
図7】実施形態1のバーコード表示装置の処理の流れの一例を示すフロー図
図8】実施形態2のバーコード表示装置における機能ブロックの一例を表す概念図
図9】実施形態2のバーコード表示装置の処理の流れの一例を示すフロー図
図10】実施形態3のバーコード表示装置における機能ブロックの一例を表す概念図
図11】実施形態3の表示領域及び複数同時表示を説明するための概念図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0010】
なお、実施形態1は、主に請求項1,2,3,6,7,8,9について説明する。また、実施形態2は、主に請求項4について説明する。また、実施形態3は、主に請求項5について説明する。
<実施形態1>
<概要>
【0011】
図2は、スマートフォンに表示されたバーコードの読み取りができなくなる場合を示す概念図である。図2(a)において、スマートフォン(0201)のディスプレイ(0202)には背景画像としてヒマワリが描かれており、ヒマワリの背景画像にバーコード(0203)が重畳して表示されている。このような表示態様の場合、バーコードリーダ(0204)による読み取りが不調となりがちである。また、図2(b)においては、バーコード(0105)の横方向に縁取りの線が二重に描かれており、このような表示態様の場合も読み取りが不調となりがちである。
【0012】
図1は、本発明によるバーコードの表示態様を示す概念図である。図1(a)においては、スマートフォン(0101)のディスプレイ(0102)にはヒマワリの背景画像が描かれているものの、バーコード(0103)の左右両側からディスプレイの端部に至る領域には何らオブジェクトが描かれていない。このようにバーコードを表示すると、ほとんどの場合バーコードリーダ(0104)による読み取りが正しく行われる。図1(b)に示す場合は、バーコード(0105)の横方向にあった縁取りの線をなくした表示態様である。このような表示態様においても、バーコードの読み取りは精度よく行われる。
【0013】
図1の場合と図2の場合とで読み取り精度に差異が生じた要因を説明する。まず、バーコードは、主に黒色で彩色されるバーが主に白色で彩色される隙間を置いて横方向に配列してなり、光学的反射率の低い部分(黒色のバー)と高い部分(白色の隙間)との組み合わせにより情報を示す情報担体である。そして、バーコードの読み取りは、バーコードへ光を照射し、反射光の明暗(強弱)のコントラストを検出することで当該バーコードが示す情報を取得する。
【0014】
ここで、図2に示すように背景画像や縁取り線などの何らかのオブジェクトがバーコードの左右両側に存在した場合、それらのオブジェクトも含めた反射光のコントラストをバーコードリーダが検出してしまい、それによって誤った情報を取得してしまったり、あるいは何の情報も取得できなくなったりする場合が生じる。このようなことが、バーコードの読み取り精度を低下させる一要因となる。
【0015】
そこで、本発明においては、図1に示すように、バーコードの左右両側の領域には何らオブジェクトを表示させないようにすることで、バーと隙間とによるコントラストのみがバーコードリーダにより検出されるようにする。これにより、バーコードの読み取り精度は格段に向上する。
<機能的構成>
【0016】
図3は、本実施形態のバーコード表示装置における機能ブロックの一例を示す図である。なお、以下に記載する本装置やシステムの機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本システムの機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。
【0017】
また、本明細書に記載の各実施形態は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような装置の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然に本明細書に記載の各実施例の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0018】
そして、この図3にあるように、本実施形態の「バーコード表示装置」(0300)は、「バーコード画像情報取得部」(0301)と、「表示領域取得部」(0302)と、「バーコード表示部」(0303)と、「ディスプレイ」(0304)と、からなる。
【0019】
なお、このバーコード表示装置はバーコード画像をディスプレイに表示し得る装置であれば特段に限定されるものではないが、店頭などでバーコード画像を提示する利用態様を主に想定しているため可搬型の装置、例えば、携帯電話機やスマートフォン、タブレットPCや携帯型のゲーム機などをとくに挙げることができる。
【0020】
「バーコード画像情報取得部」(0301)は、バーコード画像を生成するための情報であるバーコード画像情報を取得する機能を有し、例えば、CPUや主メモリ、バーコード画像情報取得プログラムなどによって実現することができる。
【0021】
バーコード画像は、上述したように黒色などのバーが隙間をおいて横方向に配列してなる画像である。なお、バーの色はバーとバーの間の色とのコントラストが生じ得るのに十分な濃さを有していればよく、黒色に限らず濃い青色や濃い茶色などであってもよい。そこで本明細書においては、黒などの濃い色に彩色されるバーを「濃色バー」と呼ぶこととする。
【0022】
「バーコード画像情報」は、ディスプレイにバーコード画像を描画するための情報である。描画するための情報とは、画像情報そのものでもよいし、画像情報そのものでなく受信側でバーコード画像を生成するためのコード情報でもよい。ここでバーコード画像情報によって生成されるバーコード画像は、その端部がバーコードの濃色バーではじまり濃色バーと濃色バーとの間を埋める色で終わる場合のほか、濃色バーではじまり濃色バーで終わる場合、その端部が濃色バーと濃色バーとの間を埋める色ではじまり濃色バーで終わる場合、その端部が濃色バーと濃色バーとの間を埋める色ではじまり濃色バーと濃色バーとの間を埋める色で終わる場合、などいずれであってもよい。
【0023】
「表示領域取得部」(0302)は、バーコード画像を表示すべきディスプレイ画面上の表示領域を取得する機能を有する。表示領域を示す情報は、予め定められて所定のメモリに格納されている場合や、受信したバーコード画像情報に応じて都度表示領域を計算する場合が考えられる。ここで表示領域は、表示すべきバーコード画像に応じて、その端部がバーコードの濃色バーではじまり濃色バーと濃色バーとの間を埋める色で終わる領域をいう場合のほか、濃色バーではじまり濃色バーで終わる場合、その端部が濃色バーと濃色バーとの間を埋める色ではじまり濃色バーで終わる場合、その端部が濃色バーと濃色バーとの間を埋める色ではじまり濃色バーと濃色バーとの間を埋める色で終わる場合、などいずれであってもよい。
【0024】
図4は、表示領域を説明するための図である。ディスプレイ(0402)上に点線にて区画された領域(0403)が、バーコード画像を表示すべき表示領域である。バーコード画像(0401)は係る表示領域に表示される。表示領域の取得は、バーコード画像情報や生成されたバーコード画像などに基づいて取得してもよい。
【0025】
「バーコード表示部」(0303)は、取得された表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像情報を用いてバーコード画像を表示する機能を有し、CPUや主メモリ、ディスプレイ、バーコード表示プログラムなどによって実現することができる。
【0026】
図5を用いて、「表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域」について説明する。図示するように、まず、ディスプレイ(0501)上に点線にて区画された領域(0502)がバーコード画像(0503)を表示する表示領域である。そして、上記の全域は、少なくとも表示領域に向かって右の端から表示領域の上下方向の高さのまま右側のディスプレイ端まで延伸した領域(0504)を含む。向かって左側についても同様である。そして、バーコード表示部は、この領域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間(0505)を埋める色と同色で表示する。例えば、濃色バーと濃色バーの間の色を「白色」の彩色で表示している場合には、係る領域についてもこの「白色」と同色にて表示する。また、表示されるバーコードを光学的に読み取るためリーダが、濃色バーと濃色バーの間の「白色」と同色として処理し得る限りにおいて、係る領域の彩色と濃色バーと濃色バーの間の「白色」とが同一でなくてもよい。
【0027】
また、「表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域」には、バーコード画像の表示領域をディスプレイ上の横長の長方形の区画と見た場合において、その長方形の右側の二つの角とそれぞれ最も近いディスプレイの角とを結ぶ線からディスプレイ右側端に至る領域(0506)が含まれるものとしてもよい。あるいは、バーコード画像の表示領域とディスプレイ右側端との距離「l」(0507)の幅を持つバーコード右側端に沿った領域(0508)が含まれるものとしてもよい。
【0028】
このように表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、また同色として処理される色として表示することにより、バーコード画像の左右両側方向のディスプレイ上の領域に何らかのオブジェクトが表示されることがなくなる。これにより、バーコード画像の読み取りに際してエラー等が生じることを防止することができ、読み取り精度を向上させることが可能となる。
【0029】
なお、ディスプレイの端部はディスプレイとこれを配置する端末装置等の筐体などとの境界となり、そのためディスプレイの端部の傍には構造的な段差や起伏などが存在することがある。そのため、ディスプレイの端部においては上記の境界での段差や起伏の影響によりバーコードリーダから照射される光の反射が乱れるなどして、ディスプレイ画像の読み取り精度の低下を招来するおそれがある。そこで、ディスプレイ端から濃色バーに至る間に表示されるバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色の幅は少なくとも2ミリメートル以上であることが好ましい。図5においては、バーコードの右端に位置する濃色バーとディスプレイ端との長さを示す「l」が少なくとも2ミリメートル以上となるようにバーコードを表示するということである。このようにバーコードを表示することにより、ディスプレイ端部における読み取りに対する上記の影響を受けにくくすることができ、バーコード画像の読み取り精度の低下を招来させないようにすることができる。
【0030】
また、バーコード表示部は、ディスプレイの表示輝度を最大にしてバーコード画像を表示する最大輝度表示手段を有するようにしてもよい。上述したように、バーコード画像のリーダによる読み取りは、バーコード画像へ光を照射し、反射光の明暗(強弱)のコントラストを検出することにより行われる。そこで、ディスプレイの表示輝度を最大にすることにより、このコントラストがより強調されてバーコード画像が表示される。このように輝度を最大にしてバーコード画像を表示することにより、読み取り精度をより向上させることが可能となる。
<ハードウェア構成>
【0031】
図6は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、バーコード表示装置の構成の一例を表す概略図である。
【0032】
この図にあるように、バーコード表示装置は、各種演算処理を実行するための「CPU」(0601)と、「主メモリ」(0602)と、を備えている。また、取得したバーコード画像情報やディスプレイ情報などの各種データやプログラムを保持するための「フラッシュメモリ」(0603)や、バーコード画像を表示するための「ディスプレイ」(0604)や、外部の装置とインターネットなどを介して通信を行うための「I/O」(0605)なども備えており、それらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0033】
また、「主メモリ」にはプログラムが読み出され、「CPU」は読み出された当該プログラムを参照し、プログラムで示される手順に従い各種演算処理を実行する。また、この「主メモリ」や「フラッシュメモリ」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」の演算処理においては、そのアドレスを特定し格納されているデータにアクセスすることで、データを用いた演算処理を行うことが可能になっている。
【0034】
例えば、「I/O」を介してバーコード画像情報を含むデータを取得すると、「主メモリ」に読み出されたバーコード画像情報取得プログラムを「CPU」は実行し、その実行結果に従ってバーコード画像情報を取得し、「フラッシュメモリ」に保持させる。そして、「CPU」は「主メモリ」に読み出された表示領域取得プログラムを実行して表示領域を取得し、さらに、バーコード表示プログラムを実行してバーコード画像を表示する。
<処理の流れ>
【0035】
図7は、本実施形態のバーコード表示装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0036】
図示するように、バーコード表示装置において、まず、バーコード画像を生成するための情報であるバーコード画像情報を取得する(バーコード画像情報取得ステップ:ステップS0701)。そして、バーコード画像を表示すべきディスプレイ画面上の表示領域を取得する(表示領域取得ステップ:ステップS0702)。そして、取得された表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像情報を用いてバーコード画像を表示する(バーコード表示ステップ:ステップS0703)。
<効果>
【0037】
以上のように本実施形態のバーコード表示装置は、バーコードの左右両側の領域には何らオブジェクトを表示させずにバーコード画像を表示する。これにより、バーコードの読み取り精度を向上することが可能となる。
<実施形態2>
<概要>
【0038】
本実施形態は、実施形態1を基本とし、ディスプレイ画面の向きを縦型表示状態にして上述した然るべき態様にてバーコードを表示することができないとの判断結果が得られた場合には、横型の表示状態としてバーコード画像を表示する。
<構成>
【0039】
図8は、本実施形態のバーコード表示装置の機能ブロックの一例を示す図である。図示するように、「バーコード表示装置」(0800)は、実施形態1を基本とし、「バーコード画像情報取得部」(0801)と、「表示領域取得部」(0802)と、「バーコード表示部」(0803)と、「ディスプレイ」(0804)と、を有し、本実施形態においては、とくに、「表示方向決定部」(0805)を有することを特徴とする。以下にこの表示方向決定部について説明する。その他の構成においては実施形態1において既に説明を行っているため説明を省く。
【0040】
「表示方向決定部」(0805)は、バーコードの表示に際してディスプレイ画面の向きが縦型表示状態であるために、バーコード画像の左右両端の濃色バーからディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として表示することができない場合にはディスプレイ画面の向きを横型の表示状態として取得したバーコード画像を表示する決定をする機能を有する。
【0041】
ここで、上記のように「バーコード画像の左右両端の濃色バーからディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色としてバーコードを表示する」ことを、以下の記述において、「バーコードを然るべき態様にて表示する」ということとする。
【0042】
「縦型表示状態」とは、長方形のディスプレイ画面上の長手方向に対して略直交する方向にバーが配列されるようにバーコード画像を表示する状態である。一方、「横型表示状態」とは、長方形のディスプレイ画面上の長手方向に対して略平行する方向にバーが配列されるようにバーコード画像を表示する状態である。
【0043】
なお、ディスプレイ画面の形状が略正方形である場合には、当該ディスプレイを備えるバーコード表示装置の筐体の形状に応じて縦型表示状態であるか横型表示状態であるかを定めてもよい。すなわち、長方形である筐体の長手方向に対して略直交する方向にバーが配列されるようにバーコード画像を表示する状態を縦型表示状態であるとし、長方形である筐体の長手方向に対して略平行する方向にバーが配列されるようにバーコード画像を表示する状態を横型表示状態であるとしてもよい。
【0044】
縦型表示状態にてバーコードを然るべき態様にて表示することができるか否かの判断は、例えば、表示領域とディスプレイのサイズやピクセル数などとによって判断することができる。すなわち、縦型表示状態とすると表示領域がディスプレイに納まらない場合には、上記の然るべき態様にて表示をすることができないと判断される。また、ディスプレイ端から濃色バーに至る間に表示されるバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色の幅が少なくとも2ミリメートル以上となるようにバーコード画像を表示することができない場合に、上記の然るべき態様にて表示することができないと判断することが好ましい。
【0045】
そして、縦型表示状態では表示することができない場合にはディスプレイ画面の向きを横型の表示状態として取得したバーコード画像を表示することを決定する。この決定結果に基づき表示領域取得部が当該バーコード画像を表示すべき表示領域を取得し、横型の表示状態として然るべき態様にてバーコード画像が表示される。このように表示状態を縦型から横型に変更してバーコード画像を表示することにより、良好な読み取り精度が得られる態様でバーコード画像を表示することができる。
【0046】
なお、縦型表示状態では表示することができない場合に、当該判断結果あるいは当該判断結果に基づき横型の表示状態にてバーコード画像が表示されることを、本バーコード表示装置を用いるユーザに気付かせるために、音声や振動などによる通知を行うように構成することも好ましい。このように構成することにより、読み取りリーダに対するバーコード表示装置の提示姿勢を改める契機をユーザに与えることができる。
<ハードウェア構成>
【0047】
本実施形態に係るバーコード表示装置は、実施形態1におけるハードウェア構成に準じて実現され得る。例えば、縦型表示状態で然るべき態様にてバーコードを表示することができるか否かを判断し表示方向を決定するための表示方向決定プログラムをCPUが実行し、その実行結果に従ってバーコード画像を表示すべき表示領域を取得するための表示領域取得プログラムを実行するなどの処理を行うことにより実現され得る。
<処理の流れ>
【0048】
図9は、本実施形態のバーコード表示装置における処理の流れの一例を表すフローチャートである。図示するように、まず、バーコード画像を生成するための情報であるバーコード画像情報を取得する(バーコード画像情報取得ステップ:ステップS0901)。そして、縦型表示状態で上記の然るべき態様にてバーコード画像を縦型表示することができるか否かの判断を行う(判断ステップ:ステップS0902)。そして、縦型表示することができるとの判断結果が得られた場合には、縦型表示状態でバーコード画像を表示する決定をする(縦型表示決定ステップ:S0903)。一方、縦型表示することができないとの判断結果が得られた場合には、横型表示状態でバーコード画像を表示する決定をする(横型表示決定ステップ:S0904)。なお、上記判断ステップから縦型表示決定ステップ又は横型表示決定ステップへと至る一連のステップを表示方向決定ステップとする。
【0049】
そして、上記いずれかの決定に基づきバーコード画像を表示すべき表示領域を取得する(表示領域取得ステップ:S0905)。そして、取得された表示領域のディスプレイ画面上の左右両側ディスプレイ端に至る全域をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像情報を用いてバーコード画像を表示する(バーコード表示ステップ:ステップS0906)。
<効果>
【0050】
縦型表示状態では然るべき態様にてバーコードを表示することができない場合には、横型の表示状態として然るべき態様にてバーコード画像を表示することにより、バーコードの読み取りエラーなどが生じることを防止し得る。
<実施形態3>
<概要>
【0051】
本実施形態のバーコード表示装置は、実施形態1又は2を基本とし、複数のバーコード画像を縦方向に並べて同時に表示する場合においても、読み取りエラーなどが生じにくいようにそれらのバーコード画像を表示する。
<構成>
【0052】
図10は、本実施形態のバーコード表示装置の機能ブロックの一例を示す図である。図示するように、「バーコード表示装置」(1000)は、実施形態1又は2を基本とし、「バーコード画像情報取得部」(1001)と、「表示方向決定部」(1002)と、「表示領域取得部」(1003)と、「バーコード表示部」(1004)と、「ディスプレイ」(1005とを有する。そして、本実施形態においては、とくに表示領域取得部が「同時表示領域取得手段」(1006)を有し、バーコード表示部が「複数同時表示手段」(1007)を有することを特徴とする。以下にこの特徴に係る構成を説明し、その他の構成においては実施形態1又は2において既に説明を行っているため説明を省く。
【0053】
「同時表示領域取得手段」(1006)は、取得した複数のバーコード画像を縦方向に並べて同時に表示するための表示領域を取得する機能を有する。なお、「同時に表示」とは、時分秒を合わせて複数のバーコード画像を表示するという場合に限られず、支払い等のためにバーコード画像を表示させる一連のプロセスにおいて、複数のバーコード画像が併存して表示される時間帯が生じることをも含むものである。
【0054】
図11は、本実施形態のバーコード表示装置を説明するための概念図である。図示するように、二つのバーコード画像を縦方向に並べて同時に表示するための表示領域は、ディスプレイ(1101)において、点線にて区画されている二つの領域(1102、1103)である。このような表示領域の取得は実施形態1において説明した表示領域取得部での取得と同様になされる。
【0055】
「複数同時表示手段」(1007)は、表示しようとするバーコードが前記複数同時表示である場合には、上下に並ぶバーコード間のディスプレイ上の色をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像を表示する機能を有する。
【0056】
「上下に並ぶバーコード間」は、図11において二つの表示領域の間に存在する斜線の領域(1104)である。複数同時表示手段は、例えば、複数同時に表示されるバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色が「白色」である場合には、図中斜線領域で示される上下に並ぶバーコード間を「白色」にてディスプレイに表示する。なお、この「白色」と同色としてバーコード読み取りに際して処理される色にて表示してもよいことは、実施形態1において説明したバーコード表示部での表示と同様である。
【0057】
このように複数のバーコード画像を表示することにより、二つのバーコード画像の間に何らかのオブジェクトが表示されることがなくなる。これにより、バーコード画像の読み取りに際してエラー等が生じることを防止することができ、読み取り精度を向上させることが可能となる。
<ハードウェア構成>
【0058】
本実施形態に係るバーコード表示装置は、実施形態1又は2におけるハードウェア構成に準じて実現され得る。例えば、CPUが同時表示領域取得プログラムを実行することで複数のバーコード画像を縦方向に並べて同時に表示するための表示領域を取得し、さらに、複数同時取得プログラムを実行し、その実行結果に従って上下に並ぶバーコード間のディスプレイ上の色をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色としてバーコード画像を表示する処理を実行するなどして実現され得る。
<処理の流れ>
【0059】
本実施形態のバーコード表示装置における処理の流れは、図示省略するが、例えば、バーコード画像を生成するための情報であるバーコード画像情報を取得する(バーコード画像情報取得ステップ)。そして、バーコードの表示を縦型表示態様とするか横型表示態様とするかの表示方向を決定する(表示方向決定ステップ)。そして、取得した複数のバーコード画像を縦方向に並べて同時に表示するための表示領域を取得する(同時表示領域取得ステップ)。そして、表示しようとするバーコードが複数同時表示である場合には、上下に並ぶバーコード間のディスプレイ上の色をバーコードの濃色バーと濃色バーの間を埋める色と同色、または同色としてバーコード読み取りに際して処理される色として取得したバーコード画像を表示する(複数同時表示ステップ)。
<効果>
【0060】
本実施形態のバーコード表示装置により、複数のバーコード画像を縦方向に並べて同時に表示する場合においても、各バーコード画像の読み取りが精度よく行われることが可能となる。
【符号の説明】
【0061】
0101 スマートフォン
0102 ディスプレイ
0103 バーコード
0104 バーコードリーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11