【実施例1】
【0014】
図1に示すように、実施例1の点眼補助具は、点眼補助具本体(以下、本体という)100に、眼球を覆う瞼(上瞼62aおよび下瞼62b)に当接される筒状の接眼部1と、下端に接眼部1が接続され、使用者の指に把持される筒状の把持部3と、把持部3の筒状内に設けられ、円筒状の点眼容器50を保持する筒状の保持部4と、を有している。
【0015】
本体100の下端に設けられた接眼部1は、
図2および
図3に示すように、下部開口5を有している。また、
図4に示すように、この下部開口5の径L1が、眼窩60に収まる眼球61の径L61と略同一寸法に形成されている。
【0016】
把持部3は、ここでは円筒状を呈し、親指、中指、薬指および小指で掴みやすい大きさに形成されている。そして、把持部3、保持部4の上端に、点眼容器50を着脱自在に装着するように点眼容器50の胴体部50aよりも十分に径が大きい上部開口7が設けられている。
【0017】
保持部4は、下端に点眼容器50の肩部50bを支持する支持部2と、点眼容器50を支持部2に装着案内する案内部8と、を有している。
【0018】
保持部4の下端に設けられた支持部2は、
図3に示すように、下部開口5の中心軸線O1上に点眼容器50の滴下口50cを位置させるように、点眼容器50の肩部50bを受け部2aで支持するものである。
【0019】
すなわち、この支持部2は、点眼容器50の胴体部50aの径と略同一の内径L2を有する筒状であり、内部に点眼容器50の滴下口50cを貫通させて、肩部50bを受け部2aで支持するものである。そして、接眼部1の下部開口5の中心軸線O1と支持部2の中心軸線とが一致する位置関係に定められている。
【0020】
また、保持部4は、
図2および
図3に示すように、上部開口7の内周縁と支持部2の周縁とを筒状に連結し、支持部2に向かって徐々に径を小さくした筒形状に形成されている。したがって、上部開口7から点眼容器50を挿入する際、保持部4は案内部8としての機能を果たしている。
【0021】
さらに、案内部8には、上部開口7側から支持部2の中心に向かって突出し、点眼容器50を案内し、かつ、その姿勢を支える可撓性を有する少なくとも3本(ここでは4本)の舌片12が等分割位置に設けられていても良い。
【0022】
これら舌片12は、下端が自由端であり、接着、溶着、差し込み等によって案内部8に固着されている。
【0023】
また、本体100は、上部開口7の開口面が保持部4に保持された点眼容器50の底部50dと高さが略一致するように形成されている。すなわち、
図3に示すように、上部開口7から支持部2の上端までの長さL3が、点眼容器50の底部50dから肩部50bまでの長さL50aと略同一となるように形成されている。
【0024】
さらに、
図3に示すように、支持部2の上端から下部開口5までの長さL4が、点眼容器50の肩部50bから滴下口50cまでの長さL50bよりも長くなるように形成されている。
【0025】
なお、これら把持部3および保持部4は、円形筒状を呈しているが、楕円形筒状を呈して、把持し易くしてもよい。
【0026】
次に、実施例1の点眼補助具の使用方法について説明する。
[点眼容器の装着]
点眼容器50を本体100の内部に装着させる際、使用者は、点眼容器50を倒立姿勢に指で保持して、
図3に示す矢印Bの方向に挿入させる。
【0027】
このとき、点眼容器50の挿入方向が支持部2の中心軸線から仮に外れていても、点眼容器50を案内部8の機能をもつ保持部4に沿って移動させることで、点眼容器50は支持部2に到達する。
【0028】
さらに、複数の舌片12が支持部2に向かって突出している場合には、点眼容器50がこれら舌片12に接触しながら支持部2の内部に向かって移動し、滴下口50cが支持部2の中心軸線上に位置した状態で支持部2の受け部2aにより肩部50bが支持される。このとき、複数の舌片12は、点眼容器50を周囲から支えるので、点眼容器50を所定の姿勢に安定して支持する。
【0029】
なお、実施例1では点眼容器50を本体100に装着させる場合について説明しているが、点眼容器50と胴体部の径や形状が異なる点眼容器であっても、その形状に応じて舌片12が撓んで点眼容器を保持する。
[眼球を覆う瞼への当接]
その後、使用者は、把持部3を親指と中指、薬指、小指とで
図5のように把持して、
図1に示すように本体100を眼球周囲の瞼上に移動させる。このとき、把持部3は指で掴みやすい大きさに形成されているため、使用者は本体100を安定して把持することができる。
【0030】
そして、使用者は、瞼を開けた状態あるいは半開状態で、接眼部1を眼周囲の上瞼62aおよび下瞼62bに当接させる。ここで、下部開口5は、その径L1が眼窩60内の眼球61の径L61と略同一である円形状に形成されているため、
図4に示すように、眼窩60と眼球61との間である窪みに下部開口5が嵌るように、眼球61の周囲に沿って当接し、上瞼62aおよび下瞼62bを開いたまま、あるいは強制的に開いて固定される。
【0031】
このようにして下部開口5が固定されると、下部開口5の中心軸線O1と眼球61の中心とが一致する。
【0032】
さらに、支持部2が下部開口5の中心軸線O1上に点眼容器50の滴下口50cを位置させるように点眼容器50を保持する。この結果、
図4に示すように、点眼容器50の滴下口50cが鉛直に合わせた視線軸上に位置する。
【0033】
また、
図3に示すように、支持部2の上端から下部開口5までの長さL4が、点眼容器50の肩部50bから滴下口50cまでの長さL50bよりも長くなるように形成されているため、接眼部1を瞼に当接させた際に、滴下口50cが眼に接触しない位置に点眼容器50が保持される。
[点眼操作]
図5は、実施例1の点眼補助具による点眼操作を示す模式図である。
【0034】
図5に示すように、使用者は、把持部3を親指、中指、薬指、小指で把持した状態で人差し指によって上部開口7から、点眼容器50の底部50dを矢印Cに示す方向に軽く押す。
【0035】
ここで、点眼容器50の底部50dは、胴体部50aと比較して面積が狭く、力を加えることによって変形させることのできる変形可能量が少ない。このため、底部50dを軽く押すことによる点眼容器50の変形がわずかであり、1滴のみ点眼液が的確な位置に滴下される。
[点眼容器の取り出し]
上記のような操作により点眼が終了した後、点眼補助具を瞼から外し、点眼容器50の胴体部50aを親指と人差し指などによってつまみ、点眼容器50を上部開口7から取り出すことができる。
【0036】
このように構成された実施例1に係る点眼補助具によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0037】
すなわち、接眼部1が眼球61の径L61と略同一径の下部開口5を有するため、眼窩60と眼球61との間である窪みに嵌るように接眼部1を瞼に当接させて、接眼部1の下部開口5の中心軸線O1と視線軸とを略一致させることができる。そして、保持部4が、下部開口5の中心軸線O1上に滴下口50cが位置するように点眼容器50を保持するため、鉛直に合わせた視線軸上に滴下口50cを位置させることができるので、点眼液を的確な位置に滴下した点眼をすることができる。
【0038】
また、このように接眼部1が瞼に当接されることにより、上瞼62aおよび下瞼62bは下部開口5により窪み内に向かってわずかに開かされ、瞼を開いた状態で瞼の開閉の動きが制限されるため、点眼時に瞼が閉じてしまうことを防ぐことができる。
【0039】
さらに、把持部3には、大きな上部開口7が設けられていることにより、点眼容器50を指で掴んで容易に着脱できる。
【0040】
そして、本体100は、上部開口7の開口面が保持部4に保持された点眼容器50の底部50dと高さが略一致するように形成されているため、把持部3を親指、中指、薬指、小指で把持した状態で人差し指によって上部開口7から点眼容器50の底部50dを軽く押すことで、片手で容易に点眼することができ、かつ、1滴ずつ点眼液を滴下することができる(
図5参照)。
【0041】
また、保持部4は、筒状を呈し、下端に点眼容器50の肩部50bを支持する支持部2と、点眼容器50を支持部2に装着案内する案内部8と、を有することにより、点眼容器50をこの案内部8に沿って移動させることで、点眼容器50を支持部2に装着させる際の位置合わせを容易に行うことができる。
【0042】
そして、案内部8に、上部開口7側から支持部2に向かって大きく突出し、点眼容器50を案内し、その姿勢を支える舌片12が少なくとも3本設けられていることにより、点眼容器50を支持部2に装着させる際の位置合わせを一層容易に行うことができる。
【0043】
さらに、点眼容器50を本体100の内部に装着させると、少なくとも3本の舌片12により点眼容器50の胴体部50aが挟持され、肩部50bが受け部2aに支持されるため、点眼容器50の姿勢を適正に保持して固定することができる。
【0044】
そして、このように舌片12が設けられていることにより、点眼容器50と胴体部の径や形状が異なる点眼容器であっても、その形状に応じて舌片12が撓み、複数の箇所で点眼容器を保持することができる。
【0045】
なお、本体100のうち少なくとも把持部3と保持部4とは透明体ないし半透明体であることが好ましい。このような材質で形成されることにより、本体100の内部を外側から視認することができるため、点眼容器50の装着時や点眼時の点眼補助具の使用が容易である。
(変形例1)
図6は、実施例1の点眼補助具の変形例1を示す斜視図である。実施例1の点眼補助具においては、複数の舌片12が接着、溶着、差し込み等によって案内部8に固着されている場合について説明したが、この変形例1における点眼補助具は、
図6に示すように、少なくとも3本(ここでは4本)の舌片12が、保持部4に上部開口7側を連結部とする切り起こし状に形成されている。
【0046】
このように形成された変形例1における点眼補助具によれば、新たな部品の追加が無く安価に形成することができる。
(変形例2)
図7は、実施例1の点眼補助具の変形例2を示す斜視図である。この変形例2における点眼補助具は、
図7に示すように、把持部3および保持部4に通気開口9が大きさ及び位置を適宜に形成されている。なお、この通気開口9は、把持部3または保持部4のいずれか一方にのみ形成されていてもよい。
【0047】
このように構成された変形例2における点眼補助具によれば、漬け置き消毒等を行った後の乾燥を素早く行うことができる。
(変形例3)
図8(a)は、実施例1の点眼補助具の変形例3を示す正面図であり、
図8(b)は、
図8(a)の外筒部10と内筒部11とを分離した状態を示す斜視図である。
【0048】
この変形例3における点眼補助具は、
図8(a)および(b)に示すように、接眼部1および把持部3を有する外筒部10と、支持部2、案内部8を有する内筒部11とに分離可能に形成されている。
【0049】
また、保持部4の上端には外側へ向けて広がった羽部13が設けられ、把持部3の上部開口7の周縁と羽部13とが当接されることによって、
図8(a)に示すように、外筒部10と内筒部11とが固定される。
【0050】
そして、このようにして外筒部10と内筒部11とを固定させた後、内筒部11の内部へ点眼容器50を挿入させる。
【0051】
このように構成された変形例3における点眼補助具によれば、点眼補助具の漬け置き消毒等を行った後の乾燥を素早く行うことができるだけでなく、外筒部10と内筒部11とをそれぞれ成形できるため、複雑な成形型を用いることなく容易に成形することができる。
【実施例2】
【0052】
実施例2に係る点眼補助具は、その内部に扁平点眼容器70を保持可能とした扁平点眼容器受部30を着脱自在に設けたものである。
【0053】
図9は、実施例2の点眼補助具の構成を示す斜視図であり、
図10は、
図9の扁平点眼容器受部30の構造を示す斜視図であり、
図11は、
図9の点眼補助具に扁平点眼容器70を装着させた状態を示す断面図である。
【0054】
図9に示すように、実施例2の点眼補助具は、点眼補助具本体(以下、本体という)200に、眼球を覆う瞼に当接される筒状の接眼部21と、下端に接眼部21が接続され、使用者の指に把持される筒状の把持部23と、把持部23の筒状内に設けられ、扁平点眼容器70を保持する筒状の保持部24と、を有している。
【0055】
また、保持部24は、下端に筒状の支持部22が設けられている。さらに、保持部24の内部には、断面略U字形状であって内側に扁平点眼容器70を保持可能とした扁平点眼容器受部30が設けられている。
【0056】
この扁平点眼容器受部30は、
図10に示すように、内側に向けて湾曲したバネ性を有する湾曲部34が形成されている。
【0057】
また、扁平点眼容器受部30は、扁平点眼容器70の扁平面を押圧しうる側面開口31と、扁平点眼容器70の滴下口70cを貫通させて肩部70bを保持する保持開口32と、支持部22の内径L22と略同一径を有し、支持部22の内縁に当接される筒状の固定部33と、が設けられている。
【0058】
なお、この固定部33は必ずしも筒状である必要はなく、支持部22の内縁に当接される複数の爪であっても良い。
【0059】
また、把持部23は、使用者が把持しやすいように楕円形の筒状に形成されている。そして、把持部23と保持部24の上端に、楕円形状の上部開口27が設けられている。
【0060】
その他の構成は実施例1における構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。なお、実施例1と同様に、少なくとも3本の舌片を形成してもよい。
【0061】
次に、実施例2の点眼補助具による作用について説明する。
[扁平点眼容器受部の保持部への装着]
まず、扁平点眼容器受部30を上部開口27から保持部24の内部へ挿入させる。このとき、扁平点眼容器受部30の下端に設けられた固定部33を支持部22の内縁に当接させることにより、保持部24に対する扁平点眼容器受部30の位置が固定される。
[扁平点眼容器の扁平点眼容器受部への装着]
次に、扁平点眼容器受部30に扁平点眼容器70を装着させる。使用者は扁平点眼容器70を倒立姿勢に指で保持して、
図10に示す矢印Dの方向に扁平点眼容器受部30の内側へ挿入し、扁平点眼容器70の滴下口70cを保持開口32に貫通させる。
【0062】
このとき、バネ性を有する湾曲部34が、扁平点眼容器70により外側に向けてわずかに押し広げられるとともに扁平点眼容器70を狭持する。これにより、
図11に示すように、扁平点眼容器70が所定の姿勢に安定して保持される。
【0063】
なお、扁平点眼容器70を扁平点眼容器受部30に装着させた後に、扁平点眼容器70が装着された扁平点眼容器受部30を保持部24の内部へ装着させることも可能である。
[点眼操作]
また、点眼時には、接眼部21を瞼に当接させ、把持部23を把持した状態で上部開口27から本体200の内部へ指を入れる。そして、扁平点眼容器受部30の側面開口31から扁平点眼容器70の扁平面を押すことにより、点眼液を滴下する。
【0064】
このように構成された実施例2に係る点眼補助具によれば、上述した実施例1に係る点眼補助具による効果に加えて、保持部24には、扁平点眼容器70を保持可能とした扁平点眼容器受部30が形成され、扁平点眼容器受部30には扁平点眼容器70の扁平面を押圧しうる側面開口31が設けられているため、扁平点眼容器70であっても使用することができる。
【0065】
また、扁平点眼容器受部30は保持部24に対して着脱可能に設けられていることにより、胴体部50aが円筒状である点眼容器50と、扁平点眼容器70と、の双方に使用することができる。
【0066】
なお、湾曲部34が扁平点眼容器70の扁平面を押すように、扁平点眼容器受部30を内側に向けて押すことによって点眼液を滴下させることも可能である。しかし、この場合には湾曲部34が扁平点眼容器70を強く押してすぎてしまう可能性があるため、調整して扁平点眼容器受部30を押す必要がある。
【0067】
また、例えば、
図12に示すように、扁平点眼容器受部30の上端に切り欠き35を形成してもよい。このように構成された扁平点眼容器受部30を有する点眼補助具によれば、点眼時に上部開口27から本体200の内部へ指を入れて扁平点眼容器70の扁平面を押す際、切り欠き35に指を入れることで容易に扁平点眼容器70を押すことができる。