(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750809
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】宇宙船用の装置
(51)【国際特許分類】
B64G 1/56 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
B64G1/56
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-541585(P2012-541585)
(86)(22)【出願日】2010年12月7日
(65)【公表番号】特表2013-512819(P2013-512819A)
(43)【公表日】2013年4月18日
(86)【国際出願番号】GB2010052037
(87)【国際公開番号】WO2011070349
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年10月28日
(31)【優先権主張番号】0921427.1
(32)【優先日】2009年12月7日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512136293
【氏名又は名称】ピーエイチエス スペース リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ストークス,ヘドレー
【審査官】
黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06647855(US,B1)
【文献】
特表2005−519268(JP,A)
【文献】
特開平09−030499(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0102796(US,A1)
【文献】
特開2002−193198(JP,A)
【文献】
米国特許第03752996(US,A)
【文献】
米国特許第04991799(US,A)
【文献】
米国特許第04314682(US,A)
【文献】
米国特許第06298765(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/56
B64G 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙船用の装置であって、
シールド表面を有する少なくとも1つのシールド層を含む平面シールドユニット、前記シールドユニットを宇宙船本体に取付けるための取付け手段および前記シールドユニットを配置するための駆動装置を備え、前記駆動装置が、収容第1位置、展開第2位置および展開第3位置との間で前記シールドユニットを移動させるよう構成されており、展開位置における前記シールド表面の前記平面が、前記収容第1位置における前記シールド表面の前記平面に対してある角度であり、それによって、前記展開第2位置では前記シールドユニットは入射デブリを妨げるよう構成され、前記展開第3位置ではシールドユニットは大気抵抗および/またはデブリ一掃を増大させるよう構成されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記展開第2位置における前記シールド表面の前記平面の前記角度が、デブリのピークまたは平均束の予想迎角に基づいて選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シールドユニットが、ヒンジのような駆動可能なジョイントによって前記取付け手段に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記シールドユニットがブームのような、スタンドオフメカニズムによって前記取付け手段に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記シールドユニットが、シールド材料の複数の平面シールド層から形成され、前記収容第1位置では前記複数の平面シールド層は互いに重なり合うことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記シールドユニットが、シールド材料の複数の平面シールド層から形成され、前記シールド層が互いにおよびシールド層駆動装置に枢着され、それによって、前記展開第2位置ではシールド層は折り畳み構造で互いに重なり合い、前記展開第3位置ではシールド層は、前記シールドユニットの表面積が増大されるように、前記駆動装置によって並列配置に展開されるよう構成されることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記シールド層駆動装置が、前記シールドユニットを駆動するための前記駆動装置と同じであることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
別々のシールド層駆動装置が、各シールド層に対して設けられることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記展開第2位置における前記シールド層または複数の前記シールド層の前記平面の前記角度は、前記展開第3位置における前記シールド層または複数の前記シールド層の前記表面の前記角度とは異なることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記シールド層の各々の材料が、以下のリスト:織物セラミック、CFRP、GFRPおよびアルミニウムから選択されることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
シールド層が、少なくとも1台の衝撃センサを備えることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記シールド層が、衝突の場所および入射デブリ小片のエネルギーを識別するために複数の衝撃センサを備えることを特徴とする請求項1〜11のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
複数の衝撃センサが、選択されたシールド層上に設けられることを特徴とする請求項6〜12のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
請求項1〜13のうちいずれか一項において請求されるタイプの少なくとも1台の装置を有する宇宙船。
【請求項15】
複数のシールドユニットを備える宇宙船であって、少なくとも2つの前記シールドユニットがそれぞれの前記展開第2位置において共に連続的なバンパーシールドを形成することを特徴とする請求項14に記載の宇宙船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デブリからの宇宙船の保護に関し、好ましい実施態様において、シールド構造体の、およびシールド構造体に衝突するスペースデブリを監視するための具備に関する。本発明は、好ましい実施態様において大気抵抗タイプの、軌道離脱装置の分野にも関する。本発明はさらに、好ましくは宇宙環境からのデブリの除去のためのデブリ一掃装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
低高度地球軌道(LEO)における典型的宇宙船は、1mmより大きな軌道デブリの個体群との相互作用の結果として、最高5%の終生衝突誘発故障確率を有する可能性がある。通常の宇宙船信頼性の状況に置かれて、これは重大でかつ衝突保護に対する必要性を強調する。EURECA、LDEFのような宇宙船およびハッブル宇宙望遠鏡上で観測される飛行中の衝突損傷データが、この必要性を補強する。
【0003】
国際機関間スペースデブリ調整委員会(IADC)は、スペースデブリを「機能しない、地球軌道内のまたは大気圏内に再突入する、それの破片および素子を含む全ての人工物体」として定義している。概括的に、デブリの3つの供給源:打上および飛行任務関連物体(LMRO)、爆発および衝突破片ならびに非破片化デブリがある。現在、LMROはデブリの軌道上集団の多くを占める。これらの物体の大部分は、物体およびそれらの関連した軌道のカタログを維持する米国宇宙監視ネットワーク(SSN)によって観測されて追跡される。SSNは、通常低高度地球軌道で10cmおよび静止軌道高度(GEO)で1mより大きな物体を監視する。
【0004】
欧州宇宙機関のスペースデブリオフィスのヘッド、Dr H.Klinkradによれば、物体カテゴリによって分類される時、2005年のカタログ物体の31.8%がペイロード(その6%から7%が能動人工衛星)であり、17.6%がロケット上段およびブーストモータに費やされ、10.5%が飛行関連の物体であり、および残り約39.9%が、主に破片化事象によるデブリであった(28.4%が上段によって引き起こされ、11.5%が衛星によって引き起こされた)。軌道領域によって分類される時、カタログ物体の69.2%が、2,000kmより下の高度の低高度地球軌道内にあり、9.3%が静止リングの付近にあり、9.7%がGEO遷移軌道(GTO)を含む高度偏心軌道(HEO)上にあり、3.9%がLEOとGEOとの間の中間地球軌道(MEO)内にあり、および、ほぼ7.8%がGEO領域の外側であった。約160個の物体の少ない割合が、地球脱出軌道に注入された。さらに、追跡不可能なサイズ範囲では、1mmサイズデブリの10%および10cmサイズデブリの74%が、爆発したかまたは衝突した宇宙船およびロケット本体から生じた破片であると推定されている。サブセンチメートルデブリの別の主要な供給源は、本質的に非破片化である。固体燃料ロケットモータ点火から放出される生成物が、このカテゴリ内の主要な要因である。
【0005】
宇宙船と追跡可能なデブリ物体との間の最初の記録された衝突は、1996年にスリーズ衛星がその10年前に爆発したアリアンロケット段からの破片によって衝突された時に起きた。衝突は、重力傾度安定化ブームを切断し、衛星を急速に転落させた。つい最近、2009年に、イリジウム33号衛星と運用終了したコスモス2251衛星との間の衝突により両方の衛星が破壊され、長年軌道上に残存するであろうデブリの何百もの破片を作り出し、したがって地球のまわりの軌道内のデブリの増大する個体群に追加した。
【0006】
幸いにも、(デブリを含む)地球軌道内の追跡可能な物体の個体群がまだ相対的に少ない(すなわち2009年7月時点で約15,000のカタログ物体)ので、この種の劇的な出来事は珍しい。しかしながら、同じことはより小さい追跡不可能なデブリにはあてはまらない。地球を周回する何千万ものミリメートルサイズのデブリの破片があると推定され、それゆえに、この種の物体の宇宙船に衝突する確率は非常に高い。
【0007】
宇宙船が小型デブリおよび流星物体によってごく普通に衝突されることを証拠が確認している。スペースシャトルおよび国際宇宙ステーション(ISS)のような有人宇宙船、ならびにEURECA、LDEFのような無人宇宙船、ならびにハッブル宇宙望遠鏡(HST)の表面の検査で、多種多様な落下損傷が分かった。隕石孔および孔が、これらの宇宙船の外面上におよびそれらの外部に据え付けた機器上に観測された。
【0008】
宇宙船上の衝突の帰結は、衝撃部材の(質量および速度のような)特性、衝突の位置および宇宙船の設計に依存する。それゆえに、無視してよいから飛行任務の打ち切りまでにわたる多種多様な損傷影響が予想されることができる。流星物体は、1−72km/sの範囲の速度で宇宙船に衝突する可能性がある。軌道デブリに対して、低高度地球軌道(LEO)内の衝突速度は、16km/s程度の速さである可能性があるが、しかしGEOでは、相対速度は1km/s未満である。これらの速度において、近似の方法で衝撃部材サイズを損傷影響と関連づけることが可能である。例えば、1mmサイズのデブリ小片は直径1cmと同じ大きさの隕石孔または孔を生成する可能性があり、典型的宇宙船サンドイッチパネルまたは外部機器を貫通するのに十分なエネルギーを有する。1cmの小片からの損傷は、無人宇宙船内部に深く貫通し、広範囲な内部損傷および飛行任務の起こりうる消失を引き起こす可能性がある。有人宇宙船上の特別目的多層シールドさえ、ほんの1cmの小片から守ることが可能なだけである。10cmのデブリ衝撃部材は、おそらく宇宙船の破壊を引き起こすであろう。
【0009】
一般的な宇宙船パネル、シールドならびに電子回路ボックス、配線、バッテリ、太陽電池および推進剤タンクのような機器部材の衝突応答は、それらの弾道性能によって実験的に定量化される。有意なパラメータは、構造体が衝突される時故障が生じる閾値である、貫通限界である。所定の衝突速度に対して、それは構造体を故障させるのに必要な小片の最小サイズであり、ここで、故障は通常穿孔として定義される。
【0010】
あるいは、所定の小片サイズに対して、それは小片が構造体を貫通するのに必要とされる速度である。
【0011】
概括的に、宇宙船の衝突脆弱性を低下させるために検討されることができる2つの異なるはっきりした方法:1)機器の配置に関してそのアーキテクチャを変更する、または2)シールドを追加する、がある。
【0012】
無人宇宙船の保護を強化する1つの方法が、シールド質量の層をハニカムパネルおよび多層絶縁材(MLI)に加えることであることは公知である。これが約0.7mmから1mmをこえるまで貫通限界を増大することができることが実証されている。この種の改良が役立つとはいえ、この種の強化によってさえ、宇宙船の故障の確率はなおきわめて有意(数パーセント)である可能性がある。現在、多層シールドは1センチメートルのサイズまでの小片から守る最も有効なタイプのシールドである。一例は、スタッフィングホイップルシールドである。公知技術のタイプの衝突シールドを
図1に示す。ここで、犠牲衝撃部材撹乱層101が一次スペーシング層102の上に設けられる。この配置は、カバー104と基部105との間に保持されて宇宙船構造体103に固定される。衝突雲が分散することができる、撹乱層と宇宙船構造体との間のスペーシングが、スペーシング層102によって代表される。他の既知の装置は、多層超高速衝突シールドを記載する(特許文献1)内に開示されるものを含む。これらのシールドは、分厚くて大きな重量オーバーヘッドを有してかつ一般に有人宇宙船にだけ使用される。
【0013】
宇宙船は、有人または無人として分類されることができる。有人飛行任務を失う危険性は、広範囲なシールドの準備を正当化する。現在、宇宙飛行士を乗せる極めて少ない宇宙船がある。地球軌道では、大多数の宇宙船は乗組員がいない。それらは、それらの機能に従って分類されることができ、通信衛星は特に普通にみられ、地表の1つの地点からもう一方まで無線信号を中継するために一般に使用される。地球観測衛星もまた、普通にみられるタイプの宇宙船であって、科学研究、資源監視および管理、気象(すなわち気象予報のための)、測地学、ならびに(軍事および諜報目的のための)偵察および早期警戒を含む、種々の理由のために、地球の陸地、海および大気圏を観測する。航行衛星の数は、過去20年にわたって有意に増大した。これらは、地球上のどこでも位置の測定を可能にする。宇宙船を分類する別の方法は、それらの質量に従ってである。衛星のサイズがその打上のコストと直接関連づけられるので、これは役立つ。衛星質量は、非常に小さいもの(0.1kg未満)から非常に大きいもの(1,000kg超)までにわたる。無人宇宙船に関する課題は、スペースデブリに対して飛行任務を失う危険性対高いレベルのシールドを与える重量に関するコストのバランスをとることである。
【0014】
宇宙船上の各サブシステムの質量が慎重に制御されるので、いかなる余分の質量、例えばシールドも正当化されなければならない。
【0015】
それらの動作上の関心および独特の性質に起因し、GEOおよびLEO領域は将来のそれらの安全なかつ持続可能な使用を確実にするスペースデブリに関する保護領域とみなされる。IADCで定義されたGEO保護領域は、以下の特性を備えた球殻のセグメントである:
a)低高度=静止高度−200km、
b)高高度=静止高度+200km、および
c)緯度セクター:15°南≦緯度≦15°北、
ここで、静止高度はほぼ35,786km、すなわち6,378kmの赤道の半径を備えた球形の地球より上の静止軌道の高度である。静止軌道は、ほぼ24時間の周期を有する順行、零伏角、零偏心軌道である。地球から観察される時、この種の軌道内の宇宙船は静止しているように見える。この軌道は、それゆえに特定のタイプの通信衛星および気象衛星に理想的である。
【0016】
IADCで定義されたLEO保護領域は、6,378kmの赤道の半径を備えた球形の地球の表面から2,000kmの高度まで広がる殻である。この定義によれば、この領域内で旋回する任意の宇宙船は、低高度地球軌道(LEO)にあると言われる。
【0017】
中間地球軌道(MEO)は、上で定義されたLEOとGEO領域の間に位置する領域である。
【0018】
GEO遷移軌道(GTO)は、ほぼ37,000kmの遠地点および数百キロメートルの近地点を備えた特定のタイプの高度に偏心の(すなわち高度に楕円の)軌道(HEO)である。GEOで動作させるように予定される宇宙船は、最初にGTOに打ち上げられる。
【0019】
LEO内の2つの高度は、宇宙船動作に対して特に普及している。これらは、地球の表面より上にほぼ800kmおよび1,400kmである。残念なことに、これらの高度はまた、軌道デブリによって最も大量に占められている。これらの貴重な領域内のデブリ個体群の長期の増加の予測は、一般的な宇宙船の運用が衝突事故を理由にまもなく可能でなくなるかもしれないことを示唆する。
【0020】
それはスペースデブリ軽減指針の範囲が公開されたこの背景を防ぐためにある。飛行任務の末期の25年以内に、理想的にはできる限りすばやく、宇宙船設計者およびオペレータがLEO領域から宇宙船を処分する必要性が、特に重要である。
【0021】
宇宙船の除去は、制御推進力操縦を含む手段によってまたは軌道ディケイ増大装置を配備することによって達成されることができる。その寿命の末期で宇宙船の重量比に対する表面積を増大することは、主に地球の大気圏(それは、数百キロメートルの高度にまで伸びる)とのその相互作用の結果として、宇宙船を段階的に減速する。(特許文献2)が、衛星空気制動翼構造を記載する。
【0022】
多くの危険なデブリ破片を作り出す他の大形物体との破局的な空中衝突の危険性を最小化するために、軌道離脱装置が理想的には宇宙船をできるだけ急速に軌道外にもたらすべきである。
【0023】
したがって、大きい表面積が望ましい。しかしながら、大きな表面積を作り出すことは重量オーバーヘッドの観点から課題を提示し、それはコスト理由のために最低限に保たれなければならない。
【0024】
スペースデブリの危険性を軽減する更なる手段は、宇宙環境からデブリを除去することによる。たとえばデブリ小片を吸収するかまたは砕くために軌道経路に沿って大きなパネルを「掃く」ことによって、デブリの除去に専念される宇宙船を設けることが公知である。(特許文献3)が、軌道デブリスイーパーを記載する。これらのシステムの欠点は、専用の一掃ビークルを設けることが非常に高価であるという点である。
【0025】
デブリ衝突を防ぐための宇宙船の生存性を改善する方策の導入は、1999年に発行されたUNCOPUOS科学技術小委員会のスペースデブリに関する技術報告の勧告である。こうする最も一般的な方法の1つは、シールドの追加のような、宇宙船構造体に対する強化を通してである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】米国特許出願第00/35753号明細書、
【特許文献2】米国特許出願第2009/0218448号明細書、
【特許文献3】米国特許第4991799号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、改善された宇宙船装置を提供することを追求する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の一態様に従って、入射デブリを妨げるためのシールド表面を含むシールドユニット、宇宙船本体にシールドユニットを取付けるための取付け手段、宇宙船本体に対してシールドユニットを配置するための駆動装置、を備え、駆動装置が、第1の収容位置と第2の展開位置との間でシールドユニットを移動させることができ、シールドユニットのシールド表面の平面が、第2の展開位置で宇宙船本体に対してある角度である、宇宙船用のデブリシールド装置が提供される。シールドユニットの縁部が、シールドユニットが収容位置とシールド位置との間で移動することができるように、好ましくはヒンジのような駆動可能なジョイントによって、取り付け手段に接続される。あるいは、シールドユニットは、1個以上の駆動可能な端部ジョイント(図示せず)を有することができる、ブームのようなメカニズムを使用して宇宙船に取付けられることができる。これのような配置は、シールドユニットと宇宙船との間に隔離距離を作り出し、それによってシールドユニットがパネル面または縁部経由で接続されることを可能にする。
【0029】
シールド装置は貫通限界の1桁改善を、しかし典型的有人宇宙船シールドに伴うオーバーヘッドなしで達成することができる。これは、2つの方法で達成される。第1は、打上中に宇宙船本体に対して格納され、および次いで、宇宙船が発射台から放出されたあと、大きな隔離距離を形成するために宇宙船本体に対してある角度の位置に展開されることができるシールドユニットの具備を通してである。第2は、シールドと宇宙船との間の角度を、入来デブリ束の予想される迎角に依存して選ぶことによってである。デブリは、特定の軌道または飛行経路に対してデブリが優先方向から衝突するとはいえ、任意の方向からシールドに衝突する可能性がある。たとえば、800kmの高度での極地軌道周回、太陽同期LEO宇宙船の前方に面した表面上のデブリ衝突が、移動の方向に対してほぼ+45度から−45度の間のアジマス角で最も生じそうである。したがって、最適保護のために、宇宙船本体に対するシールドの角度は、ピークまたは平均のデブリ束の迎角に関連づけられることができる。
【0030】
シールドユニットは単一シールド層または複数のシールド層から形成されることができ、このシールド層または各シールド層はシールド材料である。
【0031】
それらが第3の位置に駆動手段によって展開されることができるように、多数のシールド層が互いにおよび駆動手段に枢着され、それによって、シールドユニットの表面積が更に増大されて、増大された大気抵抗を与える。このように、多層デブリシールドは二重および三重の機能を有し、それによって、宇宙船飛行任務が完了した時、デブリシールドが軌道離脱装置になるために展開されることができる。
【0032】
有利には、それらが宇宙船の有効表面積を増大して抵抗を作り出すために広げられることができるように、多層のシールドが枢着される。大きな表面積の第2の有益な効果は、広げられたパネルが宇宙環境からデブリを一掃するために使用されることができることである。単一装置にこの種の複数の機能を組み合わせることによって、重量オーバーヘッドが低下され、シールド保護が増大されることができる。
【0033】
駆動手段はシールド層を駆動するための駆動装置と同じであることができるか、または別々の駆動手段が各シールド層のために設けられることができる。複数のシールド層が取付け手段にヒンジのような駆動可能なジョイントによって接続される縁部を有する第1のシールド層を含むことができ、および、更なるシールド層がヒンジによってまたはシールド平面に対して垂直な枢支軸を有する枢軸によって第1のシールド層に枢着されることができる。あるいは、更なるシールド層の各々が、ある配置で枢着されることができ、それによって、第2のシールド層が第1のシールド層に接続され、第3のシールド層が第2のシールド層に接続される、など後のシールド層が前のシールド層に接続されるようにする。
【0034】
第3の位置のシールド層の構成および向きが、所定の方向に面する層の表面積が最大になるように、宇宙船が安定タンブリングまたは回転運動に入るようなものであることができる。
【0035】
第3の位置のシールド層の構成および向きが運動の方向に面する層の表面積が大気抵抗を最大にするために最大にされるようなものであることができるか、または、第3の位置のシールド層の構成および向きが最大入来デブリ束の方向に面する層の表面積が最大にされるようなものであることができる。第3の位置のシールド層の構成および向きが、運動の方向および入来デブリ束の方向の両方に面する層の表面積が大気抵抗およびデブリ束との相互作用の両方を最大にするために最適化されるようなものであることができる。
【0036】
シールド層の材料は、ネクステル
(登録商標)、ケブラー
(登録商標)、ベータクロス、スペクトラ、CFRP、GFRP、アルミニウムシートおよびアルミニウムメッシュのリストから選択されることができる。他の適切な材料が使用されることができる。シールド層を展開するための駆動装置は、電動機または制御ラッチを備えたばねのような弾力のある素子であることができる。
【0037】
デブリシールド装置は、宇宙空間内のデブリからの衝突を検出するために少なくとも1台のセンサを備えることができる。シールド層は、衝突の場所および入射デブリ小片のエネルギーを識別するために複数の衝撃センサを備えることができ、ならびに、複数の衝撃センサが入射デブリ小片の速度および飛行経路を決定するために外側のシールド層および内側のシールド層のような選択されたシールド層上に設けられることができる。衝撃センサからのデータは、記録されるおよび/または伝送されることができる。
【0038】
本発明の別の態様では、少なくとも1台のデブリシールド装置を含む宇宙船が提供される。
【0039】
本発明の別の態様に従って、宇宙船用の軌道離脱装置が提供され、各々が大気抵抗を作り出すための表面を含む複数のパネルと、この複数のパネルを宇宙船本体に取付けるための取付け手段と、宇宙船本体に対してパネルを配置するための駆動装置と、を備え、パネルが層にされる第1の収容位置とパネルが並んでいる関係にあり、かつ宇宙船の本体から離れて延びる第2の展開位置との間でパネルが移動されることができるように、パネルが互いにおよび駆動装置に枢着される。
【0040】
軌道離脱装置のパネルはシールド材料で製作されることができておよびそれゆえに第1の収容位置にある間、宇宙船上にシールド効果を有することができる。パネルは、パネルが層にされてそれらが取付けられる宇宙船表面にある角度で向けられる中間位置へ移動されることができる。第2の展開位置のパネルは、宇宙環境からのデブリを一掃することができる。
【0041】
本発明の別の態様が、宇宙船用のデブリ一掃装置を提供し、各々がスペースデブリを収集するかまたはその通過を妨げるための表面を含む、複数のパネルと、複数のパネルを宇宙船本体に取付けるための取付け手段と、宇宙船本体に対してパネルを配置するための駆動装置と、を備え、パネルが層にされる第1の収容位置とパネルが並んでいる関係にあり、かつ宇宙船の本体から離れて延びる第2の展開位置との間でパネルが移動されることができるように、パネルが互いにおよび駆動装置に枢着される。
【0042】
パネルはシールド材料で製作されることができて第1の収容位置にある間、宇宙船上にシールド効果を有することができる。パネルは、パネルが層にされてそれらが取付けられる宇宙船表面にある角度で向けられる中間位置へ移動されることができる。第2の展開位置のパネルは、宇宙船を軌道離脱させるように作用する大気抵抗を生成することができる。
【0043】
本発明の別の態様において、本願明細書に教示されるタイプのシールド装置を動作させる方法が提供され、この方法が、第1の収容位置と宇宙船に対してある角度で傾けられる第2のシールド位置との間でシールドユニットを移動させるステップを含む。第1の位置において、シールドユニットが宇宙船の表面上の特徴に対応するために宇宙船に対して同一平面上であることができるか、または宇宙船から離れていることができ、第1の収容位置は、シールドユニットおよび宇宙船によって占められるスペースが最小にされるところである。この方法は、層をなした配置から並んでいる配置にシールドユニットの複数のシールド層を移動させるステップを更に含むことができる。
【0044】
本発明は、地球軌道内の無人宇宙船または地球軌道内の有人宇宙船、または惑星間宇宙船に使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の実施態様が、添付の図面を例としてのみ参照して以下に記載され、そこにおいて、
【0046】
【
図2】シールドパネルならびに関連する取付けおよび駆動メカニズムを示す本発明の一実施態様の平面図である。
【
図3a】パネルの形状のシールド層の斜視図である。
【
図3c】支持フレーム内に固定される可撓性の材料から形成されるシールド層の斜視図である。
【
図4】シールドユニットのシールド層部品を示す本発明の一実施態様の断面図である。
【
図5a】キャリアロケットのペイロードベイの所定の場所の、本発明の一実施態様に従う収容位置の一組のシールド装置を有する直平行六面体状の宇宙船の断面図である。
【
図5b】展開されたシールド位置の一組のシールド装置を有する直平行六面体状の宇宙船の断面図である。
【
図6a】収容位置で示される、第2の構成で配置される一組のシールド装置を有する直平行六面体状の宇宙船の断面図である。
【
図6b】展開されたシールド位置で示される、第2の構成で配置される一組のシールド装置を有する直平行六面体状の宇宙船の断面図である。
【
図7】シールド層に入射するデブリ小片の影響を例示する一組のシールド装置を有する直平行六面体状の宇宙船の断面図である。
【
図8a】衝撃センサを備えているシールドユニットの平面図である。
【
図8b】衝撃センサを備えているシールドユニットの断面図である。
【
図9a】軌道離脱およびデブリ一掃のためにパネルの線形配列に広がるシールドユニットの側面図である。
【
図9b】一組のシールド装置を有する宇宙船の断面図である。ここで、シールドユニットは軌道離脱およびデブリ一掃のためにある位置に展開される。
【
図10a】更なる一実施態様に従う一組のシールド装置を有する直平行六面体状の宇宙船の平面図である。ここで、シールドユニットは軌道離脱およびデブリ一掃のためにある位置に展開される。
【
図10b】シールドユニットのシールド層が花形配置で開くように配置される一実施態様の斜視図である。
【
図10c】シールドユニットのシールド層が扇形配置で開くように配置される一実施態様の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本願明細書における教示が、以下の機能の組合せを備えた宇宙船を形成することができる展開可能多機能性装置を提供する:i)スペースデブリおよび流星物体からの衝突を防ぐためのシールド、ii)スペースデブリおよび流星物体衝突の現場検出、iii)LEO内の宇宙船に対する寿命末期軌道離脱、iv)『スイーパー』として働くことによる宇宙環境からの小型デブリの除去。
【0048】
このシールド構成は、費用効果的な方法で一般的なLEO宇宙船のための衝突保護の1桁改善を提供する。衝突検出器が、スペースデブリ環境の監視のためのデータを提供し、したがってデブリ環境モデル製作者のための知識を増大し、宇宙船オペレータのための実時間情報を提供し、かつデブリ衝突の課題の認識を高める。宇宙船の表面積を増大する能力は、LEO内の寿命の末期の宇宙船の軌道離脱を補助し、したがって、推進剤の節約、飛行任務収益を得る可能性の増大および軌道での飛行任務後時間の低減のような利益を提供し、それによって国際デブリ軽減指針/標準規格において定義した25年の軌道離脱ルールの遵守を達成するのを助ける。増大された表面積はまた、宇宙船が宇宙環境からデブリを除去することに向けた寄与を提供するために軌道離脱段階中にデブリスイーパーとして働くことを可能にする。
【0049】
図2は、本発明の一実施態様に従うデブリシールド装置200の図である。シールド装置200は、シールド層201、この例でヒンジである一次ジョイント用の駆動メカニズムおよびシールド層201を宇宙船構造体208に接続するための取付け手段204を備える。シールド層201は平らで矩形の形状であり、その厚さと比較して大きい長さおよび幅の実質的に平坦なシールド面または表面を有する。それが取付けられる宇宙船のサイズによって、シールド層201の絶対寸法は変化するが一般的に、宇宙船の露出面を保護するのに十分である。パネルは矩形または平らである必要はなく、宇宙船の形状および構成に従い他の形状および寸法を使用することができる。シールド層201は、その縁部の両方に沿ってヒンジ素子202、203を備えている。一次ヒンジ素子202が、一次ヒンジ駆動メカニズム204と係合するための係合手段(図示せず)を備えている。一次ヒンジ駆動メカニズム204は、電動機またはばねおよびラッチ配置またはその他の適切な駆動手段であることができる。一次ヒンジ駆動メカニズム204は、表面パネルまたは、スパーもしくはシャーシのような内部上部構造体の一部であることができる宇宙船構造体208の一部に接続されるように配置される。一次ヒンジ駆動メカニズム204は、放射線および衝突から保護するためにアルミニウムから作られた、制御電子装置ボックス内に収容されることができる電子制御システム206に接続される。二次ヒンジ素子203は、更なるシールド層209のヒンジ素子への接続のための一次ヒンジ素子202にシールド層201の対向縁部に沿って設けられる。二次ヒンジ駆動メカニズムは、また、二次ヒンジ素子203に接続されて電子制御システム206に接続されて設けられる。以降のシールド層は、
図4に示すように更なるシールド層209に類似した方法で接続されることができる。衝撃センサ207が、シールド層201のコーナー内に設けられて電子制御システム206にデータおよびパワーケーブル205によって接続される。
【0050】
図3aないし3cは、シールド層の種々の形状を分離して示す。
図3aは、アルミニウムのような材料の単一固形パネル201を備える単純な構成のシールド層を示す。パネルは硬くおよびそれゆえに自立し、取付け具が直接パネルに取付けられることができる。
図3bは、強さ、重量およびシールド能力を最適化するために選択された、堅固なおよび可撓性のシールド材料の複数の接合された層301、302、303を備えるより複雑な構造化されたシールド層を示す。ここでも、シールド層は硬い。
図3cはシールド材料の可撓性のシート304から造られるシールド層を示し、したがって、フレーム305がシールド層を他の構造体に取付けるために必要な硬さおよび位置を与えるために使用される。シールド層を形成するために使用されることができる適切なシールド材料は、宇宙船に使用されるべき第1のシールド材料の1つであったアルミニウムシーティングを含む。
【0051】
ネクステル
(登録商標)、それは3M社によって製造される編セラミック布である。それは、最も広く使われているシールド材料の1つである。そのファイバは、入来発射体を衝突させてより小さいデブリ破片の雲にする。それは、また、この種の雲の推進的なローディングを低下させることに効果的である。ネクステルは、種々の異なるスタイルおよび密度で製造される。
【0052】
ケブラー
(登録商標)もまた、デュポン社によって製造される普及している宇宙船シールド材料である。それはまた、防弾チョッキにも広く使われている。ネクステルおよびケブラーの組合せは、全部の範囲の入来デブリに対して軽減するために使用されることができる。
【0053】
ベータクロスは宇宙船部品を熱的に保護する多層絶縁材に広く使われている。ベータクロスはまた、それが宇宙空間内の原子状酸素劣化に対する保護を提供するので使用される。
【0054】
アルミニウムメッシュは、それがシールド内の次の層に当たる前に入来発射体を衝突させて砕くのを助けるために、シールドの前面層として使用されることができる。
【0055】
炭素繊維強化ポリマー(CFRP)および黒鉛繊維強化ポリマー(GFRP)もまた使用されることができて硬性シートとして製造される。スペクトラもまたシールド層を形成するために使用されることができる材料である。宇宙船構造体内に一般的に使用されるもののような、サンドイッチパネルが別の可能性である。
【0056】
図4は一実施態様に従うデブリシールド装置を示す。ここで、それらがシールドユニット210と呼ばれる多層構造体を形成するような方法で、4枚のシールド層201a、201b、201cおよび201dが共に接続される。上部シールド層201aは、取付けおよび一次ヒンジ駆動メカニズム204に、更に、ヒンジ駆動メカニズム204bによって第2のシールド層201bに接続され、第2のシールド層201bは第1のシールド層201aと、かつその下で実質的に一致する。第2のシールド層201bはヒンジ駆動メカニズム204cによって第3のシールド層201cに接続され、第3のシールド層201cは第2のシールド層201bと実質的に一致してその下に配置される。第3のシールド層201cはヒンジ駆動メカニズム204dによって第4のシールド層201dに接続され、第4のシールド層201dは第3のシールド層201cと実質的に一致してその下に配置される。このように、多層シールドユニット210が設けられ、シールド動作中に、層は互いに一致したままであり、一次ヒンジ駆動メカニズム204を用いて収容位置と傾斜位置との間でグループとして移動される。シールド装置200が分離して示される、すなわち、宇宙船に取付けられない。宇宙船は、宇宙船全体に対して適切な保護を提供するためにいくつかのこの種のシールド配置を使用することができる。この場合、各シールド装置用の電子回路は、故障の場合には追加的な冗長を与えるハーネス相互接続を使用して交差連結されることができる。制御電子装置が、地上オペレータによる装置の命令を可能にし、かつ地上局へのセンサデータの伝送のために通信サブシステムとインタフェースする。
図4では、シールド層201a−dの長さは一定の比率で示されない。
【0057】
図5aは、
図4内に示されるタイプの複数のシールド配置200がどのように宇宙船501に取付けられることができるかについて示す。例示される宇宙船501は、単純な直平行六面体形状の衛星である。宇宙船501の内部501aの範囲内で、ハーネス501bが制御電子装置501cと共に示される。このシールドシステムは拡張可能であり、したがって、ただ最も大きな宇宙船にだけでなく、また小さいもの、例えば20cmの幅のものに適用されることもできる。保護されるべき宇宙船の形状は直平行六面体に限られず、このシステムは多くの異なる形状および構成の船に取り付けられることができる。シールドユニット210a、210b、210cおよび210dは、収容位置で
図5a内に示される。宇宙船が宇宙空間にその旅行のための適切な打上用ロケットの囲い板またはペイロードベイ500内に配置される時、これが体積を最小化するのに必要である。ここに示した例では、シールドユニット210a−dは宇宙船501の側面に対して折りたたまれ、宇宙船の前方に面した表面が露出される。
【0058】
図5bは、展開位置503で1枚以上のバンパー層を備えるシールドを示す。
図6aはそれによってシールド210aおよび210bが宇宙船501の側面に設けられ、シールド210c、210dが宇宙船501の前方に面した表面に設けられる別の配置を示す。宇宙船の前方に面した表面は、時にはRAM面と呼ばれ、宇宙船の進行の方向は、「R」として図内にマークされ、RAM方向と呼ばれる。断面内に視認できない更なるシールドが、宇宙船の他の面に設けられることができる。
図5bおよび6bは、シールド210a−dがRAM面および側面に対する保護を与える展開位置にある
図5aおよび6aの宇宙船501を示す。この特定の配置は、ほとんど正面からのデブリ衝突を経験しそうである極地軌道周回、太陽同期LEO宇宙船を保護するのに十分に適している。しかしながら、他の軌道内の宇宙船に対して、展開されたシールドの異なる配置が効果的な保護を与えるのに必要かもしれない。
【0059】
動作中に、
図5aにて図示したように、宇宙船は一実施態様に従うシールドシステムを取付けられる。各々が一連のシールド層を備えるシールドユニット210a−dが、打上用ロケットで輸送中に収容位置に折りたたまれる。必要とされるまでシールドユニット210a−dが展開されないことを確実にするために、フェイルセーフロッキングメカニズムが設けられることができる。打上用ロケットが適切な高度にある時、宇宙船501がペイロードベイ500から発射され、宇宙船操縦装置が操作を引き継ぐ。これは、その動作上の軌道への宇宙船501の自力推進を含むことができる。宇宙船が打上用ロケットから離れている時、かつ宇宙船飛行任務の開始の前に、信号が、シールドシステム210a−dを展開するために一次ヒンジ駆動メカニズムに送信される。側面シールド210a、210bに対して、これは宇宙船501の側面に対してある角度に多層シールドを傾けることを意味する。RAM面シールドに対して、両端部がRAM面に合って完全に保護するように、2枚のシールドユニット210cおよび210dがある角度で回転する。
図6b内に示される実施態様では、シールドユニット210a−dは宇宙船上に異なる配置を有するが、それらが宇宙船本体から離れるように回転される時、
図5b内に示される実施態様によって達成されるものに類似した保護がRAM面および側面に与えられる。
【0060】
図7は、展開傾斜位置の一組のシールド装置を示す。この位置で、シールド層201a−dと宇宙船501の表面との間で大きな隔離距離があることが分かる。シールドが下にある宇宙船表面(例えばハニカムサンドイッチパネル)に対して傾けられるので、この構成は制限されたスタンドオフを備えたシールドより多くの保護を与える。これは、2つの理由のためであり、第1は、貫通限界が、シールドと下にある宇宙船構造体との間の隔離距離と比例しており、それゆえに、より大きな隔離距離がシールド構造体構成の貫通限界、すなわちより大きなまたはより高速なデブリ小片からの保護を改善することである。小片701が壁を穿孔して破片になる時、デブリ雲702が下にある表面に損傷を引き起こす可能性がある衝撃波の前面が形成される。より大きな隔離距離は、下にある宇宙船構造体に到達する前にデブリ雲がより多く放散することを可能にする。傾斜シールドが他のシールドより効果的である第2の理由は、貫通限界がシールドに垂直な方向に対して衝突するデブリ小片の迎角と比例していることである。それゆえに、所定のサイズおよび速度のかすって通る小片がシールドに垂直に衝突する小片より効果的に妨げられる。シールドの展開の際に、傾斜角度はそれゆえに貫通限界の角度依存を高めるためにセットされる。最適角度は、宇宙船の飛行任務に、および軌道宇宙船に対して地球のまわりの特定の軌道に依存する。これは宇宙船が経験する衝突束の方向がその軌道に高度に依存するからである。例えば、その軌道面が赤道に対して90度で傾けられる、すなわち極軌道、800kmの高度の近似円軌道内の宇宙船は、約+45度と−45度との間のアジマス角で最も高いデブリ衝突束を経験する。アジマス角は、運動のその方向に対して宇宙船の局所的水平面内で測定される、宇宙船へのデブリ物体の衝突の角度である。すなわち、0度アジマス角は正面からの衝突を代表し、+90度アジマスは右側衝突であり、−90度アジマスは左側衝突であり、および、180度アジマスは後ろからの衝突である。この特定の極軌道の場合、衝突束のピークは約+10度および−10度のアジマスで生じ、したがって、正面近くからの衝突がよりありそうである。しかしながら、その軌道面が赤道に対して0度で傾けられる、すなわち赤道軌道、800kmの高度の近似円軌道内の宇宙船に対して、ピーク衝突束は約+60度および−60度のアジマス角においてである。それゆえに、宇宙船の右側面または左側面上の衝突が、よりありそうである。従って、シールドの最適傾斜角度は宇宙船の軌道に依存する。
【0061】
シールドが適切な角度で展開される時、シールドを貫通する小片から生じるデブリ雲材料がRAM面および側面から離れて偏向されることができるか、またはそれがより傾斜した角度でこれらの表面に衝突し、したがって、貫通の可能性を低下することができる。
【0062】
衝撃センサが、飛行任務中の実時間衝突データを収集するために設けられる。特に、衝撃センサから収集されるデータは宇宙船オペレータのためになるだけでなく、それはまた、個別軌道領域内のデブリ個体数についての知識を向上させ、デブリ衝突の課題の認識を高める。シールドアセンブリ200は、最も高い衝突束を経験して、それゆえに衝突センサーシステムに対する理想的な位置である宇宙船のそれらの表面を保護する。音響センサまたは加速度計の配置が、
図8aおよび8bに示すように使用される。この例では、4台のセンサ801a−dが外側のシールド層201aの下側に位置し、さらに4台が内側の層201dの下に位置する。最小として、この配置はデブリ小片の衝突の場所および衝突エネルギーに関するデータを与える。その上、小片が層を貫通するならば、速度および飛行経路情報を引き出すこともまた可能である。明らかに、センサの選択および配置に対する多くの他の可能性がある。センサは、電子制御システム206にデータおよびパワーケーブルによって接続される。衝突データは、記憶されることができるかまたは地上局に伝送されることができる。
【0063】
LEO領域内の宇宙船はそれが他の大きな軌道周回物体との衝突事故を呈しないように、その寿命の末期で軌道から除去されるべきであることが促される。各シールドユニット210a−dを占める複数のシールド層201a−dが、宇宙船の重量比に対する断面積を最大化する異なる位置に展開するように配置され、それによって地球の上層大気との大気抵抗相互作用を増大して宇宙船の軌道離脱を補助する。各シールドユニット210a−dの個々のシールド層201a−dは、シールドを大面積軌道離脱装置に変換するために広げられる。国際指針および標準規格の最近の出現は、低高度地球軌道内の宇宙船は飛行任務の末期の25年以内に軌道離脱されるべきという強い期待/要求を設定する。この25年のルールの遵守は、製造業者にとって非常に難しそうである。したがって、この装置はこの点で役立つ寄与を与えるはずである。
【0064】
図9aは、
図4内に示されるシールド層201a−dがどのように展開されるかについて示す。信号が電子制御システム206からヒンジ駆動メカニズム204b、cおよびdまで送信され、それがその隣りに対して各シールドパネル201b−dを起動して回転させ、それらがもはや一致せず層にされず、縁部対縁部で位置合わせされるようにする。
【0065】
一実施態様において、各ヒンジはばねのような弾力のある手段によって駆動されるが、ラッチが解除される時全ての層が広がるように単一ラッチだけが使用される。
【0066】
図9bおよび
図10aは、側面シールドユニット210a、bおよびRAM面シールドユニット210c、dがそれらの最大限に展開された宇宙船501の2つの図を示す。この場合、シールド層はパネルの線形配列に広がる。
【0067】
しかしながら、多くの他の配置がまた、ヒンジの配置および層の数に従い可能である。特に、各配列を広げるための方法、および、その最終的な構成および向きは、宇宙船上の他の外部部材の位置、振動の減衰のような設計問題、および大気抵抗誘発軌道離脱のために断面積を最大にする必要性によって決定される。この後者関連で、展開された大面積配列の構成および向きは、飛行任務後無制御宇宙船が安定タンブリングまたは回転運動に進むことを確実にするように設計されることができる。
【0068】
図10aでは、RAM面シールドユニット210c、210dが第1のシールドパネル201aの縁部に沿って宇宙船に取付けられる。宇宙船取付け縁部に対して垂直であるその縁部に沿って、2枚の更なるシールドパネル201b、201cが第1のシールドパネル201aに接続される。なお更なるシールドパネル201d、201eが、同じ方向にパネル201b、201cから延在する。このように、宇宙船の前面断面積は最大化される。
【0069】
図10bでは、大面積軌道離脱装置への多層シールドの変換は、その花弁を開く花と同じ原理で展開するシールド層によってである。
【0070】
図10cでは、一次シールド層201aは一次ヒンジ駆動メカニズム204に接続され、それが次に宇宙船(図示せず)に接続される。2枚の更なるシールド層201bおよび201cが、一次シールド層201aに接続される。シールド層201bおよび201cは各々、コーナーに位置するヒンジ1001によってシールド層201aに接続され、シールド層のデブリ衝突面に対して垂直である軸のまわりの回転を可能にする。シールドユニットが展開される時、シールド層の移動は扇形配置でデブリ衝突面の平面で回転性である。
【0071】
あるいは、シールドユニットは、1個以上の駆動可能な端部ジョイントを有することができる、ブームのようなメカニズムを使用して宇宙船に取付けられることができる。これのような配置は、シールドユニットと宇宙船との間に隔離距離を作り出し、それによってシールドユニットがパネル面または縁部経由で接続されることを可能にする。
【0072】
宇宙船に対して同一平面上にシールドユニットを収容することが可能でないならば、この配置もまた必要であることができる。
【0073】
軌道離脱段階中に、その大面積およびシールド材料の使用の理由で、装置はデブリ『スイーパー』としても働く。シールド層の設計に従い、展開されたパネルに衝突する小さな小片(例えば0.1mm以下のオーダーの直径)が環境から除去され、一方、パネルに衝突するより大きなサブセンチメートル小片は貫通してより小さな小片の雲に砕ける。これらは、それらのより小さなサイズおよび縮小された軌道寿命の理由でより危険でないとみなされることができる。したがって、この装置は宇宙環境を浄化することに向けた寄与を提供する。
【0074】
軌道離脱および/または一掃装置としての装置の操作中に、センサ801a−dは使用可能なままであり、宇宙船によって遭遇されるデブリの分布に関する役立つデータを提供することができる。
【0075】
シールドユニット210が多くのシールド層からまたは代わりとして単一層から形成されることができることが認識される。多層シールド構成の場合、異なる材料が層の各々に対して使用されることができる。シールド層の数、それらのサイズ、スペーシング、材料および厚さは、保護の必要性によってだけでなく、また、それが末期に変形する大面積装置の設計要件および宇宙船それ自体の全体的な設計制約によっても決定される。この決定の一態様は、シールドを通しての小片の通過が、シールド層が共に融着して寿命の末期でそれらが広げられるのを妨げることがないようにするのを確実にすることである。
【0076】
デブリシールド装置200は、軌道離脱装置だけとして使用されることができる。この場合、
図4および5a内に例示されるタイプの多層構造が飛行任務寿命中に収容位置にもたらされる。宇宙船501が軌道離脱する必要がある時、電子制御システムが、収容位置から直接に最大表面積軌道離脱位置に軌道離脱パネルを展開するために信号をヒンジ駆動メカニズムの全てに送信する。この場合、パネル材料はスペースデブリからの衝突を乗り切るその能力よりむしろ抵抗を増大するその能力に対して選択されて、それゆえにフォイルのような材料の薄いシートであることができる。それらの展開された状態でのパネルの配置は宇宙船の安定タンブリング運動を確実にするように選択されることができ、したがって、この構造体の大気抵抗特性が最適化される。
【0077】
デブリシールド装置200は、デブリ一掃装置だけとして使用されることができる。この場合、
図4で示す多層構造が使用されて
図5aに示すように、打上用ロケット内に収容される。装置が展開される時、表面積が最大化される
図10aで示す配置に、層が展開される。大気抵抗の影響を克服するために、宇宙船に対する追加的な推進力を与える必要があるかもしれない。この場合、層材料はデブリを吸収して砕くその能力に対して選択される。
【0078】
デブリシールド装置200は、シールドおよび軌道離脱装置として、またはシールドおよび一掃装置としてまたは軌道離脱装置および一掃装置として使用されることができる。
【0079】
典型的LEO宇宙船上の1台以上の装置の集積化は、衝突保護または軌道離脱/デブリ一掃目的のための断面積を最大にする必要性以外の複数の考慮事項によって駆動される。1つの重要な要因は、可能な位置に対するオプションを束縛する宇宙船の構成である。宇宙船上の外部的に据え付けた機器の位置は、また、装置がどこに設置されるかおよびそれがどのように収容されて展開されるかに対する可能性を限定するかもしれない。逆にいえば、装置に対応するために、他の機器部材の設計または位置を変更することが必要かもしれない。装置はまた、それが必要とする資源、例えばデータおよびパワーリンクに関して、種々の宇宙船サブシステムの設計に影響を及ぼすかもしれない。これらのような要因からみて、明白であるべきことは、宇宙船上の1台以上の装置の集積化が宇宙船設計プロセスで最も初期の段階中に考慮されるべきであるということである。
【0080】
応用の全ての組合せが、
図8に関して記載されるセンサ能力の有無にかかわらず使用されることができる。
【符号の説明】
【0081】
101 犠牲衝撃部材撹乱層
102 一次スペーシング層
103 宇宙船構造体
104 カバー
105 基部
200 デブリシールド装置
201、201a、201b、201c、201d シールド層
202 一次ヒンジ素子
203 二次ヒンジ素子
204 取付け手段 一次ヒンジ駆動メカニズム
204b、204c、204d ヒンジ駆動メカニズム
205 データおよびパワーケーブル
206 電子制御システム
207 衝撃センサ
208 宇宙船構造体
209 更なるシールド層
210、210a、210b、210c、210d シールドユニット
301、302、303 複数の接合された層
304 可撓性のシート
305 フレーム
500 ペイロードベイ
501 宇宙船
501a 宇宙船内部
501b ハーネス
501c 制御電子装置
503 展開位置
701 小片
702 デブリ雲
801a−d センサ
1001 ヒンジ