【実施例】
【0024】
以下、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0025】
[実施例1]
45mm×45mmの大きさで厚さ0.635mmの窒化アルミニウム基板の両面に、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ti=80:17:3)をスクリーン印刷し、その上に厚さ0.3mmの銅板を配置し、真空中で850℃に加熱して窒化アルミニウム基板の両面に銅板を接合した。
【0026】
次に、両面の銅板上に所定の回路パターンのレジストを印刷した後、塩化第2銅エッチング液により不要な銅板をエッチングし、3%NaOH溶液によりレジストを除去して銅回路を形成した。
【0027】
その後、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な窒化チタンを主成分とする活性金属層の一部を、5%の過酸化水素と3%のアンモニア水と1.6重量%のEDTAとからなる溶液により20℃で15分間エッチングして除去した。このエッチング後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0028】
次に、銅回路間の不要な窒化チタンを主成分とする活性金属層を、5%のクエン酸と10%の過酸化水素と4.5%の水酸化カリウムを含む薬液により30℃で30分間選択的にエッチングして除去した。
【0029】
次に、硫酸−過酸化水素系の研磨液により銅回路を45℃で5分間処理して化学研磨した後、厚さ2.5μmのメッキを施し、金属−セラミックス接合基板を作製した。
【0030】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約50μm幅のフィレットが形成されていた。
【0031】
また、得られた基板について、20℃→−40℃×30分→20℃×10分→125℃×30分→20℃×10分を1サイクルとする繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0032】
[比較例1]
45mm×45mmの大きさで厚さ0.635mmの窒化アルミニウム基板の両面に、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ti=80:17:3)をスクリーン印刷し、その上に厚さ0.3mmの銅板を配置し、真空中で850℃に加熱して窒化アルミニウム基板の両面に銅板を接合した。
【0033】
次に、両面の銅板上に所定の回路パターンのレジストを印刷した後、塩化第2銅エッチング液により不要な銅板をエッチングし、3%NaOH溶液によりレジストを除去して銅回路を形成した。
【0034】
その後、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要なろう材を、硫酸−弗化水素酸−過酸化水素の混酸により35℃で20分間処理して除去した。この処理後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間が見られた。
【0035】
次に、硫酸−過酸化水素系の研磨液により銅回路を45℃で5分間処理して化学研磨した後、厚さ2.5μmのメッキを施し、金属−セラミックス接合基板を作製した。
【0036】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、
図7に模式的に示すように、金属層がサイドエッチングされ(
図7においてD’はサイドエッチ量を示す)、窒化アルミニウム基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板に目視で確認できるクラックが発生していた。
【0037】
[実施例2]
50mm×30mmの大きさで厚さ0.635mmの窒化アルミニウム基板の両面に、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ti=80:17:3)を介して、厚さ0.25mmの銅板を、10
−5torr以下、850℃で加熱接合した。
【0038】
次に、両面の銅板上に所定の回路パターンのレジストを印刷した後、塩化第2銅エッチング液により不要な銅板をエッチングし、3%NaOH溶液によりレジストを除去して銅回路を形成した。
【0039】
その後、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な窒化チタンを主成分とする活性金属層の一部を、5%の過酸化水素と3%のアンモニア水と1.6重量%のEDTAとからなる溶液により20℃で15分間エッチングして除去した。このエッチング後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0040】
次に、銅回路間の不要な窒化チタンを主成分とする活性金属層を、2%のDTPA・5Naと5%の過酸化水素を含む薬液により30℃で30分間選択的にエッチングして除去した。
【0041】
次に、硫酸−過酸化水素系の研磨液により銅回路を45℃で5分間処理して化学研磨した後、厚さ3μmの無電解ニッケルメッキを施し、金属−セラミックス接合基板を作製した。
【0042】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約50μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0043】
[比較例2]
50mm×30mmの大きさで厚さ0.635mmの窒化アルミニウム基板の両面に、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ti=80:17:3)を介して、厚さ0.25mmの銅板を、10
−5torr以下、850℃で加熱接合した。
【0044】
次に、両面の銅板上に所定の回路パターンのレジストを印刷した後、塩化第2銅エッチング液により不要な銅板をエッチングし、3%NaOH溶液によりレジストを除去して銅回路を形成した。
【0045】
その後、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要なろう材を、塩酸−弗化水素酸−過酸化水素の混酸により35℃で20分間エッチングして除去した。このエッチング後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間が見られた。
【0046】
次に、硫酸−過酸化水素系の研磨液により銅回路を化学研磨した後、厚さ3μmの無電解ニッケルメッキを施し、金属−セラミックス接合基板を作製した。
【0047】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、窒化アルミニウム基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックが発生していた。
【0048】
[実施例3]
活性金属成分として3重量%のハフニウムを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Hf=80:17:3)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として3%のエチレンジアミンと5%の過マンガン酸カリウムと3.8%の塩酸を含む薬液を使用し、化学研磨の時間を4分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0049】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約40μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0050】
[比較例3]
活性金属成分として3重量%のハフニウムを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Hf=80:17:3)を使用した以外は、比較例2と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間が見られた。
【0051】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、窒化アルミニウム基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックが発生していた。
【0052】
[実施例4]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のZrH
2を含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Sn:ZrH
2=80:12:5:3)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として3%のEDTA・4Naと4%の二クロム酸カリウムを含む薬液を使用し、化学研磨の時間を4分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0053】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約40μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0054】
[比較例4]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のZrH
2を含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Sn:ZrH
2=80:12:5:3)を使用した以外は、比較例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間が見られた。
【0055】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、アルミナ基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られて基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックが発生していた。
【0056】
[実施例5]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ni:Ti=75:15:7:3)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として2%のHEDTA・3Naと5%の過酸化水素を含む薬液を使用し、化学研磨の時間を5分30秒間とした以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0057】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約55μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0058】
[比較例5]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ni:Ti=75:15:7:3)を使用した以外は、比較例2と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間が見られた。
【0059】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、アルミナ基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックが発生していた。
【0060】
[実施例6]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:In:Zn:Ti=70:15:7:5:3)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として3%の3PDTAと7%の過酸化水素と1.8%の水酸化ナトリウムを含む薬液を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0061】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約50μmのフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0062】
[比較例6]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:In:Zn:Ti=70:15:7:5:3)を使用した以外は、比較例2と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間が見られた。
【0063】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、アルミナ基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックが発生していた。
【0064】
[実施例7]
活性金属成分として1.5重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ti=90:8.5:1.5)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として2%のクエン酸と9%の過酸化水素と1.8%の水酸化カリウムを含む薬液を使用し、この薬液により37℃で60分間選択的にエッチングし、化学研磨の時間を4分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0065】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約40μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0066】
[実施例8]
不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として1.8%のDTPA・5Naと6%の過酸化水素を含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0067】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約35μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0068】
[実施例9]
活性金属成分として1.5重量%のハフニウムを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Hf=81.5:17:1.5)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として1.5%のエチレンジアミンと5%の過マンガン酸カリウムと2%の塩酸を含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0069】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約40μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0070】
[実施例10]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として1.5重量%のZrH
2を含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Sn:ZrH
2=81.5:12:5:1.5)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として2%のEDTA・4Naと4%の二クロム酸カリウムを含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0071】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約40μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0072】
[実施例11]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として1.5重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ni:Ti=76.5:15:7:1.5)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として2%のNTA・3Naと5%の過酸化水素を含む薬液を使用し、化学研磨の時間を5分間とした以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0073】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約45μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0074】
[実施例12]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として1.5重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:In:Zn:Ti=71.5:15:7:5:1.5)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として1.5%の3PDTAと7%の過酸化水素と1.0%の水酸化ナトリウムを含む薬液を使用し、化学研磨の時間を5分間とした以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0075】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約50μmのフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0076】
[実施例13]
不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として1.8%のHEDTA・3Naと8%の過酸化水素を含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0077】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約35μmのフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0078】
[実施例14]
不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として1.8%のHEDP・4Naと8%の過酸化水素を含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0079】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約35μmのフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0080】
[実施例15]
不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として2%のDTPA・5Naと7%の過酸化水素を含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0081】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約35μmのフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0082】
[比較例7]
銅回路間およびセラミックス基板の端部に残った不要なろう材を、5%の過酸化水素と3%のアンモニア水と1.6重量%のEDTAとからなる溶液により20℃で45分間エッチングして除去した以外は、比較例2と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間が見られた。
【0083】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、窒化アルミニウム基板と銅回路の間に約50μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックが発生していた。
【0084】
[比較例8]
活性金属成分として3重量%のハフニウムを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Hf=80:17:3)を使用した以外は、比較例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間が見られた。
【0085】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、窒化アルミニウム基板と銅回路の間に約70μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックが発生していた。
【0086】
なお、実施例1〜15および比較例1〜8の結果を表1〜表5に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】