特許第5750811号(P5750811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750811
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】金属−セラミックス接合基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 37/02 20060101AFI20150702BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20150702BHJP
   H05K 3/38 20060101ALI20150702BHJP
   C04B 41/91 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   C04B37/02 B
   H05K3/06 M
   H05K3/38 B
   C04B41/91 B
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-63390(P2013-63390)
(22)【出願日】2013年3月26日
(62)【分割の表示】特願2009-187106(P2009-187106)の分割
【原出願日】2004年2月25日
(65)【公開番号】特開2013-173666(P2013-173666A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2013年3月26日
(31)【優先権主張番号】特願2003-86957(P2003-86957)
(32)【優先日】2003年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2003-183844(P2003-183844)
(32)【優先日】2003年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】506365131
【氏名又は名称】DOWAメタルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107548
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中村 潤二
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−013920(JP,A)
【文献】 特開平10−125821(JP,A)
【文献】 特開2003−060111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/02
C04B 41/91
H05K 3/06
H05K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板の少なくとも一方の面に活性金属含有ろう材を介して金属部材を接合する金属−セラミックス接合基板の製造方法において、セラミックス基板の少なくとも一方の面に活性金属含有ろう材を介して金属部材を接合した後に、金属部材の表面の所定の部分にレジストを塗布して金属部材の一部をエッチングし、レジストを除去した後、主に活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属により形成された金属層の一部を、活性金属と錯体を形成する化合物と酸化剤とアンモニアを含む薬剤によりエッチングし、その後、活性金属と錯体を形成する化合物と酸化剤を含み、金属部材のエッチングと主に活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属により形成された金属層のエッチングを抑制し且つ主に活性金属含有ろう材の活性金属およびその化合物により形成された活性金属層を選択的にエッチングする薬剤を使用して、活性金属含有ろう材の活性金属層の一部を選択的にエッチングすることにより、セラミックス基板上に金属回路を形成し、その後、金属回路を化学研磨して金属回路の周縁部にフィレットを形成することを特徴とする、金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項2】
前記活性金属と錯体を形成する化合物が酸性化合物またはその塩であることを特徴とする、請求項に記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項3】
前記酸性化合物がカルボン酸系の化合物であることを特徴とする、請求項に記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項4】
前記酸性化合物が、クエン酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、1,3−プロパンジアミン三酢酸(1,3PDTA)、ニトリロ3酢酸(NTA)およびヒドロキシエチリデン2リン酸(HEDT)から選ばれる酸性化合物であることを特徴とする、請求項に記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項5】
前記フィレットの幅が30μm以上であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項6】
前記活性金属含有ろう材を、前記セラミックス基板上の前記金属回路を形成する領域を含み且つその領域より広い領域に配置させることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項7】
前記活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属が、銀、銅、ニッケル、スズ、亜鉛およびインジウムから選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項8】
前記活性金属含有ろう材の活性金属が、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項9】
前記酸化剤が、過酸化水素、二クロム酸カリウムおよび過マンガン酸カリウムから選ばれる酸化剤であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項10】
前記活性金属含有ろう材の活性金属層の一部を選択的にエッチングする工程において、撹拌処理を行うことを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項11】
前記撹拌処理が、揺動、液の対流、バブリングおよび超音波付与から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、請求項10に記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【請求項12】
前記金属回路の全面または一部の面にNiまたはNi合金めっきを施すことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属−セラミックス接合基板の製造方法に関し、特に、活性金属含有ろう材により金属部材がセラミックス部材に接合された金属−セラミックス接合基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁基板として使用されている金属−セラミックス接合基板では、接合後の熱衝撃によりセラミックス部材と金属部材との間に発生する熱膨張差による熱応力により、セラミックス部材にクラックが発生し易い。このような熱応力を緩和させる方法として、金属部材の沿面部分を薄くする方法、すなわち金属部材の周縁部に段構造またはフィレットを形成する方法が知られている。
【0003】
このような構造を実現するため、活性金属含有ろう材を介してセラミックス部材に接合された金属板の表面の所定部分にレジストを印刷し、金属板の不要部分をエッチングして金属回路を形成した後、レジストを除去し、金属回路間に残留する不要なろう材を除去し、再度この金属回路の表面にレジストを印刷して再度エッチングし、レジストを剥離して除去することにより、すなわち回路パターン印刷工程と金属回路エッチング工程をそれぞれ2回ずつ行うことにより、金属回路の周縁部にフィレットを形成する方法が知られている。
【0004】
また、セラミックス基板上に金属回路パターンを形成した後に不要ろう材を無機酸−フッ酸系などの薬液で処理して除去し、金属回路を備えたセラミックス回路基板を形成する方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2594475号公報(第6欄8−11行、10欄29−41行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、金属回路の周縁部にフィレットを形成するために回路パターン印刷工程と金属回路エッチング工程をそれぞれ2回ずつ行う方法では、工程が煩雑であり、また、工数の増加による製造コストの増大を招いている。
【0007】
また、特許文献1に開示された方法では、不要な活性金属含有ろう材を除去するために無機酸−フッ酸系などのエッチング液を使用しているので、活性金属含有ろう材により形成された2つの層、すなわち主に活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属によって形成された層(以下「金属層」という)と主に活性金属含有ろう材の活性金属およびその化合物によって形成された層(以下「活性金属層」という)のうちの金属層を過剰にエッチング(サイドエッチング)する場合があり、フィレットを形成するのが困難な場合がある。また、無機酸−フッ酸系のエッチング液は、セラミックスにダメージを与え易く、耐ヒートサイクル性などの信頼性が低下する場合がある。
【0008】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、少ない工程で金属回路の周縁部に所望のフィレットを形成して低コストで高信頼性の金属−セラミックス接合基板を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属により形成された金属層の一部を薬剤によりエッチングした後、活性金属含有ろう材の活性金属層を除去する際に、金属回路と活性金属含有ろう材の金属層のエッチングを抑制し且つ活性金属層を選択的にエッチングする薬剤を使用して、金属回路内部への金属層の過剰なエッチング(サイドエッチング)を抑制して活性金属層をエッチングすることにより、少ない工程で金属回路の周縁部にフィレットを形成して低コストで高信頼性の金属−セラミックス接合基板を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法は、セラミックス基板の少なくとも一方の面に活性金属含有ろう材を介して金属部材を接合する金属−セラミックス接合基板の製造方法において、セラミックス基板の少なくとも一方の面に活性金属含有ろう材を介して金属部材を接合した後に、金属部材の表面の所定の部分にレジストを塗布して金属部材の一部をエッチングし、レジストを除去した後、主に活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属により形成された金属層の一部を、活性金属と錯体を形成する化合物と酸化剤とアンモニアを含む薬剤によりエッチングし、その後、活性金属と錯体を形成する化合物と酸化剤を含み、金属部材のエッチングと主に活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属により形成された金属層のエッチングを抑制し且つ主に活性金属含有ろう材の活性金属およびその化合物により形成された活性金属層を選択的にエッチングする薬剤を使用して、活性金属含有ろう材の活性金属層の一部を選択的にエッチングすることにより、セラミックス基板上に金属回路を形成し、その後、金属回路を化学研磨して金属回路の周縁部にフィレットを形成することを特徴とする。
【0011】
この金属−セラミックス接合基板の製造方法において、選択的にエッチングする薬剤が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムをさらに含んでもよい。また、活性金属と錯体を形成する化合物が酸性化合物またはその塩であるのが好ましい。この酸性化合物として、カルボン酸系の化合物を使用することができ、クエン酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、1,3−プロパンジアミン三酢酸(1,3PDTA)、ニトリロ3酢酸(NTA)およびヒドロキシエチリデン2リン酸(HEDT)から選ばれる酸性化合物を使用するのが好ましい。
【0012】
上記の金属−セラミックス接合基板の製造方法において、フィレットの幅が30μm以上であるのが好ましい。また、活性金属含有ろう材を、セラミックス基板上の金属回路を形成する領域を含み且つその領域より広い領域に配置させるのが好ましい。また、活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属が、銀、銅、ニッケル、スズ、亜鉛およびインジウムから選ばれる少なくとも1種の金属であるのが好ましい。さらに、活性金属含有ろう材の活性金属が、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれる少なくとも1種の金属であるのが好ましい。
【0013】
また、上記の金属−セラミックス接合基板の製造方法において、酸化剤が、過酸化水素、二クロム酸カリウムおよび過マンガン酸カリウムから選ばれる酸化剤であるのが好ましい。
【0014】
また、活性金属含有ろう材の活性金属層の一部を選択的にエッチングする工程において、撹拌処理を行うのが好ましく、拌処理が、揺動、液の対流、バブリングおよび超音波付与から選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。
【0015】
さらに、金属回路の全面または一部の面にNiまたはNi合金めっきを施すのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、金属層のエッチングを抑制し且つ活性金属層のみを選択的に除去するエッチング液を使用することにより、銅回路印刷工程と銅回路エッチング工程をそれぞれ1回ずつ行うだけで、サイドエッチングを防止して所望のフィレットを形成することができ、セラミックスへのダメージも少なく、低コストで高信頼性の金属−セラミックス接合基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法の工程を示す断面図である。
図2】本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法の工程を示す断面図である。
図3】本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法の工程を示す断面図である。
図4】本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法の工程を示す断面図である。
図5】本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法によって製造された金属−セラミックス接合基板を示す斜視図である。
図6】金属−セラミックス接合基板のフィレット幅を説明する図である。
図7】金属−セラミックス接合基板のサイドエッチ量を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法の実施の形態を説明する。
【0019】
図1に示すように、セラミックス基板10を用意し(図1(a))、このセラミックス基板10の両面にペースト状の活性金属含有ろう材12をスクリーン印刷し(図1(b))、その上に金属部材14を配置し、実質的に真空または非酸化性雰囲気中において加熱した後に冷却することにより、セラミックス基板10の両面に金属部材14を接合する。この接合により、活性金属含有ろう材12は、主に活性金属含有ろう材の活性金属およびその化合物によって形成された層(活性金属層)12aと、主に活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属によって形成された層(金属層)12bになる(図1(c))。但し、これらの層12aと12bは、必ずしも図示したように明確に分離された層ではなく、これらの境界がある程度明確な場合の他、ろう材の種類や厚さ、その他の条件により見かけ上一層になって観察される場合もある。但し、見かけ上一層でも、セラミックス基板10と金属部材14の間には、接合に寄与する活性金属とセラミックスの反応性生物が必ず存在し、便宜上、この反応性生物も活性金属層12に含まれるものとする。また、活性金属含有ろう材12は、箔状またはスパッタリングなどにより形成された膜状などでもよい。
【0020】
セラミックス基板10として、アルミナやシリカなどを主成分とする酸化物、または窒化アルミニウムや窒化ケイ素や炭化ケイ素などを主成分とする非酸化物からなり、5〜200mm×5〜200mm程度の大きさで0.25〜3.0mmの厚さの基板を使用することができる。また、活性金属含有ろう材12の活性金属成分として、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびこれらの水素化物の少なくとも1種以上を使用することができる。さらに、金属部材14として、銅、アルミニウム、ニッケルなどの単一金属、マンガニンや黄銅などの銅合金、またはステンレスなどの合金からなり、0.1〜0.5mmの厚さの金属箔または金属板を使用することができる。
【0021】
次に、図2に示すように、接合した金属部材14の両面に、所望の回路パターンのレジスト16を印刷し(図2(a))、塩化第2銅エッチング液や塩化鉄エッチング液などにより不要な金属部材14をエッチングして除去し(図2(b))、レジスト16を除去する(図2(c))。なお、レジスト16は、ドライフィルムなどの他の方法によって形成してもよい。
【0022】
次に、図3図5に示すように、金属回路間の不要な金属層12bを例えば3%のEDTAを含む溶液により除去した(図3(a))後、金属回路間の不要な活性金属層12aを薬液により除去し(図3(b))、化学研磨を施し(図4(a))、その後、メッキ18を施して、所定の幅のフィレットが形成された金属−セラミックス金属接合基板を得る(図4(b)、図5)。また、化学研磨液や処理時間を変えることにより、フィレットの幅を自在に制御することができ、例えば、0〜250μmの範囲で自在に制御することができる。なお、本明細書中においてフィレットの幅とは図6に示すDをいう。また、図1図4では金属部材の側面をセラミックス基板に対して垂直に描いており、図6では金属部材の側面を傾斜して描いているが、これらの図は模式的に描いた図であり、実際には金属部材の側面はエッチングされるので、図示したように傾斜したり円弧状になる場合が多い。
【0023】
不要な活性金属層12aを除去するために使用する薬液としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの活性金属と錯体を形成するカルボン酸系の化合物や分子内に1つ以上のアミノ基を有する化合物と、過酸化水素、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウムなどの酸化剤と、錯体を水溶性にするために添加する酸またはアルカリとを含む薬剤を使用することができる。酸またはアルカリは、活性金属と錯体を形成する化合物に応じて選択することができ、カルボン酸系などの酸性化合物の場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを使用する。この場合の薬液のpHは、好ましくは7〜10であり、さらに好ましくは8.5〜9.5である。pHが10より高いと液が分解し、pHが7より低いと酸性化合物が溶け難くなるからである。また、アミン系などのアルカリ性化合物の場合には、塩酸、硫酸、硝酸などの酸を使用する。
【実施例】
【0024】
以下、本発明による金属−セラミックス接合基板の製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0025】
[実施例1]
45mm×45mmの大きさで厚さ0.635mmの窒化アルミニウム基板の両面に、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ti=80:17:3)をスクリーン印刷し、その上に厚さ0.3mmの銅板を配置し、真空中で850℃に加熱して窒化アルミニウム基板の両面に銅板を接合した。
【0026】
次に、両面の銅板上に所定の回路パターンのレジストを印刷した後、塩化第2銅エッチング液により不要な銅板をエッチングし、3%NaOH溶液によりレジストを除去して銅回路を形成した。
【0027】
その後、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な窒化チタンを主成分とする活性金属層の一部を、5%の過酸化水素と3%のアンモニア水と1.6重量%のEDTAとからなる溶液により20℃で15分間エッチングして除去した。このエッチング後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0028】
次に、銅回路間の不要な窒化チタンを主成分とする活性金属層を、5%のクエン酸と10%の過酸化水素と4.5%の水酸化カリウムを含む薬液により30℃で30分間選択的にエッチングして除去した。
【0029】
次に、硫酸−過酸化水素系の研磨液により銅回路を45℃で5分間処理して化学研磨した後、厚さ2.5μmのメッキを施し、金属−セラミックス接合基板を作製した。
【0030】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約50μm幅のフィレットが形成されていた。
【0031】
また、得られた基板について、20℃→−40℃×30分→20℃×10分→125℃×30分→20℃×10分を1サイクルとする繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0032】
[比較例1]
45mm×45mmの大きさで厚さ0.635mmの窒化アルミニウム基板の両面に、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ti=80:17:3)をスクリーン印刷し、その上に厚さ0.3mmの銅板を配置し、真空中で850℃に加熱して窒化アルミニウム基板の両面に銅板を接合した。
【0033】
次に、両面の銅板上に所定の回路パターンのレジストを印刷した後、塩化第2銅エッチング液により不要な銅板をエッチングし、3%NaOH溶液によりレジストを除去して銅回路を形成した。
【0034】
その後、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要なろう材を、硫酸−弗化水素酸−過酸化水素の混酸により35℃で20分間処理して除去した。この処理後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間が見られた。
【0035】
次に、硫酸−過酸化水素系の研磨液により銅回路を45℃で5分間処理して化学研磨した後、厚さ2.5μmのメッキを施し、金属−セラミックス接合基板を作製した。
【0036】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、図7に模式的に示すように、金属層がサイドエッチングされ(図7においてD’はサイドエッチ量を示す)、窒化アルミニウム基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板に目視で確認できるクラックが発生していた。
【0037】
[実施例2]
50mm×30mmの大きさで厚さ0.635mmの窒化アルミニウム基板の両面に、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ti=80:17:3)を介して、厚さ0.25mmの銅板を、10−5torr以下、850℃で加熱接合した。
【0038】
次に、両面の銅板上に所定の回路パターンのレジストを印刷した後、塩化第2銅エッチング液により不要な銅板をエッチングし、3%NaOH溶液によりレジストを除去して銅回路を形成した。
【0039】
その後、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な窒化チタンを主成分とする活性金属層の一部を、5%の過酸化水素と3%のアンモニア水と1.6重量%のEDTAとからなる溶液により20℃で15分間エッチングして除去した。このエッチング後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0040】
次に、銅回路間の不要な窒化チタンを主成分とする活性金属層を、2%のDTPA・5Naと5%の過酸化水素を含む薬液により30℃で30分間選択的にエッチングして除去した。
【0041】
次に、硫酸−過酸化水素系の研磨液により銅回路を45℃で5分間処理して化学研磨した後、厚さ3μmの無電解ニッケルメッキを施し、金属−セラミックス接合基板を作製した。
【0042】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約50μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0043】
[比較例2]
50mm×30mmの大きさで厚さ0.635mmの窒化アルミニウム基板の両面に、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ti=80:17:3)を介して、厚さ0.25mmの銅板を、10−5torr以下、850℃で加熱接合した。
【0044】
次に、両面の銅板上に所定の回路パターンのレジストを印刷した後、塩化第2銅エッチング液により不要な銅板をエッチングし、3%NaOH溶液によりレジストを除去して銅回路を形成した。
【0045】
その後、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要なろう材を、塩酸−弗化水素酸−過酸化水素の混酸により35℃で20分間エッチングして除去した。このエッチング後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間が見られた。
【0046】
次に、硫酸−過酸化水素系の研磨液により銅回路を化学研磨した後、厚さ3μmの無電解ニッケルメッキを施し、金属−セラミックス接合基板を作製した。
【0047】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、窒化アルミニウム基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックが発生していた。
【0048】
[実施例3]
活性金属成分として3重量%のハフニウムを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Hf=80:17:3)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として3%のエチレンジアミンと5%の過マンガン酸カリウムと3.8%の塩酸を含む薬液を使用し、化学研磨の時間を4分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0049】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約40μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0050】
[比較例3]
活性金属成分として3重量%のハフニウムを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Hf=80:17:3)を使用した以外は、比較例2と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間が見られた。
【0051】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、窒化アルミニウム基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックが発生していた。
【0052】
[実施例4]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のZrHを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Sn:ZrH=80:12:5:3)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として3%のEDTA・4Naと4%の二クロム酸カリウムを含む薬液を使用し、化学研磨の時間を4分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0053】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約40μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0054】
[比較例4]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のZrHを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Sn:ZrH=80:12:5:3)を使用した以外は、比較例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間が見られた。
【0055】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、アルミナ基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られて基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックが発生していた。
【0056】
[実施例5]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ni:Ti=75:15:7:3)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として2%のHEDTA・3Naと5%の過酸化水素を含む薬液を使用し、化学研磨の時間を5分30秒間とした以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0057】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約55μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0058】
[比較例5]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ni:Ti=75:15:7:3)を使用した以外は、比較例2と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間が見られた。
【0059】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、アルミナ基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックが発生していた。
【0060】
[実施例6]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:In:Zn:Ti=70:15:7:5:3)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として3%の3PDTAと7%の過酸化水素と1.8%の水酸化ナトリウムを含む薬液を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0061】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約50μmのフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0062】
[比較例6]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として3重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:In:Zn:Ti=70:15:7:5:3)を使用した以外は、比較例2と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間が見られた。
【0063】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、アルミナ基板と銅回路の間に約30μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックが発生していた。
【0064】
[実施例7]
活性金属成分として1.5重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ti=90:8.5:1.5)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として2%のクエン酸と9%の過酸化水素と1.8%の水酸化カリウムを含む薬液を使用し、この薬液により37℃で60分間選択的にエッチングし、化学研磨の時間を4分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0065】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約40μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0066】
[実施例8]
不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として1.8%のDTPA・5Naと6%の過酸化水素を含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0067】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約35μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0068】
[実施例9]
活性金属成分として1.5重量%のハフニウムを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Hf=81.5:17:1.5)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として1.5%のエチレンジアミンと5%の過マンガン酸カリウムと2%の塩酸を含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0069】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約40μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0070】
[実施例10]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として1.5重量%のZrHを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Sn:ZrH=81.5:12:5:1.5)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として2%のEDTA・4Naと4%の二クロム酸カリウムを含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0071】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約40μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0072】
[実施例11]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として1.5重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Ni:Ti=76.5:15:7:1.5)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として2%のNTA・3Naと5%の過酸化水素を含む薬液を使用し、化学研磨の時間を5分間とした以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0073】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約45μm幅のフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0074】
[実施例12]
アルミナ基板を使用し、活性金属成分として1.5重量%のチタンを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:In:Zn:Ti=71.5:15:7:5:1.5)を使用し、不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として1.5%の3PDTAと7%の過酸化水素と1.0%の水酸化ナトリウムを含む薬液を使用し、化学研磨の時間を5分間とした以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間およびアルミナ基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路とアルミナ基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0075】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約50μmのフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0076】
[実施例13]
不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として1.8%のHEDTA・3Naと8%の過酸化水素を含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0077】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約35μmのフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0078】
[実施例14]
不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として1.8%のHEDP・4Naと8%の過酸化水素を含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0079】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約35μmのフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0080】
[実施例15]
不要な活性金属層を選択的にエッチングするエッチング液として2%のDTPA・5Naと7%の過酸化水素を含む薬液を使用した以外は、実施例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この実施例では、銅回路間および窒化アルミニウム基板の端部に残った不要な金属層(活性金属含有ろう材の活性金属以外の金属層)と不要な活性金属層の一部をエッチングにより除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間はなく、サイドエッチは確認されなかった。
【0081】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、約35μmのフィレットが形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去してアルミナ基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、アルミナ基板にクラックの発生はなく、繰り返しヒートサイクルに対する信頼性を高めるフィレットの効果が確認された。
【0082】
[比較例7]
銅回路間およびセラミックス基板の端部に残った不要なろう材を、5%の過酸化水素と3%のアンモニア水と1.6重量%のEDTAとからなる溶液により20℃で45分間エッチングして除去した以外は、比較例2と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間が見られた。
【0083】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、窒化アルミニウム基板と銅回路の間に約50μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックが発生していた。
【0084】
[比較例8]
活性金属成分として3重量%のハフニウムを含む活性金属含有ろう材(Ag:Cu:Hf=80:17:3)を使用した以外は、比較例7と同様の方法により、金属−セラミックス接合基板を作製した。この比較例では、ろう材を除去した後に外観を目視したところ、銅回路と窒化アルミニウム基板の間に隙間が見られた。
【0085】
このようにして得られた基板の断面を観察したところ、フィレットは形成されておらず、金属層がサイドエッチングされ、窒化アルミニウム基板と銅回路の間に約70μmの隙間が形成されていた。また、得られた基板について、実施例1と同様の繰り返しヒートサイクルを300回行った後に、銅回路とろう材を除去して窒化アルミニウム基板の表面を光学顕微鏡で観察したところ、窒化アルミニウム基板にクラックが発生していた。
【0086】
なお、実施例1〜15および比較例1〜8の結果を表1〜表5に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【符号の説明】
【0092】
10 セラミックス基板
12 活性金属含有ろう材
12a 活性金属層
12b 金属層
14 金属部材
16 レジスト
18 メッキ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7