(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記次に実行される機能で用いる前記処理手段が節電状態である場合に、前記実行中の機能の処理終了までに前記次に実行される機能で用いる前記処理手段が動作状態となるように前記切替手段を制御する
請求項1記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明をスキャン機能、コピー機能、印刷(プリント)機能、ファクシミリ(FAX)機能を備えた画像形成装置に適用した場合について説明する。
【0013】
図1には、本実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成を示すブロック図が示されている。
【0014】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、商用電源(例えば、AC100V)に接続され、オン又はオフに切り替えられることにより当該商用電源から供給される電力を通電状態又は非通電状態に切り替える電源スイッチ12と、電源スイッチ12に接続され、当該電源スイッチ12を介して商用電源から供給される電力を第1電圧レベル(例えば、5V)の直流電力に変換する第1低圧電源装置14と、電源スイッチ12に接続され、当該電源スイッチ12を介して商用電源から供給される電力を第2電圧レベル(例えば、24V)の直流電力に変換する第2低圧電源装置16とを備えている。
【0015】
また、本実施の形態に係る画像形成装置10は、各々の処理を組み合わせることによりコピー機能、印刷機能、ファクシミリ機能を実現するための処理手段として、各種の操作ボタン40(
図2参照)やタッチパネル42が設けられた操作パネル17と、装置全体の動作を制御するコントローラ18と、自動原稿送り装置を有し、自動原稿送り装置にセットされた記録用紙又は予め定めた読込位置に置かれた記録用紙から画像を読み込み、当該画像を示す画像データを取得するスキャナ20と、画像データに基づいて電子写真方式にて感光体ドラムに潜像を形成し、形成された当該潜像にトナーを付着させて現像したトナー像を記録用紙に転写する画像形成エンジン22と、一般通信回線に接続され、一般通信回線を介して他のFAX端末装置とFAX通信を行うFAX通信部26を備えている。
【0016】
コントローラ18は、第1低圧電源装置14に接続され、当該第1低圧電源装置14から電力が供給されている。操作パネル17、スキャナ20、画像形成エンジン22及びFAX通信部26は、第2低圧電源装置16に接続され、当該第2低圧電源装置16から電力が供給されている。また、図示されてないがFAX通信部26の回線検知する部分等で、第1低圧電源装置14に部分的に接続されているエリアもある。
【0017】
コントローラ18は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)30や、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM32、各種データを一時的に記憶するRAM34、各種データを記憶して保持するHDD(ハード・ディスク・ドライブ)36、ネットワークNETに接続され、ネットワークNETを介して外部サーバ80などの外部機器との間でプリントを行う印刷データを含む各種の通信データの送受信を行うネットワークI/F(インタフェース)部38を備えている。
【0018】
また、画像形成エンジン22は、加熱・加圧することにより記録用紙に転写されたトナー像を当該記録用紙に定着させる定着器24を備えている。
【0019】
操作パネル17、コントローラ18、スキャナ20、画像形成エンジン22及びFAX通信部26は、バスBUSを介して相互に接続されている。従って、コントローラ18は、スキャナ20の作動の制御、画像形成エンジン22の作動の制御、FAX通信部26を介した他のFAX端末装置とのFAX通信の制御を各々行える。また、コントローラ18は、操作パネル17に設けられた操作ボタン40及びタッチパネル42(
図2参照。)に対するユーザの操作状態を把握できる。また、コントローラ18は、操作パネル17に設けられたタッチパネル42へのメッセージの表示制御を行える。
【0020】
また、本実施の形態に係る画像形成装置10は、第2低圧電源装置16と、スキャナ20、画像形成エンジン22、FAX通信部26とを接続する各電力配線にスイッチ90A〜90Dを設けている。コントローラ18は、スイッチ90A〜90Dに接続され、スイッチ90A〜90Dのオン・オフを制御しており、使用しない機器への電力の供給の停止を行える。
【0021】
図2には、本実施の形態に係る操作パネル17の一例が示されている。
【0022】
操作パネル17には、テンキー40A、スタートボタン40B、クリアボタン40C、節電ボタン40D等の各種の操作ボタン40と、タッチ操作が行えるタッチパネル42とが設けられている。
【0023】
この節電ボタン40Dは、コントローラ18に直接接続されており、利用者によって節電ボタン40Dが操作されると、コントローラ18によって検知される。
【0024】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、画像形成が行われない状態で予め定められた待機期間を経過すると、動作状態が節電状態へ移行する。この節電状態では、電力消費を抑えて省エネルギー化を実現するため、第2低圧電源装置16やスイッチ90A〜90Dをオフして使用しない機器への電力の供給の停止しており、タッチパネル42の表示及び点灯を停止したり、画像形成エンジン22の定着器24への通電をされる電力を停止している。
【0025】
画像形成装置10は、節電状態で操作パネル17の節電ボタン40Dが押下されると、第2低圧電源装置16やスイッチ90Dをオンして操作パネル17への電力の供給を再開させ、操作パネル17により利用者から何れかの機能の実行の指示が受け付けられた場合、当該機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御している。
【0026】
また、本実施の形態に係る画像形成装置10は、装置の使用が許可された利用者の識別情報が利用者情報としてHDD36に予め記憶されている。
【0027】
さらに、本実施の形態に係る画像形成装置10は、複数の機能を続けて実行させる連続処理をジョブフローとして登録することが可能とされている。HDD36には、ジョブフローとして登録された連続処理を識別する連続処理番号、及び機能の実行順が連続処理情報として記憶されている。連続処理情報は、操作パネル17から設定されても良く、また、ネットワークNETを介してパーソナル・コンピュータ(PC)などの外部装置から設定されてもよい。
【0028】
図3には、連続処理情報のデータ構造の一例が示されている。
【0029】
連続処理情報には、連続処理番号、複数の機能の実行順が記憶されている。機能の実行順に記載された矢印「→」は実行される順番を示している。
【0030】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
【0031】
上述したように本実施の形態に係る画像形成装置10は、画像形成が行われない状態で予め定められた待機期間を経過すると、動作状態が節電状態へ移行する。
【0032】
利用者は、節電状態の装置を使用する場合、操作パネル17の節電ボタン40Dを押下する。
【0033】
操作パネル17の節電ボタン40Dが押下されると、第2低圧電源装置16とスイッチ90Dをオンして操作パネル17への電力の供給を再開させ、タッチパネル42にユーザの認証を行うための識別情報入力画面50を表示させる。
【0034】
図4には、識別情報入力画面50の一例が示されている。
【0035】
識別情報入力画面50には、識別情報を入力するための入力領域52と認証開始を指示するOKボタン54が設けられている。
【0036】
利用者は、識別情報入力画面50が表示されると、入力領域52に識別情報の入力し、OKボタン54を指定する。
【0037】
画像形成装置10は、OKボタン54の指定が行われると、入力領域52に入力された識別情報がHDD36に記憶された利用者情報の何れか識別情報と合致するか否かによりユーザの認証を行い、認証が得られた場合、タッチパネル42に、
図5に示すようにコピー、スキャン、FAX、ジョブフローの選択を受け付ける選択画面60を表示する。この選択画面60には、コピー、スキャン、FAX、ジョブフローの各機能にそれぞれに対応して機能選択ボタン62が設けられている。
【0038】
画像形成装置10は、タッチパネル42に表示された選択画面60で利用者からコピー、スキャン、FAX、何れかの機能が選択された場合、当該機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御する。例えば、スキャンが指定された場合、コントローラ18は、スイッチ90Cをオンさせてスキャナ20への電力の供給を再開させる。
【0039】
一方、画像形成装置10は、タッチパネル42により利用者からジョブフロー機能の実行の指示が受け付けられた場合、ジョブフローとして登録された連続処理を選択させるためのジョブフロー選択画面70をタッチパネル42に表示させる。
【0040】
図6には、ジョブフロー選択画面70の一例が示されている。
【0041】
ジョブフロー選択画面70には、登録された連続処理の連続処理番号、実行される機能を表示する表示領域72と、実行する連続処理の連続処理番号を入力するための入力領域74と認証開始を指示するOKボタン76が設けられている。
【0042】
利用者は、ジョブフロー選択画面70が表示されると、入力領域74に実行する連続処理の連続処理番号を入力し、OKボタン76を指定する。
【0043】
画像形成装置10は、タッチパネル42に表示されたジョブフロー選択画面70で何れかの連続処理の実行の指示が受け付けられた場合、当該連続処理で最初に実行する機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御する。
【0044】
ところで、連続処理において、複数の機能を続けて実行する際に各機能の処理を実行する段階で各機能で用いる機器が動作状態となるように制御した場合、電力消費を抑えられるものの、続けて次の機能の処理を実行する段階で次の機能で用いる機器が動作状態となるように制御した場合、次の機能の実行が可能となるまで待ち時間が発生する。
【0045】
特に、画像形成エンジン22は、定着器24で加熱・加圧することにより記録用紙に転写されたトナー像を定着させるため、定着を行う際に特定の温度範囲である必要があるが、節電状態が長期間になると、定着器24の温度が低下する。このため、定着器24の温度が低下した場合、定着器24の温度が特定の温度範囲に上昇するまで画像を形成できず、定着器24のウォームアップの待ち時間が長くなる。
【0046】
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10は、連続処理において、連続処理で最初に実行される機能で用いる器機が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御し、実行中の機能の処理終了までに次に実行される機能で用いる器機が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御する。
【0047】
図7には、タッチパネル42のジョブフロー選択画面70で何れかの連続処理の実行の指示を受けた際にコントローラ18のCPU30により実行される復帰制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはROM32に予め記憶されている。
【0048】
ステップS10では、HDD36に記憶された連続処理情報からジョブフロー選択画面70で実行が指示された連続処理番号の機能の実行順を読み出す。
【0049】
ステップS12では、機能の実行順で最初に実行する機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御する。
【0050】
これにより、最初に実行する機能で用いる機器が動作状態に復帰して最初の機能の処理が開始される。
【0051】
ステップS14では、上記ステップS10で読み出した機能の実行順において、現在実行中の機能の次に実行される機能で用いる機器のうち、電力の供給が停止されているものがあるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS18へ移行し、否定判定となった場合はステップ16へ移行する。
【0052】
ステップ16では、現在実行中の機能の処理終了待ちを行い、ステップS28へ移行する。
【0053】
一方、ステップS18では、現在実行中の機能の処理が終了する終了予定時刻を求める。本実施の形態では、各機能を実行した際の処理時間をHDD36に記憶させておき、過去に同様の機能を実行した際の平均処理時間を求めて、現在実行が指示された機能の処理開始から平均処理時間を経過した時刻を終了予定時刻とする。なお、各機能の処理時間を実際の処理対象とする記録用紙の枚数から予測してもよい。例えば、現在実行が指示された機能がスキャンである場合、自動原稿送り装置にセットされた記録用紙の厚さを検出するセンサを設け、記録用紙の厚さから読み込む記録用紙の枚数を概算する。そして、概算した読み込む記録用紙の枚数に一枚当たりの平均読取り時間を乗算することにより処理時間を予測し、現在実行が指示された機能の処理開始から処理時間を経過した時刻を終了予定時刻としてもよい。また、例えば、現在実行が指示された機能がFAXである場合、一枚当たりの平均読取り時間と一枚当たりの平均FAX送信時間とを加算した加算時間に、読み込む記録用紙を乗算することにより処理時間を予測し、現在実行が指示された機能の処理開始から処理時間を経過した時刻を終了予定時刻としてもよい。
【0054】
次のステップS20では、次に実行される機能で用いる機器に通電を開始した際の動作状態に復帰するまでの復帰時間を求める。この復帰時間は、機器毎に予め定めた時間としてHDD36に記憶しておき、HDD36から読み出すことにより求めてもよい。また、各機器の状態を検出して、復帰時間を求めてもよい。例えば、画像形成エンジン22の定着器24の温度を検出し、検出した温度から特定の温度範囲に上昇するまで時間を予測してもよい。また、定着器24のオフしていた時間から温度低下を予測して、特定の温度範囲に上昇するまで時間を予測してもよい。
【0055】
次のステップS22では、終了予定時刻から復帰時間だけ前の時刻を復帰開始時刻とする。
【0056】
次のステップS24では、復帰開始時刻となるまで処理待ちを行う。
【0057】
ステップS26では、次に実行する機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御する。
【0058】
これにより、次に実行する機能で用いる機器が動作状態に復帰して次の機能の処理が開始される。
【0059】
ステップS28では、上記ステップS10で読み出した機能の実行順において、次に実行される機能が存在するか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS14へ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。
【0060】
これにより、例えば、連続処理としてスキャンとコピーを続けて実行する場合、画像形成装置10は、
図8に示すように、スキャンの実行
を指示されたタイミングT1でスイッチ90Cをオンしてスキャンで用いるスキャナ20への通電を開始してスキャンを動作状態に復帰させる。そして、スキャンの実行中に、スイッチ90Aをオンしてコピーで用いる画像形成エンジン22への通電を開始させて画像形成エンジン22のウォームアップを開始させ、スキャンが終了する終了予定時刻T2に画像形成エンジン22を動作状態に復帰させる。
【0061】
これにより、スキャンの終了時にコピーで用いられるスキャナ20と画像形成エンジン22が動作状態となっているため、コピーを速やかに行える。
【0062】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で設計上の変更をされたものにも適用可能であるのは勿論である。
【0063】
また、連続処理はスキャンとコピーに限定されるものではない。例えば、連続処理としてスキャンとプリントを続けて実行する場合や、FAX送信とコピーを続けて実行する場合、スキャンとFAX送信とコピーを続けて実行する場合も、コピーやプリントの処理を開始するよりも前に画像形成エンジン22が動作状態と復帰させることにより、コピーやプリントを速やかに行える。
【0064】
また、上記実施の形態は、実行中の機能の終了予定時刻に次に実行が予測される機能を復帰させるように制御する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、実行する機能と共に次に実行される機能を復帰も復帰させるようにしてもよい。また、利用者が次の機能の条件の設定を行う必要がある場合、次に実行が予測される機能の復帰開始時刻を利用者が次の機能の条件の設定を行う時間分遅くしてもよい。次に実行される機能の復帰開始時刻は、現在実行中の機能の終了前であれば、次の機能を続けて実行する際の待ち時間が短縮される。
【0065】
また、上記実施の形態では、識別情報が操作パネル17から入力されることにより取得する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、識別情報が記録されたICカードをカードリーダで読み取ることにより取得してもよい。