(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る検知装置及び画像形成装置の一例を
図1〜
図10に従って説明する。
【0018】
<全体構成>
本実施形態に係る画像形成装置10は、フルカラー画像又は白黒画像を形成するものであり、
図1に示されるように、水平方向一側(
図1における左側)部分を構成する画像形成部の一例としての第1処理部11が収容された第1筐体10Aと、第1筐体10Aと分割可能に接続され、水平方向+側(
図1における右側)部分を構成する第2処理部が収容された第2筐体10Bとを備えている。また、画像形成装置10は、制御手段の一例としての制御装置192によって制御されている。
【0019】
第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から送られてくる画像データに画像処理を施す画像信号処理部13が設けられている。
【0020】
一方、第1筐体10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に沿って交換可能に設けられている。
【0021】
なお、第1特別色及び第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色(透明を含む)から適宜選択される。また、以後の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、数字の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明し、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
【0022】
トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成手段の一例としての画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14と対応するように水平方向に沿って設けられている。
【0023】
画像形成ユニット16毎に設けられた露光装置40は、前述した画像信号処理部13によって画像処理を施された画像データを画像信号処理部13から受け取り、この画像データに応じて変調した光ビームLを後述の像保持体18へ照射するように構成されている(
図2参照)。
【0024】
各画像形成ユニット16は、
図2に示されるように、一方向(
図2における時計回り方向)に回転駆動される像保持体18を備えている。各露光装置40から各像保持体18へ光ビームLが照射されることにより、各像保持体18には静電潜像が形成される。なお、露光装置40については詳細を後述する。
【0025】
各像保持体18の周囲には、像保持体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光装置40によって像保持体18に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置22と、転写後の像保持体18に残留する現像剤を除去する除去部材としてのブレード24と、転写後の像保持体18に光を照射して除電を行なう除電装置26とが設けられている。
【0026】
スコロトロン帯電器20、現像装置22、ブレード24、除電装置26は、像保持体18の表面と対向して、像保持体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0027】
現像装置22は、トナーを含んだ現像剤Gを収容する現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに収容された現像剤Gを像保持体18に供給する現像ロール22Bとを含んで構成されている。現像剤収容部材22Aは、トナーカートリッジ14(
図1参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
【0028】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各像保持体18と接触する環状の中間転写ベルト34と、各像保持体18に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる一次転写部材としての一次転写ロール36とを含んで構成されている。
【0029】
中間転写ベルト34は、図示しないパルスモータで駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数の巻掛ロール44とに巻き掛けられており、駆動ロール38により、一方向(
図1における反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
【0030】
各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の像保持体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、像保持体18に形成されたトナー画像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
【0031】
中間転写ベルト34を挟んで駆動ロール38の反対側には、ブレードを中間転写ベルト34に接触させて、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。
【0032】
転写部32の下方には、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部48が水平方向に沿って2個設けられている。
【0033】
各記録媒体収容部48は、第1筐体10Aから引き出し自在とされている。各記録媒体収容部48の一端側(
図1における右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
【0034】
各記録媒体収容部48内には、記録媒体Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、記録媒体収容部48が第1筐体10Aから引き出されると、制御装置192の指示によって下降するようになっている。底板50が下降することで、ユーザーが記録媒体Pを補充する空間が記録媒体収容部48に形成される。
【0035】
第1筐体10Aから引き出された記録媒体収容部48を第1筐体10Aに装着すると、底板50が、制御装置192の指示によって上昇するようになっている。底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の記録媒体Pと送出ロール52とが当るようになっている。
【0036】
送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という場合がある)には、記録媒体収容部48から重なって送り出された記録媒体Pを1枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する複数の搬送ロール54が設けられている。
【0037】
記録媒体収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、記録媒体収容部48から送り出された記録媒体Pを第1折返部60Aで
図1における左側に折り返し、さらに、第2折返部60Bで
図1における右側に折り返すように、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
【0038】
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像が、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されてきた記録媒体Pに二次転写される構成となっている。
【0039】
搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される別の記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが予備経路66を通って搬送経路60に入り込めるようになっている。
【0040】
転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写された記録媒体Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられ、搬送ベルト70に搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
【0041】
複数の搬送ベルト70及び搬送ベルト80のそれぞれは、環状に形成されており、一対の巻掛ロール72に巻き掛けられている。一対の巻掛ロール72は、記録媒体Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70(搬送ベルト80)を一方向(
図1における時計回り方向)に循環移動させる。
【0042】
搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pの表面に転写されたトナー画像を記録媒体Pに熱と圧力で定着させる定着ユニット82が設けられている。
【0043】
定着ユニット82は、定着ベルト84と、定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧加熱してトナー画像を定着させる定着部Nが形成されている。
【0044】
定着ベルト84は、環状に形成されており、駆動ロール89及び従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。
【0045】
駆動ロール89及び従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱される。
【0046】
図1に示されるように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送り出された記録媒体Pを下流側へ搬送する搬送ベルト108が設けられている。搬送ベルト108は、搬送ベルト70と同様に形成されている。
【0047】
搬送ベルト108の下流側には、定着ユニット82によって加熱された記録媒体Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
【0048】
冷却ユニット110は、記録媒体Pの熱を吸収する吸収装置112と、記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114とを備えている。吸収装置112は、搬送経路60に対する一方側(
図1における上側)に配置され、押付装置114は、他方側(
図1における下側)に配置されている。
【0049】
吸収装置112は、記録媒体Pと接触し、記録媒体Pの熱を吸収する環状の吸収ベルト116を備えている。吸収ベルト116は、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120と、複数の巻掛ロール118とに巻き掛けられている。
【0050】
吸収ベルト116の内周側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させるアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。
【0051】
さらに、ヒートシンク122から熱を奪い熱気を外部へ排出させるためのファン128が、第2筐体10Bの裏側(
図1に示す紙面奥側)に配置されている。
【0052】
記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114は、記録媒体Pを吸収ベルト116へ押し付けながら記録媒体Pを搬送する環状の押付ベルト130を備えている。押付ベルト130は、複数の巻掛ロール132に巻き掛けられている。
【0053】
冷却ユニット110の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置140が設けられている。
【0054】
矯正装置140の下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥、記録媒体Pの位置や形状等を検知する検知装置の一例としてのインラインセンサ200が設けられている。なお、インラインセンサ200についての詳細は後述する。
【0055】
インラインセンサ200の下流側には、片面に画像が形成された記録媒体Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
【0056】
一方、両面に画像を形成させる場合は、インラインセンサ200から送り出された記録媒体Pは、インラインセンサ200の下流側に設けられた反転経路194に搬送されるようになっている。
【0057】
反転経路194には、搬送経路60から分岐する分岐パス194Aと、分岐パス194Aに沿って搬送される記録媒体Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パス194Bと、用紙搬送パス194Bに沿って搬送される記録媒体Pを逆方向に向けて折り返してスイッチバック搬送させて表裏を反転させる反転パス194Cが設けられている。
【0058】
この構成により、反転パス194Cでスイッチバック搬送された記録媒体Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
【0059】
次に、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0060】
画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光装置40に送られる。各露光装置40では、画像データに応じて各光ビームLを出射して、スコロトロン帯電器20によって帯電した各像保持体18に露光し、静電潜像が形成される。
【0061】
図2に示されるように、像保持体18に形成された静電潜像は、現像装置22によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
【0062】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの感光体
18に形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34に順次多重転写される。
【0063】
中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール62によって、記録媒体収容部48から搬送されてきた記録媒体P上に二次転写される。トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
【0064】
記録媒体P上の各色のトナー画像が定着ユニット82により加熱・加圧されることで記録媒体Pに定着する。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、矯正装置140に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。
【0065】
湾曲が矯正された記録媒体Pは、インラインセンサ200によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
【0066】
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、インラインセンサ200を通過後に、記録媒体Pが反転経路194で反転され、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
【0067】
なお、本実施形態に係る画像形成装置10では、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品(画像形成ユニット16V・16W、露光装置40V・40W、トナーカートリッジ14V・14W、一次転写ロール36V・36W)は、ユーザーの選択により、追加部品として第1筐体10Aに装着可能に構成されている。従って、画像形成装置10としては、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品を有さない構成、第1特別色及び第2特別色のうちいずれか1色の画像を形成するための部品のみを有する構成としてもよい。
【0068】
<インラインセンサ>
次に、本実施形態のインラインセンサ200について説明する。
【0069】
なお、以降の説明では、インラインセンサ200の検出位置K(
図4参照、詳細は後述する)における記録媒体Pの搬送方向(副走査方向)をX方向、インラインセンサ200の検出位置Kにおける記録媒体Pの幅方向(主走査方向)をZ方向とし、インラインセンサ200の検出位置Kにおける記録媒体Pの面外方向、すなわちX方向及びZ方向と直交する方向をY方向とする。
【0070】
(インラインセンサの基本構成、機能)
図3に示されるように、インラインセンサ200は、画像が記録された記録媒体Pに向けて光を照射する照明手段の一例としての照射部202と、該照射部202から照射されて記録媒体Pで反射された光を受光手段の一例としてのCCDセンサ204に結像する結像光学系206を備えた結像部208と、を有する検知手段の一例としての検知部209を備えている。また、インラインセンサ200は、当該インラインセンサ200の使用時やキャリブレーション時の各種基準等が設定された設定部210を備えている。
【0071】
検知部209を構成する照射部202は、記録媒体Pの搬送経路60の上側に配置されており、光源の一例としての一対のランプ212を有する。各ランプ212は、Z方向を長手方向として配置されたキセノンランプであり、その照射範囲のZ方向の長さは搬送される最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。一対のランプ212は、記録媒体Pにて反射されて結像部208に向かう光軸OA(設計上の光軸)のX方向の両側に配置されると共に、光軸OAに対して対称に配置されている。より具体的には、各ランプ212は、記録媒体Pへの照射角度がそれぞれ45°〜50°となるように光軸OAに対し対称に配置されている。
【0072】
より詳細には、一対のランプ212は、記録媒体Pの搬送方向の上流側に設けられた第一光源の一例としての第一ランプ212Aと、第一ランプ212Aに対して光軸OAを挟んで反対側に設けられた第二光源の一例としての第二ランプ212Bとを備えている。
【0073】
なお、本実施形態においては、光軸OAが、Y方向と一致するように構成されている。
【0074】
検知部209を構成する結像光学系206は、光軸OAに沿って導かれた光を記録媒体Pの搬送方向下流側に反射する第1ミラー214と、第1ミラー214が反射した光を上向きに反射する第2ミラー216と、第2ミラー216が反射した光を記録媒体Pの搬送方向上流側に反射する第3ミラー218と、第3ミラー218が反射した光をCCDセンサ204に集光(結像)するレンズ220と、を主要部として構成されている。本実施形態においては、CCDセンサ204は、光軸OAに対し記録媒体Pの搬送方向上流側に配置されている。
【0075】
第1ミラー214のZ方向の長さは、最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。第1ミラー214〜第3ミラー218は、結像光学系206に入射された記録媒体Pの反射光をそれぞれZ方向(主走査方向)に絞りながら反射するようになっている。これにより、略円柱状のレンズ220に対し記録媒体Pの幅方向各部からの反射光を入射させる構成となる。
【0076】
上記構成により、インラインセンサ200では、結像部208のCCDセンサ204が、結像された光、すなわち画像濃度に応じた信号を、
図1及び
図10に示されるように、画像形成装置10の制御装置192に出力(フィードバック)するようになっている。制御装置192は、インラインセンサ200からの信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正するようになっている。画像形成装置10では、一例として、露光装置40による照射光の強度、画像の形成位置などがインラインセンサ200からの信号に基づいて補正される。
【0077】
図3に示されるように、結像光学系206における第3ミラー218とレンズ220との間には、光量絞り部224が設けられている。光量絞り部224は、光路をZ方向に横切ってCCDセンサ204に結像する光の光量をY方向(主走査方向及び副走査方向に直交する方向)に絞ると共に、外部から操作することで光量絞り量を調整可能に構成されている。光量絞り部224による光量絞り量は、経時により各ランプ212の発光量が変化してもCCDセンサ204に結像される光量が予め定めた量となるように調整されるように構成されている。
【0078】
一方、
図3及び
図4に示されるように、設定部210は、Z方向を長手方向として配置された基準部材の一例としての基準ロール226を備えている。基準ロール226は、記録媒体Pの画像検出を行なう際に搬送経路60側を向ける検出基準面228と、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行なわない場合に搬送経路側を向ける退避面230と、反射面の一例としての白色基準面232と、多色のパターンが長手方向に沿って形成された反射面の一例としてのカラー基準面234と、複数の検査パターンが形成された反射面及び検査面の一例としての複合検査面236と、を有する。
【0079】
なお、本実施形態では、基準ロール226は、周方向に8面以上の面が形成された多角形筒状に形成されている。また、検出基準面228、退避面230、カラー基準面234、複合検査面236は、夫々一面ずつ設けられ、白色基準面232は2面設けられている。
【0080】
基準ロール226は、回転軸226A周りに回転することで、搬送経路60側を向ける面を切り替える構成とされている。なお、
図4、
図10に示すように、基準ロール226は後述する回路基板262(
図3、
図9を参照)に設けられた制御手段の一例としての制御回路261によって制御される制御手段の一例としてのパルスモータ251(
図10参照)によって、回転するように構成されている。
【0081】
そして、制御装置192(
図1、
図4、
図10を参照)から制御回路261に送られた制御信号によって、基準ロール226の面の切り替え、及び回転角度の制御が行なわれるように構成されている。
【0082】
図3及び
図4に示されるように、基準ロール226は、八角形以上の多角形筒状に形成されることで、各面の周方向中央と面間の角部との回転中心に対する距離差が小さく抑えられている。これにより、基準ロール226の各面と後述するウインドウガラス286との距離を小さく抑えながら、基準ロール226の面間の角部が照射部202と干渉しない構成とされている。
【0083】
検出基準面228は、周方向の幅が他の面よりも小とされており、その周方向両側の面は上記した各基準としての機能を有しない案内面238とされている。検出基準面228は、搬送される記録媒体Pの被検出(被読み取り)面を各ランプ212による照射位置Kに位置決めする位置基準面とされている。
【0084】
なお、この照射位置Kを通過する記録媒体Pを反射した反射光を結像部208が検出する。つまり、照射位置Kが、記録媒体Pの画像検出を行なう検出位置Kとされる。
【0085】
退避面230は、周方向の幅が他の面よりも大とされている。この退避面230は、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行なわない場合に、記録媒体Pを案内する案内面であり、検出基準面228よりも回転軸226Aの軸心からの距離が小とされている。これにより、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行なわない場合には、インラインセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行なう場合よりも、照射部202(ウインドウガラス286)との間隔が広い搬送経路が形成されるようになっている。
【0086】
白色基準面232は、照射部202と結像光学系206のキャリブレーション用であり、予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準の白色フィルムが貼着されて構成されている。
【0087】
カラー基準面234は、照射部202と結像光学系206のキャリブレーション用であり、各色に応じて予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準色のパターンが施されたフィルムが貼着されて構成されている。
【0088】
図5に示されるように、複合検査面236は、基準ロール226の回転方向(記録媒体Pの搬送方向)の位置をキャリブレーションするための位置検知模様の一例としての位置検出パターン240と、焦点(解像度)を検出するための焦点検知模様の一例としてのフォーカス検出パターン242と、照射深度に応じたCCDセンサ204の出力を検出するための深度検知部の一例としての深度検出部244と、が同一面に配置された構成とされている。
【0089】
位置検出パターン240は、複合検査面236の長手方向両端部に少なくとも1つずつ設けられている。また、フォーカス検出パターン242は、複合検査面236の両端部における位置検出パターン240の長手方向中央側に隣接するように配置されている。深度検出部244は、複合検査面236の両端部におけるフォーカス検出パターン242の長手方向中央側に隣接するように配置されていると共に、複合検査面236の長手方向の中央
部に配置されている。
【0090】
なお、本実施形態では、中央部に配置された深度検出部244と長手方向の一端側に配置された深度検出部244との間に、深度検出部244に隣接して位置検出パターン240及びフォーカス検出パターン242が配置されている。
【0091】
図6に示されるように、位置検出パターン240は、黒色の「N」字のパターンが、該「N」字の縦線が記録媒体Pの搬送方向に沿うように形成された白地のフィルムが貼着されることで構成されている。なお、「N」字を、より具体的に説明すると、基準ロール226の回転軸226Aの軸方向(記録媒体Pの幅方向)に間隔をあけて形成された二本の搬送方向に沿った直線部240A及び直線部240Cと、これら直線部240Aの一端と直線部
240Cの他端とを結ぶ斜線部240Bと、で構成されている。なお、本実施形態では、N字は、線幅が約0.2mmで黒色とされている。
【0092】
フォーカス検出パターン242は、ラダーパターンが形成された白地のフィルムが貼着されることで構成されている。なお、本実施形態のラダーパターンは、搬送方向に沿った複数の直線部242Aが回転軸方向(幅方向)に間隔をあけて形成された縞模様のパターンとされている。なお、本実施形態では、直線部242Aは、黒色とされ、5lp/mmで10本、形成されている。
【0093】
図6及び
図7に示すように、深度検出部244は、基準ロール226の回転軸226Aからの距離が異なる、言い換えると、検出位置(照射位置)Kからの距離が異なる3つの深度検出部244A、244B、244Cは、複合検査面236の長手方向に形成された段差に白地のフィルムを貼着されることで構成されている。なお、本実施形態では、深度検出部244を構成する各白色面244A、244B、244Cの回転軸226Aの軸方向の幅は、各15mmとされている。
【0094】
(インラインセンサの分割構造)
図3に示されるように、インラインセンサ200は、照射部202を主要部とするセンターユニット246と、結像部208を主要部とするアッパユニット248と、設定部210を主要部とするロアユニット250と、に3分割可能な構造とされている。
【0095】
アッパユニット248は、画像形成装置10の第2筐体10B(
図1参照)に対しZ方向にスライドして着脱可能とされている。センターユニット246は、アッパユニット248に対しZ方向にスライドして着脱可能とされている。ロアユニット250は、センターユニット246及びアッパユニット248に対しZ方向にスライドして着脱可能とされている。なお、記録媒体Pの搬送経路60の下側に配置されるロアユニット250は、記録媒体Pのつまりを解消するために第2筐体10Bから引き出される下側ドロワ(図示省略)にZ方向のみ支持されており、この下側ドロワの出し入れに伴ってセンターユニット246及びアッパユニット248に対し脱着されるようになっている。以下、具体的に説明する。
【0096】
(アッパユニットの構成)
図3に示されるように、アッパユニット248はアッパハウジング254を備えている。アッパハウジング254は、結像部208を収容すると共に、冷却用の空気本流路の一例としてのダクト265(
図9を参照)等を構成している。また、アッパハウジング254は、CCDセンサ204、結像光学系206を収容した第一開孔部材の一例としての結像系ハウジング256を有して構成されている。
【0097】
結像系ハウジング256は、Z方向から見てX方向に長手の略矩形箱状に形成されており、該X方向の一端部(本実施形態では、記録媒体Pの搬送方向上流側の端部)にCCDセンサ204を収容している。また、結像系ハウジング256におけるX方向の他端部には、第2ミラー216、第3ミラー218が配置されている。そして、結像系ハウジング256におけるX方向の略中央部には、光軸OAに沿って光が入射される第一通過孔の一例としての窓部256Aが形成されている。結像系ハウジング256には、窓部256Aが光透過性のウインドウガラス258にて閉止されることで、内部が密閉(気密)の空間とされると共にCCDセンサ204等が収容される光学室205が設けられている。
【0098】
アッパハウジング254は、結像系ハウジング256を上方から覆うアッパカバー260を備えている。これにより、結像系ハウジング256の上壁256Uとアッパカバー260との間に及び制御回路261(
図3、
図10参照)が設けられた回路基板262が収容される基板室264が形成されている。また、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256におけるCCDセンサ204が配置された側であるX方向一端部の外側にダクト265を形成するダクトカバー268を備えている。ダクトカバー268は、結像系ハウジング256の上記端部を記録媒体Pの搬送方向上流側及び用紙搬送経路60側から覆って、X−Y断面形状が「L」字状であるダクト265を形成している。
【0099】
図3と
図9とに示されるように、ダクト265の上端は空気取入口266Aとされ、ダクト265の空気取入口266Aと反対側の端部は後述するランプハウジング284の第一空気流路の一例としてのダクト308に接続される接続口266Bとされている。ダクト265には、該ダクト265内を上側から下側に向かう気流を生じさせる空気流発生手段の一例としてのファン270が配置されている。また、ダクト265には、結像系ハウジング256に設けられた光学室205に空気を送り込む(光学室205内を正圧にする)ファン272が配置されている。さらに、ダクト265には、基板室264に空気を送り込むファン274(
図9参照)が設けられている。
【0100】
図3に示すように、さらに、アッパハウジング254は、結像系ハウジング256を第2ミラー216、第3ミラー218側から覆うカバー275を備えている。カバー275は、結像系ハウジング256との間に断熱空間276を形成している。
【0101】
アッパハウジング254には、Z方向に長手とされたスライダ278が設けられている。この実施形態では、矢印X方向に並列して一対のスライダ278がアッパカバー260に設けられている。各スライダ278は、第2筐体10Bのフレーム(図示省略)に設けられたレールに嵌合している。これにより、各スライダ278は、レールに案内されつつ移動し、アッパユニット248が第2筐体10Bに対しZ方向に移動されるようになっている。
【0102】
(センターユニットの構成)
図3に示されるように、センターユニット246は、一対のランプ212を収容するランプハウジング284と、ランプ212の光を記録媒体Pに向けて出射させるウインドウガラス286を保持したウインドウカバー288とを有する。ランプハウジング284は、上下に開口する箱状を成しており、上側開口端がアッパハウジング254にて閉止されると共に、下側の開口端がウインドウカバー288にて閉止されている。
【0103】
そして、照射部202では、各ランプ212が発した光はウインドウガラス286を通じて記録媒体Pに照射され、記録媒体Pにて反射された光はウインドウガラス286を通じて光軸OAに沿ってランプハウジング284内に入射されるようになっている。ランプハウジング284に入射された記録媒体Pからの反射光は、結像部208を構成する結像系ハウジング256のウインドウガラス258を通じて該結像部208内に導かれる構成とされている。
【0104】
ランプハウジング284は、上側の開口縁から矢印X方向にフランジ状に張り出されたZ方向に長手の一対のスライダ290を備えている。スライダ290は、アッパハウジング254に形成されたレール292に嵌合されている。これにより、各スライダ290は、レール292に案内されつつ移動し、ランプハウジング284がアッパハウジング254(アッパユニット248)に対しZ方向に着脱されるようになっている。
【0105】
ウインドウカバー288は、自らのエッジ及びウインドウガラス286のエッジが記録媒体Pの搬送方向上流側を向くことのないように構成されている。ウインドウガラス286は、ウインドウカバー288に形成された窓部288Aを閉止する姿勢で、長手方向の両端が取り付けスプリング(図示省略)にてウインドウカバー288に押し付けられている。すなわち、ウインドウガラス286はウインドウカバー288に対し着脱可能に構成されている。
【0106】
また、ウインドウカバー288は、ランプハウジング284に対し着脱可能とされている。具体的には、ウインドウカバー288は、X−Y断面形状が上向きに開口する「コ」字状とされており、該開口縁部に一対のスライダ298が設けられている。スライダ298は、ランプハウジング284に形成されたレール300に嵌合されている。これにより、各スライダ298は、レール300に案内されつつ移動し、ウインドウカバー288がウインドウガラス286に対しZ方向に着脱されるようになっている。以上により、インラインセンサ200では、ウインドウカバー288の単品での交換や清掃が可能とされている。
【0107】
図示は省略するが、センターユニット246とアッパユニット248とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピン、孔によって、高精度でX、Y、Zの各方向に位置決めされるようになっている。また、アッパユニット248と筐体とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピン、孔によって、高精度でX、Y、Zの各方向に位置決めされるようになっている。
【0108】
(ロアユニットの構成)
図3と
図4とに示されるように、ロアユニット250は、基準ロール226及び該基準ロール226を駆動するパルスモータ(図示省略)を収容するロアハウジング302を備えている。ロアハウジング302は、上記の通り下側ドロワによって支持されており、該下側ドロワによりZ方向の位置が決められている。また、ロアユニット250とセンターユニット246及びアッパユニット248とは、Z方向の相対移動に伴って抜き差しされるピン、孔によって、高精度でX、Yの各方向に位置決めされるようになっている。これにより、センターユニット246との間に記録媒体Pの搬送経路60が位置するロアユニット250の、センターユニット246及びアッパユニット248に対するX、Y、Zの各方向の位置が決まる構成である。
【0109】
(迷光対策)
図3に示されるように、ランプハウジング284内には、一対のランプ212の上方で光軸OAを囲むように第二開孔部材の一例としてのバッフル304が設けられている。
【0110】
図8に示されるように、バッフル304は、側部の一例としての一対の側壁304Sと、底部の一例としての底壁304Bとを少なくとも有して構成されている。なお、本実施形態では、一対の側壁304SはZ方向に対向する前後一対の壁304F、304Rにて連結されている。底壁304Bには、光軸OA(
図3を参照)が入射される第二通過孔の一例としての下側窓304Wが形成されている。
【0111】
図3及び
図8に示されるように、バッフル304の上側開口端は、結像系ハウジング256の窓部256Aを囲んでいる。したがって、光軸OAに沿って進む光は、バッフル304内を経由して結像部208に入射される。
【0112】
バッフル304は、各ランプ212の背面側から照射された光が窓部256Aに至らないように寸法形状が設定されている。すなわち、下側窓304Wは、各ランプ212の背面側から照射された光が窓部256Aに直接的に至らないように開口縁の位置が設定されている。また、側壁304Sは、各ランプ212の背面側から照射された光が1回反射しても窓部256Aに至らないように光軸OAに対する傾斜角が設定されている。
【0113】
結像系ハウジング256内には、結像光学系206による導光路以外の部分を仕切る複数の仕切壁306が配置されている。各仕切壁306は、記録媒体Pで反射された光の拡散角に応じて、記録媒体Pで反射された拡散光をY方向及びZ方向に絞らない限度で光通過部の大きさ(上限)が決められた開口306Aを有する。
【0114】
(エアフロー)
図3及び
図8に示されるように、また、ランプハウジング284内には、一方(本実施形態では、記録媒体Pの搬送方向の上流側)の側壁304Sとランプハウジング284の周壁とでダクト308が形成されている。ダクト308の上側開口端は、ランプハウジング284がアッパハウジング254に装着された状態で、接続口266Bを通じてダクト265に接続される。これにより、ファン270の作動によって生じた空気流がランプハウジング284内にも生じる構成とされている。
【0115】
ランプハウジング284の周壁におけるX方向においてダクト308側と反対側に位置する部分には、空気排出口310が形成されている。したがって、ダクト265からの空気流は、ランプハウジング284内で、該ランプハウジング284の周壁及びウインドウカバー288によって案内されつつ、記録媒体Pの搬送方向の上流側の第一ランプ212A、同下流側の第二ランプ212Bを経由して流れ、空気排出口310を通じてランプハウジング284の外部に排出されるようになっている。
【0116】
また、ダクト308を構成する側壁304Sの下端からは、第一ランプ212Aの背面側から照射された光が下側窓304Wに至るのを抑制するための遮光部の一例としての張出部312が張り出している。張出部312の張り出し量は、一対のランプ212への空気流による該一対のランプ212の冷却効果が同等になるように設定されている。
【0117】
(光量絞り部)
図3に示されるように、光量絞り部224は、側壁224Sと上壁224Uと下壁224Lとを有し、X−Y断面形状が第3ミラー218側に開口する断面「コ」字状とされている。この光量絞り部224の側壁224Sには、略矩形状の開口部314が形成されている。また、上壁224Uの自由端部からはリブ316が垂下されている。光量絞り部224は、開口部314の下縁314Lと、リブ316の下端316Lとで、記録媒体Pからの光を切り、Y方向に光量を絞る構成とされている。
【0118】
光量絞り部224の長手方向一端は、結像系ハウジング256の手前側の壁に至っており、該光量絞り部224の長手方向一端には、壁に形成された操作孔を通じて調整レバー(図示省略)が取り付けられている。
【0119】
光量絞り部224は、調整レバーの操作に伴って回転し、最も光量を絞った初期位置から徐々に絞り量を減じる姿勢に移動されるようになっている。
【0120】
(詰まり抑制構造)
図3及び
図4に示されるように、センターユニット246(照射部202)とロアユニット250(設定部210)との間の搬送経路60は、記録媒体Pの搬送方向下流側に向けて高位となる構成とされている。ウインドウカバー288とロアハウジング302とには、それぞれの角部を面取り又はアール加工が施されており、これによりインラインセンサ200には、記録媒体Pの搬送方向の上流側を向く誘い込み部である入口シュート320が形成されている。
【0121】
入口シュート320の上部を成すアッパシュート320Uは、下向きに凸の滑らかな曲面で構成されている。基準ロール226の検出基準面228が記録媒体Pの搬送経路60側を向く状態におけるZ方向から見て該検出基準面228の延長線をILとすると、アッパシュート320Uは、延長線ILと干渉する(アッパシュート320U突出端画延長線ILの下側に位置する)ように寸法形状が設定されている。
【0122】
また、ウインドウカバー288におけるウインドウガラス286よりも記録媒体Pの搬送方向下流側には、下向きに凸の滑らかな曲面で構成された凸部322が形成されている。凸部322は、延長線ILの上側に位置している。
【0123】
入口シュート320の下部を成すロアシュート320Lは、ロアハウジング302の開口端から内向きに延びるフランジ302Fに固定したロアシュート部材324により基準ロール226に、より近接されている。ロアシュート部材324における記録媒体Pの搬送方向の下流端は、上向きの凸となるように丸められたアール部324Aとされている。
【0124】
一方、凸部322における記録媒体Pの搬送方向下流側部分とロアハウジング302との間には、出口シュート326が形成されている。出口シュート326の下部を成すロアシュート326Lは、ロアハウジング302の開口端から外向きに延びるフランジ302Fにロアシュート部材328を固定して構成されている。ロアシュート部材328における記録媒体Pの搬送方向の下流端は、上向きの凸となるように丸められたアール部328Aとされている。
【0125】
また、基準ロール226の検出基準面228は、CCDセンサ204により画像を検出する際には、ウインドウガラス286と略平行となる姿勢で記録媒体Pの側に向けられるようになっている。この検出基準面228の両側に設けられた各案内面238は、入口シュート320から記録媒体Pを受け、また出口シュート326に向け記録媒体Pを案内するようになっている。
【0126】
一方、基準ロール226の退避面230は、CCDセンサ204により画像を検出しない場合に、記録媒体Pの搬送方向の下流側ほどウインドウガラス286に近づく姿勢(非平行な姿勢)で記録媒体Pの側に向けられるようになっている。退避面230は、ロアシュート部材324のアール部324Aから出口シュート326の近傍まで延びる幅広面とされており、上記の姿勢で入口シュート320から記録媒体Pを受け、また出口シュート326に向け記録媒体Pを案内するようになっている。
【0127】
(インラインセンサの作用)
図3及び
図4に示されるように、インラインセンサ200は、照射部202と設定部210との間を通過する記録媒体Pに対し、一対のランプ212により光を照射する。記録媒体Pで反射された光は光軸OAに沿って結像部208に導かれ、該結像部208の結像光学系206によってCCDセンサ204に結像される。CCDセンサ204は、画像の位置毎の画像濃度、画像形成位置などに応じた信号を画像形成装置10の制御装置192に出力する。制御装置192では、CCDセンサ204からの信号に基づいて画像濃度、画像形成位置などが補正される(
図10も参照)。
【0128】
一方、インラインセンサ200を構成するCCDセンサ204のキャリブレーションの際には、先ず、ロアユニット250のパルスモータ251が作動して、基準ロール226が回転し、白色基準面232が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。CCDセンサ204は、Z方向(主走査方向)の光量分布を補正するシェーディング補正信号を出力する。
【0129】
次いで、基準ロール226が回転し、
図5に示す複合検査面236が、記録媒体Pの搬送経路60に向けられ、位置検出パターン240(
図6参照)、フォーカス検出パターン242(
図6参照)、及び深度検出部244(
図7参照)を読み取り、検出位置、フォーカス、出力特性が検出される(
図10も参照)。
【0130】
さらに、カラー基準面234が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。そして、CCDセンサ204は、各色において、予め定められた強度の信号が出力されるように、自動的に調整される。
【0131】
(CCDセンサのキャリブレーション)
次に、複合検査面236を用いたCCDセンサ204のキャリブレーション及び検査の手順について、具体的に説明する。
【0132】
前述したように、基準ロール226が回転し、複合検査面236が記録媒体Pの搬送経路60に向けられる。
【0133】
まず、位置検出パターン240を結像部208のCCDセンサ204が検出し、検出結果に基づいて制御装置192が基準ロール226の回転角度を調整する。すなわち、複合検査面236に反射した反射光が検出位置Kに一致するように、別の言い方をすると反射光が正確に光軸OAに沿って反射するように、制御装置192(
図1、
図4、
図10を参照)が基準ロール226の回転角度を調整する。
【0134】
具体的には、
図6に示される「N」字のパターンをZ方向(主走査方向)横切って検出することで、3つの直線部240A、240C間に斜線部240Bが検出される。そして、直線部240Aと斜線部240Bとの間隔と、直線部240Cと斜線部240Bとの間隔と、が等しくなるように、制御装置192(
図1、
図4、
図10を参照)が制御回路261(
図4、
図10参照)に制御信号を送ることでパルスモータ251が駆動し、基準ロール226の回転角度が調整される。
【0135】
次に、基準ロール226の回転角度が調整された後に、フォーカス検出パターン242を、結像部208のCCDセンサ204が検出し、検出位置Kにおける焦点が基準の範囲内であるかを制御装置192が確認する。
【0136】
また、深度検出部244を結像部208のCCDセンサ204が検出し、照射深度に依らず出力が一定であるかを制御装置192が確認する。すなわち、深度検出部244を構成する検出位置Kからの距離が異なる3つの白色面244A、244B、244C(
図7参照)の夫々で反射した反射光の光量に依らずに、出力が基準の範囲内であるかを制御装置192が確認する。
【0137】
なお、上記した如くCCDセンサ204のキャリブレーション及び検査は、一例として画像形成装置10の電源投入時(1回/日程度)に行なわれる。一方、CCDセンサ204の信号に基づく画像形成装置10のキャリブレーション(上記した露光装置40の調整など)は、一例として予め定められた量以上の記録媒体Pに画像を形成したジョブの終了毎(10回/日程度)に行なわれる。
【0138】
なお、位置検出パターンの検出値が調整範囲を超える異常値であった場合や、焦点及び照射深度を確認した結果、問題があると制御装置192が判断した場合は、例えば、操作パネル(図示略)等で報知する。
【0139】
<作用及び効果>
図5に示すように、基準ロール226の一面、すなわち複合検査面236に、位置検出パターン240、フォーカス検出パターン242、及び深度検出部244を集約したので、短時間で検出が行なわれる。言い換えると、キャリブレーションや検査の目的によって、基準ロール226を回転させる必要がないので、短時間で検出される。
【0140】
また、位置検出パターン240により、基準ロール226の回転角度が調整されたあとに、すなわち、複合検査面236が、正確に光軸に向かうように角度調整された状態で、深度検出部244(
図7参照)を検出するので、照明深度の検出精度が向上する。
【0141】
同様に、位置検出パターン240により、基準ロール226の回転角度が調整されたあとに、フォーカス検出パターン242を検出するので、焦点の検出精度が向上する。
【0142】
なお、白色基準面やカラー基準面の検出を、位置検出パターン240を検出した後に行なうことで、検出結果に基づき、白色基準面やカラー基準面の反射光が正確に光軸OAに沿うように角度を調整してもよい。同様に位置検出パターン240の検出結果に基づき、検出基準面228の角度を調整してもよい。
【0143】
<その他>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0144】
例えば、上記実施形態では、複合検査面236に、位置検出パターン240(
図6参照)、フォーカス検出パターン242(
図6参照)、及び深度検出部244(
図7参照)に加え、他の模様や基準等が設けられていてもよい。
【0145】
また、上記実施形態では、位置検出パターン240(
図6参照)は複合検査面236における回転軸方向の両端部に設けられ、フォーカス検出パターン242(
図6参照)は複合検査面236の両端部における位置検出パターン240の内側に設けられ、深度検出部244(
図7参照)、複合検査面236の両端部におけるフォーカス検出パターン242の内側と中央部とに設けられていたが、これに限定されない。これら以外の場所に設けられていてもよい。
【0146】
また、複合検査面236に設けた位置検出パターン240(
図6参照)、フォーカス検出パターン242(
図6参照)、及び深度検出部244(
図7参照)は一例であって、これに限定されない。他の模様や形状であってもよい。
【0147】
また、例えば上記実施形態では、所謂電子写真方式によって記録媒体に画像を形成する画像形成装置に本発明を適用したが、これに限定されない。例えば、インクジェット方式等の他の画像形成方式によって記録媒体に画像を形成する画像形成装置に本発明を適用してもよい。
【0148】
また、例えば、上記実施形態では、記録媒体Pの表面側から光を照射したが、これに限定されない。光を透過する記録媒体を用いる場合は、記録媒体の裏面側から光を照射してもよい。
【0149】
また、記録媒体からの光とは記録媒体で反射された反射光および記録媒体を透過した透過光を含み、より広くは記録媒体上に形成された像や記録媒体の位置や形状に関する情報を検出することができる光である。また、透過とは、光がウインドウガラス等を通り抜けることのほか、結像レンズ等を光が通り抜けることも含む。さらに、記録媒体Pの検知とは、記録媒体Pの位置、形状を検知することを含む。
【0150】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。