(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非磁性体のスライド軸、断面略円状、楕円形状、あるいは4角形状で下部に径の大きいフランジ部を有する円柱体、楕円柱体、あるいは4角柱体からなる、磁石吸着可能でスライド軸と一体になった可動体、該可動体の上部円柱部、楕円柱部または角柱部を取り囲む投入・引外し励磁コイル、該励磁コイルを取り囲むように該励磁コイルの上部に設けられた第一端部ヨーク、側部に設けられた側部ヨーク、下部に設けられた第二端部ヨーク、及び前記励磁コイルと前記第二端部ヨークとの間に設けられた中ヨークからなり、上記励磁コイルに順方向及び逆方向に通電して可動体を上下させ、該可動体に一体化しているスライド軸を移動させ、該スライド軸の先端に連結されている遮断器の開閉を制御する電磁石装置において、
前記側部ヨークと前記励磁コイル間に、前記第一端部ヨークと前記中ヨークを結合する複数の調節ロッドを設け、該調節ロッドの実効長さを調節することにより、前記中ヨーク下部と前記可動体フランジ部上部の間隙を調節可能にしたことを特徴とする遮断器の開閉の制御に用いられる電磁石装置。
前記調節ロッドが断面逆L状であって、前記中ヨーク下部と前記可動体フランジ部上部の間隙を限りなく狭くするように調節可能にしたボルト・ナットの受け具であると共に、前記コイル内ヨーク下部と前記可動体上部間の隙間に設けられた間隙を限りなく狭くするように調節可能にしたボルト・ナットの受け具であることを特徴とする前記請求項1または2記載の遮断器の開閉の制御に用いられる電磁石装置。
前記調節ロッドが一本の丸棒または角棒またはボルトであって、前記中ヨーク下部と前記可動体フランジ部上部の間隙を限りなく狭くするように調節可能にしたボルト・ナットの受け具であると共に、前記コイル内ヨーク下部と前記移動体上部間の隙間に設けられた間隙を限りなく狭くするように調節可能にしたボルト・ナットの受け具であることを特徴とする前記請求項1または2記載の遮断器の開閉の制御に用いられる電磁石装置。
【背景技術】
【0002】
従来、真空遮断器等の高電圧遮断器の開閉用操作器には、投入・引外しコイルで開閉を駆動するとともに、該操作器に組み込まれた永久磁石で開閉を保持する電磁石装置が用いられている。
【0003】
この従来の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置は、例えば、
図2の断面図に示すごとく、スライド軸5、可動体4、励磁コイル2、永久磁石1、ヨーク9〜13から構成され、励磁コイル2に順方向及び逆方向に通電して可動体を上下させ、該可動体4に一体化しているスライド軸5を移動させ、該スライド軸5の先端に連結されている遮断器の開閉を制御するものである。(特開2003−308761号公報、特開2006−222438号公報参照。)
【0004】
ところで、上記電磁石装置は、部品の加工精度や組み立て精度により、
図2の中ヨーク11と可動体4、あるいはコイル内ヨーク13と可動体4との間にギャップ(g1及びg2)が生じてくる。また、投入・引外しコイル励磁時に可動体4が移動すると、ヨークに衝撃が掛かり、ヨークのずれが生じてくることが多い。電磁石装置投入保持状態での永久磁石の磁路は
図4にΦで示される経路を取り、上記ギャップ(g1及びg2)が生じると電磁力が低下してしまうので部品の加工精度や組み立て精度等により上記電磁石装置の投入保持力にばらつきが生じてくる問題があった。
【0005】
また、このばらつきを考慮して余裕をもった設計をすると、電磁石装置が大型化したり、永久磁石が大型化してしまう欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置において、ヨークと可動体との間のギャップ(g1及びg2)を極力0に近づける電磁石装置の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の遮断器の開閉の制御に用いられる電磁石装置は、非磁性体のスライド軸、断面略円状、楕円形状、あるいは4角形状で下部に径の大きいフランジ部を有する円柱体、楕円柱体、あるいは4角柱体からなる、磁石吸着可能でスライド軸と一体になった可動体、該可動体の上部円柱部、楕円柱部または角柱部を取り囲む投入・引外し励磁コイル、該励磁コイルを取り囲むように該励磁コイルの上部に設けられた第一端部ヨーク、側部に設けられた側部ヨー
ク、下部に設けられた第二端部ヨーク
、及び前記励磁コイルと前記第二端部ヨークとの間に設けられた中ヨークからなり、上記励磁コイルに順方向及び逆方向に通電して可動体を上下させ、該可動体に一体化しているスライド軸を移動させ、該スライド軸の先端に連結されている遮断器の開閉を制御する電磁石装置において、
側部ヨークと前記励磁コイル間に第一端部ヨークと中ヨークを結合する複数の調節ロッドを設け、該調節ロッドの実効長さを調節することにより、可動体上部とコイル内ヨーク,中ヨーク下部と可動体フランジ部上部の間隙を限りなく狭くするように調節可能にしたことを特徴とする。
【0009】
このような構成により、ギャップを0にすると磁気吸引力が向上し、これにより、電磁石装置の小型化や信頼性の向上が図れる。
また、側部ヨーク上部と第一端部ヨーク下部間に永久磁石をさらに設け、永久磁石で該開閉状態を保持することを特徴とする。
【0010】
このように、本発明の遮断器の開閉を制御する電磁石装置は、永久磁石と励磁コイルとの磁力の差を磁路形成で適宜切り分けることにより、スライド軸の上下移動を簡単にし、動作の安定化を図ることができる。
【0011】
さらに詳細には、調節ロッドが断面逆L状であって、中ヨーク下部と可動体フランジ部上部の間隙を限りなく狭くするように調節可能にしたボルト・ナットの受け具であると共に、コイル内ヨーク下部と可動体上部間の隙間に設けられた間隙を限りなく狭くするように調節可能にしたボルト・ナットの受け具であることを特徴とする。
【0012】
あるいは、調節ロッドが一本の丸棒または
角棒または1本のボルトであって、中ヨーク下部と可動体フランジ部上部の間隙を限りなく狭くするように調節可能にしたボルト・ナットの受け具であると共に、コイル内ヨーク下部と前記可動体上部間の隙間に設けられた間隙を限りなく狭くするように調節可能にしたボルト・ナットの受け具であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電磁石装置を用いると、投入保持力を向上できる。また、該保持力の安定化が実現でき、信頼性の向上、電磁石装置の小型、安価化、及び組み立て作業の容易性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1に、本発明の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の全体構造図を示す。
【
図2】
図2は、遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の説明図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の全体斜視図を示す。
【
図4】
図4は、遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の磁路の説明図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の組み立て作業の説明図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の他の実施例の説明図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置のさらに他の実施例の説明図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置のさらに他の実施例の説明図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の前提となる基本構造(投入状態)を示す。
【
図10】
図10は、同上の電磁石装置における投入状態の磁束の流れを示す断面図である。
【
図11】
図11は、同上の電磁石装置における引き外し状態の磁束の流れを示す断面図である。
【
図12】
図12は、同上の電磁石装置(引き外し状態)における磁束の流れを示す断面図である。
【
図13】
図13は、同上の電磁石装置(投入状態)における磁束の流れを示す断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の電磁石装置における永久磁石の他の配置を示す断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の電磁石装置における永久磁石のさらに他の配置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の全体構造図を示す。
図2は、遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の説明図を示す。
【0016】
図3は、本発明の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の全体斜視図を示す。
図4は、遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の磁路の説明図を示す。
図9〜14は、本発明の遮断器の開閉用操作器に用いられる電磁石装置の前提となる基本構造を示す。
【0017】
図1〜3において、本発明の電磁石装置は、非磁性体のスライド軸5、断面略円状、楕円形状、あるいは4角形状で下部に径の大きい張り出し部(フランジ部)14を有する円柱体、楕円柱体、あるいは4角柱体からなる、磁石吸着可能で、スライド軸5と一体になった可動体4、該可動体の上部円柱部、楕円柱部または角柱部15を取り囲む励磁コイル2
、励磁コイル2を取り囲むように該励磁コイル2の上部に設けられた第一端部ヨーク9、側部に設けられた側部ヨーク10、下部に設けられた第二端部ヨーク12、及び励磁コイル2と第二端部ヨーク12との間に設けられた中ヨーク11、コイル内ヨーク13からなる。
【0018】
該電磁装置は、上記励磁コイル2に順方向及び逆方向に通電して可動体を上下させ、該可動体に一体化しているスライド軸5を移動させ、該スライド軸5の先端に連結されている図示されていない遮断器の開閉を制御する。側部ヨーク10上部と上記第一端部ヨーク9下部間に永久磁石1が設けられており、該永久磁石1で前記開閉状態を保持する。
【0019】
以下、本発明の前提となる上記電磁石装置について、
図9〜
図13を参照しながら細部構造を詳細に説明する。
図9〜13において、電磁石装置110は、励磁コイル123とヨーク103と可動体104とを有している。
【0020】
この電磁石装置110は、励磁コイル123によって発生させた磁力によって可動体104を直線方向にスライドさせ、この可動体104に固定される駆動対象を動かすものである。
【0021】
励磁コイルは、投入・引き外し用コイル123である。投入・引き外し用コイル123は中ヨーク134に固定されている。また、可動体引き外し磁極面143aと対向しているヨーク引き外し磁極面132bが形成されている。ヨーク引き外し磁極面132bは平坦な第2端部ヨーク132の中ヨーク134側の面の一部である。また、本実施の形態では、永久磁石154が第1端部ヨーク131と側部ヨーク133との間に配設されている。
【0022】
永久磁石154は、ヨーク引き外し磁極面132bと可動体引き外し磁極面143aにおいて、投入・引き外し用コイル123が可動体104の投入の際に発生する磁束と、永久磁石154が形成している磁束とが同一方向となる向きに配設する。また、永久磁石154は、投入・引き外し用コイル123に電流を流した際に、投入・引き外し用コイル123によって生じる磁束が、第1端部ヨーク131、コイル内ヨーク135、可動体104の投入部141、中ヨーク134、側部ヨーク133を一巡して通過する磁路407、407aと、第1端部ヨーク131、コイル内ヨーク135、可動体4の投入部141、第2端部ヨーク132、側部ヨーク133を一巡して通過する磁路407、407b(
図12)と、に共通する磁路となる側部ヨーク133、第1端部ヨーク131、コイル内ヨーク135、可動体の投入部141を通過する主磁束の磁路407(
図12)中に設けられる。本実施の形態では第1端部ヨーク131と一対の側部ヨーク133との間に永久磁石154が配設されている。
【0023】
図9は、本実施の形態の電磁石装置110における可動体104の投入状態を表している。本実施の形態では、電磁石装置110が1つの投入・引き外し用コイル123を有している。可動体104の投入状態は、可動体104が図において上方に位置する状態であり、可動体104の第1可動体投入磁極面141aと第1ヨーク投入磁極面135aとが接触した状態となっている。また、同様に、可動体104の第2可動体投入磁極面142aと中ヨーク投入磁極面134aとが接触した状態となっている。更に、この状態では、スライド軸104bが、第1端部ヨーク131のスライド軸104b用孔に挿入された状態となっている。本実施の形態において、永久磁石154は第1端部ヨーク131と側部ヨーク133との間に配設されている。また、本実施の形態において、投入状態における第2端部ヨーク132を通る磁路の磁気抵抗は中ヨーク134を通る磁路の磁気抵抗よりも大きく構成されている。電磁石装置110は、永久磁石154の磁力による吸引力が図示せぬ付勢部材による付勢力より大きいため、この投入状態を保持するようになっている。
【0024】
図11は、本実施の形態の電磁石装置110における可動体104の引き外し状態を示している。可動体104の引き外し状態は、図において可動体104が下方に移動された状態であり、可動体104の可動体引き外し磁極面143aとヨーク引き外し磁極面132bとが接触した状態となっている。また、この状態では、スライド軸104bが、コイル内ヨーク135のスライド軸104b用孔に挿入された状態となっている。本実施の形態において、中ヨーク134と可動体104の投入部141との距離、第2端部ヨーク132のヨーク引き外し磁極面132bと可動体104の可動体引き外し磁極面143aとの接触面の大きさ、その他の形状、材質等の選択により、引き外し状態で第2端部ヨーク132を通る磁路の磁気抵抗は中ヨーク134を通る磁路の磁気抵抗よりも小さく構成されている。永久磁石154は、コイル内ヨーク135、第1ヨーク投入磁極面135a、第1可動体投入磁極面141a、可動体104の投入部141、中ヨーク134、側部ヨーク133、第1端部ヨーク131を一巡する磁路601、601a(
図11)と、コイル内ヨーク135、第1ヨーク投入磁極面135a、第1可動体投入磁極面141a、可動体104の投入部141、可動体引き外し磁極面143a、ヨーク引き外し磁極面132b、第2端部ヨーク132、側部ヨーク133、第1端部ヨーク131を一巡する磁路601、601b(
図11)を形成している。本実施の形態における電磁石装置110は、図示せぬ付勢部材と永久磁石154による磁力により、この引き外し状態を保持するようになっている。
【0025】
図9に示す投入状態において投入・引き外し用コイル123に電流すと、
図10に示すように、投入・引き外し用コイル123によって生じる磁束が、永久磁石154の磁束による、コイル内ヨーク135、第1ヨーク投入磁極面135a、第1可動体投入磁極面141a、可動体104の投入部141、フランジ部142、第2可動体投入磁極面142a、中ヨーク投入磁極面134a、中ヨーク134、側部ヨーク133、第1端部ヨーク131を一巡する磁路405を打ち消す方向に一巡する磁路406(
図10)を通過する。投入・引き出し用コイル123による磁束と永久磁石154による磁束が打ち消し合い、吸引力が付勢部材の付勢力より小さくなると、可動体104はヨーク引き外し磁極面132bと可動体引き外し磁極面143aと接触するまで移動し、引き外し状態となる。
【0026】
図11に示す、引き外し状態から、投入・引き外し用コイル123に可動体104の引き外し時と逆向きの電流を流すと、
図12に示すように、投入・引き外し用コイル123によって生じる磁束が、コイル内ヨーク135、第1ヨーク投入磁極面135a、第1可動体投入磁極面141a、可動体104の投入部141、中ヨーク134、側部ヨーク133、第1端部ヨーク131を一巡する磁路407、407a(
図12)を通過する。すると、第1ヨーク投入磁極面135aと第1可動体投入磁極面141aとの間に吸引力が生じる。
【0027】
また、このとき、投入・引き外し用コイル123によって生じる磁束が、コイル内ヨーク135、第1ヨーク投入磁極面135a、第1可動体投入磁極面141a、可動体104の投入部141、可動体引き外し磁極面143a、ヨーク引き外し磁極面132b、第2端部ヨーク132、側部ヨーク133、第1端部ヨーク131を一巡する磁路407、407b(
図12)を通過する。これにより、可動体引き外し磁極面143aとヨーク引き外し磁極面132bとの間に吸引力が生じる。永久磁石154の磁路601b(
図12)と投入・引き外し用コイル123による磁路407bの磁束は同一の向きであり、可動体引き外し磁極面143aとヨーク引き外し磁極面132bとの間の吸引力が大きくなる。
【0028】
付勢部材による力および可動体引き外し磁極面143aとヨーク引き外し磁極面132bとの間の吸引力が、第1ヨーク投入磁極面135aと第1可動体投入磁極面141aとの間の吸引力より大きい間は、可動体104の移動が一時保留される。この間に投入・引き外し用コイル123に更に電流を流し、第1ヨーク投入磁極面135aと第1可動体投入磁極面141aとの間の吸引力が、付勢部材による力および可動体引き外し磁極面143aとヨーク引き外し磁極面132bとの間の吸引力より大きくなると、可動体104が上方に、即ち投入・引き外し用コイル123内に吸引される。可動体104が上方に移動するにつれて可動体引き外し磁極面143aとヨーク引き外し磁極面132bとの間の空気ギャップによる磁気抵抗が大きくなり、可動体引き外し磁極面143aとヨーク引き外し磁極面132bとの間の吸引力は小さくなる。
【0029】
可動体104が、第1ヨーク投入磁極面135a側にある一定距離スライド移動すると、第2可動体投入磁極面142aと中ヨーク投入磁極面134aとの間の距離が、可動体104の投入部141と中ヨーク134との間の距離よりも短くなる。そうすると、
図13に示すように、投入用コイル123によって生じる磁束が、コイル内ヨーク135、第1ヨーク投入磁極面135a、第1可動体投入磁極面141a、可動体104の投入部141、フランジ部142、第2可動体投入磁極面142a、中ヨーク投入磁極面134a、中ヨーク134、側部ヨーク133、第1端部ヨーク131を一巡する磁路408(
図13)を通過する。その結果、第2可動体投入磁極面142aと中ヨーク投入磁極面134aとの間に吸引力が生じ、より大きな吸引力によって可動体104がコイル内に引き込まれる方向にスライド移動し、投入状態となる。
【0030】
図9から
図13に示す本実施の形態に、スライド軸104bとコイル内ヨーク135の間、及び第2端部ヨーク132の間に第1軸受けおよび第2軸受けを別途設けることもできる。第1軸受けおよび第2軸受けの大きさ形状や材質を変えて、可動体の吸引力を調整することができる。
【0031】
上述のように構成されている電磁石装置110は、投入用コイル123によって励磁した際に、第1ヨーク投入磁極面135aと第1可動体投入磁極面141a及び第2可動体投入磁極面142aと中ヨーク投入磁極面134aとの2箇所において吸引力が発生するので、1箇所のみで吸引力を発生させる場合と比較して、1箇所あたりの吸引力を少なく設定することができる。また、電磁石装置110自体の小型化も可能となる。また、従来の電磁石装置と径方向の大きさが等しい場合を比較すると、より大きな投入時吸引力を有する電磁石装置110とすることが可能である。
【0032】
また、本実施の形態では、可動体104の投入時に、投入・引き外し用コイル123を励磁した際に、投入・引き外し用コイル123が永久磁石154と同方向に磁束を発生し、ヨーク引き外し磁極面132bと可動体引き外し磁極面143aとの間に吸引力を生じるため、逆方向の第1ヨーク投入磁極面135aと第1可動体投入磁極面141aとの間の吸引力との力の均衡により可動体104の移動が一時保留され、その間に励磁コイルに大きな励磁電流を流すことができる。従って、可動体104を十分な投入時吸引力で移動することができる。また、第1ヨーク投入磁極面135aと第1可動体投入磁極面141aの吸引力が、ヨーク引き外し磁極面132bと可動体引き外し磁極面143aの吸引力および付勢部材の付勢力を上回った瞬間に十分な起磁力で速やかに可動体104を移動することができる。例えば、可動体104に対して常時
図11の下方向(引き外し方向)に付勢力を与える第一付勢部材と、可動体104が
図11の上方向となる可動体投入方向へ一定距離移動した際に引き外し方向に付勢力を与える第二付勢部材とによって付勢力が与えられる場合、可動体104の投入時に、投入時吸引力が十分な大きさになる前に可動体104が投入方向へ動き出すと、可動体104が一定距離移動した後に第二付勢部材によって大きな付勢力が作用し、移動した可動体104が引き外し方向に戻されて投入失敗が起こる。可動体104はその後、再度励磁コイルの励磁電流が大きくなって十分な投入時吸引力を得ることで投入を完了する。しかし、本実施の形態では、十分な投入時吸引力を得るまで可動体104が移動しないため、可動体104が投入時吸引力によって移動した後に引き外し方向に戻されることがなく、投入失敗を防止することができる。
【0033】
なお、永久磁石154は、主磁束の磁路となる位置に配設されればよい。別の配置の例として、
図14に示す第1端部ヨーク131と一対の側部ヨーク133との間に設けられる永久磁石155、
図15に示すコイル内ヨーク135と可動体104との間に設けられる永久磁石156とすることも可能である。
【0034】
本発明は、以上詳細に説明した電磁石装置を前提に、さらに吸引力の向上や電磁石の小型化を目指す改良発明に相当する。
前記背景技術で述べた如く、一般にこのような電磁石を用いた遮断器(例えば、VCB
(真空遮断器))では永久磁石による吸引力を負性部材による負勢力より大きくすることで遮断器の投入状態を保持する。しかし、電磁石装置は部品の加工精度や組立精度により、
図2において可動体投入磁極面4aと第一ヨーク投入磁極面13a間に空隙g1あるいは中ヨーク投入磁極面11aと可動体投入第二磁極面14a間に空隙g2が生じることがある。また、遮断器投入時、投入・引き外しコイル2を励磁し、可動体4が移動し、第一可動体投入磁極面4aと第一ヨーク投入磁極面13a、中ヨーク投入磁極面11aと第二可動体投入磁極面14aが接触することにより、そこに衝撃力が生まれ、第一端部ヨーク9や中ヨーク11が微少移動し、中ヨーク11と可動体4あるいはコイル内ヨーク13と可動体4との間に空隙g1及びg2が生じることがある。
図4に示す本実施形態での投入状態において、永久磁石は、コイル内ヨーク13、第一ヨーク投入磁極面13a、第一可動体投入磁極面4a、可動体4の投入部15、フランジ部14、第二可動体投入磁極面14a、中ヨーク投入磁極面11a、中ヨーク11、側部ヨーク10、第一端部ヨーク9を一巡する磁路Φを形成している。ここで上記空隙g1及びg2が生じると磁気抵抗が高まり、永久磁石1による吸引力は低下してしまう。このため、加工精度や組立精度により電磁石装置の投入保持力にばらつきが生じてくる問題があった。
【0035】
本発明の電磁石装置は
図1,3に示されるように、側部ヨーク10と投入・引き外しコイル2の間に第一端部ヨーク9と側部ヨーク10、第一端部ヨーク9と中ヨーク11をそれぞれ結合する複数の調節ロッド6を設ける。複数の調節ロッド6は逆L字形状であり、電磁石装置角部にそれぞれ設けられている。
図1,3において該調節ロッド6は3本のボルトで締結する構造になっており、ボルト7bは側部ヨーク10と第一端部ヨーク9の固定用であり、ボルト7aは第一端部ヨーク9と調節ロッド6の固定用であり、ボルト7c、ナット8a及びナット8bは調節ロッド6と中ヨーク11の固定用である。中ヨーク11はボルト7c、ナット8a及びナット8bを用いて各調節ロッド6の実効長さを変えることにより、上下位置を自由に調節可能となっている。つまり
図2において、第一ヨーク投入磁極面13aと第一可動体投入磁極面4aの空隙g2=0となる位置、つまり第一ヨーク投入磁極面13aと第一可動体投入磁極面4aが接触した状態で、中ヨーク投入磁極面11aと第二可動体投入磁極面14aの空隙g1が限りなく狭くなる位置に中ヨーク11を上下調節可能となる。
【0036】
電磁石装置の組立は
図5に示されるように上下逆にして行う。まず、永久磁石1を挿入せずに組立を行う。この際、調節ロッド6と中ヨーク11を固定するボルト7c、ナット8a及びナット8bは仮締めとしておき、中ヨーク11が中ヨーク調節範囲31で調節可能としておく。次に永久磁石1を挿入することで
図4に示す、コイル内ヨーク13、第一ヨーク投入磁極面13a、第一可動体投入磁極面4a、可動体4の投入部15、フランジ部14、第二可動体投入磁極面14a、中ヨーク投入磁極面11a、中ヨーク11、側部ヨーク10、第一端部ヨーク9を一巡する磁路Φが形成され、可動体4が吸引され、第一ヨーク投入磁極面13aと第一可動体投入磁極面4a、中ヨーク投入磁極面11aと第二可動体投入磁極面14aに吸引力が生じる。すると、可動体4と中ヨーク11は磁気抵抗が最も少なくなる空隙g1=0、g2=0となる位置に移動される。この状態でボルト7c、ナット8a及びナット8bを締結することで空隙g1、g2を限りなく狭くなる位置で固定することが可能となる。
【0037】
このとき側部ヨーク10を図示せぬ電磁石装置取付け面に固定し、これを基準として調節ロッド6を用いて側部ヨーク10と第一端部ヨーク9、第一端部ヨーク9と中ヨーク11をボルト7ですべて縦締め構造とする事で側部ヨーク10と第一端部ヨーク9、中ヨーク11を完全に固定化することができる。これにより、従来ヨーク間締結ボルトを横締め構造とした場合に発生する、電磁石装置投入時の可動体4吸引時衝撃力によるヨークの位置ずれを防止することが出来る。
【0038】
なお、調節ロッド6はステンレス等の非磁性体を用い、磁気回路の短絡の影響を廃し、また、永久磁石の前後方向への抜け止めにも用いられる。
この調節ロッド6は角柱や円柱でもよく、また、
図6に示されるように上下にタップを切った丸棒や角棒でもよい。また、この調節ロッド6は磁気回路によっては磁性体、非磁性体どちらを用いてもよい。
【0039】
他の実施例として
図7に示されるように電磁石装置の角部に設けられた、角棒または丸棒の両端に雄ねじを切った調節ロッド22を用いて第一端部ヨーク9と中ヨーク11を固定する構造でもよい。調節ロッド22を用いた場合は第一ヨーク投入磁極面13aと第一可動体投入磁極面4aの空隙g1、中ヨーク投入磁極面11aと第二可動体投入磁極面14aの空隙g2の調節は調節ロッド22に締結されたナット21a、21bどちらを用いても行える。
【0040】
図8は
図7の他の実施例であり、調節ロッド22を用いず、1本のボルト24を用いる点で
図7と異なる。
図7,8の実施例においても、各調節ロッド22またはボルト24の実効長さをナット21または25を用いて調節することにより、可動体投入磁極面4aと第一ヨーク投入磁極面13a間の空隙g1あるいは中ヨーク投入磁極面11aと第二可動体投入磁極面14a間の空隙g2を限りなく狭く調節可能になっている。
【0041】
なお、上記実施例は側部ヨーク10上部と第一端部ヨーク9下部間に永久磁石1が設けられており、該永久磁石1で真空遮断器等の閉路状態を保持する構造となっているが、本発明の基本構成はこれに限られず、永久磁石1を使用しない励磁コイルで投入保持まで行う電磁石装置にも適用可能である。