(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示デバイスやデジタルマイクロミラーデバイスなどの空間変調素子を備えたプロジェクタ装置が開発されている。このようなプロジェクタ装置としては、回転駆動されるカラーホイールによって、白色光源からの白色光を時間的に分割して3原色光を形成し、各画素に3原色光を順次照射することによってフルカラー画像を表示する色順次表示方式によるものが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
図5は、従来の色順次表示方式のプロジェクタ装置の一例における構成を示す説明図である。このプロジェクタ装置80は、白色光を放射する光源ランプ81と、光源ランプ81よりの光を集光する楕円反射鏡82と、光源ランプ81よりの光を時間的に分割して3つの原色光および白色光を形成する、回転駆動されるカラーホイール83と、カラーホイール83を透過した光を受光して均一化するロッドインテグレータ84と、ロッドインテグレータ84から出射された光を反射する平板反射鏡85と、平板反射鏡85よりの光が入射されて光画像が出射される反射型の空間変調素子86と、空間変調素子86を駆動する空間変調素子駆動部87と、空間変調素子86から出射される光画像をスクリーンに投射する投射レンズ88とにより構成されている。カラーホイール83は、それぞれ部分扇形の形状を有する、青色光を透過するフィルタ素子83b、赤色光を透過するフィルタ素子83r、緑色光を透過するフィルタ素子83gおよび白色光を透過するフィルタ素子83wが、同一平面上において円環状に配列されて構成されている。
【0004】
このようなプロジェクタ装置80においては、光源ランプ81よりの白色光が、回転駆動されたカラーホイール83を通過することによって、それぞれ時間的に4分割された青色光、赤色光および緑色光の3つの原色光並びに白色光が形成される。その後、これらの原色光および白色光が、ロッドインテグレータ84および平板反射鏡85を介して空間変調素子86に順次入射されることにより、各原色光および白色光による光画像が形成される。そして、空間変調素子86から出射された各原色光および白色光による光画像が、投射レンズ88を介して順次スクリーンに投射されることにより、当該スクリーン上に所要のカラー画像が形成される。
【0005】
しかしながら、上記のプロジェクタ装置80においては、以下のような問題がある。
(1)光源ランプ81よりの光は、カラーホイール83によって各原色光および白色光に時間的に分割されるが、実際に利用される光量は、光源ランプ81よりの光の光量の例えば1/2程度であり、光の利用効率が極めて低い。
具体的に説明すると、
図6に示すように、表示すべき画像の一のフレームを形成するための投射時間内においては、時間的に連続する4つの時間区分S1〜S4に分割され、カラーホイール83が動作することにより、例えば時間区分S1において空間変調素子86に青色光が入射され、時間区分S2において赤色光が入射され、時間区分S3において緑色光が入射され、時間区分S4において白色光が入射される。そして、時間区分S4においては、光源ランプ81から光の略全ての色光成分がカラーホイール83を透過して利用される(利用される光量が区分S1〜S4全体の1/4)。然るに、時間区分S1においては、光源ランプ81から光のうち青色光成分がカラーホイール83を透過して利用されるが、その他の色光成分が犠牲となる(利用される光量が区分S1〜S4全体の1/12)。また、時間区分S2においては、光源ランプ81から光のうち赤色光成分がカラーホイール83を透過して利用されるが、その他の色光成分が犠牲となる(利用される光量が区分S1〜S4全体の1/12)。更に、時間区分S3においては、光源ランプ81から光のうち緑色光成分がカラーホイール83を透過して利用されるが、その他の色光成分が犠牲となる(利用される光量が区分S1〜S4全体の1/12)。
このように、上記のプロジェクタ装置80においては、光の利用効率が1/2(1/4+1/12+1/12+1/12)と極めて低く、低電力で高い照度を得られるプロジェクタ装置を構成することが困難である。
【0006】
(2)フルカラー画像を投射するプロジェクタ装置においては、一般に、各原色光の明るさは空間変調素子に対する光の反射時間(透過型の空間変調素子を用いる場合には透過時間)を変えることにより制御され、各原色光の階調数は256(8ビット)であり、これにより、256の3乗(16777216)色の色を再現することが可能となる。そして、より高い色再現性を実現するためには、各原色光の階調数を増やすことが求められるが、上記のプロジェクタ装置においては、空間変調素子86の応答速度との関係で階調数を増やすことが困難である。
具体的に説明すると、プロジェクタ装置においては、表示すべき画像の一のフレームを形成するための投射時間は例えば1/60秒間(毎秒60フレーム)である。そして、各原色光において256の階調数を実現するためには、フレームの投射時間内における各原色光が投射される時間区分S1〜S3の各々において、空間変調素子86が256回動作することが必要であるため、空間変調素子86に要求される応答時間は、1/(60×4×256)sec(16.2μsec)となる。
そして、空間変調素子86としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いた場合でも、その応答速度は15μsec程度であるため、階調数を増やすことができず、従って、より高い色再現性を得ることは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、光の利用効率が高く、高い色再現性を有する画像を得ることができるプロジェクタ用光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプロジェクタ用光源装置は、赤色光、緑色光および青色光の1つを色光X、他の1つを色光Y、残りの1つを色光Zとする場合において、
色光Xを時間的に2分割することによりp波の直線偏光による第1分割色光X
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光X
2 を形成して互いに異なる光路に切り替えて出射する第1の色光光源部、色光Yを時間的に2分割することによりp波の直線偏光による第1分割色光Y
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光Y
2 を形成して互いに異なる光路に切り替えて出射する第2の色光光源部、並びに、色光Zを時間的に2分割することによりp波の直線偏光による第1分割色光Z
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光Z
2 を形成して互いに異なる光路に切り替えて出射する第3の色光光源部と、
前記第1分割色光X
1 の光路、前記第1分割色光Y
1 の光路および前記第1分割色光Z
1 の光路の交点に配置した第1の色合成光学部材、並びに、前記第2分割色光X
2 の光路、前記第2分割色光Y
2 の光路および前記第2分割色光Z
2 の光路の交点に配置した第2の色合成光学部材と、
前記第1の色合成光学部材よりの合成光が入射されて第1の光画像が出射される第1の空間変調素子、並びに、前記第2の色合成光学部材よりの合成光が入射されて第2の光画像が出射される、前記第1の空間変調素子と関連して駆動される第2の空間変調素子と、 前記第1の空間変調素子よりの第1の光画像と、前記第2の空間変調素子よりの第2の光画像とを合成する光画像合成機構と、
この光画像合成機構よりの合成光画像を投射する合成光画像投射機構と
を有してなり、表示すべき画像のフレームの各々における時間的に連続する区分の各々において、色光X、色光Yおよび色光Zのうちの2つ以上の色光が同時に投射可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明のプロジェクタ用光源装置においては、前記第1の色光光源部は、色光Xを放射する第1のレーザ光源、この第1のレーザ光源よりの色光Xを時間的に2分割してp波の直線偏光による第1分割色光X
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光X
2 を形成する第1の位相差板機構、およびこの第1の位相差板機構からの前記第1分割色光X
1 および前記第2分割色光X
2 を互いに異なる光路に切り替えて出射する偏光ビームスプリッターを備えてなり、
前記第2の色光光源部は、色光Yを放射する第2のレーザ光源、この第2のレーザ光源よりの色光Yを時間的に2分割してp波の直線偏光による第1分割色光Y
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光Y
2 を形成する第2の位相差板機構、およびこの第2の位相差板機構からの前記第1分割色光Y
1 および前記第2分割色光Y
2 を互いに異なる光路に切り替えて出射する偏光ビームスプリッターを備えてなり、
前記第3の色光光源部は、色光Zを放射する第3のレーザ光源、この第3のレーザ光源よりの色光Zを時間的に2分割してp波の直線偏光による第1分割色光Z
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光Z
2 を形成する第3の位相差板機構、およびこの第3の位相差板機構からの前記第1分割色光Z
1 および前記第2分割色光Z
2 を互いに異なる光路に切り替えて出射する偏光ビームスプリッターを備えてなり、
前記光画像合成機構が偏光ビームスプリッターよりなることが好ましい。
【0011】
また、本発明のプロジェクタ用光源装置においては、表示すべき画像のフレームの各々が6つの時間的に連続する区分S1〜区分S6に分割された条件下において、
前記第1の空間変調素子には、各フレームの区分S1および区分S2において第1分割色光X
1 が、区分S3および区分S4において第1分割色光Y
1 が、並びに、区分S5および区分S6において第1分割色光Z
1 がそれぞれ入射されると共に、
前記第2の空間変調素子には、各フレームの区分S1において第2分割色光Y
2 が、区分S2および区分S3において第2分割色光Z
2 が、区分S4および区分S5において第2分割色光X
2 が、並びに、区分S6において第2分割色光Y
2 がそれぞれ入射される
ことが好ましい。
【0012】
このようなプロジェクタ用光源装置においては、前記第1の色光光源部は、各フレームの区分S1および区分S2において第1分割色光X1 を形成し、区分S3において非動作とされ、区分S4および区分S5において第2分割色光X2 を形成し、区分S6において非動作とされ、
前記第2の色光光源部は、各フレームの区分S1において第2分割色光Y2 を形成し、区分S2において非動作とされ、区分S3および区分S4において第1分割色光Y1 を形成し、区分S5において非動作とされ、区分S6において第2分割色光Y2 を形成し、
前記第3の色光光源部は、各フレームの区分S1において非動作とされ、区分S2および区分S3において第2分割色光Z2 を形成し、区分S4において非動作とされ、区分S5および区分S6において第1分割色光Z1 を形成する
ものであることが好ましい。
また、前記第1の色光光源部は、各フレームの区分S1〜区分S3において第1分割色光X
1 を形成し
て区分S3における第1分割色光X1が前記第1の空間変調素子に入射され、区分S4〜区分S6において第2分割色光X
2 を形成し
て区分S6における第2分割色光X2が前記第2の空間変調素子に入射され、
前記第2の色光光源部は、各フレームの区分S1および区分S2において第2分割色光Y
2 を形成し
て区分S2における第2分割色光Y2が前記第2の空間変調素子に入射され、区分S3〜区分S5において第1分割色光Y
1 を形成し
て区分S5における第1分割色光Y1が前記第1の空間変調素子に入射され、区分S6において第2分割色光Y
2 を形成し、
前記第3の色光光源部は、各フレームの区分S1において第1分割色光Z
1 を形成し
て前記第1の空間変調素子に入射され、区分S2〜区分S4において第2分割色光Z
2 を形成し
て区分S4における第2分割色光Z2が前記第2の空間変調素子に入射され、区分S5および区分S6において第1分割色光Z
1 を形成する
ものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプロジェクタ用光源装置によれば、表示すべき画像のフレームの各々における時間的に連続する区分の各々において、3つの原色光である色光X、色光Yおよび色光Zのうちの2つ以上の色光が同時に投射可能であるため、高い光の利用効率が得られる。
また、色光X、色光Yおよび色光Zの各々を時間的に2分割することにより、それぞれp波の直線偏光による分割色光およびs波の直線偏光による分割色光を形成し、p波の直線偏光による分割色光の各々の合成光が第1の空間変調素子に入射されると共に、s波の直線偏光による分割色光の各々の合成光が第2の空間変調素子に入射されることにより、第1の空間変調素子および第2の空間変調素子の各々において各色光の階調を制御することが可能となり、各色光の階調を実質的に増やすことができるので、第1の空間変調素子よりの第1の光画像と第2の空間変調素子よりの第2の光画像とを合成することによって、高い色再現性を有する画像を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のプロジェクタ用光源装置の実施の形態について説明する。
〈第1の実施の形態〉
図1は、本発明のプロジェクタ用光源装置の一例における構成を示す説明図である。このプロジェクタ用光源装置においては、色光Xが時間的に2分割されることにより形成されたp波の直線偏光による第1分割色光X
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光X
2 を出射する第1の色光光源部10X、色光Yが時間的に2分割されることにより形成されたp波の直線偏光による第1分割色光Y
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光Y
2 を出射する第2の色光光源部10Y、並びに、色光Zが時間的に2分割されることにより形成されたp波の直線偏光による第1分割色光Z
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光Z
2 を出射する第3の色光光源部10Zが設けられている。
ここで、色光X、色光Yおよび色光Zの各々は、互いに異なる原色光である。すなわち、赤色光、緑色光および青色光の3つの原色光の1つが色光X、他の1つが色光Y、残りの1つが色光Zである。
【0016】
第1の色光光源部10Xは、色光X(例えば赤色光)を放射する第1のレーザ光源11Xと、この第1のレーザ光源11Xよりの色光Xを時間的に2分割することによりp波の直線偏光による第1分割色光X
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光X
2 を形成する第1の位相差板機構12Xと、この第1の位相差板機構12Xからの第1分割色光X
1 および第2分割色光X
2 を互いに異なる光路xIおよび光路xIIに切り替えて出射する偏光ビームスプリッター15Xと、この偏光ビームスプリッター15Xよりの第1分割色光X
1 を反射する光反射板16Xとにより構成されている。
第2の色光光源部10Yは、色光Y(例えば緑色光)を放射する第2のレーザ光源11Yと、この第2のレーザ光源11Yよりの色光Yを時間的に2分割することによりp波の直線偏光による第1分割色光Y
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光Y
2 を形成する第2の位相差板機構12Yと、この第2の位相差板機構12Yからの第1分割色光Y
1 および第2分割色光Y
2 を互いに異なる光路yIおよび光路yIIに切り替えて出射する偏光ビームスプリッター15Yと、この偏光ビームスプリッター15Yよりの第2分割色光Y
2 を反射する光反射板16Yとにより構成されている。
第3の色光光源部10Zは、色光Z(例えば青色光)を放射する第3のレーザ光源11Zと、この第3のレーザ光源11Zよりの色光Zを時間的に2分割することによりp波の直線偏光による第1分割色光Z
1 およびs波の直線偏光による第2分割色光Z
2 を形成する第3の位相差板機構12Zと、この第3の位相差板機構12Zよりの第1分割色光Z
1 および第2分割色光Z
2 を互いに異なる光路zIおよび光路zIIに切り替えて出射する偏光ビームスプリッター15Zと、この偏光ビームスプリッター15Zよりの第1分割色光Z
1 を反射する光反射板16Zとにより構成されている。
【0017】
この例の第1のレーザ光源11X、第2のレーザ光源11Yおよび第3のレーザ光源11Zの各々は、例えばp波による直線偏光を放射するものが用いられる。第1のレーザ光源11X、第2のレーザ光源11Yおよび第3のレーザ光源11Zの各々を構成するレーザ機構としては、半導体レーザなどを用いることができる。
【0018】
第1の位相差板機構12Xは、
図2(a)に示すように、それぞれ略半円状の2つの位相差板素子13Xp,13Xsが、回転軸14Xの周りを囲むよう配置されて構成されている。一方の位相差板素子13Xpは、位相差が0°のものであり、他方の位相差板素子13Xsは、位相差が180°のものである。この第1の位相差板機構12Xは、
図2(a)において矢印方向に回転駆動されることにより、2つの位相差板素子13Xp,13Xsが、交互に第1のレーザ光源11Xよりの色光Xの光路を通過するよう制御される。 第2の位相差板機構12Yは、
図2(b)に示すように、それぞれ略半円状の2つの位相差板素子13Yp,13Ysが、回転軸14Yの周りを囲むよう配置されて構成されている。一方の位相差板素子13Ypは、位相差が0°のものであり、他方の位相差板素子13Ysは、位相差が180°のものである。この第2の位相差板機構12Yは、
図2(b)において矢印方向に回転駆動されることにより、2つの位相差板素子13Yp,13Ysが、交互に第2のレーザ光源11Yよりの色光Yの光路を通過するよう制御される。 第3の位相差板機構12Zは、
図2(c)に示すように、それぞれ略半円状の2つの位相差板素子13Zp,13Zsが、回転軸14Zの周りを囲むよう配置されて構成されている。一方の位相差板素子13Zpは、位相差が0°のものであり、他方の位相差板素子13Zsは、位相差が180°のものである。この第3の位相差板機構12Zは、
図2(c)において矢印方向に回転駆動されることにより、2つの位相差板素子13Zp,13Zsが、交互に第3のレーザ光源11Zよりの色光Zの光路を通過するよう制御される。
【0019】
第1の色光光源部10X、第2の色光光源部10Yおよび第3の色光光源部10Zの各々における偏光ビームスプリッター15X,15Y,15Zは、特定の直線偏光を透過し、当該特定の直線偏光と種類の異なる直線偏光を反射する機能を有するものである。
図示の例では、第1の色光光源部10Xにおける偏光ビームスプリッター15Xは、第1の位相差板機構12Xよりのp波の直線偏光による第1分割色光Z
1 を透過すると共に、第1の位相差板機構12Xよりのs波の直線偏光による第2分割色光X
2 を例えば90°に反射するものであり、これにより、第1分割色光X
1 および第2分割色光X
2 が互いに異なる光路xIおよび光路xIIに切り替えられて出射される。
また、第2の色光光源部10Yにおける偏光ビームスプリッター15Yは、第2の位相差板機構12Yよりのp波の直線偏光による第1分割色光Y
1 を透過すると共に、第2の位相差板機構12Yよりのs波の直線偏光による第2分割色光Y
2 を例えば90°に反射するものであり、これにより、第1分割色光Y
1 および第2分割色光Y
2 が互いに異なる光路yIおよび光路yIIに切り替えられて出射される。
また、第3の色光光源部10Zにおける偏光ビームスプリッター15Zは、第3の位相差板機構12Zよりのp波の直線偏光による第1分割色光Z
1 を透過すると共に、第3の位相差板機構12Zよりのs波の直線偏光による第2分割色光Z
2 を例えば90°に反射するものであり、これにより、第1分割色光Z
1 および第2分割色光Z
2 が互いに異なる光路zIおよび光路zIIに切り替えられて出射される。
【0020】
第1の色光光源部10Xよりの第1分割色光X
1 の光路xI、第2の色光光源部10Yよりの第1分割色光Y
1 の光路yI、および第3の色光光源部10Zよりの第1分割色光Z
1 の光路zIの交点には、第1分割色光X
1 、第1分割色光Y
1 および第1分割色光Z
1 を合成して第1の合成光G
1 を出射する第1の色合成光学部材20が配置され、第1の色光光源部10Xよりの第2分割色光X
2 の光路xII、第2の色光光源部10Yよりの第2分割色光Y
2 の光路yII、および第3の色光光源部10Zよりの第2分割色光Z
2 の光路zIIの交点には、第2分割色光X
2 、第2分割色光Y
2 および第2分割色光Z
2 を合成して第2の合成光G
2 を出射する第2の色合成光学部材25が配置されている。
第1の色合成光学部材20および第2の色合成光学部材25としては、ダイクロイックプリズムなどの色合成プリズムを用いることができる。
【0021】
第1の色合成光学部材20よりの第1の合成光G
1 の光路上には、第1の合成光G
1 が入射されて第1の光画像R
1 が出射される透過型の第1の空間変調素子30が配置され、第2の色合成光学部材25よりの第2の合成光G
2 の光路上には、第2の合成光G
2 が入射されて第2の光画像R
2 が出射される透過型の第2の空間変調素子35が配置されている。ここで、第2の空間変調素子35は、第1の空間変調素子30と関連して駆動されるものである。
【0022】
また、第1の空間変調素子30よりの第1の光画像R
1 の光路および第2の空間変調素子35よりの第2の光画像R
2 の光路の交点には、第1の光画像R
1 と第2の光画像R
2 とを合成して合成光画像Pを形成する、偏光ビームスプリッターよりなる光画像合成機構40が配置され、光画像合成機構40よりの合成光画像Pの光路上には、合成光画像Pを拡大してスクリーン1に投射する、投射レンズよりなる合成光画像投射機構50が配置されている。
【0023】
第1の空間変調素子30および第2の空間変調素子35としては、色光X、色光Yおよび色光Zの各々について大きい階調数を設定することができる点で、応答速度が20μsec以下のものを用いることが好ましい。
第1の空間変調素子30および第2の空間変調素子35の具体例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶表示デバイスなどが挙げられる。
【0024】
光画像合成機構40を構成する偏光ビームスプリッターは、特定の直線偏光を透過し、当該特定の直線偏光と種類の異なる直線偏光を反射する機能を有するものであり、図示の例では、第1の空間変調素子30から光反射板31を介して入射された第1の光画像R
1 に係るp波の直線偏光を透過すると共に、第1の光画像R
1 と垂直な方向から入射された、第2の空間変調素子35よりの第2の光画像R
2 に係るs波の直線偏光を90°に反射することにより、合成光画像Pが形成される。
【0025】
上記のプロジェクタ用光源装置においては、表示すべき画像のフレームの各々における時間的に連続する区分の各々において、色光X、色光Yおよび色光Zのうちの2つまたは3つの色光が同時に投射可能とされる。以下、色光X、色光Yおよび色光Zのうちの2つの色光が同時に投射される場合、3つの色光が同時に投射される場合に分けて、上記のプロジェクタ用光源装置の動作を説明する。
【0026】
[2つの色光が同時に投射される場合]
図3は、
図1に示すプロジェクタ用光源装置について、色光X、色光Yおよび色光Zのうちの2つの色光が同時に投射される場合における各レーザ光源部の動作、各位相差板機構の動作、各空間変調素子への入射光、および合成光画像の色光の関係の一例を示す図である。この例では、表示すべき画像の一のフレームの投射時間が時間的に連続する6つの時間区分S1〜時間区分S6に分割され、この条件下において、プロジェクタ用光源装置が動作される。
【0027】
第1の色光光源部10Xにおいては、第1のレーザ光源11Xの動作は、時間区分S1、時間区分S2、時間区分S4および時間区分S5において色光Xを放射するON状態とされると共に、時間区分S3および時間区分S6においてOFF状態とされる。一方、第1の位相差板機構12Xは、時間区分S1〜時間区分S3において位相差板素子13Xpが第1のレーザ光源11Xよりの色光Xの光路を通過すると共に、時間区分S4〜時間区分S6において位相差板素子13Xsが第1のレーザ光源11Xよりの色光Xの光路を通過する。これにより、第1の色光光源部10Xは、時間区分S1および時間区分S2において第1分割色光X
1 を形成して光路xIに沿って出射し、時間区分S3において非動作とされ、時間区分S4および時間区分S5において第2分割色光X
2 を形成して光路xIIに沿って出射し、時間区分S6において非動作とされる。
【0028】
第2の色光光源部10Yにおいては、第2のレーザ光源11Yの動作は、時間区分S1、時間区分S3、時間区分S4および時間区分S6において色光Yを放射するON状態とされると共に、時間区分S2および時間区分S5においてOFF状態とされる。一方、第2の位相差板機構12Yは、時間区分S3〜時間区分S5において位相差板素子13Ypが第2のレーザ光源11Yよりの色光Yの光路を通過すると共に、時間区分S1、時間区分S2および時間区分S6において位相差板素子13Ysが第2のレーザ光源11Yよりの色光Yの光路を通過する。これにより、第2の色光光源部10Yは、時間区分S1において第2分割色光Y
2 を形成して光路yIIに沿って出射し、時間区分S2において非動作とされ、時間区分S3および区分S4において第1分割色光Y
1 を形成して光路yIに沿って出射し、時間区分S5において非動作とされ、時間区分S6において第2分割色光Y
2 を形成して光路yIIに沿って出射する。
【0029】
第3の色光光源部10Zにおいては、第3のレーザ光源11Zの動作は、時間区分S2、時間区分S3、時間区分S5および時間区分S6において色光Zを放射するON状態とされると共に、時間区分S1および時間区分S4においてOFF状態とされる。一方、第3の位相差板機構12Zは、時間区分S1、時間区分S5および時間区分S6において位相差板素子13Zpが第3のレーザ光源11Zよりの色光Zの光路を通過すると共に、時間区分S2〜時間区分S4において位相差板素子13Zsが第3のレーザ光源11Zよりの色光Zの光路を通過する。これにより、第3の色光光源部10Zは、時間区分S1において非動作とされ、時間区分S2および時間区分S3において第2分割色光Z
2 を形成して光路zIIに沿って出射し、時間区分S4において非動作とされ、時間区分S5および時間区分S6において第1分割色光Z
1 を形成して光路zIに沿って出射する。
【0030】
また、第1分割色光X
1 、第1分割色光Y
1 および第1分割色光Z
1 は、第1の色合成光学部材20において合成されることにより、当該第1の色合成光学部材20から第1の合成光G
1 が出射されて第1の空間変調素子30に入射される。この第1の空間変調素子30への入射光(第1の合成光G
1 )を時間区分S1〜時間区分S6に分割すると、時間区分S1および時間区分S2における入射光は色光Xであり、時間区分S3および時間区分S4における入射光は色光Yであり、時間区分S5および時間区分S6における入射光は色光Zである。
一方、第2分割色光X
2 、第2分割色光Y
2 および第2分割色光Z
2 は、第2の色合成光学部材25において合成されることにより、当該第2の色合成光学部材25から第2の合成光G
2 が出射されて第2の空間変調素子35に入射される。この第2の空間変調素子35への入射光(第2の合成光G
2 )を時間区分S1〜時間区分S6に分割すると、時間区分S1における入射光は色光Yであり、時間区分S2および時間区分S3における入射光は色光Zであり、時間区分S4および時間区分S5における入射光は色光Xであり、時間区分S6における入射光は色光Yである。
【0031】
そして、第1の空間変調素子30よりの第1の光画像R
1 および第2の空間変調素子35よりの第2の光画像R
2 は、光画像合成機構40おいて合成されることにより、当該光画像合成機構40から合成光画像Pが出射され、合成光画像投射機構50によって拡大されてスクリーン1に投射される。この合成光画像Pを時間区分S1〜時間区分S6に分割すると、時間区分S1および時間区分S4における色光は、色光Xおよび色光Yの2つであり、時間区分S2および時間区分S5における色光は、色光Xおよび色光Zの2つであり、時間区分S3および時間区分S6における色光は、色光Yおよび色光Zの2つである。
以上のように、表示すべき画像のフレームの各々における時間的に連続する6つの時間区分S1〜時間区分S6の各々において、色光X、色光Yおよび色光Zのうちの2つの色光が同時に投射される。
【0032】
また、第1の空間変調素子30および第2の空間変調素子35の各々においては、時間区分S1〜時間区分S6の各々について階調数を128に設定することができる。
従って、色光Xの階調数は、時間区分S1および時間区分S2における第1の空間変調素子30による階調数256と、時間区分S4および時間区分S5における第2の空間変調素子35による階調数256との合計で512となる。
また、色光Yの階調数は、時間区分S3および時間区分S4における第1の空間変調素子30による階調数256と、時間区分S1および時間区分S6における第2の空間変調素子35による階調数256との合計で512となる。
また、色光Zの階調数は、時間区分S5および時間区分S6における第1の空間変調素子30による階調数256と、時間区分S2および時間区分S3における第2の空間変調素子35による階調数256との合計で512となる。
【0033】
[3つの色光が同時に投射される場合]
図4は、
図1に示すプロジェクタ用光源装置について、色光X、色光Yおよび色光Zの3つの色光が同時に投射される場合における各レーザ光源部の動作、各位相差板機構の動作、各空間変調素子への入射光、および合成光画像の色光の関係の一例を示す図である。この例では、表示すべき画像の一のフレームの投射時間が時間的に連続する6つの時間区分S1〜時間区分S6に分割され、この条件下において、プロジェクタ用光源装置が動作される。
【0034】
第1の色光光源部10Xにおいては、第1のレーザ光源11Xの動作は、時間区分S1〜時間区分S6の全てにおいて色光Xを放射するON状態とされ、一方、第1の位相差板機構12Xは、時間区分S1〜時間区分S3において位相差板素子13Xpが第1のレーザ光源11Xよりの色光Xの光路を通過すると共に、時間区分S4〜時間区分S6において位相差板素子13Xsが第1のレーザ光源11Xよりの色光Xの光路を通過する。これにより、第1の色光光源部10Xは、時間区分S1〜時間区分S3において第1分割色光X
1 を形成して光路xIに沿って出射し、時間区分S4〜時間区分S6において第2分割色光X
2 を形成して光路xIIに沿って出射する。
【0035】
第2の色光光源部10Yにおいては、第2のレーザ光源11Yの動作は、時間区分S1〜時間区分S6の全てにおいて色光Yを放射するON状態とされ、一方、第2の位相差板機構12Yは、時間区分S3〜時間区分S5において位相差板素子13Ypが第2のレーザ光源11Yよりの色光Yの光路を通過すると共に、時間区分S1、時間区分S2および時間区分S6において位相差板素子13Ysが第2のレーザ光源11Yよりの色光Yの光路を通過する。これにより、第2の色光光源部10Yは、時間区分S1および時間区分S2において第2分割色光Y
2 を形成して光路yIIに沿って出射し、時間区分S3〜時間区分S5において第1分割色光Y
1 を形成して光路yIに沿って出射し、時間区分S6において第2分割色光Y
2 を形成して光路yIIに沿って出射する。
【0036】
第3の色光光源部10Zにおいては、第3のレーザ光源11Zの動作は、時間区分S1〜時間区分S6の全てにおいて色光Zを放射するON状態とされ、一方、第3の位相差板機構12Zは、時間区分S1、時間区分S5および時間区分S6において位相差板素子13Zpが第3のレーザ光源11Zよりの色光Zの光路を通過すると共に、時間区分S2〜時間区分S4において位相差板素子13Zsが第3のレーザ光源11Zよりの色光Zの光路を通過する。これにより、第3の色光光源部10Zは、時間区分S1において第1分割色光Z
1 を形成して光路zIに沿って出射し、時間区分S2〜時間区分S4において第2分割色光Z
2 を形成して光路zIIに沿って出射し、時間区分S5および時間区分S6において第1分割色光Z
1 を形成して光路zIに沿って出射する。
【0037】
また、第1分割色光X
1 、第1分割色光Y
1 および第1分割色光Z
1 は、第1の色合成光学部材20において合成されることにより、当該第1の色合成光学部材20から第1の合成光G
1 が出射されて第1の空間変調素子30に入射される。この第1の空間変調素子30への入射光(第1の合成光G
1 )を時間区分S1〜時間区分S6に分割すると、時間区分S1における入射光は色光Xと色光Zとの混光XZであり、時間区分S2における入射光は色光Xであり、時間区分S3における入射光は色光Xと色光Yとの混光XYであり、時間区分S4における入射光は色光Yであり、時間区分S5における入射光は色光Yと色光Zとの混光YZであり、時間区分S6における入射光は色光Zである。
一方、第2分割色光X
2 、第2分割色光Y
2 および第2分割色光Z
2 は、第2の色合成光学部材25において合成されることにより、当該第2の色合成光学部材25から第2の合成光G
2 が出射され、第2の空間変調素子35に入射される。この第2の空間変調素子35への入射光(第2の合成光G
2 )を時間区分S1〜時間区分S6に分割すると、時間区分S1における入射光は色光Yであり、時間区分S2における入射光は色光Yと色光Zとの混光YZであり、時間区分S3における入射光は色光Zであり、時間区分S4における入射光は色光Xと色光Zとの混光XZであり、時間区分S5における入射光は色光Xであり、時間区分S6における入射光は色光Xと色光Yとの混光XYである。
【0038】
そして、第1の空間変調素子30よりの第1の光画像R
1 および第2の空間変調素子35よりの第2の光画像R
2 は、光画像合成機構40おいて合成されることにより、当該光画像合成機構40から合成光画像Pが出射され、合成光画像投射機構50によって拡大されてスクリーン1に投射される。この合成光画像Pを時間区分S1〜時間区分S6に分割すると、時間区分S1〜時間区分S6の各々における色光は、色光Z、色光Yおよび色光Zの3つである。
以上のように、表示すべき画像のフレームの各々における時間的に連続する6つの時間区分S1〜時間区分S6の各々において、色光X、色光Yおよび色光Zの3つの色光が同時に投射される。
【0039】
また、第1の空間変調素子30および第2の空間変調素子35の各々においては、時間区分S1〜時間区分S6の各々について階調数を128に設定することができる。
従って、色光Xの階調数は、時間区分S2における第1の空間変調素子30による階調数128と、時間区分S5における第2の空間変調素子35による階調数128との合計で256となるが、第1の空間変調素子30によって、時間区分S1において混光XZを階調し(階調数128)、時間区分S3において混光XYを階調する(階調数128)ことができると共に、第2の空間変調素子35によって、時間区分S4において混光XZを階調し(階調数128)、時間区分S6において混光XYを階調する(階調数128)ことができるため、色光Xの実質的な階調数は768となる。
また、色光Yの階調数は、時間区分S4における第1の空間変調素子30による階調数128と、時間区分S1における第2の空間変調素子35による階調数128との合計で256となるが、第1の空間変調素子30によって、時間区分S3において混光XYを階調し(階調数128)、時間区分S5において混光YZを階調する(階調数128)ことができると共に、第2の空間変調素子35によって、時間区分S2において混光YZを階調し(階調数128)、時間区分S6において混光XYを階調する(階調数128)ことができるため、色光Yの実質的な階調数は768となる。
また、色光Zの階調数は、時間区分S6における第1の空間変調素子30による階調数128と、時間区分S3における第2の空間変調素子35による階調数128との合計で256となるが、第1の空間変調素子30によって、時間区分S1において混光XZを階調し(階調数128)、時間区分S5において混光YZを階調する(階調数128)ことができると共に、第2の空間変調素子35によって、時間区分S2において混光YZを階調し(階調数128)、時間区分S4において混光XZを階調する(階調数128)ことができるため、色光Zの実質的な階調数は768となる。
【0040】
上記のプロジェクタ用光源装置によれば、表示すべき画像のフレームの各々における時間的に連続する6つの時間区分S1〜S6の各々において、3つの原色光である色光X、色光Yおよび色光Zのうちの2つ以上の色光が同時に投射可能であるため、高い光の利用効率が得られる。
また、第1の色光光源部10X、第2の色光光源部10Yおよび第3の色光光源部10Zの各々において、色光X、色光Yおよび色光Zの各々を時間的に2分割することにより、それぞれp波の直線偏光による分割色光およびs波の直線偏光による分割色光を形成し、p波の直線偏光による分割色光の各々を合成することにより形成される第1の合成光G
1 が第1の空間変調素子30に入射されると共に、s波の直線偏光による分割色光の各々を合成することにより形成される第2の合成光G
2 が第2の空間変調素子35に入射されることにより、第1の空間変調素子30および第2の空間変調素子35の各々において各色光の階調を制御することが可能となり、各色光の階調数を実質的に増やすことができるので、第1の空間変調素子30よりの第1の光画像R
1 と第2の空間変調素子35よりの第2の光画像R
2 とを合成することによって、高い色再現性を有する画像を得ることができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明においては、上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば色光X、色光Yおよび色光Zは、それぞれ互いに異なる原色光であればよく、色光Xが緑色光または青色光、色光Yが青色光または赤色光、色光Zが赤色光または緑色光であってもよい。
また、表示すべき画像のフレームの各々における時間的に連続する時間区分の数は6つに限定されず、適宜の数を選択することができる。
また、上記の実施の形態においては、色光X、色光Yおよび色光Zを得る手段として、第1のレーザ光源11X、第2のレーザ光源11Yおよび第3のレーザ光源11Zの3つのレーザ光源が用いられているが、単一の白色光源からの白色光を例えばダイクロイックミラーなどの分光光学部材によって色光X、色光Yおよび色光Zを形成してもよい。