特許第5750987号(P5750987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750987
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】永久磁石式回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20150702BHJP
   H02K 21/16 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   H02K1/27 501M
   H02K1/27 501K
   H02K21/16 M
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-93932(P2011-93932)
(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公開番号】特開2012-228077(P2012-228077A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 江桁
【審査官】 田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−259179(JP,A)
【文献】 特開平09−200985(JP,A)
【文献】 特開2006−002144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励磁コイルを巻装した固定子と、この固定子に所定の隙間をあけて相対回転自在に配置され、永久磁石を設けた回転子とを備え、前記永久磁石が発生する磁束と前記励磁コイルに流れる電流との相互作用により前記回転子が回転する永久磁石式回転電機において、
前記回転子回転による回転遠心力が応力として作用することで透磁率が変化する超磁歪素子からなる磁気特性可変素子と、
所定の質量に設定することで、前記磁気特性可変素子に作用する前記回転遠心力を調整する応力調整ブロックと、を備え、
前記磁気特性可変素子と前記応力調整ブロックとの間に前記永久磁石を位置し、互いに厚さ方向に面接触状態で重ねて固定し、
前記回転子に形成した空洞部に、前記磁気特性可変素子、前記永久磁石及び前記応力調整ブロックが径方向に重なるように配置し、前記空洞部の径方向の外側に位置する内壁に前記磁気特性可変素子を固定し、前記空洞部の径方向の内側に位置する内壁と前記応力調整ブロックとの間に隙間を設けたことを特徴とする永久磁石式回転電機。
【請求項2】
励磁コイルを巻装した固定子と、この固定子に所定の隙間をあけて相対回転自在に配置され、永久磁石を設けた回転子とを備え、前記永久磁石が発生する磁束と前記励磁コイルに流れる電流との相互作用により前記回転子が回転する永久磁石式回転電機において、
前記回転子の回転による回転遠心力が応力として作用することで透磁率が変化する超磁歪素子からなる磁気特性可変素子と、
所定の質量に設定することで、前記磁気特性可変素子に作用する前記回転遠心力を調整する応力調整ブロックと、を備え、
前記磁気特性可変素子と前記永久磁石との間に前記応力調整ブロックを位置し、互いに厚さ方向に面接触状態で重ねて固定し、
前記回転子に形成した空洞部に、前記磁気特性可変素子、前記応力調整ブロック及び前記永久磁石が径方向に重なるように配置し、前記空洞部の径方向の外側に位置する内壁に前記磁気特性可変素子を固定し、前記空洞部の径方向の内側に位置する内壁と前記永久磁石との間に隙間を設けたことを特徴とする永久磁石式回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励磁コイルを巻装した固定子と、この固定子に所定の隙間をあけて相対回転自在に配置され、永久磁石を設けた回転子とを備えた永久磁石式回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石式回転電機は、誘導電動機と比較して二次銅損が発生せず、磁束をつくるための励磁電流を流す必要がないので、誘導電動機と同じ出力を得る場合には高効率化や小型化を容易に実現できる。さらに、永久磁石が回転子の内部に埋め込まれている埋込磁石構造(IPM:Interior Permanent Magnet)では、磁石トルク以外にリラクタンストルクが併用できるため、更なる効率アップが期待されている。
【0003】
一方、永久磁石式回転電機では、界磁磁束を永久磁石により得るため、その界磁磁束は常に一定であり、回転電機の誘導電圧が回転速度と比例関係となる。高速回転では永久磁石による誘導電圧が高くなり、その誘起電圧が電源電圧上限に達すると、出力に必要な電流が流れなくなる。さらに、その高い誘起電圧をインバータの電子部品に印加し、電子部品の耐電圧以上になると、電子部品が絶縁破壊してしまうこともある。
【0004】
そこで、回転機のd軸に負のd軸電流を流すことで、d軸電機子反作用による減磁効果を利用してd軸方向の磁束を減少させる制御方法、いわゆる弱め磁束制御がよく知られている。しかし、この場合には、永久磁石に減磁界を与え続ける必要があり、出力には寄与しないd軸電流を常時流し続けるため銅損が増加して効率は悪化する問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1に示す永久磁石式回転電機が知られている。図7は、特許文献1の永久磁石式回転電機を構成する回転子1である。この回転子1は、回転鉄心2の半径方向に延在し、互いに周方向に所定間隔をあけて埋め込まれている複数の低保磁力永久磁石3と、隣接する2個の低保磁力永久磁石3に対して内周側で挟まれるように周方向に延在して回転鉄心2に埋め込まれている複数の高保磁力永久磁石4とを備えている。低保磁力永久磁石3は、巻線を設けた固定子(不図示)の電流で作る磁界により不可逆的に磁束密度が変化する磁石であり、高保磁力永久磁石4は、低保磁力永久磁石3の2倍以上の保磁力を有する磁石である。
【0006】
そして、特許文献1では、固定子の巻線に、短時間(100μs〜1ms程度)のパルス的な電流を流して磁界を形成し、低保磁力永久磁石3に着磁させて、低保磁力永久磁石3による磁束方向と磁束量を調整し、低保磁力永久磁石3と高保磁力永久磁石4の合成磁束を制御することで、高速回転時の誘起電圧を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−280195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述したような特許文献1の技術は、回転速度によって外部から低保磁力永久磁石3の磁束を調整する着磁電流を流さなければならない。すなわち、可変速度負荷の場合には、この着磁動作を頻繁に行う必要がある。また、この着磁動作を行なう電流は、回転機を制御するインバータより出力されるため、インバータのパワーデバイスに余計な負担がかかるおそれがある。さらに、回転電機の高速回転時に、インバータ制御装置が故障になった場合、低保磁力永久磁石3の磁束を調整できなくなり、高い誘起電圧をインバータの電子部品に印加してしまい、インバータの絶縁破壊や故障の原因になる問題もある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高速回転時の磁束低減を行うことで誘起電圧を抑制し、高効率の運転を実現すると共に、インバータの電子部品に対する被害を防止することができる永久磁石式回転電機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の永久磁石式回転電機は、励磁コイルを巻装した固定子と、この固定子に所定の隙間をあけて相対回転自在に配置され、永久磁石を設けた回転子とを備え、前記永久磁石が発生する磁束と前記励磁コイルに流れる電流との相互作用により前記回転子が回転する永久磁石式回転電機において、前記回転子回転による回転遠心力が応力として作用することで透磁率が変化する超磁歪素子からなる磁気特性可変素子と、所定の質量に設定することで、前記磁気特性可変素子に作用する前記回転遠心力を調整する応力調整ブロックと、を備え、前記磁気特性可変素子と前記応力調整ブロックとの間に前記永久磁石を位置し、互いに厚さ方向に面接触状態で重ねて固定し、前記回転子に形成した空洞部に、前記磁気特性可変素子、前記永久磁石及び前記応力調整ブロックが径方向に重なるように配置し、前記空洞部の径方向の外側に位置する内壁に前記磁気特性可変素子を固定し、前記空洞部の径方向の内側に位置する内壁と前記応力調整ブロックとの間に隙間を設けた。
【0010】
また、本願請求項2記載の発明は、励磁コイルを巻装した固定子と、この固定子に所定の隙間をあけて相対回転自在に配置され、永久磁石を設けた回転子とを備え、前記永久磁石が発生する磁束と前記励磁コイルに流れる電流との相互作用により前記回転子が回転する永久磁石式回転電機において、前記回転子の回転による回転遠心力が応力として作用することで透磁率が変化する超磁歪素子からなる磁気特性可変素子と、所定の質量に設定することで、前記磁気特性可変素子に作用する前記回転遠心力を調整する応力調整ブロックと、を備え、前記磁気特性可変素子と前記永久磁石との間に前記応力調整ブロックを位置し、互いに厚さ方向に面接触状態で重ねて固定し、前記回転子に形成した空洞部に、前記磁気特性可変素子、前記応力調整ブロック及び前記永久磁石が径方向に重なるように配置し、前記空洞部の径方向の外側に位置する内壁に前記磁気特性可変素子を固定し、前記空洞部の径方向の内側に位置する内壁と前記永久磁石との間に隙間を設けた。
【0014】
これら本願請求項1,2の発明によると、回転子の回転速度が増大していくと、回転子の回転遠心力が磁気特性可変素子に応力として加わり、磁気特性可変素子の磁気特性が変化して永久磁石の磁束を減少させるので、永久磁石式回転電機の誘起電圧を抑制することができる。
また、磁気特性可変素子に加わる応力(回転遠心力)を応力調整ブロックの質量で変化させ、永久磁石の形状を変更する必要がないことから、永久磁石の磁束が変化せず、永久磁石式回転電機の誘起電圧を自由に調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る永久磁石式回転電機によれば、回転子の回転速度が増大していくと、回転子の回転遠心力が磁気特性可変素子に応力として加わり、磁気特性可変素子の磁気特性が変化して永久磁石の磁束を減少させるので、永久磁石式回転電機の誘起電圧を抑制することができる。したがって、弱め磁束制御を行なうことなく、或いは、小さな弱め磁束電流を流すことで高速回転を達成することができ、永久磁石に減磁界を与えるためのd軸電流を常時流す必要がなく、高効率の永久磁石式回転電機を実現することができる。さらに、永久磁石の磁束を低減させるのは、外部の制御回路に関係なく、回転子の回転速度によって自動的に調整することができ、高速運転時に、インバータが故障になっても高い誘起電圧が発生せず、インバータの電子部品に対する被害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る第1実施形態の永久磁石式回転電機を示す断面図である。
図2】本発明に係る永久磁石式回転電機に備えている磁気特性可変素子の特性(圧縮応力と透磁率との関係)を示すグラフである。
図3】本発明に係る永久磁石式回転電機の永久磁石で発生する磁束が回転速度に応じて減少していく状態を従来と比較して示したグラフである。
図4】本発明に係る永久磁石式回転電機の回転速度と誘起電圧との関係を従来と比較して示したグラフである。
図5】本発明に係る第2実施形態の永久磁石式回転電機の回転子を示す断面図である。
図6】本発明に係る第3実施形態の永久磁石式回転電機の回転子を示す断面図である。
図7】従来の永久磁石式回転電機の回転子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の永久磁石式回転電機1を示す断面図である。この永久磁石式回転電機1は、円筒形状の固定子2と、この固定子2の内周側に所定のエアギャップを設けて対向する回転子3とで構成されている。
固定子2は、内周面側に円周方向に等間隔で複数のスロット4が形成され、隣接するスロット4,4の間に複数の磁極ティース5が形成されている。各磁極ティース5にはスロット4内に巻装された励磁コイル6が巻回されている。
【0018】
回転子3は、円柱形状の回転子コア7と、回転子コア7の周方向に所定間隔をあけて設けた複数箇所のスロット8と、各スロット8内に重なって配置された板状の永久磁石9及び磁気特性可変素子10とを備えている。
各スロット8は、回転子コア7の径方向に長手方向が直交している矩形状空洞部8aと、この矩形状空洞部8aの両端から回転子コア7の外周側に向けて斜めに延在している端部側空洞部8bとで構成されている。
【0019】
永久磁石9及び磁気特性可変素子10は、互いに厚さ方向に重ねて固定されている。そして、矩形状空洞部8a内に、永久磁石9に対して回転子コア7の径方向の外側に位置するように磁気特性可変素子10が配置され、矩形状空洞部8aの径方向の外側に位置する内壁に磁気特性可変素子10の対向面が固定され、矩形状空洞部8aの径方向の内側に位置する内壁と永久磁石9の対向面との間に隙間が設けられている。
【0020】
磁気特性可変素子10は、応力が加わると、その応力の速さや大きさに応じて磁気特性が変化するものであり、具体的なものとしては超磁歪素子が使用されている。
図2に、超磁歪素子の特性(圧縮応力と透磁率との関係)を示す。この図によると、超磁歪素子に圧縮応力を加えていない場合の透磁率を100%とすると、超磁歪素子に圧縮応力を加えた場合には、その圧縮応力の大きさに応じて超磁歪素子の透磁率が減少する。
【0021】
永久磁石式回転電機1の回転子3が回転を開始すると、永久磁石9に発生する回転遠心力が磁気特性可変素子10に対して応力を加えることなり、磁気特性可変素子10の透磁率が回転速度に応じて変化する。すなわち、回転子3の回転速度が高いほど、永久磁石9に発生する回転遠心力が回転速度の二乗に比例して高くなり、磁気特性可変素子10の透磁率が小さくなり、磁気回路の磁気抵抗が大きくなる。よって、本実施形態の永久磁石式回転電機1では、永久磁石9で発生する鎖交磁束が回転速度に応じて減少していく(図3参照)。
【0022】
ここで、本実施形態の永久磁石式回転電機1の誘起電圧は、鎖交磁束と回転速度の積算である。従来の永久磁石式回転電機は、永久磁石の鎖交磁束が一定であるため、誘起電圧は回転速度と比例関係となる。これに対して、本実施形態の永久磁石式回転電機1は、前述したように永久磁石9で発生する鎖交磁束が回転速度に応じて減少していくので、本実施形態の永久磁石式回転電機1の誘起電圧は、誘起電圧が回転速度と比例関係となる従来と比較して低くなる(図4参照)。
【0023】
本実施形態の永久磁石式回転電機1は、回転子3の回転速度が増大していくと、回転子コア7に埋設されている永久磁石9に発生する回転遠心力が、永久磁石9に対して回転子コア7の径方向の外側に配置した磁気特性可変素子10に応力として加わり、磁気特性可変素子10の透磁率が小さくなることで、永久磁石9で発生する鎖交磁束が回転速度に応じて減少していくので、低速回転時において永久磁石9の鎖交磁束が大きなって大きなトルクを得ることができるとともに、回転速度が高くなるに従い永久磁石9による鎖交磁束が小さくなり、誘起電圧を抑制することができる。
【0024】
したがって、弱め磁束制御を行なうことなく、或いは、小さな弱め磁束電流を流すことで高速回転を行うことができ、永久磁石9に減磁界を与えためのd軸電流を常時流す必要がなく、高効率の永久磁石式回転電機1を実現することができる。
また、本実施形態の永久磁石式回転電機1は、永久磁石9による鎖交磁束を、外部の制御回路に関係なく、回転子3の回転速度によって自動的に調整することができ、高速運転時に、インバータが故障になっても高い誘起電圧が発生せず、インバータの電子部品に対する被害を防止することができる。
さらに、磁気特性可変素子10を構成する超磁歪素子は、変位量が大きく発生応力に応じて透磁率が大きく変化するものなので、回転速度が増大すると永久磁石9の鎖交磁束を確実に小さくし、永久磁石式回転電機1の誘起電圧を確実に抑制することができる。
【0025】
次に、図5は、本発明に係る第2実施形態の永久磁石式回転電機を構成する回転子3を示すものである。なお、本実施形態の永久磁石式回転電機を構成する固定子は、図1で示した固定子2と同一構成である。また、図1で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態は、回転子コア7の周方向に所定間隔をあけて設けた複数箇所のスロット8の矩形状空洞部8aに、永久磁石9、磁気特性可変素子10及び応力調整ブロック11が重なって配置されている。
応力調整ブロック11は、回転により発生する回転遠心力を磁気特性可変素子10に応力として作用させる部材であり、磁性体、或いは非磁性体からなる所定の質量を有するブロック体である。
【0026】
磁気特性可変素子10は、第1実施形態と同様に、超磁歪素子が使用されている。
永久磁石9、磁気特性可変素子10及び応力調整ブロック11は、磁気特性可変素子10と応力調整ブロック11との間に永久磁石9を位置して互いに厚さ方向に重ねて固定されている。そして、矩形状空洞部8aの径方向の外側に位置する内壁に磁気特性可変素子10の対向面が固定され、矩形状空洞部8aの径方向の内側に位置する内壁と応力調整ブロック11の対向面との間に隙間が設けられている。
【0027】
本実施形態は、永久磁石式回転電機1の回転子3が回転を開始すると、永久磁石9及び応力調整ブロック11に発生する回転遠心力が磁気特性可変素子10に対して応力を加えることなり、磁気特性可変素子10の透磁率が回転速度に増加により小さくなり、永久磁石9で発生する鎖交磁束も回転速度の増加により減少し、誘起電圧が回転速度と比例関係となっている従来と比較して低くなるので、永久磁石式回転電機の誘起電圧を抑制することができる。
【0028】
ここで、本実施形態の永久磁石式回転電機1は、磁気特性可変素子10に加わる応力を、永久磁石9及び応力調整ブロック11による回転遠心力としたことで、永久磁石9で発生する鎖交磁束と誘起電圧を自由に調整することができる。すなわち、本実施形態は、磁気特性可変素子10に加える応力(回転遠心力)を応力調整ブロック11の質量で変化することができるので、永久磁石9の形状を変更する必要がなく、永久磁石9の交差磁束が変化せず、永久磁石式回転電機の誘起電圧も自由に調整することができる。
【0029】
なお、図5では、磁気特性可変素子10と応力調整ブロック11との間に永久磁石9を位置して互いに厚さ方向に重ねて固定し、これらをスロットの矩形状空洞部8aに配置したが、図6に示すように、磁気特性可変素子10と永久磁石9との間に応力調整ブロック11を位置して互いに厚さ方向に重ねて固定し、矩形状空洞部8aの径方向の外側に位置する内壁に磁気特性可変素子10の対向面を固定し、矩形状空洞部8aの径方向の内側に位置する内壁と永久磁石9の対向面との間に隙間を設けて配置しても、図5と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0030】
1…永久磁石式回転電機、2…固定子、3…回転子、4…スロット、5…磁極ティース、6…励磁コイル、7…回転子コア、8…スロット、8a…矩形状空洞部、8b…端部側空洞部、9…永久磁石、10…磁気特性可変素子、11…応力調整ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7