(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750994
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】車輌用の警報音発生装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 5/00 20060101AFI20150702BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
B60Q5/00 670Z
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 660B
B60R16/02 650C
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-100699(P2011-100699)
(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公開番号】特開2011-246109(P2011-246109A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2014年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2010-103007(P2010-103007)
(32)【優先日】2010年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309037686
【氏名又は名称】中谷 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(72)【発明者】
【氏名】中谷 任徳
(72)【発明者】
【氏名】中谷 明子
【審査官】
竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−283809(JP,A)
【文献】
特開平11−253879(JP,A)
【文献】
特開平05−208636(JP,A)
【文献】
特開2009−292337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 5/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータを動力源に用いる車輌に設けられる警報音発生装置であって、
車輌の外部に露出しているボディ構成部材に取り付けられ、音響電気信号を機械的振動に変換する振動子を有する振動ユニットと、
該振動ユニットに対し、車輌の周囲に注意を促す警報用の音響電気信号を供給する音響信号供給手段とよりなり、
前記振動ユニットを、断面コ字状の支持本体部の凹溝内に複数の振動子を並設して構成し、
前記振動ユニットの各振動子を、互いに独立した配線により異なる音響信号供給手段から音響電気信号を供給し、
前記振動ユニットが取り付けられたボディ構成部材を振動板として、前記複数の振動子により車輌の周囲に警報音を放射することを特徴とする車輌用の警報音発生装置。
【請求項2】
前記音響信号供給手段が、音響信号を再生する再生手段と、前記車輌の速度に応じて前記再生手段を制御する制御手段と、再生された音響信号を増幅し、変換トランスを介して前記振動ユニットに音響電気信号を供給するアンプとよりなる請求項1記載の警報音発生装置。
【請求項3】
前記音響信号供給手段が、前記車輌の音発生部位からの発生音を取得するピックアップマイクと、該ピックアップマイクで取得した発生音である音響信号を増幅し、変換トランスを介して前記振動ユニットに音響電気信号を供給するアンプとよりなる請求項1記載の警報音発生装置。
【請求項4】
前記ボディ構成部材が、車輌のバンパー、ボンネット、トランク、ヘッドライトカバー、テールライトカバー、又はナンバープレートである請求項1〜3の何れか1項に記載の警報音発生装置。
【請求項5】
前記車輌が、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車である請求項1〜4の何れか1項に記載の警報音発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータを動力源に用いる車輌に設けられ、車輌の周囲に警報音を発する警報音発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池自動車など電気モータを動力源として用いる車輌は、走行音が静かであるため歩行者が車輌の存在や接近に気づき難い問題点がある。この静か過ぎる走行音の問題を解消して歩行者の安全を確保するべく、車輌の走行速度に応じて擬似エンジン音を発して車輌の存在を周囲の歩行者に報知する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
しかしながら、従来のコーン型スピーカは、音量、音質を維持するためにはある程度の大きさが必要であり、一つあたりの重量も大きく、近年の車輌に求められるコンパクト化、軽量化に合致しない。また、コーン型スピーカは、耐久性を維持するために防水、防塵対策が必須であり、したがってそのための構造が複雑でコスト低減に限界があり、取付け箇所も限定されてしまう。また、車輌のデザイン上、このようなコーン型スピーカを外部に向けて取り付けることは難しく、車輌周囲の歩行者に注意喚起するためには大きな音量が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−32948号公報
【特許文献2】特開平5−208636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、取付け箇所の選択の幅が広く、装着が簡単で、軽量コンパクト化、低コスト化、低消費電力、高音質を実現できる車輌用の警報音発生装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題解決のために、電気モータを動力源に用いる車輌に設けられる警報音発生装置であって、車輌の外部に露出しているボディ構成部材に取り付けられ、音響電気信号を機械的振動に変換する振動子を有する振動ユニットと、該振動ユニットに対し、車輌の周囲に注意を促す警報用の音響電気信号を供給する音響信号供給手段とよりなり、前記振動ユニット
を、断面コ字状の支持本体部の凹溝内に複数の振動子を並設して構成し、前記振動ユニットの各振動子を、互いに独立した配線により異なる音響信号供給手段から音響電気信号を供給し、前記振動ユニットが取り付けられたボディ構成部材を振動板として、前記複数の振動子により車輌の周囲に警報音を放射することを特徴とする車輌用の警報音発生装置を構成した。
【0009】
更に、前記音響信号供給手段が、音響信号を再生する再生手段と、前記車輌の速度に応じて前記再生手段を制御する制御手段と、再生された音響信号を増幅し、変換トランスを介して前記
振動ユニットに音響電気信号を供給するアンプとよりなるものが好ましい)。
【0010】
また、前記音響信号供給手段が、前記車輌の音発生部位からの発生音を取得するピックアップマイクと、該ピックアップマイクで取得した発生音である音響信号を増幅し、変換トランスを介して前記
振動ユニットに音響電気信号を供給するアンプとよりなるものも好ましい。
【0011】
例えば、前記ボディ構成部材としては、車輌のバンパー、ボンネット、トランク、ヘッドライトカバー、テールライトカバー、又はナンバープレートであることが好ましい。
【0012】
また、前記車輌としては、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上にしてなる本願発明によれば、振動子によりボディ構成部材を振動板として車輌周囲に警報音を放射するため、従来のコーン型スピーカに比べて防水、防塵対策が不要であり、取付け箇所を選ばず簡単に装着でき、コストを抑えることができる。また、振動ユニットにはこの振動子が複数連設されているため、コーンが無くコンパクトな構造であるにもかかわらずボディ構造部材自体を十分に振動させることができ、少ない電力で従来のコーン型スピーカ以上の音量、音質を維持できる。また、振動子が複数あることから、一つが配線の断線等で故障しても他が機能を維持でき、重要な警報音が突然鳴らなくなるといったことを防止できる。
【0014】
また、振動ユニットの各振動子を、ユニット内又はユニット外で互いに並列に接続して音響信号供給手段から音響電気信号を供給し、同一の振動動作を行わせるか、或いは振動ユニットの各振動子を互いに独立した配線により異なる音響信号供給手段から音響電気信号を供給することで、何かの原因で一つの配線が断線等しても他が機能を維持して重要な警報音が突然鳴らなくなるといったことをより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の代表的実施形態に係る警報音発生装置を取り付けた車輌を示す説明図。
【
図2】車輌のバンパーに振動ユニットを取り付けた状態を示す説明図。
【
図3】同じく警報音発生装置の構成を示すブロック図。
【
図4】同じく警報音発生装置の
振動ユニットの構成を示すブロック図。
【
図6】同じく
振動ユニットの取付構造を示す説明図。
【
図7】同じく警報音発生装置の音響信号供給手段の他の実施形態を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
本発明の警報音発生装置Sは、
図1に示すように、電気モータを動力源に用いる車輌Cの外部に露出しているボディ構成部材9に取り付けられ、音響電気信号を機械的振動に変換する振動子10を有する振動ユニット1と、該振動ユニット1に対し、車輌Cの周囲に注意を促す警報用の音響電気信号を供給する音響信号供給手段2とよりなり、前記振動ユニット1に複数の振動子10を連設し、該振動ユニット1が取り付けられたボディ構成部材9を振動板として、前記複数の振動子10により車輌Cの周囲に警報音を放射することを特徴とする。
【0018】
車輌Cは、電気モータを動力源に用い、本体の走行音が静か過ぎるハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車などが好適である。また、車輌Cにおいて
振動ユニット1が取り付けられるボディ構成部材9としては、例えば室内から最も遠く、室内への警報音の伝わりを防止できる点で前後のバンパー90、91の内面側(車輌外部に露出する面と反対側)に設けることが好ましく、以下の説明ではこの例について説明するが、ボンネット92やトランク93、ヘッドライトカバー94、テールライトカバー95、ナンバープレート96の内面側などその他のボディ構成部材に設けることも勿論可能である。
【0019】
振動子10は、例えば、ヨークの中央磁極にボイスコイルを装着し、ヨークの両側の短尺辺側端部上にマグネットを配置し、マグネット配置軸上の各マグネットの外側に振動板固定部を配置した公知の骨伝導振動子を用いることができ、アンプ5から配線を通じて受け取った音響電気信号を機械的振動信号として出力し、ボディ構成部材9に伝達される。ただし、このようなマグネットとコイルからなる振動子以外に振動を起こさせる圧電素子を備えた半導体デバイスなども採用できる。
【0020】
音響信号供給手段2は、
図3に示すように、音響信号を再生する再生手段3と、車輌Cの速度に応じて再生手段3を制御する制御手段4と、再生された音響信号を増幅し、変換トランスを介して
振動ユニット1に音響電気信号を供給するアンプ5とより構成されている。
【0021】
再生手段3は、警報音(エンジン擬似音等)データを記憶/再生する機能を有し、制御手段4により動作を制御され、再生した警報音データは音響信号としてアンプ5に出力される。アンプ5の増幅量は、好ましくは低速時に前方2m範囲内で約50dBを確保するように設定される。制御手段4は、車輌Cに設けられたセンサーからの信号を受けて再生手段3の動作を車輌Cの走行状態に応じて制御するCPU(中央演算装置)である。本例では、車輌Cの車速を検出する車速センサー6を有し、該車速センサー6により検出された車速に応じて、例えば時速20キロ以下の低速時に音を出す制御を行うが、その他の制御方法も勿論可能である。また、制御手段4によりアンプ5を制御し、例えば速度が増加するほど再生された音響信号の増幅量を小さくする制御を行うことも好ましい。
【0022】
図7は、音響信号供給手段2の他の実施形態を示している。本例では、音響信号として警報音データを記憶/再生する再生手段を設ける代わりに、車輌Cの音発生部位、例えば動力源である電気モータや車輪等の付近にピックアップマイク3Aを設け、該ピックアップマイク3Aで取得した車輌が本来発生させる音である発生音(モータ音やロードノイズ等)を音響信号としてアンプ5に出力するものである。本例では、制御手段4や車速センサ6も省略し、車輌Cの車速にかかわらず、常にピックアップマイク3Aで取得した発生音を音響信号としてアンプ5に出力し、一定の増幅量で増幅し、変換トランスを介して
振動ユニット1に音響電気信号を供給するように構成されている。増幅量は、例えば低速時に前方2m範囲内で約50dBを確保するように設定される。
【0023】
本例の場合、本装置により車輌周囲に放射される警報音は、ピックアップマイク3Aで取得したモータ音やロードノイズ等の発生音を増幅したものであるので、車速が上がると同じく車輌から大きく聞こえてくる同じ発生音によって判別できなくなる。したがって、運転者や同乗者も気にならなくなることから、上記した
図3の例のように制御手段4で音を出さなくする制御を行う必要もない。よって、既に車輌に設置されている車速センサ6との接続や制御手段4を設ける必要がなく、コスト削減が可能であるとともに車輌Cへの取り付け、特に後付けも容易となり、取り扱い容易な装置として提供することができる。勿論、
図3の例と同様、制御手段を設けてピックアップマイク3Aで取得した発生音を警報音データとして一時記憶し、車速センサからの車速の大きさに応じて再生制御したり、アンプによる増幅量を同じく車速の大きさに応じて制御することも可能である。
【0024】
振動ユニット1には、
図5に示すように複数の振動子10が連設されており、本例では、断面コ字状の支持本体部11の凹溝11a内に振動子10を並べて接着し、
図6に示すように、ボディ構成部材9側に突設された係止片90aにより支持本体部11が凹溝11a内の各振動子10をボディ構成部材9に押し当てられた状態に係止される取付け構造とされている。
振動ユニット1は特にこのような構造に何ら限定されない。
【0025】
また、取付け構造についても、各振動子10をボディ構成部材9に密着させることができる構造であれば、取付ネジや接着剤を用いたものなど様々な構造がありうる。取り付ける相手のボディ構成部材9の種類によって最適な取付け構造を選択すればよい。振動子10の数は、
振動ユニット1につき2〜5個程度が好ましい。あまり多いと振動を阻害する。振動子の防水性、防塵性をより高めるために、凹溝11a内を各振動子10の振動面を露出した形で他を水密状に樹脂封止してもよい。
【0026】
凹溝11a内部の各振動子10は互いに並列に接続されており、アンプ5からの音響電気信号を受けてすべてが同じ振動(振幅、周波数)の動作を行う。これにより、何かの原因で凹溝11a内の各並列配線が断線してもすべての振動子が機能停止してしまう確率を低減している。本例では内部で並列接続された配線が外部に延出しているが、各振動子10の配線をそれぞれ外部に延出させて外部にて並列に接続したものでもよい。
このように振動ユニットの各振動子をユニット内又はユニット外で互いに並列に接続して音響信号供給手段から音響電気信号を供給し、同一の振動動作を行わせるものが好ましく、これにより何かの原因で一つの配線が断線等しても他が機能を維持して重要な警報音が突然鳴らなくなるといったことをより確実に防止できる。また、外部で並列接続することなく互いに独立した配線をして異なる音響信号供給手段2から音響電気信号を供給することも可能である。
【0027】
この
振動ユニット1は、前後バンパー90、91の各々左右隅部に合計4つ固定し、これにより前後のバンパー90、91の全体を振動させ、車輌Cの周囲に警報音(エンジン擬似音等)が放射される。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 振動ユニット
2 音響信号供給手段
3 再生手段
3A ピックアップマイク
4 制御手段
5 アンプ
6 車速センサー
9 ボディ構成部材
10 振動子
11 支持本体部
11a 凹溝
90、91 バンパー
90a 係止片
92 ボンネット
93 トランク
94 ヘッドライトカバー
95 テールライトカバー
96 ナンバープレート
C 車輌
S 警報音発生装置