(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記左上突出部の凸頂部(211)から前記左下突出部の凸頂部(231)までの距離,及び前記右上突出部の凸頂部(221)から前記右下突出部の凸頂部(241)までの距離は,前記上縁辺側の凹頂部(202)から前記下縁辺側の凹頂部(204)までの距離に対して,105%以上300%以下である
請求項2に記載のテープ型使い捨ておむつ。
前記フロントパッチの上縁辺(201)が,前記左上突出部の凸頂部(211),前記上縁辺側の凹頂部(202),及び右上突出部の凸頂部(221)を繋ぐ曲線を含み,
前記フロントパッチの下縁辺(203)が,前記左下突出部の凸頂部(231),前記下縁辺側の凹頂部(204),及び右下突出部の凸頂部(241)を繋ぐ曲線を含む
請求項2又は請求項3に記載のテープ型使い捨ておむつ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,従来の使い捨ておむつでは,前身頃に設けられたフロントパッチが四角形状となっていた(特許文献1及び特許文献2参照)。例えば,従来のフロントパッチは,使い捨ておむつの前身頃の左右方向を長手とする長方形状で形成されるものであった。
【0007】
従来の使い捨ておむつのように,フロントパッチが四角形状であり,その上縁辺と下縁辺が平行になっていると,使い捨ておむつの着用者は,自然と止着テープをフロントパッチの上縁辺と下縁辺に沿って止め付けようとしてしまう。このように,止着テープがフロントパッチの上縁辺と下縁辺に沿って止め付けられた場合,上述したクロス止めとはならず,止着テープは着用者の身体のラインに沿って止め付けられていないこととなる。また,止着テープが取付けられた後身頃のフラップが上手く広がらずに,例えば着用者の腰周りや脚部周りに,隙間が生じやすくなってしまう。
【0008】
特に,使い捨ておむつを装着することや装着させることに慣れた者であれば,フロントパッチが四角形状となっている場合であっても,止着テープのクロス止めを実行することができるが,使い捨ておむつを装着することや装着させることに不慣れな者にとっては,止着テープをクロス止めするという発想に至らず,止着テープをフロントパッチの上縁辺と下縁辺に沿って平行に止め付けてしまいやすい。従って,使い捨ておむつの使用に不慣れな者にとって,着用者の腰周りや脚部周りに隙間を生じさせないように止着テープを上手く止め付けることは困難であった。
【0009】
また,
図8には,四角形状のフロントパッチを有する従来の使い捨ておむつが示されている。
図8に示されるように,フロントパッチが四角形状となっている場合,二対設けられた止着テープが,フロントパッチの上縁辺と下縁辺に沿って平行に止めつけられやすい。すると,
図8に示されるように,着用者の腰周りと両脚部周りに相当する箇所に,隙間が生じやすくなっていた。使い捨ておむつと着用者の身体に隙間が生じると,着用感が低下するばかりでなく,尿などの体液が漏出する可能性もある。
【0010】
このため,現在では,使い捨ておむつの使用に不慣れな者であっても,自然と止着テープを身体のラインに沿ってクロス止めすることができ,着用者の腰周りや脚部周りに隙間が生じることを簡単に防止できる使い捨ておむつが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで,本発明の発明者は,上記従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,フロントパッチにおける側方部の幅を,中央部の幅よりも幅広とすることにより,止着テープをクロス止めするよう促すことができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に本発明は,以下の構成を有する。
【0012】
本発明に係るテープ型使い捨ておむつは,後身頃1と,前身頃2と,後身頃1と前身頃2の間に位置する股下部3から構成されている。
後身頃1には,後身頃1の左右の各側縁から延出するようにして,二対以上の止着テープ10が取り付けられている。
前身頃2には,止着テープ10を止め付けるためのフロントパッチ20が設けられている。
そして,フロントパッチ20は,左右の側方部における短手方向の幅が,中央部における短手方向の幅よりも幅広となっている。
【0013】
上記構成のように,フロントパッチ20の左右側方部における短手方向の幅が,中央部における短手方向の幅より幅広に構成されていることにより,フロントパッチ20の上縁辺と下縁辺が,フロントパッチの中央部において凹むように湾曲する。このため,使い捨ておむつを使用する者は,フロントパッチ20の湾曲した上縁辺と下縁辺に沿って止着テープを止め付けることで,自然と止着テープのクロス止めを行うことが可能になる。従って,使い捨ておむつの使用に不慣れな者であっても,止着テープを身体のラインに沿って自然とクロス止めを行うことができ,着用者の腰周りや脚部周りに隙間が生じることを簡単に防止できる。
【0014】
本発明において,フロントパッチ20の左右側方部には,上縁辺201側と下縁辺203側のそれぞれに,突出部(21,22,23,24)が形成されている。このように,フロントパッチ20の四隅に突出部(21,22,23,24)が形成されることにより,フロントパッチ20の側方部における短手方向の幅が,中央部における短手方向の幅よりも幅広となる。
すなわち,フロントパッチ20の上縁辺201側には,フロントパッチ20の幅方向外側に向かって突出する左上突出部21と右上突出部22が形成されている。
また,フロントパッチ20の下縁辺203側には,フロントパッチ20の幅方向外側に向かって突出する左下突出部23と右下突出部24が形成されている。
ここで,フロントパッチ20を,中央領域20aと,中央領域20aよりも左側方に位置する左側方領域20bと,中央領域20aよりも右側方に位置する右側方領域20cに区分した場合を想定する。これらの領域の区分は,フロントパッチ20を,中央領域20a,左側方領域20b,及び右側方領域20cに左右方向に三等分したものであってもよいし,中央領域20a,左側方領域20b,及び右側方領域20cを,例えば4:3:3や6:2:2のように任意の比率で区分することとしてもよい。
この場合において,左上突出部21の凸頂部211と,左下突出部23の凸頂部231は,左側方領域20bに位置する。
また,右上突出部22の凸頂部221と,右下突出部24の凸頂部241は,右側方領域20cに位置する。
このように,左上突出部21,右上突出部22,左下突出部23,及び右下突出部24は,それぞれ,凸頂部(211,221,231,241)を有する。凸頂部とは,上縁辺201側と下縁辺203側のそれぞれにおいて,フロントパッチ外方に向かって最も突出した箇所を意味する。
また,フロントパッチ20の四隅に突出部(21,22,23,24)が形成されることにより,フロントパッチ20の中央部には,上縁辺201側と下縁辺203側に,それぞれ凹頂部(202,204)が形成される。凹頂部とは,上縁辺201側と下縁辺203側のそれぞれにおいて,フロントパッチ内方に向かって最も凹んだ箇所を意味する。
すなわち,フロントパッチの上縁辺201側の凹頂部202と,フロントパッチの下縁辺203側の凹頂部204は,中央領域20aに位置する。
【0015】
本発明において,左上突出部の凸頂部211から左下突出部の凸頂部231までの距離,及び右上突出部の凸頂部221から右下突出部の凸頂部241までの距離は,上縁辺側の凹頂部202から下縁辺側の凹頂部204までの距離に対して,105%以上300%以下であることが好ましい。
【0016】
上記発明特定事項を有することにより,フロントパッチ20の側方部における最大幅が,中央部の最小幅に対して,105%以上300%以下(1.05倍以上3倍以下)の範囲で幅広であることが規定される。このように,フロントパッチ20の左右の側方部が,中央部に対して,105%以上幅広となっていれば,着用者は,上縁辺201と下縁辺203の傾斜を認識することができるため,止着テープのクロス止めを促すことができる。また,フロントパッチ20の左右の側方部が,中央部に対して300%を超えて幅広となっていると,フロントパッチ20の中央部が幅狭すぎるか,フロントパッチ20の側方部が幅広過ぎてしまい,却って止着テープを止め付けにくくなったり,使い捨ておむつの装着性を損なうこととなるが,300%以下とすることによりこのような事態を回避できる。
【0017】
本発明では,フロントパッチの上縁辺201が,左上突出部の凸頂部211,上縁辺側の凹頂部202,及び右上突出部の凸頂部221を繋ぐ曲線を含み,かつ,フロントパッチの下縁辺203が,左下突出部の凸頂部231,下縁辺側の凹頂部204,及び右下突出部の凸頂部241を繋ぐ曲線を含むことが好ましい。
【0018】
上記構成を有することにより,本発明においては,フロントパッチの上縁辺201と下縁辺203が緩やかな曲線で形成される。従って,上縁辺201と下縁辺203の形状に沿ってクロス止めを促すだけでなく,フロントパッチ20全体が着用者の身体のラインに沿った形状となるため,使い捨ておむつのフィット性が向上する。曲線としては,例えば,円弧状の曲線やS字状の曲線を採用することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明では,フロントパッチの側方部における短手方向の幅が中央部における短手方向の幅よりも幅広となっているため,止着テープをフロントパッチに止め付ける際に,クロス止めを促すことができる。従って,本発明によれば,使い捨ておむつの使用に不慣れな者であっても,自然と止着テープを身体のラインに沿ってクロス止めすることができ,着用者の腰周りや脚部周りに隙間が生じることを簡単に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0022】
なお,本明細書において,「左右方向」とは,
図2に示される展開された使い捨ておむつの短手方向(
図2中の左右方向)を意味する。また,「上下方向」とは,
図2に示される展開された使い捨ておむつの長手方向(
図2中の上下方向)を意味する。「左右方向」と「上下方向」は,互いに直交する方向である。
また,本明細書において,「A〜B」とは,A以上B以下であることを意味する。
【0023】
(1.使い捨ておむつの基本構成)
図1は,テープ型の使い捨ておむつの例を示す斜視図であり,前身頃2の外表面に取り付けられたフロントパッチ20が見えるように,前身頃2を折り返した状態を描画したものである。
図2は,テープ型の使い捨ておむつの例を示す展開図であり,使い捨ておむつを,装着時において着用者の肌に当接しない面(肌非当接面)側から見た状態を示している。
図3は,フロントパッチ20に止着テープ10が取付けられた状態の例を前身頃方向から描画したものである。
図1,
図2,及び
図3に示されるように,本発明のテープ型使い捨ておむつ100は,装着時に着用者の背部を覆う後身頃1,着用者の腹部を覆う前身頃2,及び着用者の股下にあてがわれる股下部3の各部から構成される。
【0024】
テープ型の使い捨ておむつ100の後身頃1及び前身頃2には,左右両方向にサイドフラップ51が延設されている。また,後身頃1には,各サイドフラップ51の側縁から突出するように二対の止着テープ10が取り付けられている。一方,前身頃2の肌非当接面側には,止着テープ10を止め付けるためのフロントパッチ20が設けられている。このため,テープ型の使い捨ておむつ100は,後身頃1を着用者の背部にあてがい,前身頃2を着用者の腹部にあてがった状態で,後身頃1に取り付けられている二対の止着テープ10を,前身頃2に設けられたフロントパッチ20に止め付けることにより,着用者に装着することが可能である。
【0025】
図3は,フロントパッチ20に,各止着テープ10が止めつけられた状態の例をしている。
図3に示されるように,フロントパッチ20は,左右の側方部が中央部と比較して幅広となっている。このため,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203が,フロントパッチ20の中央に向かって傾斜している。従って,
図3に示されるように,後身頃1のサイドフラップ51から突出するように取付けられた各止着テープ10は,フロントパッチ20の上縁辺201と下縁辺203の傾斜に合わせるようにして止め付けられ,自然とクロス止めの状態となっている。また,止着テープ10がクロス止めされることにより,後身頃1のサイドフラップ51が広がり,着用者の腹部周りと両脚部まわりに隙間が生じることが好適に防止される。
【0026】
一方,
図1や
図2に示されるように,後身頃1と前身頃2の間には股下部3が位置する。この股下部3を中心として,後身頃1から前身頃2にかけて,尿などの液体を吸収し保持するための吸収体31が配設されている。この吸収体31は,着用者の肌に当接する面(肌当接面)側から液透過性のトップシート32によって被覆され,反対側の肌非当接面側から液不透過性のバックシート33によって被覆されている。従って,尿などの液体は,トップシート32を透過して,吸収体31に吸収保持され,液透過性のバックシート33によって外部への漏出が阻止される。
【0027】
また,トップシート32の両側縁にはサイドシート34を配設することとしてもよい。サイドシート34は,疎水性を有しながらも通気性の高い材料によって形成されていることが好ましい。また,サイドシート34の一端をトップシート32の表面上に固定し,その他端に弾性伸縮材(立体ギャザー伸縮材)41を伸長状態で配設することにより,立体ギャザー35を形成することとしてもよい。この立体ギャザー35は,立体ギャザー伸縮材41が収縮すると,その収縮力を利用して起立する。起立した立体ギャザー35は,トップシート32の側方から液体が漏洩することを防止するための防漏壁として機能する。
【0028】
また,バックシート33の外表面には,バックシート33を補強し,その手触りを良くするために,カバーシート36を貼り合わせることとしてもよい。カバーシート36を形成する材料としては,例えば,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布,又は湿式不織布を用いることができる。
【0029】
(2.使い捨ておむつの各部構成)
以下,本発明に係るテープ型使い捨ておむつの各部の構成について説明する。
【0030】
(2−1.止着テープ)
止着テープ10は,使い捨ておむつ100を着用者に対して装着させるための止着手段11を備えた部材である。この止着テープ10は,前身頃2に設けられたフロントパッチ20とともにファスニング機構を構成する。止着テープ10は,後身頃1のサイドフラップの側縁から延出するように配置されており,前身頃2に設けられたフロントパッチ20に止め付けられるようになっている。
【0031】
本発明において,止着テープ10は,使い捨ておむつの後身頃1の左右の両端に,二対以上(計4本以上)取付けられる。各止着テープ10は,前身頃2に配置されたフロントパッチ20に届く程度の長さを有するものであればよく,その形状は図示されたものに限定されない。また,
図1,
図2,及び
図3においては,止着テープ10が後身頃1の左右の各側縁に二対設けられた例が示されている。ただし,止着テープ10は,左右の各側縁に三対(計6本)設けられるものであってもよいし,四対以上(計8本以上)設けられていてもよい。
【0032】
各止着テープ10の先端近傍には,止着手段11が設けられている。止着手段11は,例えば,粘着剤や粘着テープにより固定を行うものであってもよいし,フロントパッチ20に機械的に結合される面状ファスナーであってもよい。止着テープ10とフロントパッチ20と固定するファスニング機構としては,フック材(雄部材)とループ材(雌部材)の機械的結合により固定を行う面状ファスナー用いることが特に好ましい。面状ファスナーは,例えば,表面に多数の突起(鉤状,きのこ状等)が形成されたフック材と,表面にループ状の繊維が配置されたループ材との組み合わせにより構成される。例えば,止着テープ10の止着手段11としてフック材を採用し,フロントパッチ20にはループ材を形成すればよい。面状ファスナーは,ループ材の表面にフック材を貼り合わせた際,フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させる。このため,面状ファスナーは,フック材とループ材を剥離可能な状態で,かつ強固に固着させることができるものであり,繰り返しの使用が可能である点,及び固着強度が高いという点において好ましい。
【0033】
止着テープ10の基材を構成する材料としては,例えば,織布,不織布,その他布,紙,又はプラスチックフィルムを用いることができる。また,布を構成する素材としては,例えば,ポリエチレン系,ポリプロピレン系,ポリアミド系,ポリエステル系,ポリ塩化ビニル系,又はポリスチレン系の合成樹脂を好適に用いることができる。
【0034】
(2−2.フロントパッチ)
フロントパッチ20は,後身頃1に設けられた止着テープ10を,前身頃2に止め付けて維持するための部材である。フロントパッチ20は,前身頃2の外表面(肌非当接面側)に取り付けられており,上述した止着テープ10とともに,ファスニング機構を構成する。例えば,止着テープ10の止着手段11として粘着テープが採用された場合には,フロントパッチ20は,表面が平滑なプラスチックフィルム等で形成すればよい。一方,止着テープ10の止着手段11として,面状ファスナーのフック材が採用された場合には,フロントパッチ20としては面状ファスナーのループ材を採用すればよい。
【0035】
(2−2−1.フロントパッチのある実施形態)
図4は,本発明において採用されるフロントパッチのある実施形態を示した図である。フロントパッチの形状は,
図4に示された形状に限定されるものではないが,本発明に係るフロントパッチの形状について,まず好ましい実施形態を取り上げて説明する。なお,
図4においては,フロントパッチの形状を説明するために,一部の要素に“黒丸”を付けて表しているが,この“黒丸”は実在するものではない。また,
図4(b)においては,“破線”が表示さているが,この“破線”は実在しない仮想線である。
【0036】
図4(a)に示されるように,フロントパッチ20は,中央領域20aと,中央領域20aよりも左側方に位置する左側方領域20bと,中央領域20aよりも右側方に位置する右側方領域20cに区分される。
図4(a)に示す例においては,フロントパッチ20の左側端から右側端までの長さを三等分して中央領域20a,左側方領域20b,及び右側方領域20cに区分している。ただし,これらの区分は,フロントパッチ20の各部構成を説明するために概念的にフロントパッチ20の領域を区分したものであり,三等分に限定されるものではない。例えば,フロントパッチ20の中央領域20a,左側方領域20b,及び右側方領域20cを,2:4:4や,4:3:3,又は6:2:2のように任意の比率で区分することとしてもよい。また,中央領域20aの幅の例は,フロントパッチ20の左側端から右側端までの長さに対して,20%〜70%,30%〜60%,又は40%〜50%である。
【0037】
図4(a)に示されるように,フロントパッチ20は,左右方向を長手方向とし,上下方向を短手とした形状で構成されている。フロントパッチ20は,湾曲又は屈折した上縁辺201と,上縁辺201に対向し湾曲又は屈折した下縁辺203と,上縁辺201の左端部と下縁辺203の左端部を繋ぐ左側縁辺205と,上縁辺201の右端部と下縁辺203の右端部を繋ぐ右側縁辺206を基本構成としている。
【0038】
図4(a)に示されるように,フロントパッチ20の上縁辺201側には,左側方部に左上突出部21が形成され,右側方部に右上突出部22が形成されている。このため,フロントパッチ20の上縁辺201側の中央部には,凹頂部202が形成されている。言い換えると,左上突出部21及び右上突出部22とは,上縁辺201側の凹頂部202から左右方向(フロントパッチの長手方向)に直線を引いた場合において,当該直線よりも上方向に突出した部分を指す。
【0039】
同様に,フロントパッチ20の下縁辺203側には,左側方部に左下突出部23が形成され,右側方部に右下突出部24が形成されている。このため,フロントパッチ20の下縁辺203側の中央部には,凹頂部204が形成されている。言い換えると,左下突出部23及び右下突出部24とは,下縁辺203側の凹頂部204から左右方向(フロントパッチの長手方向)に直線を引いた場合において,当該直線よりも下方向に突出した部分を指す。ここで,
図4(a)に示されるように,フロントパッチ20の下縁辺203は,左右方向を軸として上縁辺201を反転させた形状であることが好ましいが,必ずしも図に示す形状に限定されるものではない。
【0040】
図4(a)に示されるように,フロントパッチ20を中央領域20a,左側方領域20b,及び右側方領域20cに区分した場合において,上縁辺201側の凹頂部202と下縁辺203側の凹頂部204は,中央領域20aに位置する。上縁辺201側の凹頂部202が点として形成される場合,凹頂部202は,フロントパッチ20の上縁辺201の中心に位置していることが好ましい。ただし,上縁辺201側の凹頂部202は,少なくとも中央領域20aとして区分した領域に属していればよく,上縁辺201の中心から左右方向に所定距離ずれたものであってもよい。また,左上突出部21の凸頂部211と左下突出部23の凸頂部231は,左側方領域20bに位置する。さらに,右上突出部22の凸頂部221と右下突出部24の凸頂部241は,左側方領域20cに位置している。
【0041】
図4(a)に示す例においては,左上突出部21の凸頂部211と,上縁辺201側の凹頂部202が,S字状の曲線により繋がれている。また,右上突出部22の凸頂部221と,上縁辺201側の凹頂部202が,S字状の曲線により繋がれている。その結果,フロントパッチ20の上縁辺201は,左上突出部21の凸頂部211,上縁辺201側の凹頂部202,及び右上突出部22の凸頂部221を繋ぐ曲線を含む構成となっている。同様に,左下突出部23の凸頂部231と,下縁辺203側の凹頂部204が,S字状の曲線により繋がれている。また,右下突出部24の凸頂部241と,下縁辺203側の凹頂部204が,S字状の曲線により繋がれている。その結果,フロントパッチ20の下縁辺203は,左下突出部23の凸頂部231,下縁辺203側の凹頂部204,及び右下突出部24の凸頂部241を繋ぐ曲線を含む構成となっている。各頂点を繋ぐ曲線は,上述のように,緩やかなS字状の曲線であってもよいし,例えば,緩やかな円弧状の曲線により各頂点を繋ぐこととしてもよい。このように,上縁辺201及び下縁辺203を曲線で構成とすることにより,仮に着用者の腹部がフロントパッチ20に接触した場合であっても,着用者に不要な圧迫感を与える事態を防止できる。
【0042】
また,
図4に示されるように,フロントパッチ20の上縁辺201と左側縁辺205の交点に,左上突出部21の凸頂部211が位置している。また,上縁辺201と右側縁辺206の交点に,右上突出部22の凸頂部221が位置している。また,下縁辺203と左側縁辺205の交点に,左下突出部23の凸頂部231が位置している。さらに,下縁辺203と右側縁辺206の交点に,右下突出部24の凸頂部241が位置している。このように,フロントパッチ20の四隅に各突出部の凸頂部が位置することにより,フロントパッチ20の製造が容易になるためが好ましい。ただし,後述するように,本発明はこの形態に限定されるものではない。つまり,左上突出部21の凸頂部211と左下突出部23の凸頂部231は,少なくとも左側方領域20bに位置していればよく,上縁辺201と左側縁辺205の交点から右方向へずれていてもよい。同様に,右上突出部22の凸頂部221と右下突出部24の凸頂部241は,すくなくとも右側方領域20cに位置していればよく,上縁辺201と右側縁辺206の交点から左方向へずれていてもよい。
【0043】
次に,
図4(b)を参照して,フロントパッチ20の形状の寸法の概略を説明する。ここでは,本発明を,大人用の使い捨ておむつに適用した場合の例について説明する。ただし,フロントパッチ20の形状の寸法は以下の説明に限定されるものではなく,適宜変更することにより,例えば,幼児用の使い捨ておむつにも適用することができる。
【0044】
図4(b)に示されるように,フロントパッチ20の左右方向の長さ(線分A)は,200mm〜650mmであることが好ましく,280mm〜500mmであることが特に好ましい。また,フロントパッチ20の上下方向の長さ(線分B)は,100mm〜200mmであることが好ましく,140mm〜180mmであることが特に好ましい。また,フロントパッチ20の上下方向の長さ(線分B)は,その左右方向の長さ(線分A)に対して,20%〜70%の長さであることが好ましく,25%〜65%の長さであることが特に好ましい。
【0045】
ここで,フロントパッチ20の上下方向の長さ(線分B)とは,左上突出部21の凸頂部211から左下突出部23の凸頂部231までの距離,又は右上突出部22の凸頂部221から右下突出部24の凸頂部241までの距離を意味する。
図4(b)に示す例において,左上突出部21の凸頂部211から左下突出部23の凸頂部231までの距離と,右上突出部22の凸頂部221から右下突出部24の凸頂部241までの距離は一致しているが,これらの距離は,必ずしも同一である必要はない。例えば,左上突出部21の凸頂部211から左下突出部23の凸頂部231までの距離が,右上突出部22の凸頂部221から右下突出部24の凸頂部241までの距離より長いものであってもよい。
【0046】
また,
図4(b)に示された例においては,左上突出部21の凸頂部211から左右方向に直線を延ばすと,その直線上には,右上突出部22の凸頂部221が位置している。ただし,左上突出部21の凸頂部211と右上突出部22の凸頂部221は,互い左右方向直線上に位置せず,高低差を有するものであってもよい。同様に,
図4(b)には,左下突出部23の凸頂部231から左右方向に延びる直線上に,右下突出部24の凸頂部241が位置する例が示されているが,これに限定されるものではない。
【0047】
また,
図4(b)に示す例においては,左上突出部21の凸頂部211から左下突出部23の凸頂部231までの距離が,左側縁辺205の長さと一致する。同様に,右上突出部22の凸頂部221から右下突出部24の凸頂部241までの距離が,右側縁辺206の長さと一致する。これは,上述したように,フロントパッチ20の四隅に各突出部(21,22,23,24)の凸頂部(211,221,231,241)が位置するからである。なお,左側縁辺205と右側縁辺206の長さは,一致するものであることが好ましいが,異なるものであってもよい。
【0048】
図4(b)に示されるように,上縁辺201側の凹頂部202から下縁辺203側の凹頂部204までの距離(線分C)は,20mm〜195mmや,40mm〜175mm,60mm〜155mmであることが好ましく,特に,100mm〜140mmであることが好ましい。ここで,上記フロントパッチ20の上下方向の長さ(線分B)は,上縁辺201側の凹頂部202から下縁辺203側の凹頂部204までの距離(線分C)に対して,105%以上300%以下の距離であることが好ましく,例えば,110%〜280%や,120%〜200%,130%〜150%の距離であってもよい。
【0049】
また,
図4(b)に示されるように,上縁辺201側の凹頂部202から左右方向に延びる直線と,左上突出部21の凸頂部211(又は右上突出部22の凸頂部221)から左右方向に延びる直線の間の距離(線分D1)は,5mm〜80mmや,10mm〜50mm,15mm〜40mmであることが好ましく,20mm〜30mmであることが特に好ましい。また,同様に,下縁辺203側の凹頂部204から左右方向に延びる直線と,左下突出部23の凸頂部231(又は右下突出部24の凸頂部241)から左右方向に延びる直線の間の距離(線分D2)は,5mm〜80mmや,10mm〜50mm,15mm〜40mmであることが好ましく,20mm〜30mmであることが特に好ましい。これらの線分D1と線分D2は,同一の距離であることが好ましいが,互いに異なるものであってもよい。ここで,線分D1及び線分D2は,フロントパッチ20の上下方向の長さ(線分B)に対して,1%〜50%や,10%〜40%の距離であることが好ましく,20%〜30%の距離であることが特に好ましい。
【0050】
図4(b)に示されるように,上縁辺201側の凹頂部202から上下方向に延びる直線と,左上突出部21の凸頂部211から上下方向に延びる直線の間の距離(線分E1)は,100mm〜325mm,又は120mm〜280mmであることが好ましく,140mm〜250mmであることが特に好ましい。この線分E1は,下縁辺203側の凹頂部204から上下方向に延びる直線と,左下突出部23の凸頂部231から上下方向に延びる直線の間の距離にも相当する。
また,
図4(b)に示されるように,上縁辺201側の凹頂部202から上下方向に延びる直線と,右上突出部22の凸頂部221から上下方向に延びる直線の間の距離(線分E2)は,100mm〜325mm,又は120mm〜280mmであることが好ましく,140mm〜250mmであることが特に好ましい。この線分E2は,下縁辺203側の凹頂部204から上下方向に延びる直線と,右下突出部24の凸頂部241から上下方向に延びる直線の間の距離にも相当する。
また,線分E1と線分E2は,同一の距離を示すものであることが好ましいが,両者は必ずしも同一の距離でなくてもよい。
【0051】
(2−2−2.フロントパッチの他の実施形態)
以下,
図5から
図7を参照して,フロントパッチ20の他の実施形態について説明する。
以下の実施形態の説明において,上述した実施形態と重複する箇所については説明を省略する。
【0052】
図5(a)には,各突出部(21,22,23,24)の各凸頂部(211,221,231,241)が,フロントパッチ20の四隅に位置し,かつ,上縁辺201及び下縁辺203が円弧状の曲線により形成された例が示されている。具体的に説明すると,上縁辺201を形成する円弧状の曲線は,左上突出部21の凸頂部211,上縁辺201側の凹頂部202,及び右上突出部22の凸頂部221を繋ぐ緩やかな円弧状の曲線になっている。同様に,下縁辺203を形成する円弧状の曲線は,左下突出部23の凸頂部231,下縁辺203側の凹頂部204,及び右下突出部24の凸頂部241を繋ぐ緩やかな円弧状の曲線になっている。
【0053】
図5(b)には,各突出部(21,22,23,24)の各凸頂部(211,221,231,241)が,フロントパッチ20の四隅に位置し,かつ,上縁辺201及び下縁辺203が凹頂部(202,204)において屈折する折線により形成された例が示されている。つまり,上縁辺201は2本の直線から形成されており,具体的には,左上突出部21の凸頂部211と上縁辺201側の凹頂部202を繋ぐ直線と,右上突出部22の凸頂部221と上縁辺201側の凹頂部202を繋ぐ直線とから形成されている。同様に,下縁辺203も2本の直線から形成されており,具体的には,左下突出部23の凸頂部231と下縁辺203側の凹頂部204を繋ぐ直線と,右下突出部24の凸頂部241と下縁辺203側の凹頂部204を繋ぐ直線とから形成されている。
【0054】
図5(c)には,各突出部(21,22,23,24)の各凸頂部(211,221,231,241)が,フロントパッチ20の四隅と一致しない例が示されている。つまり,
図5(c)に示されるように,フロントパッチ20の四つ角を丸くする加工(例えばR加工)を施すこととしてもよい。このように,フロントパッチの四つ角が丸く形成されることにより,フロントパッチから角が取られるため,着用者の腹部や両脚部の付け根に不要な圧迫感を与えることがなくなり,着用感が向上する。
【0055】
図5(d)には,フロントパッチ20の上縁辺201,下縁辺203,左側縁辺205,及び右側縁辺206が曲線により形成された例が示されている。具体的に説明すると,上縁辺201は,左上突出部21の凸頂部211と上縁辺201側の凹頂部202を繋ぐS字状の曲線と,右上突出部22の凸頂部221と上縁辺201側の凹頂部202を繋ぐS字状の曲線により,形成されている。同様に,下縁辺203は,左下突出部23の凸頂部231と下縁辺203側の凹頂部204を繋ぐS字状の曲線と,右下突出部24の凸頂部241と下縁辺203側の凹頂部204を繋ぐS字状の曲線により形成されている。一方で,左側縁辺205は,左上突出部21の凸頂部211と左下突出部23の凸頂部231を繋ぐ円弧状の曲線により形成されている。また,右側縁辺206は,右上突出部22の凸頂部221と右下突出部24の凸頂部241を繋ぐ円弧状の曲線により形成されている。
図5(d)に示されるように,左側縁辺205と右側縁辺206は,直線形状に限られず,曲線により形成されるものであってもよい。上縁辺201,下縁辺203,左側縁辺205,及び右側縁辺206を曲線で形成することにより,フロントパッチ20から角がなくなるため,仮にフロントパッチ20が着用者の肌に触れた場合であっても,フロントパッチ20の角によって着用者の肌を傷つけることを防止できる。
【0056】
図6(a)には,フロントパッチ20の上縁辺201側の凹頂部202と,下縁辺203側の凹頂部204が,直線状に形成された例が示されている。そして,
図6(a)に示された例では,上縁辺201が,直線状に形成された凹頂部202の左右両端部において屈折するようになっている。つまり,上縁辺201は3つの直線から形成されており,具体的には,左上突出部21の凸頂部211と凹頂部202の左端を繋ぐ直線,凹頂部202が形成する直線,及び,右上突出部22の凸頂部221と凹頂部202の右端を繋ぐ直線から形成されている。また,同様に,下縁辺203も,直線状に形成された凹頂部204の左右両端部において屈折するようになっている。つまり,下縁辺203も3つの直線から形成されており,具体的には,左下突出部23の凸頂部231と凹頂部204の左端を繋ぐ直線,凹頂部204が形成する直線,及び,右下突出部24の凸頂部241と凹頂部204の右端を繋ぐ直線から形成されている。
【0057】
図6(b)には,フロントパッチ20が,中央領域20aと,左側方領域20bと,右側方領域20cの3つに分割されて形成された例が示されている。つまり,
図6(b)に示された実施形態では,中央領域20aが第1片となり,左側方領域20bが第2片となり,右側方領域20cが第3片となる。第1片と第2片の間の距離,及び第2片と第3片の間の距離は,例えば1mm〜10mm程度とすることが可能であり,好ましくは,3mm〜7mmである。
【0058】
以下,
図7を参照して,本発明のさらに別の形態について説明する。
図7(a)及び(b)には,本発明おける好ましい形態のフロントパッチ20が示されている。また,
図7(c)及び(d)には,フロントパッチ20の連続体であるフロントパッチ材200が示されている。フロントパッチ材200は,フロントパッチ20の製造ラインにおいて個別に切断されてフロントパッチ20となる。
図7(a)及び(b)に示されたフロントパッチ20は,
図7(c)及び(d)に示されるように,フロントパッチ材200を個別に切断することにより,隙間なく形成することが可能である。
図7(a)及び(b)に示されたフロントパッチ20は,フロントパッチ材200を長手方向(列方向)と短手方向(行方向)に切断した際の余剰部分を最小限とすることができるため,高価な材料の無駄をなくし,製造コストを節約することができるため好ましい。
以下,
図7(a)及び(b)に示されたフロントパッチ20の構造について,具体的に説明する。
【0059】
図7(a)に示されたフロントパッチ20は,左上突出部21,右上突出部22,左下突出部23,及び右下突出部24を有する。左上突出部21と右上突出部22は,上縁辺201側の凹頂部202から左右方向に延びる直線よりも外側に突出した部分である(
図7では薄墨を施して示した)。左上突出部21及び右上突出部22は,左下突出部23及び右下突出部24と同一の形状であり,かつ同一の面積を有している。以下では,これら突出部(21,22,23,24)の形状について,左上突出部21を取り上げて説明する。
【0060】
図7(a)に示されるように,上縁辺201側の凹頂部202は,フロントパッチ20の上縁辺201の中心に位置している。また,左上突出部21の凸頂部211と上縁辺201側の凹頂部202を対角点とする四角形を想定する(
図7(a)では破線で示されている)。そして,この四角形の面積を二等分するようにして,左上突出部21の凸頂部211と上縁辺201側の凹頂部202を繋ぐ対角線(直線)をひく。この対角線により,左上突出部21の形状と面積が規定される。これらの工程により規定された左上突出部21と同一形状,かつ同一面積となるように,他の突出部(22,23,24)を規定することにより,
図7(a)に示されたフロントパッチ20を形成することができる。
図7(a)に示されたフロントパッチ20は,
図7(c)に示されるように,フロントパッチ材200を個別に切断する際の余剰部分を最小限に抑えて形成することができる。
【0061】
また,
図7(b)に示されるように,左上突出部21の凸頂部211と上縁辺201側の凹頂部202を対角点とする四角形の面積を二等分するための対角線は,曲線であってもよい。この四角形の面積を二等分する対角線を曲線とする場合,緩やかなS字状の曲線を採用することが好ましい。
【0062】
図7(a)及び
図7(b)に示される形状のようにフロントパッチ20を設計することで,フロントパッチ材200の無駄を最小限とすることができる。例えば,
図7(c)や(d)に示されるように,一枚のフロントパッチ材200を3列に分けて切断することができる。また,フロントパッチ材200を切断する列数は,2列であってもよいし。4列以上であってもよい。フロントパッチ材200を切断する列数が多いほど,フロントパッチ20を製造する際の余剰部分を少なくすることができる。
【0063】
(2−3.吸収体)
吸収体31は,着用者の尿を吸収し保持するための部材である。吸収体31は,着用者の尿や体液を吸収し保持するために,吸収性材料によって構成される。吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;「SAP」),親水性シート等を採用することができる。フラッフパルプの例は,木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものである。高吸水性ポリマーの例は,ポリアクリル酸ナトリウムである。親水性シートとしては,例えば,ティシュ,吸収紙,親水化処理を行った不織布を用いることができる。
【0064】
吸収体31は,トップシート32とバックシート33の間に挟み込まれ,両シートの周縁部が封着されることによって,トップシート32とバックシート33との間に封入される。吸収体31の形状は,図示された形状に制限されるものではなく,例えば,矩形状,ひょうたん型,T字型とすることができる。
図1や
図2に示されたテープ型おむつ100では,吸収体31として砂時計型の吸収体を採用している。
【0065】
(2−4.トップシート)
トップシート32は,吸収体31の肌当接面側を被覆するように配置される液透過性のシートである。トップシート32は,尿などの液体を,その下面側に配置された吸収体31に浸透させる。
【0066】
トップシート32を構成する液透過性材料として,例えば,織布,不織布,多孔性フィルムを採用することができる。特に,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
【0067】
トップシート32は,単一のシート材によって構成されていてもよいが,複数のシート材によって構成されていてもよい。例えば,吸収体の表面部に配置されるシートと,サイ
ドフラップの部分に配置されるシートを組み合わせた構成であってもよい。
【0068】
(2−5.バックシート)
バックシート33は,吸収体31を肌非当接面側から被覆するように配置される液不透過性のシートである。バックシート33は,吸収体31により保持されている液体が,おむつ外部に漏洩してしまうことを防止する。
【0069】
バックシート33を構成する液不透過性材料としては,例えば,ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を採用することができる。特に,微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは,0.1μm程度の微細な孔が多数形成されており,不透過性ではあるが透湿性を有するためおむつ内部の蒸れを防止することができるという点において好ましい。
【0070】
また,バックシート33の外表面には,バックシート33を補強し,その手触りを良くするために,カバーシート36を貼り合わせることとしてもよい。カバーシート36を形成する材料としては,例えば,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布,又は湿式不織布を用いることができる。
【0071】
(2−6.立体ギャザー)
立体ギャザー35は,着用者の配設した尿などがおむつ外部へ漏出することを防止するための防漏壁として機能する部材である。立体ギャザー35は,トップシート32やバックシート33とは異なるサイドシート34により形成されることとしてもよい。例えば,サイドシート34の一端側をトップシート32の表面に固着し,他端側に立体ギャザー伸縮材41を伸長状態で配設する。これにより,立体ギャザー35は,立体ギャザー伸縮材41の収縮力により起立し,おむつの脚周り開口部等から尿などの液体が漏出する横漏れを有効に防止することができる。
【0072】
立体ギャザー35は,股下部3からの漏れを防止するため,少なくとも股下部3に形成されていればよいが,後身頃1や前身頃2にかけて形成されていてもよい。また,立体ギャザー35は,股下部の左右側方に,少なくとも1対以上形成されていればよく,例えば,股下部の左右側方に2対以上形成することとしてもよい。
【0073】
(2−7.各種ギャザー)
本発明に係るテープ型の使い捨ておむつにおいては,上記立体ギャザー35の他に,脚部周りギャザー37や,腰周りギャザー38を形成することが好ましい。
【0074】
脚部周りギャザー37は,使い捨ておむつの脚部周りの開口部から,尿などの液体が漏出する事態を防止するための部材である。脚部周りの開口部に沿って,脚部周り伸縮材42が伸長状態で配置され,この脚部周り伸縮材42の収縮力を利用して,脚部周りギャザー37が形成される。これにより,脚周りに隙間が形成され難くなり,脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。また,脚部周りギャザー37を形成すると,おむつを交換する際に吸収体31の両側で脚部周り伸縮材42が収縮するため,股下部3が全体として椀状に変形する。このため,尿や体液が椀状に形成された股下部3に溜まり,尿こぼすことなく容易におむつの交換を行うこともできるようになる。
【0075】
例えば,
図2に示す実施形態は,使い捨ておむつの脚部周りに,おむつの長手方向(上下方向)に沿って直線的な3本の脚部周り伸縮材42を配置した例である。この脚部周り伸縮材42は,例えば,糸ゴムや平ゴムによって構成されている。但し,脚部周り伸縮材42は,必ずしも直線的に配置する必要はなく,例えば,おむつの脚周り開口部のカーブに沿って曲線的に配置してもよい。
【0076】
また,腰周りギャザー38は,使い捨ておむつの腰周りの開口部からの尿漏れを防止するとともに,使い捨ておむつのフィット性を向上させ,おむつのずり下がりが防止するための部材である。腰周りの開口部にそって,腰周り伸縮材43が伸長状態で配置され,この腰周り伸縮材43の収縮力を利用して,腰周りギャザー38が形成される。これにより,使い捨ておむつの腰周り開口部が,着用者の腹部と背部に密着するため,尿漏するとともに,フィット感を向上させることができる。
【0077】
例えば,
図2に示す実施形態は,使い捨ておむつの腰周りに,おむつの短手方向(左右方向)に沿って,直線的な4本の腰周り伸縮材43を配置した例である。この腰周り伸縮材43は,脚部周り伸縮材42と同様に,例えば,糸ゴムや平ゴムによって構成されている。
【0078】
上記した,脚部周り伸縮材42や腰周り伸縮材43としては,例えば,天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなるゴム,伸縮性ネット,伸縮性フィルム,伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)を採用することができる。これらの,伸縮材は,おむつの他の構成部材に対して,接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては,例えば,ホットメルト接着剤,その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし,ヒートシールのような熱や超音波等による溶着であってもよい。