特許第5751201号(P5751201)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5751201
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
   H02M3/28 C
   H02M3/28 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-77115(P2012-77115)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-208000(P2013-208000A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】西村 次夫
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−284320(JP,A)
【文献】 特開2008−131819(JP,A)
【文献】 特開平7−107601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と、該スイッチング素子をオン/オフさせるための制御信号を生成する制御回路と、該制御回路が生成した制御信号によって前記スイッチング素子を駆動する駆動回路とを備え、直流電圧を電圧変換して出力端子から外部のバッテリに供給する電源装置において、
前記バッテリから電圧が印加されるべき電圧端子を備え、
前記駆動回路は、前記出力端子から電圧が供給されるようにしてあり、
前記制御回路は、
前記電圧端子から電圧が供給されるようにしてあり、
前記出力端子の電圧を検出し、検出した電圧及び所定電圧を比較するようにしてあること
を特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記出力端子から前記駆動回路に供給される電圧をオン/オフするスイッチを備え、
前記制御回路は、自身の起動の都度、前記スイッチをオンさせるようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電圧端子から前記駆動回路に電圧を供給する抵抗回路と、
該抵抗回路から供給される電圧で充電されるコンデンサとを備え、
前記制御回路は、
自身の起動後の経過時間を計時する第1タイマと、
前記制御信号の生成開始後の経過時間を計時する第2タイマとを有し、
前記第1タイマが第1時間を計時した場合、前記制御信号を生成するようにしてあり、
前記第2タイマが第2時間を計時した場合、前記スイッチをオンさせるようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電圧端子から前記駆動回路に電圧を供給する抵抗回路と、
該抵抗回路から供給される電圧で充電されるコンデンサとを備え、
前記制御回路は、
自身の起動後の経過時間を計時するタイマを有し、
該タイマが所定時間を計時した場合、前記制御信号を生成するようにしてあり、
前記出力端子の電圧を時系列的に検出し、検出した電圧が、前記制御信号の生成開始の際に検出した電圧より所定の閾値以上高い場合、前記スイッチをオンさせるようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御回路は、検出した電圧及び前記所定電圧の比較結果に基づいて、外部に所定の報知を行うようにしてあることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された直流電圧をスイッチング素子でスイッチングして電圧変換し、変換した直流電圧を出力端子から外部のバッテリに供給する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車、電気自動車等の車両は、駆動用モータと、該駆動用モータへ電力を供給する為の高圧バッテリとを備えている。高圧バッテリの出力電圧は、昇圧コンバータにより昇圧されて駆動用モータに与えられ、また、降圧コンバータにより降圧されて補機類へ与えられる。
【0003】
図9は、このようなハイブリッド車及び電気自動車に使用される従来の電源装置5Cの要部構成例を示すブロック図である。この電源装置5Cは、システムリレーSRB,SRGを介して外部に接続された高圧バッテリ4の直流電圧を交流電圧に変換するDC/AC変換回路51と、該DC/AC変換回路51が有するMOSFET(以下、FETという)511をオン/オフさせるための制御信号を生成する制御回路52と、前記制御信号によってFET511を駆動する駆動回路53とを備える。
【0004】
DC/AC変換回路51が変換して生成した交流電圧が絶縁トランス54で降圧されて整流回路55で整流され、整流された直流電圧が平滑回路56で平滑されて、出力端子501から外部の低圧バッテリ6、電源ECU7及び図示しない低電圧負荷(補機類)に供給される。制御回路52及び駆動回路53には、高圧バッテリ4の電圧を変換するコンバータ回路57から低圧の動作電圧が供給される。制御回路52は、電源ECU7によってIG(Ignition )リレー接点61がオンに制御されたときに電圧端子502に印加される電圧を検出して前記制御信号の生成を開始する。制御回路52は、また、電源装置5Cに係る異常を検出した場合、電源ECU7に対して電源異常信号を報知するようになっている。
【0005】
ところで、上述の電源装置5Cでは、高圧バッテリ4側の回路から電気的に絶縁された状態にあるべき制御回路52及び駆動回路53に対して、高圧バッテリ4に接続されたコンバータ回路57から低圧の動作電圧が供給されており、回路が煩雑で高価となるのが難点であった。
【0006】
これに対し、特許文献1に開示された車載用のDC−DCコンバータでは、図9に示す制御回路52及び駆動回路53に対応する制御回路及び電圧検出回路の動作電圧が、DC−DCコンバータ自身の出力端子に接続されている補機電源(低圧バッテリ)からスイッチ手段を介して供給されている。これにより、上述のコンバータ回路57のような別電源が不要となる。また、DC−DCコンバータが電圧変換の動作を行っていないときにスイッチ手段を外部のECUからオフに制御することにより、DC−DCコンバータの出力端子に接続された低圧バッテリの不要な放電が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−284320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電源装置5Cにあっては、出力端子501及び低圧バッテリ6間を接続する配線が外れていることを制御回路52で検知することができず、電源装置5Cから充電されなくなった低圧バッテリ6が過放電状態となる虞があった。一方、特許文献1に開示されたDC−DCコンバータ及び補機電源の間を接続する配線が外れている場合は、異常を検知すべき制御回路に対して、補機電源からスイッチ手段を介して動作電圧が供給されないため、配線の異常を検出すること自体が不能になるという問題があった。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電圧を変換するためのスイッチング素子のオン/オフを制御する回路の動作電圧用に特別なコンバータが不要であり、且つ、自装置の出力端子及び外部のバッテリ間の接続状態を判別することが可能な電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電源装置は、スイッチング素子と、該スイッチング素子をオン/オフさせるための制御信号を生成する制御回路と、該制御回路が生成した制御信号によって前記スイッチング素子を駆動する駆動回路とを備え、直流電圧を電圧変換して出力端子から外部のバッテリに供給する電源装置において、前記バッテリから電圧が印加されるべき電圧端子を備え、前記駆動回路は、前記出力端子から電圧が供給されるようにしてあり、前記制御回路は、前記電圧端子から電圧が供給されるようにしてあり、前記出力端子の電圧を検出し、検出した電圧及び所定電圧を比較するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、出力端子に接続されるべき外部のバッテリから電圧端子を介して制御回路に動作電圧を供給すると共に、出力端子から駆動回路に動作電圧を供給するようにしてあり、動作電圧を供給された制御回路が、起動後に出力端子の電圧及び所定電圧を比較する。
これにより、出力端子及び外部のバッテリ間の接続が外れている場合は、出力端子の電圧が所定電圧より低く検出され、上記接続が外れていない場合は、外部のバッテリの電圧が出力端子の電圧として検出されるため、制御回路の起動時の出力端子の電圧及び所定電圧の比較結果に基づいて、外部のバッテリが正常に接続されているか否かが判定される。
また、制御回路と比較して消費電流が大きい駆動回路の動作電圧が出力端子から供給されるため、電圧端子及び該電圧端子に接続される外部回路に要求される電流容量が小さくなる。
【0012】
本発明に係る電源装置は、前記出力端子から前記駆動回路に供給される電圧をオン/オフするスイッチを備え、前記制御回路は、自身の起動の都度、前記スイッチをオンさせるようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、制御回路の起動の都度、出力端子から駆動回路に供給される動作電圧を制御回路がオンする。電圧端子から制御回路に供給される動作電圧がオフされた場合は、出力端子から駆動回路に供給される動作電圧もオフとなる。
これにより、自装置が非動作状態にあるときに外部のバッテリから見た消費電流が略ゼロに抑えられるため、バッテリが過放電状態となることが防止される。
【0014】
本発明に係る電源装置は、前記電圧端子から前記駆動回路に電圧を供給する抵抗回路と、該抵抗回路から供給される電圧で充電されるコンデンサとを備え、前記制御回路は、自身の起動後の経過時間を計時する第1タイマと、前記制御信号の生成開始後の経過時間を計時する第2タイマとを有し、前記第1タイマが第1時間を計時した場合、前記制御信号を生成するようにしてあり、前記第2タイマが第2時間を計時した場合、前記スイッチをオンさせるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、電圧端子及び駆動回路の間に抵抗回路を介装し、該抵抗回路及び駆動回路の接続点と接地電位との間にコンデンサを接続してあり、制御回路の起動後に第1時間が経過した場合、制御回路が制御信号の生成を開始し、制御信号の生成開始後に第2時間が経過した場合、出力端子から駆動回路に供給される動作電圧を制御回路がオンする。
これにより、制御回路の起動後から第1時間が経過するまでの間、抵抗回路を介して電圧端子の電圧がコンデンサに充電され、第1時間の経過後から更に第2時間が経過するまでの間、コンデンサから駆動回路に動作電圧が供給され、その後、出力端子から駆動回路に動作電圧が供給される。このため、自装置が起動してから少なくとも出力端子に電圧を供給し始めるまでの間、外部のバッテリから電圧端子及び抵抗回路を介して駆動回路に電圧が供給され、且つその間に駆動回路に供給される電流の大きさが抵抗回路によって制限される。
【0016】
本発明に係る電源装置は、前記電圧端子から前記駆動回路に電圧を供給する抵抗回路と、該抵抗回路から供給される電圧で充電されるコンデンサとを備え、前記制御回路は、自身の起動後の経過時間を計時するタイマを有し、該タイマが所定時間を計時した場合、前記制御信号を生成するようにしてあり、前記出力端子の電圧を時系列的に検出し、検出した電圧が、前記制御信号の生成開始の際に検出した電圧より所定の閾値以上高い場合、前記スイッチをオンさせるようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、電圧端子及び駆動回路の間に抵抗回路を介装し、該抵抗回路及び駆動回路の接続点と接地電位との間にコンデンサを接続してあり、制御回路の起動後に所定時間が経過した場合、制御回路が制御信号の生成を開始し、その後、時系列的に検出した出力端子の電圧が、制御信号の生成開始の際に検出した電圧より所定の閾値以上高い場合、出力端子から駆動回路に供給される動作電圧を制御回路がオンする。
これにより、制御回路の起動後から所定時間が経過するまでの間、抵抗回路を介して電圧端子の電圧がコンデンサに充電され、その後、コンデンサから駆動回路に動作電圧が供給され、出力端子の電圧が所定の閾値以上高くなった後は、出力端子から駆動回路に動作電圧が供給される。このため、自装置が起動してから少なくとも出力端子に電圧を供給し始めるまでの間、外部のバッテリから電圧端子及び抵抗回路を介して駆動回路に動作電圧が供給され、且つその間に駆動回路に供給される電流の大きさが抵抗回路によって制限される。
【0018】
本発明に係る電源装置は、前記制御回路は、検出した電圧及び前記所定電圧の比較結果に基づいて、外部に所定の報知を行うようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、出力端子の電圧及び所定電圧の比較結果に基づいて、外部のバッテリが正常に接続されていないと判定される場合、外部に所定の報知を行うため、出力端子及び外部のバッテリ間の接続異常が外部に通知される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、制御回路の動作電圧を、外部のバッテリから供給してあり、制御回路の起動の際に出力端子及び外部のバッテリ間の接続が外れている場合は、出力端子の電圧が所定電圧より低く検出され、上記接続が外れていない場合は、外部のバッテリの電圧が出力端子の電圧として検出されるため、制御回路の起動時の出力端子の電圧及び所定電圧の比較結果に基づいて、外部のバッテリが正常に接続されているか否かが判定される。
従って、電圧を変換するためのスイッチング素子のオン/オフを制御する回路の動作電圧用に特別なコンバータが不要であり、且つ、自装置の出力端子及び外部のバッテリ間の接続状態を判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態1に係る電源装置の要部構成例を示すブロック図である。
図2】出力端子の電圧を検出して所定電圧と比較するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態2に係る電源装置の要部構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態2に係る電源装置の起動後における主要部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
図5】起動後の経過時間を計時して所定の制御を行うCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態3に係る電源装置の起動後における主要部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
図7】PWM制御信号の生成開始時の出力端子の電圧を記憶するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図8】時系列的に検出した出力端子の電圧と記憶した電圧とを比較するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図9】ハイブリッド車及び電気自動車に使用される従来の電源装置の要部構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電源装置の要部構成例を示すブロック図である。図中5Aは電源装置であり、電源装置5Aは、システムリレーSRB,SRGを介して外部に接続された高圧バッテリ4の直流電圧を交流電圧に変換するDC/AC変換回路51と、該DC/AC変換回路51が有するMOSFET(請求項に記載のスイッチング素子;以下単にFETという)511をオン/オフさせるための制御信号(ここではPWM制御信号)を生成する制御回路52と、生成されたPWM制御信号によってFET511を駆動する駆動回路53とを備える。FET511は、例えばフルブリッジ(Hブリッジ)回路又はハーフブリッジ回路のように複数のFETで構成されるものであってもよい。
【0023】
DC/AC変換回路51が変換して生成した交流電圧が絶縁トランス54で降圧されて整流回路55で整流され、整流された直流電圧が平滑回路56で平滑されて、出力端子501から外部の低圧バッテリ(請求項に記載のバッテリ)6、電源ECU7及び図示しない低電圧負荷(補機類)に供給される。出力端子501は、図示しないA/D変換回路を介して制御回路52に接続されている。
【0024】
低圧バッテリ6は、電源ECU7によってオン/オフに制御されるIGリレー接点61を介して電圧端子502に接続されており、IGリレー接点61がオンに制御された場合、電圧端子502から制御回路52に動作電圧(いわゆる電源電圧)が供給される。平滑回路56及び低圧バッテリ6から電圧が印加される出力端子501は、制御回路52によってオン/オフに制御される電圧リレー接点(請求項に記載のスイッチ)62を介して駆動回路53に接続されており、電圧リレー接点62がオンに制御された場合、出力端子501から駆動回路53に動作電圧が供給される。
【0025】
制御回路52に動作電圧が供給されていない場合、電圧リレー接点62はオフとなっている。駆動回路53に上述のPWM制御信号が与えられていないときの暗電流が無視できる場合は、電圧リレー接点62を介さずに出力端子から駆動回路53に動作電圧を供給してもよい。また、駆動回路53の動作時の消費電流が比較的小さい場合は、電圧端子502から駆動回路53に動作電圧を供給してもよい。
【0026】
尚、図1では各装置及び各回路の安全を確保するためのヒューズの図示を省略してある。
【0027】
制御回路52は、CPU521を有し、CPU521は、プログラム等の情報を記憶するROM522、一時的に発生した情報を記憶するRAM523、各種時間を計時するタイマ(請求項に記載の第1,第2タイマ)524、及び自装置(電源装置5A)内の各部に対して入出力を行うI/Oポート525と互いにバス接続されている。I/Oポート525は、例えばCPU521が電圧リレー接点62をオン/オフに制御したり、前述のA/D変換回路を介して出力端子501の電圧を検出したりするのに用いられる。
【0028】
電圧端子502から動作電圧が供給されて制御回路52が起動した場合、CPU521は、それ自体公知の方法により、I/Oポート525又は図示しない生成回路を用いて上述のPWM制御信号の生成を適時開始し、生成したPWM制御信号を駆動回路53に与える。駆動回路53は、図示しないパルストランスを有しており、制御回路52から与えられたPWM制御信号を増幅し、増幅したPWM制御信号を前記パルストランスを介してFET511のゲートに与えることにより、FET511をオン/オフ状態に駆動する。CPU521は、また、電源装置5Aの接続に係る異常を検出した場合、電源ECU7に対して電源接続異常信号を報知するようになっている。
【0029】
以下では、上述した制御回路52の主たる動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM522に予め格納された制御プログラムに従ってCPU521により実行される。
図2は、出力端子501の電圧を検出して所定電圧と比較するCPU521の処理手順を示すフローチャートである。図2の処理は、IGリレー接点61がオンに制御されて、電圧端子502から制御回路52に動作電圧(低圧バッテリ6の電圧)が供給されたときに起動される。
尚、起動時に上記の接続に係る異常を検出しない場合(例えば、後述するステップS18で判定結果がYESの場合)、CPU521は、それ自体公知の方法を用いてPWM制御信号の生成を開始する(フローチャートには図示せず)。
【0030】
図2の処理が起動される都度、CPU521は、I/Oポートを介して電圧リレー接点62をオンに制御して(S16)駆動回路53に動作電圧を供給する。その後、CPU521は、出力端子501の電圧を検出し(S17)、検出した電圧が所定電圧(例えば12Vの半分として6V)以上であるか否かを判定する(S18)。
【0031】
検出した電圧が所定電圧以上である場合(S18:YES)、CPU521は、そのまま何も実行せずに図2の処理を終了する。検出した電圧が所定電圧以上ではない場合(S18:NO)、出力端子501に低圧バッテリ6の電圧が印加されていない(即ち、出力端子501及び低圧バッテリ6間の接続が外れている)と認められるため、CPU521が、電源接続異常信号を電源ECU7に出力して(S19)、図2の処理を終了する。
【0032】
以上のように本実施の形態1によれば、出力端子に接続されるべき外部の低圧バッテリからIGリレー接点及び電圧端子を介して制御回路に動作電圧を供給すると共に、出力端子から電圧リレー接点を介して駆動回路に動作電圧を供給するようにしてあり、動作電圧を供給された制御回路が、起動後に検出した出力端子の電圧及び所定電圧を比較判定する。
これにより、出力端子及び外部のバッテリ間の接続が外れている場合(又は外れていない場合)は、出力端子の電圧が所定電圧より低く(又は所定電圧以上として)検出されるため、制御回路の起動時の出力端子の電圧及び所定電圧の比較結果に基づいて、外部のバッテリが正常に接続されているか否かが判定される。
従って、電圧を変換するためのスイッチング素子のオン/オフを制御する回路の動作電圧用に特別なコンバータが不要であり、且つ、自装置の出力端子及び外部のバッテリ間の接続状態を判別することが可能となる。また、制御回路と比較して消費電流が大きい駆動回路の動作電圧が出力端子から供給されるため、電圧端子及び該電圧端子に接続される外部回路に要求される電流容量を小さくすることが可能となる。
【0033】
また、制御回路の起動の都度、制御回路が電圧リレー接点をオンに制御することにより、出力端子から駆動回路に供給される動作電圧をオンする。制御回路に動作電圧が供給されていない場合、電圧リレー接点はオフとなる。
従って、自装置が非動作状態にあるときに外部のバッテリから見た消費電流が略ゼロに抑えられるため、バッテリが過放電状態となるのを防止することが可能となる。
【0034】
(実施の形態2)
実施の形態1が、出力端子501から電圧リレー接点62を介して駆動回路53に動作電圧を供給する形態であるのに対し、実施の形態2は、電圧リレー接点62をオンに制御する前に、電圧端子502から抵抗回路を介して駆動回路53に動作電圧を供給する形態である。実施の形態1では、制御回路52に動作電圧が供給され始めてから、自装置が変換した直流電圧が出力端子501に出力されるまでの間、駆動回路53に対して専ら低圧バッテリ6から動作電圧が供給され続ける。用途によっては、この間に出力端子501から駆動回路53に供給可能な電流の大きさが制約される場合があり、本実施の形態2ではこの制約を回避する。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態2に係る電源装置の要部構成例を示すブロック図である。図中5Bは電源装置であり、電源装置5Bは、システムリレーSRB,SRGを介して外部に接続された高圧バッテリ4の直流電圧を交流電圧に変換するDC/AC変換回路51と、該DC/AC変換回路51が有するFET511をオン/オフさせるためのPWM制御信号を生成する制御回路52と、生成されたPWM制御信号によってFET511を駆動する駆動回路53とを備える。電源装置5Bは、また、電圧端子502から駆動回路53に電圧を供給する抵抗器(請求項に記載の抵抗回路)58と、該抵抗器58から供給される電圧で充電されるコンデンサ59とを備える。つまり、電圧端子502及び駆動回路53の間に抵抗器58を介装し、該抵抗器58及び駆動回路53の接続点と接地電位との間にコンデンサ59を接続する。その他の接続構成については、実施の形態1の図1の場合と同様である。
【0036】
以下では、抵抗器58及びコンデンサ59の役割を中心に説明する。
図4は、本発明の実施の形態2に係る電源装置5Bの起動後における主要部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図4に示す5つのチャートでは、何れも同一の時間軸を横軸としてあり、図の上からIGリレー接点61のオン/オフ状態、コンデンサ59の電圧、制御回路52が駆動回路53に与えるPWM制御信号のオン/オフ状態、出力端子501の電圧、及び電圧リレー接点62のオン/オフ状態を縦軸に示してある。
【0037】
時刻T0でIGリレー接点61がオンに制御された場合、制御回路52が起動して適宜の制御を開始する。その一方では、電圧端子502から抵抗器58を介して供給される電圧でコンデンサ59が充電されるため、コンデンサ59の電圧が上に凸の充電曲線を描いて上昇する。この間、抵抗器58が、電圧端子502からコンデンサ59に流れる充電電流の大きさを制限する。
【0038】
時刻T0から第1時間が経過した時刻T1では、コンデンサ59の電圧が低圧バッテリ6の電圧にほぼ達しており、このタイミングで制御回路52がPWM制御信号の生成を開始する。そして、コンデンサ59から動作電圧を供給されている駆動回路53が、制御回路52から与えられたPWM制御信号を増幅すると共に、FET511をオン/オフ状態に駆動し始める。これにより、コンデンサ59が放電し、コンデンサ59の電圧が下に凸の放電曲線を描いて低下する。
【0039】
時刻T1から多少の遅延時間が経過した時刻T2より後では、自装置が変換した直流電圧が出力端子501に出力されるようになり、低圧バッテリ6が充電される。その後、時刻T3で電圧リレー接点62がオンに制御され、駆動回路53には出力端子501から動作電圧が供給されるようになる。従って、時刻T3より後では、コンデンサ59の電圧が、時刻T1における電圧より高くなる。
【0040】
以下では、上述した制御回路52の主たる動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM522に予め格納された制御プログラムに従ってCPU521により実行される。
図5は、起動後の経過時間を計時して所定の制御を行うCPU521の処理手順を示すフローチャートである。図5の処理は、IGリレー接点61がオンに制御されて、電圧端子502から制御回路52に動作電圧(低圧バッテリ6の電圧)が供給されたときに起動される。
【0041】
図5の処理が起動される都度、CPU521は、タイマ524を用いて計時を開始する(S21)。その後、CPU521は、タイマ524が第1時間を計時したか否かを判定し(S22)、第1時間を計時するまで待機する(S22:NO)。ここでの第1時間は、図4に示す時刻T0からT1に至るまでの時間である。タイマ524が第1時間を計時した場合(S22:YES)、CPU521は、それ自体公知の方法を用いてPWM制御信号の生成を開始する(S23)と共に、再びタイマ524を用いて計時を開始する(S24)。
【0042】
その後、CPU521は、タイマ524が第2時間を計時したか否かを判定し(S25)、第2時間を計時するまで待機する(S25:NO)。ここでの第2時間は、図4に示す時刻T1からT3に至るまでの時間である。タイマ524が第2時間を計時した場合(S25:YES)、CPU521は、電圧リレー接点62をオンに制御する(S26)。このステップを含めたステップS26からS29までの処理は、実施の形態1の図2におけるステップS16からS19までの処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0043】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0044】
以上のように本実施の形態2によれば、電圧端子及び駆動回路の間に抵抗器を介装し、該抵抗器及び駆動回路の接続点と接地電位との間にコンデンサを接続してあり、制御回路の起動後に第1時間が経過した場合、制御回路が制御信号の生成を開始し、制御信号の生成開始後に第2時間が経過した場合、制御回路が電圧リレー接点をオンに制御する。
これにより、制御回路の起動後から第1時間が経過するまでの間、抵抗器を介して電圧端子の電圧(低圧バッテリの電圧)がコンデンサに充電され、第1時間の経過後から更に第2時間が経過するまでの間、コンデンサから駆動回路に動作電圧が供給され、その後、出力端子から駆動回路に動作電圧が供給される。
従って、自装置が起動してから少なくとも出力端子に電圧を供給し始めるまでの間、外部の低圧バッテリから電圧端子及び抵抗器を介して駆動回路に電圧を供給し、且つその間に駆動回路に供給される電流の大きさを抵抗器によって制限することが可能となる。
【0045】
(実施の形態3)
実施の形態2が、制御信号の生成開始後に第2時間が経過した場合、制御回路52が電圧リレー接点62をオンに制御する形態であるのに対し、実施の形態3は、制御信号の生成開始後に出力端子の電圧が所定の閾値以上高くなった場合、制御回路52が電圧リレー接点62をオンに制御する形態である。
【0046】
図6は、本発明の実施の形態3に係る電源装置5Bの起動後における主要部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図6に示す5つのチャートでは、何れも同一の時間軸を横軸としてあり、図4の場合と同様に、上からIGリレー接点61のオン/オフ状態、コンデンサ59の電圧、制御回路52が駆動回路53に与えるPWM制御信号のオン/オフ状態、出力端子501の電圧、及び電圧リレー接点62のオン/オフ状態を縦軸に示してある。
【0047】
時刻T0でIGリレー接点61がオンに制御されてから、時刻T1で制御回路52がPWM制御信号の生成を開始し、時刻T2で自装置が変換した直流電圧が出力端子501に出力されるようになるまでの動作は、実施の形態2における図4の場合と同様である。時刻T2より後では、低圧バッテリ6の充電が開始されて、出力端子501の電圧が、満充電電圧に向けて上昇し始める。
【0048】
その後、時刻T4で、出力端子501の電圧が、時刻T2における電圧より所定の閾値(Vth)以上高くなった場合、電圧リレー接点62がオンに制御され、駆動回路53には出力端子501から動作電圧が供給されるようになる。所定の閾値の大きさは、低圧バッテリ6の充電状態(例えば、充電開始前の電池電圧又は残容量)に応じて適宜変更するようにしてもよい。
【0049】
以下では、上述した制御回路52の主たる動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM522に予め格納された制御プログラムに従ってCPU521により実行される。
図7は、PWM制御信号の生成開始時の出力端子501の電圧を記憶するCPU521の処理手順を示すフローチャートであり、図8は、時系列的に検出した出力端子501の電圧と記憶した電圧とを比較するCPU521の処理手順を示すフローチャートである。
【0050】
図7の処理は、IGリレー接点61がオンに制御されて、電圧端子502から制御回路52に動作電圧(低圧バッテリ6の電圧)が供給されたときに起動される。また、図8の処理は、例えば250ミリ秒毎に起動されるが、これに限定されるものではない。
【0051】
図7の処理が起動された場合、CPU521は、タイマ524を用いて計時を開始する(S31)。このステップを含めたステップS31からS33までの処理は、実施の形態2の図5におけるステップS21からS23までの処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0052】
ステップS33でPWM制御信号の生成を開始した後、CPU521は、出力端子501の電圧を検出し(S34)、検出した電圧をRAM523に記憶して(S35)図7の処理を終了する。
【0053】
次に、図8の処理が起動された場合、CPU521は、出力端子501の電圧を検出し(S41)、検出した出力端子501の電圧から、RAM523に記憶した電圧を減じた電圧差を算出する(S42)。その後、CPU521は、算出した電圧差が所定の閾値(Vth)以上であるか否かを判定し(S43)、電圧差が所定の閾値以下である場合(S43:YES)、電圧リレー接点62をオンに制御する(S44)。
【0054】
電圧差が所定の閾値以下ではない場合(S43:NO)、又はステップS44の処理を終えた場合、CPU521は、出力端子の電圧を検出する(S47)。このステップを含めたステップS47からS49までの処理は、実施の形態2の図5におけるステップS27からS29までの処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0055】
その他、実施の形態1,2に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0056】
以上のように本実施の形態3によれば、実施の形態2と同様の接続構成において、制御回路の起動後に第1時間が経過した場合、制御回路が制御信号の生成を開始し、その後、250ミリ秒毎に検出した出力端子の電圧が、制御信号の生成開始の際に検出した電圧より所定の閾値(Vth)以上高い場合、制御回路が電圧リレー接点をオンに制御する。
これにより、制御回路の起動後から第1時間が経過するまでの間、抵抗器を介して電圧端子の電圧(低圧バッテリの電圧)がコンデンサに充電され、その後、コンデンサから駆動回路に動作電圧が供給され、出力端子の電圧が所定の閾値(Vth)以上高くなった後は、出力端子から駆動回路に動作電圧が供給される。
従って、自装置が起動してから少なくとも出力端子に電圧を供給し始めるまでの間、外部の低圧バッテリから電圧端子及び抵抗器を介して駆動回路に電圧を供給し、且つその間に駆動回路に供給される電流の大きさを抵抗器によって制限することが可能となる。
【0057】
また、実施の形態1から3によれば、出力端子の電圧及び所定電圧の比較結果に基づいて、外部の低圧バッテリが出力端子に正常に接続されていないと判定される場合、外部の電源ECUに電源接続異常信号を報知するため、出力端子及び外部のバッテリ間の接続異常を外部に通知することが可能となる。
【0058】
尚、実施の形態2,3にあっては、制御回路52の起動後、第1時間が経過したときにPWM制御信号の生成を開始したが、これに限定されず、例えばコンデンサ59の電圧を時系列的に検出し、検出した電圧が所定の電圧以上となったときにPWM制御信号の生成を開始するようにしてもよい。
【0059】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
5A,5B,5C 電源装置
501 出力端子
502 電圧端子
511 FET
52 制御回路
521 CPU
522 ROM
523 RAM
524 タイマ
53 駆動回路
58 抵抗器
59 コンデンサ
6 低圧バッテリ
61 IGリレー接点
62 電圧リレー接点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9