(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す作業車両では、車軸ケース部1029と前輪操舵装置1020の前輪操舵用シリンダー1025とがどの様に連結されているかは開示されておらず、その連結部の構造については不明である。
【0006】
本発明の目的は、従来のこの様な連結部の構造に鑑みて、車軸ケースと操舵シリンダーとを簡単な構成で連結出来て、且つ強度的にも問題のない連結構造を有する作業車両としての
農用作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
走行車体と、
前記走行車体の下方に配置され、左右一対の前輪に駆動力を伝達するための車軸を収納した車軸ケースと、
前記左右一対の前輪を互いに連動して左右方向に移動させる操舵シリンダーを車軸ケースの前方に設け、
前記操舵シリンダーから後方に向かって伸びる第一の筒体を設け、
前記車軸ケースの中央部から前方に向かって伸びる第二の筒体を設け、
前記第一の筒体の外周形状は円筒形状であり、且つ、前記第二の筒体の内周形状は前記第一の筒体の前記円筒形状と嵌合する形状とし、
前記第一の筒体と前記第二の筒体は、双方の筒体を貫通する締結部材により互いに連結固定され、
前記車軸ケースの中央部から後方に突出する後方側突出部を設け、
後方側突出部は、
前輪に駆動力を伝達するための
前輪伝達シャフトを回転可能に保持し、
前記走行車体の下面に固定された、前記第二の筒体と前記後方側突出部とを回動可能に支持する前後一対の支持体を備え、
前記第二の筒体の外形は、前記後方側突出部の外形と一致していることを特徴とする農用作業車両である。
【0008】
これにより、車軸ケースと操舵シリンダーとを簡単な構成で連結出来て、且つ強度的にも強く連結出来る
。
【0009】
【0010】
また、前後一対の支持体を互いに同一形状に出来得るので、部品の共用化が図られる
。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車軸ケースと操舵シリンダーとを簡単な構成で連結出来て、且つ強度的にも問題のない連結構造を有する作業車両としての
農用作業車両を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照しながら本発明の乗用管理機にかかる一実施の形態の薬液の散布作業車について説明する。
【0020】
(実施の形態1)
まず、
図1〜
図3を用いて、本実施の形態1の薬液の散布作業車についてその概略構成を説明する。
【0021】
図1は、本発明にかかる実施の形態1における薬液の散布作業車の右側面図である。
図2は、本発明にかかる実施の形態1における薬液の散布作業車の正面図である。尚、これら
図1、
図2は、後述する左右散布ブームを走行車体の左右両側面に収納した状態を示す。一方
図3は、本発明にかかる実施の形態1における薬液の散布作業車が薬液を散布している状態を示す正面図である。
【0022】
図1、
図2に示す通り、本実施の形態1の薬液の散布作業車1の走行車体2には左右一対の前輪3,3、と左右一対の後輪4,4が設けられていて、走行車体2の前側部には防除散布装置11が取り付けられている。
【0023】
尚、
図2に示す通り、本実施の形態1の薬液の散布作業車1では、最低地上高さHが高く、輪間距離(トレッド)Wが広く構成されている。
【0024】
走行車体2の左右一対の前輪3,3間の上方には、ボンネット5で覆われたエンジンEが搭載あれている。左右一対の前輪3,3と左右一対の後輪4,4の間の上方には操縦席6を設け、操縦席6の前方にハンドル7が設けられている。
【0025】
ハンドル7を左右に操舵すると、左右一対の前輪3,3及び左右一対の後輪4,4が同時に連動して操舵され、小回り走行のできる四輪操舵構成としている。
【0026】
また、操縦席6の回りを取り囲むように薬液タンク9を着脱自在に設け、その下方に防除ポンプ10が設けられている。
【0027】
また、
図3に示す通り、防除散布装置11は機体前方に位置するセンター散布ブーム11aと、センター散布ブーム11aの左右両側に設けられた左右散布ブーム11b,11bとで構成されている。
【0028】
そして、防除散布装置11を昇降シリンダー15(
図1参照)により昇降し、開閉シリンダー17(
図1参照)により左右散布ブーム11b,11bを左右に突出した散布作業状態(
図3参照)と、走行車体2の両側方に沿わせた収納状態に移動する(
図1、
図2参照)ように構成している。
【0029】
そして、薬液タンク9の薬液は防除ポンプ10により防除散布装置11に送られ、センター散布ブーム11a及び左右散布ブーム11b,11bに複数設けられた散布ノズル14から、薬液が散布される(
図3参照)。
【0030】
次に、
図4、
図5を用いて、本実施の形態1の薬液の散布作業車1の操舵シリンダーの取り付け構造について説明する。
【0031】
ここで、
図4は、本実施の形態1の薬液の散布作業車1の操舵シリンダーの取り付け構造を説明するための一部断面の概略平面図であり、
図5は、
図4のAA断面を示す概略図である。
【0032】
図4、
図5に示す通り、走行車体2の下方には、左右一対の前輪3にエンジンEからの駆動力を伝達するための車軸20等を収納したアクスルハウジング30が配置されている。また、走行車体2の下方であって、アクスルハウジング30の前方には、左右一対の前輪3を、左右一対のナックルアーム24a、24bを介して互いに連動して左右方向に移動させるタイロッド21a、21bをボールジョイント25a、25bにより左右一対のピストンロッド26a、26bと連結した操舵シリンダー22が配置されている。そして、断面が略コの字状に曲げられた板状部材であって(
図5参照)、その略コの字状の凹部に操舵シリンダー22の円筒状本体の外周面の約半分を収納して固定したシリンダーハウジング40が設けられている。
【0033】
尚、ナックルアーム24a、24bは、左右一対のボールジョイント25a、25bにより、左右一対のタイロッド21a、21bと回動自在に連結されている。これについては、更に後述する。
【0034】
また、シリンダーハウジング40のほぼ中央には、後方、即ちアクスルハウジング30側に向かって伸びた第一の円筒状嵌合部41が設けられている。第一の円筒状嵌合部41の内部は筒状内部空間42aを形成している。また、アクスルハウジング30の中央には、前方、即ちシリンダーハウジング40に設けられた第一の円筒状嵌合部41に向かって伸びた第二の円筒状嵌合部42が設けられている。そして、第一の円筒状嵌合部41が、第二の円筒状嵌合部42に挿入された後、その連結部分は、抜け防止及び回転防止用の締結部材である固定ピン43で貫通されてしっかりと固定されている。
【0035】
また、アクスルハウジング30の中央には、第二の円筒状嵌合部42と対称形状の後方側突出部30bが形成されており、後方側突出部30bは、その内部において、
前輪側に駆動力を伝達するための
前輪伝達シャフト23の根元部を回転可能に保持している。
【0036】
また、アクスルハウジング30の第二の円筒状嵌合部42と、後方側突出部30bとを軸芯Xを中心として回動可能に支持する前後一対の支持メタル(ピボットメタル)50a、50bが設けられており、これら前後一対の支持メタル50a、50bは、走行車体2の下面に対し、それぞれボルト51とナット52によりしっかりと固定されている。
【0037】
また、操舵シリンダー22のピストン(図示省略)を挟んで左右に配置された空間である左室及び右室に対して作動油を給排して、ピストンの移動量を調整するために、左右一対の油圧ホース22a、22bが、前側の支持メタル50aの左右側を経由して、操舵シリンダー22に接続されている。
【0038】
尚、本発明の車軸ケースの一例が、本実施の形態のアクスルハウジング30に対応し、本発明の操舵シリンダー保持部の一例が、本実施の形態のシリンダーハウジング40に対応する。また、本発明の第一の筒体の一例が、本実施の形態の第一の円筒状嵌合部41に対応し、本発明の第二の筒体の一例が、本実施の形態の第二の円筒状嵌合部42に対応する。また、本発明の前後一対の支持体の一例が、本実施の形態の前後一対の支持メタル(ピボットメタル)50a、50bに対応する。
【0039】
また、左右一対の前輪3L、3Rを中心に説明した上記構成は、基本的には左右一対の後輪4L、4Rについても、同様に適用される。
【0040】
これにより、支持メタル50a、50bを中心としてアクスルハウジング30全体が左右に揺動する時に、操舵シリンダー22も、同じ軸芯Xを中心として容易に揺動可能であり、車重を受ける支持メタル50a、50bをアクスルハウジング30から離すことなく構成出来、また、操舵シリンダー22を受け付けるための長くて丈夫な保持具を別途設ける必要が無い。
【0041】
よって、本実施の形態によれば、アクスルハウジング30と操舵シリンダー22とを簡単な構成で連結出来て、且つ強度的にも強く連結出来る。
【0042】
次に、
図6、
図7を用いて、本実施の形態1の薬液の散布作業車1について、ナックルアーム24a、24b及びその周辺の構成を更に説明する。
【0043】
ここで、
図6は、左前輪のギヤユニット周辺を後方側から前方側を見た概略断面拡大図である。また、
図7は、左前輪の中部軸受け周辺を上方から下方を見た概略平面図である。
【0044】
尚、
図6では、左前輪3Lのギヤユニット周辺を代表して示したが、車軸20等を収納したアクスルハウジング30と左右一対の前輪3L、3Rとの間に配設された左右一対のギヤユニット100、左右一対のファイナルケース200等は、左右においてそれぞれ同一構成である。
【0045】
図6に示す通り、ギヤユニット100は、車軸20を収納するアクスルハウジング30の左右端側に、その筒状上部101a(上部ベベル室)が連結されて上方に突出する上部ギヤケース101と、その上部ギヤケース101の筒状下部101bと下部軸受け250を介して回動可能に外嵌連結されて、斜め下方に突出する下部ギヤケース102とを備えている。また、車軸20の外端部に固定された駆動ベベルギヤ20aは、上部ギヤケース101に回動自在に収納された回動軸103の上端部に固定された上部ベベルギヤ103aと噛み合わされている。一方、回動軸103の下端部に固定された下部ベベルギヤ103bは、左前輪3Lの左前輪軸部104に外嵌固定されている、ファイナルケース200に収納されているファイナル従動ベベルギヤ200aと噛み合わされている。
【0046】
更に、
図6、
図7に示す通り、上部ギヤケース100の筒状上部(上部ベベル室)101aの直下には、その外周面と回動自在に嵌合した中部軸受け300が配置されている。一方、ファイナルケース200の上部に設けられたフランジ部201に、その下端部が連結固定されて、上部ギヤケース101の外周面と所定の隙間を保持して上方に至り、中部軸受け300の左前輪3L側において中部軸受け300と連結固定された橋渡し構造体350が配置されている。
【0047】
また、中部軸受け300の前側側面301は、進行方向Fを基準として、左前輪3L側に向けて所定角度βだけ傾斜した傾斜面形状を有している。また、その中部軸受け300の上面に固定されたナックルアーム24aは、進行方向Fを基準として、中部軸受け300の前側側面301と同様に、左前輪3L側に向けて所定角度γだけ傾斜して固定されている。
【0048】
最低地上高さHを出来るだけ高くする必要がある乗用管理機にあっては、作物に傷をつけないよう、出来るだけ傷害とならないような構造にする必要があるが、上記の傾斜構成により、作物が走行車体2の下部をスムーズに流れるので、作物に傷がつきにくい。
【0049】
また、上述した通り、橋渡し構造体350と一体に形成され、ナックルアーム24aが固定された中部軸受け300と、下部軸受け250とにより、ファイナルケース200は、上部ギヤケース101に対して回動自在となっている。
【0050】
一方、従来の乗用管理機の場合、ナックルアームは、ファイナルケースからオフセットさせて取り付けるが、上部ギヤケースの上部に設けた、回動軸を持つ蓋部品との橋渡し構造の柱に取り付けるかのどちらかであるため、最低地上高さHが高いと、ファイナルケースを回動させるための各部の構造体に曲げ応力が強くかかり破損し易いという問題がある。
【0051】
これに対して、本実施の形態の上記構成によれば、上部ギヤケース101の筒状上部101aは、ナックルアーム24aを配置する高さであり、この高さの近くに中部軸受け300を設けることは、ファイナルケース200を回動させる為の橋渡し構造体350に対して不要な曲げ応力をかけない様にすることが出来る。また、上部ギヤケース101を筒状上部101aから下方に向けてその径が小さくなる略円錐状としたことにより、中部軸受け300や下部軸受け250を、少ない部品数で安価に構成できる。また、橋渡し構造体350と中部軸受け300とが一体構成としたことにより、この構造体を少ない部品数で安価に構成出来る。
【0052】
尚、
図6、
図7を用いて説明した上記構成では、左前輪3L側を中心に説明したが、右前輪3R側についても同様の構成であるので、その説明は省略する。
【0053】
また、左右一対の前輪3L、3Rを中心に説明した上記構成は、基本的には左右一対の後輪4L、4Rについても、同様に適用される。
【0054】
次に、
図6、
図8、
図9を用いて、本実施の形態1の薬液の散布作業車1について、左右一対のナックルアーム24a、24bと左右一対のタイロッド21a、21bとの連結構造について更に説明する。
【0055】
図8は、本実施の形態1の薬液の散布作業車1の左前輪3L側に連結されるタイロッド21aとボールジョイント25aとの固定状態を説明するための概略背面図である。
【0056】
図9は、本実施の形態1の薬液の散布作業車1の左右一対のナックルアーム24a、24bの動きを示す概略平面図である。
【0057】
図6に示す通り、本実施の形態1の薬液の散布作業車1において、回動軸103の中心軸線Bは、鉛直線Dに対して内側へ角度αだけ傾斜しており、左前輪3Lの中心線C(この中心線Cは、左前輪軸部104と直交しており、鉛直線に対して外側へ所定角度傾斜している)との関係では、従来と同様に、正面視において略V字をなしているが、これは、走行時に作物との干渉を少なくする為の構成である。
【0058】
これに対して、操舵シリンダー22やタイロッド21a、21bは、ほぼ水平に配置されている為、本実施の形態では、タイロッド21a、21bとナックルアーム24a、24bとの連結に用いられるボールジョイント25a、25b自体(
図9参照)を、
図8に示す通り、角度αだけ傾斜させてタイロッド21a、21bの先端部に固定する構成とした。この傾斜角度αは、
図6に示した回動軸103の中心軸線Bが鉛直線Dとなす角度と一致させている。
【0059】
この構成により、
図9に示す通り、操舵シリンダー22の動きが、タイロッド21a、21b、ボールジョイント25a、25b、ナックルアーム24a、24b等を介してスムーズに左右前輪3L、3Rに伝達される。
【0060】
ところで、従来の構成では、タイロッドに真っ直ぐに固定されて水平に配置されたボールジョイントに対して、もともと傾斜した回動軸(
図6の回動軸103参照)に対して垂直に配置されているナックルアームを連結するためには、ナックルアーム自体の形状の一部をボールジョイントとの連結面に合わせて斜め形状とする必要があった。そのため、従来は、左右のナックルアームはそれぞれ形状が異なっていた。
【0061】
しかし、本実施の形態の上述した構成によれば、ボールジョイント25a、25b自体を、
図8に示す通り、角度αだけ傾斜させているため、ナックルアーム24a、24bは、左右が同じ形状に出来るので、部品作成時の型点数、及び部品の種類を削減することが出来る。
【0062】
尚、上記実施の形態では、
図5を中心にして説明した第一の円筒状嵌合部41に関する構成と、
図6を中心にして説明した中部軸受け300と橋渡し構造体350に関する構成と、
図8を中心にして説明したボールジョイント25a、24bの傾斜固定に関する構成とを、全て備えた乗用管理機1について説明したが、これに限らず例えば、少なくとも
図5で説明した第一の円筒状嵌合部41に関する構成を備えておりさえすれば、
図6に示す構成を備えていなくても良く、或いは、
図8に示す構成を備えていなくても良く、若しくは、
図6、及び
図8の何れの構成も備えていなくても良い。
【0063】
また、上記実施の形態では、左右一対の前輪と、左右一対の後輪の両方に関して、上記構成を適用した場合について説明したが、これに限らず例えば、左右一対の前輪にのみ上記構成を適用しても良い。
【0064】
また、上記実施の形態では、本発明の第一の筒体の一例として、第一の円筒状嵌合部41を用い、また、本発明の第二の筒体の一例として、第二の円筒状嵌合部42を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、その断面が多角形である筒体であっても良く、要するに双方の筒体は、互いに嵌め合わすことが出来る構成であればどの様な形状であっても良い。