(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている空気調和機の室内ユニットのように、ブラシがフィルタに接触した状態でフィルタが移動されることでフィルタから塵埃が除去されるフィルタ清掃機構では、フィルタから除去された塵埃は、ブラシに付着することになる。ここで、フィルタ清掃機構の備えるブラシが、基部から複数の毛が立設するように植毛された構成である場合であって、ブラシの毛とフィルタとの接触部に空気の流通可能な隙間がある場合には、この隙間が、ブラシに付着している塵埃を、フィルタよりも空気流れ下流側に位置する熱交換器に向かって流すバイパス経路となってしまうおそれがある。そして、ブラシに付着している塵埃が熱交換器に向かって流れてしまうと、塵埃が熱交換器に付着して、熱交換器が汚れてしまうという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、熱交換器に塵埃が付着するおそれを低減することで、熱交換器が汚れるおそれを防止することができる空調室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る空調室内機は、吸込口が上部に形成されたケーシングと、前記吸込口を介して前記ケーシング内に室内空気を吸い込むためのファンと、前記ケーシング内に吸い込まれた前記室内空気中の塵埃を捕集するフィルタと、前記フィルタよりも空気流れ下流側に配置され、前記室内空気と熱交換を行う熱交換器と、基部から立設するように複数の毛が植毛されているブラシと、ダストボックスとを有し、前記フィルタに前記ブラシを接触させた状態で前記フィルタを移動させることで前記フィルタに付着した塵埃を除去して、その塵埃を前記ダストボックスに収容するフィルタ清掃機構とを備え、前記ブラシは、前記フィルタの下端部に配置されており、前記フィルタに当たっている前記ブラシの毛と前記フィルタと前記基部とで構成される最大の閉じた領域において、前記フィルタに接触している毛の存在する割合が50%以下となるように構成されており、前記ダストボックスには、前記フィルタと前記ブラシの毛との接触部の近傍に配置され、前記接触部の空気流れ上流側に位置する部分の近傍から略上方に向かって延びる閉塞壁が一体に形成されることを特徴とする。
【0007】
この空調室内機では、フィルタとブラシの毛との接触部において、空気流れ上流側に位置する部分の近傍から略上方に向かって延びる閉塞壁が、ダストボックスに一体に形成されることで、ブラシの毛とフィルタとの接触部に形成される隙間に空気が流れ難くなる。このため、ファンによって室内空気を熱交換器に向かわせる空気流れが形成されたときに、ブラシに塵埃が付着していても、ブラシの毛とフィルタとの接触部に形成される隙間が、ブラシに付着した塵埃を熱交換器に向かって流す塵埃のバイパス経路となるおそれを低減することができる。この結果、熱交換器に塵埃が付着するおそれを低減することができる。したがって、熱交換器が汚れるおそれを防止することができる。また、この空調室内機では、閉塞壁がダストボックスと一体に形成されるので、閉塞壁がダストボックスと別体に形成される場合と比べて、ファンによって室内空気を熱交換器に向かわせる空気流れが、ブラシの毛とフィルタとの接触部に向かって、閉塞壁とダストボックスとの間の隙間から流入するのを防止できる。したがって、熱交換器が汚れるおそれを防止することができる。
【0008】
第2の発明に係る空調室内機は、第1の発明に係る空調室内機において、前記フィルタ清掃機構が、前記ブラシの上方に前記フィルタを挟んで配置され、回転することで前記フィルタを移動させるローラを有し、前記閉塞壁の上端は、前記ローラの上端より低い位置に配置されることを特徴とする。
【0009】
この空調室内機では、閉塞壁の上端がローラの上端より低い位置に配置されるので、フィルタを介して室内熱交換器へと向かう空気の流れが阻害されるのを抑制できる。したがって、熱交換効率が著しく低下するのを防止できる。
【0010】
第3の発明に係る空調室内機は、第1または第2の発明に係る空調室内機において、前記閉塞壁の上端が、前記ローラの回転中心と略同一の高さに配置されることを特徴とする。
【0011】
この空調室内機では、閉塞壁の上端がローラの回転中心と略同一の高さに配置されるので、ケーシング内のスペースを有効に利用できる。
【0012】
第4の発明に係る空調室内機は、第1から第3の発明のいずれかに係る空調室内機において、前記ブラシが、回転可能であり、断面が略円形状を呈することを特徴とする。
【0013】
この空調室内機では、回転可能なブラシによって、フィルタから塵埃を除去することができる。
【0014】
第5の発明に係る空調室内機は、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記閉塞壁が、前記フィルタの幅方向に沿って配置されていることを特徴とする。
【0015】
この空調室内機では、閉塞壁がフィルタの幅方向に沿って配置されているため、閉塞壁に対向する位置にあるフィルタの面の全域にわたって空気が流れ難くなる。これにより、ブラシに付着した塵埃が熱交換器に向かって流れるおそれを低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明では、フィルタとブラシの毛との接触部において、空気流れ上流側に位置する部分の近傍から略上方に向かって延びる閉塞壁が、ダストボックスに一体に形成されることで、ブラシの毛とフィルタとの接触部に形成される隙間に空気が流れ難くなる。このため、ファンによって室内空気を熱交換器に向かわせる空気流れが形成されたときに、ブラシに塵埃が付着していても、ブラシの毛とフィルタとの接触部に形成される隙間が、ブラシに付着した塵埃を熱交換器に向かって流す塵埃のバイパス経路となるおそれを低減することができる。この結果、熱交換器に塵埃が付着するおそれを低減することができる。したがって、熱交換器が汚れるおそれを防止することができる。また、この空調室内機では、閉塞壁がダストボックスと一体に形成されるので、閉塞壁がダストボックスと別体に形成される場合と比べて、ファンによって室内空気を熱交換器に向かわせる空気流れが、ブラシの毛とフィルタとの接触部に向かって、閉塞壁とダストボックスとの間の隙間から流入するのを防止できる。したがって、熱交換器が汚れるおそれを防止することができる。
【0017】
第2の発明では、閉塞壁の上端がローラの上端より低い位置に配置されるので、フィルタを介して室内熱交換器へと向かう空気の流れが阻害されるのを抑制できる。したがって、熱交換効率が著しく低下するのを防止できる。
【0018】
第3の発明では、閉塞壁の上端がローラの回転中心と略同一の高さに配置されるので、ケーシング内のスペースを有効に利用できる。
【0019】
第4の発明では、回転可能なブラシによって、フィルタから塵埃を除去することができる。
【0020】
第5の発明では、閉塞壁がフィルタの幅方向に沿って配置されているため、閉塞壁に対向する位置にあるフィルタの面の全域にわたって空気が流れ難くなる。これにより、ブラシに付着した塵埃が熱交換器に向かって流れるおそれを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る空調室内機10について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
(1)空調室内機の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空調室内機10を備える空気調和機90の正面図である。この空調室内機10は、室内の壁面に取り付けられる壁掛け型の室内機である。また、空調室内機10は、室外に配置される室外機91と冷媒配管92を介して接続されて空気調和機90を構成しており、室内の冷房運転及び暖房運転を含む通常運転に加えて、フィルタ81を自動で清掃するフィルタ清掃運転を行うことができる。
【0024】
空調室内機10は、
図2に示すように、主として、本体ケーシング11、フィルタ81、フィルタ清掃機構80、室内熱交換器13、室内ファン14を備えている。
【0025】
本体ケーシング11は、空調室内機10の外郭を構成する部材であって、内部にフィルタ81、フィルタ清掃機構80、室内熱交換器13、室内ファン14を収納している。
【0026】
また、本体ケーシング11の上部には、本体ケーシング11内に室内の空気を吸い込むための吸込口19が設けられている。
【0027】
室内熱交換器13は、通過する空気との間で熱交換を行う。室内熱交換器13は、側面視において両端が下方に向いて屈曲する逆V字状の形状を成し、その下方に室内ファン14が位置する。室内ファン14は、クロスフローファンであり、室内から吸込口19を介して本体ケーシング11内に取り込んだ空気を、室内熱交換器13に当てて通過させた後、本体ケーシング11内から室内に吹き出す空気流れを形成する。また、室内熱交換器13及び室内ファン14は、底フレーム16に取り付けられている。
【0028】
フィルタ81は、室内熱交換器13を覆うように配置されており、吸込口19を介して室内熱交換器13に向かって流入してくる吸込空気に含まれる塵埃を捕集する。
【0029】
フィルタ清掃機構80は、フィルタ81を自動的に清掃するフィルタ清掃運転を実行するための機構である。フィルタ清掃機構80は、フィルタ81から塵埃を除去するブラシ70と、ブラシ70から除去された塵埃を溜めるダストボックス73とを有している。ブラシ70は、基部と、基部から立設するように植毛された複数の毛70bとを有する。また、ブラシ70は、
図7及び
図8に示すように、フィルタ81に当たっているブラシ70の毛70bと、フィルタ81と、基部とで構成される最大の閉じた領域S1において、フィルタ81に接触している毛70bの存在する割合が50%以下となるように構成されている。そして、フィルタ清掃機構80は、フィルタ81とブラシ70の毛70bとが接触した状態でフィルタ81を移動させることで、フィルタ81が捕集した塵埃をフィルタ81から除去する。
【0030】
制御部(図示せず)は、室内熱交換器13及び室内ファン14の右側方に配置されており、ユーザからの指示に基づいて、空調室内機10に、冷房運転及び暖房運転を含む各種運転を実行させたり、フィルタ清掃運転を実行させたりする。
【0031】
なお、空調室内機10の具体的な構成は、上記のものに限定されるものではなく、フィルタに当たっているブラシの毛とフィルタと基部とで構成される最大の閉じた領域において、フィルタに接触している毛の存在する割合が50%以下となるように構成されたブラシと、ダストボックスとを有しており、フィルタにブラシが接触した状態でフィルタを移動させることでフィルタに付着した塵埃を除去して、その塵埃をダストボックスに収容するフィルタ清掃機構とを備え、ダストボックスが、フィルタとブラシの毛との接触部の近傍に配置され、接触部において空気流れ上流側に位置する部分の近傍から略上方に向かって延びる閉塞壁が一体に形成されたものであれば、他の機器構成であってもよい。
【0032】
(2)詳細構成
(2−1)本体ケーシング
本体ケーシング11は、天面部11a、前面パネル11b、背面板11c及び下部水平板11dを有している。
【0033】
天面部11aは、本体ケーシング11の上部を構成している。また、吸込口19は、天面部11aの前部に設けられている。さらに、吸込口19は、吸込流路20によって本体ケーシング11の内部と繋がっている。
【0034】
前面パネル11bは、空調室内機10の前面部を構成しており、吸込口がないフラットな形状を成している。
【0035】
背面板11cは、本体ケーシング11の背面を構成しており、室内の壁面に設置された取付板(図示せず)にビス止め等によって取り付けられることで、空調室内機10が室内の壁面に設置されることになる。
【0036】
下部水平板11dは、本体ケーシング11の下面(底面)を構成しており、
図2に示すように、背面板11cの下端から底フレーム16の下端部近傍まで延びている。
【0037】
また、本体ケーシング11の下部には、本体ケーシング11の長手方向に長い吹出口15が設けられている。吹出口15は、吹出流路21によって本体ケーシング11の内部と繋がっている。吹出流路21は、吹出口15から底フレーム16のスクロール部に沿って形成されている。室内の空気は、室内ファン14の稼働によって、吸込空気として、吸込口19を介して吸込流路20を経て室内ファン14に吸い込まれ、吹出空気として、吹出流路21を経て吹出口15を介して吹き出される。なお、吸込口19から吸い込まれた吸込空気は、吸込流路20を流れる間に、吸込流路20内に配置されているフィルタ81及び室内熱交換器13を通過することになる。
【0038】
さらに、吹出口15近傍には、吹出口15を開閉するための水平羽根23が設けられている。水平羽根23は、モータ(図示せず)によって回動されることで、傾斜角度の異なる複数の姿勢を採ることができる。これにより、水平羽根23は、吹出口15を閉じるだけでなく、吹出空気の上下方向の流れを変更することができる。
【0039】
(2−2)室内熱交換器
室内熱交換器13は、複数のフィン13aと、複数の伝熱管13bとで構成されている。室内熱交換器13は、冷房運転時には蒸発器として機能し、暖房運転時には凝縮器として機能する。
【0040】
なお、本実施形態の室内熱交換器13は、
図2及び
図3に示すように、側面視において、室内ファン14の前方を覆う前側熱交換部13cの下端部13dが、後述するフィルタ81の折返し部81aよりも下方まで延びている。
【0041】
(2−3)フィルタ
フィルタ81は、樹脂製の糸で平織り又は綾織りされた網であって、環形状に成形されている。なお、フィルタ81には、一般のフィルタにみられるような補強用の縁やリブが設けられていないため、フィルタ81は、自身で安定した形状を維持することができない。このため、フィルタ81は、後述する支持枠41に掛け渡されることで、環形状の形状を保っている。
【0042】
また、フィルタ81は、環形状を維持した状態で、吸込流路20内に配置されており、天面部11aと室内熱交換器13との間に着脱自在に装着されている。このため、フィルタ81は、室内熱交換器13よりも空気流れ上流側に配置されているといえる。さらに、フィルタ81は、吸込流路20の所定断面の略全面に渡って配置されている。これにより、吸込流路20を流れる吸込空気中の塵埃の多くをフィルタ81で捕集することができる。
【0043】
なお、以下より、説明の便宜上、
図3に示すように、環形状のフィルタ81が移動方向(進行方向)を反転させる部分であるフィルタ81の折返し部81aを挟んでフィルタ81の空気流れ上流側に位置する部分を正面側フィルタ部83といい、正面側フィルタ部83と対向するように配置される部分を背面側フィルタ部82という。
【0044】
(2−4)フィルタ清掃機構
フィルタ清掃機構80は、メインフレーム30と、フィルタユニット40と、ブラシ70と、圧縮ローラ72と、ダストボックス73とを備えている。
【0045】
(2−4−1)メインフレーム
メインフレーム30は、
図4及び
図5に示すように、空調室内機10の長手方向に長い部材であって、本体ケーシング11に固定されている。メインフレーム30は、左保持部31、右保持部32、中央保持部33、及び、閉塞部材35を有している。そして、メインフレーム30は、フィルタユニット40が着脱可能に構成されている。
【0046】
左保持部31、中央保持部33及び右保持部32は、それぞれ平行に等間隔に並んでいる。また、左保持部31の中央保持部33と対向する側の面には、後述する支持枠41を保持する左案内溝31aが設けられている。また、右保持部32の中央保持部33と対向する側の面には、支持枠41を保持する右案内溝32aが設けられている。さらに、中央保持部33には、左保持部31に設けられた左案内溝31a、及び、右保持部32に設けられた右案内溝32aと対峙する位置に、支持枠41を保持する中央案内溝33a、33bが設けられている。したがって、フィルタユニット40がメインフレーム30に装着される際には、左案内溝31、右案内溝32a及び中央案内溝33aに支持された状態で挿入される。
【0047】
左保持部31と中央保持部33との間、及び、中央保持部33と右保持部32との間には、それぞれ、補強枠(図示せず)が配置される。補強枠は、左保持部31、中央保持部33及び右保持部32の延びる方向に沿って延びる複数の補強棒と、補強棒に直交する方向に延びる複数の補強棒とによって格子状に形成されており、一定の強度が確保されている。補強枠は、フィルタ81の背面側フィルタ部82が室内熱交換器13に向かって垂れ下がらないように、室内熱交換器13側からフィルタ81を支えている。
【0048】
閉塞部材35は、左保持部31と中央保持部33との間、及び、中央保持部33と右保持部32との間にそれぞれ配置される。以下、左保持部31と中央保持部33との間に配置される閉塞部材35について説明するが、中央保持部33と右保持部32との間に配置される閉塞部材35の構成は同様であるので、その説明は省略する。
【0049】
閉塞部材35の両端には、
図6に示すように、支持部36がそれぞれ配置されており、その支持部36が左保持部31及び中央保持部33に対して回転可能に支持される。閉塞部材35は、フィルタユニット40がメインフレーム30に装着された状態で、フィルタユニット40をメインフレーム30に対してロックする部材を兼用する。閉塞部材35は、
図4に示すように、フィルタ使用位置に配置されたフィルタユニット40のメインフレーム30(支持部材)に対するロックを解除するロック解除位置と、
図5に示すように、フィルタ使用位置に配置されたフィルタユニット40をメインフレーム30に対してロックするロック位置とを取り得る。したがって、
図4のロック解除位置にある閉塞部材35を上方に回転させると、
図5のロック位置に移動する。
【0050】
支持部36は、閉塞部材35がロック位置にあるときに、メインフレーム30の突起部37に嵌合する固定部36aと、フィルタユニット40の左側板43側の突出部47または右側板44側の突出部47を係止する係止部36bと、メインフレーム30に回転可能に支持される回転支持部36cとを有している。メインフレーム30の突起部37は、左保持部31と中央保持部33とに対向するように配置されるとともに、中央保持部33と右保持部32とに対向するように配置される。
【0051】
固定部36aは、2本の棒状部材を有しており、閉塞部材35がロック位置にあるときに、突起部37が2本の棒状部材の間に配置される。そして、2本の棒状部材の内側には係止部が配置されており、その係止部によって突起部37が係止されるので、閉塞部材35がロック位置に固定される。係止部36bは、メインフレーム30側の端部に配置された半円状の切欠きである。そして、閉塞部材35がロック解除位置にあるときに、フィルタユニット40がフィルタ使用位置に配置されると、フィルタユニット40の左側板43側の突出部47および右側板44側の突出部47の後方側部分が、メインフレーム30の左保持部31および中央保持部33に配置された半円状の溝(図示せず)内に配置される。そして、閉塞部材35がロック位置に移動されると、フィルタユニット40の左側板43側の突出部47および右側板44側の突出部47の前方側部分が、閉塞部材35の両端において係止部36bによって係止される。したがって、フィルタユニット40が、フィルタ使用位置に配置された状態で、メインフレーム30に対してロックされる。
【0052】
図5に示すように、フィルタユニット40がメインフレーム30に対してロックされたロック状態の空気調和機10では、閉塞部材35は、
図2及び
図3に示すように、前面パネル11bの内周面(ケーシング11の内周面)とフィルタ81との間において、フィルタ81の幅方向に沿って配置される。また、閉塞部材35は、フィルタ81とブラシ70の毛70bとの接触部89より上方において正面側フィルタ部83(フィルタ81)と交差する方向に延びるように配置される。
図2及び
図3では、閉塞部材35は、フィルタ81に近づくにつれて下方に傾斜しており、ローラ45の回転中心より上方においてフィルタ81と交差する方向に延びるように配置される。そして、閉塞部材35の後端が正面側フィルタ部83に対向しており、閉塞部材35の後端と正面側フィルタ部83との間の寸法は、2mm以下になるように設計されている。したがって、吸込流路20において、吸込口19から吸い込まれた空気が、閉塞部材35に沿ってフィルタ81へと向かうので、その空気がフィルタ81とブラシ70の毛70bとの接触部89に向かって流れるのを抑制できる。
【0053】
(2−4−2)フィルタユニット
フィルタユニット40は、
図7及び
図8に示すように、フィルタ81をその移動経路に沿って周回させる機構であって、本体ケーシング11内のメインフレーム30に着脱可能に構成されている。フィルタユニット40は、支持枠41と、ローラ45と、ローラ45を回転させるためのローラ駆動モータと、回転棒49とを有している。
【0054】
支持枠41は、フィルタ81が所定の環形状を形成するように、フィルタ81を支持する部材である。支持枠41は、左側板43と、左側板43と対向するように配置される右側板44とを有している。左側板43及び右側板44のそれぞれの一端には、ローラ45の回転軸を支持する軸受部43a、44aが設けられており、左側板43及び右側板44のそれぞれの他端には、回転棒49を支持する軸受部43b、44bが設けられている。また、フィルタユニット40は、メインフレーム30に装着されたフィルタユニット40をロックするために使用される突出部47を有している。突出部47は、フィルタユニット40の両端にそれぞれ配置される。フィルタユニット40の左側板43側の突出部47は、
図8に示すように、左側板43から突出しており、右側板44側の突出部47は、ローラ45の回転軸の端部にあるギアから突出する。支持枠41は、左側板43及び右側板44の延びる方向に沿って延びる補強棒と、左側板43及び右側板44に対して直交する方向に延びる補強棒とを含み、格子状に形成されている。なお、フィルタユニット40(フィルタ81を環形状に支持した状態の支持枠41)がメインフレーム30に装着される際には、左側板43が、左案内溝31a或いは中央案内溝33bに挿入され、右側板44が、右案内溝32a或いは中央案内溝33aに挿入される。
【0055】
ローラ45は、支持枠41の端部に回転可能に支持されており、フィルタ81の折返し部81aに配置されている。また、ローラ45の周面には、パイル織りされた織物基布が貼り付けられている。そして、ローラ45の周面に貼り付けられた織物基布がフィルタ81の編み目に入り込むことで、ローラ45とフィルタ81との間に滑りが生じにくくなっている。
【0056】
ローラ駆動モータは、ステッピングモータであって、メインフレーム30の右保持部32に固定されている。回転棒49は、支持枠41の端部に回転可能に支持されており、環形状のフィルタ81が移動方向(進行方向)を反転させる部分に配置されている。また、回転棒49は、フィルタ81が細長い環になるように、ローラ45と共に環形状のフィルタ81を内側から支持している。
【0057】
このような構成によって、このフィルタユニット40では、ローラ駆動モータによってローラ45が回転されることで、フィルタ81が、支持枠41に沿って往復移動する。より詳しくは、ローラ45が回転することで、フィルタ81の正面側フィルタ部83が、折返し部81a、フィルタ81の背面側に移動して、背面側フィルタ部82があった位置まで移動した後、ローラ45が反対方向に回転することで、フィルタ81が移動する前の正面側の位置に戻る。
【0058】
なお、本実施形態では、ユーザは、フィルタユニット40(支持枠41、ローラ45及び回転棒49)を、フィルタ81と共に、本体ケーシング11から引き出すことができる。
【0059】
(2−4−3)ブラシ
ブラシ70は、メインフレーム30やフィルタユニット40と同様に、空調室内機10の長手方向に沿って細長い形状を有しており、
図2及び
図3に示すように、長手方向に直交する断面が略円形の形状を呈している。
【0060】
また、ブラシ70は、ダストボックス73の両端部73aに回転可能に支持されており、右保持部32に固定されたブラシ駆動モータによって、常に一方向に回転される。上述したように、フィルタ81が往復移動するため、往路と復路でフィルタ81とブラシ70の相対的な回転方向が異なり、往路時は同一方向であって、復路時は逆方向である。なお、ダストボックス73は、本体ケーシング11から着脱可能であるため、ユーザは、ダストボックス73とともにブラシ70を本体ケーシング11から取り出すことができる。そして、
図3に示すように、ブラシ70は、ダストボックス73が本体ケーシング11に装着された状態で、フィルタ81を挟んでローラ45と上下に対向して配置されている。さらに、ブラシ70は、ダストボックス73が本体ケーシング11に装着された状態で、フィルタ81に付着した塵埃を掻き落として除去するために、フィルタ81に接触するように配置される。
【0061】
また、ブラシ70は、
図9及び
図10に示すように、基部に相当する芯材70aと、芯材70aの周面から立設するように植毛された複数の毛70bとによって構成されている。したがって、フィルタ81とブラシ70とが接触するとは、具体的には、フィルタ81とブラシ70の毛70bとが接触することになる。なお、本実施形態では、ブラシ70の毛70bの長さは、ブラシ70の回転中心となる芯材70aからフィルタ81までの寸法よりも長くなるように設計されている。このため、ブラシ70の毛70bは、フィルタ81に接触した状態で、その先端部がフィルタ81に沿って折れ曲がる。また、ブラシ70は、ダストボックス73が本体ケーシング11に装着された状態のフィルタ81に当たっているブラシ70の毛70bとフィルタ81と芯材70aとで構成される最大の閉じた領域S1、より詳しくは、
図10に示すように、所定断面(ここでは、空調室内機10の長手方向に直交する方向の断面)におけるフィルタ81に当たっているブラシ70の毛のうち最も前側に位置する毛70bと、最も後側に位置する毛70bと、フィルタ81と、芯材70aとで構成される領域(鉛直方向に延びる面)S1において、フィルタ81に接触している毛70bの存在する割合が、50%以下となるように構成されている。そして、本実施形態のブラシ70は、領域S1において、フィルタ81に接触している毛70bの存在する割合(領域S1に存在する毛70bの面積/領域S1の面積×100)が約26%となるように構成されている。このようなブラシ70の構成から、特に、ブラシ70の毛70bとフィルタ81との接触部89には、空気の流通可能な隙間ができるようになっている。
【0062】
(2−4−4)圧縮ローラ
圧縮ローラ72は、円柱状の棒状部材であって、ダストボックス73の両端部73aに回転可能に支持されている。また、圧縮ローラ72の表面には、w状の突起が形成されている。さらに、圧縮ローラ72の回転軸には、ブラシ70の回転軸に設けられたギア70cと噛み合う位置にギア72aが設けられており、圧縮ローラ72は、ブラシ70の回転に連動して回転する。したがって、圧縮ローラ72は、ブラシ70の回転方向とは反対方向に回転する。なお、圧縮ローラ72は、
図3に示すように、後述する櫛部74の歯74aの下側に配置されている。そして、ブラシ70及び圧縮ローラ72が回転することで、櫛部74の歯74aによってブラシ70から除去された塵埃が圧縮されながら、ダストボックス73へ内へと搬送される。
【0063】
(2−4−5)ダストボックス
ダストボックス73は、ブラシ70から除去された塵埃を溜めるための部材であって、上部が開口した略直方体形状の箱状の部材である。また、ダストボックス73は、
図9に示すように、前部75と後部76とから構成されており、前部75と後部76とが組み合わされることで箱状になる。さらに、ダストボックス73は、
図2及び
図3に示すように、フィルタ81の前側の折返し部81a近傍に配置されており、上述のように、本体ケーシング11から着脱可能に構成されている。このため、ユーザは、ダストボックス73を本体ケーシング11から取り出して、ダストボックス73内に溜まった塵埃を容易に処理することができる。
【0064】
ダストボックス73の後部76は、
図3に示すように、フィルタ81の前側端部の折返し部81a近傍において略上下方向に延びる閉塞壁76aを有している。閉塞壁76aは、フィルタ81と同様に空調室内機10の長手方向に長い部材であって、正面視において左右方向に延びており、側面視において略上下方向に延びている。したがって、閉塞壁76aは、フィルタ81を挟んでローラ44の前側(正面側)において、フィルタ81とブラシ70の毛70bとの接触部89の近傍に配置され、接触部89の空気流れ上流側に位置する部分の近傍から略上方に向かって延びるように、ダストボックス73に一体に形成される。
【0065】
また、閉塞壁76aの上端は、ローラ45の回転中心と略同一の高さに配置される。そして、閉塞壁76aと正面側フィルタ部83のフィルタ面との間の寸法は、2mm以下になるように設計されている。したがって、閉塞壁76aが、フィルタ81とブラシ70との接触部89よりも空気流れ上流側にあることで、フィルタ81の正面側フィルタ部83の下方に向かって流れる空気流れが、閉塞壁76aによって遮断される。
【0066】
閉塞壁76aは、吸込流路20において、フィルタ81よりも空気流れ上流側に配置されているため、閉塞壁76aの高さ寸法が大きすぎると、フィルタ81を介して室内熱交換器13へと向かう空気の流れを阻害して、前側熱交換部13cの下部の熱交換効率を著しく低下させてしまう。そこで、閉塞壁76aの高さ寸法は、フィルタ81とブラシ72との接触部89よりも高い位置であって、ローラ45の上端より低い位置に配置され、前側熱交換部13cの下部の熱交換効率に影響を及ぼさない高さの範囲内で設定されている。
【0067】
また、ダストボックス73には、ブラシ70に付着した塵埃を除去するための櫛部74が配設されている。櫛部74は、
図11に示すように、ダストボックス73の長手方向に並んだ複数の歯74aを有している。櫛部74の歯74aは、ブラシ70がダストボックス73に支持された状態で、ブラシ70の下から斜め前方に向けて挿入されている。これにより、櫛部74は、ブラシ70が回転することで、ブラシ70の毛70bの間に付着している塵埃を取り除くことができる。
【0068】
このように構成されたフィルタ清掃機構の動作フィルタ清掃運転時には、ローラ駆動モータが駆動することで、フィルタ81がブラシ70の毛70bに接触した状態でフィルタ81が移動する。このとき、フィルタ81に付着している塵埃が、ブラシ70の毛70bによって掻き取られる。また、ブラシ駆動モータが駆動することでブラシ70が回転し、櫛部74の歯74aがブラシ70の毛70bを梳くことで、ブラシ70の毛70bに付着した塵埃がブラシ70から取り除かれる。そして、ブラシ70から取り除かれた塵埃は、圧縮ローラ72によって圧縮されながら、ダストボックス73内へと搬送され、ダストボックス73内に溜められる。このようにして、このフィルタ清掃機構80は、フィルタ81に付着した塵埃を、フィルタ81から除去している。なお、フィルタ清掃運転時には、室内ファン14の回転は停止されており、吹出口15は水平羽根23によって閉じられている。
【0069】
また、フィルタ清掃運転時には、ローラ駆動モータとブラシ駆動モータとが同時に駆動していてもよく、ローラ駆動モータが駆動している間は、ブラシ駆動モータの駆動が停止され、ローラ駆動モータの駆動が停止している間にブラシ駆動モータが駆動してもよい。ここで、ローラ駆動モータとブラシ駆動モータとが同時に駆動される場合には、フィルタ81がフィルタ81の移動経路に沿って移動するとともに、ブラシ70及び圧縮ローラ73が回転する。この結果、フィルタ81に付着した塵埃がブラシ70の毛70bによって掻き取られると同時に、ブラシ70の毛70bが櫛部74の歯74aによって梳かれてブラシ70がフィルタ81から掻き取った塵埃がブラシ70から除去されるとともに、圧縮ローラ72によって塵埃が圧縮されながらダストボックス73へと溜められる。
【0070】
一方で、ローラ駆動モータが駆動している間は、ブラシ駆動モータの駆動が停止され、ローラ駆動モータの駆動が停止している間に、ブラシ駆動モータが駆動する場合には、フィルタ81がフィルタ81の移動経路に沿って移動している間は、ブラシ70及び圧縮ローラ72の回転が停止され、フィルタ81の移動が停止している間に、ブラシ70及び圧縮ローラ72が回転する。この結果、フィルタ81が移動することで、フィルタ81に付着した塵埃が、回転の停止しているブラシ70の毛70bによって掻き取られ、ブラシ70の毛70bに溜まっていく。そして、ブラシ70の毛70bに塵埃が溜まった状態で、ブラシ70及び圧縮ローラ72の回転が開始することで、ブラシ70の毛70bが櫛部74の歯74aによって梳かれてブラシ70から塵埃が除去されるとともに、圧縮ローラ72によって塵埃が圧縮されながらダストボックス73へと溜められる。
【0071】
[本実施形態の空調室内機の特徴]
本実施形態の空調室内機10には、以下の特徴がある。
【0072】
図12は、本実施形態の空調室内機10と同様の構成の従来の空調室内機のフィルタ981とブラシ970の毛との接触部989近傍を示す部分断面図である。したがって、
図12の従来の空調室内機は、本実施形態の空調室内機10において、ケーシング11の内周面とフィルタ81との間に配置された閉塞部材35や、ダストボックス73に一体に形成された閉塞壁76aを備えてない。
【0073】
フィルタから塵埃を掻き取るためのブラシがフィルタに接触するように配置されているフィルタ清掃機構では、フィルタに当たっているブラシの毛とフィルタと基部とで構成される最大の閉じた領域において、フィルタに接触している毛の存在する割合が低いと、ブラシの基部とフィルタとの間の空間のうちフィルタに当たっているブラシの毛が存在する断面の空間を占める毛の存在する割合も低くなるため、特に、フィルタとブラシの毛との接触部に空気の流通可能な隙間が生じやすくなる。そして、ブラシ970の毛とフィルタ981との接触部989に隙間がある場合、室内ファンが駆動されると、
図12に示すように、吸込口から吸い込まれた吸込空気が、フィルタ981を介さずに、ブラシ970の毛とフィルタ981との接触部989の隙間から室内熱交換器913へと流れてしまう。このとき、フィルタ981から掻き取った塵埃がブラシ970に付着している場合には、ブラシ970の毛とフィルタ981との接触部989に形成される隙間が、ブラシ970に付着した塵埃を室内熱交換器913へと運ぶバイパス経路になってしまう。ブラシ970に付着した塵埃が室内ファンによって形成される空気流れにのって室内熱交換器913へと運ばれると、室内熱交換器913に塵埃が付着し、室内熱交換器913が汚れてしまうという問題が生じる。
【0074】
そして、本実施形態の空調室内機10では、ブラシ70が、フィルタ81に当たっているブラシ70の毛70bとフィルタ81と芯材70aとで構成される最大の閉じた領域S1において、フィルタ81に接触している毛70bの存在する割合が約26%と低いため、ブラシ70の毛70bとフィルタ81との接触部89には、隙間ができるようになっている。
【0075】
そこで、本実施形態の空調室内機10では、フィルタ81とブラシ70の毛70bとの接触部89の空気流れ上流側に位置する部分の近傍から略上方に向かって延びる閉塞壁76aが、ダストボックス73に一体に形成されることで、ブラシ70の毛70bとフィルタ81との接触部89に形成される隙間に空気が流れ難くなる。このため、ファン14によって室内空気を熱交換器13に向かわせる空気流れが形成されたときに、ブラシ70に塵埃が付着していても、ブラシ70の毛70bとフィルタ81との接触部89に形成される隙間が、ブラシ70に付着した塵埃を熱交換器13に向かって流す塵埃のバイパス経路となるおそれを低減することができる。この結果、熱交換器13に塵埃が付着するおそれを低減することができる。したがって、熱交換器13が汚れるおそれを防止することができる。また、この空調室内機10では、閉塞壁76aがダストボックス73と一体に形成されるので、閉塞壁76aがダストボックス73と別体に形成される場合と比べて、ファン14によって室内空気を熱交換器13に向かわせる空気流れが、ブラシ70の毛70bとフィルタ81との接触部89に向かって、閉塞壁76aとダストボックス73との間の隙間から流入するのを防止できる。したがって、熱交換器13が汚れるおそれを防止することができる。
【0076】
なお、ブラシの毛が柔らかすぎると、フィルタに付着した塵埃をフィルタから掻き取ることができなくなるため、ブラシの毛にはある程度の剛性が必要となる。一方で、ある程度の剛性を有する毛を芯材に植毛した場合に、フィルタに当たっているブラシの毛とフィルタと基部とで構成される最大の閉じた領域において、フィルタに接触している毛の存在する割合を高くすると、フィルタに付着している塵埃を掻き取る機能は向上するが、フィルタ清掃運転が繰り返し行われることで、フィルタがブラシの毛によって破れてしまうおそれがある。
【0077】
そこで、本実施形態では、フィルタ清掃運転が繰り返し行われてもフィルタ81が破れないように、フィルタ清掃機構80の有するブラシ70を、フィルタ81に当たっているブラシ70の毛70bとフィルタ81と芯材70aとで構成される最大の閉じた領域S1において、フィルタ81に接触している毛70bの存在する割合が約26%となるように構成している。
【0078】
また、本実施形態の空調室内機10では、閉塞壁76aの上端がローラ45の上端より低い位置に配置されるので、閉塞壁76aの上端がローラ44の上端より高い位置に配置される場合と比べて、フィルタ81を介して室内熱交換器13へと向かう空気の流れが阻害されるのを抑制できる。したがって、熱交換効率が著しく低下するのを防止できる。
【0079】
また、本実施形態の空調室内機10では、閉塞壁76aの上端がローラ45の回転中心と略同一の高さに配置されるので、閉塞壁76aの上端がローラ45の回転中心より高い位置に配置される場合と比べて、本体ケーシング11内のスペースを有効に利用できる。
【0080】
また、本実施形態の空調室内機10では、ブラシ70が、回転可能であり、断面が略円形状を呈するので、回転可能なブラシ70によって、フィルタ81から塵埃を除去することができる。
【0081】
また、本実施形態の空調室内機10では、閉塞壁76aがフィルタ81の幅方向に沿って配置されているため、閉塞壁76aに対向する位置にあるフィルタ81の面の全域にわたって空気が流れ難くなる。これにより、ブラシ70に付着した塵埃が熱交換器13に向かって流れるおそれを低減することができる。
【0082】
また、本実施形態の空調室内機10では、フィルタ81とブラシ70の毛70bとの接触部89より上方においてフィルタ81と交差する方向に延びる閉塞部材35が、ケーシング11の内周面とフィルタ81との間に、フィルタ81の幅方向に沿って配置されることで、ブラシ70の毛70bとフィルタ81との接触部89に形成される隙間に空気が流れ難くなる。このため、ファン14によって室内空気を熱交換器13に向かわせる空気流れが形成されたときに、ブラシ70に塵埃が付着していても、ブラシ70の毛70bとフィルタ81との接触部89に形成される隙間が、ブラシ70に付着した塵埃を熱交換器13に向かって流す塵埃のバイパス経路となるおそれを低減することができる。この結果、熱交換器13に塵埃が付着するおそれを低減することができる。したがって、熱交換器13が汚れるおそれを防止することができる。また、この空調室内機10では、閉塞壁76aがダストボックス73と一体に形成されるので、閉塞壁76aがダストボックス73と別体に形成される場合と比べて、ファン14によって室内空気を熱交換器13に向かわせる空気流れが、ブラシ70の毛70bとフィルタ81との接触部89に向かって、閉塞壁76aとダストボックス73との間の隙間から流入するのを防止できる。したがって、熱交換器13が汚れるおそれを防止することができる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0084】
本実施形態の空気調和機では、フィルタ81が環形状に成形されているが、フィルタが環形状に成形されておらず、フィルタが支持枠に固定されたものでもよい。
【0085】
本実施形態の空気調和機では、吸込口19が天面部11aだけに配置されているが、吸込口が天面部11a及び前面パネル11bの上部に配置されてもよいし、前面パネル11bの上部だけに配置されてもよい。