(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車等の電気車両を走行駆動するための動力源として用いられる電気モータ等を駆動する高電圧直流電源として、複数の電池セルを直列に接続した組電池が樹脂等で作られる容器に封入された電池パックが用いられている。この様な電池パックを備えた電気車両の高電圧回路は、グランドである車両ボディ等から絶縁されている。
【0003】
しかし、電池パックの材質老朽化、傷、破損及び付着物などによって、電池パックが絶縁劣化した場合、他の機器に対して不要な高電圧を印加してしまい、その機器を破損させる等の問題がある。
【0004】
これを防止するために、電池パックの絶縁抵抗を測定する回路が必要とされている。
このため従来は、電池パックの給電線を車両ボディから直流的に完全に絶縁することができる交流方式の漏電検出装置が提案されている。
【0005】
図4は、従来の漏電検出装置を示す構成図である。
図4の電池パック406は、電池セル401a〜401dを直列に接続して構成される組電池402を備えている。そして、電池パック406は、組電池402とグランドである車両ボディとの間に絶縁部位があり、その絶縁部位に付随する絶縁抵抗403と浮遊容量404を備えることになる。漏電検出装置411は、交流電流を発生する交流電源408と、漏電検出装置411と電池パック406を絶縁して、交流電源408から交流電流を電池パック406に送り込むコンデンサ407と、漏電電流を測定する電流計409と、制御部410とで構成される。そして、制御部410は、電流計409で検出された漏電電流と、交流電源408の交流電圧から、電池パック406の漏電アドミタンス405を算出する。さらに、制御部410は、漏電電流と、交流電源408の交流電圧との位相差と、漏電アドミタンス405の絶対値から、漏電アドミタンス405の実数部である抵抗成分を算出する。これにより、制御部410において、算出した抵抗成分と抵抗成分の漏電基準値との比較を行うことで、電池パック406の漏電を検出している。
【0006】
さらに、特許文献1では、2本の給電線と車両ボディとの間を直流的に遮断する2個のコンデンサを有し、地落の発生に伴いインピーダンスが変化する回路網を構成する。この回路網に生じたインピーダンスの変化を検出することで、漏電を検出することが記載されている。
【0007】
このように、従来はコンデンサを用いることで、電池パックを車両ボディから直流的に絶縁している。
また、漏電検出装置に関する技術に関しては、下記の特許文献1等に開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態の漏電検出装置について説明する。
[実施形態]
実施形態の漏電検出装置について説明する。
【0014】
図1は、実施形態の電池パック、バランス回路及び漏電検出装置の構成図である。
以下の説明では、電池セルを4個直列に接続した組電池を有する電池パックを例として説明する。また、電池パックがハイブリッド車や電気自動車等の電気車両に搭載されていることを例として説明する。また、
図1においてグランドは車両ボディに接続されているものとする。なお、実用に際しては、任意の個数の電池セルを用いて、下記の実施形態の構成を適用すると良い。
【0015】
電池パック106は、組電池102と、漏電アドミタンス105と、を備えて構成される。
また、バランス回路112は、メインスイッチ107と、コア108と、一次巻線109と、セル側二次巻線110a〜110dと、セルスイッチ111a〜111dと、を備えて構成される。
【0016】
さらに、漏電検出装置124は、電流検出回路116と、電圧検出回路121と、制御部122と、記憶部123と、を備えて構成される。
電池セル101a〜101dには、リチウムイオン電池、鉛電池、ニッカド電池及びニッケル水素電池等の蓄電池を採用することができる。
【0017】
組電池102は、電池セル101a〜101dを直列に接続して構成され、電気車両の駆動源である高電圧直流電源として用いられている。また、組電池102は、端子A、A’の接続先が図示しないシステムメインリレー等(以下、SMRという。)で切替えられ、電気モータ等の負荷、または、充電器に接続されている。そして、組電池102は、負荷に接続されているときに充放電し、充電器に接続されているときに充電される。また、組電池102は、漏電検出を行なう場合、SMRにより負荷及び充電器との組電池102の接続を遮断する。
【0018】
絶縁抵抗103a〜103dは、各電池セル101a〜101dとグランドである車両ボディとの間の電池パック106の絶縁部材及び電池パック106と車両ボディとの間の空間である絶縁空間等の絶縁部位の等価抵抗である。この絶縁抵抗103a〜103dの抵抗値は、通常は非常に高く、組電池102と車両ボディとを絶縁している。しかし、電池パック106の材質老朽化、傷、破損及び付着物などによって、電池パック106が絶縁劣化すると、絶縁抵抗103a〜103dの抵抗値が低くなることが知られている。そして、電池パック106の絶縁劣化が進行すると、組電池102から車両ボディに漏電電流が流れることがある。
【0019】
浮遊容量104a〜104dは、各電池セル101a〜101dとグランドである車両ボディとの間の絶縁部位の等価的な静電容量である。なお、この浮遊容量104a〜104dは、電池パック106の絶縁劣化等により、容量が変化することが知られている。
【0020】
漏電アドミタンス105は、絶縁抵抗103a〜103d及び浮遊容量104a〜104dの合成アドミタンスである。
電池パック106は、組電池102を樹脂等の容器に封入して構成される。これにより、樹脂等の容器を絶縁部材として、組電池102と車両ボディとの間の絶縁を保っている。なお、漏電アドミタンス105は、上記で述べたように、この電池パック106の絶縁部材と、電池パック106と車両ボディとの間の空間である絶縁空間とからなる絶縁部位の形状及び劣化の度合いによって値が変化することになる。
【0021】
メインスイッチ107には、例えば、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチ等を採用することができる。また、メインスイッチ107は、一次巻線109に直列に接続されている。そして、メインスイッチ107は、制御部122から入力されるスイッチング信号に基づいて、オンオフを周期的に切替える動作(以下、スイッチングという。)をする。これにより、組電池102から一次巻線109に交流電流を供給する。また、メインスイッチ107は、制御部122からのオンオフ信号により、常にオン状態及び常にオフ状態(以下、オン状態及びオフ状態という。)を切替える。なお、耐圧がほしい場合には、電磁リレー等の公知のスイッチを採用しても良い。
【0022】
コア108には、例えば、鉄やフェライトなどの強磁性またはフェリ磁性の素材を採用することができる。そして、コア108には、一次巻線109、セル側二次巻線110a〜110d、電流計側二次巻線113及び電圧計側二次巻線117が巻き回されている。すなわち、一次巻線109、セル側二次巻線110a〜110d、電流計側二次巻線113及び電圧計側二次巻線117はトランス結合されていることになる。なお、用途によって、空芯コイルで足りる場合には、このコア108を省略しても良い。この場合にも、一次巻線109、セル側二次巻線110a〜110d、電流計側二次巻線113及び電圧計側二次巻線117がトランス結合されるように構成する。
【0023】
一次巻線109は、例えば、銅線等の電線を巻き回すことで構成される。そして、一次巻線109は、組電池102の両端に接続されており、メインスイッチ107がスイッチングされることにより、組電池102から交流電流が供給される。なお、一次巻線109には、上記の構成以外にも、適宜公知のコイルを用いても良い。
【0024】
セル側二次巻線110a〜110dは、例えば、銅線等の電線を巻き回すことで構成される。また、セル側二次巻線110a〜110dは、それぞれ同じ巻数である。そして、セル側二次巻線110a〜110dは、各電池セル101a〜101dの両端に並列に接続されている。これにより、セルスイッチ111a〜111dをオン状態にし、かつ、組電池102から一次巻線109に交流電流を供給した時に、セル側二次巻線110a〜110dは電磁誘導され、組電池102の電力を各電池セル101a〜101dに供給することができる。
【0025】
また、各電池セル101a〜101dの電圧(以下、セル電圧101A〜101Dという。)は、組電池102の電圧よりも低い。このため、セル側二次巻線110a〜110dの巻数は、一次巻線109よりも少ない巻数として、電池セル101a〜101dの充電に適した電力を供給するように調整されている。
【0026】
なお、セル側二次巻線110a〜110dには、上記の構成以外にも、適宜公知のコイルを用いても良い。さらに、必要に応じてセル側二次巻線110a〜110dの巻数をそれぞれ異ならせても良い。また、電池セル101a〜101dの充電に適した電圧を得られるのであれば、セル側二次巻線110a〜110dの巻数を、一次巻線109よりも多くしても良い。
【0027】
セルスイッチ111a〜111dは、例えば、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチ等で構成される。そして、セルスイッチ111a〜111dは、電池セル101a〜101dと、それぞれに対応するセル側二次巻線110a〜110dとの間に接続される。また、セルスイッチ111a〜111dは、制御部122からのオンオフ信号により、そのオン状態及びオフ状態を切替えられる。これにより、組電池102から一次巻線109と、各セル側二次巻線110a〜110dとを介して、各電池セル101a〜101dに電力を供給するか否かを選択することができる。なお、耐圧が必要な場合には、電磁リレーを用いても良い。
【0028】
バランス回路112は、メインスイッチ107と、コア108と、一次巻線109と、セル側二次巻線110a〜110dと、セルスイッチ111a〜111bと、を備えて構成される。
【0029】
ここで、バランス回路112を用いたセル電圧101A〜101Dの均等化について説明する。まず、セル電圧101A〜101Dの均等化を行なうときに、制御部122は、セルスイッチ111a〜111dをオン状態にし、メインスイッチ107をスイッチングさせる制御をする。これにより、バランス回路112の一次巻線109に交流電流が供給され、これに伴いセル側二次巻線110a〜110dが電磁誘導される。この電磁誘導によりセル側二次巻線110a〜110dに発生する誘導電流を、図示しない整流回路及び平滑回路を介して、各電池セル101a〜101dに供給する。これにより、各電池セル101a〜101dは充電されることになる。
【0030】
そして、セル側二次巻線110a〜110dが電磁誘導されることにより発生する誘導電流の大きさは、各セル電圧101A〜101Dの高さに反比例する。したがって、電池セル101a〜101dの中でセル電圧が低い電池セル程大きな電力が供給されることになる。逆に、電池セル101a〜101dの中でセル電圧が高い電池セル程小さい電力が供給されることになる。この動作を継続することで、セル電圧101A〜101Dが均等化されることになる。
【0031】
電流計側二次巻線113は、例えば、銅線等の電線を巻き回すことで構成される。そして、電流計側二次巻線113は、交流電源114が直列に接続されており、交流電源114から交流電流が供給されると、一次巻線109を電磁誘導させ、誘導電流として交流電流を電池パック106に送り込む。すなわち、電流検出回路116と電池パック106とを直流的に絶縁した状態で、電流のやり取りを可能としている。なお、電流計側二次巻線113には、上記の構成以外にも、適宜公知のコイルを用いても良い。また、電流計側二次巻線113の巻数は、一次巻線109の巻数に応じて任意の巻数を選択すれば良い。
【0032】
交流電源114は、公知の交流電源を採用できる。そして、制御部122から出力動作信号が入力されると、交流電流を電流計側二次巻線113に供給する。
電流計115は、車両ボディと交流電源114との間に接続され、公知の電流計を採用することができる。そして、漏電アドミタンス105に流れる漏電電流の電流値ΔIを測定する。
【0033】
電流検出回路116は、電流計側二次巻線113と、交流電源114と、電流計115と、を備えて構成される。また、電流検出回路116は、グランドである車両ボディと接続されている。そして、電流検出回路116は、交流電源114から電池パック106に交流電流を送り込み、漏電アドミタンス105と車両ボディを流れた電流を漏電電流として電流計115で測定する。また、測定した電流値ΔIを制御部122に出力する。
【0034】
電圧計側二次巻線117は、例えば、銅線等の電線を巻き回すことで構成される。そして、電圧計側二次巻線117は、交流電源114から出力され、電流計側二次巻線113を流れる交流電流により電磁誘導され、誘導電圧を発生する。なお、電圧計側二次巻線117には、上記の構成以外にも、公知のコイルを用いても良い。また、電圧計側二次巻線117の巻数は、一次巻線109及び電流計側二次巻線113の巻数に応じて任意の巻数を選択すれば良い。
【0035】
整流回路118は、例えば、ダイオード等の半導体素子で構成される。そして、整流回路118は、電圧計側二次巻線117が電磁誘導されることで発生する誘導電圧を整流する。なお、
図1では、簡略して示しているが、適宜公知の整流回路を用いても良い。
【0036】
平滑回路119は、例えば、コンデンサ等で構成される。そして、整流回路118で整流された、誘導電圧を平滑している。なお、
図1では、簡略して示しているが、適宜公知の平滑回路を用いても良い。
【0037】
電圧計120は、公知の電圧計を採用することができる。そして、電圧計120は、電圧計側二次巻線117に並列に接続され、整流回路118と平滑回路119を介して印加される誘導電圧の電圧値ΔVを測定する。また、測定した電圧値ΔVを制御部122に出力する。
【0038】
電圧検出回路121は、電圧計側二次巻線117と、整流回路118と、平滑回路119と、電圧計120と、を備えて構成される。また、電圧検出回路121は、グランドである車両ボディと接続されている
制御部122には、例えば、ECU(Electronic Control Unit)等のワークスペースとしてメモリを搭載するコンピュータを採用することができる。
【0039】
そして、制御部122は、漏電検出を開始することを示す信号(以下、制御開始信号という。)が入力されたことをトリガとして、漏電検出の開始を決定する。なお、制御開始信号は、図示しない入力部を用いてユーザが入力する等、任意の構成で入力されると良い。また、制御部122が漏電検出の開始を決定する別の構成としては、ECUのクロックをカウントして一定時間おきに漏電検出を開始するように設定しても良い。以上の構成に限らず、必要なタイミングで制御部122が漏電検出を開始するように設定すると良い。
【0040】
また、制御部122は、漏電検出の開始を決定すると、メインスイッチ107にオンオフ信号を出力して、メインスイッチ107をオン状態にする。また、制御部122は、セルスイッチ111a〜111dにオンオフ信号を出力して、セルスイッチ111a〜111dをオフ状態にする。さらに、図示しないシステムメインリレーをオフ状態にして、組電池102を負荷及び充電器から遮断する。このときの電池パック、バランス回路及び漏電検出装置の等価回路を
図2に示す。なお、
図2では、絶縁抵抗103a〜103dを合成して絶縁抵抗103としている。また。
図2では、浮遊容量104a〜104dを合成して浮遊容量104としている。
【0041】
さらに、交流電源114に出力動作信号を出力して、交流電源114から交流電流を出力させる。
そして、制御部122は、上記の制御の結果、電流計115で測定される電流値ΔIと、電圧計120で測定される電圧値ΔVを取得する。この電流値ΔI及び電圧値ΔVの取得は、それぞれの値が電流計115及び電圧計120で測定されたときに、自動的に送信されて取得しても良いし、必要に応じて制御部122が取得要求を出力することで取得するようにしても良い。
【0042】
さらに、制御部122は、記憶部123に記憶された、漏電電流の上限値Imと電流値ΔIを比較する。その結果、電流値ΔIが上限値Imより小さい場合、制御部122は、電池パック106が漏電していないと判断する。逆に、電流値ΔIが上限値Im以上である場合、制御部122は、電池パック106が漏電している可能性があると判断する。
【0043】
また、制御部122は、記憶部123に記憶された、誘導電圧の上限値Vmと電圧値ΔVを比較する。その結果、電圧値ΔVが上限値Vmより低い場合、制御部122は、電池パック106が漏電していないと判断する。逆に、電圧値ΔVが上限値Vm以上である場合、制御部122は、電池パック106が漏電している可能性があると判断する。
【0044】
そして、制御部122は、電流値ΔIが上限値Im以上であり、かつ、電圧値ΔVが上限値Vm以上である場合に、電池パック106が漏電していると判断する。また、それ以外の場合には、電池パック106は漏電していないと判断する。
【0045】
制御部122は、電池パック106が漏電していると判断すると、図示しない表示装置、通信装置またはスピーカ等に漏電を通知するための信号を出力して、ユーザに電池パック106の漏電を通知する。
【0046】
図1の記憶部123には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を採用することができる。この記憶部123には、OSのプログラムやアプリケーションのプログラムが記憶されている。また、記憶部123には、制御部122の処理に必要な各種データが記憶されている。この各種データには、上限値Im及び上限値Vmの値が含まれている。なお、上限値Imと上限値Vmは、それぞれ電流値ΔIと電圧値ΔVがそれ以上の値になると漏電していると判断するための値である。また、上限値Imと上限値Vmは、実験により定められ、電池パック106の構成及び設置のしかたにより、適切な値が記憶されているものとする。
【0047】
漏電検出装置124は、電流検出回路116と、電圧検出回路121と、制御部122と、記憶部123と、を備えて構成される。そして、漏電検出装置124は、トランスにより電池パック106と直流的に絶縁された状態で、電池パック106の漏電を検出する。
【0048】
次に、実施形態の漏電検出装置の動作を説明する。
図3は、実施形態の漏電検出のフローチャートである。
以下の説明においては、漏電を検出することを前提として説明する。したがって、バランス回路のスイッチ及びSMRのオンオフ状態は、
図2の等価回路を構成するように設定されているものとする。具体的には、制御部122が漏電検出を開始すると判断し、メインスイッチ107をオン状態とし、セルスイッチ111a〜111dをオフ状態とし、SMRをオフ状態としている状態である。
【0049】
まず、制御部122は、出力動作信号を交流電源114に出力する。すると、交流電源114は、交流電流を出力して、電流計側二次巻線113に交流電流を供給する。この電流計側二次巻線113を流れる交流電流により、一次巻線109が電磁誘導されて、誘導電流が発生する。これにより、電池パック106と車体ボディの間の絶縁部位の絶縁特性が劣化している場合には、漏電電流が漏電アドミタンス105と車体ボディとを介して流れて電流計115で電流値ΔIが測定されることになる(S301)。そして、電流値ΔIが測定されると、電流計115は、制御部122に測定した電流値ΔIを送信する。
【0050】
制御部122は、電流値ΔIが入力されると、記憶部123に記憶されている上限値Imを取得して、電流値ΔIが上限値Im以上であるか否かを判断する(S302)。その結果、電流値ΔIが上限値Im以上である場合(S302にてYes)には、電池パック106に漏電の可能性があるとして、S303に移行する。
【0051】
そして、制御部122は、電圧計120で測定された、電圧値ΔVを取得する(S303)。
この電圧値ΔVを取得すると、記憶部123に記憶されている上限値Vmを取得して、電圧値ΔVが上限値Vm以上であるか否かを判断する(S304)。
【0052】
その結果、電圧値ΔVが上限値Vm以上である場合(S304にてYes)には、電池パック106が漏電していると判断する(S305)。
また、制御部122は、図示しない表示装置、通信装置またはスピーカ等に漏電していることを示す信号を出力して、ユーザに電池パック106の漏電を通知する(S306)。そして、一連の動作を終了する。
【0053】
また、S302において、上限値Imより電流値ΔIが小さい場合(S302にてNo)、制御部122は、電池パック106が漏電していないと判断する(S307)。そして、一連の動作を終了する。
【0054】
また、S304において、上限値Vmより電圧値ΔVが小さい場合(S304にてNo)、制御部122は、電池パック106が漏電していないと判断する(S307)。そして、一連の動作を終了する。
【0055】
上記の動作フローでは、先に電流値ΔIと上限値Imの大きさを判断したが、先に電圧値ΔVと上限値Vmの大きさを判断しても良い。すなわち、S301、S302とS303、S304の順序を入れ替えても良い。
【0056】
以上のように、漏電検出装置124と電池パック106をトランス結合して、漏電検出装置124の交流電源114から電池パック106に交流電流を送り込むことで、漏電を検出するようにした。これにより、電池パック106とグランドである車両ボディを直流的に絶縁することができる。
【0057】
また、電池パック106に交流電流を送り込むための一次巻線109を、トランス方式のバランス回路の一次巻線と共用とした。これにより、バランス回路と漏電検出装置を搭載する際に、回路規模を小さくすることができる。
【0058】
また、電流値ΔIにベクトル演算を用いることで、浮遊容量104の影響を取り除いた後に、S302の判断を行なっても良い。これにより、より正確な漏電検出判断ができるようになる。
【0059】
また、電流検出回路116と電圧検出回路121との検出結果を用いて、相補的に漏電検出の判断をするようにしたので、高精度で絶縁抵抗の劣化を検知することが可能である。
【0060】
また、制御部122が、交流電源114の交流電圧の電圧値を取得するようにしても良い。そして、制御部122において、取得した漏電電流の電圧値ΔIと、交流電源114の交流電圧の電圧値とから、電池パック106の漏電アドミタンス105を算出する。さらに、制御部122において、取得した漏電電流の電圧値ΔIの位相と、交流電源114の交流電圧の電圧値の位相から位相差を取得する。そして、算出した位相差と、漏電アドミタンス105の絶対値から、漏電アドミタンス105の実数部である抵抗成分を算出しても良い。これにより、制御部122において、算出した抵抗成分と、予め実験により定められ、記憶部123に記憶されている抵抗成分の漏電基準値との比較を行うことで、電池パック106の漏電を検出しても良い。