【実施例】
【0022】
図1に示す第1実施例における本発明の外装構造は、瓦屋根を部分的(略矩形状領域)に取り外して前記略矩形状領域1A内に太陽電池システム(外設構造)を構築したものであり、
図2(a)〜(d)、及び
図3(a)〜(d)に示す手順にて施工されるものである。
なお、この第1実施例に防水層として用いた縦葺き外装材(以下、単に外装材という)3、保持部材4、カバー材5、取付金具6、持出金具7A、横桟材8、被覆材2Eについては、
図4に拡大して示した。
【0023】
まず、第1の工程として、
図2(a)及び
図3(a)に示すように予め取り付ける外設部材(太陽電池パネル)9の寸法に応じて略矩形状領域を設定し、該領域内に存在する屋根材(屋根瓦)2を取り外して下地1を平面視略矩形状1Aに露出させ、屋根材(屋根瓦)2を撤去した領域を新設の縦桟2C、横桟2Bで区切っている。
この第1実施例における既設屋根は、所定間隔にて配された垂木(角材)1b上に所定厚みの野地板(合板)1cが敷設され、該野地板1c上にアスファルトルーフィング1dが敷かれた構成の下地1の上に、瓦屋根が葺かれたものである。この瓦屋根は、前記下地1の上に、屋根材(屋根瓦)2が敷設されたものである。
【0024】
次に、第2の工程として、
図2(b)及び
図3(b)に示すように露出させた下地1A上に、防水層として面板部31の両端を立ち上げた外装材3を、下地1A上に固定具4Bにて固定した保持部材4に保持させた状態で敷設し、その接続部(立ち上げ部32,32)を覆うようにカバー材5を弾性嵌合させて取り付ける。
前記外装材3は、
図4(a)に示すように略平坦状の面板部31の両端を上方へ立ち上げた(立ち上げ部32,32)簡易な構成である。なお、前記略矩形状領域1A内の最側端に配置された外装材3',3"には、領域の側端に配した新設の縦桟2Bの側面から上面を被覆する略段状の覆い部33を設けた。また、瓦屋根の裏面側への雨水の浸入を防止するため、略角柱状の止水材2Dを前記縦桟2Bの上面に配し、更に
図4(e)に示す被覆材2Eを配した。前記止水材2Dは、縦桟2Bと屋根材2の空間を塞いで止水し、更にそれにより、屋根材2自体が安定支持され、雨仕舞が高められる効果もある。
また、前記保持部材4は、下地1A上に沿わせる固定片41と略鉛直状の縦片42とその上端を左右に折り曲げて外装材3の立ち上げ部32,32の上端を外側から覆う保持片43,43とを備える。なお、この保持片43の前後の端縁には、外側へ広がるように成形され、後述するカバー材5の嵌合部52を嵌め付ける被嵌合部44をも兼ねている。
さらに、前記カバー材5は、略傘状の被覆部51の下端に内側へ略く字状に成形された嵌合部52が設けられた構成であり、前記保持部材4の被嵌合部44に弾性嵌合する構成である。
また、この第2の工程では、前記略矩形状領域内の最側端に位置する外装材3の接続部(立ち上げ部32,32)に逆T字状の取付金具6,6を下地1A上に固定した。この取付金具6は、
図4(b)に示すように略水平状の横片61と略鉛直状の縦片62とからなり、横片61を固定具6bにて下地1A上に固定するものであり、縦片62はその配設状態においてカバー材5の頂部を突き抜けて上方へ延在している。
【0025】
続いて
図2(c)及び
図3(c)に示すように外装材3の接続部(立ち上げ部32,32)に持出金具7Aを取り付けるが、この第1実施例では、前記略矩形状領域1A内の最側端に位置する外装材3の接続部(立ち上げ部32,32)にそれぞれ取付金具6を固定したので、この取付金具6,6にそれぞれ持出金具7Aを取り付ける。
この持出金具7Aは、
図4(b)、(c)に示すように中央に溝部731を備える支持部73を上端に備え、左右に垂下片74,74を備え、該垂下片74,74の対向間隔に前記取付金具6の縦片62が位置するように配設すると共にボルト7dナット7eにて連結し、さらにその対向間隔には、不定形の止水材7hを充填した。この止水材7hは、
図2(c)における拡大断面図及び
図4(b)以外では、見易さを考慮して敢えて記載を省略したが、前述のように取付金具6の縦片62がカバー材5の頂部を突き抜けて上方へ延在しているため、該突き抜け部分からの雨水の浸入を防止するものである。
なお、この持出金具7Aの溝部731には、頭部を下にした六角ボルト7fがその水上側端部と水下側端部との2箇所に取り付け保持されている。
【0026】
さらに、第3の工程として、
図2(d)及び
図3(d)に示すように複数の持出金具7Aに架け渡すように横桟材8を配設するが、この第1実施例では、取り付ける太陽電池パネル9の桁行き方向長さと略等しい長さの横桟材8を取り付ける。
この横桟材8は、
図4(d)及び
図5(a)に示すように略中央の突状部上端に上方が開放する溝部81が長さ方向に亘って設けられ、前記突状部の水上側及び水下側に後述する太陽電池パネル1のフレーム材を載置状に支持する略段状の支持部82,82が設けられ、更にその外側に略J字状に成形された固定部83,83が設けられ、この固定部83,83には上方が開放する溝状の係合部831が設けられている。そして、前記持出金具7Aの溝部731に保持された六角ボルト7fには、該六角ボルト7fの雄螺子部分を挿通させる孔とフック状の係止部を備える固定金具8Bが取り付けられ、該固定金具8Bのフック状の係止部を前記横桟材8の係合部831に係合させた状態でナット7gを締め付けることにより、六角ボルト7fの頭部が溝部831に係止されると共に、前記持出金具7Aの支持部73にこの横桟材8の固定部83,83が一体的に固定される。
なお、この横桟材8の溝部81には、頭部を下にした六角ボルトである取付ボルト8cが取り付け保持されている。
【0027】
最後に第4の工程として、
図1(a)、(b)に示すように前記横桟材8,8間に太陽電池パネル9を外設部材として取り付けて外設構造を構築する。
この太陽電池パネル9は、略矩形状の側周縁にフレーム材9Bを一体的に周設してなる構成であって、前記横桟材8の溝部81に保持させた取付ボルト8cの雄螺子部分に、
図5(b)に示す逆ハット状の押さえ材9Cを挿通させ、該押さえ材9Cにて隣接する太陽電池パネル9,9の端縁を上方から押さえた状態で、上方からナット8dを締め付けることにより、取付ボルト8cの頭部が溝部81に係止されると共に、前記横桟材8に前記押さえ材9Cが上方から押さえ付けるように一体化し、それによりこの太陽電池パネル9,9が一体的に固定される。なお、図示実施例では、前記押さえ材9Cの水下側端部から前記持出金具7Aへの前記横桟材8の固定部分を覆う略階段状の化粧材9Dが取り付けられている。
前記太陽電池パネル9における太陽電池としては、多結晶,単結晶,アモルファス等、どのようなものを用いてもよい。
【0028】
以上の各工程からなる本発明の第1実施例の施工法は、瓦屋根を部分的(略矩形状領域1A)に取り外して前記略矩形状領域1A内に太陽電池システム9を外設部材として取り付けるものであって、瓦屋根上に載置しないため、平面高さを低く抑えることができ、外設構造の表面を瓦屋根の表面と略同一高さに形成することもでき、外設構造が風雨の抵抗となることがなく、台風等の強風や突風にて吹き飛ばされる恐れもない。
また、前記第1〜第4の何れの工程も、特殊な部材や装置を用いることなくそれぞれ容易に施工できるので、極めて作業性も高いものである。
さらに、前記第1の工程で取り外さない屋根材(屋根瓦)2には、全く負担を与えることがない。
また、各種仕様の異なる瓦屋根にも適用でき、仮に既設の縦桟や下地に破損等があったとしても前記第2の工程にて補修しつつ縦葺き外装材を取り付けることができ、どのような仕様の太陽電池パネルの外設構造をも構築することができる。
【0029】
図6に示す第2実施例では、前記第1実施例と同様の持出金具7Aに直接的に横桟材8を取り付けるのではなく、前記持出金具7Aに
図5(e)に示すL字材7Cを介して
図5(d)に示す縦桟材7Bを固定し、該縦桟材7Bの長さ方向の任意の位置に前記第1実施例と同様の横桟材8及び太陽電池パネル9を取り付けるようにした構成であり、それ以外の構成は前記第1実施例とほぼ同様であるから、同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
この第2実施例に用いられた縦桟材7Bは、側方が開放する側方調整溝75と、上方が開放する上方調整溝76とを備える断面略矩形状であり、各調整溝75,76内には、それぞれ六角ボルトである連結具7i,7fの頭部が嵌合保持されることにより、各連結具7i,7kは長手方向に摺動可能である。
各調整溝75,76の横幅は、各連結具7i,7fの頭部の頂面の対向角を結ぶ長さより小さく、且つ対向辺間の距離よりも大きく形成されているので、各連結具7i,7kの頭部が各調整溝75,76内に嵌合保持され、しかも締め付け時に回転することなく保持されている。また、調整溝75,76から、連結具7i,7fの頭部を陥入可能な溝幅に対し、その開放幅は連結具7i,7fの頭部より小さく、且つ連結具7i,7fの脚部分(雄螺子部分)の太さより大きく形成されているので、例えば摺動時などに頭部が脱落することがない。
そして、連結具7i,7fの脚部分(雄螺子部分)には締め付けナットである締着具7j,7gを螺着して締め付けることにより、任意の位置にて調整して留め付けることができる。なお、これらの機構は、前記横桟材8の溝部81と取付ボルト8c(ナット8d)についても同様であり、長さ方向に連続状に形成された溝部内に嵌合させた状態で調整でき、任意の位置にて締め付け固定することができるので、長さ方向の調整機構として有効である。
【0031】
この第2実施例における瓦屋根への太陽電池パネル9の取付方法も前記第1実施例とほぼ同様であるが、前述のように第1実施例と異なる構成も採用しているので、その縦桟材7B、L字材7Cを用いた手順を以下に示す。
まず、下地の略矩形状領域1Aを露出させる第1の工程、露出させた下地1A上に、防水層として外装材3を取り付け、外装材3,3の接続部に、取付金具6を固定し、該取付金具6に持出金具7Aを固定する第2の工程までは、前記第1実施例と全く同様に行うものである。
【0032】
第3の工程としては、前記第1実施例では、複数の持出金具7Aに架け渡すように横桟材8を配設したが、この第2実施例では、各持出金具7Aにピース材であるL字材7Cを固定(連結具7k、締着具7l)し、更に縦桟材7Bを架け渡して固定(連結具7i、締着具7j)する。その際、予め各持出金具7Aの取付以前にL字材7Cを固定しておいてもよい。
なお、この状態で、締着具7jを緩めることにより長さ方向の任意の位置に縦桟材7Bを(微)調整することもできる。
【0033】
その後、固定した縦桟材7Bに対し、横桟材8を取り付けるのであるが、取付方法自体は前記第1実施例と全く同様であり、縦桟材7Bの上方調整溝76に保持された六角ボルト7fに、フック状の係止部を備える固定金具8Bが取り付けられ、該固定金具8Bのフック状の係止部を前記横桟材8の係合部831に係合させた状態でナット7gを締め付けることにより、六角ボルト7fの頭部が上方調整溝76に係止されると共に、前記縦桟材7Bの上面にこの横桟材8の固定部83,83が一体的に固定される。
なお、この状態で、ナット7gを緩めることにより縦桟材7Bの長さ方向の任意の位置に横桟材7Aを(微)調整して固定することもができる。
【0034】
続いて第4の工程として、前記第1実施例と全く同様に横桟材8,8間に太陽電池パネル9を外設部材として取り付けて外設構造を構築する。
【0035】
このように施工される第2実施例では、持出金具7Aに直接的に横桟材8を取り付けるのではなく、長さ方向の調整機構(側方調整溝75、上方調整溝76)を備える縦桟材7Bを介して取り付ける構成であるため、広い面積に亘って太陽電池システム(外設構造)を構築する場合に好適である。