(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非冷却マイクロボロメータを製造する際に使用するシリコン・オン・インシュレーター(SOI)相補型金属酸化物半導体(CMOS)ウェーハであって、前記SOI−CMOSウェーハは、
基板層;
前記基板層上に形成された絶縁層であって、ピクセル領域と、該ピクセル領域を囲む壁領域とを有する絶縁層;
前記絶縁層の前記ピクセル領域上に形成されたピクセル構造体であって、前記絶縁層の前記ピクセル領域上に形成された複数のダイオード、及び複数のダイオードにわたって形成されるとともに前記複数のダイオードと直列接続している金属層を含み、前記金属層は吸収を改善するための内部反射面として機能するピクセル構造体;
前記ピクセル構造体に隣接して、かつ前記絶縁層の壁領域上に形成された壁構造体;
前記ピクセル構造体と前記壁構造体を被覆する誘電体層;
前記誘電体層内に形成されたピクセルマスクであって、およびドライエッチング工程の間に前記ピクセル構造体を保護するために形成されたピクセルマスク;
および
前記誘電体層内に形成された壁マスクであって、および前記ドライエッチング工程の間に前記壁構造体を保護するために形成され、それによって、前記ドライエッチング工程の後に前記壁構造体と前記ピクセル構造体の間に定義された空間を解放する壁マスクを備えてなるSOI−CMOSウェーハ。
前記傘層の下に、かつ前記ピクセル構造体に隣接して形成された犠牲層であって、前記ドライエッチング工程の前に、前記傘層を支持し、および前記ドライエッチング工程の間に前記傘構造体を保護する犠牲層をさらに含む請求項4記載のSOI−CMOSウェーハ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の様々な特徴の実施形態を実施する装置、システム、方法は、これから図面を参照して記載される。図面および関連する記載は、本発明のいくつかの実施形態を例証するものであって、かつ本発明の範囲を限定するために提供されるものではない。図面全体にわたって、参照符号は、参照要素間の対応を示すために再度使用される。加えて、各参照符号の第1桁は、要素が最初に現われる図を示す。
【0016】
図1は、本発明の実施形態による赤外線検出器ピクセル(100)の上面図を示す。赤外線検知器ピクセル(100)は、マイクロボロメータ焦点面アレイ(FPA)を形成するために繰り返され、かつ配列され得るように、単一の感知ユニットであり得る。赤外線検出器ピクセル(100)は、ピクセル壁(101)、ピクセルアイランド(104)、第1の(右)支持アーム(132)および第2の(左)支持アーム(134)を含み得る。
【0017】
ピクセル壁(101)は矩形状の(例えば、正方形)横断面のフレームを有し得、当該フレームは熱隔離空間(103)を定義する。ピクセルアイランド(104)は、熱隔離空間(103)内に位置づけられるが、ピクセル壁(101)に接触せずに位置づけられ得る。第1の支持アーム(132)および第2の支持アーム(134)は、機械的にピクセル壁(101)の内部とピクセルアイランド(104)を接続し得る。そのため、第1の支持アーム(132)および第2の支持アーム(134)は、熱隔離空間(103)内にピクセルアイランド(104)を掛け得る。
【0018】
熱隔離空間(103)は、隣接する赤外線感知ピクセル(図示されず)と共有され得る、ピクセルアイランド(104)とピクセル壁(101)の間の熱隔離を提供し得る。従って、熱隔離空間(103)は、ピクセルアイランド(104)とピクセル壁(101)の間の熱の移動を防止するか、或いは遅くするのを助け得る。1つの実施形態では、ピクセル壁(101)は、第1の開口と第2の開口をもつスルーウェルを形成し得る。そのため、熱隔離空間(103)は、第1の開口と第2の開口を通って延びるスルースペース(through space)であり得る。他の実施形態では、ピクセル壁(101)は、ただ1つの開口をもつ閉じられたウェルを形成し得る。そのため、熱隔離空間(103)は閉じられた壁のただ1つの開口を通って延びる半スルースペース(semi−through space)であり得る。
【0019】
ピクセルアイランド(104)は熱吸収層(112)およびダイオード群(140)を含み得る。熱吸収層(112)は赤外線(波)を受け取り、赤外線から抽出された熱エネルギーを保存し得る。1つの実施形態では、熱吸収層(112)は、完全にダイオード群(140)を封入し得る。他の実施形態では、熱吸収層(112)は、ダイオード群(140)を実質的に被覆し得る。いかなる場合においても、熱吸収層(112)は受け取られた赤外線の特徴を示す内部温度を有し得る。熱吸収層(112)の赤外線保持特性を向上させるために、チタン、窒化チタン及び/又は他の類似の材料の層が、熱吸収層(112)内に堆積され得る。
【0020】
ダイオード群(140)は1つ以上のダイオードを含み得、その各々は、熱吸収層(112)の内部温度によって制御される、ターンオン電圧を有し得る。1つの実施形態では、ダイオードはそれぞれ、他のダイオードと異なるターンオン電圧を有し得る。別の実施形態では、ダイオードはすべて類似のターンオン電圧を共有し得る。ダイオードのターンオン電圧を変化させることによって、赤外線検出器ピクセル(100)は、入射する赤外線に促進された感受性を提供し得る。ダイオードは様々な構成で配列され得る。1つの実施形態では、例えば、ダイオード群(140)のダイオードはダイオードチェーンを形成するために直列に接続され得る。他の実施形態では、例えば、ダイオード群(140)のダイオードはダイオード網(net)を形成するために並列に接続され得る。
【0021】
図2Aは、本発明の実施形態による赤外線検出器ピクセル(200)の斜視図を示す。赤外線検出器ピクセル(200)は赤外線検出器ピクセル(100)といくつかの交換可能な特徴を共有し得る。さらに、赤外線検出器ピクセル(200)は、赤外線検出器ピクセル(100)のものとは異なる、機能的および構造的特徴を含み得る。検出器ピクセル(200)は4つのピクセル壁を含み得る。しかしながら、赤外線検出器ピクセル(200)の内部構造を例証する目的のために、第1の(右)ピクセル壁(106)、第2の(後)ピクセル壁(107)および第3の(左)ピクセル(108)のみが示されている一方で、第4の(正面)ピクセル壁が省略されている。4つのピクセル壁は、スルーピクセルウェルを形成するために、互いに連結し得る。当該スルーピクセルウェルは、第1の(頂部)開口、第2の(底部)開口、および前記第1の開口と第2の開口の間に位置したスルースペースを定義し得る。
【0022】
ピクセル壁(例えば、第1、第2および第3のピクセル壁(106)、(107)および(108))の各々は、ピクセル壁酸化物層(110)、ピクセル壁絶縁(埋められた酸化物)層(154)、およびピクセル壁基板層(102)を含み得る。随意に、ピクセル壁のそれぞれ(例えば、第1、第2および第3のピクセル壁(106)、(107)および(108))は、読出し回路(図示せず)とダイオード群(140)の間で電気的信号を伝導させるための1つ以上の配線を含み得る。
【0023】
1つの実施形態では、例えば、第1のピクセル壁(106)は、ピクセル壁酸化物層(110)内の第1の読出し配線(124)を封入し得る。
【0024】
他の実施形態では、例えば、第3のピクセル壁(108)は、ピクセル壁酸化物層(110)内の第2の読出し配線(126)を封入し得る。第1の読出し配線(124)および第2の読出し配線(126)は、各々、ディジタル信号、アナログ信号、バイアス信号、入力信号、行選択信号、列選択信号及び/又は、ダイオード群(140)の動作を制御するための信号を搬送するための用いられ得る。第1の読出し配線(124)および第2の読出し配線(126)は、金属−1層、金属−2層及び/又は金属−3層の一部であり得るが、そのおのおのは、銅、金及び/又はアルミニウムなどの導電性の金属を含み得る。
【0025】
赤外線検出器ピクセル(200)はピクセルアイランド(104)を含み得、当該ピクセルアイランド(104)はスルーピクセルウェルの基板層(102)上に掛け得る。それによってピクセル・アイランド(104)はピクセル壁(例えば、第1、第2および第3のピクセル壁(106)、(107)および(108))から熱隔離される。ピクセルアイランド(104)はアイランド絶縁(埋められた酸化物)層(152)、熱吸収層(112)およびダイオード群(140)を含み得る。アイランド絶縁層(152)は、ピクセル壁絶縁層(154)と水平に位置を調整され得る。熱吸収層(112)は、ピクセル壁酸化物層(110)と水平に位置が調整され得、ピクセル壁酸化物層(110)は多数の誘電体層および反射防止層を含み得る。
【0026】
1つの実施形態では、熱吸収層(112)は、ピクセル壁酸化物層(110)と同じ材料で製造され得る。別の実施形態では、熱吸収層(112)は、ピクセル壁酸化物層(110)の材料とは異なる材料で製造され得る。別の実施形態では、熱吸収層(112)は、窒化物材料及び/又は酸化物材料などの誘電材料を含み得る。さらに他の実施形態では、熱吸収層(112)は、チタン材料、窒化チタン材料及び/又は類似した物理的・化学的特性を備えた他の材料などの抗反射材料を含み得る。熱吸収層(112)およびアイランド絶縁層(152)は、一緒にダイオード群(140)を実質的に封入し得る。
【0027】
赤外線検出器ピクセル(100)は、フリップチップ形態で展開され得、アイランド絶縁層(152)は赤外線検出器ピクセル(100)の上側面として配向され得る。従って、アイランド絶縁層(152)は熱吸収層として使用され得る。チタン層、窒化チタン層、類似の物理的及び化学的特性を備えた他の材料による層が、その赤外線保持特性を向上させるために絶縁層(152)上に堆積され得る。
【0028】
ダイオード群(140)は、第1のダイオード(142)、第2のダイオード(144)、第3のダイオード(146)および第4のダイオード(148)などの複数のダイオードを含み得る。各ダイオード(例えば、第1、第2、第3及び第4のダイオード(142)、(144)、(146)および(148))は、熱吸収層(112)の内部温度によって調整可能な、ターンオン電圧を有し得る。しかしながら、各ダイオード(例えば、第1、第2、第3及び第4のダイオード(142)、(144)、(146)および(148))のターンオン電圧は、互いに同じであっても、同じでなくてもよい。一実施形態では、例えば、ダイオードは類似の同一のターンオン電圧を共有し得る。別の実施形態において、例えばダイオードは、様々な進行性のターンオン電圧を有し得る。さらに他の実施形態では、例えば、ダイオードは種々の線形のターンオン電圧を有し得る。
【0029】
第1のダイオード(142)、第2のダイオード(144)、第3のダイオード(146)および第4のダイオード(148)は、各々、アイランド絶縁層(152)と、ピクセル壁の基板層(102)とに垂直なpn接合を有し得る。第1のダイオード(142)、第2のダイオード(144)、第3のダイオード(146)および第4のダイオード(148)は、ダイオードチェーンを形成するために直列に接続され得る。一実施形態では、ピクセルアイランド(104)は複数のダイオード間金属板(122)を含み得る。その各々は、1対のダイオードの反対の結合を接続し得る。
【0030】
ダイオード群(140)間の電気的導通の提供に加えて、ダイオード間金属板(122)は、熱吸収層(112)の一連の内部反射表面として機能し得る。ダイオード(例えば第1のダイオード(142)、第2のダイオード(144)、第3のダイオード(146)及び/又は第4のダイオード(148))のターンオン電圧が、受け取られた赤外線によって直接制御されるのではなく、温度によって制御されるので、さらなる吸収のため、吸収されない赤外線を熱吸収層(112)にもう一度反射させるためにダイオード間金属板(122)を使用することが望まれ得る。代わりに、熱吸収層(112)は、反射された赤外線を熱にさらに変換し得る。1つの実施形態では、ダイオード間金属板(122)は、その反射機能を最大にするために、熱吸収層(112)の水平方向の断面表面全体を被覆するように拡張され得る。
【0031】
ダイオード間金属板(122)によって搬送された電気的信号は、第1の支持アーム(132)及び/又は第2の支持アーム(134)を介して読出し回路に伝達され得る。1つの実施形態では、例えば、第1の支持アーム(132)は、ピクセルアイランド(104)と第3のピクセル壁(108)の間の電気的な結合及び/又は機械的な結合を提供し得る。他の実施形態では、例えば、第2の支持アーム(134)は、ピクセルアイランド(104)と第1のピクセル壁(106)の間の電気的な結合及び/又は機械的な結合を提供し得る。
【0032】
図2Bで示されるように、第1の支持アーム(132)および第2の支持アーム(134)の各々は、ピクセル壁(例えば、第1、第2及び/又は第3のピクセル(106)、(107)、及び/又は(108))およびピクセルアイランド(104)に類似した層を含み得る。1つの実例では、第1の支持アーム(132)および第2の支持アーム(134)は、各々、支持アーム絶縁層(156)を含み得、当該支持アーム絶縁層(156)はアイランド絶縁層(152)およびピクセル壁絶縁層(154)と水平に位置が調整され得る。他の実例では、第1の支持アーム(132)および第2の支持アーム(134)は、各々、支持アーム酸化物(114)を含み得、当該支持アーム酸化物層(114)は、ピクセル壁酸化物層(110)及び熱吸収層(112)と水平に位置が調整され得る。支持アーム酸化物層(114)は、ピクセルアイランド(104)に機械的な支持を提供し得、かつピクセルアイランド(104)とピクセル壁(例えば、第1のピクセル壁(106)及び/又は第3のピクセル壁(108))の間の熱の移動を防止し得る。
【0033】
第1の支持アーム(132)は第1のポリシリコン配線(135)を含み得る。第1のポリシリコン配線(135)は、支持アーム酸化物層(114)によって封止され得る。第1のポリシリコン配線(135)は、ダイオード間金属板(122)と第1のピクセル壁(106)の第1の読み出し配線(124)の間の電気的結合を確立し得る。 第2の支持アーム(134)は第2のポリシリコン配線(137)を含み得る。第2のポリシリコン配線(137)は、支持アーム酸化物層(114)によって封止され得る。第2のポリシリコン配線(137)は、ダイオード間金属板(122)と第1のピクセル壁(106)の第2の読み出し配線(126)の間の電気的結合を確立し得る。他の導電材料が第1の支持アーム(132)及び/又は第2の支持アーム(134)における導電性配線を形成するために使用される一方で、ポリシリコンはその比較的低い導電性のために好ましい。
【0034】
第1の読出し配線(124)に加えて、第1のピクセル壁(106)は第3の読出し配線(164)を含み得る。一般に、第3の読出し配線(164)は第1の読出し配線(124)と類似の信号を伝達し得る。第3の読出し配線(164)は、第1の読出し配線(124)より高い金属層の一部であり得る。そのため、第3の読出し配線(164)は大域的なルーティング(routing)のために使用される一方で、第1の読出し配線(124)は局所的なルーティング及び/又はピクセル間のルーティングに使用され得る。同様に、 第2の読出し配線(126)に加えて、第3のピクセル壁(108)は第4の読出し配線(166)を含み得る。一般に、第4の読出し配線(166)は第2の読出し配線(126)と類似の信号を伝達し得る。第4の読出し配線(166)は、第2の読出し配線(126)より高い金属層の一部であり得る。そのため、第4の読出し配線(166)は大域的なルーティングのために使用される一方で、第2の読出し配線(126)は局所的なルーティング及び/又はピクセル間のルーティングに使用され得る。
【0035】
ここで、ガラス工場において定義されたシリコン・オン・インシュレーター(SOI)相補型金属酸化物半導体(CMOS)ウェーハの使用により、非冷却赤外線検出器(例えば、赤外線検出器ピクセル(100)および(200))を製造するための様々な方法について説明する。SOI−CMOSウェーハはSOI−CMOSプロセスを使用することにより製造され得る。一般に、SOI−CMOSプロセスは、カスタマに特有のまたは包括的仕様であり得る。
【0036】
カスタマに特有のSOI−CMOSプロセスは、特に、その設計目標に基づいた個々のカスタマによって定義され得る。カスタマに特有のSOI−CMOSプロセスは、他のカスタマの設計目標を完了し得るか、或いは完了し得ない。そのため、カスタマに特有のSOI−CMOSプロセスは、典型的には、特定の設計上の規則、プロセスシーケンス及び/又はプロセスパラメータを含んでいる。これらの特有の要件は、SOI−CMOSウェーハを製造するための時間とコストを増加させ得る。さらに、その特有の本質ゆえに、カスタマに特有のSOI−CMOSプロセスにしたがって製造されたSOI−CMOSウェーハは、他の適用によって採用され得ない。したがって、カスタマに特有のSOI−CMOSウェーハの製造コストは一般的に高い。
【0037】
これに対して、包括的なSOI−CMOSプロセス(別名、標準SOI−CMOS)は、1つ以上のガラス工場(例えば、SOI−CMOSウェーハを製造する製造会社)によって定義され、提示され得る。包括的なSOI−CMOSプロセスは、多くのカスタマの設計要件を満たし得る。そのため、包括的なSOI−CMOSプロセスは、典型的には、標準的な設計規則、プロセスシーケンス及び/又はプロセスパラメータを含んでおり、ガラス工場において定義されたSOI−CMOSウェーハを製造するための時間とコストを低減する。さらに、その総括的な本質ゆえに、総括的なSOI−CMOSプロセスにしたがって製造されたSOI−CMOSウェーハは、他の適用によって採用され得る。規模の経済性により、ガラス工場において定義されたSOI−CMOSウェーハ(別名、標準のSOI−CMOSウェーハ)の生産コストは、カスタマに特有のSOI−CMOSウェーハの生産コストよりかなり低い。
【0038】
本明細書に記載された方法は、ガラス工場において定義されたSOI−CMOSウェーハを改良するために2〜3の工程を含み得る。改良は、SOI−CMOSウェーハが非冷却赤外線検出器(例えば、非冷却赤外線検出器ピクセル(100)および(200))の機能的および構造的特徴を組み入れ得る。従来のリソグラフィー工程及び堆積工程と比較すると、前記工程は、コスト効率的であり、かつ容易に実行し得る。なぜなら、比較的高い許容マージン(別名、非臨界性)を有しているからである。有利には、本明細書に記載された方法は、非冷却の赤外線検出器のコストおよび歩留りを著しく改善し得る。
【0039】
一般に、ガラス工場において定義されたSOI−CMOSウェーハは基板層、絶縁層および誘電体層を含み得る。基板層は、絶縁層と誘電体層に構造上の支持を与え得る。絶縁層は基板層上で形成され得、絶縁層は少なくとも1つのピクセル領域および少なくとも1つの壁領域を定義し得る。壁領域は、部分的にまたは完全に、ピクセル領域を囲み得るが、ピクセル領域に接触することなくピクセル領域を囲み得る。そのため、空間がピクセル領域と壁領域の間で定義され得る。
【0040】
設計目標に依存して、ピクセル領域および壁領域は様々な形状を有し得る。1つの実施形態では、例えば、ピクセル領域は矩形状の形状を有し得、壁領域は正方形形状を有し得る。他の実施形態では、例えば、ピクセル領域は円形状の形状を有し得、壁領域は円周の形状を有し得る。さらに他の実施形態では、例えば、ピクセル領域は六角形の形状を有し得、壁領域は六角形のフレーム状の形状を有し得る。
【0041】
誘電体層は絶縁層上に形成され得る。当該誘電体層は、1つ以上のピクセル構造体、壁構体、バイアス回路及び/又は読出し回路を被覆し得、かつ1つ以上のピクセル構造体、壁構体、バイアス回路及び/又は読出し回路を構成するために使用され得る。ピクセル構造体はダイオード群(例えば、ダイオード群(140))を含み得る。ダイオード群は、前述のとおり、ダイオード群(140)に類似した機能的かつ構造的特徴を含み得る。ダイオード群は、1つ以上の不純物添加シリコン材料を含み得る。そして、不純物添加シリコン材料は絶縁層(従って、用語「SOI」)上で形成され得る。
【0042】
誘電体層は多層を含み得る。多層のおのおのは、酸化物材料、窒化物材料及び/又は他の誘電体材料を含み得る。誘電体層は多数のマスク層が埋め込まれ得るのであり、そのおのおのは、1つ以上のポストCMOS正面部エッチング(front ethiching)プロセスから特定の構造体(例えば、ピクセル構造体、壁構造体、バイアス回路または読出し回路)を保護するために指定され得る。マスク層は、金属材料及び/又はポリシリコン材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、マスク層はポリシリコン層及び/又は金属層(例えば、金属−1層、金属−2層及び/又は金属−3層)の一部として形成され得る。同様に、絶縁層は1つ以上のポスト(post)CMOSバックエッチング(back etching)プロセスからすべての構造体を保護するために指定され得る。
【0043】
本明細書に説明されているとおり、ただしいかなる限定規定することなく、SOI−CMOSウェーハの正面は誘電体層の露出面と理解され得る一方で、SOI−CMOSウェーハの背面部は基板層露出面と理解され得る。さらに、水平方向は基板層と平行な方向と理解され得る一方で、垂直方向は基板層に垂直な方向と理解され得る。ポストCMOSバックエッチングは、絶縁層によって終了する背面部のピクセル空間を定義するために基板層の一部を除去するために使用され得る。ポストCMOS正面部エッチングは、誘電体層と絶縁層のいくつかの部分を除去するために使用され得る。典型的には、除去された部分は露出した部分であり、それはマスク層のうちのいずれかによって保護され得ない。ポストCMOS正面部エッチングの後、正面のピクセル空間はピクセル構造体と壁構造体の間で定義され得る。
【0044】
従って、ピクセル構造体は掛けられたピクセルアイランドになり得る。ピクセルアイランドは壁構造体から熱隔離され得る。ピクセルアイランドのための熱隔離を確立した後に、マスク層除去工程は、すべてのマスク層を除去するために行なわれ得る。正面部エッチング及びバックエッチングの両方は垂直エッチングとして分類され得る。なぜなら、正面部エッチング及びバックエッチングはSOI−CMOSウェーハの垂直方向に沿って前進するからである。さらに、バックエッチングは、異方性のシリコンエッチング及び/又は犠牲層エッチングの間の水平方向のエッチングを含み得るが、後のセクションで、より詳細に説明され得る。
【0045】
正面部エッチングはマスク材料ではなく誘電材料をエッチングするドライエッチング液を使用することを含み得る。そのため、正面部エッチングはドライ誘導体エッチングと言われ得る。正面部エッチングは、限定されるものではないが、反応性イオンエッチング(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RIBE)及び/又は化学的に支援されたイオンビームエッチング(CAIBE)を含み得る。
【0046】
バックエッチングは誘電体材料または絶縁体材料(例えば、埋められた酸化物)ではなくシリコン材料をエッチングするエッチング液を使用することを含み得る。形成されるピクセルウェルの種類に依存して、バックエッチングはディープ(deep)ドライシリコンエッチング及び/又は異方性のシリコンエッチングを含み得る。例えば、ディープ(deep)シリコンエッチングはスルーピクセルウェルを形成するために使用され得る一方で、異方性のシリコンエッチングは閉じたピクセルウェルを形成するために使用され得る。
【0047】
ディープ(deep)ドライシリコンエッチングは、スルーピクセルウェルを形成するため、基板層の垂直部を完全に除去する除去するために使用され得る。そのため、絶縁層のピクセル領域は、ディープ(deep)ドライエッチ後に、背面部空間に完全に露出され得る。ディープ(deep)ドライシリコンエッチングは、限定されるものではないが、ディープ(deep)反応性イオンエッチング(DRIE)及び/又は他の種類の垂直シリコンエッチングを含み得る。
【0048】
異方性のシリコンエッチングは、絶縁層のピクセル領域の直接下に位置づけられ、かつ絶縁層のピクセル領域に隣接する基板層の水平方向の部分を部分的に除去するために化学溶液を採用し得る。前記化学溶液は、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)及び/又は水酸化カリウム(KOH)などの様々な化合物を含み得る。基板層の水平方向の部分が除去された後、部分的に囲まれた空胴を備えた閉じたウェルが形成され得る。部分的に囲まれた空胴は、ピクセルアイランドに所望の熱隔離を供給し得る。スルーウェル構造体と異なり、閉じたウェル構造体はスルー空間を定義しないかもしれない。すなわち、ピクセル領域の下に位置した基板層の垂直部は、完全には除去されないかもしれない。
【0049】
異方性のシリコンエッチングの間に、絶縁層と誘電体層はダイオード群を被覆し、それによって、エッチング液によってエッチングされることからダイオード群を保護する。絶縁層と誘電体層によって提供される保護のために、異方性シリコンエッチングは、露出したダイオード群のエッチングを防ぐために、従来の異方性シリコンエッチングにおいて使用され得るいかなる電気化学的エッチストップを使用することさえなしに、所望の結果(例えば、ピクセルアイランドに熱隔離を提供する)を達成し得る。電気化学的エッチストップの排除は、多数のピクセル構造体及び基板層の間の電圧の印加並びに微調整の負担なく、異方性のシリコンエッチングがピクセルのアレイを横切って一様に行なわれることを可能にする。そのような方法で、異方性シリコンエッチングは効率的に行なわれ得る。
【0050】
前述の方法およびプロセス工程はガラス工場において定義されたSOI−CMOSウェーハから非冷却赤外線検出器の製造のために使用され得るが、これらの方法とプロセス工程はカスタマに特有のSOI−CMOSウェーハにも適応して適用され得る。そのような適応性のある適用がガラス工場において定義されたSOI−CMOSウェーハの利点を招来しないかもしれない一方で、それにもかかわらず前述の方法およびプロセス工程の利益を得るかもしれない。
【0051】
以下の説明は、前述の方法及び/又はプロセス工程を実行するために、いくつかの特定の実施形態を提供する。これらの特定の実施形態は、
図3A−3H、
図4A−4F、
図5A−5B、
図6A−6F並びに
図7Aおよび7Bに示されるように、前段において説明若しくは記載がされていない新しい構成要素及び/又は用語を導入し得る。これらの新しく導入された構成要素及び/又は用語が、限定することなく前述の方法並びにプロセスの範囲および精神と一貫しているように解釈され得ることが理解される。
【0052】
図3A−3Hは、本発明の実施形態によってスルーウェルマイクロボロメータ(380)を形成するために処理されている、工場において定義されたSOI−CMOSウェーハ(乃至は、「ウェーハ」)(300)の横断面図を示す。
図3Aを参照すると、ウェーハ(300)は基板層(シリコンハンドラーウェーハ)(301)、絶縁層(302)およびいくつかの酸化物層(307)を含み得る。
【0053】
基板層(301)はシリコン及び/又は他の半導体材料から製造され得る。そして、基板層(301)は絶縁層(302)および酸化物層(307)に土台を提供し得る。絶縁層(302)は、二酸化けい素及び/又はチッ化ケイ素のような絶縁材料で製造され得る。絶縁層(302)が酸化物材料から製造される場合、絶縁層(302)は埋められた酸化物(BOX)層であり得る。酸化物層(307)は、様々な構造体(例えば、ピクセル構造体、壁構造体及び/又は回路構造体)を被覆し、様々な構造体間で定義された空間を埋めるために絶縁層(302)の頂部に形成され得る。さらに、酸化物層(307)は、各々の構造体内で種々の導電層及び/又は半導体層を分離するために使用され得る。一般に、酸化物層(307)の露出側は正面部及び/又は頂部側と呼ばれ得る。そして基板層(301)の露出側は背面部及び/又は底部と呼ばれ得る。酸化物層(307)は
図3Aに一般に記載されているが、酸化物層(307)の1つ以上は、種々の実施形態において他の誘電体材料(例えば、窒化物材料)から製造された層と置換され得る。
【0054】
絶縁層(302)は、絶縁層(302)上の様々な構造体(例えば、ピクセル構造体、壁構造体及び/又は回路構造体)を支持するために様々な領域を定義し得る。1つの実施形態では、例えば、絶縁層(302)は第1の壁領域(311)、第2の壁領域(312)、第3壁領域(313)および第4の壁領域(314)を定義し得る。壁構造体は、壁領域(例えば、第1の壁領域(311)、第2の壁領域(312)、第3の壁領域(313)及び/又は第4の壁領域(314)の1つ以上の上で進行され得る。他の実施形態では、例えば、絶縁層(302)は第1のピクセル領域(320)、第2のピクセル領域(340)、および第3のピクセル領域(360)を定義し得る。ピクセル領域(320)、(340)及び(360)は、1つ以上の壁領域(例えば、第1の壁領域(311)、第2の壁領域(312)、第3の壁領域(313)及び/又は第4の壁領域(314)によって部分的に、或いは完全に囲まれる。
【0055】
第1の壁構造体(351)は第1の壁領域(311)上で形成され得る。第1の壁構造体(351)は第1のピクセル間金属層(332)および第1のピクセル間マスク層(352)を含み得る。第1のピクセル間金属層(332)は、隣接するピクセル構造体へ、および隣接するピクセル構造体から電気的信号を伝達するために使用され得る。第1のピクセル間マスク層(352)は第1のピクセル間金属層(332)および挟まれた酸化物層(307)を被覆し、保護し得る。第1のピクセル間マスク層(352)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第1のピクセル間マスク層(352)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第1のピクセル間マスク層(352)は、第1のピクセル間金属層(332)よりも絶縁層(302)から更に離れて位置し得る。
【0056】
第2の壁構造体(353)は第2の壁領域(312)上で形成され得る。第2の壁構造体(353)は第2のピクセル間金属層(334)および第2のピクセル間マスク層(354)を含み得る。第2のピクセル間金属層(334)は、隣接するピクセル構造体へ、および隣接するピクセル構造体から電気的信号を伝達するために使用され得る。第2のピクセル間マスク層(354)は第2のピクセル間金属層(334)および挟まれた酸化物層(307)を被覆し、保護し得る。第2のピクセル間マスク層(354)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第2のピクセル間マスク層(354)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第2のピクセル間マスク層(354)は、第2のピクセル間金属層(334)よりも絶縁層(302)から更に離れて位置し得る。
【0057】
第3の壁構造体(355)は第3の壁領域(313)上で形成され得る。第3の壁構造体(355)は第3のピクセル間金属層(336)および第3のピクセル間マスク層(356)を含み得る。第3のピクセル間金属層(336)は、隣接するピクセル構造体へ、および隣接するピクセル構造体から電気的信号を伝達するために使用され得る。第3のピクセル間マスク層(356)は第3のピクセル間金属層(336)および挟まれた酸化物層(307)を被覆し、保護し得る。第3のピクセル間マスク層(356)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第3のピクセル間マスク層(356)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第3のピクセル間マスク層(356)は、第3のピクセル間金属層(336)よりも絶縁層(302)から更に離れて位置し得る。
【0058】
第4の壁構造体(357)は第4の壁領域(314)上で形成され得る。第4の壁構造体(357)は第4のピクセル間金属層(338)および第4のピクセル間マスク層(358)を含み得る。第4のピクセル間金属層(338)は、隣接するピクセル構造体へ、および隣接するピクセル構造体から電気的信号を伝達するために使用され得る。第4のピクセル間マスク層(358)は第4のピクセル間金属層(338)および挟まれた酸化物層(307)を被覆し、保護し得る。第4のピクセル間マスク層(358)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第4のピクセル間マスク層(358)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第4のピクセル間マスク層(358)は、第4のピクセル間金属層(338)よりも絶縁層(302)から更に離れて位置し得る。
【0059】
第1のピクセル構造体(322)は、第1のピクセル構造体(322)が第1及び第2の壁構造体(351)および(353)に囲まれ得るように、第1のピクセル領域(320)上で形成され得る。第1のピクセル構造体(322)は第1のダイオード群(321)、第1のピクセル内金属層(325)および第1のピクセル内マスク層(326)を含み得る。第1のダイオード群(321)は、ダイオード群(140)に類似した機能的かつ構造的特徴を有し得る。第1のピクセル内金属層(325)は、ダイオード間金属板(122)に類似した機能的かつ構造的特徴を有し得る。第1のピクセル内マスク層(326)は、第1のダイオード群(321)、第1ピクセル内金属層(325)および第1のダイオード群(321)と第1ピクセル内金属層(325)との間に位置する酸化物層(307)を被覆し、保護し得る。第1のピクセル内マスク層(326)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第1のピクセル内マスク層(326)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第1のピクセル内マスク層(326)は、第1のピクセル内金属層(325)よりも絶縁層(302)から更に離れて位置し得る。
【0060】
第2のピクセル構造体(342)は、第2のピクセル構造体(342)が第2及び第3の壁構造体(353)および(355)に囲まれ得るように、第2のピクセル領域(340)上で形成され得る。第2のピクセル構造体(342)は第2のダイオード群(341)、第2のピクセル内金属層(345)および第2のピクセル内マスク層(346)を含み得る。第2のダイオード群(341)は、ダイオード群(140)に類似した機能的かつ構造的特徴を有し得る。第2のピクセル内金属層(345)は、ダイオード間金属板(122)に類似した機能的かつ構造的特徴を有し得る。第2のピクセル内マスク層(346)は、第2のダイオード群(341)、第2のピクセル内金属層(345)および第2のダイオード群(341)と第2ピクセル内金属層(345)との間に位置する酸化物層(307)を被覆し、保護し得る。第2のピクセル内マスク層(346)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第2のピクセル内マスク層(346)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第2のピクセル内マスク層(346)は、第2のピクセル内金属層(345)よりも絶縁層(302)から更に離れて位置し得る。
【0061】
第3のピクセル構造体(362)は、第3のピクセル構造体(362)が第3及び第4の壁構造体(355)および(357)に囲まれ得るように、第3のピクセル領域(360)上で形成され得る。第3のピクセル構造体(362)は第3のダイオード群(361)、第3のピクセル内金属層(365)および第3のピクセル内マスク層(366)を含み得る。第3のダイオード群(361)は、ダイオード群(140)に類似した機能的かつ構造的特徴を有し得る。第3のピクセル内金属層(365)は、ダイオード間金属板(122)に類似した機能的かつ構造的特徴を有し得る。第3のピクセル内マスク層(366)は、第3のダイオード群(361)、第3のピクセル内金属層(365)および第3のダイオード群(361)と第3ピクセル内金属層(365)との間に位置する酸化物層(307)を被覆し、保護し得る。第3のピクセル内マスク層(366)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第3のピクセル内マスク層(366)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第3のピクセル内マスク層(366)は、第3のピクセル内金属層(365)よりも絶縁層(302)から更に離れて位置し得る。
【0062】
1対の支持アーム構造体は、ピクセル構造体(例えば、第1、第2及び第3のピクセル構造体(322)、(342)および(362))のおのおのに隣接して形成され得る。
図2Aおよび2Bに示されるように、第1及び第2の支持アーム(132)および(134)に類似して、支持構造体の対は、ピクセル構造体と隣接した壁構造体の間の機械的および電気的連結を提供し得る。支持アーム構造体の各々はポリシリコン配線(392)および支持アームマスク層(394)を含み得る。ポリシリコン配線(392)は、ピクセル構造体と隣接した壁構造体のうちの1つとの間の電気的接続を確立するために使用され得る。支持アームマスク層(394)はポリシリコン配線(392)を被覆し、保護し得る。
【0063】
第1のピクセル領域(320)内で、第1の右支持アーム(323)は第2の壁構造体(353)に第1のピクセル構造体(322)を接続し得る一方で、第1の左支持アーム(324)は第1の壁構造体(351)に第1のピクセル構造体(322)を接続し得る。
【0064】
第2のピクセル領域(340)内で、第2の右支持アーム(343)は第3の壁構造体(355)に第2のピクセル構造体(342)を接続し得る一方で、第2の左支持アーム(344)は第2の壁構造体(353)に第2のピクセル構造体(342)を接続し得る。
【0065】
第3のピクセル領域(360)内で、第3の右支持アーム(363)は第4の壁構造体(357)に第3のピクセル構造体(362)を接続し得る一方で、第3の左支持アーム(364)は第3の壁構造体(355)に第3のピクセル構造体(362)を接続し得る。
【0066】
ガラス工場において定義されたSOI−CMOSウェーハ(あるいは「ウェーハ」)(300)は、1つ以上のダイオード群(例えば、第1のダイオード群(321)、第2のダイオード群(341)および第3のダイオード群(361))と相互作用するために読出し回路(309)を含み得る。読出し回路(309)は1つ以上のダイオード群を選択するために、選択されたダイオード群にバイアスをかけるために、選択されたダイオード群から感知信号を受け取るために及び/又は受信した感知信号を増幅するために構成され得る。ダイオード群と通信するために、読出し回路(309)は、大域的なポリシリコン層(303)、大域的金属−1層(304)、大域的金属−2層(305)および大域的金属−3層(306)などの様々な導電層とともにルーティングされ得る。一般に、大域的金属−3層(306)はウェーハ(300)の他の部分を保護するためにマスク層として使用され得る。例えば、金属−3層(306)は、ドライ酸化物エッチング中に読出し回路(309)を保護するために使用され得る。さらに、金属−3層(306)は、ピクセル間マスク層、マスク層、ピクセル内マスク層及び/又は支持アームマスクマスク層などの他のいかなるマスク層を形成するために使用され得る。金属−1層(304)、金属−2層(305)および金属−3層(306)に加えて、ウェーハ(300)は追加の金属層を含み得、そのおのおのは、マスクとして使用され得る。
【0067】
図3Bを参照すると、背面部マスク層(370)はウェーハ(300)の背面部に堆積され及び/又は被覆され得る。背面部マスク層(370)は、シリコンエッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、背面部マスク層(370)は窒化物から製造され得る。他の実施形態では、例えば、背面部マスク層(370)は酸化物から製造され得る。他の実施形態では、例えば、背面部マスク層(370)はホトレジスト材料から製造され得る。さらに他の実施形態では、例えば、背面部マスク層(70)は金属材料から製造され得る。
【0068】
背面部マスク層(370)の堆積の後、複数の背面部開口(372)が背面部マスク層(370)の上に定義され得る。背面部マスク層(370)がホトレジスト材料から製造される場合、背面部リソグラフィプロセス(371)が行なわれ得る。代替的に、背面部マスク層(370)が金属材料、酸化物材料及び/又は窒化物材料から製造されるとき、選択的エッチングプロセス(図示せず)が行なわれ得る。背面部開口(372)の各々は、ピクセル領域(例えば、第1のピクセル領域(320)、第2のピクセル領域(340)および第3のピクセル領域(360))のうちの1つと垂直に位置が調整されるか、重ねられ得る。そのため、背面部開口(372)の各々は来るべきシリコンエッチングプロセスのために基板層の垂直部(301)を作ってもよい。これに対し、残りの背面部マスク層(370)は、基板層(301)の様々な部分を被覆し得る。これらの部分は、壁領域および読出し回路(309)と垂直に位置を調整し得るか、あるいは重なり合うかもしれない。そしてこれらの部分は、来るべきシリコンエッチングプロセスの間にエッチングしていることから保護され得る。
【0069】
図3Cを参照すると、背面部開口(372)が適切に定義された後、ディープ(deep)ドライシリコンエッチング(第1の垂直エッチング)(373)が行なわれ得る。ディープ(deep)ドライシリコンエッチング(373)が、基板層(301)の未被覆部(すなわち、背面部開口(372)と位置を調整した部分)をエッチング処理し得る。ディープ(deep)ドライシリコンエッチング(373)は、絶縁層(302)で終了し得るか、止められ得る。
【0070】
ディープ(deep)ドライシリコンエッチング(373)、複数の背面部ピクセル空間374)が基板層(301)内、および基板層(301)全体にわたって定義され得る。背面部ピクセル空間(374)の各々は、ピクセル領域(例えば、第1のピクセル領域(320)、第2のピクセル領域(340)および第3のピクセル領域(360))のうちの1つと位置が調整され得、それによって、空気が絶縁層(302)のピクセル領域を循環させることができる。ディープ(deep)ドライシリコンエッチング(373)は、ディープ(deep)反応性イオンエッチング(DRIE)及び/又は他の種類の垂直シリコンエッチングを含み得る。
【0071】
背面部ピクセル空間(374)の各々は、複数の壁片(wall strip)に囲まれ得る。複数の壁片は絶縁層(302)の壁領域から伸び得る。例えば、第1の壁片(315)は第1の壁領域(311)から伸び得る;第2の壁片(316)は第2の壁領域(312)から伸び得る;第3の壁片(317)は第3の壁領域(313)から伸び得る;そして第4の壁片(318)は第4の壁領域(314)から伸び得る;壁片の各々はアスペクト比を有し得る。アスペクト比は、壁片の幅に対する壁片の長さの割合として定義され得る。熱隔離特性および非冷却赤外線検出器の空間効率を改善するために、比較的狭い壁片を有していることが望ましい。基板層の厚さが固定され得るので、壁片のおのおのの高さも固定され得る。したがって、高いアスペクト比を備えた壁片を有することが望まれ得る。1つの実施形態では、例えば、壁片の各々は約10のアスペクト比を有し得る。
【0072】
図3Dを参照すると、複数の背面部ピクセル空間(374)が適切に定義された後、背面部マスク解放工程(378)が行なわれ得る。
図3Eを参照すると、正面部ホトレジストマスク(375)はウェーハ(300)の入出力(I/O)パッド(308)を被覆するために堆積され得る。ホトレジストマスク(375)がI/Oパッド(308)の大域的金属層を保護され得るように、ホトレジストマスク(375)がウェット金属エッチングに対して抵抗性を有し得る。1つの実施形態では、ホトレジストマスク(375)は正面部エッチングの実行前に堆積され得る。他の実施形態では、ホトレジストマスク(375)はウェット金属エッチングの実行前に堆積され得る。
【0073】
図3Fを参照すると、正面部ドライ酸化物エッチング(第2の垂直エッチング)(376)は酸化物層(307)の非保護部分および絶縁層(302)の非保護部分を除去するために行なわれ得る。本明細書に開示されたように、非保護部分は、いかなるマスク層によって被覆されない部分であり得る。例えば、様々な構造体間に位置した部分は非保護部分であり得る。正面部ドライ酸化物エッチング(376)の目的は、ピクセル構造体(例えば、第1、第2及び第3のピクセル構造体(322)、(342)および(362))と壁構造体(例えば、第1、第2、第3及び第4の壁構造体(351)、(353)、(355)および(357))の間の複数の正面ピクセル空間を定義することである。酸化物層(307)の1つ以上が他の誘電体材料(例えば、窒化物材料)から製造される層と取り替えられる場合、正面部ドライ酸化物エッチング(376)は、正面部ドライ誘電体エッチング(図示せず)によって一般に実行され得る。正面部ドライ酸化物エッチング(376)は、反応性イオンエッチング(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RIBE)及び/又は化学的に支援されたイオンビームエッチング(CAIBE)を含み得る。
【0074】
様々なマスク層(例えば、ピクセル・マスク、壁マスク、支持アームマスクおよび回路マスク)は、ガラス工場中において定義されたSOI−CMOSプロセスの間に1つ以上の金層層を使用することにより予め形成され得る。そのため、さらなるポストCMOSリソグラフィープロセスは、これらのマスク層を定義するように要求されない。したがって、正面部酸化物エッチングプロセスは、比較的低コストで、かつ比較的短い時間間隔で実行され得る。
【0075】
正面部ドライ酸化物エッチング(376)の結果、様々なピクセル構造体は種々のサスペンドしたピクセルアイランドになり得る。ピクセルアイランドのおのおのは、1対の支持アームを介して隣接した壁によって保持され得るか又は掛けられ得る。1つの実施形態において、例えば、第1のピクセルアイランド(322)は、それぞれ、第1の左支持アーム(324)と第1の右支持アーム(323)を介して第1の壁(351)と第2の壁(353)によって保持され得るか、又は掛けられ得る。他の実施形態において、例えば、第2のピクセルアイランド(342)は、それぞれ第2の左支持アーム(344)と第2の右支持アーム(343)を介して第2の壁(353)と第3の壁(355)によって保持され得るか、又は掛けられ得る。他の実施形態の中に、例えば、第3のピクセルアイランド(362)は、それぞれ第3の左支持アーム(364)と第3の右支持アーム(363)を介して第3の壁(355)と第4の壁(357)によって保持され得るか、又は掛けられ得る。
【0076】
図3Gを参照すると、金属マスク・エッチング(第3のエッチング)(377)は様々なマスク層(例えば、ピクセルマスク、壁マスクおよび支持アーム)を除去するために行なわれ得る。I/Oパッド(308)が正面部ホトレジストマスク(375)によって保護されるので、下の金属層はエッチングしていることから保護され得る。
図3Hを参照すると、金属マスクエッチング(377)が完了した後、正面部ホトレジストマスク解放(379)が行なわれ得る。この段階では、スルーウェルマイクロボロメータ(380)の製造が完了する。
【0077】
マイクロボロメータ(380)は非冷却赤外線検出器アレイを含み、非冷却赤外線検出器アレイは読出し回路(309)によって制御され、かつアクセスされ得る。非冷却赤外線検出器アレイは、複数の検出器ピクセルを含み得る。その各々はピクセル・アイランドおよび壁を含み得る。壁はピクセルアイランドを掛けるためにスルーウェル構造を形成し得る。第1の壁(351)及び第2の壁(353)は第1のスルーウェル(327)を形成し得る。第1のスルーウェル(327)は、第1の正面開口(328)と第1の背面部開口(329)を定義し得る。第1のピクセルアイランド(322)は、第1のスルーウェル(327)内に配され得、かつ第1の正面開口(328)に隣接して配され得る。第2の壁(353)及び第3の壁(355)は第2のスルーウェル(347)を形成し得る。第2のスルーウェル(347)は、第2の正面開口(348)と第2の背面部開口(349)を定義し得る。第2のピクセルアイランド(342)は、第2のスルーウェル(347)内に配され得、かつ第2の正面開口(348)に隣接して配され得る。第3の壁(355)及び第4の壁(357)は第3のスルーウェル(367)を形成し得る。第3のスルーウェル(367)は、第3の正面開口(368)と第3の背面部開口(369)を定義し得る。第3のピクセルアイランド(362)は、第3のスルーウェル(367)内に配され得、かつ第3の正面開口(368)に隣接して配され得る。
【0078】
最終的なパッケージおよび結合によって、マイクロボロメータ(380)は、様々な正面開口(例えば、第1、第2及び第3の正面開口(328)、(348)および(368))を介して赤外線を受け取り、変換し得るか、或いは代替的に様々な背面部開口(例えば、第1、第2及び第3の背面部開口(329)、(349)および(369))を介して赤外線を受け取り、変換し得る。マイクロボロメータ(380)がフリップチップパッケージに適合されると、絶縁層(302)は熱吸収層として役立ち得る。それらの機能的な特徴は、
図2Aおよび2Bで説明されるとおりの熱吸収層(112)の特徴に類似し得る。一実施形態において、チタン層、窒化チタン層及び/又は類似の物理的及び化学的特性を備えた層が、その熱吸収特性を改善するためのフリップフロップ構成において絶縁層(302)上に堆積され得る。
【0079】
図4A−4Hは、本発明の実施形態によって閉じられたウェルマイクロボロメータ(400)を形成するために処理されている、工場において定義されたSOI−CMOSウェーハ(または、「ウェーハ」)(300)の横断面図を示す。一般に、スルーウェルがマイクロボロメータ(400)に形成されないので、背面部垂直エッチングが省略され得る。代わりに、異方性シリコンエッチングが正面部垂直エッチングの後に事前に行なわれ得る。
図4Aを参照すると、ウェーハ(300)の初期構造は、
図3Aで説明されたとおり、その初期構造と同一であり得る。
【0080】
図4Bを参照すると、正面部ホトレジストマスク(375)はウェーハ(300)の入出力(I/O)パッド(308)を被覆するために堆積され得る。ホトレジストマスク(375)がI/Oパッド(308)の大域的金属層を保護され得るように、ホトレジストマスク(375)がウェット金属エッチングに対して抵抗性を有し得る。1つの実施形態では、ホトレジストマスク(375)は正面部エッチングの実行前に堆積され得る。他の実施形態では、ホトレジストマスク(375)はウェット金属エッチングの実行前に堆積され得る。
【0081】
図4Cを参照すると、正面部ドライ酸化物エッチング(垂直エッチング)(376)は酸化物層(307)の非保護部分および絶縁層(302)の非保護部分を除去するために行なわれ得る。本明細書に開示されたように、非保護部分は、いかなるマスク層によって被覆されない部分であり得る。例えば、様々な構造体間に位置した部分は非保護部分であり得る。正面部ドライ酸化物エッチング(376)の目的は、ピクセル構造体(例えば、第1、第2及び第3のピクセル構造体(322)、(342)および(362))と壁構造体(例えば、第1、第2、第3及び第4の壁構造体(351)、(353)、(355)および(357))の間の複数の正面ピクセル空間を定義することである。酸化物層(307)の1つ以上が他の誘電体材料(例えば、窒化物材料)から製造される層と取り替えられる場合、正面部ドライ酸化物エッチング(376)は、正面部誘電体エッチング(図示せず)によって一般に実行され得る。正面部ドライ酸化物エッチング(376)は、反応性イオンエッチング(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RIBE)及び/又は化学的に支援されたイオンビームエッチング(CAIBE)を含み得る。
【0082】
様々なマスク層(例えば、ピクセル・マスク、壁マスク、支持アームマスクおよび回路マスク)は、ガラス工場中において定義されたSOI−CMOSプロセスの間に1つ以上の金属層を使用することにより予め形成され得る。そのため、さらなるポストCMOSリソグラフィープロセスは、これらのマスク層を定義するように要求されない。したがって、正面部酸化物エッチングプロセスは、比較的低コストで、かつ比較的短い時間間隔で実行され得る。
【0083】
図4Dを参照すると、金属マスク・エッチング(第3のエッチング)(377)は様々なマスク層(例えば、ピクセルマスク、壁マスクおよび支持アームマスク)を除去するために行なわれ得る。I/Oパッド(308)が正面部ホトレジストマスク(375)によって保護されるので、下の金属層はエッチングしていることから保護され得る。
図4Eを参照すると、金属マスクエッチング(377)が完了した後、正面部ホトレジストマスク解放(379)が行なわれ得る。
【0084】
図4Fを参照すると、異方性シリコンエッチング(470)はマスク層が適切に除去された後に実行され得る。異方性エッチング(470)は、基板層(301)の露出面に対する1以上のケミカルエッチング液を基板層(301)に導入することを含みうる。本明細書に開示されたとおり、基板層(301)の露出面は、絶縁層(302)によって被覆されない1以上の面を含み得る。従来の異方性シリコンエッチングと異なり、異方性シリコンエッチング(470)はいかなる電気化学的エッチストップを必要としない。なぜなら絶縁層(302)は保護エッチストッパーとしての役割を果たし得るからである。
【0085】
したがって、異方性シリコンエッチング(470)はピクセル構造体(例えば、第1、第2及び/又は第3のピクセル構造体(322)、(342)及び(362))及び基板層(301)に種々の制御された電圧を印加するプロセスを取り除き得、これは、その間の電位差を確立することを意味する。換言すれば、ピクセル構造体および基板層(301)は、異方性シリコンエッチング(470)の間、それぞれ浮遊電位を有し得る。異方性シリコンエッチング(470)に使用される化学的エッチング液は、限定されないが、エチレンジアミン プロカテコル(EDP)、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、及び/又は水酸化カリウム(KOH)を含み得る。
【0086】
正面部ドライ酸化物エッチング(376)及び異方性エッチング(407)の結果として、種々のピクセル構造体は、種々の掛けられたピクセルアイランドになり得る。そのおのおのは1対の支持アームを介して隣接する壁によって保持またはサスペンドし得る。いち実施形態において、例えば、第1のピクセルアイランド(322)は第1の左支持アーム(324)と第1の右支持アーム(323)を介して第1の壁(351)及び第2の壁(353)によって保持またはサスペンドする。他の実施形態において、例えば、第2のピクセルアイランド(342)は第2の左支持アーム(344)及び第2の右支持アーム(343)を介して第2の壁(353)及び第3の壁(355)によって保持されるか、或いは掛けられる。さらに他の実施形態において、例えば、第3のピクセルアイランド(362)は、第3の左支持アーム(364)及び第3の右支持アーム(363)を介して第3の壁(355)及び第4の壁(357)によって保持されるか、或いは掛けられる。
【0087】
この段階でマイクロボロメータ(400)の製造が完成され得る。マイクロボロメータ(400)は非冷却赤外線検知器アレイを含み得、それは読み出し回路(309)によって制御され、アクセスされ得る。非冷却赤外線検知器アレイは、複数の検知器アレイを含み得る。そのおのおのはピクセルアイランドと壁を含み得る。壁はピクセルアイランドを掛けるために閉じられた壁構造体を形成し得る。第1の壁(351)と第2の壁(353)は基板層(301)と共に第1の閉じられたウェル(472)を形成する。第1の閉じられたウェル(472)は空胴を定義し得る。その頂部に第1のピクセルアイランド(322)が配される。第2の壁(353)と第3の壁(355)は基板層(301)と共に第2の閉じられたウェル(474)を形成し得る。第2の閉じられたウェル(474)は空胴を定義し得る。その頂部に第2のピクセルアイランド(342)が配され得る。第3の壁(355)と第4の壁(357)は基板層(301)と共に第3の閉じられたウェル(476)を形成し得る。第3の閉じられたウェル(476)は空胴を形成し得る。その頂部に第3のピクセルアイランド(362)が配され得る。
【0088】
パッケージングとボンディングに依存して、マイクロボロメータ(400)は、正面開口を介して、或いは代替的に赤外線を透過する基板シリコンを含む閉じられたウェルを介して、赤外線を受け取り、変換し得る。マイクロボロメータ(380)がフリップチップ・パッケージングに適合されるとき、絶縁層(302)は熱吸収層としての役割を果たし得る。その機能的な特徴は、
図2A及び2Bにおいて説明されたとおりの熱吸収層(112)に類似し得る。一実施形態において、チタニウム層、窒化チタニウム層及び/又は類似の物理的及び化学的特徴を備えた材料を有する層は、その熱吸収特性を改善するためにフリップフロップ構成の絶縁層(302)上に堆積され得る。
【0089】
ここで1以上の熱吸収傘を備えた非冷却赤外線検知器を製造する種々の方法について説明する。
図5A及び5Bは、本発明の実施形態による熱吸収傘を備えた赤外線検知器ピクセル(500)の斜視図と断面図である。赤外線検知器ピクセル(500)は
図2A及び2Bに示されたとおりの赤外線検知器ピクセル(200)のすべての構造的特徴と機能的特徴を組み入れ得る。追加的に、赤外線検知器(500)は熱吸収傘(510)を含み得る。熱吸収傘(510)は熱吸収層(112)の頂部に形成され得る。
【0090】
熱吸収傘(510)は熱吸収層(112)より大きい表面積を有している。一実施形態において、例えば、熱吸収傘(510)は、第1の支持アーム(132)と第2の支持アーム(134)を被覆するように、熱吸収層(112)によって定義された垂直空間を超えて延び得る。他の実施形態において、例えば、熱吸収傘(510)は、スルーウェルの上部開口から突出し、スルーウェルの一部を被覆するように延びる上昇したウイング部を有し得る。
【0091】
その大きい表面積ゆえに、熱吸収傘(510)は、赤外線の受け取りと検知の非冷却赤外線検知器の能力を促進する。そのような促進は、充填係数によって測定される。充填係数はスルーウェルの断面積に対する傘(510)の表面積の比であり得る。本明細書において説明されたように、熱吸収傘(510)は、例えば、約80%から約95%まで変動する充填係数を達成し得る。熱吸収傘(510)は熱吸収層(112)と類似した材料から製造され得る。それで、非冷却赤外線検知器(500)を製造する方法はモノリシック(monolithic)であり得る。そして、
図3A−3H及び4A−4Fにおいて説明された方法に類似した方法であり得る。
【0092】
図6A−6Fは工場で定義されたシリコン・オン・インシュレーター(SOI)−CMOSウェーハ(或いは、「ウェーハ」)(600)の断面図を示しており、本発明の実施形態による熱吸収傘(682)、(684)を備えるスルーウェル・マイクロボロメータ(680)を形成するように処理されている。ウェーハ(600)はウェーハ(300)に類似し得る。例えば、ウェーハ(600)は、基板層(シリコン・ハンドラー・ウェーハ)(601)、絶縁層(602)および幾つかの酸化物層(607)を含み得る。さらに、ウェーハ(600)は犠牲層(例えば、第1の犠牲層(628)及び/又は第2の犠牲層(648))および傘層(例えば、第1の傘層(627)及び/又は第2の傘層(647))を含み得る。
【0093】
基板層(601)はシリコン及び/又は他の半導体材料から製造され得る。そして、基板層(601)は絶縁層(602)および酸化物層(607)に土台を提供し得る。絶縁層(602)は、二酸化けい素及び/又はチッ化ケイ素のような絶縁材料で製造され得る。絶縁層(602)が酸化物材料から製造される場合、絶縁層(602)は埋められた酸化物層(BOX)として理解される。酸化物層(607)は、様々な構造体(例えば、ピクセル構造体、壁構造体及び/又は回路構造体)を被覆し、様々な構造体間で定義された空間を埋めるために絶縁層(602)上に形成され得る。さらに、酸化物層(607)は、各々の構造体内で種々の導電層及び/又は半導体層を分離するために使用され得る。一般に、酸化物層(607)の露出側は正面部及び/又は頂部側と理解され得る。そして基板層(601)の露出側は背部及び/又は底部と理解され得る。
【0094】
絶縁層(602)は、絶縁層(602)上の様々な構造体(例えば、ピクセル構造体、壁構造体及び/又は回路構造体)を支持するために様々な領域を定義し得る。1つの実施形態では、例えば、絶縁層(602)は第1の壁領域(611)、第2の壁領域(612)及び第3壁領域(613)を定義し得る。壁構造体は、壁領域(例えば、第1の壁領域(611)、第2の壁領域(612)、及び/又は第3の壁領域(613))の1つ以上の上で進行され得る。他の実施形態では、例えば、絶縁層(602)は第1のピクセル領域(620)と第2のピクセル領域(640)を定義し得る。ピクセル領域(620)及び(640)は、1つ以上の壁領域(例えば、第1の壁領域(611)、第2の壁領域(612)及び/又は第3の壁領域(613))によって部分的に、或いは完全に囲まれる。
【0095】
第1の壁構造体は第1の壁領域(611)上で形成され得る。第1の壁構造体は第1のピクセル間金属層(654)および第1のピクセル間マスク層(651)を含み得る。第1のピクセル間金属層(654)は、隣接するピクセル構造体へ、および隣接するピクセル構造体から電気的信号を伝達するために使用され得る。第1のピクセル間マスク層(651)は第1のピクセル間金属層(654)および挟まれた酸化物層(607)を被覆し、保護し得る。第1のピクセル間マスク層(651)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第1のピクセル間マスク層(651)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第1のピクセル間マスク層(651)は、第1のピクセル間金属層(654)よりも絶縁層(602)から更に離れて位置し得る。
【0096】
第2の壁構造体は第2の壁領域(612)上で形成され得る。第2の壁構造体は第2のピクセル間金属層(655)および第2のピクセル間マスク層(652)を含み得る。第2のピクセル間金属層(655)は、隣接するピクセル構造体へ、および隣接するピクセル構造体から電気的信号を伝達するために使用され得る。第2のピクセル間マスク層(652)は第2のピクセル間金属層(655)および挟まれた酸化物層(607)を被覆し、保護し得る。第2のピクセル間マスク層(652)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第2のピクセル間マスク層(652)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第2のピクセル間マスク層(652)は、更に第2のピクセル間金属層(655)よりも絶縁層(602)から離れて位置し得る。
【0097】
第3の壁構造体は第3の壁領域(613)上で形成され得る。第3の壁構造体は第3のピクセル間金属層(656)および第3のピクセル間マスク層(653)を含み得る。第3のピクセル間金属層(656)は、隣接するピクセル構造体へ、および隣接するピクセル構造体から電気的信号を伝達するために使用され得る。第3のピクセル間マスク層(653)は第3のピクセル間金属層(656)および挟まれた酸化物層(607)を被覆し、保護し得る。第3のピクセル間マスク層(653)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第3のピクセル間マスク層(653)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第3のピクセル間マスク層(653)は、第3のピクセル間金属層(656)よりも絶縁層(602)から更に離れて位置し得る。
【0098】
第1のピクセル構造体は、第1のピクセル構造体が第1及び第2の壁構造体およびに囲まれ得るように、第1のピクセル領域(620)上で形成され得る。第1のピクセル構造体は第1のダイオード群(621)、第1のピクセル内金属層(625)および第1のピクセル内マスク層(626)を含み得る。第1のダイオード群(621)は、、ダイオード群(140)に類似した機能的かつ構造的特徴を有し得る。第1のピクセル内金属層(625)は、ダイオード間金属板(122)に類似した機能的かつ構造的特徴を有し得る。第1のピクセル内マスク層(626)は、第1のダイオード群(621)、第1のピクセル内金属層(625)および第1のダイオード群(621)と第1のピクセル内金属層(625)との間に位置する酸化物層(607)を被覆し、保護し得る。第1のピクセル内マスク層(626)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第1のピクセル内マスク層(626)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第1のピクセル内マスク層(626)は、第1のピクセル内金属層(625)よりも絶縁層(602)から更に離れて位置し得る。
【0099】
第1の犠牲層(628)のリムは、支持アーム構造体を被覆する酸化物層(607)の頂部に及び/又は第1のピクセル内金属層(625)を被覆する酸化物層(607)に隣接して形成され得る。続いて、第1の傘層(627)は、第1の犠牲層(628)と、第1のピクセル内金属層(625)を被覆する酸化物層(607)の頂部に形成され得る。正面部とで行なわれるエッチングの種類によって、第1の犠牲層(628)は、基板層(601)、絶縁層(602)および酸化物層(607)のエッチングに抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、第1の犠牲層(628)は、大域的金属−2層(605)と同じ材料で製造され得る。他の実施形態では、第1の犠牲層(628)は、第1のピクセル内マスク層(626)と同じ材料で製造され得る。他の実施形態では、第1の犠牲層(628)は、第1のピクセル内金属層(625)と同じ材料で製造され得る。
【0100】
第1の犠牲層(628)は、第1の傘層(627)を保護するために、第1のピクセル内マスク層(626)を備えたサンドイッチ構造体を形成し得る。このように、第1の犠牲層(628)は、酸化物層(607)、絶縁層(602)および基板層(601)のエッチング前、および当該エッチング中に第1の傘層(627)に構造的支持を設けるために第1のピクセル内マスク層と協働し得る。
【0101】
第1の傘層(627)は、赤外線を受け取り、受け取られた赤外線を熱に変換するために熱吸収材料から製造され得る。1つの実施形態では、第1の傘層(627)は、熱吸収層(112)と同じ材料で製造され得る。他の実施形態では、、第1の傘層(627)は酸化物から製造され得る。さらに他の実施形態では、、第1の傘層(627)は窒化物から製造され得る。第1の犠牲層(628)の厚さによって、第1の傘層(627)は1つ以上の壁構造体の高さを越えて伸びる、上昇したウイング部のリムを有し得る。有利には、上昇したウイング部は、その熱隔離特性を劣化せずに、ピクセルアイランドの熱吸収特性を向上させ得る。
【0102】
第2のピクセル構造体は、第2のピクセル構造体が第2及び第3の壁構造体に囲まれ得るように、第2のピクセル領域(640)上で形成され得る。第2のピクセル構造体は第2のダイオード群(641)、第2のピクセル内金属層(645)および第2のピクセル内マスク層(646)を含み得る。2ダイオード群(641)は、ダイオード群(140)に類似した機能的かつ構造的特徴を有し得る。第2のピクセル内金属層(645)は、ダイオード間金属板(122)に類似した機能的かつ構造的特徴を有し得る。第2のピクセル内マスク層(646)は、第2のダイオード群(641)、第2ピクセル内金属層(645)および第2のダイオード群(641)と第2のピクセル内金属層(645)との間に位置する酸化物層(607)を被覆し、保護し得る。第2のピクセル内マスク層(646)は、ドライ酸化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第2のピクセル内マスク層(646)はアルミニウム、金、銅、チタン及び/又は他の金属材料から製造され得る。一般に、第2のピクセル内マスク層(646)は、第2のピクセル内金属層(645)よりも絶縁層(602)から更に離れて位置し得る。
【0103】
第2の犠牲層(648)のリムは、支持アーム構造体を被覆する酸化物層(607)の頂部に及び/又は第2のピクセル内金属層(645)を被覆する酸化物層(607)に隣接してに形成され得る。続いて、第2の傘層(647)は、第2の犠牲層(648)と、第2のピクセル内金属層(645)を被覆する酸化物層(607)の頂部に形成され得る。正面部とで行なわれるエッチングの種類によって、第2の犠牲層(648)は、基板層(601)、絶縁層(602)および酸化物層(607)のエッチングに抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、第2の犠牲層(648)は、大域的金属−2層(605)と同じ材料で製造され得る。他の実施形態では、第2の犠牲層(648)は、第2のピクセル内マスク層(646)と同じ材料で製造され得る。さらに他の実施形態では、第2の犠牲層(648)は、第2のピクセル内金属層(645)と同じ材料で製造され得る。
【0104】
第2の犠牲層(648)は、第2の傘層(647)を保護するために、第2のピクセル内マスク層(646)を備えたサンドイッチ構造体を形成し得る。このように、第2の犠牲層(648)は、酸化物層(607)、絶縁層(602)および基板層(601)のエッチング前、および当該エッチング中に第2の傘層(647)に構造的支持を設けるために第2のピクセル内マスク層と協働し得る。1つの実施形態では、第1の傘層(647)は、熱吸収層(112)と同じ材料で製造され得る。他の実施形態では、、第2の傘層(647)は酸化物から製造され得る。さらに他の実施形態では、、第2の傘層(647)は窒化物から製造され得る。第2の犠牲層(648)の厚さによって、第2の傘層(647)は1つ以上の壁構造体の高さを越えて伸びる、上昇したウイング部のリムを有し得る。有利には、上昇したウイング部は、ピクセルアイランドの熱隔離吸収特性を向上させ得る。
【0105】
1対の支持アーム構造体は、ピクセル構造体の各々に隣接して形成され得る。支持構造体の各々は、それぞれのピクセル構造体及び隣接した壁構造体の間に位置し得る。
図2Aおよび2Bに示されるように、第1及び第2の支持アーム(132)および(134)に類似して、支持構造体の対は、ピクセル構造体と隣接した壁構造体の間の機械的および電気的連結を提供し得る。支持アーム構造体の各々はポリシリコン配線および支持アームマスク層を含み得る。ポリシリコン配線は、ピクセル構造体と隣接した壁構造体のうちの1つとの間の電気的接続を確立するために使用され得る。支持アームマスク層はポリシリコン配線を被覆し、保護し得る。
【0106】
ウェーハ(600)は、1つ以上のダイオード群(例えば、第1のダイオード群(621)および第2のダイオード群(641))と相互作用するために読出し回路(609)を含み得る。読出し回路(609)は1つ以上のダイオード群を選択するために、選択されたダイオード群にバイアスをかけるために、選択されたダイオード群から感知信号を受け取るために及び/又は受信した感知信号を増幅するために構成され得る。ダイオード群と通信するために、読出し回路(609)は、大域的なポリシリコン層(603)、大域的金属−1層(604)、大域的金属−2層(605)および大域的金属−3層(606)などの様々な導電層とともに経路が決められ得る。一般に、大域的金属−3層(606)はウェーハ(600)の他の部分を保護するためにマスク層として使用され得る。例えば、金属−3層(606)は、ドライ酸化物エッチング中に読出し回路(609)を保護するために使用され得る。さらに、金属−3層(606)は、ピクセル間マスク層、マスク層、ピクセル内マスク層及び/又は支持アームマスク層などの他のいかなるマスク層を形成するために使用され得る。
【0107】
図6Bを参照すると、第1の背面部マスク(660)と第2の背面部マスク(670)はウェーハ(600)の背面部に被覆され得る。第1の背面部マスク(660)は、シリコンエッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第1の背面部マスク(660)は窒化物から製造され得る。他の実施形態では、例えば、第1の背面部マスク(660)は酸化物から製造され得る。さらに他の実施形態では、例えば、第1の背面部マスク(660)はホトレジスト材料から製造され得る。第2の背面部マスク(670)は、シリコンエッチング、酸化物エッチング及び/又は窒化物エッチングに対して抵抗性を有する材料から製造され得る。1つの実施形態では、例えば、第2の背面部マスク(670)はホトレジスト材料から製造され得る。
【0108】
第1のマスク(660)は複数の第1の開口671を定義し得る。そのおのおのは、1つのピクセル領域(例えば、第1のピクセル領域(620)または第2のピクセル領域(640)と垂直に位置を調整し得る。複数の第1の開口(671)は、絶縁層(602)のピクセル領域と垂直に重複する部分のみを除去するように、シリコン基板層(601)のシリコンエッチングをに配向するために使用され得る。
【0109】
第2の背面部マスク(670)は、複数の第2の開口部(672)を定義し得る。そのおのおのは、1つの支持アーム構造体及び隣接するピクセル構造体の間で定義された空間と垂直に位置を調整し得る。複数の第2の開口部(672)は、シリコン基板層(601)のシリコンエッチング、絶縁層(602)の絶縁エッチングおよび酸化物層(607)の酸化物エッチングを配向するために使用されてもよい。複数の各々の第2の開口部(672)は、酸化物層(607)の一部および絶縁層(602)の一部の除去を配向するために使用され得る。その両方は1つの支持アーム構造体及び隣接するピクセル構造体の間で形成され得る。そのため、第1の開口部(671)の各々は、1対の第2の開口部(672)と重複し得る。そして第1の開口部(671)の各々は、第2の開口部(672)の各々より実質的に幅が広い。
【0110】
第1の背面部・ディープ(deep)ドライエッチング(674)は、第1の背面部マスク(660)および第2の背面部マスク(670)の被覆の後に実行され得る。第1の背面部・ディープ(deep)ドライエッチング(674)が、基板層(601)、絶縁層(602)及び酸化物層(607)の未被覆部(すなわち、第2の開口部(672)と位置を調整した部分)をエッチング処理し得る。第1の背面部・ディープ(deep)ドライエッチング(674)は、犠牲層(例えば、第1の犠牲層(628)及び/又は、第2の犠牲層(648))において終了又は停止され得る。従って、様々な背面部トンネルが定義され得る。1つの実施形態では、第1の左背面部・トンネル(636)および第1の右バック・サイド・トンネル(637)は、第1のピクセル構造体及び隣接し支持アーム構造体の間で定義され得る。他の実施形態では、第2の左背面部・トンネル(638)および第2の右バック・サイド・トンネル(639)は、第2のピクセル構造体及び隣接する支持アーム構造体の間で定義され得る。
【0111】
図6Cを参照すると、第2の背面部マスクの除去(676)は、第1の背面部(deep)ドライエッチング(674)が行われた後に行われる。この段階では、ウェーハ600の背面部は、単に第1の背面部マスク(660)によって被覆され得る。さらに、正面部ホトレジストマスク(673)はウェーハ(600)の入出力(I/O)パッド(608)を被覆するために堆積され得る。ホトレジストマスク(673)がI/Oパッド(608)の大域的金属層を保護するために用いられ得るように、ホトレジストマスク(375)がウェット金属エッチングに対して抵抗性を有し得る。1つの実施形態では、ホトレジストマスク(673)は正面部エッチングの実行前に堆積され得る。他の実施形態では、ホトレジストマスク(673)はウェット金属エッチングの実行前に堆積され得る。
【0112】
そのうえさらに、正面部ドライエッチング(675)は酸化物層(607)の非保護部分および絶縁層(602)の非保護部分を除去するために行なわれ得る。本明細書に開示されたように、非保護部分は、いかなるマスク層によって被覆されない部分であり得る。例えば、様々な構造体間に位置した部分は非保護部分であり得る。正面部ドライエッチング(675)の目的は、ピクセル構造体と壁構造体の間で複数の正面ピクセル空間を定義することであり得る。正面部ドライエッチング(675)は、反応性イオンエッチング(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RIBE)及び/又は化学的に支援されたイオンビームエッチング(CAIBE)を含み得る。
【0113】
様々なマスク層(例えば、ピクセル・マスク、壁マスク、支持アームマスクおよび回路マスク)は、ガラス工場中において定義されたSOI−CMOSプロセスの間に1つ以上の金層を使用することにより予め形成され得る。そのため、さらなるポストCMOSリソグラフィープロセスは、これらのマスク層を定義するように要求されない。したがって、正面部酸化物エッチングプロセスは、比較的低コストで、かつ比較的短い時間間隔で実行され得る。
【0114】
図6Dを参照すると、第2の背面部ディープ(deep)ドライエッチング(677)は、第2の背面部マスク除去(676)が行われた後に行われ得る。第2の背面部ディープドライエッチング(677)が、基板層(601)の未被覆部(すなわち、第1の背面部開口(671)と位置を調整した部分)をエッチング処理し得る。背面部ディープドライエッチング(676)は、絶縁層(602)において終了し得るか、停止され得る。
【0115】
第2のディープドライエッチング(677)の結果として、第1の背面部ピクセル空間(681)及び第2の背面部ピクセル間隔(683)が基板層(601)内、および基板層(601)全体にわたって定義され得る。第1及び第2の背面部ピクセル空間(681)、(683)は、それぞれ、第1及び第2のピクセル領域(620)および(640)で位置を調整し得、それによって、空気を第1及び第2ピクセル構造体に循環することを可能にする。第1及び第2ディープドライエッチング(674)及び(677)は、ディープ(deep)反応性イオンエッチング(DRIE)又は他の種類の垂直シリコンエッチングであり得る。
【0116】
第1及び第2の背面部ピクセル空間(681)及び(683)が定義された後、複数の壁片は絶縁層(602)の壁領域から延長し得る。例えば、第1の壁片(615)は第1の壁領域(611)から延び得る;そして第3の壁片(617)は第3の壁領域(613)から延び得る;壁片の各々はアスペクト比を有し得る。アスペクト比は、壁片の幅に対する壁片の長さの割合として定義され得る。非冷却赤外線検出器の熱隔離特性を改善するために、比較的高いアスペクト比を有していることが望ましい。1つの実施形態では、例えば、壁片の各々は約10のアスペクト比を有し得る。
【0117】
図6Eを参照すると、ウェット金属マスクエッチング(678)は、1つ以上の金属材料から製造される様々な層を除去するために行なわれ得る。これらの層は、限定されないが、保護マスク(例えば、ピクセル・マスク、壁マスクおよび支持アームマスク)および犠牲層(例えば、第1及び第2の犠牲層(628)および(648))を含み得る。I/Oパッド(608)が正面部ホトレジストマスク(673)によって保護されるので、下の金属層はエッチングしていることから保護される得る。さらに、第1の背面部マスク(660)は、ウェーハ(600)の背面部を解放するように、ウェットマスクエッチングが行われる前および後に除去される。
【0118】
図6Fを参照すると、様々なピクセル構造体は、正面部ドライエッチング(675)、第2の背面部ディープ(deep)ドライエッチング(677)およびウェット金属マスクエッチング(678)が行なわれた後で、種々の掛けられたピクセルアイランドになり得る。ピクセル・アイランドの各々は1組の支持アームを介して隣接するた壁によって保持されるか、或いは掛けられ得る。1つの実施形態において、例えば、第1のピクセルアイランド(622)は、第1の左支持アーム(624)と第1の右支持アーム(623)を介して第1の壁と第2の壁によって保持され得るか、又はサスペンドされ得る。他の実施形態の中に、例えば、第2のピクセルアイランド(642)は、第2の左支持アーム(644)と第2の右支持アーム(643)を介して第2の壁と第3の壁によって保持され得るか、又は掛けられ得る。
【0119】
犠牲層が除去された後、第1の傘層(627)は第1の熱吸収傘(682)になり得、第2の傘層(647)は第2の熱吸収傘(684)になり得る。第1及び第2の熱吸収傘(682)および(684)は、それぞれの第1及び第2のピクセルアイランド(622)および(624)のトータルの赤外線受け取り領域(充填係数)を増加させ得る。その結果、第1及び第2の熱吸収傘(682)および(684)は、それぞれ、第1及び第2のピクセルアイランド(622)および(642)の感度を向上させ得る。
【0120】
ウェット金属マスクエッチング(678)が完了すると、正面部ホトレジスト解放(679)は正面部ホトレジストマスク(673)を解放するために行なわれ得る。この段階で、スルーウェルマイクロボロメター(680)の製造方法は完全であり得る。
【0121】
マイクロボロメータ(680)は非冷却赤外線検出器アレイを含み、非冷却赤外線検出器アレイは読出し回路(609)によって制御され、かつアクセスされ得る。非冷却赤外線検出器アレイは、複数の検出器ピクセルを含み得る。その各々はピクセル・アイランドおよび複数の壁を含み得る。壁はピクセルアイランドをサスペンドさせるためにスルーウェル構造を形成し得る。従って、マイクロボロメータ(680)は多数のスルーウェルを含み得る。そのおのおのは1つの熱吸収傘(例えば、第1の熱吸収傘(682)及び/又は、第2の熱吸収傘(684))によって部分的に被覆され得る。さらに、多数のスルーウェルのおのおのは、
図3Hに記載されているようなスルーウェルと類似した構造及び構成を有し得る。
【0122】
最終的なパッケージングとボンディングによって、マイクロボロメータ(680)は、様々な正面開口を介して、或いは代替的に背面部開口を介して赤外線を受け取り、変換し得る。マイクロボメータ(380)がフリップチップパッケージに適合されると、絶縁層(602)は熱吸収層として役立ち得る。それらの機能的な特徴は、
図2Aおよび2Bで説明されるとおりの熱吸収層(112)の特徴に類似し得る。
【0123】
図7A−7Bはポスト−CMOS処理されたウェーハ(又は、「ウェーハ」)(700)の横断面図を示し、本発明の実施形態による熱吸収傘(760)を備えた閉じられたウェルマイクロボロメータを形成するために、さらに処理される。ウェーハ(700)は、いくつかのポストCMOSプロセス工程を受けた、ガラス工場において定義されたSOI−CMOSウェーハであり得る。一実施形態では、例えば、ウェーハ(700)は正面部ドライ酸化物エッチングを受けた(但し、異方性シリコンエッチングを受ける前に)工場で定義されたSOI−CMOSであり得る。別の実施形態では、例えば、ウェーハ(700)は、
図4Eに示されるように、かつ本明細書において説明された製法にしたがって部分的に処理されたウェーハ(300)に類似し得る。
【0124】
図7Aを参照すると、ウェーハ(700)のユニット部分が示される。ユニット部分は基板層(701)と、ピクセル構造体、壁構造体および支持アーム構造体などの様々な構造体とを含み得る。構造体の各々は、それぞれの領域の上部に位置し得る。1つの実施形態では、第1の壁構造体は、第1の壁領域(710)上で形成され得る。そして第2の壁構造体は第2の壁領域(750)上で形成され得る。別の実施形態では、ピクセル構造体はピクセル領域(730)上で形成され得る。さらに他の実施形態では、第1の支持アーム構造体は、第1の支持アーム領域(720)上で形成され得る。そして第2の支持アーム構造体は第2の支持アーム領域(740)上で形成され得る。
【0125】
第1の壁構造体は、第1の壁埋め込み酸化物層(712)、第1の壁酸化物層(713)および第1の壁金属層(716)を含み得る。
【0126】
第2の壁構造体は、第2の壁埋め込み酸化物層(752)、第2の壁酸化物層(753)および第2の壁金属層(756)を含み得る。ピクセル構造体は、第1及び第2の壁構造体間に位置し得る。ピクセル構造体は、ピクセル埋め込酸化物層(732)、ダイオード群(731)、ピクセル熱吸収層(733)およびピクセル金属層(735)を含み得る。
【0127】
第1の支持アーム構造体は第1の壁構造体とピクセル構造体の間に位置し得る。第1の支持アーム構造体は、第1の支持アーム埋め込み酸化物層(722)、第1の支持アーム酸化物層(723)および第1の支持アームポリシリコン層(724)を含み得る。
【0128】
第2の支持アーム構造体は第2の壁構造体とピクセル構造体の間に位置し得る。第2の支持アーム構造体は、第2の支持アーム埋め込み酸化物層(742)、第2の支持アーム酸化物層(743)および第2の支持アームポリシリコン層(744)を含み得る。壁構造体、ピクセル構造体および支持アーム構造体のおのおの内部の構成要素の機能的特徴および配列は、
図3Aおよび4Aで説明されたものに類似し得る犠牲層としての役割を果たす。
【0129】
正面部ドライ酸化物エッチングの後に、これらの構造体は、まだ共通基板層(701)に取り付けらているが、互いに横方向に分離され得る。本発明の実施形態によれば、様々な構造体を被覆し、かつこれらの構造体の間で定義された横方向の空間を埋めるために、シリコン層(770)が、処理されたウェーハ(700)上に堆積され得る。シリコン層(770)は、異方性エッチングによってエッチングされ得る非晶質シリコンなどのシリコン材料を含み得る。堆積されたシリコン層(770)は犠牲層としての役割を果たし得る。堆積されたシリコン層(770)は、堆積される傘層(760)のための構造的な支援を提供し得る。
【0130】
さらに、堆積されたシリコン層(770)は、堆積される傘層(760)の表面の特性を定義し得る。一実施形態で、例えば、もし平坦な傘層(760)が望まれるとき、厚いシリコン層(770)が堆積され得、ついで化学的、機械的面状(CMP)プロセスによって、平らにされ得る。別の実施形態で、例えば、回旋状の傘層(760)が望まれるとき、傘層(760)が下の構造体の輪郭に続き得るように、薄いシリコン層(770)が堆積され得る。
【0131】
傘層(760)とピクセル熱吸収層(733)の間で熱接触を確立するために、堆積されたシリコン層(770)の一部は傘層(760)が堆積する前にパターニングされ、除去され得る。例えば、ピクセル熱吸収層(733)の頂部に位置する堆積されたシリコン層(770)の一部は除去され得る。
【0132】
従って、傘層(760)は堆積されたシリコン層(770)上に堆積され得る。傘層(760)は、ピクセル熱吸収層(733)の特性インピーダンスを、自由空間の特性インピーダンスに一致させるために、様々な誘電体層および金属層を組み合わせ得る。その結果、傘層(760)は、赤外線の表面反射を最小限にするのを助け得るものであり、非冷却赤外線検出器の感受性を向上させ得る。傘層(760)は、第1の壁傘(761)、左アーム傘(762)、ピクセル(主)傘(763)、右アーム傘(764)および第2の壁傘(765)などの一群の傘に細分化され得る。
【0133】
選択エッチングプロセスは傘層(760)をパターニングするために行なわれ得る。パターニングは、シリコン層(770)を除去し、かつ基板層(701)内の閉じたウェルを定義するために、異方性シリコンエッチング液を導入するための1つ以上の開口部を定義し得る。1つの実施形態では、例えば、第1の傘開口部(711)は第1の壁構造体から異方性シリコンエッチング液を導入するために定義され得る。他の実施形態では、例えば、第2の傘開口部(711)は第2の壁構造体から異方性シリコンエッチング液を導入するために定義され得る。第1及び第2の傘開口部(711)および(751)は、一緒に、傘層(760)の境界を決め得る。第1及び第2の傘開口部(711)および(751)は点開口部、拡張開口部、線開口部及び/又は様々な寸法および形態を備えた開口部であり得る。
【0134】
図7Aは、2つの開口がユニット部で定義されることを示しているが、開口の様々な数は、本発明の様々な実施形態にしたがって傘層(760)上に定義され得る。例えば、異方性のシリコンエッチングを促進するために、追加の傘開口は、ピクセル傘(763)、左アーム傘(762)及び/又は右のアーム傘(764)の上に定義され得る。
【0135】
傘開口部が定義された後、異方性シリコンエッチングが始まり得る。本明細書に記載されているように、異方性シリコンエッチングは、
図4Fに説明されるとおりの異方性シリコンエッチング(470)に類似し得る。従って、絶縁層(302)が受動的なエッチストッパとして役立ち得るので、異方性シリコンエッチングは何ら電気化学的エッチストップを必要としない。
【0136】
従って、異方性シリコンエッチングは、ピクセルおよび基板層(701)に様々な制御された電圧を印加するプロセスを除去し得る。ピクセルおよび基板層(701)の間に電位差を確立することを意味し得る。言いかえれば、ピクセル構造体および基板層(701)は、各々異方性シリコンエッチングの間に浮遊電位を有し得る。異方性シリコンエッチング(407)に使用される化学的エッチング液は、限定されないが、エチレンジアミン・プロカテコール(EDP)、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)及び/又は水酸化カリウム(KOH)を含み得る。
【0137】
図7Bに示されるように、閉じたウェル(773)は異方性シリコンエッチングの完了後に基板層(701)内に形成され得る。閉じられたウェル(773)は、ピクセル埋め込み酸化物層(732)の直下に空胴(背面部の分離空間)(774)を定義し得る。1つのピクセルセルの熱吸収が隣接するピクセルセルの赤外線検知に影響することがないように、空胴(774)はピクセルアイランド及び隣接する壁の間の熱隔離を提供し得る。
【0138】
本発明の例示的な実施形態は、実例となる形で開示された。従って、明細書を通して使用された用語は、限定されないように読まれるべきである。本明細書における教示に対する些細な修正は当業者に生じるであろうが、本明細書において保証された特許の範囲内で限定されることが意図されているものは、これによって寄与された技術的進歩の範囲以内に合理的に及ぶそのようなすべての実施形態であること、そしてその範囲が添付された特許請求の範囲およびそれらの均等物に照らさずに限定されるべきでないことが理解される。