【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記課題を解決するため、本発明のフィーダー脱着時期案内方法は、複数の電子部品が配置される複数のフィーダーと該フィーダーが生産中に脱着可能に取り付けられるフィーダー保持部とを有し該電子部品を基板に装着する電子部品実装機を備える生産ラインの、フィーダー脱着時期案内方法であって、前記生産ラインで生産される前記基板の生産プログラムを複数作成する生産プログラム作成ステップと、複数の該生産プログラムを基に、生産中における、前記フィーダーの取り外し時期および取り付け時期のうち少なくとも一方である脱着時期に関する脱着時期案内を、該フィーダー単位で該脱着時期が認識できるように、作成する脱着時期案内作成ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明のフィーダー脱着時期案内方法は、生産プログラム作成ステップと脱着時期案内作成ステップとを有している。
【0014】
生産プログラム作成ステップにおいては、例えば半日生産分、一日生産分、三日生産分、一週間生産分など、同一の生産ラインを用いて生産される複数の基板の生産プログラムをまとめて作成する。本ステップは、複数の基板の生産開始前に実行される。
【0015】
脱着時期案内作成ステップにおいては、生産中におけるフィーダーの脱着時期に関する脱着時期案内を作成する。脱着時期案内は、オペレーターがフィーダー単位で生産中における脱着時期を認識できるように作成される。
【0016】
前出の特許文献1、2の方法の場合、基板種の切替前後だけに局所的に着目して、フィーダーの交換の要否が判別される。これに対して、本発明のフィーダー脱着時期案内方法によると、同一の生産ラインを用いて生産される複数の基板の生産プログラムを基に、脱着時期案内が作成される。すなわち、生産計画全体を踏まえて、脱着時期案内が作成される。このため、生産ラインの稼働率が低下するのを抑制することができる。
【0017】
また、本発明のフィーダー脱着時期案内方法によると、オペレーターがフィーダー単位で生産中における脱着時期を認識できるように、脱着時期案内が作成される。脱着時期案内を参照することにより、オペレーターは、基板生産中であるにもかかわらず、不要なフィーダーを取り外すことができる。また、オペレーターは、基板生産中であるにもかかわらず、必要なフィーダーを取り付けることができる。また、オペレーターは、基板生産中であるにもかかわらず、不要なフィーダーを取り外すと共に、必要なフィーダーを取り付けることができる。以下、「取り外し」および「取り付け」を、まとめて「交換」と総称する場合がある。
【0018】
このように、本発明のフィーダー脱着時期案内方法によると、基板生産中に、オペレーターがフィーダーの脱着作業を行うことができる。このため、生産ラインの稼働率が低下するのを抑制することができる。
【0019】
また、本発明のフィーダー脱着時期案内方法によると、脱着時期案内を参照することにより、オペレーターは、脱着対象となるフィーダーと、当該フィーダーの脱着時期と、を確認することができる。このため、オペレーターは、脱着時期内のどのタイミングで脱着作業を行うかを、自在に決定することができる。例えば、オペレーターは、自身の作業負荷が軽いときに、脱着作業を行うことができる。このように、本発明のフィーダー脱着時期案内方法によると、脱着作業のタイミングに対する自由度が高くなる。
【0020】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記フィーダー保持部は、前記フィーダーが個別に脱着可能に取り付けられる複数のフィーダー取付部を有し、複数の前記基板は、第一基板と第二基板とを含み、複数の前記生産プログラムは、該第一基板を生産するための第一プログラムと、時系列的に該第一プログラムよりも後に実行される該第二基板を生産するための第二プログラムと、を含み、複数の前記フィーダーは、該第一プログラムまで使用される前記電子部品が配置される第一フィーダーと、該第二プログラムから使用される該電子部品が配置される第二フィーダーと、を有し、該第一フィーダーと該第二フィーダーとは、同一の該フィーダー取付部に取り付けられ、前記脱着時期案内作成ステップにおいては、該第一フィーダーの前記取り外し時期、および該第二フィーダーの前記取り付け時期に関する前記脱着時期案内が作成される構成とする方がよい。
【0021】
図1(a)に、従来の基板切替作業の模式図を示す。
図1(b)に、本構成の基板切替作業の模式図を示す。なお、
図1(a)、(b)は、本構成の作用効果を説明するための模式図である。例えば、フィーダー取付部の数、生産プログラムの数、取り外し対象となるフィーダーの数、配置、取り付け対象となるフィーダーの数、配置など、本発明の内容を何等限定するものではない。
【0022】
図1(a)に示すように、フィーダー取付部Aのフィーダーa1(つまり電子部品)は、1番目からn番目(nは2以上の整数)までの生産プログラム(つまり基板)において、使用される。フィーダーa1は、n+1番目からの生産プログラムにおいては使用されない。また、フィーダー取付部Bのフィーダーb1は、1番目からn+1番目までの生産プログラムにおいて、使用される。フィーダーb1は、n+2番目からの生産プログラムにおいては使用されない。また、フィーダー取付部Cのフィーダーc1は、1番目からn+2番目までの生産プログラムにおいて、使用される。フィーダーc1は、n+3番目からの生産プログラムにおいては使用されない。一方、フィーダーa2、b2、c2は、n+4番目からの生産プログラムにおいて使用される。また、フィーダー取付部Dのフィーダーd1は、全ての生産プログラムにおいて、使用される。
【0023】
従来は、
図1(a)にハッチングで示すように、n+3番目のプログラムとn+4番目のプログラムとの間で、生産ラインを停止していた。そして、前出
図7に示すパレット交換台車104などを用いて、フィーダーa1をフィーダーa2に、フィーダーb1をフィーダーb2に、フィーダーc1をフィーダーc2に、一括交換していた。このため、生産ラインの稼働率が低下していた。
【0024】
この点、本構成によると、
図1(b)に示すように、第一フィーダー(フィーダーa1、b1、c1)の取り外し時期、第二フィーダー(フィーダーa2、b2、c2)の取り付け時期に関する脱着時期案内が作成される。
【0025】
脱着時期案内を参照することにより、オペレーターは、フィーダー取付部Aに対するフィーダーa1とフィーダーa2との交換作業を、n+1番目の生産プログラムからn+3番目の生産プログラムまでの間に実行すればよいことを認識することができる。また、オペレーターは、フィーダー取付部Bに対するフィーダーb1とフィーダーb2との交換作業を、n+2番目の生産プログラムからn+3番目の生産プログラムまでの間に実行すればよいことを認識することができる。また、オペレーターは、フィーダー取付部Cに対するフィーダーc1とフィーダーc2との交換作業を、n+3番目の生産プログラム内に実行すればよいことを認識することができる。
【0026】
また、オペレーターは、三つの交換作業に優先順位をつけることができる。例えば、n+3番目の生産プログラム内においては、当該生産プログラム内でしか実行できないフィーダーc1とフィーダーc2との交換作業を行い、n+2番目の生産プログラム内においては、当該生産プログラム内およびn+3番目の生産プログラム内でしか実行できないフィーダーb1とフィーダーb2との交換作業を行い、n+1番目の生産プログラム内においては、当該生産プログラムからn+3番目の生産プログラムまで実行できるフィーダーa1とフィーダーa2との交換作業を行うことを、オペレーターが判断することができる。
【0027】
このように、本構成によると、フィーダーの一括交換に伴う生産ラインの停止時間を短縮することができる。このため、生産ラインの稼働率が低下するのを抑制することができる。また、交換作業のタイミングに対する自由度が高くなる。また、交換作業を時系列的に分散することができる。また、オペレーターの作業負荷を軽減することができる。
【0028】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、複数の前記基板は、第三基板を含み、複数の前記生産プログラムは、二番目以降に実行される該第三基板を生産するための第三プログラムを含み、複数の前記フィーダーは、該第三プログラムから使用される前記電子部品が配置される第三フィーダーを有し、前記脱着時期案内作成ステップにおいては、該第三フィーダーの前記取り付け時期に関する前記脱着時期案内が作成される構成とする方がよい。ここで、「二番目以降」には「二番目」も含まれる。
【0029】
第三フィーダーは、第三プログラムから使用される。このため、第三フィーダーは、第三プログラムが開始される時点で取り付けられていればよい。逆に言えば、第三フィーダーは、第一プログラムが開始される時点で取り付けられていなくてもよい。
【0030】
本構成によると、第三フィーダーの使用開始時期(第三プログラムの実行時期)に応じて、オペレーターが第三フィーダーの取り付け作業を行うことができる。このため、取り付け作業のタイミングに対する自由度が高くなる。また、取り付け作業を時系列的に分散することができる。また、オペレーターの作業負荷を軽減することができる。
【0031】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記フィーダー保持部は、前記フィーダーが個別に脱着可能に取り付けられる複数のフィーダー取付部を有し、前記脱着時期案内は、縦軸および横軸のうち、一方に該フィーダー取付部に関する項目が、他方に前記生産プログラムに関する項目が、各々設定される脱着時期案内表である構成とする方がよい。
【0032】
本構成によると、複数の生産プログラムに対して、一覧表形式の脱着時期案内表を作成することができる。このため、複数の基板の生産開始前の段階で、全フィーダーに対して、フィーダー単位で、俯瞰的に脱着時期を認識することができる。したがって、作業負荷の程度を把握しやすい。例えば、複数のフィーダーの脱着時期が重なる時間帯においては、オペレーターを増員するなどの対策を、事前に準備することができる。
【0033】
(5)上記課題を解決するため、本発明の生産ライン管理システムは、複数の電子部品が配置される複数のフィーダーと該フィーダーが生産中に脱着可能に取り付けられるフィーダー保持部とを有し該電子部品を基板に装着する電子部品実装機を備える生産ラインと、該基板の生産プログラムを作成する総合制御装置と、を備える生産ライン管理システムであって、前記総合制御装置は、前記生産ラインで生産される前記基板の生産プログラムを複数作成する生産プログラム作成ステップと、複数の該生産プログラムを基に、生産中における、前記フィーダーの取り外し時期および取り付け時期のうち少なくとも一方である脱着時期に関する脱着時期案内を、該フィーダー単位で該脱着時期が認識できるように、作成する脱着時期案内作成ステップと、を実行することを特徴とする。
【0034】
本発明の生産ライン管理システムは、生産ラインと総合制御装置とを備えている。生産ラインは、少なくとも一つの電子部品実装機から構成されている。電子部品実装機は、複数のフィーダーとフィーダー保持部とを備えている。基板の生産中であっても、フィーダーは、フィーダー保持部に対して、脱着可能である。
【0035】
総合制御装置は、生産プログラム作成ステップと脱着時期案内作成ステップとを実行する。これら二つのステップは、上記(1)の構成と同様に実行される。
【0036】
本発明の生産ライン管理システムによると、同一の生産ラインを用いて生産される複数の基板の生産プログラムを基に、脱着時期案内が作成される。すなわち、生産計画全体を踏まえて、脱着時期案内が作成される。このため、生産ラインの稼働率が低下するのを抑制することができる。
【0037】
また、本発明の生産ライン管理システムによると、オペレーターがフィーダー単位で生産中における脱着時期を認識できるように、脱着時期案内が作成される。脱着時期案内を参照することにより、オペレーターは、基板生産中であるにもかかわらず、不要なフィーダーを取り外すことができる。また、オペレーターは、基板生産中であるにもかかわらず、必要なフィーダーを取り付けることができる。また、オペレーターは、基板生産中であるにもかかわらず、不要なフィーダーを取り外すと共に、必要なフィーダーを取り付けることができる。このように、本発明の生産ライン管理システムによると、基板生産中に、オペレーターがフィーダーの脱着作業を行うことができる。このため、生産ラインの稼働率が低下するのを抑制することができる。
【0038】
また、本発明の生産ライン管理システムによると、脱着時期案内を参照することにより、オペレーターは、脱着対象となるフィーダーと、当該フィーダーの脱着時期と、を確認することができる。このため、オペレーターは、脱着時期内のどのタイミングで脱着作業を行うかを、自在に決定することができる。例えば、オペレーターは、自身の作業負荷が軽いときに、脱着作業を行うことができる。このように、本発明の生産ライン管理システムによると、脱着作業のタイミングに対する自由度が高くなる。
【0039】
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記フィーダー保持部は、前記フィーダーが個別に脱着可能に取り付けられる複数のフィーダー取付部を有し、複数の前記基板は、第一基板と第二基板とを含み、複数の前記生産プログラムは、該第一基板を生産するための第一プログラムと、時系列的に該第一プログラムよりも後に実行される該第二基板を生産するための第二プログラムと、を含み、複数の前記フィーダーは、該第一プログラムまで使用される前記電子部品が配置される第一フィーダーと、該第二プログラムから使用される該電子部品が配置される第二フィーダーと、を有し、該第一フィーダーと該第二フィーダーとは、同一の該フィーダー取付部に取り付けられ、前記脱着時期案内作成ステップにおいては、該第一フィーダーの前記取り外し時期、および該第二フィーダーの前記取り付け時期に関する前記脱着時期案内が作成される構成とする方がよい。
【0040】
本構成によると、上記(2)の構成と同様に、フィーダーの一括交換に伴う生産ラインの停止時間を短縮することができる。このため、生産ラインの稼働率が低下するのを抑制することができる。また、交換作業のタイミングに対する自由度が高くなる。また、交換作業を時系列的に分散することができる。また、オペレーターの作業負荷を軽減することができる。
【0041】
(7)好ましくは、上記(5)または(6)の構成において、複数の前記基板は、第三基板を含み、複数の前記生産プログラムは、二番目以降に実行される該第三基板を生産するための第三プログラムを含み、複数の前記フィーダーは、該第三プログラムから使用される前記電子部品が配置される第三フィーダーを有し、前記脱着時期案内作成ステップにおいては、該第三フィーダーの前記取り付け時期に関する前記脱着時期案内が作成される構成とする方がよい。
【0042】
本構成によると、上記(3)の構成と同様に、第三フィーダーの使用開始時期(第三プログラムの実行時期)に応じて、オペレーターが第三フィーダーの取り付け作業を行うことができる。このため、取り付け作業のタイミングに対する自由度が高くなる。また、取り付け作業を時系列的に分散することができる。また、オペレーターの作業負荷を軽減することができる。
【0043】
(8)好ましくは、上記(5)ないし(7)のいずれかの構成において、前記フィーダー保持部は、前記フィーダーが個別に脱着可能に取り付けられる複数のフィーダー取付部を有し、前記脱着時期案内は、縦軸および横軸のうち、一方に該フィーダー取付部に関する項目が、他方に前記生産プログラムに関する項目が、各々設定される脱着時期案内表である構成とする方がよい。
【0044】
本構成によると、上記(4)の構成と同様に、複数の生産プログラムに対して、一覧表形式の脱着時期案内表を作成することができる。このため、複数の基板の生産開始前の段階で、全フィーダーに対して、フィーダー単位で、俯瞰的に脱着時期を認識することができる。したがって、作業負荷の程度を把握しやすい。例えば、複数のフィーダーの脱着時期が重なる時間帯においては、オペレーターを増員するなどの対策を、事前に準備することができる。