(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5751694
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】ストリップのエッジワイパー装置
(51)【国際特許分類】
B21B 45/02 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
B21B45/02 330
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2010-203078(P2010-203078)
(22)【出願日】2010年9月10日
(65)【公開番号】特開2012-55943(P2012-55943A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2013年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】714003416
【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073357
【弁理士】
【氏名又は名称】犬飼 新平
(72)【発明者】
【氏名】古川 峰飛
【審査官】
酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−039508(JP,U)
【文献】
実開昭58−152309(JP,U)
【文献】
特開平08−117820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼帯処理ラインのストリップのエッジ部に付着した水等を除去するものであって、ストリップの上側に間隔を存して、ストリップ幅方向に沿う水平軸回りに回動自在に支持された平面視矩形のフレームと、該フレームを回動させる操作ハンドルと、前記フレームを回動・固定可能とさせる手段と、前記フレームの上側に固定されてストリップ幅方向に延びたエアーヘッダと、該エアーヘッダからストリップ長さ方向に沿って下方に伸び、かつ、ストリップ幅方向に複数対設けられたエアー噴射管と、該噴射管の先端に取り付けられたエアーノズルとを備えたストリップのエッジワイパー装置。
【請求項2】
前記フレームを回動、固定させる手段において、第2支柱に円弧状のスリットを設け、前記操作ハンドルに設けた孔と前記スリットを合わせ、ボルトを通し、ナットで締結するようにし、前記フレームの回動範囲を無段階に変更可能とした請求項1記載のストリップのエッジワイパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼帯処理ラインのリンガーローラーやテンションレベラー他に適用可能なストリップのエッジワイパー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の第1例として、鋼板エッジの水などを除去するために、鋼板幅の大きさによってそれぞれのエッジにあたるように、複数のエアーノズルが設けられていた。そして、板の形状異常などでノズル退避させたい場合は、エアーシリンダなどで持ち上げていた。
【0003】
この種の装置の第2例として、特許文献1のものは次のようなものであった。即ち、
図5に示したように、2本のロールが弾性ウレタンゴムからなり、ロール間にストリップ1を挟んで通過させるとき、ストリップ長端に生じる三角形の隙間7から出てくる液をシールするノズル8が設けられる。ノズルは隙間7に高圧空気を噴射する。ノズル位置を移動できるように、ネジ棒をチエン12を介してモータ9を回転させ、ネジ棒に搭載されたノズルを移動させる。
【0004】
また第3例として、特許文献2のものは次のようなものであった。即ち、ストリップの上下にエアーヘッダを設け、これらを板幅方向に移動可能とし、エアーヘッダの位置を検出する装置を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−117820号公報
【特許文献2】特開昭59−33022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの従来の装置ではいずれも大がかりなノズルの駆動装置を必要とする。また、第2、第3例のものでは、ノズルをストリップ幅方向に移動させるので、ストリップの両側にスペースを必要とし、作業者はその部分に近づくことができない。このように、ノズルを直線的に移動させるので、原理的に広い空間が必要であり、駆動エアーシリンダのストロークも長くなる。
【0007】
本発明は上記課題を解決し、エアーノズルを必要な時に簡単に退避でき、エアーシリンダなどの駆動装置を使わない装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1課題解決手段は、鋼帯処理ラインのストリップのエッジ部に付着した水等を除去するものであって、ストリップの上側に間隔を存してストリップ幅方向に沿う水平軸回りに回動自在に支持された平面視矩形のフレームと、該フレームを回動させる操作ハンドルと、前記フレームを回動・固定可能とさせる手段と、前記フレームの上側に固定されてストリップ幅方向に
延びたエアーヘッダと、該エアーヘッダからストリップ長さ方向に沿って下方に伸び、かつ、ストリップ幅方向に複数対設けられたエアー噴射管と、該噴射管の先端に取り付けられたエアーノズルとを備えたことである。
【0009】
本発明の第2課題解決手段は第1課題解決手段に加え、前記フレームを回動、固定させる手段において、第2支柱に円弧状のスリットを設け、前記操作ハンドルに設けた孔と前記スリットを合わせ、ボルトを通し、ナットで締結するようにし、前記フレームの回動範囲を無段階に変更可能としたことである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1課題解決手段により、エアーノズルを必要な時に簡単に退避でき、エアーシリンダなどの駆動装置を使わない装置を提供できることとなった。また、本発明の第2課題解決手段により、第1課題解決手段の効果に加え、前記フレームの回動範囲を無段階に変更可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の一実施例を図面にもとづき説明する。
図1,2において、本発明は鋼帯処理ラインのストリップSのエッジ部に付着した水等を除去するものである。その大要は、ストリップの上側に間隔を存してストリップ幅方向に沿う水平軸3の回りに回動自在に支持された平面視矩形の主フレーム1と、該フレームを回動させる操作ハンドル11と、前記フレームを回動・固定可能とさせる手段12と、前記フレームの上側に固定されてストリップ幅方向に
延びたエアーヘッダ5と、該エアーヘッダからストリップ長さ方向に沿って下方に伸び、かつ、ストリップ幅方向に複数対設けられたエアー噴射管6と、該噴射管の先端に取りつけられたエアーノズル7とを備えたものである。
【0013】
平面視矩形の主フレーム1は、その展延面をほぼストリップの上面に平行とし、かつ、矩形の対向2辺(前後辺)をストリップの両端(エッジ)に平行となっている。フレームの対向2辺(前後辺)の中央から水平軸3がストリップ幅方向に延びて設けられ、この水平軸が床から立てられた第1支柱8の上面に軸受を介して回転自在とされる。
【0014】
主フレーム1の対向2辺(前後辺)の前辺の上側に、門形の副フレーム2が立設され、この上辺中央から中間片4を介して、ハンドル軸10が板幅方向手前へ延び、その先端に細板状の操作ハンドル11が設けられる。これによってハンドルを両手で握って右回り、左回りさせると、主フレーム1は水平軸回りに揺動する。
【0015】
操作ハンドル11に接近して第2支柱9が床から立設され、これには位置決め孔9aが2個設けられている。そして、この孔とハンドルに設けた孔とを合わせて、ボルト12を通して締結する。
【0016】
前記において、板幅の大,中,小に対応してノズル系統(各々a,b,cで表す)を分ける。機側にある「エッジワイパー操作盤」にPBL(プッシュボタン・ランプ),「大」,「中」,「小」の操作表示を設ける。各PBLに対応した系統のノズルからエアーを送る。このため、各系統に電磁弁と、その操作のためのリレー回路が設けられる。電磁弁不良の対策として、各電磁弁に対してバイパスを設ける。各系統に弁と圧力系を設置する。
【0017】
以上において、作動状態を説明する。
図1、2に示すように、実線示のように、板幅「小」に対応したノズル7c,噴射管6c,ヘッダ5cに圧縮エアーが供給され、ストリップのエッジ部に付着している水などを吹き飛ばして除去する。板幅が変われば、それに対応したノズル、噴射管、ヘッダに圧縮エアーが供給される。
【0018】
今、ノズル7をストリップから離す場合、まずエアーの供給を止めてから、操作ハンドル11のボルト12を緩めて外し、ハンドルを両手で持って少し左に回し、ハンドルと第2支柱9の両孔にボルトを通して締結する(
図3)。これにより、ノズルを含む空気系と共に主フレーム1が少し左に回り、
図2の点線示のように、ノズルがストリップから離れた状態となる。
【0019】
図4は他の実施例を示す。操作ハンドル11を回動、固定させる手段として、第2支柱9に円弧状のスリット9aを設け、ハンドルの孔とスリットを合わせ、ボルト12を通し、蝶ナット13で締結するようにした。これにより、ボルトをいちいち外すことなく、蝶ナットを緩めるだけで、ハンドルの回動範囲を変更可能となる。
【0020】
本発明は前記した実施例や実施態様に限定されず、特許請求の範囲および範囲を逸脱せずに種々の変形を含む。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明はストリップのエッジワイパー装置に利用される。
【符号の説明】
【0022】
S ストリップ(鋼帯)
1 主フレーム
2 副フレーム
3 水平軸
4 中間片
5 エアーヘッダ
6 エアー噴射管
7 エアーノズル
8 第1支柱
9 第2支柱
9a 孔
9b スリット
10 ハンドル軸
11 操作ハンドル
12 ボルト
13 蝶ナット