特許第5751736号(P5751736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5751736
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】ロボット運動補償装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/10 20060101AFI20150702BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20150702BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   B25J9/10 A
   B25J9/06 D
   H01L21/68 A
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2002-517592(P2002-517592)
(86)(22)【出願日】2001年7月10日
(65)【公表番号】特表2004-505789(P2004-505789A)
(43)【公表日】2004年2月26日
(86)【国際出願番号】US2001021917
(87)【国際公開番号】WO2002012970
(87)【国際公開日】20020214
【審査請求日】2008年6月18日
【審判番号】不服2012-24857(P2012-24857/J1)
【審判請求日】2012年12月14日
(31)【優先権主張番号】09/635,732
(32)【優先日】2000年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503053860
【氏名又は名称】ジェンマーク・オートメーション・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ズラトコ・エム・ソティロヴ
(72)【発明者】
【氏名】ユージン・ジー・ボネヴ
【合議体】
【審判長】 石川 好文
【審判官】 刈間 宏信
【審判官】 栗田 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−506789(JP,A)
【文献】 特開2000−183128(JP,A)
【文献】 特開平8−150580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/10 B25J 9/06 H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の自由度と、1つ以上のモータによって作動させられかつ接近位置及び捕捉位置間で物体を双方向に搬送するように構成されたロボットアームとを有するロボットで、前記物体を搬送する方法において、
前記ロボットアームを使用して接近位置で前記物体を支持する段階と、
前記接近位置に対応する前記モータの回転角度位置を特定する段階と、
前記接近位置に対応して特定された前記モータの回転角度位置に基づいて該接近位置に対応する前記ロボットの一般化座標を特定する段階と、
前記ロボットアームを使用して捕捉位置で前記物体を支持する段階と、
前記捕捉位置に対応する前記モータの回転角度位置を特定する段階と、
前記捕捉位置に対応して特定された前記モータの回転角度位置に基づいて該捕捉位置に対応する前記ロボットの一般化座標を特定する段階と、
最初の学習モード中の教示によって、前記接近位置と前記捕捉位置との間で前記物体を移動させる段階と、を備え、
前記物体が前記物体の中央を通りかつ前記物体の長手方向と平行に延在する物体軸線を有しかつ移動させる前記段階が、前記物体軸線に少なくとも部分的に一致する経路に沿った、前記接近位置と前記捕捉位置との間で前記物体が移動するように、該物体の平面及び昇降及び傾斜運動を同期させる段階を備え、
同期させる前記段階が、
1つ以上の放射状軌道、非放射状多重区分軌道、あるいは非放射状軌道からなる、関連する所定の複合速度プロファイル軌道に沿って前記ロボットアームを案内するための、1つ以上の運動制御アルゴリズムを創出する段階であって、この創出する段階が、前記物体及び前記ロボットアームの幾何形状、剛性及び質量を考慮した、平面、昇降及び傾斜運動に関する速度プロファイルを解析的に計算することと、逆運動学を用いて前記軌道に沿った計算された運動をモータ運動へと変換することと、を備える前記段階と、
1つ以上の前記運動制御アルゴリズムを使って前記接近位置と前記捕捉位置との間で前記ロボットアームの運動を案内する段階とを備える、方法。
【請求項2】
前記一般化座標を特定する段階は、前記接近及び補足位置に対応する前記モータの回転角度位置を個々の一般化座標へと変換するために、1つ以上の順運動学的計算を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロボットが傾斜機構を有するグローバル・ポジショニング・ロボット(GPR)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記物体が前記ロボットのエンドエフェクタである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板を取り扱うロボット(substrate handling robots)に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体及び他の産業では、ロボットは高反復性及び高精度を要する種々の仕事を行なうように要求される。例えば、半導体ウェーハ処理では、複数の半導体ウェーハを含むカセットは、内部でウェーハが処理を受ける微小−環境(micro-environment)内に積載及び荷卸しされる。積載及び荷下し機能は、微小環境内の異なる処理ステーション間にウェーハを輸送する働きもするロボットによって行なわれる自動化された運動を含む。そのようなロボットは、その全体が本願明細書に参考文献として援用される「多自由度を有するロボット」と題する同時係争中の米国特許出願第09/079,850号に開示される。
【0003】
前述の特許出願でのロボットは、グローバル・ポジショニング・ロボット(GPR)として知られたタイプであって、図1から分かるように、基板を取り扱うためのエンドエフェクタ(end effecter)18を具備するロボットアーム16が頂部に取り付けられる1つ以上の伸縮自在な台14を有するベースユニット12を含む。伸縮自在な運動は、Z軸線の周りに傾斜するようにさらに構成されたロボットと共に、Z軸線方向の運動を構成する。傾斜は、モータ(図示せず)のような独立して制御可能な作動装置を使用して、3つの支柱15、17及び19に沿ったZ方向運動を独立して作動させることにより達成される。他の傾斜機構も周知であり、かつZ軸線に沿った傾斜を行い得る。
【0004】
ロボットアーム16は、さらに、エンドエフェクタ18が線形・非線形の経路を含む種々の可能な経路をとって、平面内の所定領域周りの何処に移動し得るような、慣用の円筒座標系中でR及びθによって定義される平面内で運動することができる。この運動は、モータおよび前述の特許出願に記載された(図示しない)協働するベルト・プーリ・リンケージのような適切な作動装置を使用して行われる。他の運動は、ロボットが6つ以上の自由度及びおそらくは運動学的重複を達成することを許容して、エンドエフェクタ18の偏揺れ(yaw)及びロール運動を含む。作動装置は、所望の運動軌道を達成する適切なコマンドを発信するように構成されたマイクロプロセッサーのような適切な制御装置を使用して制御される。
【0005】
ロボットの適用において実現し得る精度の量は種々の要因に依存し、かつ、例えばロボットアームのような運動する構成要素の幾何形状及び剛性によって制限される。ロボットによって操作される基板の重量は装置に或る偏差を与え、及び、ますます大きな基板の取り扱いを要する半導体及びLCD技術分野の進歩と共に、この要因はますます重要になる。基板がロボットによって異なる位置間で輸送されると、例えば、予期される偏差を吸収するためにカセット中のウエハー間の間隔を増加させる必要性のような、精度を損ないかつ望ましくない拘束を課して、意図した経路からの偏差が必然的に生じる。このように、ロボットアームの誤差又は偏差、ロボットアームの又は操作された基板のエンドエフェクタの偏差、あるいは基板及び/又はカセットの芯ずれにより、問題が生じ得る。
【0006】
遭遇した問題をより良く説明するために、理想的状態を初めに検討する。図2Aは,基板、この場合は実質的に平らな形状と、自身の主平面に置かれる物体軸線Pとを有する半導体ウェーハ24は、カセット22の自身が28として表示されるスロット内で中心に位置づけられる。ウェーハ24及びスロット28の姿勢は等価である。ロボットアーム(図示せず)は完璧に製造されると想定される。したがって、ウェーハ24はスロット28への及び該スロットからの搬送の間に同一平面内に留まる。図2Bに描かれたウェーハ24の運動平面が、ウェーハ自体(より詳細には物体軸線Pで)の平面及びスロット28の平面と一致するため、移動経路中に何等の障害物にも遭遇せず、接近(approach)位置と捕捉(pick up)位置の間のウェーハ24の運動は自由である。明瞭化のため、接近位置はカセットに対して定義され、エンドエフェクタ及び/又はエンドエフェクタ・ウェーハの組み合わせがカセットへの接近又は該カセットから後退する位置として理解されるべきである一方で、捕捉位置はウェーハ自体に対して定義され、エンドエフェクタがまさにウェーハに係合するか又は該ウェーハから解放されようとする位置である。
【0007】
実際に遭遇しかつ図3Aに描かれる第1の非理想的状態では、ウェーハ24の姿勢は、このウェーハが占めるスロット28の姿勢とは異なっており、物体軸線Pはスロット28の軸線と交差した状態である。ウェーハ24この交差位置にあるカセット22から引き抜くことができないため、これらウェーハとカセットの2つの平行が達成されるまで該ウェーハ24の姿勢維持しながらカセット22が回転しなければならないか(図3B、あるいはウェーハ24を支持しながらロボット自体が回転しなければならない(図3C。カセットの回転は、手動で行なわれかつ装置のスループット及び効率を減じる破壊的な介在である一方で、ウェーハ−エンドエフェクタ複合体の回転はGPRタイプ・ロボットを使用してのみ行い得る。
【0008】
スロット28(図4A)内に適切に整合されたウェーハ24が、例えばアームの幾何学的な誤差により運動する間に自身の姿勢及び鉛直位置を変更すると、図4Aおよび4Bに描かれたより悪い状態が生じる。ウェーハ24が、逆にカセット22内への挿入プロセスを行う間に、移動した姿勢及び鉛直位置でスロット28に接近することは等しく望ましくない。この顕れは、ウェーハ24の姿勢が運動aの方向と交差するような、運動aの方向に対する物体軸線Pの傾斜である。
【0009】
図6A図6Cは、芯ずれしたカセット22のスロット28から後退する間の半導体ウェーハ24の運動を示す。図面から分かるように、ウェーハ24の運動の方向がウェーハ24の物体軸線Pに一致しないため、ウェーハ24が搬送期間の間に亘って必然的に占有する物体影29が形成される。この物体影29は、図6A及び図6Bに示されるスロット幅を超過し、かつカセット22内へのウェーハ24の妨げられない後退又は挿入を許容するために図6Cに示すようなスロット28の拡張幅の要求を課する。従って、ウェーハ間隔は増大させられ、カセット容量は減じられる。
【0010】
従来の非GPRロボットはこの状況を回避することができない。何故なら、これらのロボットは自身の長手方向軸線周りにエンドエフェクタの姿勢を変更することができないからである。また、これらのロボットが必要な複合運動を行うための適切なアルゴリズム資源を欠くためでもある。他方、GPRロボットは、望ましくない偏倚を補償することができる。何故なら、これらのロボットは図5に示すように、例えば、Z軸線に沿って傾斜させることができるからである。
【0011】
図5は、ウェーハを搬送するGPRロボットの2つの位置、すなわち補償された位置及び補償されていない位置を概略的に示す。他の姿勢でも勿論行うことができるが、この場合の補償はウェーハ24の水平姿勢を維持するために行われる。見れば分かるように、アーム16´が延伸された状態での非補償位置30´では、エンドエフェクタ18´及びウェーハ24´の姿勢が、例えばウェーハ24´、アーム16´、及びエンドエフェクタ18´の重量、及びアーム16´及びエンドエフェクタ18´の幾何形状及び剛性によるたるみを呈して、水平から偏倚する。この偏倚を補償するために、台14は所定角度aだけ傾斜され、かつ量dZだけ下降される一方で、アーム16は所定量だけ延伸される。合成傾斜はウェーハ24を再び水平姿勢に整合させる。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の状況は実際に遭遇するため、ロボット運動を制御することは望ましい、自身の意図した経路からの予期されるそれ及び偏倚を制御することが望ましい。そのようなやり方で、より高い精度及び基板ピッチは達成され、かつプロセス・スループットは改善された。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ロボットアーム移動経路の偏差を能動的に補償することによって従来技術の欠点を克服する。本発明に従って、ロボットアーム運動の速度成分は、ロボットアームの延伸及び後退の間に同期されて、それにより機械的及び他の欠陥、並びに、補償しなければ理想的経路からの偏倚を生じるであろうアーム及び操作される物体の他の不完全性を補償する。
【0014】
好ましい実施形態に従って、ロボットアーム自体のエンドエフェクタであり得る、搬送される物体の軌道は物体の物体軸線に沿うように、Z方角のロボットアーム運動はロボットアームの平面の運動と同期される。同期は、エンドエフェクタ座標に関するロボットの接近及び捕捉位置間の直線補間とし得る。例えば、基板の重量によるロボットアーム位置偏差の影響は、物体操作プロセスの精度に影響を与える他の要因と共に、ロボットアーム−物体複合物並びにこれらの重量を勘案した所定の運動アルゴリズムを適用することによって除去される。
【0015】
GPR(グローバル・ポジショニング・ロボット)はそのような偏差を最小限にするのに特に都合が良い。何故なら、これらのロボットの3つの作動Z軸線が上部の機械構造体へのより強力な支持を与えるためである。また、これらの運動学的な多様性が、操作される基板の特性点(中心)に影響を与えずに、GPRの台及びエンドエフェクタの姿勢をカセットの姿勢に調節できるためである。本発明に従って、GPRの敏捷性はカセット又は他の基板ホルダと協働するエンドエフェクタの接近及び捕捉位置間の移動中に台の同期運動に利用される。
【0016】
本発明の多くの利点は、添付図に関連する本願明細書を読んだ当業者には明らかであろう。本明細書では、同様の参照符号が同様の部材に付される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図7は、基板搬送GPRの2つの位置、接近位置31及び捕捉位置31´を概略的に示す。作動に際して、アーム34はロボットの作動中に、例えば、基板搬送カセット(図示せず)に接近し、かつこの基板搬送カセットから基板を捕捉するか、あるいは装置内の別の領域から基板32をカセットに送り戻すように、これらの2つの位置間で往復運動する。基板という用語は、例えば半導体ウェーハ及びLCDパネルを含むことを理解すべきである。さらに、以下に記述するような本発明の方法は、基板を搬送するか否かに拘わらずそれ自体がエンドエフェクタを含む、任意の物体の運動に適用することができ、その結果、物体の正確な運動に付随する困難性を回避することができる。
【0018】
理解し得るように、水平配向で基板32を維持するために、アーム34は必然的に、例えば基板32の重量と、アーム34の幾何形状及び剛性とによって加えられる、たるみを補償する所定の補償角βで角度が付けられる。そのような補償角度は、3つの支柱(これらの支柱のうちの37及び39の2つのみを図示する)上に支持された台36が、これらの支柱を異なる速度でZ方向に移動させることによって傾斜し得るタイプのGPRによって容易に達成される。図8に示すように、そのような運動はモーター41及び43のような作動装置を使用して行われ、かつ、例えば適切にプログラムされたマイクロプロセッサーのような、制御装置45によって制御される。制御装置45は、アーム34の一平面内での延伸/後退運動、及び、偏揺れ、ピッチ及びロール運動を含む考えられるその他の運動も制御する。制御装置45が作動して、適切な機械式リンク装置42、44を介して所望の一平面内での延伸/後退運動を行うように作動する、モータのような、作動装置40に制御信号を発信する。エンドエフェクタ47を独立して移動させる1つ以上のモーター(図示せず)への信号も、制御装置45によって発信される。説明のために、ロボットアーム34の運動を昇降(Z)運動及び一平面内での延伸/後退運動に関して検討する。しかしながら、一平面内での延伸/後退運動が、それ自体、ロボットアーム34及びエンドエフェクタ47が可能である種々の他の運動を発生し得ることが理解される。
【0019】
図7を再び参照すると、接近位置(31)及び捕捉位置(31´)における基板32の異なる姿勢が、これら2つの位置間で必ずしも変わらない傾斜角度Pとは無関係な、ロボットアーム34の一平面内での延伸/後退運動の異なる量、及び台36の異なる昇降(Z)位置によることが理解できる。従って、接近位置31と捕捉位置31´間のアーム34の移動の間、アーム34が取り付けられる台36の昇降運動と、アーム34の一平面内での延伸/後退運動との同期は、基板32の配向及びこの基板の平面上における位置の両方を保存する働きをする。換言すれば、捕捉及び接近位置間で移動する際には、基板32は、アーム34に平面運動及び昇降運動の両方を与え、及びこれら2つの与えられた運動を同期させることによって、自身の物体軸線Pに少なくとも部分的に一致する軌跡に沿って移動するようになされる。移動軌跡に沿うこれらの位置及びこれらの位置間のエンドエフェクタ47の座標を使用するロボットの接近及び捕捉位置間の直線補間の形態で同期を取り得る。図7の特別の実施形態では、必ずしも常に該当するものではないが、移動軌跡及び物体軸線Pの両方は水平である。作動装置40、41、及び43と、エンドエフェクタ47及びこれと協働する単数又は複数のモータ(図示せず)を含む、アーム運動に協働する他の装置とに適切な信号を発信する制御手段45によって同期を取り得る。
【0020】
図6から図8までに示すようなGPRロボットでは、台36は3つの支柱(37と39の2つのみを図示する)を有する複合Z軸支柱上に支持される。検討してきたように、台36は、傾斜角の規定された範囲内で何れか所望の傾斜を達成するために、これらのZ軸支柱に沿って、独立して作動可能である。台の特定のZ位置は、3つのZ軸座標(Z1、Z2、Z3)によって定義される。捕捉では、台36の昇降位置はZ座標(Z1pu、Z2pu、Z3pu)によって定義される一方で、接近では、位置はZ座標(Z1appr、Z2appr、Z3appr)によって定義される。捕捉位置は、dZ1=Z1pu−Z1appr、dZ2=Z2pu−Z2appr及びdZ3=Z3pu−Z3apprである、量dZ=(dZ1、dZ2、dZ3)によってZ軸に沿った接近位置とは異なる。図7の配置構成では、台36の角度が両位置で同じであるように、dZ1、dZ2及びdZ3は等しい(dZ1=dZ2=dZ3)。しかしながら、以下に検討するように、これは必ずしも該当するものではない。
【0021】
Z運動と、アーム34の一平面内での延伸/後退運動との同期は、制御装置45が展開したアルゴリズムを使って分析的又は実験的に達成し得る。解析的手法では、例えばアーム34及び基板32機械的特性―すなわち幾何形状、剛性、重量の全てが、比較的直接的な態様で適切な配向及び運動方向を維持するために必要な相対的Z軸及び一平面内での延伸/後退運動を計算するために考慮される。このデータから、異なるアームの作動機構に必要な制御信号を発信する制御装置45を使ってロボットアーム34の軌道を案内する運動制御アルゴリズムが開発される。
【0022】
実験的手法では、捕捉及び接近位置は、例えば、各カセット及び/又は処理ステーションに対する、最初の学習モード中に、別々に教示される。1つの例として、ロボットの教示は、基板32が捕捉位置でスロットの真中にあり、かつこの基板の前端縁が接近位置でスロット入口の真中にあることを保証するために実行し得る。この手順は、アーム34、エンドエフェクタ47、及び基板32の複合偏倚、並びにアーム34の不正確さを自動的に相殺する。再び、このデータから、作動機構へ適切な指令を発信するために制御装置45を使用して、ロボットアーム34の必要な運動を実行するために適切な運動制御アルゴリズムが開発される。もちろん、当業者は、複合速度プロフィールを具備する、放射状軌道、非放射状の多重区分軌道及び非放射状の軌道に沿った単一の直線運動が全て本発明の範囲内に該当することを理解するであろう。
【0023】
上記から、本発明に従う補償は、2つの特性位置すなわち接近位置及び取上位置での物体の配向と、これらの2つの位置間の全てのロボット軸線の同期運動との修正から成ることを理解し得る。傾斜運動はそのような運動であり、ロボットが特定のステーションの取上位置にあるとすると、このロボットは、ステーションの配向の不完全状態を補償するために、物体の特徴点(すなわち、中央)周りに物体/エンドエフェクタを回転させる必要がある。これを遂行するために、このタスクは少なくとも6つの自由度を要する。GPRロボットは、エンドエフェクタ操作を行い得る軽量態様のために、及びそれが自身に特有なハイブリッドな性質により可能である高精度及び増大した有効搭載量のために、半導体処理状況でこれら6つの自由度を設けるには特に都合が良い。GPRのこのハイブリッドな性質は、GPRが、3つのZ軸ロボット昇降装置である並列構成要素と、半径方向かつ角運動によって規定される一平面内での運動を有する延伸可能なアームである直列構成要素とを具備する直列−並列装置であるとみなされる事実に由来する。これらの構成要素の各々は或る動作上の利点を与え、及びこれと共に、半導体処理環境のために最適化された処理装置が実現される。特に、GPRロボットは、ロボットアームを支持する並列の機械式構造体を通じて単一平面(T、R、Y)内の直列のアームと、正確な傾斜運動を使って(大規模な作業領域に亘る)迅速な全体的運動を与えることによって並列及び直列のマニピュレータの利点を併せ持つ。
【0024】
しかしながら、GPRロボットのハイブリッドな性質は、装置の機械的特徴に特有な独特の動的要件を課する。従って、ステーションの配向の不完全状態を補償するために1つ以上の軸の周りでエンドエフェクタを回転させることを備える、傾斜運動に対する偏倚補償は、自身の出力がモータ位置に関連したものであるエンコーダを使って、GPR(一般化座標)のモータの現在位置に基づいてエンドエフェクタの位置及び配向を計算することを含む。この計算は順運動学として参照され、かつこれらの解は物体に堅固に固定された座標フレームの位置を決定するために必要である。その後、直接の運動を解決することにより座標フレームの位置を決定した後、ロボットは、座標フレームの選択された軸線周りに物体/エンドエフェクタを回転させて所望の位置に到達させる。この所望の配向は、その後、逆運動方程式を解くことによって決定される一般的なロボット位置座標に関する。実際、逆運動方程式は全体的なロボット位置に再び関連する。
【0025】
上記の計算及び運動を行なった後に、物体/エンドエフェクタは、接近位置から取上位置へ移動される。この運動は、上述したのと類似の態様で順運動学及び逆運動学を含む計算を行うことによって達成される傾斜及び並進の両方を含む。ロボット運動中の、逆運動学と順運動学の解の比較は適切な運動及び軌道が追従されたことを確認するために使用し得る。
【0026】
順運動学問題の解決策が図9を参照して説明され、かつ以下のものと関連している。
【0027】
順運動学(Direct kinematics)
既知事項(Given): ロボットの一般化座標
【0028】
【数1】
【0029】
認定事項(Find): エンドエフェクタの特性点の位置。
【0030】
【数2】
【0031】
及びエンドエフェクタの姿勢。
【0032】
【数3】
【0033】
台における球面軸受の柱の位置は以下のように計算し得る。
【0034】
【数4】
【0035】
この時、台の中心点の半径方向ベクトルは以下で表し得る。
【0036】
【数5】
【0037】
台に堅固に固定された座標フレームの単位ベクトルは以下で与えられる。
【0038】
【数6】
【0039】
【数7】
【0040】
【数8】
【0041】
ここで、以下のような関係がある。
【0042】
【数9】
【0043】
絶対(ベース)座標フレーム
【0044】
【数10】
【0045】
に対するエンドエフェクタの特性点の位置
【0046】
【数11】
【0047】
は以下の式により計算し得る。
【0048】
【数12】
【0049】
ここで、以下のような関係がある。
【0050】
【数13】
【0051】
【数14】
【0052】
【数15】
【0053】
そしてa及びlは、それぞれ、ロボットアームの第1リンクの長さと、エンドエフェクタの長さとを表す。最後に、エンドエフェクタの姿勢は、直交単位ベクトルによって表し得る。
【0054】
【数16】
【0055】
【数17】
【0056】
【数18】
【0057】
【数19】
【0058】
逆運動学的問題の解決策は以下を含む。
【0059】
逆運動学
既知事項: エンドエフェクタの特性点の位置。
【0060】
【数20】
【0061】
及び以下の転置行列で表されるエンドエフェクタの姿勢。
【0062】
【数21】
【0063】
認定事項: ロボットの一般化座標
【0064】
【数22】
【0065】
絶対(ベース)座標フレーム
【0066】
【数23】
【0067】
に対する台の中央の位置を計算するために、軸線
【0068】
【数24】
【0069】
及び以下の式で表されるエンドエフェクタ平面の交点を計算する。
【0070】
【数25】
【0071】
点Pの座標を直接、上記式に代入すると、以下のようになる。
【0072】
【数26】
【0073】
【数27】
【0074】
以下の式が、ロボットアームの高さであることを考慮すると、
【0075】
【数28】
【0076】
ここで、
【0077】
【数29】
【0078】
である。ベース及び台の特性点間の距離は以下によって計算し得る。
【0079】
【数30】
【0080】
ベース及び台を連結する棒の長さを表す一般化座標、
【0081】
【数31】
【0082】
は、以下の式によって与えられる。
【0083】
【数32】
【0084】
ここで、
【0085】
【数33】
【0086】
である。
【0087】
台の座標フレームの単位ベクトルは、以下の式により計算し得る。
【0088】
【数34】
【0089】
【数35】
【0090】
【数36】
【0091】
ここで、
【0092】
【数37】
【0093】
である。
【0094】
ロボットアームの一般化座標(間接角)は以下の式により計算し得る。
【0095】
【数38】
【0096】
【数39】
【0097】
【数40】
【0098】
【数41】
【0099】
【数42】
【0100】
【数43】
【0101】
上記が行われた後で、接近及び捕捉位置間の同期運動が行われ、これにより本発明の補償され、同期されたロボットアーム手法を実現する。
【0102】
上記は本発明を実行する例示的な実施態様であり、かつ限定することを意図するものではない。当業者には、これらの実施態様への変更は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲を逸脱することなくなし得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
図1】 GPRロボットの概略図である。
図2A】 理想的な基板後退状況の概略図である。
図2B】 理想的な基板後退状況の概略図である。
図3A】 実際に遭遇する第1の非理想的状況の概略図である。
図3B】 実際に遭遇する第1の非理想的状況の概略図である。
図3C】 実際に遭遇する第1の非理想的状況の概略図である。
図4A】 実際に遭遇する第2の非理想的状況の概略図である。
図4B】 実際に遭遇する第2の非理想的状況の概略図である。
図5】 GPRロボットの補償及び非補償相対的配置の概略図である。
図6A】 物体付影が創出された非理想的状況を説明する概略図である。
図6B】 物体付影が創出された非理想的状況を説明する概略図である。
図6C】 物体付影が創出された非理想的状況を説明する概略図である。
図7】 接近及び捕捉位置におけるGPRロボットの概略図である。
図8】 GPRロボットの内部詳細を示す概略図である。
図9】 本発明に従って組み込まれる種々の計算原理を示す概略線図である。
【符号の説明】
12 ユニット
14 台
15、17、19 支柱
16、16´ ロボットアーム
18、18´ エンドエフェクタ
22 カセット
24、24´ ウェーハ
28 スロット
29 物体影
30´ 非補償位置
31 接近位置
31´ 捕捉位置
32 基板
34 アーム
36 台
40 作動装置
42、44 機械式リンク装置
41、43 モータ
45 制御装置
47 エンドエフェクタ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9