特許第5751740号(P5751740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5751740
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】二剤式染毛剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20150702BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20150702BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20150702BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   A61K8/42
   A61K8/22
   A61K8/46
   A61Q5/10
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2008-274240(P2008-274240)
(22)【出願日】2008年10月24日
(65)【公開番号】特開2009-120604(P2009-120604A)
(43)【公開日】2009年6月4日
【審査請求日】2011年9月16日
【審判番号】不服2013-23577(P2013-23577/J1)
【審判請求日】2013年12月2日
(31)【優先権主張番号】特願2007-276742(P2007-276742)
(32)【優先日】2007年10月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】宮部 創
(72)【発明者】
【氏名】松尾 貴史
【合議体】
【審判長】 松浦 新司
【審判官】 関 美祝
【審判官】 小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−124279(JP,A)
【文献】 特表2002−531386(JP,A)
【文献】 特表2001−517608(JP,A)
【文献】 特開2005−139177(JP,A)
【文献】 特開平10−236929(JP,A)
【文献】 特開平8−259426(JP,A)
【文献】 特開2007−119480(JP,A)
【文献】 花王プリティア泡カラー プリティア泡カラーの使い方,URL http://www.kao.co.jp/prettia/howto/index.html
【文献】 ニュースリリース 企業情報 花王株式会社 発表資料:2007年5月24日 「プリティア ふんわり泡カラー」新発売,URL http://www.kao.com/jp/corp_news/2007/2/n20070524−01fc.html
【文献】 International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook 第9版,2002年,第1巻,The Cosmetic,Toiletry and Fragrance Association,396〜398頁,875頁,1061〜1062頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤、過酸化水素を含有する第2剤、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するためのノンエアゾール・フォーマー容器からなり、混合液中に次の成分(A)及び(B)を含有する二剤式染毛剤。
(A)アニオン界面活性剤
(B)脂肪酸アルカノールアミド
【請求項2】
第1剤と第2剤の混合液中に、更に不揮発性親水性溶剤を0.01〜5質量%含有するものである請求項1記載の二剤式染毛剤。
【請求項3】
成分(A)が、アルキル硫酸塩及びアルキルエーテル硫酸塩から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の二剤式染毛剤。
【請求項4】
第1剤と第2剤の混合液中における成分(A)の含有量が0.1〜30質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二剤式染毛剤。
【請求項5】
第1剤と第2剤の混合液中における成分(B)の含有量が0.1〜15質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の二剤式染毛剤。
【請求項6】
第1剤と第2剤との混合液の25℃における粘度が1〜300mPa・sである請求項1〜5のいずれか1項に記載の二剤式染毛剤。
【請求項7】
第1剤と第2剤の混合液が、シリコーン類を含まないものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の二剤式染毛剤。
【請求項8】
第1剤と第2剤の混合液が、高級アルコールを含まないもの又は高級アルコール:0.8質量%以下を含むものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の二剤式染毛剤。
【請求項9】
アルカリ剤を含有する第1剤、過酸化水素を含有する第2剤、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するためのノンエアゾール・フォーマー容器からなり、混合液中に次の成分(A)及び(B)を含有する二剤式染毛剤を用い、混合液をノンエアゾール・フォーマー容器から泡状に吐出させ、この泡を頭髪に適用した後、頭髪上で再度泡立てる頭髪染色方法。
(A)アニオン界面活性剤
(B)脂肪酸アルカノールアミド
【請求項10】
第1剤と第2剤の混合液が泡立たないように第1剤と第2剤を混合する請求項9記載の頭髪染色方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二剤式染毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、染毛剤組成物としては、液状又はクリーム状のものが普及しているが、これらを頭髪にムラなく塗布するのは難しい。特に、消費者自身が、自己の頭髪の根元部分や後頭部に塗布するには、ブロッキング、合わせ鏡等のスキルの習熟が必要であるとともに、ムラなく塗布するために慎重な操作が必要である。
【0003】
そこで、剤を泡状に吐出して染毛操作を簡便化することが提案されており、例えば、二剤式エアゾール型のものや一剤式ノンエアゾール型のものが知られている。しかし、二剤式エアゾール型には、第1剤と第2剤との混合比が一定にならず、脱色ムラや染色ムラが生じやすい、金属製の耐圧容器等が過酸化水素により酸化され腐食する、過酸化水素の分解によって耐圧容器の内圧が過度に上昇するといった問題がある。また一剤式ノンエアゾール型は、脱色能が無いか弱いため、一度の施術で得られる色調変化を高くするのは難しく、鮮やかな染毛を求める場合には、塗布後に長時間放置したり、施術を繰り返したりすることが必要となり、染毛操作が煩雑になり易いという問題がある。
【0004】
これに対し、二剤式染毛剤組成物をノンエアゾール型のフォーマー容器から泡状に吐出させるものが提案されている(特許文献1及び2参照)。これらのものは、第1剤と第2剤の混合液をフォーマー容器から泡状に吐出することにより、従来の二剤式エアゾール型のものと比較して、混合比にばらつきが生じにくく、しかも従来の一剤式ノンエアゾール型のものと比較して十分な脱色力又は染毛力を得ることができるものである。
【0005】
しかしながら、ノンエアゾール型のフォーマー容器によって起泡させるためには、混合液の粘度を低くすることが必要とされるが、一方では頭髪に適用された混合液が垂れ落ちないようにすることも要求される。
【0006】
特許文献1及び2には、混合液の垂れ落ちを防止するために高級アルコールを含有させる方法が開示されているが、高級アルコールを用いると冬場などに液温が低下した場合に混合液の粘度が大きくなり、フォーマー容器では起泡しにくくなるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2004-339216号公報
【特許文献2】特開2006-124279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、低温時においても起泡性が良好で、混合液が頭髪に適用されてから洗い流されるまでの間に垂れ落ちることのない泡状の二剤式染毛剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、二剤式ノンエアゾール型の染毛剤における第1剤と第2剤の混合液中に、イオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミドを含有させることにより、上記の目的を達成できることを見出した。
【0010】
本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤、過酸化水素を含有する第2剤、及び第1剤と第2剤の混合液を泡状に吐出するためのノンエアゾール・フォーマー容器からなり、混合液中に次の成分(A)及び(B)を含有する二剤式染毛剤を提供するものである。
(A)イオン性界面活性剤
(B)脂肪酸アルカノールアミド
【0011】
また本発明は、上記の二剤式染毛剤の混合液をノンエアゾール・フォーマー容器から泡状に吐出させ、この泡を頭髪に適用した後、頭髪上で再度泡立てる頭髪染色方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、二剤式染毛剤の混合液が泡状に吐出され、頭髪にムラなく、かつ簡単に塗布できる。また、吐出される混合液の泡は、冬場などに液温が低くなった時でもきめ細かい状態となり、頭髪になじみ易く、頭髪へ適用後に液垂れを起こすこともない。更に、頭皮への刺激や剤の飛び散りを生じさせることがなく、十分な脱色力あるいは染色力を有する。従って、本発明の染毛剤は、均一でムラの少ない脱色仕上がり又は染毛仕上がりを簡便かつ快適に実現することができる。
【0013】
また、ノンエアゾール・フォーマー容器を用いて気液混合により泡状に吐出された混合液は、頭髪の根元まで容易に到達するが、そこで液だまり等が生じることはなく、適度に薄く頭髪全体にいきわたる。従って、従来の液状やクリーム状のように根元部分が極端に明るくなったり、混合液の付着量のムラによる脱色ムラや染色ムラが生じたりすることがない。よって、本発明の染毛剤を、分け目、フェースライン等の新生部付近の頭髪に適用することにより、新生部と既染部との色の段差を解消し、自然な仕上がりを得ることもできる。また、混合液を頭髪に適度に薄く塗布することができるので、頭髪に対するダメージを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔定義〕
本発明において、頭髪とは頭に生えた状態の毛髪のことをいい、かつらやトレスといった頭から切り離された毛髪は含まない概念である。また頭髪であれば、人形や、どのような動物であってもよいが、人間の頭髪が好ましい。
【0015】
本発明において単に「二剤式染毛剤」というときは、ノンエアゾール・フォーマー容器をも含めた全体の概念であるものとする。また二剤式染毛剤は染料を含有する染毛剤と、染料を含有しない脱色剤との両方を含む概念である。また「二剤式染毛剤の混合液」とは第1剤と第2剤の混合液のことをいう。頭髪染色方法とは、頭髪脱色方法を含む概念である。
【0016】
〔アルカリ剤〕
第1剤が含有するアルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。また、適宜、緩衝剤として、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩や、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩などを添加することができる。
【0017】
本発明の二剤式染毛剤における第1剤と第2剤の混合液のpHは、8〜11、特に9〜11が好ましく、アルカリ剤の使用量は、混合液のpHが上記となるように適宜調整される。
【0018】
〔過酸化水素〕
第2剤中の過酸化水素の含有量は、1〜9質量%、特に3〜6質量%が好ましく、第1剤と第2剤の混合液中における過酸化水素の含有量は、1〜6質量%、特に2〜5質量%が好ましい。また、第2剤のpHは、過酸化水素の分解抑制のため、2〜6、特にpH2.5〜4とすることが好ましい。
【0019】
〔(A):イオン性界面活性剤〕
フォーマー容器の泡吐出手段によって二剤式染毛剤の混合液と空気が混合されることで容易に泡が形成され、かつその泡が安定となるようにするため、第1剤と第2剤のいずれか一方、又は両方にイオン性界面活性剤を含有させる。イオン性界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、液温が低い時でも常温に近い時でも頭髪に塗布しやすい良好な泡立ちを実現するために、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、特にアニオン界面活性剤が好ましい。
【0020】
アニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル界面活性剤;脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩(N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルグリシン塩等)、コハク酸アルキル又はコハク酸アルケニルの塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテル酢酸塩等のカルボン酸界面活性剤;アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル界面活性剤;スルホコハク酸塩、イセチオン酸塩、タウリン塩、アルキルベンゼンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、アルカンスルホン酸等のスルホン酸界面活性剤等のアニオン界面活性剤が挙げられる。好ましくはアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸塩が挙げられ、そのアルキル基の炭素数が10〜24、特に炭素数が12〜18であるものが好ましく、またこのアルキル基が直鎖であるものが好ましい。また、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸塩、特にポリオキシエチレンアルキル硫酸塩がより好ましく、なかでもオキシエチレン基の平均付加モル数が1〜10、特に2〜5であるものが好ましい。また、N-アシルアミノ酸塩、エーテルカルボン酸塩も好ましく、そのアシル基の炭素数が10〜18のN-アシルグルタミン酸塩、アルキル基の炭素数が10〜18でオキシエチレン基の平均付加モル数が3〜15のポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩が好ましい。
【0021】
カチオン界面活性剤としては、次の一般式(1)で表されるものを用いることができる。
【0022】
【化1】
【0023】
〔式中、R1、R2、R3及びR4は、独立に置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R1とR2のうち少なくとも1つは炭素数8〜36であって、かつ残余が炭素数1〜7であるか、又はR3とR4とが共同して隣接する窒素原子と共に、炭素数1〜4のアルキル基が置換してもよく、当該窒素原子以外に異項原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよい5〜7員環を形成してもよい。A-はアニオンを示す。〕
【0024】
ここで炭化水素基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、エポキシ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、トリアルキルアンモニウム基、脂肪酸アミド基、脂肪酸エステル基等が挙げられる。また、R3とR4とが共同して隣接する窒素原子と共に形成する環としては、モルホリン環、イミダゾリン環、ピペラジン環、ピペリジン環、ピロリジン環等が挙げられる。
【0025】
アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、乳酸イオン、サッカリンイオン等が挙げられる。
【0026】
カチオン界面活性剤の具体例としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化イソステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ココイルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化γ-グルコンアミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン(2))オレイルメチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルエチルアンモニウム、塩化オクチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン(5))ステアリルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム、塩化ベヘン酸アミドプロピル-N,N-ジメチル-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)アンモニウム、タロウジメチルアンモニオプロピルトリメチルアンモニウムジクロライド、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。
【0027】
カチオン界面活性剤としては、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩及びジアルキルジメチルアンモニウム塩、すなわち、R1が、又はR1とR2が、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜30、更には10〜24、特に12〜18のアルキル基であり、残余がメチル基であるものが好ましく、なかでもモノアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。
【0028】
両性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基又はアシル基を有するカルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系、ホスホベタイン系、イミダゾリニウム系の界面活性剤が挙げられ、なかでもカルボベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤が好ましい。好ましい両性界面活性剤としては、ラウラミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0029】
成分(A)のイオン性界面活性剤は二種以上を併用することもでき、第1剤と第2剤の混合液中における含有量は、0.1〜30質量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜20質量%、特に2〜10質量%である。
【0030】
〔(B)脂肪酸アルカノールアミド〕
成分(B)の脂肪酸アルカノールアミドは、泡もちを良くし、本発明の二剤式染毛剤を頭髪に塗布した後、放置している間の液だれを抑制する効果を高めるために使用される。
【0031】
脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8〜22、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとしては、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、例えばオレアミドDEA、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、コカミドDEA、ラウラミドDEA、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。この中で脂肪酸ジエタノールアミドが好ましい。
【0032】
これら脂肪酸アルカノールアミドは二種以上を併用してもよく、第1剤又は第2剤のいずれか一方又は両方に含有させることができる。第1剤と第2剤の混合液中における含有量は、泡立ち、きめ細かく柔らかな泡質、また放置している間の液だれを抑制する効果を高める点から、0.1〜15質量%が好ましく、更には0.3〜10質量%、特に0.5〜5質量%が好ましい。
【0033】
〔他の界面活性剤〕
本発明の二剤式染毛剤には、上記以外の界面活性剤として、脂肪酸アルカノールアミド以外の非イオン界面剤、半極性界面活性剤等を含有することもできる。これら他の界面活性剤は、二種以上を併用してもよい。
【0034】
非イオン界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。アルキルポリグルコシドとしては、アルキル基の炭素数が8〜18、更には8〜14、特に9〜11であるものが好ましく、またこのアルキル基が直鎖であるものが好ましい。グルコシドの平均重合度は1〜5、特に1〜2が好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が10〜22、特に12〜18であるものが好ましく、またこのアルキル基が直鎖であるものが好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましく、なかでもオキシエチレン基の平均付加モル数が1〜40、特に4〜30であるものが好ましい。アルキルグリセリルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が8〜18、特に8〜12であるものが好ましく、またこのアルキル基が分岐鎖であるものが好ましい。
【0035】
半極性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0036】
〔不揮発性親水性溶剤〕
更に、第1剤又は第2剤中に不揮発性親水性溶剤を含有することが好ましい。これにより、本発明の二剤式染毛剤を頭髪に塗布した後、放置している間に、染毛剤から水分が蒸発して過酸化水素等の刺激性の成分が濃縮されることによる頭皮に対する刺激を軽減することができる。不揮発性親水性溶剤としては、ポリオール類やその低級(炭素数1〜4)アルキルエーテル類などの消泡作用のないものが好ましい。ポリオール類としては、炭素数2〜6のものが好ましく、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。ポリオールの低級アルキルエーテル類としては、前掲のポリオールのモノ低級アルキルエーテルやポリ低級アルキルエーテル(例えば、ジ低級アルキルエーテル)などが挙げられる。なかでもポリオールのモノメチルエーテル又はモノエチルエーテルが好ましく、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。これらは、二種以上を併用することができる。
【0037】
第1剤と第2剤の混合液中における不揮発性親水性溶剤の含有量は、頭皮刺激を低減する効果と液温が低い時でも泡質を良好なものとする点から、0.01〜5重量%が好ましく、更には0.1〜4重量%、特に0.2〜3重量%が好ましい。
【0038】
〔染料〕
本発明の二剤式染毛剤は、第1剤と第2剤の混合液に染料を含有させない場合には頭髪の脱色に用いることができ、酸化染料又は直接染料を含有させることにより染毛に用いることができる。染毛に用いる場合、第1剤は酸化染料又は直接染料を含有する。この酸化染料としては、パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、トルエン-2,5-ジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、4-アミノ-3-メチルフェノール、6-アミノ-3-メチルフェノール、オルトアミノフェノール、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾール等の染料前駆体;レゾルシン、2-メチルレゾルシン、メタアミノフェノール、パラアミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1-ナフトール等のカップラーが挙げられる。直接染料としては、パラニトロオルトフェニレンジアミン、パラニトロメタフェニレンジアミン、塩基性黄87、塩基性橙31、塩基性赤12、塩基性赤51、塩基性青99等を挙げることができる。
【0039】
〔シリコーン類〕
本発明で用いる二剤式染毛剤には、吐出させた泡が長時間維持できる観点からは、第1剤と第2剤の混合液中にシリコーンを含有しないことが好ましいが、泡を頭髪に滑らかになじませるため、また頭髪に高いコンディショニング効果を付与するため、一定範囲内で、更にシリコーン類を含有させることもできる。シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーンエラストマー等、及びこれらを界面活性剤により水中に分散させたエマルションが挙げられる。これらのうち、増粘剤を用いることなく安定に水中に分散可能な点から、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン及びこれらのエマルションが好ましい。
【0040】
ポリエーテル変性シリコーンには、末端変性及び側鎖変性のもの、例えばペンダント型(櫛型)、両末端変性型、片末端変性型のものなどが含まれる。このような変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体等が挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンとしては、HLB10以上、特にHLB10〜18のものが、水との相溶性の点から好ましい。ここで、HLBは、曇数(曇数:HLBと相関のある指標でエーテル型非イオン界面活性剤に適用される)から求めた値によるものである。
【0041】
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有しているものであればよいが、アモジメチコーンが好ましい。
【0042】
第1剤と第2剤の混合液中にシリコーン類を加える場合におけるシリコーン類の含有量は、起泡性を妨げずに、泡を頭髪に滑らかになじませるため、また頭髪に高いコンディショニング効果を付与するため、2質量%以下が好ましく、更には0.005〜1質量%、特に0.01〜0.5質量%が好ましい。
【0043】
〔その他の成分〕
その他、第1剤及び第2剤は、目的に応じて、香料、紫外線吸収剤、エデト酸等の金属封鎖剤、殺菌剤、パラオキシ安息香酸メチル等の防腐剤、フェナセチン、エチドロン酸、硫酸オキシキノリン等の安定化剤、エタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の有機溶剤、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子化合物、保湿剤等を含有することができる。また、第1剤及び第2剤の混合液は、水を主たる媒体とすることが好ましい。
【0044】
なお、本発明の二剤式染毛剤には、低温時における起泡性の観点から、高級アルコールは含まれないか、含まれるとしても少量であることが好ましい。この観点から、第1剤と第2剤の混合液中における高級アルコールの含有量は、0〜0.8質量%、更には0.01〜0.7質量%、更には0.1〜0.6質量%であることが好ましい。
【0045】
また、更に脱色効果を高めるため、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を第3剤として混合液中に含有させることもできる。
【0046】
〔粘度〕
第1剤の粘度(25℃)は、好ましくは1〜50mPa・s、より好ましくは3〜40mPa・s、より好ましくは5〜30mPa・sである。第2剤の粘度(25℃)は、好ましくは1〜300mPa・s、より好ましくは3〜200mPa・s、より好ましくは5〜100mPa・sである。第1剤と第2剤との混合液の粘度(25℃)が1〜300mPa・s、好ましくは1〜100mPa・s、好ましくは3〜100mPa・s、より好ましくは3〜80mPa・s、より好ましくは3〜50mPa・s、さらに好ましくは5〜50mPa・s、さらに好ましくは5〜30mPa・s、さらに好ましくは10〜30mPa・sである。なお、粘度の数値は、株式会社トキメック製B型回転粘度計(モデルTV-10)で、ローターNo.1を用い、ローターを1分間回転させた後の値である。測定対象が100mPa・s以下の場合の回転速度は60rpm、100〜200mPa・sの場合は30rpm、200〜500mPa・sの場合は12rpmで測定する。混合液の粘度を上述の範囲とすることにより、混合液を泡立てずに均質に混合することを可能とし、さらに、頭髪へ適用し易く、頭髪との泡馴染みがよく、頭髪に適用した後の液だれが生じにくい均質な泡を得ることができる。
【0047】
粘度が上記範囲となるように調整することにより、塗布しやすく頭髪に馴染みやすい泡質を実現することができ、泡が頭髪に塗布された後の垂れ落ちを抑制でき、ノンエアゾール・フォーマー容器で泡を吐出する際に泡を吐出しやすくなる。粘度を前述の範囲に調整するためには、エタノール等の水溶性溶剤の添加、あるいは界面活性剤、ポリオール類等の含有量や種類の適宜調整を行えばよい。
【0048】
〔気液混合比〕
フォーマー容器によって吐出させた泡の空気と混合液との気液混合比は、剤の頭髪への馴染み易さ及び塗り易さの点から、10〜50mL/gが好ましく、15〜40mL/gがより好ましく、20〜30 mL/gが最も好ましい。なお、ここでの気液混合比は次のようにして測定した値である。
【0049】
25℃で吐出した泡の質量と体積を測定することにより気液混合比を求める。フォーマー容器に混合液を100g入れ、20gの泡を1000mLのメスシリンダーに吐出し、吐出開始から1分後に泡の体積を測定する。この吐出された泡の容積(mL)を質量20gで割ることにより気液混合比(mL/g)が得られる。
【0050】
〔フォーマー容器〕
本発明において、フォーマー容器は、ノンエアゾール型の容器であって、第1剤と第2剤を、噴射剤を使用することなく空気と混合して泡状に吐出させるために使用する。フォーマー容器の使用により、吐出させた剤の飛び散りを防止できるという効果も得られる。特に、ノンエアゾール型の容器は、エアゾール型の容器に比べて、製品を安価に製造可能であり、吐出速度の調整がしやすく、一定の処理を行えば再利用が可能で、しかも高圧ガスの噴射剤が不要であるため製品の流通においてより安全に取り扱うことができる。
【0051】
フォーマー容器としては、泡吐出手段を有する公知のポンプフォーマー容器、スクイズフォーマー容器等、ノンエアゾール型の容器で泡吐出手段を有するものであればいずれの容器を用いることもできる。
【0052】
ポンプフォーマー容器又はスクイズフォーマー容器は、ネット等の泡生成部分を有するものであり、第1剤と第2剤との混合液が乾燥固化して目詰まりを起こした場合に、次回の吐出時に泡の流れによって、直ちに固化物を溶解して目詰まりを解消できるという点から薄肉のネットを有することが好ましい。この場合、ネットのメッシュとしては、50〜280メッシュが好ましく、90〜250メッシュがより好ましく、130〜220メッシュがより好ましい。この範囲のメッシュのネットを使用することにより、クリーミーな泡を生成することができる。また、このようなメッシュの材質として好ましくは、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、テフロン(登録商標)、カーボンファイバー、ステンレス等を挙げることができ、より好ましくはナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルであり、より好ましくはナイロンである。
【0053】
本発明の二剤式染毛剤において使用するフォーマー容器には、このようなネットを少なくとも一枚、好ましくは複数枚配設し、経済性、泡の安定性等の点から2枚配設することがより好ましい。この場合最初に液が通過するメッシュの方が、次に通過するメッシュより目が粗いか、同一の目の粗さであることが好ましい。
【0054】
フォーマー容器において、内容物に接触する部分(容器内壁,泡吐出手段内壁等)は、アルカリ及び過酸化水素により腐食せず、また、過酸化水素の分解により発生した酸素が透過する材質で構成することが好ましい。
【0055】
第1剤、第2剤及びフォーマー容器からなる本発明の二剤式染毛剤の製品形態としては、第1剤又は第2剤をそれぞれフォーマー容器と別個の容器に充填し、使用時に双方の剤をフォーマー容器に移し入れ、混合するようにしてもよいが、一方の剤をフォーマー容器に充填し、他方の剤を別個の容器に充填し、使用時に、他方の剤をフォーマー容器内に移し入れるようにしてもよい。この場合、第2剤は、過酸化水素の分解によって生じる酸素のために容器内の圧力が上昇することを防止するため、ガス透過性のある容器から成るフォーマー容器に充填することが好ましく、酸素透過性のある材質(例えば、ポリプロピレンやポリエチレン)から成るフォーマー容器に充填することがより好ましい。一方、第1剤は、酸化染料の酸化を防止するため、酸素が透過し難い容器を用いる必要がある。
【0056】
〔頭髪染色方法〕
本発明の頭髪染色方法において、吐出した泡の適用の前に、予め頭髪を梳かしておくことが好ましい。これにより、再度泡立てる処理中に髪がからみにくくなるので、染毛剤が飛び散るおそれがない。また、頭髪を梳かした後、染毛剤の適用で汎用されているブロッキング操作を行う必要はなく、更にはブロッキング操作を行わないことが好ましい。これにより、後述する染毛剤を頭髪に適用する操作や再度泡立てる操作がやりやすくなる。
【0057】
染毛剤を適用する頭髪には、ムラなく染毛できるとともに、液ダレを防止し、かつ十分な染毛効果を得るという観点から、染毛処理の直前では整髪料が適用されていないことが好ましい。また、混合液が薄まらず、ムラなく染毛できるとともに、液ダレを防止し、かつ十分な染毛効果を得るという観点から、乾いた頭髪であることが好ましい。染毛処理の直前に洗髪を行う場合には、染毛処理を行うまでに頭髪を乾燥させることが好ましい。頭髪を乾燥させるとは、少なくとも洗髪によって付着した水を主とする液体が、自然状態で垂れない程度まで除かれていることをいう。具体的には、タオルドライ状態やドライヤー乾燥状態とすることが好ましい。
【0058】
泡状に吐出させた第1剤と第2剤の混合液は、いったん手やブラシに取った後、あるいは直接、頭髪に適用する。ここで手を用いる場合は、手袋を装着することが好ましい。本発明の染色方法によれば、一般に染毛剤の適用で汎用されているブロッキング操作は不要であるので、短時間で泡を適用することができる。よって泡を適用する頭髪部位はどこからでもよく、従来の液状乃至クリーム状の二剤式染毛剤のように襟足から適用することは不要である。気になる部分から適用すればよく、頭髪の生え際又は分け目部分から適用することが好ましい。
【0059】
泡をレモンの大きさ程度に吐出させると、片手に取るのにちょうどよく、しかも手で頭髪に適用しやすいので好ましい。この場合、一方の手で泡を吐出させる操作を行い、もう一方の手で泡を取る。そして一旦手に取った泡を頭髪に適用した後、泡を手に吐出し頭髪に適用する操作を繰り返す。この一連の操作は、非常に簡便かつ短時間で行うことができる。
【0060】
また、泡を適用する範囲は、頭髪全体であってもよく、特定の部分のみであってもよい。
【0061】
次いで適用した泡を頭髪上で再度泡立てる。再度泡立てるには、ガスを注入しても、振動機やブラシのような器具を用いても、あるいは指を用いてもよいが、頭髪の根元にも二剤式染毛剤を十分に行き亘らせることが可能になるので、指を用いるのがより好ましい。振動機やブラシ、あるいは指を用いて泡立てる速度は、泡が飛び散らないように制御されていることが好ましい。
【0062】
ここで再度泡立てる時期は、完全に泡が消えた後であってもよく、泡が消える途中であってもよく、あるいは適用した泡が変化する前であってもよい。あるいは泡を適用したい範囲全てに適用完了した後であっても、適用途中であってもよい。再度泡立ては、連続的に1回行ってもよく、断続的に複数回繰り返してもよい。ここで、再度泡立てるために用いる、振動機やブラシあるいは指が頭髪の一部と連続して接触し続けているか、又は一旦離れる時があっても1秒以内に再び接触するならば、再度泡立ては連続的である。要は適用した場所を観察し、少なくとも適用した泡から液が垂れる前に適宜泡立てればよい。消えかかった泡を再度泡立たせることにより、泡の性質にかかわらず液ダレが防止できる。更に、フォーマー容器の構成や二剤式染毛剤の組成によって泡の性質に違いがあっても、再度泡立てにより、染毛に適した泡質に変えることもできる。フォーマー容器の構成や二剤式染毛剤の組成を特定のものとすれば、液ダレを防止でき、そのままでも染毛に適した泡質を保ちやすくなる場合も考えられるが、その場合でも泡の適用が完了した後のできるだけ早い時期までに少なくとも1度は再度泡立てることが好ましい。早い時期に再度泡立てることで、適用したい範囲での色ムラを防止することができる。時期としては、吐出した泡の頭髪への適用完了後5分以内であることが好ましく、更には3分以内、特に1分以内であることが好ましい。
【0063】
以下、泡の吐出から、頭髪への塗布、再度泡立てまでの工程における好ましい手順の具体例について、部分染めと全頭染めに分けて例示する。
【0064】
〔部分染め〕
1)片手に適量の泡を吐出させ、頭髪の一部に塗布し、1回の再度泡立てを1秒〜10分間、好ましくは3秒〜3分間かけて行う。
2)片手に適量の泡を吐出させ、頭髪の一部に塗布し、再度泡立てを2〜30回、1回当たり1秒〜10分間、好ましくは3秒〜3分間かけて行う。合計では、2秒〜20分間、好ましくは5秒〜5分間かけて行う。
【0065】
〔全頭染め〕
3)片手に適量の泡を吐出させ、頭髪の一部に塗布し、1回の再度泡立てを3秒〜10分間、好ましくは5秒〜3分間かけて行う。この操作を繰り返して全頭に塗布する。
4)片手に適量の泡を吐出させ、頭髪の一部に塗布し、1回の再度泡立てを3秒〜10分間、好ましくは5秒〜3分間かけて行う。この操作を繰り返して全頭に塗布後、1回の再度泡立てを3秒〜10分間、好ましくは5秒〜3分間かけて行う。更に片手に適量の泡を吐出させ、頭髪の一部に追加塗布し、全頭に亘って1回の再度泡立てを3秒〜10分間、好ましくは5秒〜3分間かけて行う。
5)片手に適量の泡を吐出させ、頭髪の一部に塗布し、1回の再度泡立てを3秒〜10分間、好ましくは5秒〜3分間かけて行う。この操作を繰り返して全頭に塗布する。全頭への塗布終了後、1回の再度泡立てを3秒〜10分間、好ましくは5秒〜5分間かけて行う。
6)片手に適量の泡を吐出させ、頭髪の一部に塗布し、1回の再度泡立てを3秒〜10分間、好ましくは5秒〜3分間かけて行う。この操作を繰り返して全頭に塗布する。全頭への塗布終了後、全頭での再度泡立てを2〜30回、1回当たり3秒〜10分間、好ましくは5秒〜3分間かけて行う。合計では、6秒〜20分間、好ましくは10秒〜5分間かけて行う。
7)ブラシに適量の泡を吐出させ、頭髪の一部に塗布する。この操作を繰り返して全頭に塗布し、同じブラシを用いて再度泡立てを3秒〜10分間、好ましくは5秒〜5分間かけて全頭に施す。
8)ブラシに適量の泡を吐出させ、頭髪の一部に塗布し、1回の再度泡立てを同じブラシ又は手で3秒〜10分間、好ましくは5秒〜3分間かけて行う。この操作を繰り返して全頭に塗布する。全頭への塗布終了後、同じブラシ又は手を用いて、1回の再度泡立てを3秒〜10分間、好ましくは5秒〜5分間かけて行う。
【0066】
再度泡立てる範囲は頭髪全体であってもよく、特定の部分のみであってもよい。頭髪全体を再度泡立てると、後頭部の髪といった確認しづらい部分に泡を適用し忘れた場合でも泡を行き亘らせることができるので、染め残しを防止することができる。部分染めで特定の部分のみ再度泡立てると、染めた境界をぼかすことができ、自然な仕上がりとなる。また、再度の泡立てを行うと、泡が行き亘った部分の視認が非常に容易になるため、染めたい部分の染め残しを防止できる。
【0067】
泡適用完了後は3〜60分程度、好ましくは5〜45分程度の時間をおいた後、洗い流す。本発明において、上記の泡適用完了後の時間とは、全頭あるいは所望の部分に泡を全て適用完了した後、洗い流すまでにおける全所要時間をいい、単に放置する時間以外に再度の泡立てに要する時間を含む概念である。その後、適宜シャンプーやリンスをした後水洗して、髪を乾かす。
【実施例】
【0068】
実施例1〜2及び比較例1
表1に示す配合組成(重量%)の第1剤と第2剤を調製し、それぞれ容器に封入し、5℃の恒温室中に24時間放置した。その後、これらを室温20℃の部屋に運び、直後に第1剤と第2剤を混合比(重量比)1:1.5で、スクイズフォーマー(大和製罐社、容積150mL、メッシュの粗さは混合室150メッシュ、先端200メッシュ、材質は共にナイロン)内で混合し、泡状に吐出させた。吐出させた泡80gを被験者の乾いた状態の頭髪全体に下記手順に従い塗布した。
【0069】
1.第2剤60gの入ったスクイズ容器の容器本体に、第1剤40gを入れ、第1剤と第2剤の混合液が泡立たないように混合し、次いでスクイズフォーマーを取り付ける。
2.手袋をし、スクイズ容器を正立させた状態で、片手でスクイズし、もう一方の手のひらに泡状の混合液を吐出する。
3.乾いた頭髪に、泡状の混合液を適用する。
4.2と3の操作を繰り返し、頭髪全体等に混合液80gを適用する。
5.指で頭髪全体を15秒間もむようにして、適用した混合液を再度泡立てる。
6.10分間そのまま放置する。
7.指で頭髪全体を25秒間もむようにして、適用した混合液を再度泡立てる。
8.7の再度泡立て操作終了後、20分間放置する。
9.頭髪全体を温水で洗い流し、シャンプー、リンス、乾燥を順次行う。
【0070】
以下の基準で評価し、表1の配合組成の下欄に示した。
【0071】
泡立ち
◎:極めて均一できめ細かい泡
○:均一できめ細かい泡
△:不均一できめが粗い泡
×:泡になりきれず、水分が混じる
【0072】
塗布性(塗りやすさ、髪へのなじみやすさ)
◎:頭髪の上に泡を押し当てるだけで根元までしっかり剤がなじむ
○:手グシで簡単に剤を根元までなじませることができる
△:毛量の多い後頭部の根元等、場所によって剤がなじみにくい場合がある
×:なじみが悪く、根元などを塗り残す
【0073】
泡もち
◎:非常に持続性が高く、放置時まで泡が持続する
○:十分な持続性を有し、塗布後もしばらく泡が持続する
△:塗布する上で問題のない持続性を有するが、塗布した後すぐに泡が消える
×:吐出後すぐに泡が消え、塗布中に液ダレを生じることがある
【0074】
染色ムラ
◎:染色ムラがなく極めて均一に染色できる
○:ほとんど染色ムラがなく均一に染色できる
△:若干の染色ムラがある
×:染色ムラが大きい
【0075】
【表1】
【0076】
実施例3
(第1剤) (質量%)
アンモニア水(28質量%) 3.0
エタノールアミン 1.5
炭酸水素アンモニウム 0.3
ラウリルグルコシド 5.0
オレフィン(C14-16)スルホン酸Na 1.0
ラウレス-2硫酸Na 1.0
ラウレス-23 2.0
ラウラミドDEA 3.0
プロピレングリコール 4.0
エタノール 9.5
香料 0.5
精製水 残量
【0077】
(第2剤) (質量%)
過酸化水素水(35質量%) 16.3
ココイルイセチオン酸Na 0.5
オレアミドDEA 1.0
エチドロン酸 0.1
水酸化ナトリウム水溶液(48質量%) pH3.5とする量
精製水 残量
【0078】
被験者であるセミロングの20代女性の頭髪を次のように染毛した。上記配合組成の二剤式染毛用の第1剤と第2剤を調製し、第1剤40gと第2剤60gをスクイズフォーマー容器(大和製罐社、内容積150mL、メッシュの目は混合室側150メッシュ、吐出口側200メッシュ、材質は共にナイロン)に入れて混合した。混合液を、手袋を装着した手の平に泡状に吐出して頭髪に適用する操作を繰り返し、あらかじめ乾かしていた頭髪全体に80gを塗布した。塗布終了後、指を用いて20秒間の再度泡立て操作を行い、30分間室温で放置した後、髪をすすぎ、次いでシャンプー、リンスし、乾燥した。
このとき、吐出された泡は均一できめ細かく、泡はスムーズに頭髪に塗布でき、頭髪へのなじみも良好で、液ダレは生じなかった。塗布した混合液の放置中に頭皮に刺激感はほとんどなく、脱色ムラも生じることなく頭髪全体がほぼ均一に脱色された。
【0079】
実施例4
(第1剤) (質量%)
アンモニア水(28質量%) 3.0
エタノールアミン 1.5
炭酸水素アンモニウム 0.3
パラフェニレンジアミン 0.1
パラアミノフェノール 0.2
パラアミノオルトクレゾール 0.4
デシルグルコシド 5.0
ラウレス硫酸Na 3.0
ラウレス-23 2.0
コカミドDEA 3.0
プロピレングリコール 4.0
エタノール 9.5
香料 0.5
精製水 残量
【0080】
(第2剤) (質量%)
過酸化水素水(35質量%) 16.3
ココイルグリシンNa 1.0
ラウラミドプロピルベタイン 0.1
ラウラミドDEA 1.0
エチドロン酸 0.1
水酸化ナトリウム水溶液(48質量%) pH3.5とする量
精製水 残量
【0081】
被験者であるセミロングの20代女性の頭髪を次のように染毛した。上記配合組成の二剤式染毛用の第1剤と第2剤を調製し、第1剤40gと第2剤60gをスクイズフォーマー容器(大和製罐社、内容積150mL、メッシュの目は混合室側150メッシュ、吐出口側200メッシュ、材質は共にナイロン)に入れて混合した。混合液を、手袋を装着した手の平に泡状に吐出して頭髪に適用し、適用部分で2秒間指を用いて再度泡立てる操作を繰り返し、あらかじめ乾かしていた頭髪全体に80gを塗布した。塗布終了後、指を用いて20秒間の再度泡立て操作を行い、25分間室温で放置した後、髪をすすぎ、次いでシャンプー、リンスし、乾燥した。
このとき、吐出された泡は均一できめ細かく、泡はスムーズに頭髪に塗布でき、頭髪へのなじみも良好で、液ダレは生じなかった。塗布した混合液の放置中に頭皮に刺激感はほとんどなく、染色ムラも生じることなく頭髪全体がほぼ均一に染色された。