(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記秤量手段に入力される外来振動成分を予め測定し、前記秤量手段が出力する秤量信号から前記外来振動成分を除去する外来振動除去手段(116)を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計量装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る計量装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1〜
図4は、本発明に係る計量装置の一実施の形態を示している。
図1〜
図4に示すように、計量装置1は、装置本体部2と、搬送部3と、搬入センサ4とを備えて構成されている。また、計量装置1の後段には選別部5が接続されている。
【0021】
計量装置1は、生産ラインの一部を構成するベルトコンベア14の下流側に設置されており、所定の間隔で矢印A方向に順次搬入されてくる肉、魚、加工食品、医薬品などの被計量物Wの重量を測定し、得られた測定値を測定結果として出力するようになっている。さらに、予め設定された重量の上限および下限の基準値とそれぞれ比較し、得られた測定値が基準値の範囲内にあるか否かを判定して範囲内のものを良品とし、範囲外のものを不良品として良否判定したり、複数の基準値に対応して重量ランク判定をするようになっていてもよい。また、測定結果、良否判定結果や重量ランク判定結果は、表示手段10に表示されるとともに、計量装置1の後段に接続された選別部5に出力されるようになっている。選別部5では、計量装置1が出力した測定結果、良否判定結果や重量ランク判定結果に応じて被計量物Wを振り分けるようになっている。
【0022】
装置本体部2は、秤量手段21と、総合制御部7と、表示手段10と、設定手段11と、これらの各部を収納する収納筐体2aとにより構成されている。
【0023】
搬送部3は、ベルトコンベア14から矢印A方向に搬入されてくる被計量物Wを所定の搬送条件により搬送するようになっている。被計量物Wは、助走コンベア31により測定するのに最適な速度になるよう加速または減速されて搬送され、秤量コンベア32によりさらに搬送され、搬送されている間に重量が秤量手段21により計量されるようになっている。秤量コンベア32は、被計量物を所定の搬送条件により搬送するようになっている。また、被計量物Wは、計量の後にさらに後段の選別部5に搬送され、振り分けられるようになっている。
【0024】
搬送部3は、助走コンベア31および秤量コンベア32により構成されている。助走コンベア31は、前段のベルトコンベア14から搬送されてきた被計量物Wが秤量コンベア32に移動する前に、被計量物Wの助走を行うものであり、2つのローラ31a、31cと、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト31bとにより構成されている。秤量コンベア32は、被計量物Wの計量を行う秤量手段21の上部に支持されており、2つのローラ32a、32cとこれらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト32bとにより構成されている。また、秤量コンベア32は、運用現場のユーザ、または製造時の組み付け工程の作業者により、種類の異なるコンベアに交換可能となっている。
【0025】
搬入センサ4は、一対の投光部4aおよび受光部4bからなる透過形光電センサで構成されており、助走コンベア31と秤量コンベア32との間に配置されている。具体的には、投光部4aは、搬送ベルト32bの装置本体部2側に配置され、受光部4bは、搬送ベルト32bの他の側面側で投光部4aに対向するように配置されており、被計量物Wが投光部4aおよび受光部4bの間を通過すると被計量物Wにより受光部4bが遮光されるので被計量物Wの搬入が開始されたことが検出されるようになっている。検出された搬入開始の信号は、装置本体部2内の総合制御部7に出力されるようになっている。
【0026】
秤量手段21は、秤量コンベア32を支持し被計量物Wの荷重に基づいて秤量信号を出力する荷重センサであり、電磁平衡式秤の構成を有し、被計量物Wが秤量コンベア32で搬送されている間に、秤量手段21に加わる荷重を測定するようになっている。
【0027】
具体的には、秤量手段21は、
図4に示すように、秤量コンベア32とともに上下する吊り板85と、吊り板85を懸架する平行バネ86と、一端が吊り板85に固定されたさお82と、さお82を支持する支点81と、さお82の他端の位置を検出する位置センサ83と、さお82の他端に力を作用させる磁石88付きの電磁コイル84と、電磁コイル84を駆動するコイル印加部92と、位置センサ83からの検出信号に基づいてPID制御等のサーボ制御によりコイル印加部92を制御するサーボ制御部91と、を備えている。なお、平行バネ86は、その一端側は吊り板85に固定されているが、他端側は支点81および電磁コイル84との共通基台87に固定されており、ロバーバル機構を構成している。
【0028】
秤量手段21としての電磁平衡式秤においては、無負荷時にさお82の平衡をとっておき、被計量物Wが秤量コンベア32に載ると支点81回りのバランスが崩れて、さお82が図中右上がりに傾こうとするが、この傾きを位置センサ83により検出し、傾きをゼロとするように電磁コイル84に電流を流すことにより、この電流は被計量物Wの重量に比例するので、重量値にグラム換算することができるようになっている。すなわち、被計量物Wの質量による負荷と、磁石88と電磁コイル84に流す電流で発生する力を平衡させ、このとき電磁コイル84に流れる電流値を被検査物Wの重量として測定している。
【0029】
総合制御部7は、信号処理手段71、計量手段72、記憶手段73、制御手段74、良否判定手段76、モード切替手段77、ステップ入力部101、秤量信号記憶部112、異常診断部114、を備えている。
【0030】
信号処理手段71は、秤量手段21からの秤量信号を受け所定の信号処理条件に基づいて信号処理して信号処理済秤量信号を出力するようになっていて、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器を備えている。具体的には、信号処理手段71は、秤量手段21からの秤量信号に対して、種類や特性の異なる複数のローパスフィルタから選択したフィルタを用いて、秤量信号の低周波成分のみを信号処理済秤量信号として通過させるようになっている。なお、信号処理手段71が選択するローパスフィルタは、1つの場合、または、複数を組み合わせたものの場合がある。このローパスフィルタとしては、FIR(Finite Impulse Response)フィルタと、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタとがある。ここで、FIRフィルタは、インパルス応答波形が入力された場合に、ある決まった時間(有限時間)だけ出力を出す有限インパルス応答フィルタであり、IIRフィルタは、無限にインパルス応答波形の減衰波形を出力する無限インパルス応答フィルタである。
【0031】
ここで、FIRフィルタは、A/D変換器によりディジタル信号に変換された秤量信号に対して、所定の低周波成分を通過するローパスフィルタを構成し、単純平均化処理や高知の窓関数を用いた重み付け平均化処理を行うようになっている。IIRフィルタは、スイッチトキャパシタフィルタのように特性変更が可能なハードウェアを用いて秤量手段21からの秤量信号(アナログ秤量信号)を直接受けて処理済信号をA/D変換器に出力するアナログフィルタで構成してもよいし、A/D変換器からのディジタル秤量信号(図示せず)を受けるディジタルフィルタで構成してもよい。
【0032】
信号処理手段71は、具体的には、
図4に示すように、秤量手段21の電磁コイル84に流れる電流を検出するために電磁コイル84に直列に接続された電流検出抵抗93と、検出された信号を増幅する増幅器94と、増幅された信号をフィルタ処理するアナログフィルタ95と、フィルタ処理された信号をデジタル変換するA/D変換器96と、デジタル変換された信号をフィルタ処理するLPF(ローパスフィルタ)等のフィルタ97と、を備えている。
【0033】
計量手段72は、信号処理手段71が出力する信号処理済秤量信号に基づいて被計量物Wの計量値を算出(グラム換算)するようになっている。また、計量手段72においては、搬入センサ4によって被計量物Wが秤量コンベア32に搬入されたことが検知されてから所定の基準時間Tkが経過し、秤量手段21から秤量信号が出力された被計量物Wに対して、計量値を算出するようになっている。計量手段72により算出された個々の重量は、記憶手段73に算出データとして記憶されるようになっている。
【0034】
計量手段72は、搬入センサ4によって被計量物Wが秤量コンベア32に搬入されたことが検知されてから予め設定された基準時間Tkが経過したときに計量を行うようになっている。ここで、基準時間Tkは、搬入センサ4で被計量物Wが秤量コンベア32に搬入を開始したことを検出してから、被計量物Wが秤量コンベア32に完全に乗り移り、さらに秤量手段21から出力された秤量信号が安定するまでに必要な時間を意味する。具体的には、基準時間Tkは、秤量コンベア32の速度(m/min)、秤量コンベア32の矢印B方向の長さ(mm)および被計量物Wの搬送方向である矢印B方向の長さ(mm)、被計量物Wのサイズやラインの処理能力、その他の条件などに基づいて設定される。また、
図3に示すように、基準時間Tkが経過すると、被計量物Wは、搬入開始検出位置P
OからL
1だけ移動して質量測定位置P
Sに到達し、計量が行われる。
【0035】
なお、計量手段72においては、被計量物Wの品種(特に、サイズ)に応じて、その測定範囲、測定能力および検査精度などの検査条件(パラメータ)が選択されるようになっており、被計量物Wの品種に応じて、例えば、測定範囲が6g〜600g、測定能力が最大150個/minで選択されるようになっている。この場合、被計量物Wの1個当たりの基準時間Tkは、最小400msecに設定されていることになり、基準時間Tkは400msec以上であればよいが、被計量物Wのサイズ、ラインの処理能力、生産その他の条件により設定されるようになっている。基準時間Tkは、400msecに近いほど短時間で測定されるので検査効率は高まり、遠くなるほど検査時間はかかるが、秤量コンベア32上を安定して搬送されるようになるから計量精度は高まることになる。
【0036】
また、被計量物Wの品種に応じて、例えば、測定範囲が1g〜300g、測定能力が最大600個/minで選択されるようになっている。測定能力が最大600個/minであると、被計量物Wの1個当たりの測定時間は最小100msecに設定されていることになり、被計量物Wのサイズ、ラインの処理能力、生産やその他の条件により設定されるようになっている。この基準時間Tkは、100msecに近いほど短時間で測定されるので検査効率は高まり、遠くなるほど検査時間はかかるが、秤量コンベア32上を安定して搬送されるようになるから計量精度は高まる。このように、計量手段72においては、被計量物Wの品種に応じて、その範囲、能力などの検査条件(パラメータ)が選択される。
【0037】
記憶手段73は、記憶媒体などから構成されており、秤量コンベア32による被計量物Wの所定の搬送条件、および信号処理手段71における所定の信号処理条件を含む条件パラメータを被計量物Wの品種に対応させて記憶するようになっている。記憶手段73には、被計量物Wの品種毎に付された各品種番号に対応して、搬送速度、LPF(Low Pass Filter)特性が記憶されている。また、記憶手段73には、被計量物Wの良否を判定するための良品範囲が記憶されている。搬送速度は、被計量物Wを搬送する搬送部3の速度であり、LPF特性は、どのような特性のローパスフィルタであるかを示すものであり、良品範囲とは、良品と判定される被計量物Wの重量の範囲である。これらの記憶情報は、設定手段11からの設定操作または外部機器との接続により予め記憶されるようになっている。記憶手段73は、計量値、良品判定結果等の種々のデータを記憶するようになっている。
【0038】
制御手段74は、被計量物Wの品種に応じて記憶手段73から所定の搬送条件および所定の信号処理条件を読み出して秤量コンベア32および信号処理手段71をそれぞれ制御するようになっている。また、記憶手段73に記憶している複数の品種に対応する条件パラメータを順次切り替えて搬送部3および信号処理手段71を制御するようになっている。また、制御手段74は、図示しないモータの回転速度(rpm)を駆動制御して、搬送部3による被計量物Wの搬送速度を制御するようになっている。更に、制御手段74は、ステップ入力部101、秤量信号記憶部112、異常診断部114の動作制御を行うようになっている。
【0039】
良否判定手段76は、被計量物Wの良否を判定するものであり、判定回路などから構成され、計量手段72が算出した計量値と良否判定基準とを比較して被計量物Wの良否を判定するようになっている。具体的には、良否判定手段76は、計量手段72から出力された被計量物Wの重量信号を受けると、記憶手段73に予め記憶されている重量の上限値Gaおよび下限値Gbを読み出し、算出した被計量物Wの重量と上限値Gaおよび下限値Gbとをそれぞれ比較し、上限値Gaおよび下限値Gbで決定される重量の許容範囲内に被計量物Wの重量が入っているか否かを判定するようになっている。
【0040】
良否判定手段76において判定された判定結果は、表示手段10に出力され、良品または不良品として表示されるようになっている。また、判定結果は、計量装置1の後段に接続された選別部5に出力され、被計量物Wが良品または不良品として選別されるようになっている。さらに、この判定結果は、記憶手段73に出力され、各被計量物Wについての判定結果が記憶されるようになっている。
【0041】
モード切替手段77は、制御手段74に指令を出し、計量装置1の動作モードを、運転モードと設定モードとの間で切り替えるものである。ここで、運転モードとは、計量装置1が被計量物Wの計量、重量の算出および良否判定を行う通常の動作モードのことであり、設定モードとは、運転モードの動作のための各種パラメータの自動設定または手動設定をしたり、運転モードの動作を正常に行うことができるか否かの動作確認のための動作モードである。モード切替手段77は、設定手段11からの入力操作に応じて動作モードを設定モードに切り替えたり、または、装置の運転開始時に動作モードを設定モードに切り替えるようになっている。
【0042】
ステップ入力部101は、サーボ制御部91の目標値に対して
図5(a)に示すような立ち上がりが急峻なステップ波形の入力を行い、目標値をオフセットした値(例えば10)からオフセットしていない値(例えば0)に変動させるようになっている。ここで、目標値とは、無負荷時にさお82が平衡となるように設定される値であり、通常は0に設定される。
【0043】
すなわち、本実施の形態では、ステップ入力部101がサーボ制御部91に対してステップ波形を入力して目標値がオフセットした状態からオフセットしていない状態に戻すことにより、擬似負荷変動信号が発生し、秤量コンベア32に実際に被計量物Wを載置することなく、入力されたステップ波形に対する応答波形として、
図5(b)、
図5(c)に示すような試験的な秤量信号を取得できるようになっている。入力されたステップ波形に対する応答波形は、秤量手段21に作動不良等の不具合がない場合は、
図5(b)のような正常な波形となり、秤量手段21に作動不良等の不具合がある場合は、
図5(c)のような異常な波形となる。なお、ステップ入力部101がサーボ制御部91に対してステップ波形を入力すると、秤量手段21の可動部、例えば、秤量コンベア32とともに上下する吊り板85が作動する。なお、コイル印加部92にパルス波形(疑似インパルス波形)の電流を入力するパルス入力部102を総合制御部7が備える構成とすることにより、ステップ入力部101を備える場合と同様に、擬似的な秤量負荷の変化を発生させて試験的な秤量信号を取得してもよい。ステップ入力部101とパルス入力部102は、秤量信号を変動させる負荷を秤量手段21に付与するものであり、負荷付与手段110を構成する。
【0044】
なお、秤量手段21が、電気抵抗線式秤(ロードセル)または差動トランス式秤として構成されている場合は、負荷付与手段110を、秤量手段21の秤量コンベア32と一体的に移動する可動部を変位させるアクチュエータから構成することにより、このような場合でも秤量信号を変動させる負荷を秤量手段21に付与することができる。
【0045】
秤量信号記憶部112は、負荷付与手段110としてのステップ入力部101またはパルス入力部102により秤量手段21に負荷を付与したときの秤量手段21からの秤量信号を記憶するようになっている。
【0046】
異常診断部114は、予め負荷付与手段110により秤量手段21に負荷を付与して秤量手段21からの秤量信号を正常時秤量信号として秤量信号記憶部112に記憶させるとともに、診断時に負荷付与手段110により秤量手段21に負荷を付与して秤量手段21からの秤量信号を診断用秤量信号として秤量信号記憶部112に記憶させるようになっている。正常時秤量信号としては、秤量手段21に作動不良等の不具合がないことを確認した上で
図5(b)に示すような正常な秤量信号を秤量信号記憶部112に記憶させる。また、異常診断部114は、正常時秤量信号と診断用秤量信号の波形を比較し、診断用秤量信号が異常値であるか否かを診断するようになっている。診断用秤量信号が例えば、
図5(c)のように異常な秤量信号であり、
図5(b)の正常な秤量信号とは波形が異なっている場合、異常診断部114は、診断用秤量信号が異常値であるとの診断結果を出力する。異常診断部114によるこれらの動作は、モード切替手段77により計量装置1の動作モードが設定モードに切り替えられているときに行われる。異常診断部114による診断結果は、表示手段10に表示される。
【0047】
なお、秤量信号記憶部112と秤量手段21との間には、秤量手段21に入力される外来振動成分を予め測定し、秤量手段21が出力する秤量信号から外来振動成分を除去する外来振動除去部116が介装されている。
【0048】
表示手段10は、
図1に示すように、装置本体部2の搬送部3側の上端部に設けられ、液晶ディスプレイなどの表示デバイスで構成される。表示手段10は、計量装置1の動作モードが運転モードのときにおいては、計量装置1の動作状態、被計量物Wの計量値、良否判定結果を表示し、計量装置1の動作モードが設定モードのときにおいては、パラメータの設定や動作確認に関する表示をするようになっている。なお、表示手段10は、表示された数字、文字などがタッチ操作により入力されるタッチパネルとして構成し、設定手段11と一体化した構成にしてもよい。
【0049】
選別部5は、計量装置1の後段に接続されており、選別機構部5aおよび搬送ベルト5bにより構成されている。選別機構部5aは、例えば、押し出し型の選別機構により構成されている。選別機構部5aは、良品と不良品とを選別できるものであればよく、フリッパ機構、ドロップアウト機構、エアジェット機構などの選別機構で構成してもよい。選別機構部5aは、上流の秤量コンベア32から搬送される被計量物Wが搬送ベルト5bで矢印B方向に搬送されている間に、不良品と判定された被計量物Wに対して搬送ベルト5bの側面方向への押し出しやジェットエアの吹き付けを行うようになっており、不良の被計量物Wを搬送ベルト5b上から排出し、良品の被計量物Wと区別することにより選別を行っている。また、搬送ベルト5bは、ローラ5cおよびローラ5cに対向して配置されるローラ(不図示)と、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルトとして構成されており、測定を終了した被計量物Wを所定の速度で下流側に搬送するようになっている。
【0050】
次に、本実施の形態に係る計量装置1の動作を説明する。なお、以下に説明する処理は、モード切替手段77により動作モードが設定モードに設定されているときに行われる。
【0051】
まず、予め、異常診断部114は、負荷付与手段110により秤量手段21に負荷(ステップ波形またはパルス波形)を付与して秤量手段21からの秤量信号を正常時秤量信号として秤量信号記憶部112に記憶させておく。
【0052】
ついで、診断時に、異常診断部114は、負荷付与手段110により秤量手段21に負荷を付与して秤量手段21からの秤量信号を秤量信号記憶部112に診断用秤量信号として記憶させ、正常時秤量信号と診断用秤量信号の波形を比較し、診断用秤量信号が異常値であるか否かを診断する。そして、異常診断部114による診断結果が、表示手段10に表示される。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態に係る計量装置1では、被計量物Wを載置する秤量コンベア32と、秤量コンベア32に載置された被計量物Wの荷重に基づいて秤量信号を出力する秤量手段21と、秤量信号を変動させる負荷を秤量手段21に付与する負荷付与手段110と、負荷付与手段110により秤量手段21に負荷を付与したときの秤量手段21からの秤量信号を記憶する秤量信号記憶部112と、予め負荷付与手段110により秤量手段21に負荷を付与して秤量手段21からの秤量信号を正常時秤量信号として秤量信号記憶部112に記憶させるとともに、診断時に負荷付与手段110により秤量手段21に負荷を付与して秤量手段21からの秤量信号を秤量信号記憶部112に診断用秤量信号として記憶させ、正常時秤量信号と診断用秤量信号の波形を比較し、診断用秤量信号が異常値であるか否かを診断する異常診断部114と、を備えたことを特徴とする。
【0054】
この構成により、負荷付与手段110により秤量手段21に負荷を付与して取得した正常時秤量信号と診断用秤量信号の波形を異常診断部114が比較して診断用秤量信号が異常値であるか否かを判定するので、秤量手段21の可動部の作動不良を自動的に検出することができる。したがって、可動部の作動不良を自動的に検出することで正常な計量を維持することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係る計量装置1では、異常診断部114は、正常時秤量信号と診断用秤量信号の波形の波形形状または固有振動数を比較することを特徴とする。
【0056】
この構成により、波形形状または固有振動数を比較することで、診断用秤量信号が異常値であるか否かを正確に判定することができる。
【0057】
また、本実施の形態に係る計量装置1では、秤量手段21に入力される外来振動成分を予め測定し、秤量手段21が出力する秤量信号から外来振動成分を除去する外来振動除去部116を備えたことを特徴とする。
【0058】
この構成により、外来振動成分の影響を受けることなく、正常時秤量信号と診断用秤量信号を取得し、診断用秤量信号が異常値であるか否かを正確に判定することができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る計量装置1では、秤量手段21が、被計量物Wによる荷重変化により秤量コンベア32の所定位置からの変位を検出する位置センサ83と、荷重に対向する力を秤量コンベア32に与える電磁コイル84と、位置センサ83からの検出信号を受け、所定の制御パラメータを用いて秤量コンベア32の所定位置からの変位を抑制するよう電磁コイル84を駆動制御するサーボ制御部91、コイル印加部92と、電磁コイル84に流れる電流値に応じた秤量信号を出力する信号処理手段71と、を有する電磁平衡式秤として構成され、負荷付与手段110が、サーボ制御部91、コイル印加部92に対して電磁コイル84を駆動する擬似負荷変動信号を入力するステップ入力部101、パルス入力部102と、を有し、擬似負荷変動信号を入力することで、秤量信号を変動させる負荷を秤量手段21に付与することを特徴とする。
【0060】
この構成により、秤量手段21が電磁平衡式秤として構成されている構成では、負荷付与手段110を、サーボ制御部91、コイル印加部92に対して電磁コイル84を駆動する擬似負荷変動信号を入力する電気回路として構成することができるので、機械的に負荷を付与するアクチュエータ等の機構を備える場合と比較して、負荷付与手段110を設けることによるコスト上昇を抑制することができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る計量装置1では、負荷付与手段110が、秤量手段21の秤量コンベア32と一体的に移動する可動部を変位させることで前記秤量信号を変動させる負荷を前記秤量手段に付与するアクチュエータからなることを特徴とする。
【0062】
この構成により、秤量手段21が、電気抵抗線式秤(ロードセル)または差動トランス式秤として構成されている場合でも、秤量信号を変動させる負荷をアクチュエータにより秤量手段21に付与することができる。