(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両の左右両方の車輪を積載でき、前記車両の車軸の軸重測定に用いる軸重測定面と、前記車両の左右いずれか一方の車輪のみを積載でき、前記車両の左右いずれか一方のみの車輪の輪重測定に用いる輪重測定面と、を備える載台と、
前記載台を下方から支持する複数のロードセルと、
前記車両の左右両方の車輪が前記軸重測定面に載ったときの前記ロードセルからの出力信号、および、前記車両の左右いずれか一方の車輪のみが前記輪重測定面に載ったときの前記ロードセルからの出力信号、に基づいて、前記車両の左右両方の車輪の輪重を演算する演算手段と、
を備える軸重計。
車両の左右両方の車輪を積載でき、前記車両の車軸の軸重測定に用いる軸重測定面と、前記車両の左右いずれか一方の車輪のみを積載でき、前記車両の左右いずれか一方のみの車輪の輪重測定に用いる輪重測定面と、を備える載台と、
前記載台を下方から支持する複数のロードセルと、
前記車両の左右両方の車輪が前記軸重測定面に載ったときの前記ロードセルからの出力信号、および、前記車両の左右いずれか一方の車輪のみが前記輪重測定面に載ったときの前記ロードセルからの出力信号、に基づいて、前記車両の幅方向の重心位置を演算する演算手段と、
を備える軸重計。
車両の左右両方の車輪を積載でき、前記車両の車軸の軸重測定に用いる軸重測定面と、前記車両の左右いずれか一方の車輪のみを積載でき、前記車両の左右いずれか一方のみの車輪の輪重測定に用いる輪重測定面と、を備える載台と、
前記載台を下方から支持する複数のロードセルと、
前記車両の左右両方の車輪が前記軸重測定面に載ったときの前記ロードセルからの出力信号の時間波形、および、前記車両の左右いずれか一方の車輪のみが前記輪重測定面に載ったときの前記ロードセルからの出力信号の時間波形、に基づいて前記車両の左右それぞれの車輪毎にタイヤ接地長を演算する演算手段と、
を備える軸重計。
前記直方板体を削ることにより、前記直方板体に窓部を形成する場合、前記車両の進入方向において前記窓部と隣接する前記直方板体の部分が、前記軸重測定面を構成する前記載台の車両積載部に対応し、前記進入方向に直交する方向において前記窓部と隣接する前記直方板体の部分が、前記輪重測定面を構成する前記載台の車両積載部に対応している、請求項8に記載の軸重計。
前記直方板体を削ることにより、前記直方板体に切欠部を形成する場合、前記車両の進入方向において前記切欠部と隣接する前記直方板体の部分が、前記軸重測定面を構成する前記載台の車両積載部に対応し、前記進入方向に直交する方向において前記切欠部と隣接する前記直方板体の部分が、前記輪重測定面を構成する前記載台の車両積載部に対応している、請求項8に記載の軸重計。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の好ましい第1および第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、重複する要素の説明を省略する場合がある。
【0046】
また、本発明は、以下の第1および第2実施形態に限定されない。つまり、以下の第1実施形態および第2実施形態の説明は、上記新軸重計の特徴を例示しているに過ぎない。
【0047】
よって、本発明は、以下の第1実施形態および第2実施形態において例示する輪重および幅方向重心位置の定式化における具体的な演算式には限定されず、第2実施形態において例示するタイヤ接地長の定式化における具体的な演算式にも限定されない。
【0048】
例えば、新軸重計の新型載台は、載台上許容車輪数「N」および全測定対象中の最大車軸数「n」を用いて、
図1(a)に示した「N=2の新型載台」と、
図1(b)に示した「N=n+1の新型載台」と、
図1(c)に示した「N=2n−1の新型載台」と、に分類分けできると考えられる。
【0049】
そこで、以下の第1実施形態および第2実施形態では、
図1(a)に示した「N=2の新型載台」を備える新軸重計を用いて、車両の輪重、総重量、軸重、幅方向重心位置、およびタイヤ空気圧を測定する方法を述べる。しかし、かかる測定法の考え方は、
図1(b)に示した「N=n+1の新型載台」を備える新軸重計にも、
図1(c)に示した「N=2n−1の新型載台」備える新軸重計にも、そのまま同様に適用できる。
【0050】
また、新軸重計の新型載台には、突出形、窓付形、切欠形などの様々な形態がある。
【0051】
そこで、以下の第1実施形態および第2実施形態では、
図1に示した突出形載台を用いて、車両の輪重、総重量、軸重、幅方向重心位置およびタイヤ空気圧を測定する方法を述べ、窓付形載台については、第2変形例において説明し、切欠形載台については、第3変形例、第4変形例および第5変形例において説明する。
【0052】
なお、本明細書では、突出形、窓付形、切欠形のような用語を用いて、新型載台を区別しているが、かかる用語は、新型載台の形態を厳密に定義付ける趣旨ではなく、あくまで、新型載台の形態を直感的に理解するための便宜的な手段として用いられている。例えば、第1実施形態および第2実施形態の突出形載台は、直方板体を2本の中央線で4等分したときの一つを削り取った形態とも捉えることができるので、切欠形載台としても差し支えない。しかし、本明細書では、直方板体を矩形かつ凹状に削った形態の新型載台のことを切欠形載台と便宜上、称している(例えば、第3変形例、第4変形例および第5変形例参照)。
【0053】
また、本明細書では、以下の説明の便宜上、「N=2の新型載台」のことを「載台(N=2)」と略記し、「N=n+1の新型載台」のことを「載台(N=n+1)」と略記し、「N=2n−1の新型載台」のことを「載台(N=2n−1)」と略記する場合がある。また、複数種類の新型載台をまとめて、例えば、「載台(N=n+1,N=2n−1)」と略記することもある。
【0054】
(第1実施形態)
[新型載台の設計]
以下、突出形載台20(N=2)の寸法の設計手法について図面を参照しながら説明する。
【0055】
図1に示すように、突出形載台20(N=2,N=n+1,N=2n−1)は、4輪トラック等の車両10の左右両方の車輪11a,11b,12a,12bを積載でき、車両10の前側の車軸13(以下、「第1軸13」と略す場合がある)および後側の車軸14(以下、「第2軸14」と略す場合がある)の軸重測定に用いる軸重測定面21と、車両10の左右いずれか一方の車輪(ここでは、右車輪11a,12a)のみを積載でき、車両の左右いずれか一方の車輪(ここでは、右車輪11a,12a)の輪重測定に用いる輪重測定面22と、を備える。
【0056】
このような突出形載台20(N=2,N=n+1,N=2n−1)において、点A,B,C,Gを頂点とする長方形の主面(おもて面)が輪重測定面22を相当し、点F,C,D,Eを頂点とする長方形の主面(おもて面)が軸重測定面21を相当している。
【0057】
そこで、以下、車両10の進入に関し、突出形載台20(N=2)の輪重測定面22および軸重測定面21が満たすべき要件を検討する。このような要件は、下記要件(1)、(2)の如く整理できると考えられる。
【0058】
(1)車両の輪重の測定中において、その直後にある車両の車輪が、輪重測定面に進入しないこと。
【0059】
(2)車両の軸重の測定中において、その直後にある車両の車輪が、輪重測定面または軸重測定面に進入しないこと。
【0060】
上記要件(1),(2)を基にして、突出形載台20(N=2)の寸法を設計することができる。
【0061】
図2は、本発明の第1実施形態による新軸重計の突出形載台の寸法設計の説明に用いる図である。
【0062】
<記号の定義>
まず、
図2に用いる記号の意味を、まとめて定義する。
【0063】
t
1:車両10の第1軸13の右車輪11aのタイヤが、輪重測定面22に完全に載った時
t
3:車両10の第1軸13の左右車輪11a,11bのタイヤが、軸重測定面21に完全に載った時
t
4:車両10の第1軸13の左右車輪11a,11bのタイヤが、軸重測定面21から降り始める時
S:タイヤ接地長(本例では、タイヤ接地長Sは、全ての車輪11a,11b,12a,12bにおいて同一であると仮定する)
α
1:輪重測定余裕量(但し:α
1≧0)
α
2:軸重測定余裕量(但し:α
2≧0)
L
*:相隣る車軸間の距離であって、全測定対象車両中で最小のもの(以下、「最小軸間距離」という)
L
1:輪重測定面22の車両10の進入方向の寸法
L
2:軸重測定面21の車両10の進入方向の寸法
β:上記要件(1),(2)を基にした制約条件に用いる変数(β=L
*−(L
1+L
2))
なお、
図2において、3個の白抜き長方形はそれぞれ、第1軸13(前側の車軸)の両輪11a,11bの接地面を表し、時刻の経過(t
1→t
3→t
4)とともに、上記接地面が移動する様子を示している。また、網掛け長方形は、最小軸間距離L
*分離れた第2軸14(後側の車軸)の接地面を表し、時刻t
4における上記接地面の位置を示している。
【0064】
以上により、
図2から明らかなとおり、突出形載台20(N=2)の寸法設計では、上記要件(1),(2)に基づいて、次式(1)の制約条件を満たす必要がある。
【0065】
β=L
*−(L
1+L
2)≧0・・・(1)
そして、上記式(1)の制約条件下において、α
1、α
2が最大となる寸法L
1、L
2を導くことが、突出形載台20(N=2)の最適設計であると理解できる。
【0066】
そこで、かかる設計指針に基づいて、寸法L
1、L
2を以下の如く求める。
【0067】
寸法L
1、L
2は、
図2に示すように、次式(2)の関係で表される。
【0068】
L
1=S+α
1
L
2=S+α
2・・・(2)
式(2)を式(1)に代入すると、次式(3)が得られる。
【0069】
α
1+α
2≦L
*−2S・・・(3)
車両10が突出形載台20(N=2)を等速で移動すると仮定するとき、α
1、α
2が等しい場合(α
1=α
2)に、これらが最大値(α
MAX)となる寸法L
1、L
2を導くことが理に適っていると考えられる。よって、ここでは、α
1、α
2が等しい場合(α
1=α
2)の寸法L
1、L
2を決定する方法を述べる。
【0070】
まず、最小軸間距離L
*を、タイヤ接地長Sを用いて、次式(4)で表す。
【0071】
L
*=λS・・・(4)
式(4)を式(3)に代入すると、次式(5)が得られ、α
1=α
2なので、式(6)となる。
【0072】
α
1+α
2≦(λ−2)・S・・・(5)
α
1(=α
2)≦(λ−2)・S/2・・・(6)
よって、α
MAXは、次式(7)の如く表すことができる。
【0073】
α
MAX=(λ−2)・S/2・・・(7)
以上により、突出形載台20(N=2)の寸法L
1、L
2は、次式(8)の如く与えられる。
【0074】
L
1=L
2=S+α
MAX=S+(λ−2)・S/2=λ・S/2・・・(8)
例えば、最小軸間距離L
*が、タイヤ接地長Sの3倍程度の場合、式(4)のλは、λ=3となるので、α
MAX=S/2、L
1=L
2=S+α
MAX=3S/2、L
1+L
2=3S、β=0(つまり、輪重測定余裕量α
1,軸重測定余裕量α
2が最大の場合、βは必然的にゼロとなる)と見積もることができる。
【0075】
このようにして、寸法L
1、L
2が決定された突出形載台20(N=2)は、全測定対象車両のすべての輪重および軸重を測定できる。
【0076】
なお、突出形載台20(N=n+1)の寸法、および、突出形載台20(N=2n−1)の寸法についても、以上の方法を参酌することにより、同様に設計できる。
【0077】
よって、ここでは、これらの設計方法の詳細な説明は省略するが、突出形載台20(N=n+1)においては、突出形載台20(N=2)の場合に比較して、α
MAXを大きくできるという利点がある。但し、この場合、突出形載台20(N=n+1)が長大化するという欠点もある。
【0078】
[新軸重計の構成]
以下、上記寸法L
1、L
2が決定された突出形載台20(N=2)を備える新軸重計の構成について図面を参照しながら詳しく説明する。
【0079】
図3は、本発明の第1実施形態による新軸重計の概略構造の一例を示した図である。同図(a)には、新軸重計を平面図が示されている。同図(b)には、新軸重計の側面図が示されている。
【0080】
なお、本実施形態では、便宜上、
図3において車両10の全長方向を「前」および「後」の方向として図示し、車両10の幅方向を「左」および「右」の方向として図示している。そして、車両10が突出形載台20(N=2)の「後」から進入し、突出形載台20(N=2)の「前」から退出するものして、以下の新軸重計100の構成を説明する。よって、以下の説明では、車両10の進入方向を、前後方向と言い換え、車両10の幅方向を左右方向と言い換える場合がある。
【0081】
図3に示すように、新軸重計100は、トラックやトレーラ等の車両10が乗ることができる突出形載台20(N=2)と、第1ロードセルLC1、第2ロードセルLC2、第3ロードセルLC3および第4ロードセルLC4(以下、これらのロードセルLC1,LC2,LC3,LC4を総称して「ロードセルLC1〜LC4」と略す場合がある)と、を備える。
【0082】
なお、ここでは、車両10として、車輪11a,11bが装着された前側の車軸13が運転席の下方に1本、車輪12a,12bが装着された後側の車軸14が荷台の下方に1本、合計2本の車軸13,14が配された4輪トラックが例示されている。
【0083】
図3に示すように、突出形載台20(N=2)は、車両10の左右両方の車輪11a,11b,12a,12bを積載でき、車両10の第1軸13および第2軸14の軸重測定に用いる軸重測定面21と、車両10の左右いずれか一方の車輪のみ(ここでは、右車輪11a,12a)を積載でき、車両の左右いずれか一方の車輪のみ(ここでは、右車輪11a,12a)の輪重測定に用いる輪重測定面22と、を備える。
【0084】
なお、本例では、設置ベース25のピット部21Aとほぼ同形(若干小さめ)の直方板体の左後方部全体を矩形状に削り取ることにより、輪重測定面22を構成する突出形載台20(N=2)の車両積載部(以下、「載台車両積載部」と略す)が、軸重測定面21を構成する載台車両積載部よりも幅狭に形成されている。しかし、軸重測定面21および輪重測定面22を構成する載台車両積載部の形成は、これに限らない。他の例の詳細は、第1変形例において述べる。
【0085】
新軸重計100を平面視(
図3(a))した場合、設置ベース25の表面には長方形のピット部21Aが形成されている。そして、
図3に示すように、このピット部21Aに、突出形載台20(N=2)と、蓋部材26と、が配されている。
【0086】
なお、蓋部材26は、突出形載台20(N=2)と設置ベース25との間のピット空間を塞ぐ目的で設けられている部材である。よって、このような蓋部材26を配する代わりに、平面視において、設置ベース25のピット部を突出形載台20(N=2)の形状に沿って形成してもよい(つまり、突出形載台20(N=2)よりも若干大きめ相似形のピット部)。但し、本実施形態の如く、蓋部材26を設ける方が、新軸重計100のコスト面からは有利であると考えられる。
【0087】
また、
図3(a)に示すように、突出形載台20(N=2)の軸重測定面21は、前後方向に延びる右端部および左端部を短辺とし、左右方向に延びる前端部および後端部を長辺とし、前後寸法L
2および左右寸法H
2の長方形の載台車両積載部の主面(おもて面)に相当する。
【0088】
一方、突出形載台20(N=2)の輪重測定面22は、前後方向に延びる右端部および左端部を長辺とし、左右方向に延びる前端部および後端部を短辺とし、前後寸法L
1および左右寸法H
1の長方形の載台車両積載部の主面(おもて面)に相当する。
【0089】
なお、本例では、突出形載台20(N=2)の寸法L
1,L
2は、上記突出形載台の設計手法に倣って決定されている。また、軸重測定面21を構成する載台車両積載部の前後寸法L
2は、輪重測定面22を構成する載台車両積載部の前後寸法L
1とほぼ等しく設定されている(L
2=L
1)。
【0090】
一方、軸重測定面21を構成する載台車両積載部の左右寸法H
2は、輪重測定面22を構成する載台車両積載部の左右寸法H
1の約2倍に設定されている(H
2=2・H
1)。また、輪重測定面22を構成する載台車両積載部が、軸重測定面21を構成する載台車両積載部の端部から突出するようにして、両載台車両積載部が一体に形成されている。
【0091】
しかし、以上の突出形載台20(N=2)の構成は一例であり、様々な構成に変更できる。
【0092】
例えば、軸重測定面21を構成する載台車両積載部と、輪重測定面22を構成する載台車両積載部とをそれぞれ、別々の板部材で構成し、両板部材を適宜の固定手段(溶接やボルト締結等)を用いて一体的に形成してもよい。
【0093】
また、輪重測定面22を構成する載台車両積載部の左右寸法H
1を、軸重測定面21を構成する載台車両積載部の左右寸法H
2の半分よりも若干、大きくしても、車両10の左右いずれか一方の車輪のみを輪重測定面22に載せることができる場合がある。この場合、輪重測定面22を構成する載台車両積載部を幅広に構成できるので、本載台車両積載部の強度を向上できる。
【0094】
更に、輪重測定面22を構成する載台車両積載部の形状は必ずしも長方形でなくてもよい。例えば、この載台車両積載部の前後寸法L
1を上記突出形載台の設計手法に基づいて決定すれば、他の形状(例えば、載台車両積載部の角を面取りしたような多角形状等)であってもよい。
【0095】
図3に示すように、4個のロードセルLC1〜LC4はそれぞれ、突出形載台20(N=2)の適宜の角部において突出形載台20(N=2)の下方の設置ベース25上に配されている。
【0096】
詳しくは、第1ロードセルLC1と第3ロードセルLC3は、突出形載台20(N=2)の後端部20Bの近傍において後端部20Bと平行な直線上に一定間隔(寸法a
1;例えば、
図9参照)を隔てて並び、第2ロードセルLC2と第4ロードセルLC4は、突出形載台20(N=2)の前端部20Fの近傍において前端部20Fと平行な直線上に一定間隔(寸法a
2;例えば、
図9参照)を隔てて並んでいる。
【0097】
一方、第1ロードセルLC1と第1ロードセルLC2は、前後方向おいて一定間隔(寸法a;例えば、
図12参照)を隔てて並び、第3ロードセルLC3と第4ロードセルLC4は、突出形載台20(N=2)の右端部20Rの近傍において右端部20Rと平行な直線上に上記一定間隔と同じ間隔(寸法a;例えば、
図12参照)を隔てて並んでいる。
【0098】
以上より、突出形載台20(N=2)の裏面が、設置ベース25上のロードセルLC1〜LC4によって下方から支持されている。
【0099】
このように、本実施形態の新軸重計100は、突出形載台20(N=2)が、軸重測定面21と、輪重測定面22と、を備えることを特徴とする。そして、本実施形態の新軸重計100では、上記特徴により、従来の軸重計に、車両10の輪重および幅方向重心位置を測定する機能を付与することができるが、その詳細は後述する。
【0100】
[新軸重計の制御系の構成]
図4は、
図3の新軸重計の制御系の構成の一例を示したブロック図である。また、
図5は、
図4の新軸重計の制御装置の機能ブロック図である。
【0101】
図4に示すように、新軸重計100は、制御装置40と、操作装置41と、表示装置42とを備える。
【0102】
制御装置40は、例えば、ロードセルLC1〜LC4のそれぞれに対応する複数(ここでは、4個)の増幅器43および複数(ここでは、4個)のローパスフィルタ44と、マルチプレクサ45と、A/D変換器46と、I/O回路47と、メモリ48と、演算器49とを備える。
【0103】
増幅器43は、ロードセルLC1〜LC4から送信される信号をA/D変換可能な大きさに増幅して送り出す機能を備える。
【0104】
ローパスフィルタ44は、低域周波数のみを信号として通過させる機能を備える。
【0105】
マルチプレクサ45は、ローパスフィルタ44のそれぞれから送信される複数の信号を、演算器49からの選択制御信号の指令に基づいて選択的に送り出す機能を備える。
【0106】
A/D変換器46は、マルチプレクサ45からのアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を備える。
【0107】
I/O回路47は、A/D変換器46と、操作装置41と、表示装置42と、メモリ48と、演算器49との間で各種の信号やデータの受け渡しを行う機能を備える。
【0108】
メモリ48は、例えば、PROMやRAM等で構成され、所定プログラムや基本データ等を長期的に記憶したり、種々のデータや演算用数値などを一時的に記憶したりする機能を備える。
【0109】
演算器49は、例えば、マイクロプロセッサ(MPU)等の処理装置で構成され、メモリ48に格納されている所定プログラムの指示に従って、必要な信号をI/O回路47を介して受け取り、必要なデータをメモリ48から受け取り、受け取った信号やデータに基づいて演算を実行する機能を備える。
【0110】
操作装置41は、操作スイッチや数値キー等を備え、測定開始・終了の動作や零点調整動作、使用モードの切り換え動作、数値設定動作などの種々の動作の際に用いられる。
【0111】
表示装置42は、例えば、液晶ディスプレイパネル等で構成され、測定結果や各種データの入出力画面などが表示される。
【0112】
[新軸重計の制御系の処理動作]
新軸重計100の制御系においては、各ロードセルLC1〜LC4の出力信号が、増幅器43、ローパスフィルタ44、マルチプレクサ45、A/D変換器46およびI/O回路47を経由して演算器49に送られる。演算器49は、メモリ48に格納されている所定プログラムに従って、I/O回路47からの信号を取り込み、メモリ48に記憶されている種々のデータを読み込む。
【0113】
これにより、演算器49は、これらの信号やデータに基づいて車両10の運転を支援できる様々な有益な積載状態量の演算を行い、この演算結果は表示装置42に表示される。
【0114】
そして、本実施形態の新軸重計100では、制御装置40において、所定プログラムが演算器49で実行されることにより、
図5に示すように、車両10の車輪11a,11b,12a,12bの輪重を演算する輪重演算部51、車両10の重心位置を演算する重心位置演算部52、車両10の総重量を演算する総重量演算部53、車両10の車軸13、14の軸重を演算する軸重演算部54、表示信号生成部55のそれぞれの機能が実現される。
【0115】
なお、制御装置40は、必ずしも、単独の演算器49で構成される必要はなく、複数の演算器が分散配置されていて、それらが協働して新軸重計100の動作を制御するよう構成されていてもよい。例えば、輪重演算部51の機能、重心位置演算部52の機能、総重量演算部53の機能および軸重演算部54の機能を、ここでは、単一の演算器49を用いて実現している例が示されているが、これらの機能を別個の演算器(MPU)を用いて実現してもよい。
【0116】
そこで、以下、新軸重計100の輪重演算部51、重心位置演算部52、総重量演算部53および軸重演算部54のそれぞれの機能について順を追って説明する。なお、表示信号生成部55の機能は公知である。よって、表示信号生成部55の機能説明は、ここでは、省略する。
【0117】
[記号の定義]
まず、以下の説明およびこれに関連する図面に用いる記号の意味を、まとめて定義する。
【0118】
<車両関連>
X軸(
図8):車両10の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる中央線
Y軸(
図8):X軸を含む水平面内において、X軸上の任意の点O(ラージオー)を通り、X軸に直交する直線
W
R1:車両10の第1軸13の右車輪11aの輪重
W
L1:車両10の第1軸13の左車輪11bの輪重
W
R2:車両10の第2軸14の右車輪12aの輪重
W
L2:車両10の第2軸14の左車輪12bの輪重
W
1:第1軸13の軸重
W
2:第1軸14の軸重
W:車両10の総重量
G(
図8):車両10の重心
Y
G(
図8):直交座標系O−XYにおける車両10の幅方向の重心位置の偏心量
B
1(
図8):車両10の第1軸13のトレッド間隔
B
2(
図8):車両10の第2軸14のトレッド間隔
S(
図6):タイヤ接地長(本実施形態では、タイヤ接地長Sは、全ての車輪11a,11b,12a,12bにおいて同一であると仮定する)
【0119】
<ロードセルの出力および配置関連>
P
1:第1ロードセルLC1の出力
P
2:第2ロードセルLC2の出力
P
3:第3ロードセルLC3の出力
P
4:第4ロードセルLC4の出力
P:全てのロードセルLC1〜LC4の出力の総和
(P=P
1+P
2+P
3+P
4)
a
1(
図9):第1ロードセルLC1と第3ロードセルLC3との中心間距離
a
2(
図9):第2ロードセルLC2と第4ロードセルLC4との中心間距離
b(
図9):第3ロードセルLC3と第4ロードセルLC4とを結ぶ直線からの第1軸13の輪重W
R1の作用点までの距離
なお、上記記号のうち、距離a
1,a
2は、既知の値(ロードセルLC1〜LC4の配置に依存する固定値)であり、これらの値は予めメモリ48に記憶されている。
【0120】
<突出形載台関連>
x軸(
図7,
図9):軸重測定面21の幅方向の中心位置を通り前後方向に延びる中央線
y軸(
図7,
図9):突出形載台20(n=2)の前後方向の中心位置を通り幅方向に延びる中央線
o(スモールオー;
図7,
図9):x軸とy軸との交点
【0121】
<ロードセルの出力波形関連>
図6に示すように、車両10の第1軸13(第2軸14も同じ)の右車輪11a(左車輪11b)のタイヤでは、設置ベース25(蓋部材26)および輪重測定面22(軸重測定面21)との間でタイヤ接地面30が生じ、タイヤにはタイヤ接地長Sが存在する。よって、車両10が突出形載台20(N=2)に乗り込むとき、ロードセルLC1〜LC4の出力Pの出力波形には、複数個の折点が表れ(例えば、
図7(b)参照)、これらの出力波形の折点に対応する時刻t
0,t
1,t
2,t
3,t
4,t
5は、以下のように定義できる。
【0122】
t
0:第1軸13の右車輪11aのタイヤが輪重測定面22に乗り込み始める時
t
1:第1軸13の右車輪11aのタイヤが輪重測定面22に完全に載った時
t
2:第1軸13の左車輪11bのタイヤが軸重測定面21に乗り込み始める時
t
3:第1軸13の左車輪11bのタイヤが軸重測定面21に完全に載った時
t
4:第1軸13の左右車輪11a,11bのタイヤが軸重測定面21から降り始める時
t
5:第1軸13の左右車輪11a,11bのタイヤが軸重測定面21から完全に降りた時
【0123】
[輪重演算部の機能]
以下、新軸重計100の輪重演算部51の機能について説明する。
【0124】
図7は、
図5の輪重演算部による車両の輪重導出の説明、および、
図5の軸重演算部による車両の軸重導出の説明に用いる概略図である。
【0125】
なお、ここでは、これらの導出法を理解することが目的なので、本導出法に直接関係しない新軸重計100の構成の図示は、便宜上、省略ないし簡略化されている。例えば、
図7では、設置ベース25(
図1参照)の図示は省略されている。
【0126】
また、車両10の構成の図示は、第1軸13をそのタイヤ中心線で略記する等、適宜、簡略化されている。
【0127】
車両10の第1軸13の輪重W
R1,W
L1を導くには、車両10が突出形載台20(N=2)上を移動する場合のロードセルLC1〜LC4の出力波形(時間波形)の意味を知る必要がある。
【0128】
そこで、まず、ロードセルLC1〜LC4の出力波形について説明する。
【0129】
図7(b)は、
図1の車両の第1軸の両車輪が載台に乗り込むときの、ロードセルLC1〜LC4の出力波形(時間波形)を表した図である。詳しくは、直交座標系o−xyのx軸(ここでは、第1軸13の位置(タイヤ中心線位置))を横軸に取り、全てのロードセルLC1〜LC4の出力の総和であるP(x)(=P
1(x)+P
2(x)+P
3(x)+P
4(x))の出力波形を縦軸に取って、両者の関係が示されている。
【0130】
なお、
図7では、上記出力波形の意味を理解容易にする趣旨で、上記x軸の位置に対応付けて、車両10の第1軸13(但し、第1軸13のタイヤ中心線のみ図示)の右車輪11aが突出形載台20(N=2)に差し掛かっている様子が併記されている。
【0131】
図7(b)のP(x)の出力波形は、以下の如く理解できる。
【0132】
図7(a)に示すように、第1軸13の右車輪11aのタイヤが、輪重測定面22に乗り込み始める時(時刻t
0)、P(x)の出力波形は立ち上がり始め、第1軸13の右車輪11aのタイヤが、輪重測定面22に完全に載った時(時刻t
1)、上記出力波形の値は一定となる。この場合、P(x)の出力値が輪重W
R1に相当する。なお、このとき、車両10の第1軸13の右車輪11aのタイヤと突出形載台20(N=2)との間でタイヤ接地面30が生じるが、右車輪11aの輪重がタイヤ接地面30に等分布荷重として作用すると仮定する場合、上記出力波形の立ち上がりプロファイルは、
図7(b)に示す如くほぼ折線状となる。また、時刻t
0に対応するx軸の位置と、時刻t
1に対応するx軸の位置との間の距離は、タイヤ接地長Sに等しくなる。
【0133】
次いで、第1軸13の左車輪11bのタイヤが、軸重測定面21に乗り込み始める時(時刻t
2)、P(x)の出力波形は、再び立ち上がり始め、第1軸13の右車輪11aのタイヤが、軸重測定面21に完全に載った時(時刻t
3)、上記出力波形の値は一定となる。この場合、P(x)の出力値が軸重W
1(=W
R1+W
L1)に相当する。なお、このとき、車両10の第1軸13の左車輪11bのタイヤと突出形載台20(N=2)との間でタイヤ接地面30が生じるが、左車輪11bの輪重W
L1がタイヤ接地面30に等分布荷重として作用すると仮定する場合、上記出力波形の立ち上がりプロファイルは、
図7(b)に示す如くほぼ折線状となる。また、時刻t
2に対応するx軸の位置と、時刻t
3に対応するx軸の位置との間の距離は、タイヤ接地長Sに等しくなる。
【0134】
以上により、時間区間[t
1,t
2]におけるP(t)は、車両10の第1軸13の右車輪11aのみが輪重測定面22上に載ったときのロードセルLC1〜LC4からの出力信号(荷重信号)の総和に対応し、この値は、輪重W
R1に相当する。
【0135】
よって、輪重W
R1は以下の式(9)によって求めることができる。
【0136】
輪重W
R1=P(t)・・・(9)
ただし、式(9)において、tは時間区間[t
1,t
2]内の時刻(t
1<t<t
2)である。
【0137】
また、時間区間[t
3,t
4]におけるP(t)は、車両10の第1軸13の両車輪11a,11bが軸重測定面21に載ったときのロードセルLC1〜LC4からの出力信号(荷重信号)の総和に対応し、この値は、第1軸13の軸重W
1(=W
L1+W
R1)に相当する。
【0138】
よって、輪重W
L1は以下の式(10)によって求めることができる。
【0139】
輪重W
L1=P(t)−W
R1=W
1−W
R1・・・(10)
ただし、式(10)において、tは時間区間[t
3,t
4]内の時刻(t
3<t<t
4)である。
【0140】
なお、車両10の第2軸14の輪重W
R2、W
L2の導出法については、上記輪重W
R1、W
L1の導出法を参酌することにより容易に理解できる。よって、ここでは、車両10の第2軸14の輪重W
R2、W
L2の導出法の説明は省略する。
【0141】
以上により、本実施形態の新軸重計100は、輪重演算部51が、上記式(9)および式(10)を用いて、車両10の第1軸13の輪重W
R1、W
L1を演算することができる。また、輪重演算部51が、車両10の第2軸14の輪重W
R2、W
L2も、第1軸13の輪重演算と同様にして演算することができる。
【0142】
[軸重演算部の機能]
以下、新軸重計100の軸重演算部54の機能について説明する。
【0143】
上述のとおり、時間区間[t
3,t
4]におけるP(t)は、車両10の第1軸13の両車輪11a,11bが軸重測定面21に載ったときのロードセルLC1〜LC4からの出力信号(荷重信号)の総和に対応し、この値は、第1軸13の軸重W
1に相当する。
【0144】
よって、車両10の第1軸13の軸重W
1は以下の式(11)によって求めることができる。
【0145】
軸重W
1=P(t)・・・(11)
ただし、式(11)において、tは時間区間[t
3,t
4]内の時刻(t
3<t<t
4)である。
【0146】
なお、車両10の第2軸14の軸重W
2の導出法については、上記軸重W
1の導出法を参酌することにより容易に理解できる。よって、ここでは、車両10の第2軸14の軸重導出法の説明は省略する。
【0147】
以上により、本実施形態の新軸重計100は、軸重演算部54が、式(11)を用いて車両10の第1軸13の軸重W
1を演算することができる。また、軸重演算部54が、車両10の第2軸14の軸重W
2も、第1軸13の軸重演算と同様にして演算することができる。
【0148】
[総重量演算部の機能]
以下、新軸重計100の総重量演算部53の機能について説明する。
【0149】
車両10の総重量Wは、車両10の第1軸13の軸重W
1と、車両10の第2軸14の軸重W
2との和に対応する。
【0150】
以上により、本実施形態の新軸重計100は、総重量演算部53が、車両10の第1軸13の軸重W
1と、車両10の第2軸14の軸重W
2とを用いて、車両10の総重量Wを演算することができる。
【0151】
[重心位置演算部の機能]
以下、新軸重計100の重心位置演算部52の機能について説明する。
【0152】
まず、車両10の幅方向重心位置(車両10の幅方向の偏心量Y
G)について図面を参照しながら説明する。
【0153】
図8は、
図5の重心位置演算部による車両の重心位置の導出の説明に用いる図であり、車両10を上から見た図である。但し、
図8では、車両10の左右車輪11a,11b,12a,12bのみを図示している。
【0154】
図8に示すように、本実施形態の新軸重計100では、車両10の重心Gの位置の定式化において、車両10の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる車両中央線に沿ってX軸を定め、そのX軸を含む水平面内において、X軸上の任意の点Oを通り、X軸に直交する直線に沿ってY軸を設ける。
【0155】
つまり、本実施形態の新軸重計100では、直交座標系O−XYを基準にして、車両の重心Gの位置に相当する幅方向重心位置(Y
G)を求めることに特徴がある。このように、
図3の直交座標系o−xyに寄らずに、直交座標系O−XYを考慮することにより、重心Gの位置を以下の如く簡易に定式化することができる。
【0156】
<Y
Gの導出法>
図8に示すように、Y
Gは、直交座標系O−XYにおける車両10の幅方向の重心Gの位置の偏心量を表している。
【0157】
ここで、モーメントのつりあいの式からY
Gは、次式(12)のように表わすことができる。
【0158】
Y
G={B
1(W
L1−W
R1)+B
2(W
L2−W
R2)}/2(W
R1+W
L1+W
R2+W
L2)
・・・(12)
ただし、式(12)のY
Gの符号は、車両10の進入方向から見て左側(直交座標系O−XYの第1象限および第2象限)をプラス(+)、右側(直交座標系O−XYの第3象限および第4象限)をマイナス(−)とする。
【0159】
式(12)において、車両10の第1軸13のトレッド間隔B
1、および、車両10の第2軸14のトレッド間隔B
2を求めることができると、同式に基づいてY
Gを演算できる。
【0160】
そこで、車両10の第1軸13のトレッド間隔B
1、および、車両10の第2軸14のトレッド間隔B
2を以下の如く求める。
【0161】
<トレッド間隔の求め方>
以下、トレッド間隔B
1の求め方について、
図9を参酌しながら説明する。
【0162】
図9(a)において、第3ロードセルLC3と第4ロードセルLC4とを結ぶ直線まわりのモーメントのつり合いを考える。すると、モーメントのつり合いにより、次式(13)が成立し、その結果、式(14)の関係式が得られる。
【0163】
b・W
R1−a
1・P
1(t)−a
2・P
2(t)=0・・・(13)
b=1/W
R1・(a
1・P
1(t)+a
2・P
2(t))・・・(14)
ただし、式(13)および式(14)において、tは時間区間[t
1,t
2]内の時刻(t
1<t<t
2)である。
【0164】
また、
図9(b)において、第3ロードセルLC3と第4ロードセルLC4とを結ぶ直線まわりのモーメントのつり合いを考える。すると、モーメントのつり合いにより、次式(15)が成立し、その結果、式(16)の関係式が得られる。
【0165】
b・W
R1+(b+B
1)・W
L1−a
1・P
1(t)−a
2・P
2(t)=0
・・・(15)
B
1=1/W
L1・(a
1・P
1(t)+a
2・P
2(t)−b・W
R1)
・・・(16)
ただし、式(15)および式(16)において、tは時間区間[t
3,t
4]内の時刻(t
3<t<t
4)である。
【0166】
以上により、式(14)を用いて、第3ロードセルLC3と第4ロードセルLC4とを結ぶ直線からの第1軸13の輪重W
Rの作用点までの距離bを導くことができ、この距離bを式(16)に代入することにより、車両10の第1軸13のトレッド間隔B
1を演算することができる。
【0167】
なお、車両10の第2軸14のトレッド間隔B
2の導出法については、上記トレッド間隔B
1の導出法を参酌することにより容易に理解できる。よって、ここでは、車両10の第2軸14のトレッド間隔B
2の導出法の説明は省略する。
【0168】
このようにして、本実施形態の新軸重計100では、トレッド間隔B
1,B
2を演算できる。その結果、新軸重計100の重心位置演算部52は、車両10の第1軸13のトレッド間隔B
1、第2軸14のトレッド間隔B
2、輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2の取得に基づいて、式(12)を用いて車両10の重心GのY
Gを演算することができる。
【0169】
(第2実施形態)
[新軸重計の構成]
図10は、本発明の第2実施形態の新軸重計の概略構造の一例を示した図である。同図(a)には、新軸重計を平面図が示されている。同図(b)には、新軸重計の側面図が示されている。
【0170】
なお、本実施形態では、便宜上、
図10において車両10の全長方向を「前」および「後」の方向として図示し、車両10の幅方向を「左」および「右」の方向として図示している。そして、車両10が突出形載台20(N=2)の「後」から進入し、突出形載台20(N=2)の「前」から退出するものして、以下の新軸重計200の構成を説明する。よって、以下の説明では、車両10の進入方向を、前後方向と言い換え、車両10の幅方向を左右方向と言い換える場合がある。
【0171】
図11は、
図10の新軸重計の制御装置の機能ブロック図である。
【0172】
本実施形態の新軸重計200では、制御装置40Aにおいて、所定プログラムが演算器49(
図4参照)で実行されることにより、
図11に示すように、車両10の車輪11a,11b,12a,12bの輪重を演算する輪重演算部51、車両10の重心位置を演算する重心位置演算部52、車両10の総重量を演算する総重量演算部53、車両10の車軸13、14の軸重を演算する軸重演算部54、表示信号生成部55のそれぞれの機能の他、車両10の左右のそれぞれの車輪11a,11b,12a,12bのタイヤ空気圧を予測するタイヤ空気圧演算部56の機能も実現される。
【0173】
つまり、本実施形態の新軸重計200については、制御装置40Aにおいて、所定プログラムが演算器49で実行されることにより、タイヤ空気圧演算部56の機能を実現できる点で、かかる機能が実現されていない第1実施形態の新軸重計100(
図1参照)と区別されるが、ハードウェア上、この新軸重計100の各構成要素をそのまま使用することができる。
【0174】
よって、ここでは、第1実施形態の新軸重計100の構成要素と同一又は相当する本実施形態の新軸重計200の構成要素には同一の符号を付して、両者に共通する構成の詳細な説明は省略する。
【0175】
制御装置40Aは、必ずしも、単独の演算器49(
図4参照)で構成される必要はなく、複数の演算器が分散配置されていて、それらが協働して新軸重計の動作を制御するよう構成されていてもよい。例えば、以下に述べるタイヤ空気圧演算部56の機能、および、第1実施形態で述べた輪重演算部51の機能、重心位置演算部52の機能、総重量演算部53の機能および軸重演算部54の機能はそれぞれ、独自の価値がある。よって、車両10の車輪11a,11b,12a,12bのタイヤ空気圧を予測できるよう、タイヤ空気圧演算部56の機能実現に特化した演算器を用いて、タイヤ空気圧演算部56の機能のみが実現される新軸重計を構築してもよい。
【0176】
なお、輪重演算部51、重心位置演算部52、総重量演算部53および軸重演算部54のそれぞれの機能については、第1実施形態で述べた内容と同じである。また、以下の説明およびこれに関連する図面に用いる記号の意味についても、以下のタイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2およびP
13(t)以外は、第1実施形態で述べた内容と同じである。更に、表示信号生成部55の機能については公知である。よって、これらの詳細な説明は、ここでは、省略する。
【0177】
[記号の定義]
まず、以下の説明およびこれに関連する図面に用いる記号の意味を定義する。
【0178】
S
R1:車両10の第1軸13の右車輪11aのタイヤ接地長
S
L1:車両10の第1軸13の左車輪11bのタイヤ接地長
S
R2:車両10の第2軸14の右車輪12aのタイヤ接地長
S
L2:車両10の第2軸14の左車輪12bのタイヤ接地長
P
13:第1ロードセルLC1および第3ロードセルLC3の出力の和
(P
13=P
1+P
3)
a(
図12):第1ロードセルLC1(第3ロードセルLC3)と第2ロードセルLC2(第4ロードセルLC4)との中心間距離
Δa(
図12):突出形載台20(N=2)の後端部20Bと第1ロードセルLC1(第3ロードセルLC3)の中心との距離
なお、上記記号のうち、距離a,Δaは、既知の値(突出形載台20(N=2)の形状およびロードセルLC1〜LC4の配置に依存する固定値)であり、これらの値は予めメモリ48に記憶されている。
【0179】
[タイヤ空気圧演算部の機能]
以下、新軸重計200のタイヤ空気圧演算部56の機能について説明する。
【0180】
車両10の左右それぞれの車輪11a,11b,12a,12bのタイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2は、対応する空気圧と輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2とにより変化する。よって、このようなタイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2と輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2とを演算できると、これらの値に基づいて、車輪11a,11b,12a,12b毎のタイヤ空気圧の過不足を予測できるはずである。
【0181】
つまり、タイヤ空気圧が低い場合、または、輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2が大きい場合、タイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2は長くなる。逆に、空気圧が高い場合、または、輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2が小さい場合、タイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2が短くなる。車両10が、タイヤ空気圧が低い状態で走行すると、車両10のタイヤトラブル(例えば、走行中のタイヤバースト)の発生原因になる。よって、車両10のタイヤ空気圧を知ることは、車両10の運転にとって重要である。
【0182】
なお、新軸重計200による車両の輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2の導出法については、第1実施形態において述べた内容を参酌することにより理解できる。
【0183】
そこで、以下、車両10の左右のそれぞれの車輪11a,11b,12a,12b毎のタイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2を演算する方法を説明する。
【0184】
<車両のタイヤ接地長導出法>
図12は、
図11のタイヤ空気圧演算部による車両の左右のそれぞれの車輪毎のタイヤ接地長導出の説明に用いる図である。
【0185】
なお、ここでは、これらの導出法を理解することが目的なので、本導出法に直接関係しない新軸重計200の構成の図示は、便宜上、省略ないし簡略化されている。例えば、
図12では、設置ベース25(
図1参照)の図示は省略されている。
【0186】
また、車両10の構成の図示は、第1軸13をそのタイヤ中心線で略記し、第1軸13の両車輪11a,11bのタイヤを太い点線で略記する等、適宜、簡略化されている。
【0187】
第1軸13の車輪11a,11b毎のタイヤ接地長S
R1,S
L1を導くには、車両10が突出形載台20(N=2)上を移動する場合のロードセルLC1〜LC4の出力波形(時間波形)の意味を知る必要がある。
【0188】
そこで、ロードセルLC1〜LC4の出力波形について、以下に説明する。
【0189】
図12(b)および
図12(c)は、
図1の車両の第1軸の両車輪が突出形載台に乗り込むときの、ロードセルLC1〜LC4の出力波形(時間波形)を表した図である。
【0190】
詳しくは、
図12(b)には、第1軸13の位置(タイヤ中心線位置)を横軸に取り、全てのロードセルLC1〜LC4の出力の総和であるP(x)(=P
1(x)+P
2(x)+P
3(x)+P
4(x))の出力波形を縦軸に取って、両者の関係が示されている。
【0191】
図12(c)には、第1軸13の位置を横軸(タイヤ中心線位置)に取り、第1ロードセルLC1および第3ロードセルLC3の出力の和であるP
13(x)(=P
1(x)+P
3(x))の出力波形を縦軸に取って、両者の関係が図示されている。
【0192】
なお、
図12(b)および
図12(c)の直交座標系では、
図7の直交座標系o−xyとは異なり、車両10の第1軸13の右車輪11aのタイヤが輪重測定面22に乗り込み始める時(時刻t
0)に対応する第1軸13の位置を、x軸の原点o’としている。また、
図12(a)では、上記出力波形の意味を理解容易にする趣旨で、上記x軸の位置に対応付けて、車両10の第1軸13の両車輪11a,11bのそれぞれが、突出形載台20(N=2)に差し掛かっている様子が併記されている。
【0193】
図12から容易に理解できるとおり、車両10が新軸重計200に乗り込むとき、車両10の第1軸13の車輪11a,11bの乗り込み順は、第1軸13の右車輪11a,第1軸13の左車輪11bの順番になる。よって、車両10の第1軸13の両車輪11a,11bが突出形載台20(N=2)に乗り込むときの、ロードセルLC1〜LC4の出力波形(時間波形)が
図12(b)の如く表される。
【0194】
なお、
図12(b)でのP(x)(=P
1(x)+P
2(x)+P
3(x)+P
4(x))の出力波形のプロファイルは、第1実施形態でのP(x)の出力波形のプロファイルについての説明を参酌することにより容易に理解できる。よって、ここでは、
図12(b)でのP(x)(=P
1(x)+P
2(x)+P
3(x)+P
4(x))の出力波形のプロファイルの詳細な説明は省略する。
【0195】
一方、
図12(c)のP
13(x)(=P
1(x)+P
3(x))の出力波形(時間波形)は、第2ロードセルLC2および第4ロードセルLC4を結ぶ直線周りのモーメントのつりあい式に基づいて、以下の如く理解できる。
【0196】
図12(a)に示すように、第1軸13の右車輪11aのタイヤが、輪重測定面22に乗り込み始める時(時刻t
0)、P
13(x)の出力波形は立ち上がり始め、第1軸13の右車輪11aのタイヤが、載台突出部22に完全に載った時(時刻t
1;x軸=x
1)、上記出力波形の値は最大となる。なお、
図12(c)では、時刻t
1のP
13(x)の出力波形の位置(頂点)を座標Aとし、座標AにおけるP
13(x)の出力値を「W
*」としている。また、時刻t
1に対応するx軸の位置を座標Bとしている。
【0197】
その後、
図12(c)に示すように、P
13(x)の出力値は、線形減少に転じる。
【0198】
ここで、P
13(x)の出力値(輪重W
R1のP
13(x)への寄与分K
R1)は、第1軸13が第3ロードセルLC3(第1ロードセルLC1)のx軸上に到達したときに(x軸=x
2のときに)、輪重W
R1と等しくなる。
図12(c)では、このときのP
13(x)の出力波形の位置を座標Dとして、このときのx軸の位置を座標Eとしている。
【0199】
また、上記寄与分K
R1は、第1軸13が第4ロードセルLC4(第2ロードセルLC2)のx軸上に到達したときに(x軸=x
4のときに)、ゼロとなる。なお、
図12(c)では、このときのP
13(x)の出力波形の位置(つまり、このときのx軸の位置)を座標Cとしている。
【0200】
次いで、
図12(a)に示すように、第1軸13の左車輪11bのタイヤが、軸重測定面21に乗り込み始める時(時刻t
2;x軸=x
3)、P
13(x)の出力波形は、再び立ち上がり始め、第1軸13の右車輪11aのタイヤが、軸重測定面21に完全に載った時(時刻t
3)、上記出力波形の値は最大となる。なお、
図12(c)では、時刻t
2のP
13(x)の出力波形の位置(折点)を座標Fとし、座標FにおけるP
13(x)の出力値を「W
**」としている。また、時刻t
2に対応するx軸の位置を座標Gとしている。
【0201】
その後、
図12(c)に示すように、P
13(x)の出力値は再び、線形減少に転じる。
【0202】
ここで、輪重W
L1のP
13(x)への寄与分K
L1(
図12(c)の点線参照)は、第1軸13が第4ロードセルLC4(第2ロードセルLC2)のx軸上に到達したときに(x軸=x
4のときに)、ゼロとなる。また、P
13(x)の出力値(
図12(c)の実線参照)も、第1軸13が第4ロードセルLC4(第2ロードセルLC2)のx軸上に到達したときに(x軸=x
4のときに)、ゼロとなる。なお、
図12(c)では、このときのP
13(x)の出力波形の位置(つまり、このときのx軸の位置)を座標Cとしている。
【0203】
以上のP
13(x)の出力波形(時間波形)を用いることにより、車両10の第1軸13の両車輪11a,11bのタイヤ接地長S
R1,S
L1は、
図12(c)の幾何学的関係に基づいて以下の如く導くことができる。
【0204】
まず、
図12(c)上の座標A,B,Cを頂点とする直角三角形が、同図上の座標D,E,Cを頂点とする直角三角形と相似関係にあることを利用すると、タイヤ接地長S
R1を定式化できる。
【0205】
図12(b)の座標系によれば、x
1=S
R1とし、x
4=S
R1/2+Δa+aとすることができる。よって、座標A,Bに対応するx軸上の位置(x
1)と、座標Cに対応するx軸上の位置(x
4)との間の距離は、寸法(Δa+a−S
R1/2)と表すことができる。また、座標D,Eに対応するx軸上の位置(x
2)と、座標Cに対応するx軸上の位置(x
4)との間の距離は、寸法aで表すことができる。
【0206】
すると、以上の直角三角形の間の相似関係を用いて、以下の関係式(17)が得られ、式(17)を変形すると、タイヤ接地長S
R1を次式(18)のように表すことができる。
【0207】
W
*/(Δa+a−S
R1/2)=W
R1/a・・・(17)
S
R1=(2−W
*/W
R1)・a+2Δa・・・(18)
次いで、
図12(c)上の座標D,E,Cを頂点とする直角三角形が、同図上の座標F,G,Cを頂点とする直角三角形と相似関係にあることを利用すると、タイヤ接地長S
L1を以下の如く定式化できる。
【0208】
図12(b)の座標系によれば、x
3=Δa+a/2+(S
R1−S
L1)/2とし、x
4=S
R1/2+Δa+aとすることができる。よって、座標F,Gに対応するx軸上の位置(x
3)と、座標Cに対応するx軸上の位置(x
4)との間の距離は、寸法(a/2+S
L1/2)と表すことができる。また、座標D,Eに対応するx軸上の位置(x
2)と、座標Cに対応するx軸上の位置(x
4)との間の距離は、寸法aで表すことができる。
【0209】
すると、以上の直角三角形の間の相似関係を用いて、以下の関係式(19)が得られ、式(19)を変形すると、タイヤ接地長S
L1を次式(20)のように表すことができる。
【0210】
W
R1/a=W
**/(a/2+S
L1/2)・・・(19)
S
L1=(2W
**/W
R1−1)・a・・・(20)
なお、第2軸14の車輪12a,12b毎のタイヤ接地長S
R2,S
L2の導出法については、上記タイヤ接地長S
R1,S
L1の導出法を参酌することにより容易に理解できる。よって、ここでは、タイヤ接地長S
R2,S
L2の導出法の説明は省略する。
【0211】
このようにして、車両10の左右のそれぞれの車輪11a,11b毎のタイヤ接地長S
R1,S
L1をそれぞれ、上記式(18)、式(20)を用いて求めることができる。また、車両10の左右のそれぞれの車輪12a,12b毎のタイヤ接地長S
R2,S
L2も、タイヤ接地長S
R1,S
L1と同様にして求めることができる。
【0212】
以上により、本実施形態の新軸重計200では、タイヤ空気圧演算部56が、ロードセルLC1〜LC4の出力波形(時間波形)を用いてタイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2を演算できるとともに、第1実施形態で述べたように、輪重演算部51が、車両10の輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2を演算できる。
【0213】
これにより、新軸重計100のタイヤ空気圧演算部56は、タイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2および輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2の取得に基づいて、各車輪11a,11b,12a,12bのタイヤの空気圧の過不足を予測できる。その結果、タイヤ空気圧演算部56は、各車輪11a,11b,12a,12bのタイヤ空気圧の良否を判定できる。
【0214】
例えば、このような判定では、車輪11a,11b,12a,12bの輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2に対するタイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2の閾値を予め設定しておき、輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2の演算値とタイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2の演算値に基づいてタイヤ空気圧の過不足を予測してもよい。
【0215】
また、車両10の輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2の法定上限値が、例えば、5トンとすれば、車両10のタイヤにおけるタイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2の上限値S1max(5トン)を、自ずと決定できる。よって、タイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2のいずれかが、上限値S1max(5トン)を超える場合は、輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2の値に関わらず、タイヤ空気圧が異常(ここでは、タイヤ空気圧の不足)であると予測してもよい。
【0216】
また、車両10のタイヤサイズに対応するタイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2の上限値S2max(Aインチ),S2max(Bインチ)・・・をテーブルデータとしてメモリ48に予め記憶させることにより、きめ細かなタイヤ空気圧の異常(ここでは、タイヤ空気圧の不足)を予測できる。例えば、タイヤ接地長S
R1,S
L1,S
R2,S
L2のいずれかが、上限値S2max(Aインチ)を超える場合は、制御装置40Aは、適宜の報知手段(図示せず)を用いて、『搭載しているタイヤサイズがAインチなら、タイヤ空気圧不足と思われるので、タイヤ空気圧を調整してください』等の運転者への警告を報知することができる。
【0217】
なお、本例では、車両10の左右のそれぞれの車輪11a,11b,12a,12b毎のタイヤ接地長を導出する方法を述べたが、車両10のタイヤ接地長の演算は、必ずしもこれに限らない。
【0218】
例えば、全ての車輪11a,11b,12a,12bにおいてタイヤ接地長Sが同一であると仮定して、タイヤ接地長Sの定式化を簡易に行ってもよい。この場合でも、タイヤ空気圧の過不足を簡易に予測できて有益な場合がある。つまり、演算器49は、ロードセルLC1〜LC4の出力波形(時間波形)を用いて、車両10の左右それぞれの車輪11a,11b,12a,12bのタイヤ接地長Sが同一と仮定した場合のタイヤ接地長Sを演算し、このタイヤ接地長Sおよび輪重W
R1,W
L1,W
R2,W
L2に基づいて車輪11a,11b,12a,12bのタイヤ空気圧の良否を簡易に判定できる。
【0219】
(変形例)
次に、第1実施形態の新軸重計100および第2実施形態の新軸重計200の変形例について述べる。以上の説明から、当業者にとっては、新軸重計100,200を以下の如く、様々に改変することができる。
【0220】
<第1変形例>
第1実施形態の新軸重計100および第2実施形態の新軸重計200では、
図3および
図10に示すように、設置ベース25のピット部21Aとほぼ同形(若干小さめ)の直方板体の左後方部全体を矩形状に削り取ることにより、軸重測定面21および輪重測定面22を構成する載台車両積載部が形成されている。
【0221】
しかし、本変形例(
図13)の新軸重計100A,200Aの如く、直方板体の左前方部全体を矩形状に削り取ることにより、軸重測定面21Aおよび輪重測定面22Aを構成する載台車両積載部を形成することができる。なお、この場合、車両10は、突出形載台20A(N=2)の「前」から進入し、突出形載台20A(N=2)の「後」から退出することになる。
【0222】
また、本変形例(
図14)の如く、マザーの直方板体を、その厚み方向に部分的に削ることによって、軸重測定面521および輪重測定面522を構成する載台車両積載部(つまり、直方板体520の薄肉部を除く部分)を形成することができる。なお、この場合、上記削り領域のほぼ全域を覆うように、適宜の固定手段527を用いて設置ベース525に固定された蓋部材526が配置されている。この蓋部材526は、直方板体520との間の接続の縁切りが行われており、蓋部材526上に車両10の左車輪11b,12bが載っても、車両10の荷重は、直方板体520に伝わらない。かかる構成により、直方板体520の剛性を増すことができるので、軸重測定面521を構成する載台車両積載部や輪重測定面522を構成する載台車両積載部の強度を向上できる。
【0223】
<第2変形例>
第1実施形態の新軸重計100および第2実施形態の新軸重計200では、新型載台として、突出形載台20(N=2)を用いる例を述べたが、新型載台は、突出形に限定されない。
【0224】
本変形例の新軸重計100B,200Bの窓付形載台20B(N=2)は、
図15に示す如く、車両10の左右両方の車輪11a,11b,12a,12bを積載でき、車両10の第1軸13および第2軸の軸重測定に用いる軸重測定面21Bと、車両10の左右いずれか一方の車輪のみ(ここでは、右車輪11a,12a)を積載でき、車両10の左右いずれか一方の車輪のみ(ここでは、右車輪11a,12a)の輪重測定に用いる輪重測定面22Bとを備える。
【0225】
図15に示すように、本変形例の新軸重計100B,200Bでは、設置ベース25のピット部21Aとほぼ同形(若干小さめ)の直方板体の左後方部を矩形の窓形に削り取ることにより矩形窓部150が形成され、その結果、軸重測定面21Bを構成する載台車両積載部、および、輪重測定面22Bを構成する載台車両積載部が形成されている。この場合、車両10の進入方向(前後方向)において矩形窓部150と隣接する直方板体の部分が、軸重測定面21Bを構成する載台車両積載部に対応し、上記進入方向に直交する方向(左右方向)において矩形窓部150と隣接する直方板体の部分が、輪重測定面22Bを構成する載台車両積載部に対応している。
【0226】
また、蓋部材26Bが、窓付形載台20B(N=2)の矩形窓部150内のピット空間を塞ぐ目的で設けられている。
【0227】
窓付形載台20B(N=2)の前後方向の寸法L'
1,L'
2の設計では、窓付形載台20B(N=2)の中心線と矩形窓部150の前端部との間の距離に相当する寸法「ΔL'
2」を、窓付形載台20B(N=2)の後端部と矩形窓部150の後端部との間の距離に相当する寸法「ΔL'
1」の半分に取るとよい(ΔL'
2=ΔL'
1/2)。
【0228】
なお、本変形例の新軸重計100B,200Bでは、上記寸法L'
1,L'
2は、突出形載台20(N=2)の設計での寸法L
1,L
2(
図2および
図3参照)と比べて短くなるので、新軸重計100B,200Bの輪重測定余裕量および軸重測定余裕量が、新軸重形100,200の場合のα
1,α
2(
図2参照)に比べて小さくなるという欠点がある。
【0229】
一方、本変形例の新軸重計100B,200Bでは、
図15に示すように、第1ロードセルLC1’の位置を、窓付形載台20B(N=2)の左後方の角部に移動できるので、窓付形載台20B(N=2)の支持位置を前後方向および左右方法に対称に配置できるという利点がある。
【0230】
なお、新軸重計100Bの輪重演算部51の機能、軸重演算部54の機能、総重量演算部53の機能および重心位置演算部52の機能については、第1実施形態の説明を参酌することにより容易に理解でき、新軸重計200Bのタイヤ空気圧演算部56の機能については、第2実施形態の説明を参酌することにより容易に理解できる。よって、ここでは、これらの詳細な説明は省略する。
【0231】
また、窓付形載台20B(N=2)に代えて、窓付形載台(N=n+1,N=2n−1)を用いることもできる。
【0232】
また、上記第1変形例(
図14)の如く、上記直方板体の左後方部を、その厚み方向に部分的に窓形に削ることによって、窓付形載台20B(N=2)と同じ類の軸重測定面および輪重測定面を構成する載台車両積載部を形成することができる。
【0233】
<第3変形例>
第1実施形態の新軸重計100および第2実施形態の新軸重計200では、新型載台として、突出形載台20(N=2)を用いる例を述べたが、新型載台は、突出形に限定されない。
【0234】
本変形例の新軸重計100C,200Cの切欠形載台20C(N=2)は、
図16に示す如く、車両10の左右両方の車輪11a,11b,12a,12bを積載でき、車両10の第1軸13および第2軸14の軸重測定に用いる軸重測定面21Cと、車両10の左右いずれか一方の車輪のみ(ここでは、右車輪11a,12a)を積載でき、車両10の左右いずれか一方の車輪のみ(ここでは、右車輪11a,12a)の輪重測定に用いる輪重測定面22Cとを備える。
【0235】
図16に示すように、本変形例の新軸重計100C,200Cでは、設置ベース25のピット部21Aとほぼ同形(若干小さめ)の直方板体の左後方部を、その左端部から左右方向に矩形かつ凹状に削り取ることにより、軸重測定面21Cおよび輪重測定面22Cを構成する載台車両積載部が形成されている。この場合、車両10の進入方向(前後方向)において、矩形かつ凹状の切欠部と隣接する直方板体の部分が、軸重測定面21Cを構成する載台車両積載部に対応し、上記進入方向に直交する方向(左右方向)において、上記切欠部と隣接する直方板体の部分が、輪重測定面22Cを構成する載台車両積載部に対応している。
【0236】
また、蓋部材26Cが、切欠形載台20C(N=2)の矩形のピット空間を塞ぐ目的で設けられている。
【0237】
以上により、本変形例の新軸重計100C,200Cでは、
図16に示すように、第1ロードセルLC1’の位置を、切欠形載台20C(N=2)の左後方の角部に移動できるので、切欠形載台20C(N=2)の支持位置を前後方向および左右方法に対称に配置できるという利点がある。
【0238】
なお、切欠形載台20C(N=2)の寸法設計の手法については、第2変形例の窓付形載台20B(N=2)の寸法設計を参酌することにより容易に理解できる。また、新軸重計100Cの輪重演算部51の機能、軸重演算部54の機能、総重量演算部53の機能および重心位置演算部52の機能については、第1実施形態の説明を参酌することにより容易に理解でき、新軸重計200Cのタイヤ空気圧演算部56の機能については、第2実施形態の説明を参酌することにより容易に理解できる。よって、ここでは、これらの詳細な説明は省略する。
【0239】
また、切欠形載台20C(N=2)に代えて、左右方向に上記切欠部が形成された切欠形載台(N=n+1,N=2n−1)を用いることもできる。
【0240】
また、上記第1変形例(
図14)の如く、上記直方板体の左後方部を、その厚み方向に部分的に矩形かつ凹状に削ることによって、切欠形載台20C(N=2)と同じ類の軸重測定面および輪重測定面を構成する載台車両積載部を形成することができる。
【0241】
<第4変形例>
第1実施形態の新軸重計100および第2実施形態の新軸重計200では、新型載台として、突出形載台20(N=2)を用いる例を述べたが、新型載台は、突出形に限定されない。
【0242】
本変形例の新軸重計100D,200Dの切欠形載台20D(N=2)は、
図17に示す如く、車両10の左右両方の車輪11a,11b,12a,12bを積載でき、車両10の第1軸13および第2軸14の軸重測定に用いる軸重測定面21Dと、車両10の左右いずれか一方の車輪のみ(ここでは、右車輪11a,12a)を積載でき、車両10の左右いずれか一方の車輪のみ(ここでは、右車輪11a,12a)の輪重測定に用いる輪重測定面22Dとを備える。
【0243】
図17に示すように、本変形例の新軸重計100D,200Dでは、設置ベース25'のピット部とほぼ同形(若干小さめ)の直方板体の左寄りの後方部を、その後端部から前後方向に矩形かつ凹状に削り取ることにより、軸重測定面21Dおよび輪重測定面22Dを構成する載台車両積載部が形成されている。この場合、車両10の進入方向(前後方向)において、矩形かつ凹状の切欠部と隣接する直方板体の部分が、軸重測定面21Dを構成する載台車両積載部に対応し、上記進入方向に直交する方向(左右方向)において、上記切欠部と隣接する直方板体の部分が、輪重測定面22Dを構成する載台車両積載部に対応している。
【0244】
また、蓋部材26Dが、切欠形載台20D(N=2)の矩形のピット空間を塞ぐ目的で設けられている。
【0245】
このとき、輪重測定面22Dは、左後方の突出面300よりも幅広に構成されており、新軸重計100,200の突出形載台20(N=2)と同様に、車両10の左右いずれか一方の車輪(ここでは、右車輪11a,12a)のみが、輪重測定面22Dに乗ることができる幅寸法に設定されている。
【0246】
また、突出面300は、輪重測定面22Dを構成する載台車両積載部よりも幅狭に構成されており、車両10の左右いずれか一方の車輪(ここでは、右車輪11a,12a)が輪重測定面22Dに乗った場合、車両10の左右いずれか他方の車輪(ここでは、左車輪11b,12b)が、突出面300に乗らない幅寸法に設定されている。
【0247】
つまり、車両10の左右いずれか一方の車輪(ここでは、右車輪11a,12a)が輪重測定面22Dに乗った場合、車両10の左右いずれか他方の車輪(ここでは、左車輪11b,12b)が、輪重測定面22Dおよび突出面300の間の切欠形載台20D(N=2)の上記切欠部(つまり、蓋部材26D上)を通過する。
【0248】
なお、この場合、車両10が誤って、後方から突出面300に進入しないよう、突出面300の付近に、突出面300への車両10の進入を阻止する手段(例えば、図示しないポールやガイド板)を配置してもよい。
【0249】
以上により、本変形例の新軸重計100D,200Dでは、
図17に示すように、第1ロードセルLC1’の位置を、切欠形載台20D(N=2)の左後方の角部に移動できるので、切欠形載台20D(N=2)の支持位置を前後方向および左右方法に対称に配置できるという利点がある。
【0250】
なお、切欠形載台20D(N=2)の寸法設計の手法については、第1実施形態の突出形載台20(N=2)の寸法設計を参酌することにより容易に理解できる。また、新軸重計100Dの輪重演算部51の機能、軸重演算部54の機能、総重量演算部53の機能および重心位置演算部52の機能については、第1実施形態の説明を参酌することにより容易に理解でき、新軸重計200Dのタイヤ空気圧演算部56の機能については、第2実施形態の説明を参酌することにより容易に理解できる。よって、ここでは、これらの詳細な説明は省略する。
【0251】
また、切欠形載台20D(N=2)に代えて、前後方向に上記切欠部が形成された切欠形載台(N=n+1,N=2n−1)を用いることもできる。
【0252】
また、上記第1変形例(
図14)の如く、上記直方板体の左寄りの後方部を、その厚み方向に部分的に矩形かつ凹状に削ることによって、切欠形載台20D(N=2)と同じ類の軸重測定面および輪重測定面を構成する載台車両積載部を形成することができる。
【0253】
<第5変形例>
第1実施形態の新軸重計100および第2実施形態の新軸重計200では、車両10の右車輪11a、12aのみが、輪重測定面22に乗ることが想定されているが、これに限らない。
【0254】
例えば、本変形例の新軸重計100E,200Eでは、
図18に示すように、車両10の右車輪11a、12aのみが、切欠形載台20E(N=2)の右後方部に形成された第1輪重測定面122Eに乗ることができるとともに、車両10の左車輪11b、12bのみが、切欠形載台20E(N=2)の左後方部に形成された第2輪重測定面222Eに乗ることができる。
【0255】
なお、ここで、
図18に示すように、第1輪重測定面122Eの幅、第2輪重測定面222Eの幅、第1輪重測定面122Eおよび第2輪重測定面222Eの間の切欠形載台20E(N=2)の矩形の切欠部の幅は、ほぼ同じ寸法に設定されている。つまり、本変形例の新軸重計100E,200Eでは、設置ベース25'のピット部とほぼ同形(若干小さめ)の直方板体の中央の後方部を、その後端部から前後方向に矩形かつ凹状に削り取ることにより、軸重測定面21E、第1輪重測定面122Eおよび第2輪重測定面222Eを構成する載台車両積載部が形成されている。この場合、車両10の進入方向(前後方向)において、矩形かつ凹状の切欠部と隣接する直方板体の部分が、軸重測定面21Eを構成する載台車両積載部に対応し、上記進入方向に直交する方向(左右方向)において、上記切欠部と隣接する直方板体の部分が、第1輪重測定面122Eおよび第2輪重測定面222Eを構成する載台車両積載部に対応している。
【0256】
また、蓋部材26Eが、切欠形載台20E(N=2)の上記切欠部のピット空間を塞ぐ目的で設けられている。
【0257】
このようにして、車両10の右車輪11a、12aが第1輪重測定面122Eに乗った場合、車両10の左車輪11b、12bは、第2輪重測定面222Eに乗らずに、上記切欠部(つまり、蓋部材26E上)を通過する。逆に、車両10の左車輪11b、12bが第2輪重測定面222Eに乗った場合、車両10の右車輪11a、12aは、第1輪重測定面122Eに乗らずに、上記切欠部(つまり、蓋部材26E上)を通過する。
【0258】
以上により、本変形例の新軸重計100E,200Eでは、車両10が、切欠形載台20E(N=2)の後方のどの位置から切欠形載台20E(N=2)に進入しても、車両10の右車輪11a、12aおよび左車輪11b、12bを異なるタイミングで切欠形載台20E(N=2)に乗せることができる。
【0259】
また、本変形例の新軸重計100E,200Eでは、
図18に示すように、第1ロードセルLC1’の位置を、切欠形載台20E(N=2)の左後方の角部に移動できるので、切欠形載台20E(N=2)の支持位置を前後方向および左右方法に対称に配置できるという利点がある。
【0260】
なお、切欠形載台20E(N=2)の寸法設計の手法については、第1実施形態の突出形載台20(N=2)の寸法設計を参酌することにより容易に理解できる。また、新軸重計100Eの輪重演算部51の機能、軸重演算部54の機能、総重量演算部53の機能および重心位置演算部52の機能については、第1実施形態の説明を参酌することにより容易に理解でき、新軸重計200Eのタイヤ空気圧演算部56の機能については、第2実施形態の説明を参酌することにより容易に理解できる。よって、ここでは、これらの詳細な説明は省略する。
【0261】
また、切欠形載台20E(N=2)に代えて、前後方向に上記切欠部が形成された切欠形載台(N=n+1,N=2n−1)を用いることもできる。
【0262】
また、上記第1変形例(
図14)の如く、上記直方板体の中央の後方部を、その厚み方向に部分的に矩形かつ凹状に削ることによって、切欠形載台20E(N=2)と同じ類の軸重測定面および輪重測定面を構成する載台車両積載部を形成することができる。
【0263】
<第6変形例>
第1実施形態の新軸重計100および第2実施形態の新軸重計200では、車両10として4輪トラックを例に取り、新軸重計100の輪重演算部51、重心位置演算部52、総重量演算部53および軸重演算部54のそれぞれの機能、および、新軸重計200のタイヤ空気圧演算部56の機能を述べた。
【0264】
しかし、以上に述べた新軸重計の測定対象は、4輪トラックに限定されるものではなく、任意の多軸車が測定可能なよう、新軸重計の新型載台を設計することができる。
【0265】
なお、この場合の輪重演算部51、重心位置演算部52、総重量演算部53、軸重演算部54およびタイヤ空気圧演算部56のそれぞれの機能の定式化は、第1および第2実施形態の説明を参酌することにより容易に理解できる。よって、これらの詳細な説明は省略する。