(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試験用リムは、タイヤの取り付け及び取り外しを容易にするため、一対の上リムと下リムからなる。この上下リムにタイヤが取り付けられて試験が行われるとき、上リムと下リムは、それぞれがタイヤ試験機に取り付けられ、互いに離隔している。
【0006】
そして、この上下リムがリム交換装置によって交換される場合、上リムと下リムが重ね合わされる等の方法によって一体化され、リム組立体として扱われることが多い。その後、一体化されたリム組立体が、タイヤ試験機外部の交換装置やリムストック位置へ搬出される。リム組立体が一体化されて保管されることによって、同一径の上リムと下リムがばらばらにならず、管理性が向上する。また、外部からタイヤ試験機へリム組立体が搬入される場合は、一体化されたリム組立体が搬入され、タイヤが取り付けられて上リムと下リムが分割される。
【0007】
リム交換の際に上リムと下リムを一体化するには、様々な方法をとり得るが、リム組立体を吊り上げて交換する場合には、上下リムの外部から上下リムを一体化させる治具を取り付けるか、又は上下いずれかの一方のリム若しくは双方のリムに上下リムを一体化させ得る機構を持たせる方法が考えられる。
【0008】
ところで、試験時に上下リムに取り付けられるタイヤのビード幅が小さいと、上リムと下リムとの離隔距離が小さくなる。したがって、上下リムを一体化させる方法において上記の後者の方法の場合、上下リム同士が干渉することなく、物理的に一体化させる機構を設ける必要がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、サイズの小さいタイヤも取り付けることが可能なリム組立体、タイヤ試験機及びリム組立体交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のリム組立体、タイヤ試験機及びリム組立体交換方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るリム組立体は、試験対象であるタイヤが取り付けられる一対の第一のリムと第二のリムを有するリム組立体であって、第一のリムに設けられたピンと、第二のリムに設けられ、ピンに係合可能なピン受け部と、第二のリムの第一のリム側の表面には、ピンの先端の少なくとも一部を収容可能な凹状断面の溝が形成されている溝部とを備える。
【0011】
この発明によれば、第一のリムと第二のリムは、ピン及びピン受け部が係合することによって一体化する。係合時に上側の第一のリム又は第二のリムを吊り上げれば、上側の第一のリム又は第二のリムに吊られて他方のリムも同時に移動可能である。第一のリムと第二のリムにタイヤが取り付けられて試験が行われるとき、ピン及びピン受け部の係合は解除されて、ピンとピン受け部は互いに干渉しないことが望ましい。ピンとピン受け部が上下方向に干渉する位置関係となれば、タイヤ試験時に第一のリムと第二のリムが何らかの原因により相対回転した場合、ピンの損傷をきたす。そのため、ピンとピン受け部の上下方向相対寸法について、この干渉を無くす寸法とする場合は、上下方向に十分な寸法を確保せねばならないため、必然的にビード幅に制約が出てくる。
【0012】
本発明では、溝部の表面に、ピン先端を収容可能な凹状の溝が形成されている。したがって、第一のリムと第二のリムにタイヤが取り付けられて試験が行われる際、ピンと溝部が対向するとき、溝部が形成されていない場合に比べて、第一のリムと第二のリムを近接させることができる。なお、ピン受け部と溝部は、いずれも第二のリムの一部を構成する。
【0013】
上記発明において、ピンの先端は、ピンの軸方向に対して垂直方向に延設された突起部を有し、ピン受け部は、突起部がスライドするためのスライド用溝とピンがスライドするためのスライド用開口部とを有してもよい。
【0014】
この発明によれば、突起部はピンの軸方向に対して垂直方向に延設され他形状を有し、ピン受け部のスライド用溝をスライドする。また、ピンは、ピン受け部のスライド用開口部をスライドする。これにより、ピンとピン受け部が係合する。
【0015】
上記発明において、突起部の上面の断面形状と、突起部の一部を収容する際に対向する溝の断面形状は、それぞれテーパ形状でもよい。
【0016】
この発明によれば、突起部は、突起元の厚さが突起先よりも厚いことから、突起元の強度を維持することができ、支持部は、突出元の厚さが突出端よりも厚いことから、突出元の強度を維持することができる。したがって、ピン及びピン受け部の剛性を高く保ったまま、ピン及びピン受け部を用いたリム組立体の吊り上げ・移動が可能になる。また、支持部の表面にピンの先端を収容可能な凹状の溝が形成されていることから、第一のリムと第二のリムを近接させることができる。
【0017】
上記発明において、ピン受け部と溝部は、第二のリムの周方向に形成され、溝も周方向に形成されてもよい。
【0018】
この発明によれば、リム組立体にタイヤが取り付けられて試験が行われる場合等、係合が解除されて、ピン先端とピン受け部の表面が近接しているときに、第一のリムと第二のリムが軸心周りに相対的に回転したとしても、ピン先端が周方向に形成された溝に沿って移動する。したがって、ピンとピン受け部が互いに干渉することがない。
【0019】
上記発明において、ピン受け部と溝部は、同一断面内に形成されており、溝部は、ピン受け部の第一のリム側に溝が形成されてもよい。
この発明によれば、ピン受け部の第一のリム側の表面に、ピンの先端の少なくとも一部を収容可能な凹状断面の溝が形成される。したがって、第一のリムと第二のリムにタイヤが取り付けられて試験が行われる際、ピンに対向する位置にピン受け部がある場合、第一のリムと第二のリムを近接させることができる。
【0020】
上記発明において、第一のリム及び第二のリムの少なくともいずれか一方に設けられたスタンドを更に備え、ピンとピン受け部とが係合したとき、スタンドが上方に位置する第一のリム又は第二のリムを支持してもよい。
【0021】
この発明によれば、下方に位置する第一のリム又は第二のリムの上面に他方のリムが置かれたとき、スタンドが上方に位置する他方のリムを支持することから、リム組立体の保管時においてピンとピン受け部が上方に位置する第一のリム又は第二のリムの荷重を支持することがなく、衝撃等によるピン及びピン受け部の損傷を防止できる。
【0022】
また、本発明に係るタイヤ試験機は、上記のリム組立体と、第一のリム又は第二のリムを支持してリム組立体を吊り上げる吊り上げ部とを備える。
【0023】
この発明によれば、吊り上げ部が上方に位置している第一のリム又は第二のリムを支持して吊り上げているとき、第一のリムと第二のリムが係合していれば、第一のリムと第二のリムを同時に移動できる。また、吊り上げ部が上方に位置している第一のリム又は第二のリムを支持して吊り上げているとき、第一のリムと第二のリムの係合が解除されていれば、ピン受け部の表面に、ピン先端を収容可能な凹状の溝が形成されていることから、ピン受け部の表面に溝が形成されていない場合に比べて、第一のリムと第二のリムを近接させることができる。したがって、ピン及びピン受け部を用いて交換が可能なリム組立体を有するタイヤ試験機において、被試験体であるタイヤのサイズが小さい場合でも、試験可能になる。
【0024】
また、本発明に係るリム組立体交換方法は、試験対象であるタイヤが取り付けられる一対の第一のリムと第二のリムを有するリム組立体を用いたタイヤ試験機のリム組立体交換方法であって、第一のリムに設けられたピンと、第二のリムに設けられ、ピンに係合可能なピン受け部と、第二のリムの第一のリム側の表面には、ピンの先端の少なくとも一部を収容可能な凹状断面の溝が形成されている溝部とを備えるリム組立体のうち第一のリム又は第二のリムを支持してリム組立体を吊り上げる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、サイズの小さいタイヤもリム組立体に取り付けて試験することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るタイヤ試験機を示す縦断面図である。
【
図2】同実施形態に係る上下リム、リムエレベータの支持部及び下部スピンドルを示す縦断面図である。
【
図3】同実施形態に係る上リムを示す下面図であり、
図2のA−A線矢視図である。
【
図4】同実施形態に係る下リムを示す上面図であり、
図2のB−B線矢視図である。
【
図5】同実施形態に係る上リムのピン受け部を示す上面図である。
【
図6】同実施形態に係るピン及びピン受け部を示す縦断面図であり、
図5のC−C線で切断した図である。
【
図7】同実施形態に係るピン及びピン受け部を示す縦断面図であり、
図5のD−D線で切断した図である。
【
図8】同実施形態に係るピン及びピン受け部を示す縦断面図であり、
図5のE−E線で切断した図である。
【
図9】同実施形態に係るリム組立体、リムエレベータ及び下部スピンドルを示す縦断面図である。
【
図10】同実施形態に係るタイヤ試験機を示す縦断面図である。
【
図11】同実施形態に係るリム組立体、リムエレベータ、ストッカーフレーム及び下部スピンドルを示す縦断面図である。
【
図12】同実施形態に係るリム組立体、リムエレベータ、リムストッカー及び下部スピンドルを示す縦断面図である。
【
図13】同実施形態に係るリム組立体、リムエレベータ、ストッカーフレーム及び下部スピンドルを示す縦断面図である。
【
図14】同実施形態に係るタイヤ試験機を示す縦断面図である。
【
図15】同実施形態に係るリム組立体、リムエレベータ及び下部スピンドルを示す縦断面図である。
【
図16】同実施形態に係る下リムを示す上面図である。
【
図17】同実施形態に係る下リムを示す上面図である。
【
図18】同実施形態に係る下リムを示す上面図である。
【
図19】同実施形態に係る上リム及び下リムを示す部分拡大縦面図であり、
図16のF−F線で切断した図である。
【
図20】同実施形態に係る上リム及び下リムを示す部分拡大縦面図であり、
図17のG−G線で切断した図である。
【
図21】同実施形態に係る上リム及び下リムを示す部分拡大縦面図であり、
図17のG−G線で切断した図である。
【
図22】同実施形態に係るピン及びピン受け部を示す縦断面図である。
【
図23】関連技術のピン及びピン受け部を示す縦断面図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係るリム組立体、リムエレベータ及び下部スピンドルを示す縦断面図である。
【
図25】同実施形態に係る上リム及び下リムを示す部分拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係るタイヤ試験機について、
図1を用いて説明する。
タイヤ試験機には、例えばタイヤの均一性を測定するタイヤユニフォーミティ測定装置12がある。タイヤユニフォーミティ測定装置12は、リム組立体に取り付けられたタイヤを試験対象とし、下部スピンドル16によって回転駆動するタイヤに円筒状のロードホイール22を当接させる。タイヤユニフォーミティ測定装置12は、付与された荷重をロードホイール22の上部及び下部に設けられたロードセルで測定する。
【0028】
ロードホイール22は、レール23上を走行して、下部スピンドル16側へ近接したり、下部スピンドル16から離隔したりすることができる。
【0029】
図24に示すように、試験対象であるタイヤ60は、上リム1及び下リム2に取り付けられる。このとき、上リム1は、リムエレベータ14のチャック機構9によって把持され、下リム2は、台座15上の下部スピンドル16上に載置されている。また、リムエレベータ14が下方に下降し、上リムシャフト13の下部が下部スピンドル16の内部に挿入されている。そして、上リムシャフト13と下部スピンドル16は、ロック機構によって所定の挿入位置で互いに連結される。
【0030】
下部スピンドル16は、モータによって回転駆動する。また、ロック機構によって上リムシャフト13と連結されているとき、下部スピンドル16は、上リムシャフト13と共に回転する。
【0031】
リムエレベータ14は、上下方向に昇降可能であり、支持部8に取り付けられたチャック機構9を有する。リムエレベータ14は、モータによって駆動されるボールねじ25等の伝動機構を介してフレーム24に沿って昇降する。リムエレベータ14が上方へ移動する際は、ロック機構が解除されて、上リムシャフト13と下部スピンドル16の連結が解除される。
【0032】
リムストッカー11は、旋回台20がレール21上を走行して、下部スピンドル16側へ近接したり、下部スピンドル16から離隔したりすることができる。
【0033】
旋回台20は、上部に旋回軸17が設けられる。旋回軸17には、複数のストッカーフレーム18が接続されており、旋回軸17は、旋回軸17の軸心周りにストッカーフレーム18を回転させる。これにより、旋回軸17は、ストッカーフレーム18のリム台座19上に載置された上リム1及び下リム2を下部スピンドル16側へ近接したり、下部スピンドル16から離隔したりすることができる。
【0034】
次に、一対の上リム1と下リム2からなるリム組立体について説明する。
上リム1には、タイヤ取付け部分よりも内側であって上リム1の下面に、三つのピン受け部3と三つのスタンド受け部4が周方向に交互に設置される。
図3は、上リム1の下面を示している。また、下リム2には、タイヤ取付け部分よりも内側であって下リム2の上面に3本のピン6と、3本のスタンド7が周方向に交互に設置される。
図4は、下リム2の上面を示している。ピン6は、リム組立体移動時にピン受け部3に係合する。スタンド7は、リム組立体保管時にスタンド受け部4と当接する。一方、試験時には、
図24及び
図25に示すように、ピン6とピン受け部3の係合は解除されて離隔しており、スタンド7とスタンド受け部4も互いに離隔している。
【0035】
ピン6には、例えば
図6から
図8に示すように、ピン本体部よりも径が小さい首部を介して、テーパ形状の突起部30が先端に形成されている。突起部30は、ピン6の軸方向に対して垂直方向に延設されており、突起元の厚さが突起先よりも厚い。これにより、突起部30の突起元の強度を維持することができる。なお、本実施形態では、ピン6の縦断面において、突起部30がピン6の軸を中心にして両側に延設されている場合について説明しているが、本発明はこの例に限定されない。例えば、突起部30は、ピン6の軸から片側にのみ延設されていてもよい。
【0036】
ピン受け部3には、
図5に示すように、挿入用開口部26と、スライド用開口部27が形成される。挿入用開口部26は、ピン6の突起部30が出入可能である。スライド用開口部27は、挿入用開口部26の一側に形成され、上リム1の周方向に沿って開口している。スライド用開口部27の幅は、ピン6の突起部30の直径よりも狭く、ピン6の首部よりも広い。なお、ピン受け部3は、
図5に示すようなピン6に係合する第一の領域3Aと、第一の領域3A以外の第二の領域3Bに分けられる。上記挿入用開口部26と、スライド用開口部27は、第一の領域3Aに形成される。
【0037】
また、ピン受け部3には、例えば
図6及び
図7に示すように、周方向に設けられた対向する二つの側壁間にスライド用溝29が形成される。更に、ピン受け部3は、スライド用開口部27側に突出して、ピン6の突起部30を支持する支持部28を有する。支持部28は、突出元の厚さが突出端よりも厚い。これにより、支持部28の突出元の強度を維持することができる。そして、支持部28の下リム2側の表面には、ピン6の先端の突起部30を収容可能な凹状に形成された凹状溝28aが形成されている。ピン受け部3において、突起部30を支持する支持部28が形成されていることによって、ピン6とピン受け部3が係合する。ここで、支持部28が突起部30を支持している状態とは、支持部28の上面(上リム1側の面)によって、突起部30の下面(下リム2側の面)を支持している状態である。
図5〜
図8に示す例では、凹状溝28aは、第一の領域3A及び第二の領域3Bにわたって、上リム1の周方向に沿って形成される。本実施形態の第一の領域3Aは、溝部とピン受け部の両方が同一箇所に形成されている場合の一例であり、第二の領域3Bは、溝部のみが上リム1に直接設けられている場合の一例である。
【0038】
本実施形態と異なり、ピン6とピン受け部が3上下方向に干渉する位置関係となれば、タイヤ試験時に上リム1と下リム2が何らかの原因により相対回転した場合、ピン6の損傷をきたす。そのため、ピン6とピン受け部3の上下方向相対寸法について、この干渉を無くす寸法とする場合は、上下方向に十分な寸法を確保せねばならないため、必然的にビード幅に制約が出てくる。
【0039】
一方、本実施形態では、ピン受け部3の表面に、ピン6の先端を収容可能な凹状溝28aが形成されていることから、ピン受け部3の表面に凹状溝28aが形成されていない場合に比べて、上リム1と下リム2を近接させることができる。したがって、ピン6及びピン受け部3を用いて移動が可能なリム組立体を用いるタイヤ試験機において、被試験体であるタイヤのサイズが小さい場合、例えばビード幅設定が3インチ以下のタイヤでも、上リム1と下リム2が干渉することなく測定可能になる。また、
図22及び
図23を参照して後述するとおり、ピン6とピン受け部3を係合するために要するストローク距離b
1を短くすることができる。したがって、ピン及びピン受け部を用いて交換が可能なリム組立体を用いるタイヤ試験機において、被試験体であるタイヤのサイズが小さい場合でも、測定可能になる。
【0040】
また、上述のピン6の先端を収容可能な凹状溝28aは、
図5に示すように、ピン受け部3の下リム2側の表面に沿って周方向に形成されている。この構成によれば、リム組立体にタイヤが取り付けられて試験が行われる場合等、係合が解除されて、ピン6の先端とピン受け部3の表面が対向し、かつ近接しているときに、上リム1と下リム2が軸心周りに相対的に回転したとしても、ピン6の先端が周方向に形成された凹状溝28aに沿って移動する。したがって、
図8に示すように、ピン6とピン受け部3が互いに干渉することがない。
【0041】
スタンド7は、上リム1側に突出して下リム7の上面に設けられる。また、スタンド受け部4は、スタンド7に対応して、下リム2側に突出して上リム1の下面に設けられる。そして、スタンド7とスタンド受け部4のそれぞれの高さは、下リム2の上面に上リム1が置かれたとき、ピン6とピン受け部3が上リム1の荷重を支持することがなく、スタンド7とスタンド受け部4が上リム1を支持する高さを有する。
【0042】
上述のようなスタンド7とスタンド受け部4の構成によれば、スタンド7が上リム1を支持することから、リム組立体の保管時においてピン6とピン受け部3が上リム1の荷重を支持することがなく、衝撃等によるピン6及びピン受け部3の損傷を防止できる。
【0043】
次に、本発明のタイヤ試験機におけるリム組立体の交換動作について説明する。
まず、
図1及び
図2に示すように、上リム1と下リム2が離れており、上リム1が上方に位置している状態から説明する。この状態から、
図9の矢印aに示すように、リムエレベータ14を下降させて、上リム1を下方に移動させ、
図9に示すように、上リム1と下リム2を重ね合わせる。このとき、上リム1と下リム2の位相関係は、
図16に示すとおりである。
図19には、
図9の部分拡大図であり、
図16のF−F線で切断した縦段面図を示す。すなわち、ピン6の突起部30の位置と、ピン受け部3の挿入用開口部26の位置を合わせ、突起部30を挿入用開口部26内に挿入する。
【0044】
次に、
図9の矢印bに示すように、下部スピンドル16を回転させて、下リム2を上リム1に対して回転させる。このとき、上リム1と下リム2の位相関係は、
図17に示すとおりである。すなわち、下リム2の左回りの回転によって、ピン6の突起部30が、ピン受け部3のスライド用溝29内を移動して、
図6に示すように、ピン6とピン受け部3とが係合する。なお、上記の例では、左回りの回転によってピン6とピン受け部3とが係合する例について説明したが、ピン受け部3の挿入用開口部26とスライド用溝29の位置を反対にして右回りの回転によってピン6とピン受け部3とが係合するようにしてもよい。
【0045】
ピン6とピン受け部3とが係合することによって、上リム1と下リム2が一体化する。そして、
図10の矢印cに示すように、リムエレベータ14を上昇させて、上リム1を下リム2と共に上方に移動させる。このとき、
図21に示すように、上リム1のピン受け部3がピン6を支持しており、下リム2が上リム1から吊られた状態になっている。
【0046】
そして、
図10の矢印dに示すように、リムストッカー11を下部スピンドル16側へ下降させる。このとき、リム組立体が載置されていないストッカーフレーム18を、リムエレベータ14によって支持されているリム組立体の下方に配置する。次に、
図11の矢印eに示すように、リムエレベータ14を下降させて、ストッカーフレーム18上のリム台座19に上リム1及び下リム2を載置する。このとき、ストッカーフレーム18上に突出した位置決め凸部31を、下リム2の下面に形成された位置決め孔部32に挿入する。
【0047】
その結果、
図20に示すように、スタンド7の上面にスタンド受け部4が当接して、下リム2が上リム1を支持する。このとき、ピン6とピン受け部3は、互いに干渉せず、ピン6が上リム1の荷重を支持することはなく、ピン6の損傷を防止できる。
【0048】
ストッカーフレーム18上にリム組立体が載置されると、
図11の矢印fに示すように、上リム1を把持していたチャック機構9が解除される。そして、
図12の矢印gに示すように、リムストッカー11からリムエレベータ14が離隔する。その後、
図12の矢印hに示すように、旋回軸17の軸心周りにストッカーフレーム18を回転させて、新たに試験に用いるリム組立体をリムエレベータ14の下方に位置させる。
【0049】
次に、
図13の矢印iに示すように、チャック機構9を上リム1の被把持部5の位置まで、リムエレベータ14を下降させる。そして、
図13の矢印jに示すように、チャック機構9を上リム1の被把持部5へ移動させて、チャック機構9を上リム1に把持させる。このとき、上リム1と下リム2は、係合した状態である。
【0050】
その後、
図14の矢印kに示すように、リム組立体を把持した状態で、リムエレベータ14を上昇させて、上リム1を下リム2と共に上方に移動させる。また、
図14の矢印mに示すように、リムストッカー11を下部スピンドル16から離隔させる。リムストッカー11のストッカーフレーム18が下部スピンドル16の上方から退避すると、
図15の矢印nに示すように、リムエレベータ14を下降させて、上リム1を下方に移動させ、下リム2を下部スピンドル16に固定する。
【0051】
そして、
図15の矢印pに示すように、下部スピンドル16を回転させて、下リム2を上リム1に対して回転させる。このとき、上リム1と下リム2の位相関係は、
図18に示すとおりである。すなわち、下リム2の右回りの回転によって、ピン6の突起部30が、ピン受け部3のスライド用溝29内を移動して、挿入用開口部26へ到達する。なお、右回りの回転で上リム1と下リム2とが係合する構成を有する場合は左回りの回転を行う。これにより、ピン6とピン受け部3との係合を解除することができる。すなわち、リムエレベータ14を上昇させることによって、
図7に示すように、ピン受け部3からピン6を離隔できる。
【0052】
ピン受け部3からピン6を離隔した状態で、
図24に示すように、タイヤ60を上リム1と下リム2に取り付けることで、タイヤ60に対する測定が可能になる。このとき、タイヤ60のタイヤ幅が短い場合でも、
図25に示すように、ピン6の突起部30がピン受け部3の凹状溝28内に収容されることから、ピン6とピン受け部3とが干渉することがない。
【0053】
次に、
図22及び
図23を参照して、ピン6とピン受け部3の関係について説明する。
上記実施形態と異なり、ピン6とピン受け部40の関係において、
図23に示すように、ピン6の突起部50をテーパ状ではなく円筒状にし、ピン受け部40の支持部42の表面に溝が形成されない場合について、まず説明する。
【0054】
このとき、ピン受け部40には、挿入用開口部41と、スライド用開口部43が形成される。また、ピン受け部40には、周方向に設けられた対向する二つの側壁間にスライド用溝44が形成される。更に、ピン受け部40は、スライド用開口部43側に突出して、ピン6の突起部50を支持する支持部42を有する。
【0055】
試験対象であるタイヤを上リム1と下リム2に取り付けたとき、ピン6の突起部50の先端50aから、ピン受け部40の支持部42の下面42aまでの距離を離間距離aとする。離間距離aは、適用できる最小ビード幅のタイヤの試験時に、ピン6とピン受け部40が互いに干渉しないような長さである。このとき、ピン6の突起部50をピン受け部40の支持部42に係合させるためには、上リム1は、少なくとも
図23に示すストローク距離b
2分を下方へ移動する必要がある。離間距離aを長くして、ストローク距離b
2を長くすることも考えられるが、この場合、タイヤ試験時の上リム1及び下リム2の互いの近接距離が離れてしまうため、ビード幅の小さなタイヤは計測することができない。
【0056】
したがって、離間距離aを確保しながら、上リム1及び下リム2の互いの近接距離が離れないようにして、ストローク距離b
2を短くすることが必要である。本実施形態において、
図22に示すように、試験対象であるタイヤを上リム1と下リム2に取り付けたとき、ピン6の突起部30の上面30aから、ピン受け部3の支持部28の凹状溝28aまでの距離を、
図23の離間距離aと同一の離間距離aとする場合について説明する。
【0057】
本実施形態では、ピン受け部3の表面に、ピン6の先端を収容可能な凹状溝28aが形成されていることから、離間距離aとした場合、ピン6の突起部30をピン受け部3の支持部28に係合させるためには、上リム1は、少なくとも
図22に示すストローク距離b
1分を下方へ移動すればよい。本実施形態のストローク距離b
1は、
図23に示した例のストローク距離b
2よりも短い。よって、本実施形態によれば、試験時に離間距離aをできるだけ長く確保しながら、凹状溝28aを形成しない場合よりもビード幅の小さいタイヤを試験することができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、ピン6の先端に設けられた突起部30がテーパ形状である場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、突起部30は、椀形状など曲面を有してもよいし、円筒形状であってもよい。そして、ピン受け部3の支持部28の表面に突起部30と接触しないような凹状溝28aが形成されれば、ピン受け部3の表面に凹状溝28aが形成されていない場合に比べて、上リム1と下リム2を近接させることができる。また、ピン6とピン受け部3を係合するために要するストローク距離b
1を短くすることができる。
【0059】
また、上記実施形態では、上リム1にピン受け部3とスタンド受け部4が設けられ、下リム2にピン6とスタンド7が設けられる場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、上リム1にピン6又はスタンド7が設けられ、下リム2にピン受け部3又はスタンド受け部4が設けられてもよい。更に、上記実施形態では、ピン受け部3が上リム1から下リム2側に突出して設けられる場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えばピン受け部3が上リム1(下リム2に設けられる場合は下リム2)本体に埋没するように形成されてもよい。すなわち、上リム1の下リム2に対向する面がフラットになっており、そのフラットな面に対して上リム1の内部側にピン受け部3が形成されてもよい。
【0060】
また更に、上記実施形態では、ピン受け部3は、第一の領域3Aと第二の領域3Bの両方に凹状溝28aが形成される場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、ピン受け部3の第一の領域3Aには、凹状溝28aが形成されず、第二の領域3Bのみに凹状溝28aが形成されてもよい。上リム1と下リム2にタイヤ60が取り付けられて試験が行われる際は、ピン6とピン受け部3の第二の領域3Bが対向する位置関係となる。これにより、試験時に上リム1と下リム2をより近接させることができる。また、上記実施形態では、ピン受け部3の第一の領域3Aと第二の領域3Bは連続した一体の部材であるが、第一の領域3Aと第二の領域3Bはそれぞれ別部材で構成されてもよい。