(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一の基準面から立設され自身の外周面周りに溝部が形成されたピンを有する第一のリムと、第二の基準面に設けられ前記溝部に係合可能な突出部を有する第二のリムとを有し、前記第一のリムおよび前記第二のリムが前記第一の基準面および前記第二の基準面を対向させた状態で相対的に回転することで前記溝部と前記突出部とが係合するリム組立体が着脱可能とされ、前記リム組立体に取り付けられるタイヤの試験を行うタイヤ試験装置であって、
前記第一のリムが取り付け可能とされた第一の取付け部と、
前記第二のリムが取り付け可能とされ、前記第一の取付け部に取り付けられた前記第一のリムの前記第一の基準面に前記第二の基準面が対向するように前記第二のリムを保持する第二の取付け部と、
前記第一の取付け部を、前記第一の取付け部に取り付けられた前記第一のリムの前記第一の基準面に直交する基準軸線周りに回転させる回転部と、
前記第一の取付け部および前記第二の取付け部を互いに固定するとともにこの固定の解除が可能な固定部と、
前記第一の取付け部と前記第二の取付け部との前記基準軸線に沿う方向の距離を調節する取付け移動部と、
前記第二の取付け部が前記基準軸線周りに回転するのを規制するとともにこの規制の解除が可能な回転規制部と、
を備えることを特徴とするタイヤ試験装置。
第一の基準面に設けられた突出部を有する第一のリムと、第二の基準面から立設され、自身の外周面周りに前記突出部に係合可能な溝部が形成されたピンを有する第二のリムとを有し、前記第一のリムおよび前記第二のリムが前記第一の基準面および前記第二の基準面を対向させた状態で相対的に回転することで前記溝部と前記突出部とが係合するリム組立体が着脱可能とされ、前記リム組立体に取り付けられるタイヤの試験を行うタイヤ試験装置であって、
前記第一のリムが取り付け可能とされた第一の取付け部と、
前記第二のリムが取り付け可能とされ、前記第一の取付け部に取り付けられた前記第一のリムの前記第一の基準面に前記第二の基準面が対向するように前記第二のリムを保持する第二の取付け部と、
前記第一の取付け部を、前記第一の取付け部に取り付けられた前記第一のリムの前記第一の基準面に直交する基準軸線周りに回転させる回転部と、
前記第一の取付け部および前記第二の取付け部を互いに固定するとともにこの固定の解除が可能な固定部と、
前記第一の取付け部と前記第二の取付け部との前記基準軸線に沿う方向の距離を調節する取付け移動部と、
前記第二の取付け部が前記基準軸線周りに回転するのを規制するとともにこの規制の解除が可能な回転規制部と、
を備えることを特徴とするタイヤ試験装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るタイヤ試験装置の一実施形態を、
図1から
図26を参照しながら説明する。以下の実施形態では、タイヤ試験装置がタイヤユニフォーミティ測定装置(以下、「測定装置」と略称する。)である場合について説明する。
図1に示すように、本実施形態の測定装置1は、試験対象であるタイヤが取り付けられるリム組立体10が着脱可能とされ、装着されたリム組立体10をその軸線周りに回転させ測定を行う本体ユニット60と、本体ユニット60に装着されたリム組立体10を交換するためのリム交換ユニット130と、本体ユニット60およびリム交換ユニット130を制御する不図示の制御部とを備えている。
【0017】
測定装置1は、測定されるタイヤの種類に応じて外径の異なる様々な種類のリム組立体10を備えている。以下では、そのうちの一種類のリム組立体10について説明する。
図2は、本体ユニット60の後述する下部スピンドル62に取り付けられたリム組立体10の状態を示す断面図である。なお、説明の便宜上、下部スピンドル62は示していない。リム組立体10は、下リム(第一のリム)20および上リム(第二のリム)40を有している。両リム20、40は、下リム20に設定される第一の基準面S1と上リム40に設定される第二の基準面S2とを対向させた状態で互いに係合させたり、この係合を解除させたりすることができる。
【0018】
下リム20は、略円筒状に形成された本体21と、本体21の一方の端部21aの外周面に設けられた鍔部22とを有している。この例では、第一の基準面S1は鍔部22における本体21の他方の端部21bから離間した側の主面22aに設定される。第一の基準面S1は、下リム20の軸線(基準軸線)C1に直交するように設定される。
本体21には、第一の基準面S1に直交するように延びる下貫通孔23が形成されている。下貫通孔23における端部21bの内周面には、端部21aから離間するにしたがって拡径するリム側傾斜面23aが形成されている。リム側傾斜面23aは、円錐台の側面の形状に形成されている。
本体21の端部21bの外周面には、第二の鍔部24が設けられている。第二の鍔部24における鍔部22から離間した側の主面24aには、位置決め孔部24bが形成されている。
【0019】
図3から
図5に示すように、鍔部22の主面22aにはピン27およびスタンド28が立設されている。この例では、3つのピン27と、3つのスタンド28が下リム20の軸線C1周りに交互に配置されるとともに、3つのピン27、3つのスタンド28はそれぞれが軸線C1周りに等角度ごとに配置されている。
ピン27は、
図3および
図5に示すように、略円柱状に形成され、ピン27における立設方向の先端側(上側)には、外周面の全周にわたり溝部29が形成されている。溝部29の先端側の側面29aおよび基端側の側面29bは、それぞれ主面22aに平行となるように形成されている。ピン27における溝部29より先端側は、先端に向かうにしたがって縮径するテーパー状の突起部30となっている。
スタンド28は、
図4および
図5に示すように円柱状に形成されている。スタンド28の先端面28aには、先端面28aから突出する略半球状の突部28bが設けられている。
試験対象であるタイヤTは、鍔部22の主面22aにおけるピン27やスタンド28が設けられた部分より縁部側に取り付けられるようになっている。
【0020】
上リム40は、
図2に示すように、略円筒状に形成された本体41と、本体41の一方の端部41aの外周面に設けられた鍔部42とを有している。この例では、第二の基準面S2は鍔部22における本体41の他方の端部41bから離間した側の主面42aに設定される。
本体41には、第二の基準面S2に直交するように延びる上貫通孔43が形成されている。
【0021】
図3、
図4および
図6に示すように、鍔部42の主面42aにはピン受け部46およびスタンド受け部47が設けられている。この例では、3つのピン受け部46と、3つのスタンド受け部47が上リム40の軸線C2周りに交互に配置されるとともに、3つのピン受け部46、3つのスタンド受け部47はそれぞれが軸線C2周りに等角度ごとに配置されている。
【0022】
ピン受け部46には、
図3および
図7に示すように、挿入用開口部48と、スライド用開口部49とが形成されている。両開口部48、49は、互いに連通している。挿入用開口部48は、ピン27の突起部30が出入可能である。スライド用開口部49は、挿入用開口部48の一側に形成され、上リム40の周方向に沿って開口している。スライド用開口部49の幅は、ピン27の突起部30の外径よりも狭く、溝部29の外径よりも広い。
図8に示す平面視において、スライド用開口部49は挿入用開口部48に対して左回りとなる側に配置されている。
【0023】
ピン受け部46は、
図3および
図7に示すように、主面42aから互いに向かい合うように立設する一対の壁部50と、それぞれの壁部50の先端部に、向かい合う壁部50の先端部側に延びるように設けられた突出部51とを有している。互いに近づくように延びる突出部51間の隙間により、前述のスライド用開口部49が形成される。
それぞれの壁部50は上リム40の周方向に沿って延び、壁部50の間隔はピン27の突起部30の外径よりも広い。主面42aから突出部51までの距離は、突起部30の長さより長い。突出部51の厚さ寸法は溝部29の側面29a、29b間の距離よりも短くなるように設定され、溝部29内に突出部51を配置したときに、突出部51がいずれの側面29a、29bからも離間できるように構成されている。
突出部51の主面42aから離間した側の表面には、ピン27の突起部30を収容可能な凹状に形成された凹状溝51aが形成されている。
【0024】
スタンド受け部47は、
図6に示すように、上リム40の周方向に沿って底面視で円弧状に、言い換えれば、軸線C2周りに延びるように形成されている。
図4に示すように、スタンド受け部47の先端面47aは、主面42aに対して平行となるように形成されている。それぞれの先端面47aには、
図4および
図6に示すように、この先端面47aにスタンド28の先端面28aが当接したときにスタンド28の突部28bに係合可能となる凹部54が形成されている。凹部54は、先端面47aから円錐状に窪んだ形状に形成されている(
図4参照。)。凹部54は、
図9および
図10に示すように、溝部29内に突出部51が配置されたときのスタンド28の突部28bに対向する位置に設けられている。
【0025】
図8に示すように、軸線C1、C2が重なるようにそれぞれのリム20、40を平面視したときに、スタンド28の突部28b、およびスタンド受け部47の凹部54は、軸線C1、C2を中心とする基準円の円周上にそれぞれ配置される。
試験対象であるタイヤTは、
図3および
図4に示すように、鍔部42の主面42aにおけるピン受け部46やスタンド受け部47が設けられた部分より縁部側に取り付けられるようになっている。
【0026】
ここで、このように構成されたリム組立体10の係合状態について説明する。
リム組立体10が本体ユニット60から取り外されてリム交換ユニット130上に配置されているときや、保管されているときなどには、床などの上に下リム20が配置されるとともに、この下リム20の上に下リム20に係合した上リム40が配置される。下リム20と上リム40とを係合させるためには、以下に説明するように前述のピン27とピン受け部46とを係合させるが、このとき、スタンド28とスタンド受け部47とは、ピン27とピン受け部46との係合状態により互いに当接したり離間したりする。
【0027】
下リム20と上リム40とが離間した状態から、下リム20と上リム40とを係合させる手順について説明する。
図8および
図11に示すように、下リム20の上方に上リム40を、それぞれの基準面S1、S2が対向するように配置する。挿入用開口部48内にピン27の突起部30を挿入させるが、スタンド28にスタンド受け部47は当接させずにスタンド28からスタンド受け部47をわずかに離間させておく。
この状態から、基準面S1、S2間の距離を保ちつつ上リム40に対して下リム20を軸線C1回りに回動させることで、
図9および
図10に示すように、ピン27の溝部29内にピン受け部46の突出部51を配置する。平面視で凹部54と突部28bとの位置(位相)が一致したら、基準面S1、S2間の距離を近づけてスタンド28にスタンド受け部47を当接させると、凹部54に突部28bが係合する。このとき、突出部51は溝部29の両側面29a、29bから離間している。
【0028】
突部28bが凹部54に係合した状態から上リム40を上方に持ち上げると、下リム20に作用する重力により
図12に示すように、上リム40に対して下リム20が離間するように、すなわち第二の基準面S2から第一の基準面S1が離間するように移動する。このとき、突出部51に溝部29の側面29aが係合してピン受け部46がピン27を支持し、下リム20が上リム40に吊り下げられる。スタンド28はスタンド受け部47から離間し、突部28bと凹部54との係合が解除される。
【0029】
以上説明したように、リム組立体10は、本体ユニット60から取り外されているときには、溝部29内に突出部51が配置されることでリム20、40が係合している。一方で、リム組立体10が本体ユニット60に取り付けられているときは、後述するようにこの係合は解除されていてリム20、40は後述する固定機構76により固定可能とされている。
【0030】
本体ユニット60は、
図1に示すように、ベース61上に回転可能に支持された下部スピンドル(第一の取付け部)62、およびベース61に取り付けられた昇降機構63を有している。
【0031】
下部スピンドル62は、
図13に示すように、略円筒状に形成された筒部67と、筒部67の下端部に設けられ、筒部67から離間するにしたがって筒部67の外周面67aから拡径する装置側傾斜面68aが設けられたテーパー部68と、テーパー部68の下端部に設けられ、テーパー部68より外径が大きく設定された拡径部69とを有している。
筒部67の外径は、下リム20の下貫通孔23、および上リム40の上貫通孔43に挿通可能となるように設定されている。
筒部67の管路は、下方側が内径の一定な大径部67bとなり、上方側が大径部67bより内径の小さな小径部67cとなっている。小径部67cは、上方に向かうにしたがって内径が小さくなるように形成されている。また、図示はしないが、下部スピンドル62にリム組立体10が取り付けられたときに下リム20と上リム40との間に空気を供給するためのタイヤ用孔部が形成されていて、大径部67bに連通している。
【0032】
装置側傾斜面68aは、下部スピンドル62の軸線C4を中心軸線とする円錐台の側面の形状に形成され、軸線C4とは反対側に向いている。この例では、軸線C4と装置側傾斜面68aとのなす角度は、下リム20の軸線C1とリム側傾斜面23aとのなす角度に等しく設定されている。
拡径部69には、大径部67bに連通する通気孔69aが形成されている。通気孔69aはエアー供給源73に接続されていて、通気孔69aを通して大径部67b内に圧縮された空気を供給することができる。大径部67b内に供給された空気は、タイヤ用孔部を通して外部に吐出される。拡径部69の上方の面には、前述の位置決め孔部24bに係合する位置決め凸部69bが形成されている。
【0033】
このように構成された下部スピンドル62に下リム20を取り付けた状態について説明する。
図13に示すように、下部スピンドル62に下リム20の下貫通孔23を挿通させ、下リム20の軸線C1周りの向きを調節しながら下リム20を下降させていく。位置決め凸部69bに位置決め孔部24bを係合させ、下部スピンドル62の装置側傾斜面68aに下リム20のリム側傾斜面23aを当接させると、装置側傾斜面68aにリム側傾斜面23aが面接触する。位置決め凸部69bに位置決め孔部24bを係合させることで、下部スピンドル62に対する下リム20の軸線C1周りの位置(位相)は一定となる。
このように、下部スピンドル62は下リム20が着脱可能となっている。
【0034】
下部スピンドル62には、例えば、特許第3040514号公報に記載された公知の固定機構(固定部)76が内蔵されている。具体的に説明すると、この固定機構76は、テーパースリーブ77と、テーパースリーブ77に接続されたフック操作ロッド78を主な構成要素としている。
テーパースリーブ77は、
図14に示すように、略円錐台状に形成された本体79と、本体79の下端の外周面に設けられたフランジ部80とを有している。本体79には軸線方向に透孔79aが形成されている。本体79の側壁79bには、側壁79bを厚さ方向に貫通するとともに本体79の軸線に沿って延びる複数のスリット79cが形成されている。このように構成されたテーパースリーブ77は、径方向に圧縮される力を受けることでスリット79cの幅が狭まり、透孔79aの内径を小さくすることができる。
【0035】
フック操作ロッド78は、
図13に示すように、有底筒状に形成された円筒部83と、円筒部83の底面に固定され下方に延びる軸状部材84とを有している。円筒部83の内周面の上端には、テーパースリーブ77のフランジ部80に係合する環状溝83aが形成されている。円筒部83には、壁部を貫通して上下方向を長軸とする一対の長孔83bが形成されている。
拡径部69の下端側には、
図13および
図15に示す円板状部材116、および不図示のシリンダなどが取付けられている。
図15に示すように、円板状部材116の縁部116aには、円板状部材116の径方向外側に突出するように金属検出体117が固定されている。縁部116aに対向するように、公知の下部近接センサ(第一の検出部)118が設けられている。下部近接センサ118には不図示の磁石や検出回路が内蔵されていて、一定の距離よりも金属検出体117が近づいたか否かを非接触で検出することができる。下部近接センサ118は、金属検出体117が自身に近づいたか否かを検出することで、下部スピンドル62の軸線C1周りの位置を検出することができる。下部近接センサ118は、例えばベース61に固定されている。下部近接センサ118は、金属検出体117を検出したときに信号を制御部に送信する。
前述のシリンダは、フック操作ロッド78を上下に移動させることができる。
円筒部83内には、
図13に示すように、一対のフック87が軸線C4を挟んで対向するように配置されている。フック87の支点となるピン88の両端は、円筒部83の長孔83bを通して下部スピンドル62に固定されている。それぞれのフック87の下端部にはバネ89が接続されていて、フック87の下端部が互いに近づくように付勢している。
フック87の上端部の軸線C4側には、係合爪87aが突設されている。
【0036】
このように構成された固定機構76は、
図13に示す下部スピンドル62に対してフック操作ロッド78が下方に移動した待機状態では、自然状態のテーパースリーブ77の外周面と筒部67の小径部67cとの間には、わずかな隙間が形成されている。さらに、バネ89により付勢されることでフック87の上端部が円筒部83の内周面に形成された切り欠き83cに入り込み、係合爪87a間の距離が後述する上リムシャフト112の外径より大きくなっている。
一方で、フック操作ロッド78が上方に移動した
図16に示す固定状態では、テーパースリーブ77が上方に移動して小径部67cに押し込まれることで径方向に圧縮され、透孔79aの内径が小さくなる。
フック87に対してフック操作ロッド78が上方に移動することで、フック87の上端部が欠き83cから押し出されて係合爪87a間の距離が短くなる。このとき、ピン88は長孔83b内を移動するため、ピン88がフック操作ロッド78の移動を拘束することは無い。
【0037】
下部スピンドル62は、不図示のベアリングによりベース61上で支持されている。下部スピンドル62は、
図1に示すサーボモータ(回転部)90により軸線C4周りに回転することができる。
【0038】
昇降機構63では、ベース61に固定されたフレーム93にボールねじ94を介してリムエレベータ(取付け移動部)95が取り付けられている。リムエレベータ95は、ボールねじ94により上下方向に移動することができ、下部スピンドル62と、リムエレベータ95に取り付けられる後述する接続アダプタ110との上下方向の距離を調節することができる。
リムエレベータ95は、
図17に示すように、位置決め部96およびチャック部97を有している。
位置決め部96は、支持板100に形成された透孔100aに挿通されたロッド101の下端に略円板状の位置決め部材102、上端に支持部材103がそれぞれ固定されて構成されている。位置決め部材102の下面には、下方に向かうにしたがって拡径する第二の装置側傾斜面102aが形成されている。
ロッド101により挿通されたバネ104は、支持板100の下面および位置決め部材102の上面にそれぞれ係止され、支持板100と位置決め部材102との距離によらず支持板100および位置決め部材102を互いに離間させようとする力を発生させている。支持部材103の外径は透孔100aの外径より大きく設定されていて、支持板100の上面に支持部材103が係止される。
【0039】
チャック部97では、把持用エアシリンダ106に、水平面に平行な方向にスライド可能とされた一対の把持部材107が取り付けられている。
支持板100には、
図18に示すように公知の上部近接センサ(第二の検出部)119が設けられている。上部近接センサ119は、前述の下部近接センサ118と同様に、後述する接続アダプタ110の凸部111dが自身に近づいたか否かを検出することができる。支持板100の上部近接センサ119に対向する位置には、可動ストッパ120が設けられている。可動ストッパ120は公知の構成を有していて、エアシリンダ(係合移動部)120aに作用させる空気の圧力を調節することで、エアシリンダ120aに対してストッパ(被係合部)120bを進退させることができる。
【0040】
前述の位置決め部96およびチャック部97は、
図17に示すように、上リム40に取り付けられる接続アダプタ(第二の取付け部)110に着脱可能となっている。
接続アダプタ110は、不図示のボルトなどで上リム40に着脱可能に取り付けられるアダプタ本体111と、アダプタ本体111の下部に固定された上リムシャフト112とを有している。アダプタ本体111および上リムシャフト112は、金属により形成されている。アダプタ本体111および上リムシャフト112は、一体に形成されてもよいし、別々に形成された後で接合されてもよい。接続アダプタ110に対する上リム40の軸線C1周りの位置は、前述のボルトにより一定とされる。
アダプタ本体111の上部には、第二のリム側傾斜面111aが形成されている。第二のリム側傾斜面111aは、下方に向かうにしたがって拡径するように形成されている。アダプタ本体111の外周面には、把持部材107が係合する係合溝111bが形成されている。
【0041】
第二のリム側傾斜面111aと係合溝111bとの間には、第二のリム側傾斜面111aおよび係合溝111bより大径とされた円板状部材111cが設けられている。円板状部材111cの縁部には、
図18に示すように、径方向外側に突出した凸部111dと、切欠き(係合部)111eが形成されている。切欠き111eには、前述のストッパ120bが係合することができる。この例では、凸部111d、切欠き111eは、平面視において円板状部材111cの中心を挟んで反対側となる位置に形成されている。
切欠き111eおよび前述の可動ストッパ120で、回転規制部121を構成する。
図17に示すように、上リムシャフト112の下端部の外周面には、前述の係合爪87aに係合する係合凹部112aが形成されている。
【0042】
このように構成されたチャック部97および接続アダプタ110は、接続アダプタ110がその軸線周りに回転して上部近接センサ119が凸部111dを検出することで、上部近接センサ119が接続アダプタ110の軸線C1周りの位置を検出することができる。凸部111dを検出した信号は制御部に送信され、制御部は、可動ストッパ120のエアシリンダ120aによりストッパ120bを前進させて切欠き111eにストッパ120bを係合させる。これにより、接続アダプタ110は軸線周り(接続アダプタ110の周方向)に回転するのが規制される。また、この状態から、エアシリンダ120aによりストッパ120bを後退させることで、この規制を解除することができる。
接続アダプタ110を介してチャック部97に取り付けられた上リム40は、下部スピンドル62に取り付けられた下リム20の第一の基準面S1に対して、第二の基準面S2が対向するように保持される。
【0043】
テーパースリーブ77の透孔79a内、および一対のフック87の間に上リムシャフト112が挿入されたときに、フック操作ロッド78を上方に移動させると、テーパースリーブ77の透孔79aの内径が小さくなって上リムシャフト112の上部がテーパースリーブ77を介して下部スピンドル62に固定されるとともに、上リムシャフト112の係合凹部112aにフック87の係合爪87aが係合する。このように、固定機構76を待機状態から固定状態にすることで、下部スピンドル62に対して接続アダプタ110が固定される。
一方で、この状態からフック操作ロッド78を下方に移動させることで、テーパースリーブ77が下方に移動して透孔79aの内径が大きくなるとともに、係合爪87a間の距離が長く短くなり、固定機構76が待機状態となる。これにより、下部スピンドル62と対して接続アダプタ110との固定を解除することができる。
なお、テーパースリーブ77が下方に移動したときの透孔79aと上リムシャフト112との隙間がわずかであるため、透孔79aと上リムシャフト112とが部分的に接触していることがある。
【0044】
図1に示すように、ベース61には、レール123上にロードホイール124が配置されている。ロードホイール124は、レール123上を走行することで下部スピンドル62に接近したり下部スピンドル62から離間したりすることができる。
リム交換ユニット130では、旋回台131がレール132上を走行して、下部スピンドル62に接近したり下部スピンドル62から離間したりすることができる。旋回台131の上部には、旋回軸133が設けられる。旋回軸133には、複数のストッカーフレーム134が接続されており、旋回軸133は、旋回軸133の軸線周りにストッカーフレーム134を回転させる。これにより、旋回軸133は、ストッカーフレーム134のリム台座135上に配置されたリム組立体10を下部スピンドル62に接近させたり、下部スピンドル62から離間させたりすることができる。
なお、それぞれのストッカーフレーム134上には位置決め凸部69b(
図21参照。)が形成されていて、ストッカーフレーム134上に配置されるリム組立体10の軸線C1周りの位相が位置決めされる。
【0045】
次に、以上のように構成された測定装置1の動作を、本体ユニット60に取り付けられるリム組立体10を交換する場合、本体ユニット60に取り付けられたリム組立体10にタイヤTを装着して測定を行う場合のそれぞれについて説明する。これらの動作は、制御部の制御に基づいて行われる。
まず、リム組立体10を交換する場合について、
図1に示すように、それぞれのリム20、40が分離されていて、下リム20が下部スピンドル62に取り付けられ、上リム40に固定された接続アダプタ110がリムエレベータ95に取り付けられて上方に移動している状態から説明する。このとき、下部スピンドル62内の固定機構76は待機状態であり、ロードホイール124および旋回台131は下部スピンドル62から離間した状態になっている。
【0046】
この状態から、
図19の矢印Y1に示すように、リムエレベータ95を下降させて上リム40を下方に移動させ、係合機構76のテーパースリーブ77内に上リムシャフト112を挿入する。このときの両リム20、40の位相関係は任意であるが、ピン27やスタンド28がピン受け部46やスタンド受け部47に接触しないように下リム20と上リム40とをわずかに離間させておく。
フック操作ロッド78を上方に移動させて固定機構76を固定状態にし、前述のように下部スピンドル62および接続アダプタ110を介して下リム20と上リム40とを固定する。サーボモータ90により下部スピンドル62を軸線C1周りに矢印Y2に示すように回転させると、両リム20、40が一体となって軸線C1周りに回転する。
【0047】
上部近接センサ119は、凸部111dを検出したときに信号を制御部に送信する。制御部は、サーボモータ90による駆動を停止しして下部スピンドル62および接続アダプタ110を停止させる。
フック操作ロッド78を下方に移動させて待機状態にする。このとき、テーパースリーブ77も下方に移動する。
【0048】
可動ストッパ120のエアシリンダ120aによりストッパ120bを前進させて切欠き111eにストッパ120bを係合させる。サーボモータ90により下部スピンドル62を軸線C1周りに回転させる。上リム40が取り付けられた接続アダプタ110はストッパ120bにより回転するのが規制されているため、下リム20だけが軸線C1周りに回転する。
下部近接センサ118は、金属検出体117を検出したときに信号を制御部に送信する。制御部は、サーボモータ90による駆動を停止して、下部スピンドル62の回転を停止させる。このときの両リム20、40の位相関係は、
図8に示すように上リム40の挿入用開口部48に下リム20のピン27が対向した状態になる。
【0049】
リムエレベータ95を下降させて上リム40をわずかに下方に移動させ、
図11に示すように挿入用開口部48内にピン27の突起部30を挿入させるが、スタンド28にスタンド受け部47は当接させない状態にする。サーボモータ90により下部スピンドル62を軸線C1周りに回転させ、
図9に示すように上リム40の凹部54にスタンド28の突部28bが対向する位置まで下リム20を移動させる。このとき、ピン27の溝部29内に上リム40の突出部51が配置されてピン受け部46とピン27とが係合し、下リム20と上リム40とが一体化する。
【0050】
続いて、
図20の矢印Y3に示すように、リムエレベータ95を上昇させて、リム20、40が一体化したリム組立体10を上方に移動させる。このとき、
図12に示すように、上リム40のピン受け部46がピン27を支持しており、下リム20が上リム40に吊られた状態になっている。
図20の矢印Y4に示すように、リム交換ユニット130を下部スピンドル62に接近させる。このとき、リム組立体10が配置されていないストッカーフレーム134を、リムエレベータ95によって支持されているリム組立体10の下方に配置する。
【0051】
次に、
図21の矢印Y5に示すように、リムエレベータ95を下降させ、ストッカーフレーム134上のリム台座135に、接続アダプタ110が取り付けられたリム組立体10を配置する。このとき、ストッカーフレーム134上に突出した位置決め凸部69bに、下リム20の位置決め孔部24bを係合させる。
その結果、スタンド28にスタンド受け部47が当接するとともに上リム40の凹部54に下リム20の突部28bが係合した状態で、下リム20が上リム40を支持する。このとき、ピン27とピン受け部46とは互いに干渉せず、ピン27が上リム40の荷重を支持することはなく、ピン27の損傷を防止できる。
【0052】
ストッカーフレーム134上にリム組立体10が配置されると、
図21の矢印Y6に示すように、接続アダプタ110を支持していた一対の把持部材107を互いに離間するように移動させ、リムエレベータ95からリム組立体10を取り外す。
図22の矢印Y7に示すように、リムエレベータ95を上昇させてリム交換ユニット130から離間させる。その後、矢印Y8に示すように、旋回軸133の軸線周りにストッカーフレーム134を回転させて、これまで本体ユニット60に取り付けられていたリム組立体10とは異なる種類のリム組立体10をリムエレベータ95の下方に位置させる。
【0053】
次に、
図23の矢印Y9に示すように、リムエレベータ95を下降させてアダプタ本体111の係合溝111bを挟むように把持部材107を移動させる。矢印Y10に示すように、把持部材107を互いに近づけ、係合溝111bに把持部材107を係合させる。このとき、リム組立体10の下リム20と上リム40は、互いに係合した状態である。
図24の矢印Y11に示すように、リム組立体10に係合させたリムエレベータ95を上昇させる。矢印Y12に示すように、リム交換ユニット130を下部スピンドル62から離間させて、リム交換ユニット130のストッカーフレーム134を下部スピンドル62の上方から退避させる。
【0054】
続いて、
図25に示すように、リムエレベータ95を下降させて下部スピンドル62にリム組立体10を取り付ける。このとき、下リム20の下貫通孔23、および上リム40の上貫通孔43に下部スピンドル62を挿入していく。
下部スピンドル62の装置側傾斜面68aに下リム20のリム側傾斜面23aを当接させ、装置側傾斜面68aでリム組立体10を支持する。このとき、貫通孔23、43のそれぞれに下部スピンドル62が挿通されるため、下部スピンドル62の軸線C4に対してリム20、40が傾くことが抑制される。
矢印Y13に示すように、下部スピンドル62を平面視において軸線C4周りに右回りに回転させて、上リム40に対して下リム20を回転させる。このとき、上リム40と下リム20の位相関係は、
図8および
図11に示すとおりである。すなわち、下リム20の右回りの回転によって、ピン27の突起部30が挿入用開口部48に到達する。これにより、ピン受け部46とピン27との係合を解除することができる。すなわち、リムエレベータ95を上昇させることによって、ピン受け部46からピン27を離間させ、
図1に示すようにリム組立体10を下リム20と上リム40とに分離することができる。
【0055】
次に、リム組立体10にタイヤTを装着して測定を行う場合について説明する。
測定装置1が
図1に示すようになっている状態から、
図16に示すように下リム20の鍔部22上にタイヤTを配置する。リムエレベータ95を所定のタイヤ計測用のリム幅まで下降させる。このとき、係合機構76のテーパースリーブ77の透孔79a内、および一対のフック87の間に上リムシャフト112が挿入される。
フック操作ロッド78を上方に移動させて固定機構76を固定状態にし、下部スピンドル62、リム組立体10、および接続アダプタ110を一体にする。
【0056】
次に、エアー供給源73により空気を供給して不図示のタイヤ用孔部から吐出することで、タイヤT内の空気を所定の圧力に到達させるとともに、各リム20、40にタイヤTを嵌合させる。
サーボモータ90により下部スピンドル62を回転させると、リム組立体10および接続アダプタ110とともにタイヤTが軸線C4回りに回転する。ロードホイール124を下部スピンドル62に接近させてタイヤTに接触させ、タイヤTに作用する荷重の分布を測定する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の測定装置1によれば、下リム20を下部スピンドル62に、上リム40を接続アダプタ110にそれぞれ取り付ける。そして、第一の基準面S1と第二の基準面S2とを対向させた状態で固定機構76により下部スピンドル62と接続アダプタ110とを互いに固定することができる。
一方で、固定機構76による固定を解除したときには、回転規制部121により接続アダプタ110が軸線C1周りに回転するのを規制した状態でサーボモータ90により下部スピンドル62を軸線C1周りに回転させる。これにより、固定機構76のテーパースリーブ77と接続アダプタ110との間に摩擦力などが作用する場合であっても、接続アダプタ110に取り付けられた上リム40を固定しつつ、下部スピンドル62に取り付けられた下リム20を軸線C1周りに回転させることができる。そして、挿入用開口部48に対してピン27が対向するように下部スピンドル62を回転させた後で、リムエレベータ95により下部スピンドル62に接続アダプタ110を近づける。サーボモータ90により下部スピンドル62を軸線C1周りに回転させることでピン受け部46の突出部51にピン27の溝部29を係合させ、上リム40に下リム20を取り付けることができる。
【0058】
回転規制部121は、切欠き111eおよび可動ストッパ120で構成されている。エアシリンダ120aによりストッパ120bを円板状部材111cから退避させることで、接続アダプタ110が軸線C1周りに自由に回転できるようになる。一方で、エアシリンダ120aによりストッパ120bを円板状部材111cに近づけて切欠き111eと接続アダプタ110の周方向に係合させることで、接続アダプタ110が軸線C1周りに回転するのを規制することができる。このように、ストッパ120bの位置を調節することで、接続アダプタ110の回転を規制するか否かを容易に切り替えることができる。
また、切欠き111eおよび可動ストッパ120という簡単な構成で、接続アダプタ110が軸線C1周りに回転するのを規制することができ、測定装置1の製造コストを抑えることができる。
【0059】
測定装置1は、下部近接センサ118および上部近接センサ119を備えている。
固定機構76により下部スピンドル62と接続アダプタ110とを互いに固定した状態でサーボモータ90により接続アダプタ110を軸線C1周りに回転させたときに、下リム20と上リム40とが一体になった状態で両リム20、40の軸線C1周りの位置を上部近接センサ119で検出することができる。
固定機構76による固定を解除し、回転規制部121により接続アダプタ110が軸線C1周りに回転するのを規制した状態でサーボモータ90により下部スピンドル62を軸線C1周りに回転させたときに、下部スピンドル62の軸線C1周りの位置を下部近接センサ118で検出することができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。
たとえば、前記実施形態では、下リム20にピン27が形成されるとともに、上リム40にピン受け部46が形成されていた。しかし、下リムにピン受け部46が形成されるとともに、上リムにピン27が形成されるように構成してもよい。下リムおよび上リムをこのように構成しても、前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、第一のリムが下リム20であり、第二のリムが上リム40であるとした。しかし、第一のリムが上リムであり、第二のリムが下リムであるとしてもよい。この場合、上リムに取り付けられる第一の取付け部が回転部により軸線周りに回転し、回転規制部は下リムに取り付けられる第二の取付け部が軸線周りに回転するのを規制するものとなる。
【0061】
前記実施形態では、上部近接センサ119が検出する凸部111dを接続アダプタ110に設けていた。しかし、
図26に示すように、ストッパ120bにこの凸部120cを設けてもよい。凸部120cは、金属で形成されている。
この場合、例えば、エアシリンダ120aによりストッパ120bを常に前進するように付勢しておく。上部近接センサ119は、ストッパ120bの先端が円板状部材111cの縁部に当接しているときには凸部120cを検出しないが、ストッパ120bが切欠き111eに係合する際に前進したときには、凸部120cを検出する位置に配置されている。
なお、回転規制部121による規制を解除するときには、制御部は、エアシリンダ120aによりストッパ120bを円板状部材111cから退避させる。
【0062】
前記実施形態では第一の検出部および第二の検出部として、非接触で金属検出体117や凸部111dを検出可能な近接センサを用いた。しかし、これら検出部としては近接センサに限ることなく、非接触式や接触式のセンサを適宜選択して用いることができる。使用可能な非接触式のセンサとしてはラインセンサやエンコーダなどがあり、接触式のセンサとしては機械的にON/OFFが切り替わる電気接点などがある。
また前記実施形態では、下部スピンドル62や接続アダプタ110の軸線C1周りの位置を測定装置1の操作者などが見て測定装置1を操作する場合には、近接センサ118、119は備えられなくてもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、タイヤ試験装置はタイヤユニフォーミティ測定装置であるとしたが、これに限ることなくタイヤバランス測定装置などでもよい。