【実施例】
【0010】
図1、
図2は被介護者Aがトイレを使用している状態の示す図、
図3乃至
図8は被介護者Aが使用していない状態の介護用補助装置2だけの図である。
図1は被介護者Aが、トイレ用の介護用補助装置2を使用し、便器1の便座11に座った状態の後ろからの斜視図、
図2はその上面図である。
本実施例の介護用補助装置2は、
図1、2、3、5の示すように、被介護者Aを前側から囲うように横断面コ字状の枠体3が設けられ、枠体3はこれらの図に示すように底部31上に立設され、底部31の底は、
図1及び
図8に示すように、被介護者Aの手前が空間の概略U字型で被介護者Aが便器1に座り足部A1が床に置いた状態のままでも、介護用補助装置2が便器1側に接近できるよう構成され、底部31の底面には、4隅にキャスター4が設けられている。
これらのキャスター4は、背面側の左右端に一対のキャスター4が、左右の突出腕部311の先端に一対のキャスター4の合計4個が設けられている。また、
図1、
図3に示すように、前面遮蔽板32の外側の棚部36には1対の操作部5は配備され、この操作部5のハンドル51内側のレバー52をどちらか1方、或いは同時に両方を挙げることによって、キャスター4のロックが解除され移動可能になる。
【0011】
枠体3の上面には、
図3に示すように、前面遮蔽板32、右側面遮蔽板33、左側面遮蔽板34が垂直方向に設けられ横断面コ字状を呈している。この遮蔽板32,33,34の中間の高さ位置には被介護者Aの為のテーブル35が水平に設けられている。前面遮蔽板32の外側には細幅の棚部36が設けられ、この棚部36には一対のキャスター4の操作部5が左右に設けられている。枠体3の上面の3枚の遮蔽板32,33,34の高さは、被介護者Aを隠すように背が高くトイレの外部から遮蔽され、トイレを使用している被介護者Aのプライバシーを保護する役目を兼ねている。これらの遮蔽板32,33,34の材質はカーテンも考えられるが、本実施例のようにプライバシーを保護する観点から簡単には開かないような木材、合成樹脂、金属等で固定する構成が好ましい。
【0012】
ただし、前面遮蔽板32と底部31との接合部には、
図5等に示すように、大きな透視孔6が設けられ、透視孔6から被介護者Aの足A1の状態を外部から確認でき、被介護者Aの安全を確保することができる。この透視孔6は被介護者Aの安全が確認できるのであれば、右側面遮蔽板33、左側面遮蔽板34の下方に設けてもよい。
また、前面遮蔽板32とテーブル35との間には、隙間61が設けられ上方から足部A1の爪先等が確認できる空間が形成され、前記透視孔6と同様の機能を有している。
【0013】
図5,
図6に示すように、棚部36上には操作部5は逆U字状のハンドル51が設けられるが、ハンドル51の内側にはレバー52が設けられ、介護者がレバー52のどちらか一方、或いは両方一緒に、レバー52を手動で挙げると、キャスター4のロックが解除され移動可能になり、手を離すとレバー52が下がりキャスター4がロックされ介護用補助装置2が床に固定状態になる。
このように、通常はレバー52が下がりキャスター4がロックされ介護用補助装置2が固定状態に維持される。このキャスター4の操作機構は、前掲の特許文献1の公知の機構を採用すればよく、レバー52のどちらか一方、場合によっては両方一緒に操作すると操作が軽くなるので、レバー52を手動で挙げると、一括して全部のキャスター4が同時にロックが解除され移動可能状態とになり、手を離すと自然にバネ等によりレバー52が下がりキャスター4がロックされ所定の箇所に固定される。
【0014】
前記テーブル35の手前側には、
図2、
図3に示すように、被介護者Aが便器1の水槽部12の手前の便座11に座った状態で、被介護者Aの胴体部A2を前方から固定する湾曲押え部7が設けられ、この湾曲押え部7は被介護者Aの胴体部A2を包含するような形状であればよく、左右側部の突出保持部71,72が被介護者Aの作用を押さえ、被介護者Aが便器1から脱落するのを防止している。また、その内側の縁を含めてクッション素材が表面に施され被介護者Aが当たっても怪我等がないようにしている。
また、テーブル35の下の右側面遮蔽板33と左側面遮蔽板34の内側の上方にはフック83(
図4参照)が設けられ、介護者や被介護者Aの必要収納袋等を掛けることができる。
前面遮蔽板32のテーブル35より上方には、ナースコールボタン81やインターホンとしてのスピーカ及びマイク82(
図1、
図4参照)」を配置しても良く、この場合には、被介護者Aがナースコールボタン81を押すことにより、有線或いは無線によりナースセンター等に連絡されるようになっており、前面遮蔽板32の内側にはスピーカ及びマイク82が設けられいて、看護師や介護者と連絡が取れるとれるようになっている。
【0015】
[作動手順]
本実施例は、以上の構成であるが、次に本トイレ用の介護用補助装置の使用の手順を説明する。
被介護者Aがトイレを使用する場合に、被介護者Aは介護者を呼び出し、歩行器或いは車椅子まで移動し、介護者の助けを得て便器1の便座11に座る。
被介護者Aが便座11に座った状態を確認すると、足部A1が床に置いた状態を確認して、介護者は介護用補助装置2の操作部5のレバー52を手動で挙げて、キャスター4のロックを解除して移動可能にし、一方、底部31の左右の突出腕部311の内側に被介護者Aの足部A1を位置させ、介護用補助装置2を被介護者Aに接近させるように前進させ、湾曲押え部7の左右の突出保持部71,72の間に被介護者Aの胴部A2或いは腰部の両脇を挟むように前進し、更に被介護者Aの胴部A2或いは腰部を湾曲押え部7の湾曲底部73の直前まで前進させて停止する。
【0016】
この状態で、介護者は介護用補助装置2の操作部5のレバー52から手を離してキャスター4をロック状態に、介護用補助装置2を床に固定する。
ここで、介護者は付き添ったままでも、その場を離れてもよく、被介護者Aはトイレを使用を開始する。
被介護者Aが排便等のトイレの使用が終わり、トイレの使用が終わった時点で、ナースコールボタン81を押して介護者を呼んで、介護者は介護用補助装置2の操作部5のレバー52を手動で挙げて介護用補助装置2を移動し便器1から離れ、介護者により被介護者Aを歩行器や車椅子に移し、病室等に移動する。
【0017】
以上説明したように、本発明の介護用補助装置2の実施例によれば、被介護者Aをトイレ便器1の便座11に、湾曲押え部7の左右の突出保持部71,72と、湾曲底部73の3方、及び便器1の水槽部12によって、被介護者Aを無理のない姿勢で固定し、被介護者Aがトイレ使用時、及び、被介護者Aが介護者が介護しない状態で不用意に立ち上がらないようにして、転倒事故を防ぐことができる。
したがって、患者の症状により、トイレに看護師が付き添いでいかなくてはならない場合に、介護用補助装置を使用し、トイレが終わった段階で看護師や介護者がトイレに行き、介護用補助装置を移動して被介護者Aを病室等に移す。したがって、この被介護者Aがトイレを使用している間は、看護師や介護者はトイレ介護以外の他の作業をすることができる。
【0018】
また、一括してロックとロック解除が可能なキャスター4及び操作部5を採用したので、介護用補助装置2を直ちに被介護者Aを固定するように操作でき、被介護者Aがトイレ使用を終了した場合は、直ちに介護者によって、介護用補助装置2を便器1から離れた場所に移動を可能にすることができる。また、介護用補助装置2を固定した後は、操作部5は被介護者Aが簡単に操作できない遮蔽板32を介して外部に配置したので、誤作動する心配がない。
更に、トイレを使用している被介護者Aの周りを遮蔽板32,33,34で覆ったので、被介護者Aのプライバシーを守ることができ、遮蔽板32,33,34の床に近い適所には被介護者Aの足部A1が外部から確認できるような透視孔6を設けたので、透視孔6から被介護者Aの足部A1の状態を外部から確認でき、被介護者Aの安全を確保することができる。
【0019】
従来は、被介護者Aや患者は勝手にベッドに戻ろうとして、トイレ内で転倒する事故が度々起こっていたが、本介護用補助装置2を使用することによって、これらの事故を防ぐことができる。また、これらの防止策として前掲の特許文献1に開示されているような介護用トイレシテムの採用も考えられるが、病院や介護施設のトイレを改装することは広いスペースや多額の費用と日数がかかり、設置が困難であったが、本介護用補助装置を配備するだけで、上述した防止策に対処できる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の各実施例に限定されるものでないことは勿論である。