(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752142
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】伝動装置駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
F16H 1/16 20060101AFI20150702BHJP
F16H 57/023 20120101ALI20150702BHJP
F16H 55/06 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
F16H1/16 Z
F16H57/023
F16H55/06
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-538255(P2012-538255)
(86)(22)【出願日】2010年9月21日
(65)【公表番号】特表2013-510279(P2013-510279A)
(43)【公表日】2013年3月21日
(86)【国際出願番号】EP2010063857
(87)【国際公開番号】WO2011054585
(87)【国際公開日】20110512
【審査請求日】2012年5月9日
(31)【優先権主張番号】102009046517.0
(32)【優先日】2009年11月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】スザンヌ アルブレヒト
(72)【発明者】
【氏名】フランク ブラウネガー
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト ハイツ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター シュトイアー
(72)【発明者】
【氏名】ジークフリート ライヒマン
【審査官】
中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−059034(JP,U)
【文献】
実開平05−077656(JP,U)
【文献】
独国特許出願公開第102004044863(DE,A1)
【文献】
特開平10−220560(JP,A)
【文献】
特開2008−025643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/16
F16H 55/06
F16H 57/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動装置駆動ユニット(10;40;50;70)であって、
トルクを入力エレメント(29)から導入する、プラスチックからなるアダプタエレメント(22;22a;53;73)と、
トルクを伝達するための、金属からなる被動エレメント(12;12a;51;72)と、
を備え、前記アダプタエレメント(22;22a;53;73)と前記被動エレメント(12;12a;51;72)とは、直接互いに連結されており、かつ不動に結合されており、
前記アダプタエレメント(22;22a;53;73)は、射出成形により形成されて前記被動エレメント(12;12a;51;72)に少なくとも部分的に被着されている射出成形部材であり、かつ
前記被動エレメント(12;12a;51;72)は、支承エレメントとして機能し、はす歯の外歯列を有する被動ピニオンとして焼結金属から形成されており、
前記被動ピニオンと、該被動ピニオンに一体的に射出成形される、前記アダプタエレメント(22;22a;53;73)としてのウォームホイールとからなるユニット(30;57)は、前記被動ピニオンの領域を除いて、プラスチックからなる伝動装置ハウジング(31;58)内に配置されており、該伝動装置ハウジング(31;58)は、ハウジング下側部分(32;32a;62;76)を有し、該ハウジング下側部分(32;32a;62;76)は、前記伝動装置ハウジング(31;58)内で前記ウォームホイールを半径方向で支承する、中央に一体成形された支承ピン(33;33a;61;75)を有し、
前記伝動装置ハウジング(31)内での前記ウォームホイールの軸方向の支承を、前記ハウジング下側部分(32)の底部に一体成形された、周囲を取り巻くように延びる環状のランド(36)を介して行い、該ランド(36)は、前記ウォームホイールの下面に設けられた支承カラー(25)と協働し、かつ
前記ウォームホイールの上面に設けられた、周囲を取り巻くように延びる別の環状のランド(37)は、前記ハウジング下側部分(32)に結合されているハウジングカバー(38)に支持されており、該ハウジングカバー(38)は、中央に配置された貫通部(39)を有し、該貫通部(39)を通して前記被動ピニオンは前記伝動装置ハウジング(31)から突出することを特徴とする、伝動装置駆動ユニット。
【請求項2】
前記ウォームホイールであるアダプタエレメント(22;22a)は、該ウォームホイールの軸方向で見て中央部に対称平面(23;23a)を有し、前記被動エレメント(12;12a)は、前記アダプタエレメント(22;22a)の対称平面(23;23a)内まで延長されて形成されている、請求項1記載の伝動装置駆動ユニット。
【請求項3】
前記被動エレメント(12;12a;51;72)は、内壁に、支承のために機能するピン(33;33a;61;75)が突入する少なくとも1つの領域(19,20;63)を有している、請求項1又は2記載の伝動装置駆動ユニット。
【請求項4】
前記アダプタエレメント(22;22a;53;73)と前記被動エレメント(12;12a;51;72)とからなるユニット(30;57)の半径方向の支承部が、それぞれ異なる直径を有する2つの支承箇所を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の伝動装置駆動ユニット。
【請求項5】
前記支承ピン(33;33a)は、前記伝動装置ハウジング(31)内で前記ウォームホイールを半径方向で支承する2つの領域(34,35)を有し、該領域(34,35)の第1の領域(34)は、前記被動ピニオンの第1の収容領域(19)に当接し、第2の領域(35)は、前記被動ピニオンの第2の収容領域(20)に当接している、請求項4記載の伝動装置駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、伝動装置駆動ユニットに関する。本件出願人の、本願の出願時には未公開のドイツ連邦共和国特許出願公開第102009000760号明細書から、伝動装置駆動ユニットであって、金属、特に焼結金属から製造される被動エレメントを備え、被動エレメントが、射出成形されウォームホイールとして形成されるアダプタエレメントに少なくとも部分的に埋設されている伝動装置駆動ユニットが公知である。アダプタエレメントは、伝動装置ハウジング内に収容されている。アダプタエレメントは、ハウジング底部の軸ジャーナル上に回転可能に支承されている。軸ジャーナル及びアダプタエレメントは、プラスチックからなる。特に可動式ルーフ駆動装置として形成される公知の伝動装置駆動ユニットは、アダプタエレメントの一体的な射出成形により比較的安価に製造される。公知の伝動装置駆動ユニットの耐摩耗性は、特に負荷が高い場合に改善を要する。さらにアダプタエレメントから被動エレメントへの力の導入は、比較的短い軸方向の長さで実施される。その結果、伝達可能な駆動トルクは制限されている。
【0002】
発明の開示
上述の従来技術から出発して、本発明の課題は、伝動装置駆動ユニットが経済的な製造可能性とともに良好な支承特性あるいは比較的高いトルクの伝達可能性を実現するように、伝動装置駆動ユニットを形成することである。この課題は、独立請求項に記載の特徴を有する伝動装置駆動ユニットにおいて解決される。本発明の根底には、支承特性の改良のために被動エレメントを同時に支承エレメントとして使用するという思想がある。被動エレメントは金属からなるので、プラスチック/プラスチック支承箇所と比較して改善された耐摩耗性により優れた金属/プラスチック支承箇所を形成する可能性が生じる。
【0003】
本発明に係る伝動装置駆動ユニットの有利な形態は、従属請求項に係る発明である。本発明の範囲には、特許請求の範囲、明細書及び/又は図面に開示される特徴のうちの少なくとも2つの特徴からなる全通りの組み合わせが含まれる。
【0004】
特に高いトルクの伝達は、被動エレメントが、アダプタエレメントの対称平面内まで延長されて形成されていると生じる。これにより、アダプタエレメントからのトルクの導入が被動エレメントの平面内で行われる。
【0005】
被動エレメントの安価な半径方向の支承は、被動エレメントが、支承のために機能するピンが突入する少なくとも1つの領域を有していると生じる。
【0006】
第2の独立請求項に記載の特徴を備える本発明の択一的な形態において、伝動装置駆動ユニットの特に安価な製造可能性が実現され、同時にやはり比較的高いトルクが伝達される。本発明の根底には、深絞り加工部材として形成されている、アダプタエレメントに結合可能な被動エレメントにより、被動エレメントの特に簡単かつ安価な製造可能性を実現するという思想がある。
【0007】
この場合、製造は、被動エレメントがアダプタエレメントにプレスばめされていると特に簡単になる。これにより、プレスばめは、極めて簡単に製造に組み込まれる唯一の組立工程をなす。
【0008】
択一的には、アダプタエレメントが、射出成形により形成されて被動エレメントに少なくとも部分的に被着されている。この種の構成は、アダプタエレメントと被動エレメントとの間の特に密接な結合を可能にする。その結果、特に高いトルクが伝達される。
【0009】
トルクの伝達を可能にするために、本発明の有利な形態では、被動エレメントが、ポット状又はスリーブ状に形成されており、内面に少なくとも1つの一体成形部を有しており、一体成形部が、アダプタエレメントに一体成形された相手側一体成形部と協働して、被動エレメントをアダプタエレメントに相対回動不能に結合するようになっている。
【0010】
その際、プレスばめの場合、少なくとも1つの一体成形部及び少なくとも1つの相手側一体成形部が、被動エレメントの長手方向軸線に対して斜めに配置されていると、特に簡単な組み立てが可能となる。
【0011】
特にアダプタエレメントへの被動エレメントのプレスばめの場合に有意義な、アダプタエレメントと被動エレメントとの間の軸方向の保持は、被動エレメントが内面に少なくとも1つの係止幾何学形状を有しており、係止幾何学形状が、アダプタエレメントに形成された相手側幾何学形状あるいは被係止幾何学形状と協働して、被動エレメントをアダプタエレメントに軸方向で保持すると可能となる。
【0012】
特に確実な、比較的高い半径方向力を受容する支承は、アダプタエレメントと被動エレメントとからなるユニットの半径方向の支承部が、それぞれ異なる直径を有する2つの支承箇所を有していると生じる。
【0013】
本発明の別の利点は、有利な実施の形態についての以下の説明及び図面から看取可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る第1の伝動装置駆動ユニットの縦断面図である。
【
図2】
図1に示した第1の伝動装置駆動ユニットにおいて使用されるようなアダプタエレメント及び被動エレメントの分解立体図である。
【
図3】
図1に示したアダプタエレメントとは異なるアダプタエレメントを備える本発明に係る第2の伝動装置駆動ユニットの縦断面図である。
【
図4】
図3に示した伝動装置駆動ユニットにおいて使用されるような被動エレメント及びアダプタエレメントの分解立体図である。
【
図5】本発明に係る第3の伝動装置駆動ユニットの縦断面図である。
【
図6】
図5に示した第3の伝動装置駆動ユニットで使用されるような、被動エレメントとアダプタエレメントとからなるユニットの斜視図である。
【
図7】本発明に係る第4の伝動装置駆動ユニットの縦断面図である。
【
図8】
図7に示した伝動装置駆動ユニットにおいて使用されるような、アダプタエレメント及び被動エレメントの分解立体図である。
【
図9】深絞り加工された被動エレメントを備える第5の伝動装置駆動ユニットの縦断面図である。
【
図10】
図9に示した伝動装置駆動ユニットにおいて使用されるような、アダプタエレメント及び被動エレメントの分解立体図である。
【
図12】アダプタエレメントを射出成形により形成して、深絞り加工した被動エレメントを埋設した、本発明に係る第6の伝動装置駆動ユニットを示す図である。
【
図13】
図12に示した伝動装置駆動ユニットにおいて使用されるような被動エレメントの斜視図である。
【0015】
同一の構成部材又は機能同一の構成部材には、図中、同一の符号を付した。
【0016】
図1は、第1の伝動装置駆動ユニット10を示している。第1の伝動装置駆動ユニット10は、特に自動車の可動式ルーフ駆動装置において使用することを予定しているが、この用途に限定されるものではない。伝動装置駆動ユニット10は、金属、特に焼結金属からなる、被動ピニオン12として形成される被動エレメントを有している。この場合、被動ピニオン12は、可動式ルーフシステムに対するインターフェースをなしている。可動式ルーフシステムは、被動ピニオン12に形成されたはす歯の外歯列13を介して、図示しない伝達手段に係合している。伝達手段を介して、ルーフ機構の調節が実現される。
【0017】
被動ピニオン12は、
図2に示すように3つの区分14乃至16を有している。第1の区分14には、外歯列13が形成されている。第1の区分14には、第2の区分15が続いている。第2の区分15は、略スリーブ状に形成されている。第2の区分15は、略中央において環状の第3の領域16により包囲されている。第3の領域16は、周囲を取り巻くランド状の縁部17を有している。第3の区分15の下面あるいは上面(図示せず)には、放射状に配置された成形リブ18が一体成形されている。特に
図1から看取可能であるように、第1の区分14は、第1の区分14の内壁において外歯列13の領域に第1の収容領域19を有している。第1の収容領域19には、第2の区分15の領域において内壁に第2の収容領域20が続いている。
【0018】
上述の被動ピニオン12は、プラスチックからなる、ウォームホイール22として形成されるアダプタエレメントの射出成形時に、アダプタエレメントにより取り囲まれるか、あるいはインサート成形され、アダプタエレメントに形状結合(Formschluss:形状による束縛)により結合されている。特に
図1から看取可能であるように、被動ピニオン12の第2の区分15は、好ましくはウォームホイール22の全高を占めている。被動ピニオン12の環状の第3の区分16は、実質的にウォームホイール22の対称平面23内に存在する。
【0019】
ウォームホイール22と被動ピニオン12との間の形状結合は、特に被動ピニオン12の、周囲を取り巻く縁部17と成形リブ18とによって強化される。その結果、被動ピニオン12は、相対回動不能にウォームホイール22に結合されている。ウォームホイール22は、内側の領域24を有している。内側の領域24の下面には、支承カラー25が一体成形されている。環状の中間の領域26を介して、ウォームホイール22には、外歯列27が続いている。ウォームホイール22の外歯列27は、ウォーム軸29として形成された入力エレメントと係合している。ウォーム軸29は、可動式ルーフ駆動装置のための図示しない駆動モータの駆動トルクをウォームホイール22あるいは被動ピニオン12に伝達する。
【0020】
被動ピニオン12と、被動ピニオン12に一体的に射出成形されるウォームホイール22とからなる上述のユニット30は、被動ピニオン12の領域を除いて、プラスチックからなる伝動装置ハウジング31内に配置されている。伝動装置ハウジング31は、ハウジング下側部分32を有している。ハウジング下側部分32は、中央に一体成形された支承ピン33を有している。支承ピン33は、伝動装置ハウジング31内でのウォームホイール22の半径方向の支承のために役立つ2つの領域34,35を有している。このために第1の領域34は、被動ピニオン12の第1の収容領域19に当接し、第2の領域35は、被動ピニオン12の第2の収容領域20に当接している。伝動装置ハウジング31内でのウォームホイール22の軸方向の支承は、ハウジング下側部分32の底部に一体成形された、周囲を取り巻くように延びる環状のランド36を介して行われる。ランド36は、ウォームホイール22の下面に設けられた支承カラー25と協働する。ウォームホイール22の上面に設けられた、周囲を取り巻くように延びる別の環状のランド37は、ハウジングカバー38に支持されている。ハウジングカバー38は、ハウジング下側部分32に例えば係止結合又は接着結合により結合されている。この場合、ハウジングカバー38は、中央に配置された貫通部39を有している。貫通部39を通して被動ピニオン12が伝動装置ハウジング31から突出している。
【0021】
図3及び
図4には、本発明に係る第2の伝動装置駆動ユニット40が示されている。第2の伝動装置駆動ユニット40は、第1の伝動装置駆動ユニット10とは実質的に、被動ピニオン12aあるいはウォームホイール22aの構成でのみ異なる。この場合、被動ピニオン12aは、第2の区分15aの領域に、歯車状の突出部42を備える第3の区分16aを有している。突出部42は、特に
図3から看取可能であるように、やはり実質的にウォームホイール22aの対称平面23aの高さに存在する。突出部42は、伝達可能なトルクを高めるために、被動ピニオン12aとウォームホイール22aとの間の形状結合を形成するために役立つ。被動ピニオン12aの支承は、被動ピニオン12の支承と同様に、被動ピニオン12aとハウジング下側部分32aの支承ピン33aとの間の金属/プラスチック対を介してなされる。
【0022】
図5及び
図6には、本発明に係る第3の伝動装置駆動ユニット50が示されている。第3の伝動装置駆動ユニット50は、内歯列52を備えるスリーブ状の被動ピニオン51を有している。内歯列52は、被動ピニオン51とウォームホイール53との間の形状結合のために役立つ。さらに被動ピニオン51の中間の領域には、支承カラー54が形成されている。支承カラー54の外壁55は、伝動装置ハウジング58内での、被動ピニオン51の第1の半径方向の支承部としてか、又は被動ピニオン51とウォームホイール53とからなるユニット57の第1の半径方向の支承部として役立つ。この場合、支承カラー54は、プラスチックからなるハウジングカバー60の貫通孔59と協働する。ユニット57の第2の半径方向の支承部は、ハウジング下側部分62に設けられた支承ピン61と、ウォームホイール53に形成された孔63との間に形成される。さらに付加的に、被動ピニオン51の中央に六角穴64が形成されている。六角穴64は、可動式ルーフ駆動装置の駆動モータが故障したとき、可動式ルーフ駆動装置の補助操作のために役立つ。これにより、第3の伝動装置駆動ユニット50は、ユニット57のための2つの半径方向の支承箇所を有している。2つの半径方向の支承箇所のうち、一方の支承箇所は、金属/プラスチック対として形成されており、他方の支承箇所は、プラスチック/プラスチック支承箇所として形成されている。
【0023】
図7及び
図8には、第4の伝動装置駆動ユニット70が示されている。第4の伝動装置駆動ユニット70は、第3の伝動装置駆動ユニット50とは実質的に、六角穴71を用いた可動式ルーフ駆動装置のための補助操作部が、被動ピニオン72ではなく、ウォームホイール73に形成されている点でのみ異なる。第4の伝動装置駆動ユニット70も、被動ピニオン72の第1の半径方向の支承部をハウジングカバー74に有している一方、プラスチックからなるウォームホイール73は、ハウジング下側部分76の支承ピン75の領域において半径方向で支承されている。被動ピニオン72とウォームホイール73との間の形状結合は、特に被動ピニオン72の内壁に第1の支承部の領域において形成されたランド状の突起によってなされる。
【0024】
図9乃至11には、本発明に係る第5の伝動装置駆動ユニット80が示されている。第5の伝動装置駆動ユニット80では、被動ピニオン81が、深絞り加工されたポット状の金属薄板部材82からなる。金属薄板部材82は、金属薄板部材82の歯列83の領域で半径方向内方に突入した、斜めに配置された区分84を有している。区分84は、ウォームホイール85に面した側にエッジ86を備えて形成されている。さらに、被動ピニオン81の、ウォームホイール85に面した下側の、周囲を取り巻くように延びる環状の区分87には、内壁に形成された係止区分88が看取可能である。係止区分88は、ウォームホイール85に形成された周方向溝89と協働する。被動ピニオン81とウォームホイール85とから形成されたユニットは、ウォームホイール85と被動ピニオン81とが別個のプロセスで製造されるように製造される。次に、被動ピニオン81は、ウォームホイール85にプレスばめされる。係止区分88は、被動ピニオン81の終端位置で周方向溝89と協働する。その結果、被動ピニオン81は、ウォームホイール85に軸方向で保持されている。
【0025】
図12及び13には、本発明に係る第6の伝動装置駆動ユニット90が示されている。第6の伝動装置駆動ユニット90は、第5の伝動装置駆動ユニット80とは実質的に、第6の伝動装置駆動ユニット90のウォームホイール92が射出成形により形成されて、やはり深絞り加工部材として形成された被動ピニオン93に被着される点で異なる。この場合、被動ピニオン93は、
図13に示すように、ウォームホイール92に面した側に、周囲を取り巻くように延びる環状のカラー94を有している。カラー94は、ウォームホイール92の射出成形時にウォームホイール92のプラスチックによって取り囲まれた後、ウォームホイール92内での被動ピニオン93の軸方向の固定を生じる。被動ピニオン93の内壁に形成された斜めに配置された凹部95も看取可能である。凹部95は、射出成形されたプラスチックにより満たされた後、被動ピニオン93とウォームホイール92との間の回動防止を保証する。ウォームホイール92の半径方向及び軸方向の支承は、やはり支承ピン96の2つの異なる直径においてなされる。