特許第5752146号(P5752146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5752146創傷の負圧治療で使用するための接続装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752146
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】創傷の負圧治療で使用するための接続装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20150702BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   A61M27/00
   A61B17/00 310
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-545128(P2012-545128)
(86)(22)【出願日】2010年12月7日
(65)【公表番号】特表2013-515518(P2013-515518A)
(43)【公表日】2013年5月9日
(86)【国際出願番号】EP2010007413
(87)【国際公開番号】WO2011076340
(87)【国際公開日】20110630
【審査請求日】2013年11月19日
(31)【優先権主張番号】102009060596.7
(32)【優先日】2009年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500038020
【氏名又は名称】パウル ハルトマン アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】エックスタイン、アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ホフステッター、ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】クロイザット、ピエール
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/002260(WO,A1)
【文献】 実開昭61−133050(JP,U)
【文献】 特表2002−507142(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/049232(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷の負圧治療で使用するための接続装置(2)であって、負圧を供給可能な導通手段(4)と、創傷と反対を向いている上面(9)に前記導通手段(4)が負圧密閉式に取り付けられた面状の負圧密閉式の支持手段(6)とを有しており、前記支持手段(6)は、創傷を覆うとともに大気に対して密閉をするように閉止する負圧包帯に追加の粘着フィルム(10)を用いて装着可能であり、前記導通手段(4)は前記導通手段(4)と前記支持手段(6)および前記負圧包帯にある開口部(22)を貫通して創傷空間と連通している接続装置(2)において、
前記導通手段(4)は可撓かつ平坦に構成されるとともに、創傷側の長手方向領域(8)で、前記支持手段(6)に対して垂直に投影した面の少なくとも70%をもって、用途に合わせて前記支持手段(6)と取外し不能かつ面状に結合されており、
前記導通手段(4)は高くとも60のショアA硬度の可撓のエラストマー材料で構成されており、
前記導通手段(4)と前記支持手段(6)からなる複合体の厚み(D)は多くとも7mmであり、
前記導通手段(4)は互いに圧力密閉式に隔絶された複数の通路(26)を含んでおり、前記導通手段(4)は一体的に構成されていることを特徴とする、
接続装置。
【請求項2】
前記導通手段(4)は創傷側の長手方向領域(8)で、前記支持手段(6)に対して垂直に投影した面の少なくとも80%をもって、用途に合わせて前記支持手段(6)と取外し不能かつ面状に結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記導通手段(4)の幅の大きさは10mm〜30mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記導通手段(4)が製作される材料は5〜60のショアA硬度を有していることを特徴とする、請求項1、2または3に記載の接続装置。
【請求項5】
前記導通手段(4)は前記導通手段(4)の材料と一体的に構成された、負圧が供給されたときに前記導通手段(4)の潰れを防止する手段(28)を内部に有していることを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項6】
潰れを防止する前記手段(28)はリブ(30)または突起で構成されていることを特徴とする、請求項に記載の接続装置。
【請求項7】
前記リブ(30)または突起は前記導通手段(4)の長手方向で特に連続的に一貫して延びていることを特徴とする、請求項に記載の接続装置。
【請求項8】
面状の前記支持手段(6)は5〜60のショアA硬度の可撓のエラストマー材料で構成されており、好ましくは0.75〜3mmの厚みを有していることを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項9】
前記支持手段(6)の面状の広がりは、前記支持手段(6)に対して垂直に投影した前記導通手段(4)の面の少なくとも1.5倍であることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項10】
前記導通手段(4)は断面で見て台形状に構成されていることを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項11】
前記導通手段(4)は前記支持手段(6)の創傷と反対を向いているほうの上面(9)に接着されており、または熱的に接合されていることを特徴とする、請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項12】
前記支持手段(6)と前記導通手段(4)は互いに取外し不能に接合されている平坦側の領域に互いに重なり合う、すなわち相互に一直線上に並ぶ開口部(22)を有していることを特徴とする、請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項13】
前記導通手段(4)と前記支持手段(6)の結合領域には前記導通手段(4)の長さ1cmにつき少なくとも2つの開口部(22)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項14】
前記開口部(22)の内のりの開口面積は前記導通手段(4)と前記支持手段(6)の互いに取外し不能に接合された平坦側の面積の5−50%であることを特徴とする、請求項1〜13のうちいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項15】
面状の前記支持手段(6)は追加の粘着フィルム(10)を用いて前記負圧包帯に固定可能であり、追加の前記粘着フィルム(10)は創傷と反対を向いているほうの前記支持手段(6)の上面(9)に設けられており、前記支持手段(6)の周縁から突き出しているが、好ましくは前記導通手段(4)は除外されていることを特徴とする、請求項1〜14のうちいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項16】
前記支持手段(6)、または前記支持手段(6)を特に周縁で覆う前記粘着フィルム(10)は、周縁に設けられたフレームを形成するサポート手段(18)を有していることを特徴とする、請求項1〜15のうちいずれか1項に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷の負圧治療で使用するための接続装置に関するものであり、負圧を供給可能な導通手段と、創傷と反対を向いている上面に導通手段が負圧密閉式に取り付けられた面状の負圧密閉式の支持手段(Tragermittel)とを有しており、支持手段は、創傷を覆うとともに大気に対して密閉をするように閉止する負圧包帯に好ましくは追加の粘着フィルムを用いて装着可能であり、導通手段は支持手段と負圧包帯にある開口部を貫通して創傷空間と連通している。
【背景技術】
【0002】
近年、創傷の負圧治療、特に傷が深いために治癒にアプリオリに問題がある創傷の、負圧治療が次第に大きい意義を獲得している。ここで負圧治療とは、周囲の大気に暴露される身体領域または創傷領域が、あとでまた詳しく説明する手段により周囲に対して、すなわちわれわれが生活して呼吸している大気に対して、圧力密閉式ないし負圧密閉式に閉止され、閉止された創傷領域の内部で、同じくあとで説明する方式により大気圧に比べて低い圧力を、すなわち大気に対して相対的な負圧を印加して、恒常的に維持できることを意味している。ここで対象としている分野で負圧という用語を使うとき、それは典型的には0から500mmHg(mm水銀柱)だけ周囲の大気圧を下回る圧力領域を意味している。このことは創傷治癒を促進することが示されている。負圧密閉式の閉止のために、たとえば圧力密閉式ないし負圧密閉式のフィルム層を含むことができる負圧包帯が設けられ、このフィルム層は典型的には創傷を取り囲む健常な身体領域と接着され、それにより、このようにして密閉された閉止を実現することができる。負圧を生成する装置すなわち広義の負圧ポンプを起点として負圧を創傷空間へ導入し、そこで維持するために、ここで対象としている創傷を負圧治療するためのシステムでは、接続装置によって負圧包帯との協働で負圧を創傷空間の表面ないし内部へ引き込む、負圧を供給可能な導通手段を利用することができる。冒頭に述べた種類のこのような種類の接続装置は、たとえば特許文献1から公知である。負圧を創傷へ導入するために、管状のホースが利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/052338A2号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、負荷や接触が生じたときに患者にとって快適であり、ないしは痛みを引き起こすことが少なく、技術的、経済的に是認できるコストで操作者適合的に各コンポーネントの密閉を具体化可能である、冒頭に述べた種類の接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は本発明によると、上述した種類の接続装置において、導通手段が可撓かつ平坦に構成されるとともに、創傷側の長手方向領域で、支持手段に対して垂直に投影した面の少なくとも70%をもって、用途に合わせて(fur den bestimmungsgemasen Gebrauch)支持手段と取外し不能かつ面状に結合されており、導通手段は高くとも60のショアA硬度(2000年8月版のDIN53505に基づいて判定)の可撓のエラストマー材料で構成されており、導通手段と支持手段からなるこの複合体の厚みは多くとも7mm、特に多くとも6mm、さらには特に多くとも5mmであることによって解決される。
【0006】
このように、導通手段は実質的に円形の断面をもつ管状に構成されるのではなく、平坦な形状を有しており、その幅は厚みよりもはるかに大きい。このことは材料の選択とあいまって、接続装置または導通手段に接触圧が及ぼされたときに患者にとって快適に感じられる可撓の導通手段をもたらす。すなわち点状の負荷がさほど生じることがなく、このような点状の負荷は当然ながら痛みを引き起こすことがあり、特に、痛みに敏感な新しい創傷の場合にはきわめて問題となる。さらには平坦な構成の帰結として、引っかかりや絡まりの危険が少ししか生じない。導通手段が、支持手段に取り付けられている長手方向領域で、支持手段に対して垂直に投影した面の少なくとも70%をもって(導通手段の壁部にある1つまたは複数の開口部を計算に含める)、面状の支持手段と面状に結合されることにより、創傷包帯の広い面積範囲に圧力負荷が分散され、このことは、上に説明した問題の観点から非常に好ましい作用を及ぼす。導通手段は、取付に利用される長手方向領域で、支持手段に対して垂直に投影した面の少なくとも80%、特に少なくとも90%、さらには特に少なくとも95%をもって、支持手段と結合されるのが好ましい。
【0007】
すでに述べた平坦な導通手段の幅の大きさは少なくとも10mm、特に少なくとも15mm、さらには特に少なくとも18mm、かつ特に多くとも30mm、さらには特に多くとも25mmである。
【0008】
導通手段が構成されるエラストマー材料は、5−60、特に10−60、特に15−50、特に15−40、さらには特に15−35のショアA硬度を有しているのが好ましい。すでに上に述べたとおり、ショアA硬度は2000年8月版のDIN53505に基づいて判定され、すなわち、この規格に記載されているように厚さ6mmのプレート状の平坦で平滑な試料体について23℃で判定される。本発明の1つの好ましい実施形態では、導通手段はシリコンをベースとして構成される。
【0009】
平坦で可撓に構成された導通手段は、創傷空間へ負圧を導入するため、および場合により洗浄液や洗浄ガスを導入するため、および創傷分泌物を排出するために用いることができるので、すなわち、好ましくは通路を形成する連通機能を有しているので、導通手段を複数のコンポーネントもしくは層で層状に構成するのでなく、その平面型の形状にもかかわらずホース状に構成し、すなわち、断面で見て円周方向で一体的に連続するように単一の材料で構成することが提案される。
【0010】
さらに、導通手段が内部に一体成形された、特に導通手段の材料と一体的に構成された、負圧が供給されたときに導通手段の潰れを防止する手段が設けられていると好ましいことが判明している。導通手段の潰れを防止するこの手段は、特に、上に説明した意味でホース状である導通手段に設けることができる。潰れを防止するこの手段は、たとえばリブや突起で構成されていてよい。この発明思想の発展例では、連続して延びていると好ましいことが判明している。このとき導通手段は、押出成形部品として構成されているのが好ましい。
【0011】
さらに、導通手段が互いに圧力密閉式に隔離された複数の通路を含んでいると好ましいことが判明しており、導通手段はそのような場合にも一体的に構成されているのが好ましく、したがって、通路を形成する複数の別々の手段をまとめたものではない。複数の通路は、接続装置の創傷側の端部の方向へと洗浄剤を案内することができる洗浄通路と、負圧供給ないし創傷分泌物の排出の役目をする、負圧供給通路とを含むことができる。それにより、導通手段の内部で生じる場合がある詰まりも解消することができる。このとき各々の通路は、導通手段にある少なくとも1つの開口部と連通している。
【0012】
平坦な導通手段は長手方向もある程度の距離にわたって延びているのが好ましく、差込接続部または接着接続部を形成することができる図示しない移行部材または連結部材を介して、通常のねじれ剛性の高い円形ホースへと移行することができ、この円形ホースは、定置の機器として、または患者の身体で携帯可能な移動式の機器として構成されていてよい負圧生成装置へと通じている。移行部材または連結部材は、多通路の導通部材を多通路の円形ホースと連結するために構成されていてもよい。10−60cmの長さが、平坦な導通普段の好都合な長手方向の長さであることが判明している。
【0013】
製造者の側で平坦な導通手段と負圧密閉式に結合される、接続装置の面状の支持手段は、同じく、5−60、特に10−60、特に15−50、特に15−40、さらには特に15−35のショアA硬度の可撓のエラストマー材料で構成されているのが好ましい。面状の支持手段は、0.75−3mm、特に1−3mmの厚みを有しているのが好ましい。本発明の1つの好ましい実施形態ではシリコンをベースとして構成される。別の好ましい実施形態では、導通手段と支持手段は同じエラストマー材料で構成されている。支持手段は、平坦な導通手段を創傷空間と連通する長手方向端部領域で保持し、均等に支持する役目をする。したがってその面状の広さは、該当する創傷側の長手方向端部領域における導通手段の面状の広さよりも大きい。その意味で、支持手段の面状の広さが、支持手段に対して垂直に投影した導通手段の面の少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍であると好ましいことが判明している。それにより、導通手段を介して接触時に導入される力が広い面にわたって分散され、また、導通手段に及ぼされる曲げモーメントも負圧包帯に伝わらず、もしくはわずかな程度しか伝わらないからである。このような曲げモーメントは、プレート状の支持手段によって良好に吸収される。上に述べた面積比率は多くとも5、特に多くとも4であれば足りることが判明しており、2−3の比率が好ましいことが判明している。
【0014】
平坦な導通手段は断面で見てたとえば長方形の形状を有することができ、両方の短辺は面取りされて構成されていてもよく、好ましい。本発明の別の実施形態では、導通手段は断面で見て台形状に構成されている。そのとき短辺は、たとえば面状の支持手段の平面に対して25°から60°、特に35°−50°の傾斜角で斜めに下がっており、片側または好ましくは両側の台形の側面は必ずしも直線状ではなく丸くなって延びることが十分にできる。
【0015】
創傷と反対を向いているほうの支持手段の上面と、面状の導通手段との負圧密閉式の結合には、機能的に重要な意義がある。そのために基本的には、もっとも広い意味での付着媒介剤を用いての接着結合が考慮の対象となる。さらに、一種の加硫結合のような熱的結合も好ましいことが判明している。たとえば事前に別個に製作された導通手段を、注型されたばかりで部分的にのみ硬化している面状の支持手段に装着することができ、それにより、この場合には両方のコンポーネントの物質接合式の緊密な結合が、追加の付着媒介剤を使用することなく実現される。
【0016】
導通手段と支持手段にある相互に連通する開口部が互いに重なり合っており、すなわち相互に一直線上に並んでいると好ましいことが判明している。これは、これらの開口部が、面状の導通手段と面状の支持手段とが負圧密閉式に結合された後で初めて両方のコンポーネントで同時に構成されれば、もっとも簡単に製作可能である。このことは、たとえば材料を成形する打抜き工程によって実現することができる。
【0017】
導通手段および面状の支持手段にある開口部の個数や大きさの観点からは、ただ1つの開口部だけが設けられることが、それ自体としては考えられよう。しかしながら、導通手段と支持手段の負圧密閉式の結合領域に、導通手段の長さ1cmにつき複数の開口部、特に少なくとも2つ、特に少なくとも4つの開口部が設けられていると好ましいことが判明している。
【0018】
開口部の内のりの開口面積は、導通手段と支持手段の互いに取外し不能に接合された平坦側の面積の5−50%であると好ましいことも判明している。
【0019】
このように本発明による接続装置は、主要コンポーネントとして、可撓に構成された平坦な導通手段と、導通手段を保持して均等に支持する面状の支持手段とを含んでいる。そしてこの接続装置を、治療されるべき創傷を大気に対して密封するように閉止する負圧包帯と負圧密閉式に、好ましくは取外し可能に結合するために、さらに別の粘着手段が必要である。たとえば、負圧包帯のほうを向いている面状の支持手段の下面に粘着作用のある密閉部材、たとえば感圧接着剤コーティングまたは粘着フィルムが設けられていることが考えられよう。別の発明思想によれば、支持手段は追加の粘着フィルムを用いて負圧包帯に固定可能であると好ましいことが判明しており、追加の粘着フィルムは、面状の支持手段の創傷と反対を向いているほうの側に設けられており、支持手段からその縁部/周縁に沿って突き出しているが、導通手段を除外し、すなわち覆っていないのが好ましく。導通手段が覆われていないことにより、視覚的および密封機能の面から機能的に問題となる折り目が粘着フィルムに形成されることがない。支持手段の周縁から円周方向に連続して突き出している粘着フィルムの領域により、負圧包帯の創傷と反対を向く外面に接続装置を負圧密閉式に取り付けることができる。
【0020】
周縁から突き出している粘着テープのこの領域は、接続装置の使用前に接着剤コーティングを保存し、支持し、防護する、引き剥がし可能な層で覆われていると好ましい。
【0021】
本発明の発展例では、支持手段または支持手段を周縁で覆う粘着フィルムが、フレームを形成する追加のサポート手段(Stutzmittel)によって安定化されることによって支持作用を意図することもできる。このフレームを形成するサポート手段は、支持手段または粘着フィルムの創傷とは反対を向いているほうの側に設けられるのが好ましい。このサポート手段が粘着フィルムに設けられる場合には、支持手段の外部に設けられるのが好ましい。サポート手段は、接続装置に永久的に留まるように構成されていてもよく、また、負圧包帯に接続装置を接続した後、取り外し可能に構成されていてもよい。
【0022】
上に説明したすべての構成要件はそれ自体として、および相互の任意の組み合わせとして、および他の構成要件と組み合わせとして、発明の要部をなすものと見なされる。本発明のその他の構成要件、具体的事項、および利点は、添付の特許請求の範囲および図面の図示、および本発明の好ましい実施形態についての以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面には次のものが示されている:
図1】創傷の負圧治療で使用するための本発明による接続装置を示す斜視図である。
図2図1の接続装置を示す平面図である。
図3図1の接続装置を下から示す図である(保護フィルムは剥がされている)。
図4図1の接続装置を示す縮尺に忠実ではない模式的な断面図である。
図5a】本発明による接続装置の導通手段の別の実施形態を示す断面図である。
図5b】本発明による接続装置の導通手段の別の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1−4は、全体として符号2が付された、創傷の負圧治療で使用するための本発明による接続装置のさまざまな図面を示している。図示した接続装置2は、治療されるべき創傷を覆って大気に対して負圧密閉式に閉止する図示しない負圧包帯の創傷と反対を向いているほうの上面に、好ましくは取外し可能に装着される。接続装置2は、可撓のエラストマー材料からなる平坦な導通手段4と、平坦な導通手段4を保持して支持する面状に延びる支持手段6とを含んでおり、それにより、導通手段4に及ぼされる圧力や曲げ力を支持手段6へ均等に導入し、これによって吸収することができる。
【0025】
導通手段4は、長手方向端部領域8において、支持手段6に対して垂直に投影した面のほぼ100%をもって支持手段6と結合されるように、平面型に構成されている。導通手段4は該当する平面側により、創傷と反対を向いているほうの支持手段6の上面9に接着されていてよく、加硫により、言い換えれば熱的に接合されていてよい。
【0026】
面状でプレート状の支持手段6は、支持手段6の周縁部12から周方向に連続して外方に突き出す粘着フィルム10で全面的に覆われている。粘着フィルム10は接着剤コーティング14を担持しており、これによって接続装置2全体を、図示しない負圧包帯の創傷と反対を向いているほうの外面へ負圧密閉式に、ただし好ましくは取外し可能に、装着可能である。支持手段6の円周縁部12から突き出している粘着フィルム10の領域は、引き剥がし可能な保護フィルム16で下から覆われている。これと向かい合う粘着フィルム10の上面には、半径方向外側にフレームを形成するサポート手段18が設けられている。粘着フィルム10は内側の切欠き20を有しており、これは導通手段4が支持手段6と結合される領域であり、すなわち導通手段4の長手方向端部領域8の領域である。あるいは技術的に具体化可能である限りにおいて、粘着フィルム10は支持手段6の全体を覆うこともでき、それにより粘着フィルムは導通手段4と支持手段6の間を延びて、導通手段4と支持手段6の間の接合部へ一緒に取り込まれることになる。
【0027】
好ましくは導通手段4が支持手段6と負圧密閉式に接合された後に、支持手段6および導通手段4を貫通する開口部22が形成され、これらの開口部は、創傷空間で負圧を印加するために接続装置2が負圧包帯に適用されたときに、負圧包帯にある図示しない開口部と連通する。
【0028】
導通手段4は図面では台形状に構成されており、その長手方向に沿って、支持手段に向かう方向で斜めに降下していく2つの側面24を含んでおり、導通手段4ないし支持手段6の延びる平面に対するその角度αは約40−50°である。図1−4の導通手段4では、負圧を供給可能なただ1つの通路26が構成されている。図5aおよび5bに示す別案の実施形態では、2つないし3つの通路26が構成されており、外側の小さいほうの通路のうちの一方または両方は、洗浄媒体を運び出すための洗浄配管としての役目を果たすことができる。通路26はその端部で、図示しない仕方で相互に連通している。
【0029】
導通手段4と支持手段6からなる複合体の厚みDは多くとも7mm、好ましくは多くとも5mm、さらに好ましくは3−4mmである。
【0030】
好ましくはシリコンをベースとする可撓の材料からなり、さらに好ましくは一体的に構成された平面型の導通手段4は、その内面に、導通手段4の潰れを防止する手段28を備えるように構成されている。この手段28は、導通手段4と一体的に製作された、長手方向に連続するリブ30で構成されている。図5aおよび5bに示す導通手段4の実施形態では、この手段28は各通路26の間の壁部(隔壁)で構成されている。

図1
図2
図3
図4
図5a
図5b