特許第5752184号(P5752184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5752184高所作業車および高所作業車による装柱工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752184
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】高所作業車および高所作業車による装柱工法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20150702BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20150702BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   H02G1/06
   B66F9/06 Q
   B66F11/04
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-144342(P2013-144342)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2015-19482(P2015-19482A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 貴英
(72)【発明者】
【氏名】増川 一幸
(72)【発明者】
【氏名】足立 徹
(72)【発明者】
【氏名】領野 昌治
(72)【発明者】
【氏名】椿野 慧
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 実開平3−53999(JP,U)
【文献】 特開2004−299831(JP,A)
【文献】 実開平2−115391(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
B66F 9/06
B66F 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧架線が位置する電柱の上部に向けて伸長可能なブームの先端部に連結されるサブブームと、
前記サブブームの基端側に位置し、作業者が搭乗可能なバケットと、
前記サブブームに着脱可能に設けられ、前記サブブームに装着された状態で前記サブブームの軸方向に移動可能で、かつ前記サブブームの軸方向の所定位置にロック可能な昇降部と、
前記サブブームに設けられ、ロープの巻取りおよび巻出しによりロックが解除された状態の前記昇降部を前記サブブームの軸方向に昇降させるウインチと、
前記昇降部と連結可能で、開閉器を含む設備機器が載置可能なリフト台と、
を備え、
前記ウインチは、少なくとも地上側の前記リフト台を前記ロープの巻取りにより前記サブブームの軸方向の所定位置にロックされた前記昇降部と連結可能な位置まで上昇させることが可能であり、
前記昇降部は、少なくとも前記リフト台との連結後に、前記ウインチの前記ロープに連結されるとともに前記サブブームとのロックが解除され、前記ブームが前記電柱の上部に向けて伸長した状態で、前記ウインチによる前記ロープの巻取りによって前記バケットの上方でかつ前記電柱上部における所定の位置まで前記リフト台を上昇させることが可能である、
ことを特徴とする高所作業車。
【請求項2】
前記バケットは、前記サブブームに対して少なくとも水平方向に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
【請求項3】
高圧架線が位置する電柱の上部に向けて伸長可能なブームの先端部に連結されるサブブームと、
前記サブブームの基端側に位置し、作業者が搭乗可能なバケットと、
前記サブブームに着脱可能に設けられ、前記サブブームに装着された状態で前記サブブームの軸方向に移動可能で、かつ前記サブブームの軸方向の所定位置にロック可能な昇降部と、
前記サブブームに設けられ、ロープの巻取りおよび巻出しによりロックが解除された状態の前記昇降部を前記サブブームの軸方向に昇降させるウインチと、
前記昇降部と連結可能で、開閉器を含む設備機器が載置可能なリフト台と、
を備えた高所作業車による装柱工法であって、
前記サブブームに前記昇降部を装着するとともに、前記昇降部を前記サブブームの軸方向の所定位置にロックし、
地上側の前記リフト台を前記ウインチにより吊り上げて、前記リフト台を前記昇降部に連結し、
前記リフト台と前記昇降部との連結後に、前記ウインチの前記ロープを前記昇降部に連結するとともに前記昇降部の前記サブブームとのロックを解除し、
前記ブームが前記電柱の上部に向けて伸長した状態で、前記ウインチによる前記ロープの巻取りによって前記バケットの上方でかつ前記電柱の上部における所定の位置まで前記リフト台を上昇させ、
前記高圧架線の下方に位置する前記バケットに搭乗している前記作業者による間接活線作業により、前記リフト台に載置された設備機器の前記電柱の上部への取付け、または前記電柱の上部から撤去した設備機器の前記リフト台への載置を行う、
ことを特徴とする高所作業車による装柱工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配電線用開閉器などの設備機器を電柱上部に対して容易かつ安全に取付けまたは撤去することが可能な高所作業車および高所作業車による装柱工法に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱に対する配電線用開閉器の新設または吊替え工事については、通電状態のままで作業を行う直接活線作業や停電工事によって実施している。直接活線作業によって配電線用開閉器などの設備機器を電柱上部に取付ける場合は、通電部に対する多量の防具が必要となり、感電および地絡・短絡のリスクが高くなるという問題があり、停電作業で設備機器の新設または吊替え工事を実施する場合は、周囲に停電日時などを周知させる停電周知が必要となる。また、電源車などを用いて停電をさせずに工事を行う無停電工法の場合は、コストが高くなるという問題がある。
【0003】
そこで、上述の問題を解決するために、間接活線作業による電柱上部での作業を行うことが行われている。従来から間接活線作業に関する先行技術として、つぎのような提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照。)。特許文献1には、ホットスティックを使用した間接活線作業により活線状態にある開閉器を取り扱う方法および開閉器吊工具が開示されている。特許文献2には、架空配電線路の開閉器取付工事におけるアーム把持式プレハブ工法およびそれに用いる高所作業車用アームアダプターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4146554号公報
【特許文献2】特開2002−199567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献1の技術は、開閉器吊替工具を取付ける際に、周辺の高圧通電部に多量の防具を取付けることが必要となり、防具との干渉による感電および地絡・短絡のリスクがあり、安全性の確保が懸念される。また、上述の特許文献2の技術は、サブブームに装着した開閉器専用アームでの工事は可能であるが、電柱上部の高圧腕金に開閉器を直接取付ける場合は、サブブームとともに作業者が搭乗しているバケットを高圧架線に近づける必要があり、安全性の観点からこの工法にも問題がある。
【0006】
間接活線作業は、電柱上部に対する開閉器などの設備機器の取付け作業だけでなく、電柱上部に対する設備機器の撤去作業も含まれる。したがって、電柱の上部に対して設備機器を容易に搬送でき、しかも高圧架線などの通電部から作業者を確実に保護することが可能な技術の開発が望まれる。
【0007】
そこで本発明は、高圧架線から離れた位置での間接活線作業が可能で、かつ電柱の上部に対する設備機器の取付けや撤去を容易にでき、しかも通電部に多量の防具を取付ける必要のない高所作業車および高所作業車による装柱工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、高圧架線が位置する電柱の上部に向けて伸長可能なブームの先端部に連結されるサブブームと、前記サブブームの基端側に位置し、作業者が搭乗可能なバケットと、前記サブブームに着脱可能に設けられ、前記サブブームに装着された状態で前記サブブームの軸方向に移動可能で、かつ前記サブブームの軸方向の所定位置にロック可能な昇降部と、前記サブブームに設けられ、ロープの巻取りおよび巻出しによりロックが解除された状態の前記昇降部を前記サブブームの軸方向に昇降させるウインチと、前記昇降部と連結可能で、開閉器を含む設備機器が載置可能なリフト台と、を備え、前記ウインチは、少なくとも地上側の前記リフト台を前記ロープの巻取りにより前記サブブームの軸方向の所定位置にロックされた前記昇降部と連結可能な位置まで上昇させることが可能であり、前記昇降部は、少なくとも前記リフト台との連結後に、前記ウインチの前記ロープに連結されるとともに前記サブブームとのロックが解除され、前記ブームが前記電柱の上部に向けて伸長した状態で、前記ウインチによる前記ロープの巻取りによって前記バケットの上方でかつ前記電柱上部における所定の位置まで前記リフト台を上昇させることが可能である、ことを特徴とする高所作業車である。
【0009】
この発明によれば、作業者が搭乗するバケットと設備機器が載置されるリフト台とは、互いに独立して昇降することになる。そのため、開閉器などの設備機器が載置されるリフト台のみを高圧架線が位置する電柱の上部まで移動させることができ、作業者が搭乗するバケットを高圧架線に対して下方に離れた位置に位置決めすることができる。したがって、作業者は、高圧架線から十分に離れた安全な位置で、間接活線作業による電柱の上部に対する設備機器の取付けまたは撤去を行うことが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の高所作業車において、前記バケットは、前記サブブームに対して少なくとも水平方向に移動可能であることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、高圧架線が位置する電柱の上部に向けて伸長可能なブームの先端部に連結されるサブブームと、前記サブブームの基端側に位置し、作業者が搭乗可能なバケットと、前記サブブームに着脱可能に設けられ、前記サブブームに装着された状態で前記サブブームの軸方向に移動可能で、かつ前記サブブームの軸方向の所定位置にロック可能な昇降部と、前記サブブームに設けられ、ロープの巻取りおよび巻出しによりロックが解除された状態の前記昇降部を前記サブブームの軸方向に昇降させるウインチと、 前記昇降部と連結可能で、開閉器を含む設備機器が載置可能なリフト台と、を備えた高所作業車による装柱工法であって、前記サブブームに前記昇降部を装着するとともに、前記昇降部を前記サブブームの軸方向の所定位置にロックし、地上側の前記リフト台を前記ウインチにより吊り上げて、前記リフト台を前記昇降部に連結し、前記リフト台と前記昇降部との連結後に、前記ウインチの前記ロープを前記昇降部に連結するとともに前記昇降部の前記サブブームとのロックを解除し、前記ブームが前記電柱の上部に向けて伸長した状態で、前記ウインチによる前記ロープの巻取りによって前記バケットの上方でかつ前記電柱の上部における所定の位置まで前記リフト台を上昇させ、前記高圧架線の下方に位置する前記バケットに搭乗している前記作業者による間接活線作業により、前記リフト台に載置された設備機器の前記電柱の上部への取付け、または前記電柱の上部から撤去した設備機器の前記リフト台への載置を行う、ことを特徴とする高所作業車による装柱工法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および3に記載の発明によれば、作業者が搭乗するバケットと設備機器が載置されるリフト台とが独立して昇降することが可能となるので、リフト台を利用して電柱の上部に対する開閉器などの設備機器の取付けや撤去を容易に行うことができ、また、高圧架線から下方に離れた安全な位置での間接活線作業が可能となる。さらに、高圧架線から下方に離れた安全な位置での間接活線作業が可能となることから、電柱の通電部に多量の防具を取付ける必要がなくなり、作業時間の短縮が図れるとともに、防具との干渉による感電および地絡、短絡の発生を防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、作業者が搭乗するバケットは、サブブームに対して少なくとも水平方向に移動可能であるので、電柱に対する正面方向や背面方向からの作業が可能となり、間接活線作業における作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係わる高所作業車における昇降部およびリフト台の平面図である。
図2図1の昇降部およびリフト台の側面図である。
図3図1のリフト台に開閉器を載置した状態を示す側面図である。
図4図3のリフト台を昇降部に連結した状態を示す側面図である。
図5】本発明の実施の形態に係わる高所作業車におけるサブブームの側面図である。
図6図5のサブブームに昇降部を装着した後にウインチでリフト台を吊り上げた状態を示す側面図である。
図7図5の昇降部にリフト台を連結する直前の状態を示す側面図である。
図8図5の昇降部にリフト台を連結した状態を示す側面図である。
図9図8のリフト台をウインチによって上昇させた状態を示す側面図である。
図10】本発明の実施の形態に係わる高所作業車による電柱の上部への開閉器の取付け状態を示す側面図である。
図11】本発明の実施の形態に係わる高所作業車による電柱の上部への開閉器取付け後における間接活線作業による配電線の接続作業を示す側面図である。
図12】本発明の実施の形態に係わる高所作業車のサブブーム近傍の構造を示す側面図である。
図13】本発明の実施の形態に係わる高所作業車の全体構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0016】
図1ないし図13は、本発明の実施の形態を示しており、とくに配電系統における電柱100の上部に開閉器110を取付ける場合を示している。図11に示すように、配電系統における電柱100の上部には、配電線路の高圧架線102を支持するための高圧腕金101が固定されている。高圧腕金101には、高圧架線102による配電線路を開閉するための開閉器110が取付け可能となっている。
【0017】
図3および図4は、配電線路用の開閉器110の詳細を示している。開閉器110は、開閉器本体111と、下部ガード112と、上部ガード113と、取付けボルト114を有している。下部ガード112は、開閉器本体111の下面側を保護するための部材として機能し、上部ガード113は、開閉器本体111の上面側を保護する部材として機能する。取付けボルト114は、図10に示すように、開閉器本体111を高圧腕金101に取付けるためのものであり、高圧腕金101のボルト穴(図示略)に挿通可能となっている。
【0018】
図13は、高所作業車1の全体構造を示している。高所作業車1は、車体2に装着されたアウトリガー3を有している。アウトリガー3は、ブーム5を伸ばしたり物を吊る際に、車体2から横方向に張出して接地させることで、車体2を安定させる機能を有する。車体2側には、ブーム5を進退可能に保持する保持フレーム4が取付けられている。ブーム5は、図10および図11に示すように、高圧架線102が位置する電柱100の上部に向けて伸長可能となっている。ブーム5の先端部には、可動連結部6を介してサブブーム7が連結されている。
【0019】
図12に示すように、可動連結部6は、第1の連結部6aと、第2の連結部6bと、第3の連結部6cと、第4の連結部6dを有している。第1の連結部6aは、ブーム5の上端側と連結されている。第2の連結部6bは、第1の連結部6aの直上に位置しており、第1の連結部6aに対して軸心P1回りに回動可能に連結されている。第1の連結部6aの側部には、第3の連結部6cが連結されている。第3の連結部6cは、第1の連結部6aの真横に位置しており、第1の連結部6aに対して軸心P2回りに回動可能に連結されている。第3の連結部6cには、第4の連結部6dが連結されている。第4の連結部6dは、矢印F4に示すように、第3の連結部6cに対して傾倒可能となっている。
【0020】
第4の連結部6dには、作業者Mが搭乗可能なバケット9が連結されている。バケット9は、第4の連結部6dの傾倒操作により、ブーム5の傾きの変化に関わらず常時水平状態を保つことが可能となっている。バケット9には、高所作業車1の各部の動きを遠隔操作するための操作盤(図示略)が設けられており、操作盤はバケット9に搭乗する作業者Mによって操作可能となっている。これにより、バケット9の位置および後述する昇降部10の位置は、搭乗する作業者Mの操作によって調整可能となっている。
【0021】
図12に示すように、可動連結部6の第1の連結部6aには、軸方向に延びるサブブーム7が連結されている。サブブーム7は、図1に示すように、例えば断面形状が4角形の中空部材から構成されている。この実施の形態では、サブブーム7は軸方向に伸縮しない構造となっている。サブブーム7の軸方向の所定の位置には、昇降部10が着脱可能に設けられている。昇降部10は、サブブーム7に装着された状態でサブブーム7の軸方向に移動可能で、かつサブブーム7の軸方向の所定位置にロック可能となっている。図5に示すように、サブブーム7には、ウインチ8が設けられている。ウインチ8は、ロープ(ワイヤロープ)8aの巻取りおよび巻出しによりロックが解除された状態の昇降部10をサブブーム7の軸方向に昇降させる機能を有している。サブブーム7の上端部には、ロープ8aを移動可能に保持する滑車7aが設けられている。ロープ8aの先端部には、フック8bが設けられている。
【0022】
昇降部10は、図1および図2に示すように、フレーム本体11と、ガイドローラ12と、抜け止め部13と、抜け止めレバー14と、昇降用環15を有している。フレーム本体11は、サブブーム7を周方向から包囲する部材であり、サブブーム7に対して着脱可能とするために、分解可能となっている。フレーム本体11には、4本のガイドローラ12が回転自在に取付けられている。4本のガイドローラ12のうち2本のガイドローラ12は、サブブーム7を中心として左右方向に対向して配置されている。サブブーム7を中心として一側の二つのガイドローラ12は、上下方向に所定の間隔をおいて配置されている。同様に、サブブーム7を中心として他側の二つのガイドローラ12は、上下方向に所定の間隔をおいて配置されている。
【0023】
昇降部10のフレーム本体11には、係合部11aが形成されている。係合部11aには、後述するリフト台20の係合爪22が係合可能となっている。係合部11aの外端面には、抜け止め部13が設けられている。抜け止め部13は、第1の抜け止め部13aと第2の抜け止め部13bとから構成されている。第1の抜け止め部13aと第2の抜け止め部13bは、所定の間隔をもって固定されている。第1の抜け止め部13aと第2の抜け止め部13bには、抜け止めレバー14が挿通可能となっている。フレーム本体11の上端部には、ウインチ8のロープ8aのフック8bが連結可能な昇降用環15が取付けられている。フレーム本体11の側面部には、昇降部10をサブブーム7の軸方向の所定位置にロック可能なロック用穴16が形成されている。ロック用穴16には、図6に示すように、昇降部10をサブブーム7に対してロックするためのロック用レバー17が装着可能となっている。
【0024】
図1および図2に示すように、昇降部10には、開閉器110を含む設備機器が載置可能なリフト台20が連結可能となっている。リフト台20は、ベース21と、係合爪22と、抜け止め板23と、着地板24と、旋回部25と、機器載置部26と、機器固定ボルト27を有している。ベース21は、平板状の複数の部材を集成したものから構成されている。ベース21のリフト台20と対向する部位には、係合爪22が設けられている。係合爪22の先端部22aは、昇降部10の係合部11aに容易に進入するために斜め下方に延びている。係合爪22の昇降部10と対向する外端面には、抜け止め板23が設けられている。抜け止め板23は、昇降部10の第1の抜け止め部13aと第2の抜け止め部13bとの間に進入可能となっている。抜け止め板23には、抜け止めレバー14が挿通可能な連結穴23aが形成されている。ベース21の下面側には、地上G側と接触可能な着地板24が複数設けられている。ベース21の上面側には、旋回部25を介して機器載置部26が設けられている。旋回部25は、機器載置部26を水平方向に旋回可能に支持する機能を有している。機器載置部26は、例えば開閉器110などの設備機器を載置する部位である。機器載置部26の上面側には、載置される開閉器110などの設備機器を固定するための機器固定ボルト27が複数設けられている。
【0025】
この実施の形態においては、ウインチ8は、少なくとも地上G側のリフト台20をロープ8aの巻取りにより、サブブーム7の軸方向の所定位置にロックされた昇降部10と連結可能な位置まで上昇させることが可能となっている。また、昇降部10は、少なくともリフト台20との連結後に、ウインチ8のロープ8aに連結されるとともに、サブブーム7とのロックが解除され、ブーム5が電柱100の上部に向けて伸長した状態で、ウインチ8によるロープ8aの巻取りによってバケット9の上方でかつ電柱100の上部における所定の位置までリフト台20を上昇させることが可能となっている。
【0026】
つぎに、高所作業車1による装柱工法の作業手順および作用について説明する。
【0027】
図3に示すように、地上G側に配置されたリフト台20の機器載置部26には、設備機器としての開閉器110が載せられる。その後、開閉器110は、複数の機器固定ボルト27によって機器載置部26に固定される。開閉器110がリフト台20に固定されると、図5に示すように、サブブーム7が地上G側に配置されたリフト台20の上方に移動し、ロープ8aのフック8bがリフト台20の直上まで降下してくる。
【0028】
つぎに、図6に示すように、サブブーム7の軸方向の所定位置には昇降部10が装着される。昇降部10は、サブブーム7への装着前は各部材が分解された状態にあるが、サブブーム7への装着時には、各部材が所定の形状に組み立てられ、サブブーム7に装着される。そして、サブブーム7に装着された昇降部10は、ロック用レバー17の装着によってサブブーム7に対してロックされ、サブブーム7に固定される。その後、図6に示すように、リフト台20に載置された開閉器110は、吊り具30を介してウインチ8のロープ8aのフック8bと連結され、ウインチ8の巻き上げ操作によりリフト台20と共に吊り上げられる。
【0029】
図7は、開閉器110がリフト台20と共に所定の高さまで吊り上げられた状態を示している。この状態では、サブブーム7の矢印F1方向の移動により、リフト台20は昇降部10と連結可能な位置まで接近し、係合爪22が昇降部10の係合部11aと容易に係合できる位置にリフト台20が位置決めされる。そして、この状態でウインチ8の操作によりリフト台20を矢印F2方向に降下させることにより、係合爪22の先端部22aが昇降部10の係合部11aに進入し、係合爪22は昇降部10の係合部11aと係合することになる。すなわち、係合爪22と係合部11aとの係合により、リフト台20は昇降部10と連結される。リフト台20と昇降部10とが連結された状態では、昇降部10側の抜け止め部13における第1の抜け止め部13aと第2の抜け止め部13bとの間には、リフト台20側の抜け止め板23が進入する。そして、抜け止め部13と抜け止め板23には、抜け止めレバー14が挿通され、リフト台20は昇降部10に確実に連結される。
【0030】
図8は、リフト台20が昇降部10と連結された状態を示している。この状態では、昇降部10はサブブーム7にロックされているので、昇降部10はサブブーム7の軸方向には動くことができず、昇降部10に連結された状態のリフト台20も昇降部10と同じ位置に静止した状態となる。つぎに、高所作業車1のブーム5が電柱100の上部に向けて伸長し、バケット9と昇降部10とリフト台20は、ブーム5の伸長に伴い電柱100の上部に向けて移動することになる。バケット9と昇降部10とリフト台20が所定の高さに到達すると、ブーム5の伸長が停止される。この状態では、バケット9は高圧架線102から下方に離れた位置に静止しており、高圧架線102に対する作業者Mの安全性は確保されている。
【0031】
つぎに、バケット9に搭乗している作業者Mによってウインチ8のロープ8aのフック8bが開閉器110側から取外され、フック8bは昇降部10の昇降用環15に連結される。フック8bが昇降部10の昇降用環15に連結されると、昇降部10のロック用レバー17が取外され、昇降部10はサブブーム7に対して移動可能となる。その後、昇降部10とリフト台20は、図9に示すように、作業者Mによるウインチ8の巻き上げ操作により矢印F3方向に上昇し、所定の高さまで上昇した時点で停止する。
【0032】
図10は、昇降部10とリフト台20が所定の高さまで上昇した状態を示している。この状態では、高圧架線102の下方に位置するバケット9に搭乗している作業者Mによる間接活線作業により、リフト台20に載置された開閉器110の電柱100の高圧腕金101への取付けが行われる。すなわち、作業者Mは、高圧架線102の下方に位置するバケット9に搭乗した状態で絶縁操作棒120を操作し、取付けボルト114を介して開閉器110を高圧腕金101に取付ける。ここで、開閉器110を載置する機器載置部26は、水平方向に旋回可能となっているので、高圧腕金101に対する開閉器110の位置合わせが容易となり、開閉器110の取付け作業を円滑に進めることが可能となる。
【0033】
開閉器110の高圧腕金101への取付けが終了すると、図11に示すように、高圧ケーブル118を介して開閉器101と高圧架線102との接続を行う。この場合も、作業者Mは、高圧架線102の下方に位置するバケット9に搭乗した状態で絶縁操作棒120を操作し、高圧ケーブル118を用いて配電線の接続作業を行うことになる。
【0034】
電柱100の上部への開閉器101の取付けおよび高圧ケーブル118による配電線の接続作業が完了すると、機器固定ボルト27によるリフト台20に対する開閉器101の固定が解除され、リフト台20はウインチ8の操作により図8に示す位置まで下降することになる。その後、ブーム5が軸方向に収縮し、リフト台20はバケット9に搭乗している作業者Mによって昇降部10と分離される。そして、昇降部10と分離されたリフト台20はウインチ8の操作により、地上G側に降ろされる。また、サブブーム7に装着した昇降部10もサブブーム7から取外される。
【0035】
このように、作業者Mが搭乗するバケット9と設備機器が載置されるリフト台20とが独立して昇降することが可能となるので、リフト台20を利用して電柱100の上部に対する開閉器110などの設備機器の取付けや撤去を容易に行うことができ、また、高圧架線102から下方に離れた安全な位置での間接活線作業が可能となる。さらに、高圧架線102から下方に離れた安全な位置での間接活線作業が可能となることから、電柱100の通電部に多量の防具を取付ける必要がなくなり、作業時間の短縮が図れるとともに、防具との干渉による感電および地絡、短絡の発生を防止することができる。また、作業者Mが搭乗するバケット9は、サブブーム7に対して少なくとも水平方向に移動可能であるので、電柱100に対する正面方向や背面方向からの作業が可能となり、間接活線作業における作業性を高めることができる。
【0036】
この実施の形態においては、設備機器を電柱100の上部に取付ける場合を説明したが、電柱100の上部に取付けられている設備機器を撤去する場合にも、本発明は適用される。設備機器の撤去の際は、リフト台20に何も載置しない状態で、リフト台20を電柱100の上部まで上昇させ、バケット9に搭乗した作業者Mによる間接活線作業により撤去対象の設備機器を電柱100から取外した後に、設備機器をリフト台20に載置する。その後、設備機器を載置したリフト台20をウインチ8などを利用して降下させ、リフト台20を地上側に降ろすことで、設備機器の電柱100からの撤去作業が完了する。
【0037】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、この実施の形態においては、設備機器として配電線路用の開閉器110を対象としているが、設備機器は開閉器110に限定されることはなく、例えば電源トランスを対象としてもよい。さらには、設備機器として、電線を架線した状態の高圧腕金101を対象とすることも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 高所作業者
2 車体
5 ブーム
6 可動連結部
7 サブブーム
8 ウインチ
8a ロープ
9 バケット
10 昇降部
11a 係合部
20 リフト台
22 係合爪
100 電柱
101 高圧腕金
102 高圧架線
110 開閉器(設備機器)
図1
図2
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図5
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図13