(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上流側の前記キルン内筒の温度と、下流側の前記キルン内筒の温度の少なくともいずれかにより前記キルン内筒の回転数を制御することを特徴とする請求項1に記載の外熱式炭化炉。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、被処理物であるバイオマスや低品位炭などの低カロリー物質は、一般に含水率(水分含有率)の変動が大きいことから、含水率の変動を抑制するために、外熱式炭化炉の前段に乾燥機を設置する事例がある。しかしながら、乾燥後の出口含水率は一定に制御することが困難である。
【0007】
高温炭化によって炭化物を製造する場合、含水率の変動により、ガス化率が低下し、設備燃費消費量が悪化するとともに、炭化物の自己発熱性が上昇する。よって、炭化物の燃料利用の観点から、安定した処理が求められている。
また、半炭化によって炭化物を製造する場合、含水率の変動により炭化温度が低下すると、粉砕性が低下し、炭化温度が上昇すると熱量残留率が低下することから、厳格な温度制御が求められている。
【0008】
また、外熱式ロータリーキルンを用いた炭化物の製造では、キルン内筒は、前段において被処理物に含まれる水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、後段において被処理物を炭化する炭化(ガス化)ゾーンに分類される。
被処理物中の含水率の変動に対して安定した品質の炭化を行うには、炭化ゾーンにおいて含水率に応じた炭化度合の調節が必要となるが、水の蒸発潜熱は揮発分のガス化潜熱に対して非常に大きな熱量を必要とするため、含水率の変動が炭化度合に与える影響を無視することが出来ない。
【0009】
例えば、一般的な外熱式ロータリーキルンでは、被処理物の含水率が変動すると前段の蒸発ゾーンが伸び、後段の炭化ゾーンが短縮され、炭化度合が低下し、具体的には自己発熱性抑制の観点から課題が生じる。この課題を回避するため、含水率が上昇し、前段の蒸発ゾーンが伸びた状態を想定してキルン内筒から被処理物との間の伝熱面積の設定並びに温度制御が行われているが、このような制御では熱効率が低下する課題を有している。
また、温度制御は外熱式ロータリーキルンの加熱部であるキルン内筒を通じて、キルン内に滞留する被処理物(水分及び固形分)を加熱する必要があるため、急激な含水率の変動に対して加熱ガス量の調節だけでは温度制御の追従性が十分となり得ない。
【0010】
特許文献1に記載されている炭化炉では、前段及び後段のキルンに導入される加熱ガスの流量をそれぞれ調節可能な構成となっている。しかしながら、含水率が大きく変動した場合は、やはり加熱ガス量の調節だけでは温度制御の追従性が不十分である。
【0011】
この発明は、投入される被処理物の含水率が変動した場合においても、安定した炭化物の製造が可能となる外熱式炭化炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の態様によれば、外熱式炭化炉は、外筒と、前記外筒に対して相対回転するキルン内筒と、前記外筒と前記キルン内筒との間に加熱ガスを供給する加熱器と、をそれぞれ備えていて
、それぞれのキルン内筒がキルン内筒の内部空間が連通するように、中心軸方向に直列に連結された複数のロータリーキルンを有し、
上流側の一の前記キルン内筒と、前記一のキルン内筒
よりも下流側の他の前記キルン内筒とをそれぞれ回転させる駆動装置と、
前記一のキルン内筒の温度を前記被処理物の水分を蒸発させる所定の温度域に維持するとともに、前記他のキルン内筒の温度を前記被処理物を炭化させる所定の温度域に維持するように、前記駆動装置を前記キルン内筒内の被処理物の含水率により制御する制御装置と、を有することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、被処理物の含水率に応じて複数のロータリーキルンのそれぞれで、キルン内筒の回転数を制御することによって、投入される被処理物の含水率が変動した場合においても、安定した炭化物の製造が可能となる。
【0014】
上記外熱式炭化炉において、上流側の前記キルン内筒の温度と、下流側の前記キルン内筒の温度の少なくともいずれかにより前記キルン内筒の回転数を制御する構成としてもよい。
【0015】
上記構成によれば、キルン内筒の温度を用いて被処理物の含水率を推定することによって、被処理物の含水率を直接測定することなく被処理物の含水率の変動を把握することができる。
【0016】
上記外熱式炭化炉において、前記制御装置は、前記加熱器から供給される加熱ガスの流量を調節する加熱ガス量調節装置を有する構成としてもよい。
上記構成によれば、加熱ガス量とともに、キルン内筒の回転数を調節することによって、含水率が大きく変動した場合においても対応が可能となる。
【0017】
上記外熱式炭化炉において、複数の前記キルン内筒同士の接続部は、下流側の前記キルン内筒の内部空間と連通し、下流側の前記キルン内筒とともに回転する下流側筒部と、上流側の前記キルン内筒の内部空間と連通し、上流側の前記キルン内筒とともに回転し、前記下流側筒部の径方向内周側に挿入される上流側筒部と、を有する構成としてもよい。
【0018】
上記構成によれば、上流側のキルン内筒の内部空間と下流側のキルン内筒の内部空間とが直接連通させ、加熱ガスによって加熱されない部位を最小限とすることができる。
【0019】
上記外熱式炭化炉において、前記接続部は、前記上流側筒部と前記下流側筒部の径方向外周側において前記複数のキルン内筒同士を気密にシールするとともに、前記外筒の軸線方向に伸縮可能なエキスパンションを有する構成としてもよい。
【0020】
上記構成によれば、空気がキルン内筒内に流入することを抑制するとともに、キルン筒体の熱伸びをエキスパンションによって吸収することができる。
【0021】
上記外熱式炭化炉において、前記接続部における一の前記キルン内筒の端部に軸線方向に移動可能に設けられ、前記一のキルン内筒を軸線回りに回転可能に支持する可動支持部と、前記接続部における他の前記キルン内筒の端部に軸線方向に移動不能に設けられ、前記他のキルン内筒を軸線回りに回転可能に支持する固定支持部と、を有する構成としてもよい。
上記構成によれば、キルン筒体の熱伸びを可動支持部によって吸収することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被処理物の含水率に応じて複数のロータリーキルンのそれぞれで、キルン内筒の回転数を制御することによって、投入される被処理物の含水率が変動した場合においても、安定した炭化物の製造が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態の外熱式炭化炉2について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の外熱式炭化炉2を有する炭化物製造設備1の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、炭化物製造設備1は、被処理物を投入するためのスクリューコンベア3と、スクリューコンベア3から投入される被処理物を加熱する外熱式炭化炉2と、外熱式炭化炉2から排出される被処理物を排出するシュート4と、を有している。
【0025】
外熱式炭化炉2は、下水汚泥、木質バイオマス及び低品位炭などの低カロリー物質の被処理物を加熱処理して、発熱量が大きい炭化物に改質するものである。
外熱式炭化炉2は、第一ロータリーキルン5と、第一ロータリーキルン5の下流側に直列に連結され、第一ロータリーキルン5から排出される被処理物を加熱する第二ロータリーキルン7と、から構成されている。第一ロータリーキルン5は、外筒10、及び外筒10に対して相対回転するとともに被処理物が投入される第一キルン内筒6(キルンシェル)を有している。第二ロータリーキルン7は、外筒10、及び外筒10に対して相対回転するとともに被処理物が投入される第二キルン内筒8を有している。
【0026】
第一キルン内筒6と第二キルン内筒8とは、二つを合わせることによって、例えば軸線方向の長さLが50m程度の大型の円筒状の筒体となる。また、第一キルン内筒6、第二キルン内筒8、及び外筒10は、水平に対して1%〜3%の勾配で傾斜されて設置面F上に設置されている。
なお、以下の説明においては、キルン内筒6,8、及び後述する外筒10の軸線方向を、単に軸線方向と呼ぶ。
第一ロータリーキルン5と第二ロータリーキルン7とは、略同様の構成とされている。以下、第一ロータリーキルン5の構成について説明する。
【0027】
第一ロータリーキルン5は、第一キルン内筒6と、その周囲に加熱ガスを流通させる外筒10(マッフル)と、を有している。第一キルン内筒6の上流側は、軸線方向に移動可能な可動支持部11によって軸線回りに回転可能に支持されている。第一キルン内筒6の下流側は、固定支持部12によって軸線回りに回転可能に支持されている。
【0028】
第一キルン内筒6の可動支持部11は、第一キルン内筒6を回転自在に支持する環状フレーム13を有している。環状フレーム13の両側部は、設置面Fから揺動可能に立ち上げられた支持部材14の上端部に回転自在に支持されている。固定支持部12も、第一キルン内筒6を回転自由に支持する環状フレーム13を有している。
なお、可動支持部11と固定支持部12を反対に設置することも可能である。
【0029】
第一キルン内筒6の内壁部には、周方向に対して傾斜して配列された複数のフィン(又はスパイラル、図示せず)が設けられ、第一キルン内筒6が後述する駆動装置16により所定の回転数(例えば1〜5rpm)で駆動回転されることにより、入口側(上流側)から投入された被処理物を加熱しながら出口側(下流側)に移送可能である。なお、フィンを設ける代わりに、第一キルン内筒6が水平に対して僅かに傾斜した軸線回りに回転自在に支持され、その傾斜と第一キルン内筒6の回転によって被処理物が出口側に移送される場合もある。
【0030】
駆動装置16は、第一キルン内筒6に設けられた歯車17と、駆動モータ18と、駆動モータ18の回転軸に取り付けられ、歯車17に嵌合したピニオン歯車19と、を有している。駆動装置16は、駆動モータ18の駆動を歯車17に伝達させて歯車17を回転させることにより、第一キルン内筒6を軸線回りに回転させる。
【0031】
外筒10は、第一キルン内筒6の回転および軸線方向の移動を許容し、かつ、第一キルン内筒6との間でシールを確保した状態で、図示しない支持部材を介して設置部位に固定されている。
外筒10の一端には、加熱ガスを供給する加熱器として機能する加熱ガス燃焼炉21から送給される加熱ガス供給管20が接続されている。外筒10の他端には、加熱ガス送出管22が接続されている。加熱ガス送出管22には、加熱ガス量調節装置23として機能する加熱ガス量調節ダンパ24および誘引ファン25が設けられている。
【0032】
外筒10の上部には、軸線方向に離間して複数の点検窓26が設けられている。それぞれの点検窓26には、軸線回りに回転するキルン内筒の外周面に対向してキルンシェル温度(キルン内筒の鉄皮温度)を計測する非接触式温度計27が設けられている。非接触式温度計27としては放射温度計を用いることができる。
外熱式炭化炉2は、制御装置15を有している。制御装置15と非接触式温度計27とは通信可能に接続されており、非接触式温度計27によって測定されたキルンシェル温度が制御装置15に入力されるように構成されている。また、制御装置15は、キルンシェル温度に基づいて、加熱ガス量調節装置23、及び駆動装置16を制御する。制御装置15による制御方法については後述する。
【0033】
次に、環状フレーム13の詳細、及び第一ロータリーキルン5と第二ロータリーキルン7との接続部9について説明する。
図2に示すように、第一キルン内筒6は、軸線方向に例えば5m程度の略一定の径で形成された第一内筒本体部29と、第一キルン内筒6の下流側から軸線方向下流側に向かうに従って漸次縮径して、円錐状に絞る第一コニカル部30と、第一コニカル部30から軸線方向下流側に略一定の径で延びる円筒形状の第一小径部31(上流側筒部)と、を有している。
【0034】
第二ロータリーキルン7の第二キルン内筒8は、軸線方向に例えば5m程度の略一定の径で形成された第二内筒本体部32と、第二キルン内筒8の上流側から軸線方向上流側に向かうに従って漸次縮径する第二コニカル部33と、第二コニカル部33から軸線方向上流側に略一定の径で延びる円筒形状の第二小径部34(下流側筒部)と、を有している。
第一キルン内筒6の第一小径部31と第二キルン内筒8の第二小径部34とは、第一小径部31の外径が、第二小径部34の内径よりも僅かに小さくなるように形成されている。即ち、第一小径部31と第二小径部34とは、第一小径部31を第二小径部34に挿入可能なように形成されている。
【0035】
第一ロータリーキルン5と第二ロータリーキルン7との接続部9においては、第一小径部31が第二小径部34に差し込まれている。即ち、第一小径部31は、第二小径部34の径方向内周側に挿入されており、それぞれの中心軸が同一線上となるように配置されている。これにより、第一小径部31と第二小径部34とは、軸方向に一部が重なり合うように配置される。このような構造とすることによって、被処理物を滞りなく、第一キルン内筒6から第二キルン内筒8に移送することができる。
【0036】
環状フレーム13は、コニカル部30,33又は小径部31,34の径方向外周側に設けられ、周方向に延在するフレーム本体部36と、フレーム本体部36の内周側において、キルン内筒6,8に向けて突出するベアリング保持部37と、を有している。ベアリング保持部37は、周方向に延在しており、その外周側にベアリング38が保持されている。ベアリング38は、キルン内筒6,8の端壁部39より軸方向に突出している環状突条40を介してキルン内筒6,8を回転自在に支持している。
即ち、キルン内筒6,8は、環状フレーム13を介して回転自在に支持されている。環状フレーム13は、設置面Fより立ち上げられた支持部材14(
図1参照)によって支持されている。
【0037】
次に接続部9におけるシール機構について説明する。
第一ロータリーキルン5と第二ロータリーキルン7との接続部9は、キルン内筒6,8のコニカル部30,33又は小径部31,34の外周面から径方向外周側に突出するとともに、周方向に延在するシール板41と、環状フレーム13にそれぞれ取り付けられたリング状の押さえ板42と、小径部31,34の外周側を覆うように設けられたエキスパンション43と、シール板41と押さえ板42との間に介装されたグランドパッキン44と、を有している。
【0038】
キルン内筒6,8に設けられているシール板41は、キルン内筒6,8とともに回転する。グランドパッキン44はシール板41に固着されており、シール板41とともに回転する。このとき、グランドパッキン44と押さえ板42の摺動面とが摺動することによってシールしている。エキスパンション43は、蛇腹状の略円筒状に形成され、蛇腹状部分が軸線方向に伸縮可能とされている。
【0039】
グランドパッキン44は、例えば炭素繊維グランドパッキンを採用することができる。炭素繊維を編みこんだグランドパッキン44は摩擦係数が極めて小さい為、シール性能を長期間維持することができる。
なお、
図1に示すように、第一ロータリーキルン5の可動支持部11とスクリューコンベア3との接続部分には、可動支持部11の軸線方向の変位を吸収するエキスパンション45が設けられている。
【0040】
次に、本実施形態の外熱式炭化炉2の制御装置15について説明する。制御装置15は、複数の非接触式温度計27において検出されたキルンシェル温度に基づいて加熱ガス量、及びキルン内筒の回転数を制御するものである。複数の非接触式温度計27において検出されたキルンシェルの温度は、制御装置15に送信される。
【0041】
キルンシェル温度は、キルン内筒内の被処理物に直接的に接する部分の温度であるため、被処理物の熱分解温度との相関が高く、加熱状況を良好に反映している。このため、キルンシェル温度に基づいて温度制御を行うことによって、加熱温度の安定的な制御が可能となる。特に、キルンシェル温度は、被処理物の含水率によって変動する。被処理物の含水率が上昇すると、水分の蒸発が増えるため、キルンシェル温度は低下する。本実施形態の制御装置15は、被処理物の含水率の推定に、キルンシェル温度を用いている。
【0042】
本実施形態の外熱式炭化炉2は、上流側及び下流側の二つのロータリーキルン5,7を有しているため、制御装置15は、それぞれのロータリーキルン5,7の加熱ガス量、及びキルン内筒の回転数を、独立して制御することができる。
【0043】
ここで、本実施形態の外熱式炭化炉2においては、キルン内筒が上流側と下流側とで分割され、第一キルン内筒6が被処理物の水分を蒸発させる蒸発ゾーンとして機能し、第二キルン内筒8が被処理物を炭化させる炭化ゾーンとして機能するように構成されている。
制御装置15は、複数の非接触式温度計27で計測されるキルンシェル温度が所定の温度域に維持されるように、加熱ガス量調節ダンパ24の開度、及び誘引ファン25の回転数によって加熱ガス量を調節する。
加熱ガス量の調節を行っても、所定の温度域に維持できない場合は、第一キルン内筒6の回転数を上げる(回転速度を上昇させる)ことによって、被処理物の蒸発を促進させる。キルンシェル温度は、被処理物からの蒸発が増えることによって低下する。
【0044】
上述したように、本実施形態の外熱式炭化炉2においては、蒸発ゾーンとして機能するロータリーキルン(キルン内筒)と、炭化ゾーンとして機能するロータリーキルン(キルン内筒)とに分割されているため、第一ロータリーキルン5の第一キルン内筒6の回転数を上げた場合でも、第二ロータリーキルン7の第二キルン内筒8の回転数を上げることなく維持することができる。即ち、被処理物からの水分の蒸発を促進するために第一キルン内筒6の回転数を上げた場合においても、炭化処理が行われる第二キルン内筒8の回転数を維持することができる。
【0045】
換言すれば、被処理物の含水率が大きい場合においても、蒸発ゾーン(第一キルン内筒6)における蒸発処理を促進させることによって、炭化ゾーン(第二キルン内筒8)に投入される被処理物を適切な含水率にすることができる。
また、単一のキルン内筒を有する外熱式炭化炉の場合、蒸発ゾーンが長くなるに従い炭化ゾーンが短くなるが、蒸発ゾーンと炭化ゾーンとが独立し、蒸発度合を加熱ガス量に加え、キルン内筒の回転数で調節することによって、炭化ゾーンにおける炭化度合が低下することがない。
【0046】
上記実施形態によれば、被処理物の含水率に応じて二つのロータリーキルン5,7のそれぞれで、キルン内筒6,8の回転数を制御することによって、投入される被処理物の含水率が変動した場合においても、安定した炭化物の製造が可能となる。即ち、一方のキルン内筒の回転数を変化させつつ、他方のキルン内筒の回転数を維持することができる。
具体的には、例えば、被処理物の含水率が大きくなり、蒸発ゾーンとして機能する第一キルン内筒6において加熱ガス量の調節のみでは適切な蒸発ができない場合に、制御装置15を用いて第一キルン内筒6の回転数を上げる(回転速度を速くする)ことができる。これにより、被処理物の含水率が大きくなった場合においても、蒸発ゾーンにおいて、被処理物の含水率を適切に低減させることができる。
【0047】
また、キルン内筒を2基直結する構造としたことによって、ロータリーキルンを大型化した場合においても、ロータリーキルンの構造強度上の影響を回避して、伝熱面積を拡大することができる。
【0048】
また、キルンシェル温度の温度を用いて被処理物の含水率を推定することによって、被処理物の含水率を直接測定することなく被処理物の含水率の変動を把握することができる。
また、加熱ガス量を調節するとともに、キルン内筒の回転数も制御することによって、含水率が大きく変動した場合においても対応が可能となる。即ち、加熱ガス量の調節のみでは温度制御の追従性が不十分な場合においても、温度制御が可能となる。
【0049】
また、第一キルン内筒6と第二キルン内筒8との接続部9において、第一キルン内筒6の内部空間と第二キルン内筒8の内部空間とが直接連通していることによって、加熱ガスによって加熱されない部位を最小限とすることができる。
また、第一キルン内筒6と第二キルン内筒8との接続部9において、キルン内筒6,8同士を気密にシールするエキスパンション43を有することによって、空気がキルン内筒6,8内に流入することを抑制するとともに、キルン内筒6,8の熱伸びをエキスパンション43によって吸収することができる。
また、キルン内筒6,8の一方側の端部を軸線方向に移動可能な可動支持部11で支持していることによって、キルン内筒6,8の熱伸びを吸収することができる。即ち、キルン内筒6,8を300℃〜700℃の高温に保持しても、接続部9における摺動部のシール性を保持することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
例えば、本実施形態の外熱式炭化炉2では、キルンシェル温度に基づいて加熱ガス量及びキルン内筒の回転数を制御したが、これに限ることはない。例えば、キルン内筒内に温度計を設置して、直接被処理物の温度を計る構成としてもよい。
【0051】
また、本実施形態の外熱式炭化炉2では、キルン内筒を、上流側の第一キルン内筒6と下流側の第二キルン内筒8とに二分割したが、これに限ることはなく、キルン内筒を三分割、もしくはそれ以上に分割してもよい。即ち、3基以上のキルン内筒を接続する構成としてもよい。
また、非接触式温度計の数も3つに限ることはなく、これらの設置数は適宜設定することができる。