特許第5752220号(P5752220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752220
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】硬質表面用殺菌洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/20 20060101AFI20150702BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20150702BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   C11D3/20
   C11D1/90
   C11D3/43
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-259009(P2013-259009)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2015-113455(P2015-113455A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2015年3月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】松尾 申遼
(72)【発明者】
【氏名】高野 勝幸
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−069897(JP,A)
【文献】 特表平10−504592(JP,A)
【文献】 特開2002−060786(JP,A)
【文献】 特開2003−096493(JP,A)
【文献】 特開2004−204196(JP,A)
【文献】 特開2008−266375(JP,A)
【文献】 特開2013−194224(JP,A)
【文献】 特開2014−132063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 3/20
C11D 1/90
C11D 3/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(a)を0.5質量%以上、3質量%以下、成分(b)を0.5質量%以上、10質量%以下、成分(c)を1質量%以上、8質量%以下、及び成分(d)を含有し、
全界面活性剤中の成分(a)の比率が65質量%以上であり、
25℃でのpHが2以上、6以下である、
硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
成分(a):ベタイン型両性界面活性剤
成分(b):一般式(b1)で表される化合物
【化1】

(式中、nは1以上、8以下の整数を示す。)
成分(c):キレート剤
成分(d):水
【請求項2】
成分(b)が、ベンジルアルコール、及びフェネチルアルコールから選ばれる化合物である、請求項記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(b)を0.5質量%以上、5質量%以下含有する、請求項1又は2記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に下記成分(e)を0.01質量%以上、10質量%以下含有する、請求項1〜3の何れか1項記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
成分(e):一般式(e1)で表される化合物
RO−(C24−O)p−H (e1)
(式中、Rは、炭素数3以上、8以下の脂肪族炭化水素基又は炭素数3以上、8以下の環状炭化水素基であり、pは1以上、8以下の整数である。)
【請求項5】
成分(e)が、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノフェニルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる1種以上である、請求項記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【請求項6】
成分(b)と成分(e)とを合計で2.5質量%以上含有し、かつ、成分(b)と成分(e)の質量比(b)/(e)が、25/500以上、500/1以下である、請求項4又は5記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物で硬質表面を洗浄すること、洗浄後の硬質表面を水ですすぐこと、を行う、硬質表面の殺菌洗浄方法。
【請求項8】
前記硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を硬質表面に噴霧した後、該硬質表面を洗浄する、請求項7に記載の硬質表面の殺菌洗浄方法。
【請求項9】
前記硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を基体に担持させた清掃用物品により硬質表面を洗浄する、請求項7に記載の硬質表面の殺菌洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬質表面用殺菌洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
我々を取り巻く住環境設備には、タイル、プラスチック、金属等を材料とした各種硬質表面が存在し、これら硬質表面は生活場面に於いて様々な汚れが付着する環境に晒されている。なかでも、浴室、台所、床等として用いられる硬質表面は、日常的に人が接する表面でもあるために、多くの汚れが残留して蓄積し易く、更には洗浄除去し難い性質を有するものとなっている。
【0003】
一般に硬質表面用の洗浄剤は、浴室、台所、床等の処理対象の異なる汚れを除去するため、それぞれに適した組成のものが用いられている。例えば、レンジ、オーブン、レンジまわりの壁や床、換気扇といった台所まわりに用いられる台所まわり用洗浄剤としては、熱、日光、空気中の酸素等の作用により変質した油汚れを除去するため、界面活性剤、溶剤及びアルカリ剤等を含む洗浄剤が用いられている。また、浴槽、浴室の壁及び床といった浴室に用いられる浴室用洗浄剤としては、金属石鹸、特に脂肪酸のカルシウム塩の汚れを除去するため、界面活性剤、溶剤、金属イオン封鎖剤等を含む洗浄剤が用いられている。
【0004】
また、トイレ、浴室、台所まわりなどの硬質表面を洗浄する際に、洗浄力と共に優れた殺菌性が得られることが望まれている。そのため、硬質表面用の洗浄剤に殺菌成分を配合することが行われている。
【0005】
特許文献1には、カチオン界面活性剤と、両性界面活性剤と、ベンジルアルコール等の特定の有機化合物とを、所定条件で含有する硬質表面用液体洗浄剤組成物が、浴室等に発生したピンク色及び/又は紅色を呈する汚れを、有効に除去できることが開示されている。
【0006】
特許文献2には、特定の有機カルボン酸と、脂肪族アルコール及びグリコールエーテル類から選ばれる難溶性の一価溶媒とを所定条件で含有する低残留性抗菌洗浄組成物が開示されている。
【0007】
特許文献3には、有効量の消毒用物質及び特定のポリ(アルキレングリコール)アルキルエーテルを含む液体消毒用組成物が開示されている。
【0008】
特許文献4には、特定の乳化安定剤、2−(チアゾール−4−イン)ベンゾイミダゾール、グリコールベースの溶媒及びベンジルアルコールを含む混合溶媒、並びに、界面活性剤を含む、殺有害生物組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−255073号公報
【特許文献2】特表2004−523616号公報
【特許文献3】特表2002−511391号公報
【特許文献4】特開2009−120549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、石鹸カスと皮脂の複合した頑固な汚れに対する洗浄力が高く、かつ殺菌性にも優れた硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記成分(a)を0.5質量%以上、3質量%以下、成分(b)を0.5質量%以上、10質量%以下、成分(c)を1質量%以上、8質量%以下、及び成分(d)を含有し、
全界面活性剤中の成分(a)の比率が65質量%以上であり、
25℃でのpHが2以上、6以下である、
硬質表面用殺菌洗浄剤組成物に関する。
成分(a):ベタイン型両性界面活性剤
成分(b):一般式(b1)で表される化合物
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、nは1以上、8以下の整数を示す。)
成分(c):キレート剤
成分(d):水
【発明の効果】
【0014】
本発明の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物は、石鹸カスと皮脂の複合した頑固な汚れに対する洗浄力が高く、かつ殺菌性にも優れる。更には、使用時は起泡性に富み、すすぎ時には泡が消え易い。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における成分(a)であるベタイン型両性界面活性剤としては、アルキルカルボベタイン、アルキルアミドカルボベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルアミドスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0016】
成分(a)は、下記一般式(a1)で表されるベタイン型両性界面活性剤〔以下、成分(a1)という〕及び下記一般式(a2)で表されるベタイン型両性界面活性剤〔以下、成分(a2)という〕から選ばれる1種以上が好ましい。
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、R1は炭素数5以上、18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。R2及びR3はそれぞれ水酸基で置換されていてもよい炭素数1以上、5以下のアルキル基を示す。Xは水酸基で置換されていてもよい炭素数1以上、3以下の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。qは0又は1、rは0以上、4以下の整数を示す。)
【0019】
一般式(a1)又は(a2)中、R1は、好ましくは炭素数7以上、より好ましくは9以上、そして、好ましくは17以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは13以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。
また、一般式(a1)又は(a2)中、R2及びR3は、それぞれ、炭素数が1以上、3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
また、一般式(a1)中、Xは、水酸基で置換されていてもよい炭素数が1又は2のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
また、一般式(a2)中、Xは、水酸基で置換されていてもよい炭素数が2又は3のアルキレン基が好ましく、プロピレン基又はヒドロキシルプロピレン基がより好ましい。
また、一般式(a1)中、qは1が好ましく、rは3が好ましい。
また、一般式(a2)中、qは0が好ましく、rは0が好ましい。
【0020】
成分(a)は、成分(a1)を含むことが好ましい。また、成分(a)は、成分(a1)及び成分(a2)の併用であってもよい。成分(a)として、成分(a1)と成分(a2)とを含有する場合、成分(a1)/成分(a2)の質量比は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。成分(a)中の成分(a1)の比率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
【0021】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、成分(a)を、0.5質量%以上、そして、3質量%以下、好ましくは2.8質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下含有する。成分(a)の含有量が前記範囲であると、洗浄力と使用時の起泡性が十分であり、また、すすぎ時の泡消え性が良好となる。
【0022】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、成分(a)以外の界面活性剤を含有してもよいが、洗浄力の観点から、全界面活性剤中の成分(a)の比率は65質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、より好ましくは100質量%である。なお、本発明では、界面活性剤には、後述の成分(e)を含まないものとする。また、全界面活性剤の質量は、下記の成分(a)以外の界面活性剤と成分(a)との合計質量を意味する。
【0023】
成分(a)以外の界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられる。任意に追加配合する界面活性剤の役割は、泡量や泡質の調整が主な目的となる。成分(a)以外の界面活性剤は、洗浄力への影響から、全界面活性剤のうち35質量%以下の比率で用いる必要があり、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がより好ましく、0質量%であることがより好ましい。
成分(a)以外の界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤から選択される1種以上が好ましく、アニオン界面活性剤、及びカチオン界面活性剤から選択される1種以上がより好ましく、アニオン界面活性剤がより好ましい。
【0024】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィン脂肪酸塩及びそのエステル等が挙げられる。
【0025】
カチオン界面活性剤としては、ハロゲン化ベンザルコニウム、ハロゲン化ベンゼトニウム、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩やジアルキルジメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0026】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0027】
成分(b)は、下記一般式(b1)で表される化合物である。
【0028】
【化3】
【0029】
(式中、nは1以上、8以下の整数を示す。)
一般式(b1)中、nは、1又は2が好ましく、1がより好ましい。従って、成分(b)は、ベンジルアルコール、及びフェネチルアルコールから選ばれる化合物が好ましい。
【0030】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、成分(b)を、0.5質量%以上、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは1質量%以上、そして、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下含有する。成分(b)の含有量が、下限値以上であると洗浄性及び殺菌性が両立でき、上限値以下であると溶液が分離せず安定な一相溶液状態を保つことが可能である。
【0031】
本発明における成分(c)であるキレート剤としては、特に限定されるものではないが、以下の(1)〜(5)に示した化合物の1種以上が挙げられる。
【0032】
(1)オルソリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、フィチン酸等のリン酸系化合物、及びそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩又はアルカノールアミン塩。
(2)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸及びその誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸、及びそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩又はアルカノールアミン塩。
(3)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジェンコル酸等のアミノポリ酢酸、及びそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩又はアルカノールアミン塩。
(4)クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルコン酸、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の化合物、及びそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩又はアルカノールアミン塩。
(5)アミノポリ(メチレンホスホン酸)、ポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)、及びそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩又はアルカノールアミン塩
【0033】
上記キレート剤のうち、好ましいものはクエン酸やリンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、ピロリン酸等の縮合リン酸、エチレンジアミン四酢酸等のアミノカルボン酸、及びそれらの塩、好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩又はアルカノールアミン塩であり、より好ましいものはクエン酸やリンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、及びその塩、好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩又はアルカノールアミン塩である。
【0034】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、成分(c)を、1質量%以上、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上、そして、8質量%以下、好ましくは6質量%以下含有する。成分(c)の含有量が前記範囲であると、優れた洗浄力が得られる。
【0035】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、成分(d)の水を好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下含有する。
【0036】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、より優れた洗浄力が得られる観点から、下記成分(e)を0.01質量%以上、10質量%以下含有することが好ましい。
成分(e):一般式(e1)で表される化合物
RO−(C24−O)p−H (e1)
(式中、Rは、炭素数3以上、8以下の脂肪族炭化水素基又は炭素数3以上、8以下の環状炭化水素基であり、pは1以上、8以下の整数である。)
【0037】
一般式(e1)中、Rは、炭素数1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、そして、8以下、好ましくは6以下、より好ましくは5以下のアルキル基が好ましい。また、アルキル基は、直鎖のアルキル基が好ましい。一般式(e1)中、pは1以上、好ましくは2以上、そして、8以下、好ましくは6以下である。
【0038】
成分(e)としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノフェニルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルがより更に好ましい。
【0039】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、成分(e)を、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下含有する。成分(e)の含有量が前記範囲であると、より優れた洗浄力が得られる。
【0040】
本発明の殺菌洗浄剤組成物が成分(e)を含有する場合、成分(b)と成分(e)とを合計で好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上含有し、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下含有する。また、成分(b)と成分(e)の質量比(b)/(e)は、好ましくは25/500以上、より好ましくは50/500以上、より好ましくは100/500以上、そして、好ましくは500/1以下、より好ましくは500/5以下、より好ましくは500/50以下、より好ましくは500/100以下、より好ましくは500/300以下、より好ましくは500/500以下である。
【0041】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、25℃でのpHが2以上、好ましくは4以上であり、そして、6以下、好ましくは5.8以下、より好ましくは5.5以下である。原液pHが4以上であれば皮膚への刺激性が少なく、また、pHが6以下であれば洗浄力に優れる。
【0042】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、25℃の粘度が1mPa・s以上、6mPa・s以下であることが好ましい。この粘度は、B型回転粘度計を用い、ローターNo.1、60rpm、1分後の値として測定されたものである。
【0043】
本発明の殺菌洗浄剤組成物には、粘度調整剤として、膨潤性粘土鉱物として知られるモンモリロナイト、ヘクトライト、パーミキュライト、アタパルジャイト、セピオライト、及びこれらの混合物を主成分とするスメクタイト型粘土鉱物、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース及びその誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース及びその誘導体、メチルセルロース及びその誘導体等を配合することができる。
【0044】
本発明の殺菌洗浄剤組成物には、製品の付加価値を増大させるために、香料、色素、防腐剤、酸化防止剤等を任意に配合することができる。
【0045】
本発明の殺菌洗浄剤組成物は、浴室、浴槽、洗面器、タイル、化粧室、洗面台、鏡、台所まわりのシンク、カウンタートップ、水道まわり等の硬質表面の洗浄に好適に用いられる。浴室用として好適に用いられる。ここで、浴室用とは、浴室のみならず、浴槽、洗面器など、浴室内に存在する他の硬質表面を有する物品をも対象とするものである。
【0046】
本発明により、本発明の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物で硬質表面を洗浄すること、洗浄後の硬質表面を水ですすぐこと、を行う、硬質表面の殺菌洗浄方法が提供される。本発明では、本発明の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を硬質表面に噴霧した後、該硬質表面を洗浄することができる。また、本発明では、本発明の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を基体に担持させた清掃用物品により硬質表面を洗浄することができる。
【0047】
一例として、本発明の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を硬質表面に適用した後、拭き取り洗浄を行う硬質表面の殺菌洗浄方法が提供される。拭き取り洗浄は、布巾、雑巾、不織布等を用いて、硬質表面に適用した組成物を硬質表面から除去することが好ましい。
【0048】
また、本発明の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物は、基体に含浸させて清掃用物品として使用することもできる。本発明の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を基体に含浸させた清掃用物品は、清掃作業の作業性の観点から好ましい。
【0049】
硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を含浸させた清掃用物品に用いられる基体としては、可撓性を有し、硬質表面用殺菌洗浄剤組成物が含浸可能なものであり、使用時に十分な強度を有し、くず等の発生の無いものが用いられる。無荷重下において後述の量の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を含浸し得る基体を用いることが好ましい。
【0050】
そのような基体としては、繊維状材料から構成される繊維構造体、例えば、各種紙、不織布、織布若しくは編布が挙げられる。これらの繊維構造体を構成する繊維状材料としては、例えば、セルロース系繊維、変性セルロース系繊維、合成繊維及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。
【0051】
また、樹脂中に気泡を分散させて得られる多孔質構造体(例えば、スポンジ状構造体)も上記基体として使用できる。
【0052】
また、本発明の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を含浸させた清掃用物品を用いて硬質表面を拭く殺菌洗浄方法は、清掃作業の作業性の観点から、硬質表面の軽い殺菌洗浄に好ましい。硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を含浸させた清掃用物品は、基体に予め殺菌洗浄剤組成物を含浸させてなるもの、あるいは乾燥した基体に硬質表面用殺菌洗浄剤組成物をスプレー等により使用直前に含浸させてなるもの、の何れでもよい。また、スプレーされた清掃用物品を用いて被清掃面を清掃してもよい。硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を含浸させた清掃用物品は、モップ状の掃除具に装着されて用いられてもよいし、直接手で持って拭き掃除に用いられてもよい。
【0053】
予め硬質表面用殺菌洗浄剤組成物が含浸されている場合、硬質表面用殺菌洗浄剤組成物の含浸率は清掃性の観点から、基体質量〔即ち、未含浸状態(乾燥状態)の基体の質量基準〕あたり、100質量%以上であることが好ましく、150質量%以上であることがより好ましく、そして、1000質量%以下であることが好ましく、400質量%以下であることがより好ましく、350質量%以下であることが更に好ましい。含浸率が100質量%以上であれば、シミ汚れや土ボコリに対する十分な清掃性能が得られる。1000質量%以下であれば、被清掃面への硬質表面用殺菌洗浄剤組成物の放出量が適正となり被清掃面に汚れや土ボコリが残留せず、また、木質系材料など種々の材料からなる清掃面に影響なく使用できる。清掃性の一層の向上の点から、基体がシートである場合、硬質表面用殺菌洗浄剤組成物の含浸前の坪量は、一定面積の殺菌洗浄に必要な硬質表面用殺菌洗浄剤組成物の保持性とシートの操作性やコストとの観点から、40g/m2以上であることが好ましく、50g/m2以上であることがより好ましく、そして、200g/m2以下であることが好ましく、150g/m2以下であることがより好ましい。
【0054】
硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を含浸させた清掃用物品使用時に、別途本発明の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を、被清掃物又は前記清掃用物品に、噴霧しながら使用してもよい。当該使用方法によって、より広い面積を清掃する。
【0055】
<本発明の態様>
以下に、本発明の態様を例示する。
<1> 下記成分(a)を0.5質量%以上、3質量%以下、成分(b)を0.5質量%以上、10質量%以下、成分(c)を1質量%以上、8質量%以下、及び成分(d)を含有し、
全界面活性剤中の成分(a)の比率が65質量%以上であり、
25℃でのpHが2以上、6以下である、
硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
成分(a):ベタイン型両性界面活性剤
成分(b):一般式(b1)で表される化合物
【0056】
【化4】
【0057】
(式中、nは1以上、8以下の整数を示す。)
成分(c):キレート剤
成分(d):水
【0058】
<2> 成分(a)が、下記一般式(a1)で表されるベタイン型両性界面活性剤及び下記一般式(a2)で表されるベタイン型両性界面活性剤から選ばれる1種以上である<1>記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0059】
【化5】
【0060】
(式中、R1は炭素数5以上、18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。R2及びR3はそれぞれ水酸基で置換されていてもよい炭素数1以上、5以下のアルキル基を示す。Xは水酸基で置換されていてもよい炭素数1以上、3以下の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。qは0又は1、rは0以上、4以下の整数を示す。)
【0061】
<3> 一般式(a1)又は(a2)中、R1が、好ましくは炭素数7以上、より好ましくは9以上、そして、好ましくは17以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは13以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である、より好ましくは直鎖アルキル基である<2>に記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0062】
<4> 一般式(a1)又は(a2)中、R2及びR3が、それぞれ、好ましくは炭素数が1以上、3以下のアルキル基である、より好ましくはメチル基である<2>又は<3>に記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0063】
<5> 一般式(a1)中、Xが、好ましくは水酸基で置換されていてもよい炭素数が1又は2のアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基である<2>〜<4>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0064】
<6> 一般式(a2)中、Xが、好ましくは水酸基で置換されていてもよい炭素数が2又は3のアルキレン基である、より好ましくはプロピレン基又はヒドロキシルプロピレン基である<2>〜<5>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0065】
<7> 一般式(a1)中、好ましくはqが1であり、好ましくはrが3である<2>〜<6>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0066】
<8> 一般式(a2)中、好ましくはqが0であり、好ましくはrが0である
<2>〜<7>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0067】
<9> 成分(a)を、0.5質量%以上、そして、3質量%以下、好ましくは2.8質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下含有する<1>〜<8>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0068】
<10> 全界面活性剤中の成分(a)の比率が65質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、より好ましくは100質量%である<1>〜<9>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0069】
<11> 成分(a)以外の界面活性剤として、好ましくはアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤から選択される1種以上を含有する、より好ましくはアニオン界面活性剤、及びカチオン界面活性剤から選択される1種以上を含有する、より好ましくはアニオン界面活性剤を含有する、<1>〜<10>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0070】
<12> 全界面活性剤中の成分(a)以外の界面活性剤の比率が35質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、より好ましくは0質量%である<1>〜<11>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0071】
<13> 成分(b)が、ベンジルアルコール、及びフェネチルアルコールから選ばれる化合物である、<1>〜<12>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0072】
<14> 成分(b)を、0.5質量%以上、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは1質量%以上、そして、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下含有する<1>〜<13>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0073】
<15> 成分(c)が、好ましくはクエン酸、リンゴ酸から選ばれるヒドロキシカルボン酸、ピロリン酸から選ばれる縮合リン酸、エチレンジアミン四酢酸から選ばれるアミノカルボン酸、及びそれらの塩、好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩又はアルカノールアミン塩から選ばれるキレート剤であり、より好ましくはクエン酸、リンゴ酸から選ばれるヒドロキシカルボン酸、及びその塩、好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩又はアルカノールアミン塩である<1>〜<14>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0074】
<16> 成分(c)を、1質量%以上、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上、そして、8質量%以下、好ましくは6質量%以下含有する<1>〜<15>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0075】
<17> 成分(d)を、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下含有する<1>〜<16>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0076】
<18> 下記成分(e)を0.01質量%以上、10質量%以下含有する、<1>〜<17>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
成分(e):一般式(e1)で表される化合物
RO−(C24−O)p−H (e1)
(式中、Rは、炭素数3以上、8以下の脂肪族炭化水素基又は炭素数3以上、8以下の環状炭化水素基であり、pは1以上、8以下の整数である。)
【0077】
<19> 成分(e)が、好ましくはエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノフェニルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる1種以上である、より好ましくはエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる1種以上である、更に好ましくはジエチレングリコールモノブチルエーテルである<18>記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0078】
<20> 成分(e)を、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下含有する<18>又は<19>に記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0079】
<21> 成分(b)と成分(e)とを合計で2.5質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上含有し、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下含有し、かつ、成分(b)と成分(e)の質量比(b)/(e)が、好ましくは25/500以上、より好ましくは50/500以上、より好ましくは100/500以上、そして、好ましくは500/1以下、より好ましくは500/5以下、より好ましくは500/50以下、より好ましくは500/100以下、より好ましくは500/300以下、より好ましくは500/500以下である、<18>〜<20>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0080】
<22> 25℃でのpHが2以上、好ましくは4以上であり、そして、6以下、好ましくは5.8以下、より好ましくは5.5以下である<1>〜<21>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0081】
<23> 浴室用である、<1>〜<22>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物。
【0082】
<24> <1>〜<23>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物で硬質表面を洗浄すること、洗浄後の硬質表面を水ですすぐこと、を行う、硬質表面の殺菌洗浄方法。
【0083】
<25> <1>〜<23>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を硬質表面に噴霧した後、該硬質表面を洗浄する、<22>に記載の硬質表面の殺菌洗浄方法。
【0084】
<26> <1>〜<23>の何れかに記載の硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を基体に担持させた清掃用物品により硬質表面を洗浄する、<22>に記載の硬質表面の殺菌洗浄方法。
【実施例】
【0085】
表1〜3に示す硬質表面用殺菌洗浄剤組成物を調製した。各組成物について、洗浄力、及び殺菌性を評価した。各評価方法を以下に示す。結果を表1〜3に示した。なお、組成物のpHは、塩酸又は水酸化ナトリウムで調整した。また、表中、(a)/[全界面活性剤]は、全界面活性剤中の成分(a)の比率である。
【0086】
<洗浄力評価法>
石鹸カスと皮脂が複合したモデル浴室汚れに対する洗浄力を評価した。モデル汚れの作成方法を以下に示す。固形石鹸(花王ホワイト)を90質量%、モデル皮脂汚れを10質量%、50〜60℃にて混合、保温した溶液をA溶液とする。なお、モデル皮脂汚れの組成は、リノール酸40質量%、オレイン酸20質量%、パルミチン酸20質量%、コレステロール10質量%及び流動パラフィン10質量%である。ドイツ硬度10゜dHの塩化カルシウム溶液を20〜30℃で保温した溶液をB溶液とする。ポリプロピレンプレート(50mm×100mm×2mm)にA溶液を出来るだけ薄く均一に塗布し、20〜30℃で5分間自然乾燥させてからB溶液を出来るだけ薄く均一に塗布し、20〜30℃で5分間自然乾燥させる。このA溶液塗布→自然乾燥→B溶液塗布→自然乾燥の操作を30〜50回繰り返し、モデル浴室汚れを作製した。
【0087】
モデル浴室汚れに、8mmφのペーパーディスクを置き、そこに組成物40μlを滴下して5分間放置した後、イオン交換水で充分にすすいだ。洗浄力を以下の基準で判定した。具体的方法としては、汚れ未塗布のプレート、汚れ塗布後の洗浄前プレート、洗浄後プレートを明るさ等の撮影条件が同一の状態で撮影し、得られた画像から各プレートのグレースケールを測定した。汚れ洗浄前プレートを洗浄率0%、汚れ未塗布プレートを100%とし、洗浄後プレートの洗浄率を算出した。グレースケールの測定には、画像処理ソフトのImageJ 1.47vを使用した。
1:洗浄率20%未満
2:洗浄率20%以上、40%未満
3:洗浄率40%以上、60%未満
4:洗浄率60%以上、80%未満
5:洗浄率80%以上
【0088】
<殺菌性評価方法>
大腸菌(菌株NBRC3972)及び黄色ぶどう球菌(菌株NBRC12732)を、それぞれ、ニュートリエント寒天培地(Difco社製のNutrient Agar試薬を能書どおりに調製)上で37℃/24時間培養を2回繰り返したものをかきとり、1/2ニュートリエント液体培地(Difco社製、Nuturient Broth試薬を能書の1/2濃度で調製したもの)に懸濁・分散させて、1/2ニュートリエント液体培地を用いて菌濃度を2.5〜13×108cfu/mLに調製して試験菌液とした。
【0089】
また、クラドスポリウム sp. PA‐4 が生育したポテトデキストロース平板寒天培地(Becton Dickinson社製のPotato Dextrose Agar試薬を能書どおりに調製)上に胞子回収液(株式会社大塚製薬工場製の生理食塩水で調整した和光純薬工業株式会社製の0.05% TWEEN80溶液)を2mL滴下して、コンラージ棒(日水製薬株式会社製)でなでるように軽くこすり、回収した液をミラクロス(CALBIOCHEM社製)を用いて濾過することで菌糸を除去して得られた液を10000rpm、5分間遠心処理して上清を除去した。これらの操作を5回繰り返し、最後に遠心処理した後に1mLの胞子回収液で調整した液(10倍濃縮)を試験胞子液とした。
【0090】
試験液1mLに対して108cfu/mLに調整した菌液もしくは胞子液10μLを混合して、25℃で5分間接触させた後に、その100μLを分取して900μLのLP希釈液(日水製薬社製のものを能書通りに調製したもの)に懸濁することで試験液を不活化した。これをさらにLP希釈液で希釈した後に、大腸菌および黄色ぶどう球菌はレシチン・ポリソルベート-80加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(和光純薬工業株式会社製のSoybean−Casein Digest Agar with Lecithin & Polysorbate 80 ‘’DAIGO‘’試薬を能書どおりに調製)寒天培地に塗布して一晩37℃で培養し、クラドスポリウムはポテトデキストロース平板寒天培地(Becton Dickinson社製のPotato Dextrose Agar試薬を能書どおりに調製)に塗布して4日間30℃で培養して得られたコロニー数から生残菌数を算出した。
【0091】
また、試験液の代わりに生理食塩水を用いて同じ操作(試験液1mLに対して菌液10μLを混合し、5分間接触させた後に、LP希釈液と混合)を行ったものを対照操作として、対照操作後の生残菌数と試験液接触後生残菌数の菌数の対数差を計算して除菌性能の指標とした。なお、表中、殺菌性の欄の「−」は、殺菌性の評価を行わなかったことを意味する。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
表中の成分は以下のものである。
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン:一般式(a1)中、R1が炭素数11の直鎖アルキル基、R2及びR3はそれぞれメチル基、Xは炭素数1のアルキレン基、qは1、rは3の化合物
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:アルキル基が炭素数10〜14の直鎖アルキル基の混合アルキル基である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム