特許第5752227号(P5752227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5752227-口腔内崩壊錠 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752227
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】口腔内崩壊錠
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/20 20060101AFI20150702BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150702BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20150702BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150702BHJP
   A61K 31/4422 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   A61K9/20
   A61K47/38
   A61K47/36
   A61K47/10
   A61K31/4422
【請求項の数】25
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-267885(P2013-267885)
(22)【出願日】2013年12月25日
(62)【分割の表示】特願2009-507445(P2009-507445)の分割
【原出願日】2008年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-55189(P2014-55189A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2014年1月22日
(31)【優先権主張番号】特願2007-63913(P2007-63913)
(32)【優先日】2007年3月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】大日本住友製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】松岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】西井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】川村 真紀
【審査官】 牧野 晃久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−179558(JP,A)
【文献】 国際公開第03/074085(WO,A1)
【文献】 特開2006−022039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00− 47/48
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)平均粒子径が30μmより大きく、かつ比表面積が0.40m2/gより大きいD−マンニトール、(2)活性成分、(3)1〜10重量%である崩壊剤としてのクロスポビドン及び/又はカルメロース、(4)滑沢剤としてのショ糖脂肪酸エステル、(5)結合剤、ならびに(6)デンプンを含有し、D−マンニトールの製剤中の含有量が50重量%以上であり、
ここにおいて、口腔内で30秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が2.5N/mm2以上である口腔内崩壊錠。
【請求項2】
崩壊剤がクロスポビドンである、請求項1記載の口腔内崩壊錠。
【請求項3】
滑沢剤の製剤中の含有量が0.01〜5重量%である、請求項1又は2記載の口腔内崩壊錠。
【請求項4】
D−マンニトールの平均粒子径が30μmより大きく500μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項5】
D−マンニトールの平均粒子径が30μmより大きく200μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項6】
D−マンニトールの平均粒子径が30μmより大きく150μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項7】
D−マンニトールがβ型結晶である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項8】
結合剤がヒドロキシプロピルセルロース及びα化デンプンからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項9】
ヒドロキシプロピルセルロースの2%水溶液の20℃における粘度が2〜10mPa・sである、請求項8記載の口腔内崩壊錠。
【請求項10】
結合剤が0.01〜2重量%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項11】
デンプンがトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン及び部分α化デンプンからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項12】
活性成分がアムロジピン又はその薬学上許容される塩である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項13】
活性成分がベシル酸アムロジピンである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項14】
活性成分が被覆剤で造粒又は被覆された粒子である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項15】
活性成分が被覆剤で造粒又は被覆されたアムロジピン又はその薬学上許容される塩である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項16】
活性成分が被覆剤で造粒又は被覆されたベシル酸アムロジピンである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項17】
(1)平均粒子径が30μmより大きく、かつ比表面積が0.40m2/gより大きいD−マンニトール、(2)0.1〜50重量%である活性成分、(3)1〜10重量%である崩壊剤としてのクロスポビドン及び/又はカルメロース、(4)2重量%以下であるヒドロキシプロピルセルロース及び/又はα化デンプン、(5)5〜20重量%であるデンプン、ならびに(6)0.1〜5重量%であるショ糖脂肪酸エステルを含有し、D−マンニトールの製剤中の含有量が50重量%以上であり、
ここにおいて、口腔内で30秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が2.5N/mm2以上である口腔内崩壊錠。
【請求項18】
口腔内で30秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が3.0N/mm2以上である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項19】
D−マンニトール、崩壊剤及びデンプンを混合して製造される顆粒、活性成分並びに滑沢剤を含有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項20】
活性成分、D−マンニトール、崩壊剤及びデンプンを混合して製造される顆粒並びに滑沢剤を含有する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項21】
少なくともD−マンニトール及び崩壊剤を含有する混合物を湿式造粒した顆粒を用いて製造されることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項22】
D−マンニトールとして直接圧縮用D−マンニトールを使用する場合は、製剤中の全てのD−マンニトールに対して、直接圧縮用D−マンニトールの割合が50重量%未満である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項23】
D−マンニトールとして直接圧縮用D−マンニトールを使用する場合は、製剤中の全てのD−マンニトールに対して、直接圧縮用D−マンニトールの割合が30重量%未満である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項24】
崩壊剤の製剤中の含有量が2〜10重量%である、請求項1〜23のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【請求項25】
崩壊剤の製剤中の含有量が2〜5重量%である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内で少量の水又は水なしでも速い崩壊性或いは溶解性を有する速崩壊性錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の経口用の医薬品剤形が知られているが、患者の飲み易さを考慮した剤形は少なく、なかでも薬剤の服用に困難が伴いやすい高齢者、小児及び重症患者に適した剤形が望まれている。例えば、錠剤やカプセル剤は、その定用量性又は物理化学的安定性、さらには製造コスト面から最も汎用されてきた剤形であるが、一方で飲み込みにくい、喉につかえる等の理由から服用を嫌がる患者も多い。散剤、顆粒剤では口腔内に残留し、嚥下しにくく、口中に不快感が残る。シロップ剤等の液剤は、高齢者や小児に適した剤形とされてきたが、計量による服用は、高齢者、小児及び重症患者には困難さを伴うし、正しい量の服用は期待できない。また、物理化学的な安定性にも問題を残していた。近年、錠剤やカプセル剤の有する定用量性や物理化学的安定性を保持し、かつシロップ剤のような飲み込み易さを併せ持つ剤形として、口腔内で速やかに崩壊する製剤に関する技術が多く開示されている(特許文献1、2、3、4参照)。
【0003】
しかし、上記技術は、比較的多量の水を使用するため薬物が不安定になりやすい、製剤が適度な強度を有しておらず流通過程において損傷する可能性がある、さらには、製造過程で打錠する際にスティッキングやキャッピング等の打錠障害を起こす等、取り扱いに困難さを有し、種々の問題点がある。
【0004】
前述の問題点を解決するために様々な添加物の組合わせ、製造方法が検討されてきたが、例えば、成型後の錠剤を加湿乾燥する方法や外部滑沢法等、製造方法が複雑で、特別な装置を必要とするものも多い。
【0005】
比較的汎用性のある技術として、特許文献5、特許文献6等が挙げられるが、いずれも口腔内での速やかな崩壊性を示し、適度な強度を持ちかつ特別な製造方法に依存しない口腔内崩壊錠の提供にはさらに検討を加える必要がある。
【0006】
特許文献7には、口腔内において速やかな崩壊性と良好な服用感を示し、かつ流通過程で崩れない適度な強度を有する錠剤が示されている。また、特許文献8には、直接圧縮可能生成物の形態で使用される可溶性希釈剤を用いた、口の中で迅速に分解(崩壊)する錠剤が示されている。
【0007】
一方、最近の医療現場では、口腔内崩壊錠といえども高い錠剤強度が求められ、PTP包装からの取出し時における錠剤の割れ、欠けといった損傷の防止のみならず、錠剤自動分包機による分包が可能であることさえ求められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−309821号公報
【特許文献2】特開平9−309822号公報
【特許文献3】WO93/12769号パンフレット
【特許文献4】特表平7−501829号公報
【特許文献5】特開平10−182436号公報
【特許文献6】特開平9−71523号公報
【特許文献7】WO00/47233号パンフレット
【特許文献8】特開平11−35450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、(1)特殊な製剤技術を必要とせず一般的な設備で容易に製造可能である、(2)流通過程で損傷しない適度な強度を有する、(3)口腔内において速やかな崩壊性を有する、(4)苦味やざらつき感等を大きく軽減した良好な服用感を併せ持つ等の優れた特性を有する口腔内崩壊錠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記特性を有する口腔内崩壊錠を調製するにあたり、添加物として(1)D−マンニトール、(2)クロスポビドン及び/又はカルメロース、ならびに(3)フマル酸ステアリルナトリウム及び/又はショ糖脂肪酸エステルを組み合わせることで、従来の圧縮成形機では調製が困難と考えられていた口腔内で1分以内、更に好ましくは30秒以内に崩壊し、かつ実用的な硬度を有する錠剤が得られることを見いだした。
【0011】
即ち、本発明は以下に挙げる錠剤に関する。
〔1〕 (1)平均粒子径が30μmより大きく、かつ比表面積が0.40m2/gより大きいD−マンニトール、(2)活性成分、(3)1〜10重量%である崩壊剤としてのクロスポビドン及び/又はカルメロース、(4)滑沢剤としてのショ糖脂肪酸エステル、(5)結合剤、ならびに(6)デンプンを含有し、D−マンニトールの製剤中の含有量が50重量%以上であり、
ここにおいて、口腔内で30秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が2.5N/mm2以上である口腔内崩壊錠。
〔2〕 崩壊剤がクロスポビドンである、前記〔1〕記載の口腔内崩壊錠。
〔3〕 滑沢剤の製剤中の含有量が0.01〜5重量%である、前記〔1〕又は〔2〕記載の口腔内崩壊錠。
〔4〕 D−マンニトールの平均粒子径が30μmより大きく500μm以下である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔5〕 D−マンニトールの平均粒子径が30μmより大きく200μm以下である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【0012】
〔6〕 D−マンニトールの平均粒子径が30μmより大きく150μm以下である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔7〕 D−マンニトールがβ型結晶である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔8〕 結合剤がヒドロキシプロピルセルロース及びα化デンプンからなる群より選ばれる1種以上である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔9〕 ヒドロキシプロピルセルロースの2%水溶液の20℃における粘度が2〜10mPa・sである、前記〔8〕記載の口腔内崩壊錠。
〔10〕 結合剤が0.01〜2重量%である、前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔11〕 デンプンがトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン及び部分α化デンプンからなる群より選ばれる1種以上である、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔12〕 活性成分がアムロジピン又はその薬学上許容される塩である、前記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【0013】
〔13〕 活性成分がベシル酸アムロジピンである、前記〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔14〕 活性成分が被覆剤で造粒又は被覆された粒子である、前記〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔15〕 活性成分が被覆剤で造粒又は被覆されたアムロジピン又はその薬学上許容される塩である、前記〔1〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔16〕 活性成分が被覆剤で造粒又は被覆されたベシル酸アムロジピンである、前記〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔17〕 (1)平均粒子径が30μmより大きく、かつ比表面積が0.40m2/gより大きいD−マンニトール、(2)0.1〜50重量%である活性成分、(3)1〜10重量%である崩壊剤としてのクロスポビドン及び/又はカルメロース、(4)2重量%以下であるヒドロキシプロピルセルロース及び/又はα化デンプン、(5)5〜20重量%であるデンプン、ならびに(6)0.1〜5重量%であるショ糖脂肪酸エステルを含有し、D−マンニトールの製剤中の含有量が50重量%以上であり、
ここにおいて、口腔内で30秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が2.5N/mm2以上である口腔内崩壊錠。
【0014】
〔18〕 口腔内で30秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が3.0N/mm2以上である、前記〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔19〕 D−マンニトール、崩壊剤及びデンプンを混合して製造される顆粒、活性成分並びに滑沢剤を含有する、前記〔1〕〜〔18〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔20〕 活性成分、D−マンニトール、崩壊剤及びデンプンを混合して製造される顆粒並びに滑沢剤を含有する、前記〔1〕〜〔19〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔21〕 少なくともD−マンニトール及び崩壊剤を含有する混合物を湿式造粒した顆粒を用いて製造されることを特徴とする、前記〔1〕〜〔20〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔22〕 D−マンニトールとして直接圧縮用D−マンニトールを使用する場合は、製剤中の全てのD−マンニトールに対して、直接圧縮用D−マンニトールの割合が50重量%未満である、前記〔1〕〜〔21〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔23〕 D−マンニトールとして直接圧縮用D−マンニトールを使用する場合は、製剤中の全てのD−マンニトールに対して、直接圧縮用D−マンニトールの割合が30重量%未満である、前記〔1〕〜〔22〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔24〕 崩壊剤の製剤中の含有量が2〜10重量%である、前記〔1〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔25〕 崩壊剤の製剤中の含有量が2〜5重量%である、前記〔1〕〜〔24〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【発明の効果】
【0015】
本発明の口腔内崩壊錠は、(1)D−マンニトール、(2)クロスポビドン及び/又はカルメロース、ならびに(3)フマル酸ステアリルナトリウム及び/又はショ糖脂肪酸エステルを含有することで、口腔内において速やかな崩壊性と良好な服用感を示し、かつ流通過程で崩れない適度な強度を有するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、製剤例1〜8の試験結果をプロットしたものである。グラフの横軸は絶対硬度を示し、縦軸は口腔内崩壊錠試験器による崩壊時間を示す。図1中、●は製剤例1、▲は製剤例2、○は製剤例3、△は製剤例4、□は製剤例5、◇は製剤例6、*は製剤例7、+は製剤例8を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明につき、さらに詳しく説明する。
本発明において「口腔内崩壊錠」とは、口腔内の唾液のみで60秒以内、好ましくは45秒以内、より好ましくは30秒以内に崩壊し、水を摂取することなく口腔内で崩壊させて服用が可能な錠剤を意味する。この口腔内で崩壊する時間は、口腔内崩壊錠試験器(富山産業株式会社、型式ODT−101)を用いることでも、再現よく測定が可能である。
【0018】
本発明において「絶対硬度」とは、錠剤硬度を破断面積で除した値を示す。また、実用的な硬度とは、錠剤をPTPから取り出す際に壊れない程度というだけではなく、製造中及び流通過程、更には調剤時の錠剤自動分包機も適用可能な強度を有することを指し、具体的には、絶対硬度として通常1.5N/mm以上、好ましくは2.0N/mm以上、より好ましくは2.5N/mm以上、更に好ましくは3.0N/mm以上の強度が挙げられる。なお、本発明において、錠剤硬度は、例えば、錠剤硬度計TH−203MP(富山産業社製)を用いて測定することができる。また、破断面積は、錠剤形状と錠剤厚みより算出可能である。
【0019】
「D−マンニトール」は、粒子径が小さすぎると圧縮成形性は向上するものの崩壊性が著しく低下する傾向があり、逆に粒子径が大きすぎると圧縮成形性が悪く、錠剤の強度が低くなる傾向にあり、かつ口腔内でざらつきを感じ、服用感が悪化することから、平均粒子径が10μmより大きく500μm以下であるD−マンニトールを用いることが好ましい。よって、本発明で用いる「D−マンニトール」は、平均粒子径が10μmより大きく500μm以下が好ましく、10μmより大きく200μm以下がより好ましく、30μmより大きく150μm以下が更に好ましい。なお、ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて乾式法によって測定された、体積基準によるメディアン径である。例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3000(島津製作所社製)を使用して測定することができる。
【0020】
本発明で用いる「D−マンニトール」は比表面積が0.20m/gより大きいものが好ましく、0.30m/gより大きいものがより好ましく、0.40m/gより大きく1.00m/gより小さいものが更に好ましく、0.40m/gより大きく0.80m/g以下のものがより更に好ましい。なお、本発明において、比表面積は、BET多点法にて測定された値であり、例えば、比表面積測定装置Tristar 3000(Micromeritics社製)を使用して測定することができる。
【0021】
従って、「D−マンニトール」の好適例としては、平均粒子径が30μmより大きく、かつ比表面積が0.40m/gより大きいものが挙げられる。
【0022】
また、D−マンニトールはα、β、δ型の結晶多形が存在することが知られており、本願においてはその結晶形は特に限定されないが、α及びδ型は、温度や湿度によって比較的容易に結晶形が変化することから、最も安定形であるβ型を用いることが好ましい。製剤中含量は特に限定されないが、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは65重量%以上であり、また、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。なお、D−マンニトールとして、直接圧縮用D−マンニトール(直打用D−マンニトールともいう)を使用することも可能であるが、その場合、良好な崩壊性を維持するためには、直接圧縮用D−マンニトールと粉末のD−マンニトールとを組み合わせて使用することが好ましい。製剤中の全てのD-マンニトールに対する直接圧縮用D−マンニトールの割合は、50重量%未満が好ましく、30重量%未満がより好ましく、10重量%未満が更に好ましく、実質的に含まないのがより更に好ましい。ここでいう、「直接圧縮用」とは、主に直打法による打錠に適した形態として加工されたものを指し、例えばスプレードライ法により作成される。
【0023】
「崩壊剤」としては、クロスポビドン及びカルメロースが挙げられるが、好ましくはクロスポビドンが挙げられる。製剤中含量は特に限定されないが、好ましくは1〜20重量%が挙げられ、より好ましくは1〜10重量%が挙げられ、更に好ましくは2〜10重量%が挙げられ、より更に好ましくは2〜5重量%が挙げられる。崩壊剤を1種以上使用する場合の崩壊剤全量の製剤中含量も前記と同量である。
【0024】
また、本発明の錠剤は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、上記以外の製剤分野において通常使用される崩壊剤を添加することもできる。崩壊剤として、例えば、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
【0025】
さらに、本発明の錠剤は、さらにデンプンを含有させることでより好ましい崩壊性が得られる。デンプンとしては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等の天然デンプン或いはデンプンの一部をα化した部分α化デンプンが挙げられる。ここで、部分α化デンプンとは、デンプンの一部をα化したものであり、冷水可溶分が0.5〜20重量%のものを言う。冷水可溶分の測定は、秤量したデンプンに室温(20℃)の精製水を秤量したデンプンの100重量倍の量を加え、1500rpmで2分攪拌し、得られた懸濁液を1500rpmで15分間遠心分離した上澄み液を乾燥した後、最初に秤量したデンプン総量で割った重量%分とする方法により行う。デンプンを前記の目的で使用する場合には、デンプンの粒子形状が実質的に維持されるように添加される。デンプンの製剤中含量は特に限定されないが、好ましくは1〜50重量%が挙げられ、より好ましくは5〜30重量%が挙げられ、更に好ましくは5〜20重量%が挙げられる。
【0026】
「滑沢剤」としては、打錠障害の抑制、なかでもダイフリクションの抑制の観点から、フマル酸ステアリルナトリウム及びショ糖脂肪酸エステルが挙げられ、好ましくはフマル酸ステアリルナトリウムが挙げられる。製剤中含量は特に限定されないが、通常0.01〜5重量%の範囲で用いられるが、好ましくは0.01〜4重量%の範囲が挙げられる。また、外部滑沢装置を用いる場合は、0.01〜0.5重量%の範囲が好ましく、また圧縮用組成物に混合する場合は、0.5〜4重量%の範囲が好ましい。また、フマル酸ステアリルナトリウムの場合は、1.5〜4重量%が好ましい。滑沢剤を1種以上使用する場合の滑沢剤全量の製剤中含量も前記と同量である。
【0027】
また、本発明の錠剤は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、上記以外の製剤分野において通常使用される滑沢剤を添加することもできる。滑沢剤として、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ、L−ロイシン、マクロゴールが挙げられる。
【0028】
本発明の錠剤は、必要に応じて「結合剤」を配合しても良い。好ましい結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース及びα化デンプンが挙げられる。
【0029】
本発明の錠剤の結合剤として用いるヒドロキシプロピルセルロースは、好ましくは、2%水溶液の20℃における粘度が2〜10mPa・sのもの、例えば、HPC−L(日本曹達社製、2%水溶液における粘度:6.0〜10.0mPa・s)が挙げられる。製剤中含量は特に限定されないが、好ましくは3重量%以下が挙げられる。より好ましくは2重量%以下が挙げられ、更に好ましくは0.01〜2重量%が挙げられ、より更に好ましくは0.1〜1重量%が挙げられる。
【0030】
α化デンプンを結合剤として用いる場合には、トウモロコシデンプンやバレイショデンプン等の天然デンプン又は部分α化デンプンを水に懸濁した後、加熱してα化するか、或いはアミコールC(日澱化学社製)等の商品名で知られる市販のα化デンプン又は部分α化デンプンを水に溶解して用いても良い。α化デンプンの製剤中含量は特に限定されないが、好ましくは3重量%以下が挙げられる。より好ましくは2重量%以下が挙げられ、更に好ましくは0.01〜2重量%が挙げられ、より更に好ましくは0.6〜1.5重量%が挙げられる。
【0031】
結合剤を1種以上使用する場合、結合剤全量の製剤中含量は、好ましくは3重量%以下であり、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは0.01〜2重量%である。
【0032】
本発明の錠剤は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、上記以外の製剤分野において通常使用される結合剤を添加することもできる。結合剤として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、寒天、ゼラチンが挙げられる。
【0033】
本発明の錠剤の「活性成分」は、通常の錠剤として製剤化できる薬物ならばいずれの薬物も使用することができる。本発明で用いられる薬物は、固形状、結晶状、油状、溶液状などのいずれでも良く、例えば、滋養強壮保健薬、解熱鎮痛消炎薬、向精神薬、抗不安薬、抗うつ薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、中枢神経作用薬、脳代謝改善剤、脳循環改善剤、抗てんかん剤、交感神経興奮剤、消化器用薬、胃腸薬、制酸剤、抗潰瘍剤、鎮咳去痰剤、鎮吐剤、呼吸促進剤、気管支拡張剤、アレルギー用薬、歯科口腔用薬、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮薬、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、高脂血症用剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、抗リウマチ薬、骨格筋弛緩薬、鎮けい剤、ホルモン剤、アルカロイド系麻薬、サルファ剤、痛風治療薬、血管凝固阻止剤、抗悪性腫瘍剤からなる群より選ばれた1種又は2種以上の成分が用いられる。
【0034】
活性成分の具体例としては、経口投与を目的とするものであれば特に限定されないが、例えば、利用価値の高い薬物として、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アセトアミノフェン、アスピリン、イソプロピルアンチピリン等の解熱消炎剤、塩酸ジフェニルピラリン、マレイン酸クロルフェニラミン、シメチジン、塩酸イソチペンジル等の抗ヒスタミン剤、塩酸フェニレフリン、塩酸プロカインアミド、硫酸キニジン、硝酸イソソルビド等の循環器用剤、ベシル酸アムロジピン、塩酸アロチノロール等の高血圧用剤、スルピリド、ジアゼパム、バルプロ酸、炭酸リチウム、クエン酸タンドスピロン等の精神安定剤、セファレキシン、アンピシリン等の抗生物質、インスリン、バソプレッシン、インターフェロン、インターロイキン2、ウロキナーゼ、もしくはヒト成長ホルモン等の種々の成長因子などのペプタイド又はタンパク、その他テオフィリン、カフェイン、クエン酸カルベタペンタン、塩酸フェニルプロパノールアミン、エチドロン酸二ナトリウム、塩酸セチリジン、ドロキシドパ等の薬物及びそれらの薬学上許容される塩(無機塩及び有機塩を含む)が挙げられる。
【0035】
また、これらの活性成分は、苦味マスキング、溶出制御、安定化等の目的で、その表面の一部又は全部を水不溶性高分子又は水溶性高分子等のコーティング剤で被覆された「被覆粒子」でも良い。
【0036】
本発明において「被覆粒子」とは、活性成分又は活性成分含有組成物の表面にコーティング剤を含有する溶液又は分散液あるいは溶融液を付着させ、表面の全部又は一部を覆うことにより得られる粒子である。
【0037】
コーティング剤としては、例えば、水溶性高分子、水不溶性高分子、胃溶性高分子、腸溶性高分子が挙げられる。水溶性高分子としては、特に限定されないが、例として、アラビアゴム末、ゼラチン、プルラン、デキストリン、カルボキシメチルスターチナトリウム、アルギン酸ナトリウムなどの天然高分子類や多糖類とそれらの誘導体、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの水溶性ビニル誘導体が挙げられる。水不溶性高分子としては、特に限定されないが、例として、エチルセルロース(なかでもエチルセルロース水分散液(例えば、商品名:アクアコート、FMC社製))、酢酸ビニルポリマー(例えば、商品名:コリコートSR30D、BASF社製)、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(なかでもその水分散液(Ammonio Methacrylate Copolymer Dispersion)(例えば、商品名:オイドラギットRL30D、オイドラギットRS30D、エボニック社製))、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(例えば、商品名:オイドラギットNE30D、エボニック社製)が挙げられる。胃溶性高分子としては、特に限定されないが、ポリビニルアセタール・ジエチルアミノアセテート(例えば、商品名:AEA、三菱化学フーズ社製)等のアミノアセタール類化合物、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(例えば、商品名:オイドラギットE、エボニック社製)、それらの混合物が挙げられる。腸溶性高分子としては、特に限定されないが、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(ヒプロメロースフタル酸エステル)、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート等の腸溶性セルロースエステル類、メタクリル酸コポリマーLD(例えば、商品名:オイドラギットL30D−55、エボニック社製、商品名:ポリキッドPA30、三洋化成社製、商品名:コリコートMAE30DP、BASF社製)メタクリル酸コポリマーL(例えば、商品名:オイドラギットL、エボニック社製)、メタクリル酸コポリマーS(例えば、商品名:オイドラギットS100、オイドラギットFS30D、エボニック社製)などの腸溶性アクリル酸系共重合体が挙げられる。
【0038】
被覆するための装置としては、一般的な流動層造粒機(転動流動層造粒機、ワースター型流動層造粒機等を含む)が挙げられるが、工程中の粒子の粗大化を抑えるために、側面からの強制循環装置を備えるワースター法を改良した流動層造粒機(例えばパウレック社製 SPCなど)や整粒解砕機構(スクリーン・インペラ方式やブレード・ステータ方式、クロススクリュー、ランプブレーカなど)付き複合型流動層造粒機(例えば、パウレック社製 微粒子コーティング・造粒装置SFP−01など)、回転流動層造粒機(例えば、奈良機械製作所製 オムニテックスなど)が好ましい。噴霧乾燥するための装置としては、一般的なスプレードライヤー(大川原製作所製、大川原化工機製、ヤマト社製、ニロ社製など)を用いることができる。
【0039】
活性成分の製剤中含量は、その性質により異なるが、通常錠剤中50重量%以下であり、好ましくは30重量%以下が挙げられ、より好ましくは10重量%以下が挙げられる。
【0040】
本発明の製剤においては、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、上記成分以外の製剤分野において通常使用される無毒性かつ不活性な添加剤を添加することもできる。
【0041】
使用する添加剤としては、医薬的に許容されるものであればよく、例えば、賦形剤、流動化剤、甘味剤、矯味剤、着香剤・香料、着色剤、安定化剤が挙げられる。賦形剤では、例えば、乳糖、白糖、ショ糖、果糖、フラクトオリゴ糖、ブドウ糖、マルトース、還元麦芽糖、粉糖、粉末飴、還元乳糖などの糖類、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコール類、カオリン、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、結晶セルロースが挙げられる。流動化剤では、例えば、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが挙げられる。甘味剤、矯味剤では、例えば、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、タウマチン、スクラロース、アセスルファムK等の高甘味度甘味料が挙げられる。なかでも、好ましい高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、タウマチン、及びスクラロースが挙げられる。着香剤、香料としては、例えば、ペパーミント、スペアミント、メントール、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、パイン、フルーツ、ヨーグルトが挙げられる。前述の甘味剤、矯味剤、着香剤、香料の配合によって、より好ましい服用感が得られる場合がある。これらの添加剤は、一種又は二種以上を組み合わせて適宜、適量添加することができる。
【0042】
本発明の錠剤の製造方法は特に限定されないが、たとえば以下の方法により製造することが出来る。D−マンニトール、崩壊剤、デンプンを混合し、水又は結合剤の水溶液で造粒し、乾燥後、活性成分及び滑沢剤を混合して、圧縮成型することで錠剤を得ることが出来る。活性成分はD−マンニトール等と一緒に混合・造粒しても良い。使用する各成分が凝集性であったり、結晶や造粒物が大きなものであったりする等、活性成分の含量均一性を阻害する可能性がある場合は、各成分を混合前又は混合後に粉砕等の手法を利用して、含量均一性を保証できる粒子径に整えることが望ましい。錠剤の成型方法については、特に限定されないが、商業的に製造する場合はロータリー式打錠機又は単発打錠機を用いた圧縮成型法が用いられる。
【0043】
なお、本発明の錠剤は、外部滑沢法を用いなくとも圧縮成型が可能であるが、勿論、外部滑沢法を用いても成型可能である。この場合には、滑沢剤を除く成分を混合した後、滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行うか、あるいは、滑沢剤の一部をあらかじめ混合した後、残りの滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行う。
【0044】
圧縮成型力は、錠剤に十分な強度を与える程度であれば特に限定されないが、1kN(約100kgf)以上の圧縮力が好ましい。本発明で得られる錠剤の形状は、特に限定されず、円形錠、円形R錠、円形隅角錠や各種異形錠等いずれの形状でもよく、また分割錠としても良い。
【実施例】
【0045】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳しく説明するが、本発明を限定するものではない。なお、物性値の測定には、特に断らない限り、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−3000(島津製作所社製)を用いて乾式法にて測定し、体積基準で計算されたメディアン径を平均粒子径とし、比表面積は、比表面積測定装置 Tristar 3000(Micromeritics社製)を用いて測定し、BET多点法にて算出された値を比表面積とした。
【0046】
実施例1
精製水2320gにヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、2%水溶液における粘度:6.0〜10.0mPa・s、日本曹達社製)80gを溶解し、結合液2400gを得た。
【0047】
流動層造粒機(マルチプレックスMP−01、パウレック社製)にベシル酸アムロジピン69.3g、D−マンニトール(β型結晶、平均粒子径:43μm、比表面積:0.51m/g)936.7g、トウモロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W、日本食品化工社製)100g、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)50gを仕込み、混合した後、上記結合液のうち240gをスプレーして造粒し、乾燥することで、約1000gの造粒顆粒を得た。
【0048】
この造粒顆粒116.4gに軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.2g及びフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)2.4gを加えて混合し、打錠用顆粒とした。
【0049】
得られた打錠用顆粒を単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、約7kNの圧縮力で打錠し、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0050】
実施例2(ベシル酸アムロジピン被覆粒子の製造)
精製水667.8gに、ポリソルベート80(ポリソルベート80(HX)、日本油脂社製)37.35gを溶解し、続いてタルク(タルカンハヤシ、林化成社製)88.12g、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol、FMC社製)63.01gを混合し、予めメタクリル酸コポリマーLD(ポリキッドPA−30S、三洋化成社製)840gに1N水酸化ナトリウム水溶液83.99gを加えて調製した混液を混和し、コーティング液とした。
【0051】
ベシル酸アムロジピン400gと軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.6gをポリエチレン袋内で十分に混合し、強制循環装置付ワースター型流動層造粒機(改良ワースター型流動層造粒機MP−01 SPC、パウレック社製)に入れ、上記のコーティング液を噴霧した。噴霧量が1595gの時点で流動層内で乾燥/成膜工程を行った。このベシル酸アムロジピン被覆粒子の平均粒子径は88μmであった。
【0052】
実施例3(無水カフェイン被覆粒子)
精製水188.5gに、ポリソルベート80(ポリソルベート80(HX)、日本油脂社製)31.5gを溶解し、続いてメタクリル酸コポリマーLD(ポリキッドPA−30S、三洋化成社製)700gを加えて混和し、コーティング液とした。
【0053】
無水カフェイン346.6gと軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)3.5gをポリエチレン袋内で十分に混合し、強制循環装置付ワースター型流動層造粒機(改良ワースター型流動層造粒機MP−01 SPC、パウレック社製)に入れ、上記のコーティング液を噴霧した。噴霧量が751.3gの時点で流動層内で乾燥/成膜工程を行った。この無水カフェイン被覆粒子の平均粒子径は127μmであった。
【0054】
実施例4
精製水2320gにヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達社製)80gを溶解し、結合液2400gを得た。
【0055】
流動層造粒機(マルチプレックスMP−01、パウレック社製)にD−マンニトール(β型結晶、平均粒子径:43μm、比表面積:0.51m/g)864.25g、トウモロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W、日本食品化工社製)100g、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)50gを仕込み、混合した後、上記結合液のうち240gをスプレーして造粒し、乾燥することで、約1000gの造粒顆粒を得た。
【0056】
この造粒顆粒102.23gに実施例2で製造したベシル酸アムロジピン被覆粒子14.18g、軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.2g及びフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)2.4gを加えて混合し、打錠用顆粒とした。
【0057】
得られた打錠用顆粒を単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、約7kNの圧縮力で打錠し、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0058】
比較例1、2
平均粒子径:43μm、比表面積:0.51m/gのD−マンニトールに代えて、表1に示すD−マンニトール(β型結晶)を用いる以外は、実施例4と同じ方法により、直径7mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例5、比較例3〜6
フマル酸ステアリルナトリウム2.4gを表2に示す滑沢剤とその仕込み量に代える以外は、実施例4と同じ方法により錠剤を得た。
【0061】
【表2】
【0062】
実施例6
クロスポビドン50gをカルメロース(NS−300、五徳薬品社製)50gに代える以外は、実施例4と同じ方法により、直径7mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0063】
実施例7
使用する結合液を、α化デンプン(アミコールC、日澱化学社製)8g及び精製水232gからなる液240gに代える以外は、実施例4と同じ方法により、直径7mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0064】
実施例8
ベシル酸アムロジピン被覆粒子14.18gを実施例3に記載の無水カフェイン被覆粒子15.79gに代える以外は、実施例4と同じ方法により、直径7mm、重量121.6mgの錠剤を得た。
【0065】
試験例1
実施例1、4〜8及び比較例1〜6について、打錠時の打錠障害の有無について三段階(○:良好、△:軽微な障害あり、×:障害あり)で評価を行った。結果を表3に示す。なお、障害が発生した場合は、障害の種類を括弧内に記した。
【0066】
【表3】
【0067】
試験例2
実施例1、4〜8及び比較例1、2、4により製造された錠剤について、口腔内崩壊錠試験器(富山産業株式会社、型式ODT−101)を用いて、試験液:水(37±1℃)、錘質量:10g、回転数:25r/minの条件にて崩壊時間を測定した。また、錠剤破壊強度測定器(富山産業株式会社、TH−203MP)を用いて硬度を測定した。得られた硬度を錠剤の破断面の面積で除した値を絶対硬度として表した。さらに、錠剤を口中に含み完全に崩壊させた際の服用感を三段階(○:良好、△:普通、×:不良)で判定し、△と×の判定については、その詳細な服用感を括弧内に記した。結果を表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
表4に示すように、実施例1及び4〜7の錠剤はいずれも良好な硬度(2.5N/mm以上)及び崩壊時間(30秒以下)を示し、また服用感も良好なものであった。一方、比較例1の錠剤では硬度は良好なものの、崩壊時間が遅かった。また、比較例2の錠剤は、崩壊時間は良好であったが、硬度は低く、さらに服用時にざらつきを感じた。比較例4の錠剤は、硬度は良好であったが、崩壊時間が遅かった。
【0070】
実施例2−1(製剤例1)
精製水2320gにヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達社製)80gを溶解し、結合液2400gを得た。
【0071】
流動層造粒機(マルチプレックスMP−01、パウレック社製)にベシル酸アムロジピン69.3g、D−マンニトール(β型結晶、平均粒子径:43μm、比表面積:0.51m/g)936.7g、トウモロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W、日本食品化工社製)100g、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)50gを仕込み、混合した後、上記結合液のうち240gをスプレーして造粒し、乾燥することで造粒顆粒を得た。
【0072】
この造粒顆粒116.4gに軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.2g及びフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)2.4gを加えて混合し、打錠用顆粒とした。
【0073】
得られた打錠用顆粒を単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、7kN、9kN、11kNのそれぞれの圧縮力で打錠し、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。なお、7kNの圧縮力で打錠して得られた錠剤は、実施例1と同等の錠剤である。
【0074】
実施例2−2及び比較例2−1〜6(製剤例2〜8)
クロスポビドン50gを表5に示す崩壊剤に代える以外は、製剤例1と同様の方法により、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0075】
【表5】
【0076】
実施例2−3(製剤例9)
トウモロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W、日本食品化工社製)100gを、同量のD−マンニトール(β型結晶、平均粒子径:43μm、比表面積:0.51m/g)に代え、6kN、9kNの圧縮力で打錠する以外は、製剤例1と同様の方法により、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0077】
比較例2−7(製剤例10)
D−マンニトール936.7gを同量の乳糖(Pharmatose 200M)に代え、7kN、9kNの圧縮力で打錠する以外は、製剤例1と同じ方法により、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0078】
試験例3
製剤例1〜10の製剤について、試験例2と同様にして、硬度を測定し、絶対硬度を算出した。また、崩壊時間についても試験例2と同様にして測定した。結果を表6、表7及び図1に示す。
【0079】
【表6】
【0080】
【表7】
【0081】
表6、7の結果より、7、9、11kNの圧縮力で成型した製剤例1の各製剤、9、11kNの圧縮力で成型した製剤例2の各製剤、及び6kNの圧縮力で成型した製剤例9の製剤は、絶対硬度2.5N/mm以上という強度を有し、同時に崩壊時間30秒以内という良好な崩壊性を有していた。なかでも、9、11kNの圧縮力で成型した製剤例1の各製剤、11kNで成型した製剤例2の製剤は、崩壊時間30秒以内という良好な崩壊性でありながら、絶対硬度3.0N/mm以上という驚くべき強度を有していた。
【0082】
これに対して、クロスポビドン及びカルメロース以外の崩壊剤を使用した製剤例3〜8の各製剤、及びD−マンニトールの代わりに乳糖を使用した製剤例10の製剤は、絶対硬度2.5N/mm以上かつ崩壊時間が30秒以内となる良好な特性を示す製剤ではなかった。
【0083】
図1は、グラフの横軸を絶対硬度、縦軸を口腔内崩壊錠試験器による崩壊時間とし、製剤例1〜8の試験結果をプロットしたものである。製剤例3〜8の製剤では、硬度の上昇に伴って崩壊時間の延長がみられたのに対し、崩壊剤にクロスポビドンを使用した製剤例1及びカルメロースを使用した製剤例2では、錠剤硬度の上昇に伴う崩壊時間の遅延がみられなかった。予期しないこの現象により、崩壊剤にクロスポビドン又はカルメロースを用いた製剤が、高い錠剤強度と良好な崩壊性を併せ持つことができるものと考えられた。
【0084】
実施例3−1(製剤例11)
精製水2320gにヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達社製)80gを溶解し、結合液2400gを得た。
【0085】
流動層造粒機(マルチプレックスMP−01、パウレック社製)にD−マンニトール(β型結晶、平均粒子径:43μm、比表面積:0.51m/g)864.25g、トウモロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W、日本食品化工社製)100g、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)50gを仕込み、混合した後、上記結合液のうち240gをスプレーして造粒し、乾燥することで、約1000gの造粒顆粒を得た。
【0086】
この造粒顆粒102.23gに実施例2で製造したベシル酸アムロジピン被覆粒子14.18g、軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.2g及びフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)2.4gを加えて混合し、打錠用顆粒とした。
【0087】
得られた打錠用顆粒を単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、7kN、9kNのそれぞれの圧縮力で打錠し、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0088】
実施例3−2及び比較例3−1〜6(製剤例12〜18)
クロスポビドン50gを表8に示す崩壊剤に代え、表9に示す圧縮力で打錠する以外は、製剤例11と同様の方法により、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0089】
【表8】
【0090】
実施例3−3(製剤例19)
ベシル酸アムロジピン被覆粒子14.18gを実施例3に記載の無水カフェイン被覆粒子15.79gに代える以外は、製剤例11と同じ方法により、直径7mm、重量121.6mgの錠剤を得た。
【0091】
実施例3−4(製剤例20)
精製水700gにクエン酸トリエチル(シトロフレックス2)48gを十分に分散させ、その溶液にエチルセルロース水分散液(アクアコート、FMC社製)1400gを混合し、さらにタルク(タルカンハヤシ、林化成社製)63gを加えてコーティング液とした。
【0092】
ベシル酸アムロジピン400gと、軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.6gをポリエチレン袋内で十分に混合し、強制循環装置付ワースター型流動層造粒機(改良ワースター型流動層造粒機MP−01 SPC、パウレック社製)に入れ、上記のコーティング液を噴霧した。噴霧量が907gの時点で流動層内で乾燥/成膜工程を行い、ベシル酸アムロジピン・エチルセルロース被覆粒子とした。
【0093】
ベシル酸アムロジピン被覆粒子14.18gを、ベシル酸アムロジピン・エチルセルロース被覆顆粒11.69gに代え、表9に示す圧縮力で打錠する以外は、製剤例11と同様の方法により、直径7mm、曲率半径10mm、重量117.5mgの錠剤を得た。
【0094】
試験例4
製剤例11〜20の製剤について、試験例2と同様にして、硬度を測定し、絶対硬度を算出した。また、崩壊時間についても試験例2と同様にして測定した。結果を表9に示す。
【0095】
【表9】
【0096】
表9の結果より、7kNの圧縮力で成型した製剤例11、12、19、20の製剤は、絶対硬度2.5N/mm以上という強度を有し、同時に崩壊時間30秒以内という良好な崩壊性を有していた。また、9kNの圧縮力で成型した製剤例11、12、19の製剤、11kNで成型した製剤例20の製剤は、崩壊時間30秒以内という良好な崩壊性でありながら、絶対硬度3.0N/mm以上という驚くべき強度を有していた。
【0097】
これに対して、クロスポビドン及びカルメロース以外の崩壊剤を使用した製剤例13〜18の各製剤は、絶対硬度2.5N/mm以上かつ崩壊時間が30秒以内となる良好な特性を示す製剤ではなかった。
【0098】
比較例4−1(製剤例21)
精製水623.7gにトウモロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W、日本食品化工社製)6.3gを分散し、加温して糊化することで結合液630gを得た。
【0099】
流動層造粒機(マルチプレックスMP−01、パウレック社製)にD−マンニトール(β型結晶、平均粒子径:46μm、比表面積:0.46m/g)869.4g、トウモロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W、日本食品化工社製)90g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC LH−22、信越化学社製)32.4gを仕込み、混合した後、上記結合液630gをスプレーして造粒し、乾燥することで、造粒顆粒を得た。
【0100】
この造粒顆粒99.81gに、実施例2で製造したベシル酸アムロジピン被覆粒子14.18g、軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.2g及びフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)2.4gを加えて混合し、打錠用顆粒とした。
【0101】
得られた打錠用顆粒を単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、6kN、7kNのそれぞれの圧縮力で打錠し、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0102】
試験例5
製剤例21の製剤について、試験例2と同様にして、硬度を測定し、絶対硬度を算出した。また、崩壊時間についても試験例2と同様にして測定した。結果を表10に示す。
【0103】
【表10】
【0104】
表10の結果より、製剤例21の製剤は、6、7kNのいずれの圧縮力で成型した場合でも、絶対硬度2.5N/mm以上ではあったが、崩壊時間は30秒を超えた。
【0105】
実施例5−1(製剤例22)
精製水2320gにヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達社製)80gを溶解し、結合液2400gを得た。
【0106】
流動層造粒機(マルチプレックスMP−01、パウレック社製)にD−マンニトール(β型結晶、平均粒子径:46μm、比表面積:0.46m/g)906g、トウモロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W、日本食品化工社製)100g、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)50gを仕込み、混合した後、上記結合液のうち240gをスプレーして造粒し、乾燥することで、造粒顆粒を得た。
【0107】
この造粒顆粒106.4gにベシル酸アムロジピン(平均粒子径20μm)10g、軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.2g及びフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)3.6gを加えて混合し、打錠用顆粒とした。
【0108】
得られた打錠用顆粒を単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、9kNの圧縮力で打錠し、直径7mm、曲率半径10mm、重量121.2mgの錠剤を得た。
【0109】
実施例5−2〜5(製剤例23〜26)
ベシル酸アムロジピン10gを表11に示す活性成分に代え、表11に示す圧縮力で打錠する以外は、製剤例22と同様の方法により、直径7mm、曲率半径10mm、重量121.2mgの錠剤を得た。
【0110】
【表11】
【0111】
実施例6−1(製剤例27)
精製水2320gにヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達社製)80gを溶解し、結合液2400gを得た。
【0112】
万能混合撹拌機(5DMr、三栄製作所製)にベシル酸アムロジピン34.65g、D−マンニトール(β型結晶、平均粒子径:46μm、比表面積:0.46m/g)468.35g、トウモロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W、日本食品化工社製)5g、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)25gを仕込み、混合した後、上記結合液のうち120gを添加し、さらに精製水20gを添加して練合した。練合物を60℃の通風乾燥機にて一晩棚乾燥し、整粒することにより造粒顆粒を得た。
【0113】
この造粒顆粒116.4gに軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.2g及びフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)2.4gを加えて混合し、打錠用顆粒とした。
【0114】
得られた打錠用顆粒を単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、9kNの圧縮力で打錠し、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0115】
実施例6−2(製剤例28)
万能混合撹拌機(5DMr、三栄製作所製)にD−マンニトール(β型結晶、平均粒子径:46μm、比表面積:0.46m2/g)432.1g、トウモロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W、日本食品化工社製)50g、クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10、ISP社製)25gを仕込み、混合した後、製剤例27に記載の結合液120gを添加し、さらに精製水20gを添加して練合した。練合物を60℃の通風乾燥機にて一晩棚乾燥し、整粒することにより、造粒顆粒を得た。
【0116】
この造粒顆粒102.2gに、実施例2のベシル酸アムロジピン被覆粒子14.18g、軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル社製)1.2g及びフマル酸ステアリルナトリウム(PRUV、JRS PHARMA社製)2.4gを加えて混合し、打錠用顆粒とした。
【0117】
得られた打錠用顆粒を単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、9kNの圧縮力で打錠し、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0118】
実施例6−3(製剤例29)
クロスポビドン25gをカルメロース25gに代える以外は、製剤例28と同様の方法により、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0119】
実施例6−4(製剤例30)
実施例5における打錠用顆粒を、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、9kNの圧縮力で打錠し、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0120】
実施例6−5(製剤例31)
実施例7における打錠用顆粒を、単発打錠機(EK0、KORSCH社製)を用いて、9kNの圧縮力で打錠し、直径7mm、曲率半径10mm、重量120mgの錠剤を得た。
【0121】
試験例6
製剤例22〜31の製剤について、試験例2と同様にして、硬度を測定し、絶対硬度を算出した。また、崩壊時間についても試験例2と同様にして測定した。結果を表12に示す。
【0122】
【表12】
【0123】
表12の結果より、製剤例22〜31の製剤はいずれも、絶対硬度3.0N/mm以上かつ崩壊時間が30秒以内となる良好な特性を示す製剤であった。
【0124】
なお、本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
〔1〕 (1)D−マンニトール、(2)活性成分、(3)クロスポビドン及びカルメロースからなる群より選ばれる1種以上の崩壊剤、ならびに(4)フマル酸ステアリルナトリウム及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上の滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠。
〔2〕 崩壊剤がクロスポビドンである、前記〔1〕記載の口腔内崩壊錠。
〔3〕 滑沢剤がフマル酸ステアリルナトリウムである、前記〔1〕又は〔2〕記載の口腔内崩壊錠。
〔4〕 崩壊剤が1〜10重量%である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔5〕 滑沢剤が0.01〜5重量%である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【0125】
〔6〕 D−マンニトールの平均粒子径が10μmより大きく500μm以下である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔7〕 D−マンニトールの平均粒子径が10μmより大きく200μm以下である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔8〕 D−マンニトールの平均粒子径が30μmより大きく150μm以下である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔9〕 D−マンニトールの平均粒子径が30μmより大きく、かつ比表面積が0.40m/gより大きい、前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔10〕 D−マンニトールがβ型結晶である、前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【0126】
〔11〕 更に結合剤を含有する、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔12〕 結合剤がヒドロキシプロピルセルロース及びα化デンプンからなる群より選ばれる1種以上である、前記〔11〕記載の口腔内崩壊錠。
〔13〕 ヒドロキシプロピルセルロースの2%水溶液の20℃における粘度が2〜10mPa・sである、前記〔12〕記載の口腔内崩壊錠。
〔14〕 結合剤が0.01〜2重量%である、前記〔11〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【0127】
〔15〕 更にデンプンを含有する、前記〔1〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔16〕 デンプンがトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン及び部分α化デンプンからなる群より選ばれる1種以上である、前記〔15〕記載の口腔内崩壊錠。
〔17〕 活性成分がアムロジピン又はその薬学上許容される塩である、前記〔1〕〜〔16〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔18〕 活性成分がベシル酸アムロジピンである、前記〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔19〕 活性成分が被覆剤で造粒又は被覆された粒子である、前記〔1〕〜〔18〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔20〕 活性成分が被覆剤で造粒又は被覆されたアムロジピン又はその薬学上許容される塩である、前記〔1〕〜〔19〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【0128】
〔21〕 活性成分が被覆剤で造粒又は被覆されたベシル酸アムロジピンである、前記〔1〕〜〔20〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
〔22〕 (1)平均粒子径が30μmより大きく、かつ比表面積が0.40m2/gより大きいD−マンニトール、(2)0.1〜50重量%である活性成分、(3)1〜10重量%であるクロスポビドン及び/又はカルメロース、(4)2重量%以下であるヒドロキシプロルセルロース及び/又はα化デンプン、(5)5〜20重量%であるデンプン、ならびに(6)0.1〜5重量%であるフマル酸ステアリルナトリウムを含有する口腔内崩壊錠。
〔23〕 口腔内で30秒以内に崩壊し、かつ絶対硬度が2.5N/mm2以上である、前記〔1〕〜〔22〕のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の口腔内崩壊錠は、(1)特殊な製剤技術を必要とせず一般的な設備で容易に製造可能である、(2)流通過程で崩れない適度な強度を有する、(3)口腔内において速やかな崩壊性を有する、(4)苦味やざらつき感等を大きく軽減した良好な服用感を併せ持つ等の優れた特性を有することから、例えば、高齢者、小児及び重症患者に適した剤形として好適に用いることができる。
図1