(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752277
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
B61D 15/06 20060101AFI20150702BHJP
B61G 11/16 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
B61D15/06
B61G11/16
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-555074(P2013-555074)
(86)(22)【出願日】2012年1月27日
(86)【国際出願番号】JP2012051764
(87)【国際公開番号】WO2013111315
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】大橋 健悟
(72)【発明者】
【氏名】林 健太郎
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−125858(JP,A)
【文献】
特開2002−225704(JP,A)
【文献】
特表2000−506473(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0261591(US,A1)
【文献】
特開2003−95097(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第0329551(EP,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第0612647(EP,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第0802100(EP,A1)
【文献】
特開2011−235730(JP,A)
【文献】
特開2011−235733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 15/06
B61G 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
先頭構体、妻構体、台枠、側構体及び屋根構体を接合するとともに、前記先頭構体を流線形状を有する外板で覆った鉄道車両において、前記先頭構体の下部に接合される前記台枠の端梁における左右両端より内側に左右一対の柱部材を立設し、該一対の柱部材の間の前記端梁の前部に前方が開口した凹部を形成するとともに、該凹部の底面と前記外板の内面との間に衝撃吸収部材を配置し、前記凹部は前記衝撃吸収部材が圧縮変形後に収まる大きさを有している鉄道車両。
【請求項3】
前記台枠の中梁における端梁側先端部の両側面と前記両柱部材の各下端部との間に下部補強部材をそれぞれ設けた請求項2記載の鉄道車両。
【請求項4】
前記台枠の中梁における端梁側先端部の上面に後端部が中梁の幅寸法に対応し、前端部が前記両柱部材にそれぞれ向かって拡開する台形状の上部補強部材を設けた請求項2乃至3のいずれか1項記載の鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関し、詳しくは、流線形の先頭形状を有する鉄道車両における衝撃吸収構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の車体は、台枠の四辺部分に側構体及び妻構体をそれぞれ接合し、側構体及び妻構体の上部に屋根構体を接合するとともに、各構体に外板や床板、内装材、扉や窓などを装着して形成されている。従来の鉄道車両では、衝突対策として妻構体や台枠部分を補強したり、衝撃吸収部材を設けたりすることによって客室を保護することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。また、出入台を有する鉄道車両では、出入台部分を破壊域(クラッシャブルゾーン、衝撃吸収部)とすることが通常採用されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−48016号公報
【特許文献2】特開2001−26268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
妻構体においても、一般的な平面状の妻構体の場合は、柱を太くしたり、補強部材を設けたりすることによって強度を向上させているが、一方の妻構体が流線形に形成された鉄道車両における先頭構体では、運転台を設けることから、柱を太くしたり、補強部材を設けたりすることができず、また、運転台の後位に客室が続いていて間に出入台がない場合は、衝撃吸収部材を備えたクラッシャブルゾーンを設けることが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、流線形に形成された先頭構体に大きな外力が加わっても運転台や客室を保護することができる衝撃吸収構造を備えた鉄道車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の鉄道車両は、先頭構体、妻構体、台枠、側構体及び屋根構体を接合するとともに、前記先頭構体を流線形状を有する外板で覆った鉄道車両において、前記先頭構体の下部に接合される前記台枠の端梁における左右両端より内側に左右一対の柱部材を立設し、該一対の柱部材の間の前記端梁の前部に前方が開口した凹部を形成するとともに、該凹部の底面と前記外板の内面との間に衝撃吸収部材を配置したことを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明の鉄道車両は、前記凹部は、前記衝撃吸収部材が圧縮変形後に収まる大きさを有していること、前記台枠の中梁における端梁側先端部の両側面と前記両柱部材の各下端部との間に下部補強部材をそれぞれ設けたこと、また、前記台枠の中梁における端梁側先端部の上面に後端部が中梁の幅寸法に対応し、前端部が前記両柱部材にそれぞれ向かって拡開する台形状の上部補強部材を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の鉄道車両によれば、車体前面に加わる外力を、端梁の前部に形成した凹部と外板の内面との間に配置した衝撃吸収部材によって外力を吸収することができ、外力が直接的に端梁に加わることを抑えて端梁より後位に位置する運転台や客室を保護することができる。また、衝撃吸収部材を外板の内側に配置しているので、車体外部に露出することがなく、車体のデザインを損なうことがない。さらに、外力によって圧縮変形した衝撃吸収部材を凹部内に収めることにより、端梁の一部に外力が集中することがなくなり、衝撃吸収部材が圧縮変形した後の外力を端梁全体で受けることができる。また、下部補強部材や上部補強部材を設けることにより、端梁の変形を抑えて衝撃吸収部材を確実に圧縮変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の鉄道車両の一形態例を示す台枠の平面図である。
【
図6】台枠と先頭構体との接合部分を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本形態例に示す鉄道車両は、車体の前端に流線形状を有する先頭車両10である。先頭車両10を形成する車両構体11は、台枠20と、該台枠20の両側に設けられる左右一対の側構体30と、前記台枠20及び側構体30の両端にそれぞれ設けられる先頭構体40及び妻構体50と、側構体30、先頭構体40及び妻構体50の上部を覆うように設けられる屋根構体60とを備えており、先頭構体40は、上半部が後方に傾斜するとともに、両側部が後方に傾斜した流線形に形成されている。
【0011】
前記台枠20は、レール方向(車体前後方向)に配置された左右一対の側梁21と、前後両端部近傍の枕木方向(車体幅方向)に配置された前後一対の枕梁22と、台枠20の中央部に側梁21と平行に設けられた中梁23と、側梁21と中梁23とを枕木方向に連結する複数の横梁24と、枕梁22の車体両端側の中梁23の先端にそれぞれ設けられた端梁26とを備えており、先頭構体40側に配置される端梁26の前部には、衝撃吸収部材71を取り付けるための前方が開口した衝撃吸収部材取付凹部72が形成されている。
【0012】
前記側構体30は、鉛直方向の複数の側柱31と、車体前後方向の複数の骨部材32と、乗降口用開口部を形成する扉枠部33と、側窓用開口部を形成する窓枠部34とを備えている。側柱31の下端部は、接合部材35を介して前記側梁21の下端から側方に突出した下部突出片21aの上で、側梁21の外面に接合されている。
【0013】
前記先頭構体40は、車体幅方向中央部に運転台が設けられるものであって、該先頭構体40の後部側上端部と側構体30の先端側上端部との接合部には、枕木方向の上部補強梁41が設けられている。先頭構体40の前端部には、前記端梁26の幅方向両端部と前記上部補強梁41の幅方向両端部とにわたって左右一対の隅柱42が設けられ、両隅柱42の内側で、運転台の両側に位置する部分には、前記端梁26と前記上部補強梁41とにわたって左右一対の妻柱43が設けられている。一方、後部連結側の前記妻構体50は平板状に形成されており、幅方向中央部には貫通口用開口部が設けられている。
【0014】
前記屋根構体60は、レール方向に配置される長桁61と、該長桁61に直交して接合される枕木方向の複数の垂木62と、垂木62の外面側に接合される屋根板63とで形成されており、長桁61が前記側構体30の上端部に接合され、前後両端の垂木62が先頭構体40の上端部、妻構体50の上端部にそれぞれ接合される。また、屋根構体60の前端と前記妻柱43の上部との間は、連結部材64で連結される。
【0015】
図3に示すように、各構体の外部側には、各構体に対応した形状の外板12がそれぞれ取り付けられるとともに、各構体の内外には、各種機器や座席などを含めた艤装、内装が施される。また、扉枠部33には乗降扉13が設けられ、窓枠部34には側窓14が設けられる。先頭構体40の前面上下方向中間部には前面窓15が設けられ、先頭構体40の側面には乗務員用窓16が設けられる。妻構体50の貫通口用開口部の周囲には、連結幌17が設けられる。さらに、車体両端下部には、連結器18がそれぞれ設けられ、前面下部にはアンチクライマ19が設けられている。このように外板12などの所要部品を車両構体11の内外にそれぞれ装着することにより、幅方向中央に運転台を有する先頭部が丸みを帯びた流線形の先頭車両10が形成される。
【0016】
台枠20の先頭構体側端部(前端部)に設けられる端梁26は、枕木方向に連続する車体幅に対応した主端梁26aと、該主端梁26aの前面両側部分に、前記衝撃吸収部材取付凹部72を形成するようにして設けられる補強端梁26b,26bとを有している。両補強端梁26b,26bの間の主端梁26aの前面に形成された前記衝撃吸収部材取付凹部72には、衝突時の外力により変形して衝突エネルギーを吸収する前記衝撃吸収部材71が前端部を端梁26から突出させた状態で取り付けられる。
【0017】
衝撃吸収部材71は、十分な衝撃吸収能力を有していれば各種構造のものを用いることが可能であり、例えば、特開2010−125858号公報に記載された複数の角パイプを組み合わせたものなどを用いることができる。衝撃吸収部材71の前後方向の長さは、前方の突出端が外板12の内面より後部側に収まる長さであればよく、衝撃吸収部材71の太さは、衝撃吸収部材取付凹部72の大きさに応じて設定することが可能であり、衝突時に圧縮変形した衝撃吸収部材71の前後方向長さが前記衝撃吸収部材取付凹部72内に収まる長さ及び太さに設定される。
【0018】
また、端梁26には、先頭構体40に設けられる前記隅柱42の下部を補強するための左右一対の隅柱補強部材27と、前記妻柱43の下部に接合される一対の妻補強柱28とが設けられ、端梁26の中央下部には連結器支持枠29が設けられている。妻補強柱28は、前方からの衝撃に耐えるため、前後方向に長い長方形状の断面を有している。この妻補強柱28の下部は、前記補強端梁26bに設けたスリット26cを通して端梁26の前面から連結器支持枠29の前面にわたって接合されている。さらに、妻補強柱28の後部には、端梁26の上面に接合される補強突部28aが設けられている。また、隅柱補強部材27は断面L字状に形成され、該隅柱補強部材27の下部には、車体後方及び車体内方に向かって突出し、主端梁26aの側端部上面及び前記補強端梁26bの前端部上面に接合される補強突部27a,27bがそれぞれ設けられている。
【0019】
前記中梁23における端梁26側先端部の両側面と、前記両妻柱43の各下端部との間には、板面を鉛直方向に向けた一対の下部補強板23aがそれぞれ設けられている。この下部補強板23aは、後端部が中梁23の側面に接合され、前端部が妻柱43の下端部後部側に接合されており、平面視では、中梁23との接合部から妻柱43との接合部に向かって両下部補強板23aが拡開した状態となっており、側面視では、両端接合部が鉛直、上縁が水平で、下縁が中梁23との接合部から妻柱43との接合部に向かって下方に拡がる状態の台形状となっている。
【0020】
さらに、前記中梁23における端梁26側先端部の上面には、後端部が中梁23の幅寸法に対応した幅寸法で、前端部が前記両妻柱43にそれぞれ向かって拡開する台形状の上部補強板23bが水平方向に設けられている。この上部補強板23bの前端部は、端梁26の幅寸法と同等の幅寸法を有しており、両妻柱43の間の前記衝撃吸収部材取付凹部72に対応した中央切欠部23cが設けられるとともに、補強端梁26bに設けた前記スリット26cに対応したスリット23dが設けられ、両側端部は、前記補強突部27a,27bの後部まで延びており、補強突部27a,27bを収める端部切欠部23eがそれぞれ設けられている。
【0021】
このような下部補強板23aや上部補強板23bを端梁26の補強部材として設けることにより、衝撃吸収部材取付凹部72を設けた端梁26を後方から補強することができ、外力を受けた際に衝撃吸収部材71より先に端梁26が変形することを防止し、衝撃吸収部材71をより確実に圧縮変形させることができる。
【0022】
前記妻補強柱28には、前記妻柱43が接合され、隅柱補強部材27には前記隅柱42が接合される。妻柱43は、鋼鉄製の中実材料で形成されており、妻補強柱28に接合される鉛直方向の下部柱部43aと、前記前面窓15の内部側に位置する窓開口柱部43bと、後端が上部補強梁41に接合される水平方向の上部柱部43cとを有している。
【0023】
下部柱部43aは、妻補強柱28と同様に、前方からの衝撃に備えて、妻補強柱28と同じ前後方向に長い長方形状の断面を有している。この下部柱部43aは、妻補強柱28の上半部の側面に沿わせた状態で接合され、妻補強柱28を介して前記端梁26に接合される。窓開口柱部43bは、下部柱部43aの上端から前面窓15の傾斜に合わせて上方が車体後方に傾斜した状態で設けられている。この窓開口柱部43bは、レール方向(前後方向)の幅寸法が、前記下部柱部43aのレール方向の幅寸法に比べて小さく形成され、運転士の視界を妨げることがないようにしている。上部柱部43cは、窓開口柱部43bの後方上端部から上部補強梁41に向かって水平方向に延びている。
【0024】
隅柱42は、隅柱補強部材27に沿うように接合されており、この隅柱42も、前面窓15の内部側に位置する部分は、前面窓15の傾斜に合わせて上方が車体後方に傾斜した状態で設けられている。
【0025】
このように、車体幅方向中央部に運転台を設けた流線形状の鉄道車両10において、端梁26の前部に、前方が開口した衝撃吸収部材取付凹部72を設けて衝撃吸収部材71を取り付けることにより、外力によって圧縮変形した後の衝撃吸収部材71を衝撃吸収部材取付凹部72内に収納した状態とすることができる。これにより、衝撃吸収部材71が圧縮変形した後のエネルギーが低下した外力は、妻柱43,妻補強柱28,補強端梁26bを備えた端梁26で受ける状態にすることができるので、端梁26より後位に位置する運転台や客室を保護することができる。また、前後方向の長さが長い衝撃吸収部材71でも外板12の内側に収めることができるので、衝撃吸収部材71によって流線形状独特のデザインが損なわれることもなくなる。さらに、下部補強板23aや上部補強板23bを設けることにより、端梁26の変形をより確実に防止することができ、衝撃吸収部材71を確実に圧縮変形させてエネルギー吸収を効果的に行うことができる。
【0026】
なお、下部補強部材や上部補強部材は、板状である必要はなく、アングル材などを適宜選択することができる。また、中梁や端梁の形状、構造によっては、下部補強部材や上部補強部材を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
10…先頭車両、11…車両構体、12…外板、13…乗降扉、14…側窓、15…前面窓、16…乗務員用窓、17…連結幌、18…連結器、19…アンチクライマ、20…台枠、21…側梁、21a…下部突出片、22…枕梁、23…中梁、23a…下部補強板、23b…上部補強板、23c…中央切欠部、23d…スリット、23e…端部切欠部、24…横梁、26…端梁、26a…主端梁、26b…補強端梁、26c…スリット、27…隅柱補強部材、27a,27b…補強突部、28…妻補強柱、28a…補強突部、29…連結器支持枠、30…側構体、31…側柱、32…骨部材、33…扉枠部、34…窓枠部、35…接合部材、40…先頭構体、41…上部補強梁、42…隅柱、43…妻柱、43a…下部柱部、43b…窓開口柱部、43c…上部柱部、50…妻構体、60…屋根構体、61…長桁、62…垂木、63…屋根板、64…連結部材、71…衝撃吸収部材、72…衝撃吸収部材取付凹部