(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5752307
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】放射性セシウム捕集方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/12 20060101AFI20150702BHJP
B01J 20/02 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
G21F9/12 501B
B01J20/02 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-196973(P2014-196973)
(22)【出願日】2014年9月26日
【審査請求日】2014年9月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)一般社団法人セメント協会、第68回セメント技術大会講演要旨、92〜93頁、平成26年4月30日発行
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398043285
【氏名又は名称】株式会社太平洋コンサルタント
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141966
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 範彦
(74)【代理人】
【識別番号】100103539
【弁理士】
【氏名又は名称】衡田 直行
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 和子
(72)【発明者】
【氏名】原澤 修一
(72)【発明者】
【氏名】細川 佳史
(72)【発明者】
【氏名】山田 一夫
【審査官】
山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】
嶺達也 ら他3名,種々のセメント系材料に対するヨウ素、セシウムの吸着試験,PNC TN8410 97-258,動力炉・核燃料開発事業団 東海事業所,1997年 6月,全57頁
【文献】
小西正郎 ら他3名,セメント系材料とNp(V)およびPu(IV)の相互作用,原子力バックエンド研究,1997年 8月,Vol.4 No.1,P.47-55
【文献】
広永道彦,放射性廃棄物処分におけるセメント系材料のバリア機能評価について,原子力バックエンド研究,1997年 8月,Vol.4 No.1,P.29-38
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/12
G21F 9/28
B01J 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸化により、フェノールフタレイン溶液が呈色しないpH8.2未満の表面を有するセメント質硬化体またはその粉砕物を用いる放射性セシウム捕集方法であって、該表面が水中の放射性セシウムを捕集することを特徴とする、放射性セシウム捕集方法。
【請求項2】
前記セメント質硬化体またはその粉砕物が、炭酸化してなるコンクリートスラッジである、請求項1に記載の放射性セシウム捕集方法。
【請求項3】
前記セメント質硬化体の形態が、部材または構造物であって、放射性セシウムを捕集した後に、該セメント質硬化体の放射性セシウムを含む表面を削り取って放射性セシウムを回収した後、再度、該セメント質硬化体を炭酸化して用いる、請求項1に記載の放射性セシウム捕集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に溶解した放射性セシウムを捕集するため
の放射性セシウムの捕集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性セシウムは広域に拡散しており、その除染が緊急の課題になっている。
【0003】
セシウムの化合物は多くが水溶性であるため、環境水中には溶存態として放射性セシウムが存在している。それら溶存態の放射セシウムに関し、フェロシアン化金属化合物で表面を修飾したゼオライトを用いた除去材(特許文献1)、プルシアンブルーによる回収方法(特許文献2)、磁性フェライトを含有する吸着剤と浄化方法(特許文献3)が提案されている。
【0004】
しかしながら、それらの技術は特殊な材料を準備すると同時に放射性セシウム捕集のための設備も必要とするため、環境水の広域除染を考えた場合には相当なコストを要し実用性に乏しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−18734号公報
【特許文献2】特開2014−109461号公報
【特許文献3】特開2014−55895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、特殊な材料や設備を必要としないで、水中に溶解した放射性セシウムを捕集するため
の捕集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、前記目的にかなう
方法を検討したところ、炭酸化したセメント質硬化体
またはその粉砕物を用いた放射性セシウムの捕集方法は、放射性セシウムの捕集性能が高いことを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
[1]炭酸化により、フェノールフタレイン溶液が呈色しない
pH8.2未満の表面を有するセメント質硬化体またはその粉砕物
を用いる放射性セシウム捕集方法であって、該表面が水中の放射性セシウムを捕集する、放射性セシウム捕集
方法。
なお、以下では前記「表面」を「表層」と呼ぶこともある。
[2]
前記セメント質硬化体またはその粉砕物が、炭酸化してなるコンクリートスラッジである、
前記[1]に記載の放射性セシウム捕集
方法。
[3]前記
セメント質硬化体の形態が、部材または構造物であって、放射性セシウムを捕集した後に、該
セメント質硬化体の放射性セシウムを含む表面を削り取って放射性セシウムを回収した後、再度、該
セメント質硬化体を炭酸化して
用いる、前記[1]に記載の放射性セシウム捕集
方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の放射性セシウム捕集方法によれば、放射性セシウムの回収を特殊な設備を必要とせずに実施できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について
前記セメント質硬化体またはその粉砕物(以下「放射性セシウム捕集材」という。)と
、放射性セシウム捕集方法に分けて、詳細に説明する。
1.放射性セシウム捕集材
放射性セシウム捕集材は、前記のとおり、炭酸化により、フェノールフタレイン溶液が呈色しない
pH8.2未満の表面を有するセメント質硬化体またはその粉砕物であって、該炭酸化した表面(表層)が放射性セシウムを捕集するものである。なお、前記セメント質硬化体は、セメントペースト硬化体、モルタル、およびコンクリートを含む概念である。
【0011】
(1)放射性セシウム捕集材の形態と表面の深さ
前記放射性セシウム捕集材の形態は、好ましくは、粉体、粒体、部材または構造物である。
これらのうち、前記形態が粉体または粒体である放射性セシウム捕集材の好ましい例として、産業廃棄物のリサイクルやコストの観点から、炭酸化したコンクリートスラッジが挙げられる。ここで、該コンクリートスラッジは、乾燥物、湿潤物、およびスラリーを含むもので、生コンクリートスラッジや、コンクリートの解体現場において発生するコンクリート粉砕物に由来する粉体または粒体が挙げられる。なお、前記粉体とは1mm以下のセメント質硬化体をいい、前記粒体とは1mmを超え10mm以下のセメント質硬化体をいう。
また、前記形態が、粒体、部材または構造物である放射性セシウム捕集材の場合、該捕集材の炭酸化した表面(表層)の深さは、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは3.0mm以上、さらに好ましくは4.0mm以上、特に好ましくは5.0mm以上である。該値が2.0mm未満では放射性セシウムの捕集性能は十分ではない。なお、前記捕集材の表層の深さとは、JIS A 1152「コンクリートの中性化深さの測定方法」に準拠して硬化体の厚さ方向の断面にフェノールフタレイン溶液を塗布(噴霧)した時に、表面から赤紫色に呈色した部分までの距離をいう。そして、該表層の深さは、異なる複数の箇所で測定して得た前記距離の平均値で表わす
。
【0012】
(2)セメント
前記放射性セシウム捕集
材に用いるセメントには、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中用熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等のポルトランドセメント、高炉セメント等の高炉スラグ含有セメント、フライアッシュセメント等のフライアッシュ含有セメント、シリカセメント等のシリカ質混合材含有セメント、石灰石フィラーセメント等の石灰石微粉含有セメント、およびエコセメント等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
これらのうち、セメント質硬化体の表面の炭酸化が生じ易くなるように、高炉スラグ含有セメント、フライアッシュ含有セメント、シリカ質混合材含有セメント、および石灰石微粉含有セメント等の混合セメントを使用することが好ましい。
【0013】
(2)水
前記セメント質硬化体の混練に用いる水は特に限定されず、例えば上水道水、上水道水以外の水、回収水、および純水から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0014】
(3)骨材
前記放射性セシウム捕集材としてモルタルおよびコンクリートを使用する場合、モルタルおよびコンクリートの製造に用いる細骨材は、特に限定されず、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、スラグ細骨材等からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。また、
前記放射性セシウム捕集材がコンクリートである場合、用いる粗骨材は、特に限定されず、川砂利、砕石、スラグ粗骨材等からなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。なお、前記細骨材および粗骨材は、天然骨材のほか再生骨材を用いることができる。
【0015】
(4)セメント混練物およびセメント質硬化体の製造方法
セメントペースト、モルタルおよびコンクリート(以下「セメント混練物」という。)の製造方法は、特に限定されないが、セメント質硬化体の表面の炭酸化が促進するように水の単位量の多い配合が好ましい。放射性セシウム捕集材の形態は、好ましくは、粉体、粒体、部材、または構造物である。該形態が、部材、または構造物である場合、前記セメント混練物を型枠に投入して、所望の形状を有するセメント質硬化体を製造する。
また、セメント質硬化体の養生は、セメントの水和を促進するため好ましい。該養生方法は特に限定されず、密閉養生、気乾養生、封緘養生、湿空養生、水中養生、蒸気養生、およびオートクレーブ養生等が挙げられる。また、これらの養生は、1次養生、2次養生等として、適宜、組み合わせて実施してもよい。なお、前記養生期間は特に限定されない。
【0016】
(5)炭酸化方法
該方法は、セメント質硬化体を、(i)空気にさらす方法、(ii)炭酸ガスにさらす方法、(iii)炭酸塩および/または炭酸を含む水に浸漬する方法、および(iv)前記セメント質硬化体に対し炭酸塩および/または炭酸を含む水を散布等する方法から選ばれる1種以上が挙げられる。以下、各方法について説明する。
(i)空気にさらす方法
炭酸ガスは空気中に約0.03体積%存在するため、前記セメント質硬化体を空気にさらすことにより該硬化体の表面を炭酸化できる。また、空気中で炭酸化を促進するため、相対湿度は好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上であり、温度は好ましくは5〜50℃、より好ましくは15〜40℃である。また、空気にさらす期間は好ましくは7日以上である。
(ii)炭酸ガスにさらす方法
該方法において炭酸ガス濃度は、好ましくは1体積%以上、より好ましくは3体積%、さらに好ましくは5体積%以上である。また、該方法において炭酸化の湿度、温度および期間は、前記(i)に記載した条件と同様である。また、炭酸化は、炭酸化促進装置を用いるほか、ビニールシート等で囲った空間に炭酸ガスを充満させて行ってもよい。
なお、前記炭酸ガスは工業用炭酸ガスのほか、セメント製造設備等から回収した炭酸ガスを含む排ガスでもよい。
(iii)炭酸塩および/または炭酸を含む水に浸漬する方法
該方法は、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩の水溶液や炭酸水にセメント質硬化体を浸漬する方法である。該方法には、空気や炭酸ガスをバブリングした状態で水中に該硬化体を浸漬する方法も含まれる。
(iv)硬化体に対し炭酸塩および/または炭酸の水溶液を散布等する方法、
該方法は、スプレーやシャワー等を用いて該水溶液をセメント質硬化体に、直接、散布、噴霧、または塗布する方法である。該方法では、炭酸化促進装置等の設備が不要になる。
【0017】
2.放射性セシウム捕集方法
該方法は、前記放射性セシウム捕集材を用いて、放射性セシウムを捕集する方法である。該捕集方法には、放射性セシウム捕集材の形態に応じて次の態様がある。すなわち、
放射性セシウム捕集材の形態が粉体および粒体である場合は、前記方法として、放射性セシウム捕集材を、放射性セシウムが溶解している水中に投入する方法、フィルターに添着またはカラムに充填した状態で、放射性セシウムが溶解している水と接触させる方法がある。
放射性セシウム捕集材の形態が部材である場合は、排水溝や排水枡等の一般的な排水設備として使用する方法がある。また、該形態が構造物である場合は沈殿槽や河川壁等として使用する方法がある。
なお、本発明の放射性セシウム捕集方法の適用対象は、河川水等の、溶存態として放射性セシウムが1×10
−2mol/L以下で存在する、低濃度汚染水である。
さらに、放射性セシウム捕集材の形態が、部材、または構造物である場合は、放射性セシウムを捕集した後に、放射性セシウムを含む該セメント質硬化体の表面を削り取って放射性セシウムを回収した後、再度、該捕集材を炭酸化して再使用することができる。このように、前記形態の放射性セシウム捕集材は、交換せずに放射性セシウムの捕集能力を容易に回復することができるため、長期間の使用ほどランニングコストを抑制することができる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.使用材料
(1)普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
(2)高炉スラグ含有セメント
普通ポルトランドセメント/高炉スラグの質量比は4/6である。なお、前記高炉スラグは高炉スラグ微粉末(セラメント[登録商標]、デイ・シイ社製)を使用した。
(3)フライアッシュ含有セメント
普通ポルトランドセメント/フライアッシュの質量比は7/3である。なお、前記フライアッシュは電源開発竹原火力発電所品(ジェイぺック社販売)を使用した。
(4)塩化セシウム(関東化学社製 平衡密度勾配遠心用)
【0019】
2.試料の作製と放射性物質の収着試験
(1)試料の作製
試料として、セメントペースト硬化体の粉砕物および炭酸化したセメントペースト硬化体の粉砕物を、下記(i)と(ii)の方法により作製した。
(i)セメントペースト硬化体の粉砕物
普通ポルトランドセメント、高炉スラグ含有セメント、およびフライアッシュ含有セメントに純水を加え、ブリーディング水が生じないように練り返しを行って、水セメント比が60%のセメントペーストを作製した。次に、該ペーストを内径3cm、高さ5cmのモールドに入れて40℃で1ヵ月間封緘養生し、セメントペースト硬化体を作製した。さらに、該セメントペースト硬化体を粉砕した後、篩分けして粒径が100μm以下の前記3種類のセメントペースト硬化体の粉末を得た。
以下、前記セメントペースト硬化体の粉末のうち、普通ポルトランドセメントを用いたものはOPC、高炉スラグ含有セメントを用いたものはBB、およびフライアッシュ含有セメントを用いたものはFCと略記する。
【0020】
(ii)炭酸化したセメントペースト硬化体の粉砕物
次に、前記普通ポルトランドセメントを用いたセメントペースト硬化体を、炭酸ガス濃度5±2.5体積%、温度20±2℃、および相対湿度60±5%の条件で7日間炭酸化した後、該炭酸化したセメントペースト硬化体を粉砕し、篩分けして粒径が100μm以下の粉末(以下「炭酸化OPC」略記する。)を作製した。
なお、粉砕前の前記炭酸化したセメントペースト硬化体(未粉砕品)を用いて、JIS A 1152「コンクリートの中性化深さの測定方法」に準拠して測定した中性化深さは2.5mmであった。
【0021】
(2)セシウムの収着(捕集)試験方法
セシウムの収着(捕集)試験方法を下記(i)〜(v)に示す。なお、該方法は、AESJ−SC−TR001:2006「収着分配係数の測定方法−浅地中処分のバリア材を対象としたバッチ法の基本手順及び深地層処分のバリア材を対象とした測定方法の基本手順−」(日本原子力学会発行)に準拠した。
(i)試験液の作製
前記の炭酸化OPC、OPC、BB、およびFCの各試料と、濃度が1×10
−6、1×10
−5、1×10
−4、1×10
−3、および1×10
−2mol/Lの塩化セシウム水溶液(ただし、放射性トレーサーとしてセシウム137を100Bq含む。)を用いて、固/液比が1/10(3g−dry/30mL)の試験液を作製した。
【0022】
(ii)対照液の作製
セシウムは試験容器の内壁にも多少付着するため、試料に収着したセシウム濃度を正確に求めるには、試験容器の内壁に付着した放射性物質の量を補正する必要がある。したがって、放射性物質のみを前記濃度で含む対照液を作製した。
【0023】
(iii)試験環境
炭酸化の影響を防ぐため窒素ガスを満たしたグローブボックス内に、試験液と試料を入れた試験容器を、室温で7日間静置した。なお、該試験容器は1日1回ハンドシェイクにより振とうした。
【0024】
(iv)セシウム137の濃度の測定
前記の静置開始から7日経過後の試験液と対照液を、孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、該試験液のろ液と対照液のろ液中のセシウム137の濃度を、NaI(TI)シンチレーションカウンターを用いて測定した。
【0025】
(v)収着分配係数の算出
試料に収着した放射性物質濃度(S、単位:mg/kg)は、前記対照液中の放射性物質濃度から前記ろ液中の放射性物質濃度(A、単位:mg/L)を引いて求め、下記(1)式を用いて収着分配係数Rdを算出した。その結果を表1に示す。なお、下記(1)式から分かるように、収着分配係数が大きいほど放射性セシウムの収着性能は高い。
Rd=S/A (単位:L/kg) …(1)
【0026】
【表1】
【0027】
(3)セシウムの収着(捕集)試験の結果について
表1に示すように、実施例の収着分配係数は、比較例の中で最も大きな比較例2と比べても10〜100倍以上と格段に大きい。
したがって、
前記放射
性セシウム捕集材
を用いた放射性セシウム捕集方法によれば、水中の放射
性セシウムを捕集する性能が高く、効率的に放射
性セシウムを除去できる。
【要約】 (修正有)
【課題】水中に溶解した放射線セシウムの捕集性能に優れた放射性セシウム捕集材を提供する。
【解決手段】炭酸化により、フェノールフタレイン溶液が呈色しない表面を有するセメント質硬化体またはその粉砕物であって、該表面が水中の放射性セシウムを捕集する放射性セシウム捕集材である。そして、該放射性セシウム捕集材の形態は、好ましくは、粉体、粒体、部材または構造物である。また、前記形態が、粉体または粒体である放射性セシウム捕集材は、好ましくは、炭酸化してなるコンクリートスラッジである。また、前記形態が、部材または構造物である放射性セシウム捕集材は、放射性セシウムを捕集した後に、該捕集材の放射性セシウムを含む表面を削り取って放射性セシウムを回収した後、再度、該捕集材を炭酸化して再使用することができる。
【選択図】なし