(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752318
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】プリンター表面から材料を除去するための装置、プリンター、及び方法
(51)【国際特許分類】
B41F 31/00 20060101AFI20150702BHJP
B41F 35/06 20060101ALI20150702BHJP
B41F 31/20 20060101ALI20150702BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
B41F31/00
B41F35/06
B41F31/20
G03G21/00 310
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-508329(P2014-508329)
(86)(22)【出願日】2011年4月29日
(65)【公表番号】特表2014-514980(P2014-514980A)
(43)【公表日】2014年6月26日
(86)【国際出願番号】US2011034680
(87)【国際公開番号】WO2012148428
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2013年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,ダイフア
(72)【発明者】
【氏名】レオニ,ナポレオン,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ビレッキ,ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】ジーラ,オマー
【審査官】
亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−220941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00
B41F 31/20
B41F 35/06
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンター表面から印刷材料の一部を除去するための装置であって、
前記プリンター表面からサブストレートに画像を転写する前に、該プリンター表面から余分な印刷材料を除去するための流体リムーバーと、
コーティング材料を貯蔵するためのコーティング材料容器であって、前記プリンター表面から前記流体リムーバーのリムーバー面に転写される印刷材料の量を少なくするために、該コーティング材料を前記流体リムーバーの前記リムーバー面に加えるためのコーティング材料容器
を備える装置。
【請求項2】
前記印刷材料はキャリア流体及びマーキング剤を含み、前記流体リムーバーは前記キャリア流体の少なくとも一部を除去し、前記コーティング材料は前記リムーバー面への前記マーキング剤の付着を低減する、請求項1の装置。
【請求項3】
前記リムーバー面によって前記プリンター表面に圧力がかけられ、及び、前記リムーバー面は、前記プリンター表面と共にニップを形成し、前記プリンター表面から前記余分な印刷材料が除去される、請求項1または2の装置。
【請求項4】
前記流体リムーバーの前記リムーバー面に圧力をかけて、前記流体リムーバーの前記リムーバー面上の前記コーティング材料の厚さを設定するためのコーティングブレードをさらに備える、請求項1〜3のいずれかの装置。
【請求項5】
前記流体リムーバーの前記リムーバー面上の前記コーティング材料の厚さを設定するために、前記コーティングブレードが調整可能である、請求項4の装置。
【請求項6】
前記印刷材料と前記コーティング材料が同じ材料である、請求項1〜5のいずれかの装置。
【請求項7】
除去された前記余分な印刷材料と前記コーティング材料の少なくとも一方を収集するための収集トレーをさらに備える、請求項1〜6のいずれかの装置。
【請求項8】
前記流体リムーバーが、前記ニップにある前記プリンター表面に圧力をかけて、前記余分な印刷材料を前記プリンター表面から除去するためのスクイジーローラーを備える、請求項3、または、請求項3を直接ないし間接に引用する請求項4〜7のいずれかの装置。
【請求項9】
印刷材料を受けるためのプリンター表面と、
前記プリンター表面に接触して該プリンター表面に圧力をかけるためのリムーバー面を含む流体リムーバーであって、画像を前記プリンター表面からサブストレートに転写する前に、前記リムーバー面を前記プリンター表面に接触させて該プリンター表面に圧力をかけることによって、前記プリンター表面から前記印刷材料の一部を除去するための流体リムーバー
を備え、
前記リムーバー面は、コーティング材料で被覆され、前記コーティング材料によって、前記プリンター表面から前記リムーバー面に転写される印刷材料の量が低減される、プリンター。
【請求項10】
前記リムーバー面に前記コーティング材料を加えるためのコーティング材料容器、及び、前記リムーバー面上の前記コーティング材料の厚さを設定するためのコーティングブレードをさらに備える、請求項9のプリンター。
【請求項11】
前記リムーバー面上の前記コーティング材料の厚さを設定するために、前記コーティングブレードが調整可能である、請求項10のプリンター。
【請求項12】
前記印刷材料が、前記サブストレートに加えるためのマーキング剤とキャリア流体とを含み、前記コーティング材料が、前記プリンター表面から前記リムーバー面への前記マーキング剤の転写を低減し、前記流体リムーバーは、前記キャリア流体の少なくとも一部を除去する、請求項9〜11のいずれかのプリンター。
【請求項13】
前記流体リムーバーは、前記プリンター表面から前記印刷材料の前記一部を除去するために、ニップにある前記プリンター表面に圧力をかけるためのスクイジーローラーを備える、請求項9〜12のいずれかのプリンター。
【請求項14】
前記スクイジーローラーは、前記プリンター表面から前記印刷材料の液体物質を除去するが、前記プリンター表面から前記印刷材料の固体物質は除去しないようにするために、前記ニップにある前記プリンター表面に圧力をかける、請求項13のプリンター。
【請求項15】
前記コーティング材料は、前記印刷材料と同じ材料からなる、請求項9〜14のいずれかのプリンター。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
いくつかのプリンターは、キャリア流体(carrier fluid。または分散媒。以下同じ)中に懸濁したインクを用いてハード画像を生成する。インク及びキャリア流体を転写面に加えた後で、キャリア流体の一部または全てを、該転写面から除去し及び/または再利用して、インクの乾燥、及び/または、サブストレート(被印刷物など)への画像の定着、及び/または、ハード画像の形成を容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】(追って補充)
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】本開示したがって構成された流体リムーバーの一例を示す。
【
図2】本開示にしたがって構成された流体リムーバーの別の例の等角図である。
【
図3】プリンター表面及び
図2の流体リムーバーを備えるプリンターの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
既知のプリンターでは、表面から余分な流体(たとえば、マーキング剤用のキャリア流体)を除去するためにスクイジーローラー(squeegee roller)が使用されている。スクイジーローラーは、該表面に圧力をかけることによって、該表面の外部へと余分な流体を流し出す。スクイジーの表面に残留する流体の量は、スクイジーローラーと該表面の間の圧力に依存する。既知のスクイジーローラーは、該スクイジーローラーが圧力をかけているときに、プリンター表面に配列したマーキング剤から形成された画像に損傷を与える可能性がある。具体的には、いくつかのマーキング剤は、温度がより高い状態のプリンター表面(たとえば、(紙などの印刷媒体に画像を転写するための)中間転写部材であるブランケット)に塗布されると、接着性(または接着力)を有するようになって、プリンター表面からスクイジーローラーへと移動(ないし転写)する場合がある。そのような移動(ないし転写)は、ハード画像の定着及び形成(たとえば印刷)のためにサブストレートに転写されるべきマーキング剤のパターンを破壊する可能性がある。
【0005】
マーキング剤及び/または印刷材料及び/またはその他の流体を一方の面から他方の面に移動ないし転写することを、本明細書では、「逆転写」という。逆転写の一例は、潜像を形成するマーキング剤のブランケットからスクイジーローラーへの移動(ないし転写)である。逆転写は、既知のスクイジーローラーにおいて起こりうる。なぜなら、1)ブランケットは表面エネルギーが低い材料(low-surface-energy material。以下、低表面エネルギー材料という)から形成されており、該ブランケット上の印刷材料は、該低表面エネルギー材料と表面エネルギーがそれより高いスクイジーの表面とがニップにおいて接触したときに、該スクイジーに移動(ないし転写)する傾向があり、及び/または、2)比較的高温のブランケット上の溶解した印刷材料は、冷たいスクイジーローラーと接触すると、相転移によって印刷材料の自由エンタルピーが減少するために凝固する場合がある、からである。
【0006】
本明細書及び/または図面において開示されている例示的な装置、プリンター、及び方法は、余分な印刷材料(たとえば、石油系溶媒(キャリアオイル:carrier oil))を転写ブランケットなどのプリンター表面から除去することによって従来技術の逆転写問題を軽減もしくは防止するために、リムーバー面を有する流体リムーバー(流体除去装置ともいう。以下同じ)を使用する。より具体的には、本明細書及び/または図面において開示されているいくつかの例示的な装置、プリンター、及び方法は、流体リムーバーでキャリア流体を除去することによって、プリントサブストレートに次に転写するための潜像をブランケット上において破壊することなく、ブランケット上に該潜像を準備する。いくつかの例では、流体リムーバーは、プリンター表面と共にニップを形成するスクイジーローラーなどのリムーバー面を有する(このプリンター表面から印刷流体(印刷液)が除去されることになる)。リムーバー面は、印刷面(またはプリンター表面)からリムーバー面への印刷流体の逆転写を低減(すなわち、逆転写の量ないし程度を低減)しもしくは回避しもしくは阻止するために、コーティング材料(または被覆材料。以下同じ)で覆われている。
【0007】
いくつかの例では、コーティング材料容器からコーティング材料を受け取って、該コーティング材料をリムーバー面に加えるために、コーティングブレード(coating blade)が設けられる。コーティングブレードは、リムーバー面上のコーティング材料の厚みを小さくするために、リムーバー面に圧力をかける。リムーバー面に加えられたコーティング材料の厚みを小さくすることによって、プリンター面から除去することができる印刷流体の量が増える。さらに、本明細書及び/または図面において開示されている例示的な装置、プリンター、及び方法は、プリンター表面及び/または印刷材料に影響を与えうる温度、圧力、及び/または電界などの、印刷面(またはプリンター表面)の広範な条件にわたって、印刷面(またはプリンター表面)から印刷材料を効果的に除去する。
【0008】
いくつかの例では、リムーバー面を覆う(被覆する)ために使用されるコーティング材料は、印刷材料と同じ材料である。いくつかの例示的はコーティング材料は、リムーバー面とプリンター表面の間の潤滑油として作用する。本明細書及び図面において開示されている例示的な装置、プリンター、及び方法は、プリンター表面上の印刷材料(またはプリンター材料)及び/または他の材料の二次汚染(交差汚染)を低減または阻止する。
【0009】
本明細書で使用している「印刷材料」という用語は、印刷装置及び/または画像形成装置で使用することができる任意の固体物質(固体材料)もしくは液体物質(流体材料)、または、それらの固体物質を組み合わせたもの、または、それらの液体物質を組み合わせたもの、または、それらの固体物質と液体物質を組み合わせたものを意味しており、「印刷材料」には、マーキング剤、顔料、トナー、染料、インク、キャリア流体、樹脂、油(または油性物)、洗浄液(washing fluid)、画像コーティング材料、サブストレートコーティング材料(substrate coating material。または、印刷媒体コーティング材料ないし基材コーティング材料)、プリントサブストレート前処理材料(print substrate pre-treatment material。または、被印刷物前処理材料)、及び/または、プリントサブストレート後処理材料(print substrate post-treatment material。または、被印刷物後処理材料)が含まれる(ただし、それらには限定されない)。本明細書及び/または図面に開示されているいくつかの例では、印刷材料は、マーキング剤とキャリア流体と樹脂の組み合わせを含んでおり、その場合、キャリア流体は、リムーバー面によってプリンター表面から除去され、リムーバー面上のコーティング材料によって、リムーバー面への固体物質及び/または液体物質(たとえば、マーキング剤及び/または樹脂)の付着が低減され(すなわち付着する量ないし程度が低減され)または阻止される。
【0010】
図1は、本開示にしたがって構成された流体リムーバー100の一例を示している。
図1の流体リムーバー100を用いて、プリンター表面104から印刷材料102を除去することができる。具体的には、図示の例の流体リムーバー100は、印刷材料102が流体リムーバー100に付着するのを防止するためのコーティング材料106を有している。
図1の流体リムーバー100はさらに、コーティング材料106を貯蔵し、及び、該コーティング材料106を流体リムーバー100に塗布または加えるためのコーティング材料容器108を備えている。印刷材料102は、プリンター表面104に塗布または加えられると接着性(接着力)を有しうる。その結果、例示的なコーティング材料106がない場合には、流体リムーバー100によって生じるせん断応力によって、印刷材料102または下部の材料(たとえば、マーキング剤や樹脂)が、印刷面(プリンター表面)104から除去されるか、または、他のやり方で分断される可能性がある。
【0011】
図示の例のコーティング材料106は、流体リムーバー100と印刷材料102の間の潤滑油として作用する。コーティング材料106によって、プリンター表面104から流体リムーバー100に移動(ないし転写)する印刷材料102の量が少なくなる。いくつかの例では、コーティング材料106は、印刷材料102が、プリンター表面104から流体リムーバー100へと移動(ないし転写)するのを阻止する。例示的なコーティング材料106は、流体リムーバー100に塗布されて(または加えられて)、比較的薄い層(たとえば、約9nmの厚さ。ただし、他の厚さを使用することもできる)をなすように形成される。流体リムーバー100に加えられるこの例示的なコーティング材料106の厚さは、プリンター表面104から除去される印刷材料102の量に影響を与える。たとえば、コーティング材料106の厚さが薄くなるほど、流体リムーバー100は、プリンター表面104からより多くの印刷材料102を除去する。印刷材料102が、サブストレート(被印刷物すなわち印刷の対象物)に加えられるマーキング剤(たとえば、Hewlett-Packard Electro Ink(商標))用の、画像転写面(たとえば、ゴムブランケット(rubber blanket))上のキャリア流体(たとえば、Isopar L (アイソパーL))である例では、プリンター表面104上の印刷材料102の量を少なくすることは、サブストレート上にマーキング剤を移動させないし転写して定着させる準備をするのに必要なエネルギー量を少なくするという利点がある。
【0012】
図2は、流体リムーバー201を含む例示的な装置200の等角図である、
図2の例示的な流体リムーバー201はリムーバー面202を有しており、
図1の例示的な流体リムーバー100を実施してプリンター表面から印刷材料を除去するために、該流体リムーバー201を使用することができる。図示の例の装置200はさらに、コーティング材料容器204及びコーティングブレード206を備えている。コーティング材料容器204は、リムーバー201の表面202に塗布される(または加えられる)ことになるコーティング材料208を収容している。
【0013】
図2の例では、流体リムーバー201は、印刷表面104から印刷材料を除去するために、プリンター表面(たとえば、
図1のプリンター表面104)と共にニップ214を形成するスクイジーローラーである。この例示的なリムーバー面202は、流体リムーバー201の外部表面(外面)である。印刷表面104は、リムーバー面202が回転するにつれて、リムーバー面202に沿って移動する。
図2に示すように、例示的なリムーバー面202は、コーティング材料容器204に収容されているコーティング材料208と接触している。
【0014】
リムーバー面202が回転すると、リムーバー面202は、コーティング材料容器204中のコーティング材料208で被覆される(またはコーティングされる)。コーティング材料208は、潤滑油として作用し、及び、プリンター面104からリムーバー面202への印刷材料の逆転写を実質的に防止する。
図2の例示的なコーティングブレード206は、リムーバー面202上のコーティング材料208の厚みを設定し乃至整えるためにリムーバー面202と接触している。この目的のために、コーティングブレード206は、リムーバー面202に圧力をかける。そして、この場合、加えられた圧力の大きさによって、リムーバー面202上のコーティング材料208の層の厚さが制御される。余分なコーティング材料208は、コーティングブレード206によって除去されて、コーティング材料容器204に戻ることができる。コーティングブレード206によってリムーバー面202上に残されるコーティング材料208の層の厚さは、コーティングブレード206とリムーバー面202の間の圧力、コーティングブレード206の形状、リムーバー面202に対するコーティングブレード206の向きもしくは幾何学的配置、及び/または、コーティングブレード206の硬さ(硬度)に基づく。
【0015】
動作時、リムーバー面202が回転する。リムーバー面202の一部分(一セクション)210が、シール212を通過して、容器204に収容されているコーティング材料208と接触する。シール212は、リムーバー面202より下のコーティング材料208の漏れを少なくするかまたは防ぐ。容器204中のコーティング材料208の一部は、リムーバー面202の一部分210が任意に設定可能な厚さの層をなすように該一部分210を被覆する(または、リムーバー面202の一部分210を任意に設定可能な厚さの層で被覆する)。コーティングされたリムーバー面202は回転を続けるので、例示的なコーティングブレード206は、一部分210から余分なコーティング材料208を除去して、リムーバー面202を覆っている比較的薄い層(たとえば、約9nmの厚さの層)を残す。
【0016】
コーティング材料208の薄い層で覆われたリムーバー面202の一部分210は、ニップ214へと回転する。ニップ214において、プリンター表面104は、サブストレートに転写される画像を形成するように配列されたマーキング剤(たとえば、Hewlett-Packard Electro Ink(商標))、及び、マーキング剤をプリンター表面104に塗布する(または加える)ときに使用されるキャリア流体もしくは溶剤(たとえば、Isopar L)で覆われる。
【0017】
コーティング材料208の層で覆われたリムーバー面202によって、プリンター表面104から余分なキャリア流体216が除去される。たとえば、余分なキャリア流体216は、プリンター表面104の進行方向220に垂直な方向218に流れることができる。この例示的な装置200はさらに、プリンター表面104から除去された余分なキャリア流体216を収集するために収集トレー(コレクショントレー)222を備えている。図示の例では、余分なキャリア流体216は、リムーバー面202の側方(もしくは両側部)へと流れ、それから、収集トレー222へと下方に流れる。収集トレー222はさらに、コーティング材料容器204からあふれ出したコーティング材料208を収集することができる。これらの余分なキャリア流体及び/またはあふれ出したコーティング材料は、収集トレー222から収集タンク(不図示)へと送られる。
【0018】
図示の例では、使用されるコーティング材料208は、印刷材料と同じ材料である。このため、図示の例のコーティング材料208は、印刷材料と接触しても印刷材料(または、マーキング剤などの下にある任意の材料)を汚染しない。しかしながら、コーティング材料208は、印刷材料と異なる材料であってもよい。
【0019】
図3は、プリンター表面104、及び
図2の例示的な装置200を備えている例示的なプリンター300を示している。
図3に示されているように、この例示的な装置200は、例示的な流体リムーバー201、例示的なコーティング材料容器204、例示的なコーティングブレード206、例示的なコーティング材料208、例示的なシール212、及び、例示的な収集トレー222を備えている。例示的な流体リムーバー201は、スクイジーローラーとして示されており、リムーバー面202を有している。
【0020】
例示的なプリンター300はさらに、
図1及び
図2の例示的なプリンター表面104を有している。図示の例では、プリンター表面104は、ブランケット、中間転写ローラー、または、他の任意のタイプの転写面である。
図3では、プリンター表面104は、ローラーまたはドラムとして表されているが、これは、単なる例示であって、例示的なプリンター表面104を、平面状、凹状、及び/または、凸状などの任意のタイプの表面とすることができ、及び/または、表面104を任意の所望のやり方で方向づける(ある方向を向くようにする)ことができる。
図3の例示的なプリンターはさらに、現像ドラム(developer drum)302及び転写ドラム304を備えている。例示的な現像ドラム302は表面であり、所望の画像を形成するために、該表面上に、マーキング剤及びキャリア流体があるパターンで最初に付着乃至堆積される。キャリア流体は、現像ドラム302上に付着乃至堆積すると、マーキング剤を所望の位置まで運ぶ。しかしながら、このキャリア流体は、最終的な定着画像には必要ではなく、それゆえ、(たとえば、プリンター表面104にある)サブストレートに画像を転写する前に除去される。現像ドラム302は、キャリア流体及びマーキング剤をプリンター表面104(たとえばブランケット)に移動ないし転写して、所望の画像を形成するためにマーキング剤の相対的な位置を維持しつつ、第1の厚さを有する第1の層306を形成する。
【0021】
図3の例示的なプリンター表面104は、キャリア流体及びマーキング剤の移動ないし転写が起こる位置から、リムーバー面202とプリンター表面104の間のニップ(たとえば、
図2のニップ214)まで回転する。ニップ214において、例示的なリムーバー面202は、プリンター表面104からキャリア流体の一部を除去し、第1の厚さより薄い第2の厚さを有する第2の層308を残す。例示的なリムーバー面202は、マーキング剤(及び、したがって画像)が実質的に損傷を受けないようにする。これは、コーティング材料208が、プリンター表面104からリムーバー面202にマーキング剤が移動ないし転写するのを実質的に阻止するための潤滑油として作用するからである。余分なキャリア流体310は、ニップ214を通過しないが、その代わり、リムーバー面202に沿って収集トレー222まで進む。図示の例のコーティング材料208は、キャリア流体310と同じ(材料)であるので、収集トレー222内で、余分なキャリア流体310を、あふれ出たコーティング材料208と混ぜ合わせることができる。
図3の例では、キャリア流体310及び/またはあふれ出たコーティング材料208は、廃棄するために、及び/または、再使用するために、及び/または、再生利用するために、収集トレーから排出される。
【0022】
例示的なプリンター表面104は回転を続けて、マーキング剤及び残留しているキャリア流体を、ニップ214から転写ドラム304へと移動させる。転写ドラム304とプリンター表面104の間のニップ312において、例示的なプリンター表面104(たとえば、ブランケット)は、マーキング剤及びキャリア流体をニップ312にあるプリントサブストレート(印刷媒体など)314に移動ないし転写して、該プリントサブストレート314上にハード画像を形成する。
【0023】
例示的な装置200をプリンター300に実装しないし組み込むことができる。たとえば、例示的なコーティング材料容器204、例示的なコーティングブレード206、例示的なシール212、例示的な収集トレー222、並びに、例示的なリムーバー面202を有する流体リムーバー201を、プリンター300に搭載することができ、または別のやり方で取り付けることができる。
図2及び
図3の例では、流体リムーバー201は、リムーバー面202が例示的なプリンター表面104と共にニップ214を形成するように、プリンター300に取り付けられている。さらに、例示的なリムーバー面202は、コーティング材料208の層で被覆されている。コーティング材料208の層の厚さは、リムーバー面202とコーティングブレード206の間の圧力、及び、該ブレード206の幾何学的な配置乃至形状乃至寸法に基づく。いくつかの例では、コーティングブレード206を調節して、コーティング材料208の層の厚さを設定または変更することができる。
【0024】
以上から、上記の装置、プリンター、及び方法を用いて、印刷材料または下部の材料を印刷表面から逆転写することなく、少なくとも一部の印刷材料を印刷表面から選択的に除去できることが理解されよう。この結果、転写されることになる画像からキャリア流体が除去される例において、例示的な装置、プリンター、及び方法は、画像を損傷することなくキャリア流体の少なくとも一部を除去する。さらに、プリンター表面を乾燥させる他の手段(たとえばヒーター)の代わりとして、本明細書及び/または図面に開示されている例示的な装置、プリンター、及び方法を用いることができる。本明細書及び/または図面に開示されている例示的な装置、プリンター、及び方法は、より多くのエネルギーを使用する他の乾燥手段を代替することによって、より安価な製造コスト及び/もしくは運転コストで、及び/または、プリンター表面を望ましくない材料で汚すことなく、余分な印刷材料を除去することができる。
【0025】
本明細書及び/または図面に開示されている例示的な装置、プリンター、及び/または方法を、異なるコーティング材料を使用することによって、及び/または、コーティングブレードを調節して流体リムーバー上のコーティング材料の厚さを異なる厚さに設定することによって、多くの異なる用途において、プリンター表面から印刷材料を除去するために使用することができる。さらに、本明細書及び/または図面に開示されている例示的な装置、プリンター、及び/または方法は、プリンター表面及び/または印刷材料の温度、圧力、及び/もしくは電界などの、印刷表面の状態に比較的影響されることなく、印刷表面から印刷材料を効果的に除去する。
【0026】
本明細書及び/または図面において、特定の例示的な装置、プリンター、及び方法を開示したが、本発明の範囲はそれらに限定されない。本発明は、特許請求の範囲内に合法的に含まれる全ての方法、プリンター、及び装置を含む。