(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1はこの発明の一例としての電動コンバインの
左側面図、
図2は電動コンバインの
右側面図、
図3は穀稈搬送装置の左側面図、
図4は脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【0021】
まず、電動コンバイン1は、
図1〜3に示すように、左右一対のトラックフレーム2に、左右一対のクローラ式走行装置である走行部3を装設し、これら左右トラックフレーム2に機台4が架設される。また、機台4上には、引起機構8、刈刃9、収穫物搬送手段10などを備える刈取部7や、フィードチェーン18を機体左側に張架し、扱胴6を内蔵する脱穀装置である脱穀部5、排藁チェーン終端を臨ませる排藁処理部11、脱穀部5からの籾を、揚穀筒を介して搬入するグレンタンク12、このグレンタンク12の籾を機外に搬出する搬送部16としての排出オーガ13などが設置される。
【0022】
さらに、機体前部の機台4上には、ハンドル14や運転席15、および運転席15下方には、原動機としてのエンジンEや、後述する発電機DおよびバッテリーBなどが設けられており、これら構成により自脱型の電動コンバイン1が連続的に稲などの農作物を刈取って脱穀するように構成されている。
【0023】
そして、機台
4の後部には、グレンタンク12内の籾を外部へ排出するための排出オーガ13の縦オーガ13aが立設されるとともに、この縦オーガ1
3aの上端部には横オーガ13bが連設されている。この縦オーガ13aを中心として、グレンタンク12が左右回動可能に設けられて、グレンタンク12の前側を外方に回転させて開放可能に構成されている。また、機台
4の後部には、脱穀部5に連続して穀稈搬送装置17が内設されている。
【0024】
刈取部7で刈り取られた穀稈は、収穫物搬送手段10にて後部へ搬送され、収穫物搬送手段10の上端から株元側が穀稈搬送装置17のフィードチェーン18に受け継がれ、扱胴6の供給始端部を介して脱穀部5および選別部19からなる脱穀装置内に穀稈が搬送される。そして、フィードチェーン18後端には、排藁搬送チェーン20が配設され、この排藁搬送チェーン20後部下方には、
図示しないカッター
、結束機などからな
る排藁処理部
11が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出し、或いは切断せずに放出するようにしている。
【0025】
脱穀部5は、コンバイン1の進行方向左側に配置され、脱穀部
5の右側には選別後の精粒を貯留するグレンタンク12が配設されている。そして、グレンタンク12の前方には運転席15が配設されている。つまり、運転席15は、機体の進行方向右前部に配置されている。一方、グレンタンク12の後方には、排出オーガ13の縦オーガ13aが立設され、縦オーガ1
3aを中心にして排出オーガ13およびグレンタンク12が側方へ回動可能とし、グレンタンク12を側方へ回動することにより機体内側のメンテナンスを容易にしている。
【0026】
そして、グレンタンク12の底部には、後述する排出コンベア12aが前後方向に配設され
、排出コンベア
12aの後部が縦オーガ13aの下部に連通されるとともに、排出コンベア1
2a後部から排出オーガ13に動力が伝達されて、横オーガ13bの先端よりトラックなどに、グレンタンク12内の穀粒を排出できるようにしている。さらに、脱穀部5の下方には、選別部19が配設され、脱穀部5から流下する穀粒や藁屑等から穀粒を選別し、精粒をグレンタンク12に搬送したり、藁屑などを機外に排出するようにしている。
【0027】
穀稈搬送装置17は、上述の脱穀部5において、刈り取った穀稈の一端(株元側)を挟扼しながら搬送するためのものであり、刈取部7で刈り取った穀稈を排藁搬送チェーン20まで搬送するフィードチェーン18と、フィードチェーン18上方に配設され、搬送されている穀稈を挟扼する挟扼杆21と、挟扼杆21を本機側に対して弾性支持する複数の弾性支持体22などとから構成されている。
【0028】
この穀稈搬送装置17においては、対向配置される挟扼杆21とフィードチェーン18とによって、刈取部7で刈り取った穀稈の株元側を挟扼し、扱室31内の扱胴6によって脱穀する構成となっており、この挟扼杆21とフィードチェーン18とが対向した部分を搬送経路としている。そして、脱穀部5にて脱粒された排藁は、フィードチェーン18の後端部(下流側端部)において、排藁搬送チェーン20へと受け継がれ、この排藁搬送チェーン20によって
、排藁処理部
11へと搬送される。
【0029】
挟扼杆21は、ステー23などによって固設される支持杆24と、支持杆24に複数の弾性支持体22を介して弾性支持して設けられている。この挟扼杆21は、フィードチェーン18に沿うように左右平行状に一対の板状部材が配置された形状となっており、フィードチェーン18による搬送方向断面視逆U字状に形成されている。
【0030】
支持杆24は、中空の柱状部材であり、図示しない扱室カバー内の左側において前後方向に長く、挟扼杆21と並列的に配置されるように形成されている。そして、この支持杆24の側面には、一定間隔ごとに弾性支持体22が、その上部が支持されるとともに配設され、これら弾性支持体22の下部に挟扼杆21が弾性支持されている。この弾性支持体22の下部は、挟扼杆21に連結ピンで枢支されており、弾性支持体22の上部は支持杆24よりも上方に延出されている。
【0031】
次に、脱穀部5について説明する。
図4に示すように、脱穀部5に形成された扱室31には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴6が設けられ、この扱胴6の外周面には複数の扱歯32が植設されている。そして、扱胴6の下部周辺を覆うように半円形状の受網33が着脱可能に周設されている。一方、フィードチェーン18により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端側が扱胴6の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴6の回転により脱粒が行われ、受網33から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
【0032】
続いて、選別部19について説明する。選別部19は、揺動選別装置41による揺動選別と唐箕42による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
【0033】
揺動選別装置41は、機枠43内に収納される。揺動選別装置41の前端部は、扱胴6の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置41前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には後述の揺動駆動機構44が設けられ、この揺動駆動機構44によって揺動選別装置41が機枠43に対して揺動するように構成されている。なお、揺動駆動機構44の後下方には燃料タンク(不図示)が配置されている。
【0034】
揺動選別装置41の前部には、流穀板45が設けられるとともに、この流穀板45の後下方に搬送板46が設けられる。これら流穀板45および搬送板46は、板状の部材を波形に成形したものであり、受網33を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は、流穀板45および搬送板46上に落下し、揺動選別装置41の揺動により機体後方に搬送される。
【0035】
そして、搬送板46後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ(篩分装置)47が連設されるとともに、このグレンシーブ47と搬送板46の上方、かつ流穀板45の後方には、第一選別部であるチャフシーブ48が被装されている。さらに、チャフシーブ48の後方には、ストローラック49が配設される。
【0036】
チャフシーブ48は、複数のチャフフィンから構成され、投入される処理物の量に応じてチャフフィンの開度を調節することを可能としている。すなわち、チャフフィンの上下一側端部が揺動選別装置41に枢支されて、チャフシーブ48左右両側に設けられた揺動板に枢結され、また、他側端部がチャフシーブ48の左右両側に設けられた不図示の摺動板に枢結されている。
【0037】
上記摺動板は、揺動選別装置41と一体的に揺動されるとともに、この摺動板には図示しない調節レバーが枢結されており、該調節レバーに連結された図示しないワイヤの弛緩又は牽引により、この摺動板が前後に摺動される。なお、前記調節レバーは、上述のワイヤと反対側に設けられた図示しないバネによって各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とする方向に付勢されている。
【0038】
そして、前記摺動板の摺動によりチャフフィンの角度が変更され、このチャフフィンの傾斜角を大(立てる)とさせるとき、チャフシーブ48の開度を大として穀粒の漏下量を増大させ、各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とさせるときチャフシーブ48の開度を小として穀粒の漏下量を減少させるように構成している。
【0039】
こうして、穀粒および細かい藁屑は、チャフシーブ48を通過して下方に落下し、チャフシーブ48の開口よりも大きい藁屑などは後方に搬送される。このとき、チャフシーブ48とグレンシーブ47との間には、唐箕42により選別部19の前方から後方への気流が発生しており、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【0040】
また、揺動選別装置19におけ
る流穀板45の後部下方かつ
搬送板46の前部下方には唐箕42が配置され、チャフシーブ48やグレンシーブ47に選別風を送風するようにしている。
【0041】
そして、揺動選別装置41の後端部近傍には、吸引ファン50が全幅に横設され、唐箕42から供給される選別風の流れに乗ってきた塵埃や脱穀時に発生する塵埃などを、吸引ファン50により吸引して機外へと排出するようにしている。
【0042】
選別部19内に投入され
、流穀板45上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、チャフシーブ48上に漏下される過程において、唐箕42により発生する選別部19の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。
【0043】
そして、チャフシーブ48上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、揺動選別装置41の揺動により、後方に搬送される、このとき、これら穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、チャフシーブ48の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ48の後方まで搬送され、ストローラック49を経て機外に排出される。
【0044】
また、チャフシーブ48の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、
搬送板46およびグレンシーブ47上に漏下される。このときも唐箕42からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
【0045】
さらに、グレンシーブ47上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などのうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑などは、グレンシーブ47を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番)は一番回収部51に回収され、後述する一番コンベア51aから図示しない揚穀コンベアを経て、グレンタンク12に搬送される。
【0046】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒などが混じった未処理粒は、唐箕42からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番回収部52に回収され、後述する二番コンベア52aから図示しない二番還元コンベアを経て
、流穀板45上(またはチャフシーブ48上)に再投入される。
【0047】
次に、本願発明の特徴である電動コンバインのバッテリーについて、その具体的構成を説明する。
図5は電動コンバインの動力伝達構成図、
図6は電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図、
図7はバッテリーを備える車両下部の左側面図、
図8はバッテリーの配設位置を示すフレームの斜視図、
図9はフレーム上に設置した収納位置での引出部材の斜視図、
図10は作用位置での引出部材の斜視図、
図11は機体底部に設置したバッテリーを車両下方から見た斜視図、
図12は薄板状に構成したバッテリーの斜視図である。
【0048】
本願発明の電動コンバイン1は、走行部3および脱穀部5や刈取部7など複数の処理部からなる作業部61を構成した駆動系の駆動源を、電動モータM(アクチュエータ)とエンジンE(原動機)とを併用し、作業部61の一部の駆動源を、エンジンEの動力にしたものである。
【0049】
図1にも示したように、車両左側部の、例えば、フィードチェーン18と、走行部3との間であって、車両前後方向の機台4上には、詳細を後述するバッテリーBが複数並設(図例では7個だが、設置数は限定されない)される。
【0050】
また、エンジンE近傍の機台4上には、エンジンEの図示しないクランク軸などに接続した発電機Dが設置されており、この発電機DはバッテリーBに接続されている。従って、エンジンEの動力により駆動させた発電機Dによって発電した比較的電圧の高い電力が、バッテリーBに充電され、後述する車両の駆動系の駆動源に用いられる。
【0051】
なお、エンジンEには、上述した発電機Dの他に、図示しない周知のオルタネータも設置されており、エンジンEの動力により駆動させたオルタネータによって発電した比較的電圧の低い電力が、別途設置した図示しないバッテリーを介して車両のライト、あるいはキャビンを装備する車両においてはエアコンなどの電源に用いられる。
【0052】
これらエンジンEおよび発電機Dを用いた電動コンバイン1の動力伝達構成は、
図5に示すように、まず、エンジンEには、発電機Dおよび作業部61を構成する脱穀部5の扱胴6のみが接続される。そして、発電機Dには、バッテリーBが接続されている。
【0053】
また、バッテリーBには、車両の上記扱胴6以外の作業部61であって、刈取部7を駆動させる各駆動部に設置した、刈取部電動モータM1と、脱穀部5を駆動させる扱胴6以外の各駆動部に設置した脱穀部電動モータM2と、選別部19を駆動させる各駆動部に設置した選別部電動モータM3と、排藁処理部11を駆動させる各駆動部に設置した排藁処理部電動モータM4と、搬送部16を駆動させる各駆動部に設置した搬送部電動モータM5とが、それぞれインバータI1〜I5および図示しないドライバを介して接続されている。
【0054】
さらに、バッテリーBには、走行部3を駆動させる駆動部に、走行部電動モータM6が、インバータI6や図示しないドライバを介して接続されている。なお、各電動モータM1〜M6は、アクチュエータの例示であって、その構成は限定されない。
【0055】
つまり、作業部61には、エンジンEの動力により駆動(扱胴6)させる、エンジン駆動部(原動機駆動部)62と、バッテリーBの電力により各モータM1〜M5の動力により駆動させる、扱胴6を除いた脱穀部5を含むアクチュエータ駆動部63とを有する構成とされる。
【0056】
そして、これらエンジンEおよび各電動モータM1〜M6から各駆動系への動力伝達は、
図6に示すように、まず、エンジン駆動部62においては、エンジンEの動力は、脱穀クラッチcおよび変速ギアgなどを介してVベルトvにより扱胴6の駆動軸6aに伝達され、扱胴6はエンジンEの動力により駆動する。
【0057】
一方、エンジンEの動力は、発電機Dも駆動させるため、この発電機Dにより発電した電力が、後述する各インバータI1〜I6に接続したバッテリーBに充電される。
【0058】
そして、刈取部7では、例えば、刈取部7全体を駆動させる刈取入力軸7aにインバータI1に接続した刈取部電動モータM1の出力軸を連結する。なお、刈取部7は、引起タインチェン64を備える穀稈引起装置65や、掻込ベルト66を備える穀稈搬送装置67、刈刃駆動ユニット68を有する刈刃装置69などからなる周知の構成であり、これら装置間にはベルトやギアなど周知の機械式伝達機構で動力を中継することができるが、この発明は上記に限定されず、例えば、刈取部7内における各装置を駆動する入力軸にそれぞれインバータを介して電動モータを設置してもよい。
【0059】
また、脱穀部5のフィードチェーン18を駆動する入力軸18aには、インバータI2に接続した脱穀部電動モータM2が連結されるとともに、選別部19における揺動選別装置41の揺動駆動機構44および唐箕42、揚穀コンベアに連動する一番コンベア51a、二番還元コンベアに連動する二番コンベア52aなどを駆動する各入力軸には、それぞれインバータI3を構成するインバータI3a,I3b,I3c,I3dに接続した選別部電動モータM3を構成する選別部電動モータM3a,M3b,M3c,M3dが連結される。
【0060】
また、排藁処理部11の排藁搬送チェーン20や吸引ファン50などを駆動する入力軸には、インバータI4を構成するインバータI4a,I4bに接続した脱穀部電動モータM4を構成する脱穀部電動モータM4a,M4bが連結されるとともに、搬送部16では、縦オーガ13aおよび横オーガ13bに連動する排出コンベア12aを駆動する入力軸に、インバータI5に接続した脱穀部電動モータM5が連結される。
【0061】
次に、走行部3では、上述の
図6に示すように、クローラ式走行装置における左右駆動スプロケット3a,3bのそれぞれに接続する左右各車軸3c,3dに、インバータI6を構成するインバータI6a,I6bに接続した走行部電動モータM6を構成する走行部電動モータM6a,M6bが連結される。
【0062】
このような構成にすることで、エンジン動力を作業部61の一部の駆動源に限定して用いることで、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化できるとともに、走行部3は、エンジン動力を伝達する機械式の動力伝達部材を必要とせず、走行部3の構成を簡素化することができる。
【0063】
特に、車両の駆動系の中で最も出力を要する扱胴6のみをエンジン動力にすることで、大量の穀稈を扱歯に巻き付けたり挟むなどして回転に大きな負荷がかかる扱胴6でも、円滑に回転駆動させることができるとともに、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化し、排ガスの低減と燃費を向上させることができる。
【0064】
次に、上述したような、扱胴6以外の作業部61を電動モータM1〜M5で駆動させるだけの十分な電力を各電動モータMに供給可能とするバッテリーBの配設を説明する。まず、
図1および
図7に示すように、脱穀部5のフィードチェーン18と、走行部3との間で、フィードチェーン18の下方である機台4上には、車両左右方向に長い、例えば略長方形状のバッテリーBが、車両前後方向に複数(図例では7個だが、設置数は限定されない)連設される。
【0065】
また、これらバッテリーBは、
図8に示すように、車両進行方向の機体右側に配設したグレンタンク12とは左右対称位置の機体左側に配設されるものである。なお、このバッテリーBは二次電池であり、リチウムイオン電池や、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池など適宜使用することができる。
【0066】
このような構成にすることで、扱胴6以外の作業部61を電動モータM1〜M5で駆動させるだけの十分な電力を供給可能とする、従来よりも設置数(容量)を増加させたこれらバッテリーBを、限られた機体のスペースに効率的に配設することができる。
【0067】
また、グレンタンク12内に処理した穀粒が導入されることでグレンタンク12の重量増加に伴う機体右側の重量が増加しても、機体左側に設置したバッテリーBによって機体の左右バランスを維持させることができる。
【0068】
さらには、これら各バッテリーBの車両左右方向の左端部上面あるいは左側端面に、充電口eなどを設けることが好ましい。このような構成にすることで、作業者は、車両左側方から各バッテリーBの充電口eに容易にプラグインなどして各バッテリーBを充電することができる。
【0069】
次に、本願発明では、バッテリーBの一部を車両側方へ引き出し可能に備える構成にしてもよい。この場合、
図9に示すように、機台4上には、車両の左側方に向けて摺動可能な引出部材71が取付けられる。この引出部材71は、例えば、図例のバッテリーBを7載置可能な面積を有する薄く、バッテリーBの重量に耐え得る高強度の金属板などから構成される。
【0070】
そして、例えば、引出部材71の車両前後方向の前後端部に位置する機台4の同位置には、引出部材71の前後端部を内側に嵌合可能とする、引出部材71と同じ材質でもよい略コ字状の保持部72が車両左右幅方向に取付けられる。なお、保持部72は、上述したように部材を別途取付ける構成ではなく、上述した引出部材71の前後端部に位置する機台4の位置を、引出部材71を嵌合させて摺動可能となる形状に一体成形してもよい。
【0071】
また、図示しないが、引出部材71の前後端部を、保持部72内の上部および下部に設けたローラ間に摺動可能に挟装させたり、あるいは上方に引出部材71が位置する機台4上には、1本もしくは2本以上複数本のレールを車両左右幅方向に敷設するとともに、引出部材71底面の前記レール位置には、車輪を取付けて、前記レール上に前記車輪を滑らせて、機台4上を車両左側方に向けて引出部材71を摺動させる構成にしてもよい。
【0072】
さらに引出部材71が、収納位置から車両左側方に向けて引出部材71全体の1/3〜1/2程度(限定しない)を最大として(引き出しを留めて)左側端部が引き出し可能となるように、例えば、引出部材71の前後端部と保持部72外側端部や、前記車輪近傍と前記レールなど、それぞれが接触する弾性材などからなる図示しないストッパー部材をそれら該当位置に取り付ける。
【0073】
この引出部材71上に、バッテリーBをボルト締結などして並設する
。なお、バッテリーBを設置した引出部材71は、収納位置において、機台4もしくは保持部72などに図示しないボルト締結やフック係止など適宜用いた固定手段により固定することで、引出部材71上のバッテリーBを、フィードチェーン18下方の収納位置に安定的に収納固定するものである。また、引出部材71には、把持部73が図例のように1箇所、もしくは複数個所に取付けられる。
【0074】
ここで、脱穀部5のフィードチェーン18下方の収納位置に収納されているバッテリーBへの充電やメンテナンス、交換などの作業を行う際、作業者は、引出部材71の把持部7
3を掴み、
図10に示すように、引出部材71を車両左側方に向けて引出部材71の左側端部を容易に引き出すことができる。
【0075】
このとき引出部材71は、前記ストッパー部材同士の接触により、引出部材71全体の1/3〜1/2程度となる左側端部が引き出された位置で留まるため、引出部材71が機台4から外れることがなく、重量を有するバッテリーBの落下を防ぐことができる。
【0076】
このような構成にすることで、脱穀部5のフィードチェーン18下方の収納位置に収納されているバッテリーBを、引出部材71で車両側方に向けて容易に引き出せることにより、バッテリーBの充電や、交換などメンテナンスを容易に行うことができる。なお、引出部材71は、例えば、図示しないが、引出部材71の背面(車両中央側)や側面(車両前後側)など適宜位置に設置した電動モータにより摺動可能とし、スイッチ操作で自動的に引出および収納可能に構成してもよい。
【0077】
また、引出部材71は、図例のような7個のバッテリーBを載置可能とする1枚の部材を用いることに限定されず、例えば、1個のバッテリーBにつき1枚の引出部材や、2個以上複数個のバッテリーBを載置できる引出部材の複数枚を機台4上に個別に引き出し可能に備えてもよい。
【0078】
次に、バッテリーBは、設置スペースの少ない車両に、設置し易い形状に構成することもできる。この場合、
図11に示すように、走行部3である左右一対のクローラ式走行装置間の車両本体底面であって、トラックフレーム2下面に、複数のバッテリーB´aをホルダーh内に設置したバッテリーB´を、ボルトなどの締結具で着脱自在に設置してもよい。
【0079】
そして、各バッテリーB´aは、
図12に示すような、例えば、左右走行部3間の左右方向幅a(例えば50cm前後)、走行部3の前後方向長さb(例えば1m前後)および車両上下方向の高さc(例えば10cm程度)を有する車両本体内部底面に設置可能とした薄板状の長方形を有するもので、例えば、これらバッテリーB´aをホルダーh内において複数個直列に連結したものを2段に重ねるなどしてバッテリーB´にすることで、バッテリーB´の設置高さなどバッテリーB´の設置スペースを抑えることができる。なお、バッテリーB´aの配列を適宜直列または並列にすることで、バッテリーB´の厚みを薄くしてもバッテリーの容量や電圧を維持することができる。従って、上述した車両本体底面に設置しても圃場面からの本体底部の最低地上高を下げることなく、車両の走行や作業に支障を来たすことはない。
【0080】
また、この場合のバッテリーB´は、例えば、ホルダーhにおける車両前後方向の後端部(後端面など)にカプラ方式の配線(充電口)を設けておくことで、このホルダー側のカプラを、図示しない充電スタンド(充電池供給側)のカプラと着脱(プラグイン)させて、バッテリーB´を充電可能とする構成にすることができる。なお、バッテリーBについても、上記カプラ方式の配線を適宜位置に設置することで、上述同様に充電作業を向上することができる。
【0081】
以上詳述したように、この例の電動コンバイン1は、車両にエンジンE(原動機)およびバッテリ
ーB´を搭載し、バッテリ
ーB´は、インバータI1〜I6を介して電動モータM1〜M6(アクチュエータ)に電力を供給するとともに、エンジンEおよび電動モータM1〜M6の各駆動源によって、車両の走行部3と、脱穀部5を含む複数の処理部からなる作業部61とを駆動し、走行部3は、電動モータM3の動力で駆動させるとともに、作業部61は、電動モータM1〜M5の動力で駆動させるアクチュエータ駆動部63と、エンジンEの動力により駆動させるエンジン駆動部62とを備え、バッテリ
ーB´は、
走行部3の左右クローラ走行装置間であって、機台4の下面に設置したものである。