(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752382
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】表示装置及び画像データの転送方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20150702BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20150702BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20150702BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 505
G09G3/20 621F
G09G3/20 631B
G09G5/00 550P
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-218435(P2010-218435)
(22)【出願日】2010年9月29日
(65)【公開番号】特開2012-73457(P2012-73457A)
(43)【公開日】2012年4月12日
【審査請求日】2013年8月5日
【審判番号】不服2014-17693(P2014-17693/J1)
【審判請求日】2014年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】池野 和夫
(72)【発明者】
【氏名】佐津川 大助
【合議体】
【審判長】
中塚 直樹
【審判官】
清水 稔
【審判官】
堀 圭史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−248965(JP,A)
【文献】
特開2002−140063(JP,A)
【文献】
特開昭63−91787(JP,A)
【文献】
特開2009−179179(JP,A)
【文献】
特開2001−306038(JP,A)
【文献】
特開平7−28692(JP,A)
【文献】
特開平1−120661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36, G02F 1/133, G09G 3/20, G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データが格納される第1メモリと、前記第1メモリに格納された画像データが転送される第2メモリと、前記第1メモリに格納された画像データの読み込みを行うためのリード信号を出力するCPUと、前記第2メモリに対して画像データの書き込みを行うと共に、表示器のドライバを制御して前記第2メモリに書き込まれた画像データを表示させるグラフィックコントローラと、前記第1メモリ、前記CPU及び前記グラフィックコントローラ間を互いに接続するデータバスと、を備え、前記CPUが前記第1メモリに格納された画像データを読み込むために第1メモリに対してリード信号を出力すると、前記第1メモリが前記画像データを前記データバスに出力する表示装置において、
前記CPUが、前記グラフィックコントローラにも前記リード信号を出力し、
前記グラフィックコントローラが、前記リード信号の入力に応じて前記データバスに出力される画像データを前記CPUを経由せずに直接読み取って、当該読み取った画像データを前記第2メモリに書き込む
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記CPUが、前記第2メモリに対する前記画像データの転送を指示するバイパスライト信号を出力し、
前記グラフィックコントローラが、前記バイパスライト信号が出力されているときのみ、前記リード信号が出力されると前記データバスに出力される画像データを読み取って前記第2メモリに書き込む
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
画像データが格納される第1メモリと、前記第1メモリに格納された画像データが転送される第2メモリと、前記第1メモリに格納された画像データの読み込みを行うためのリード信号を出力するCPUと、前記第2メモリに対して画像データの書き込みを行うと共に、表示器のドライバを制御して前記第2メモリに書き込まれた画像データを表示させるグラフィックコントローラと、前記第1メモリ、前記CPU及び前記グラフィックコントローラ間を互いに接続するデータバスと、を備え、前記CPUが前記第1メモリに格納された画像データを読み込むために第1メモリに対してリード信号を出力すると、前記第1メモリが前記画像データを前記データバスに出力する表示装置において、前記第1メモリに格納された画像データを前記第2メモリに転送する画像データの転送方法であって、
前記CPUが、前記グラフィックコントローラ及び前記第1メモリに対してリード信号を出力する工程と、
前記第1メモリが前記リード信号の入力に応じて前記画像データを前記データバスに出力すると共に前記グラフィックコントローラが前記リード信号の入力に応じて前記データバスに出力された画像データを前記CPUを経由せずに直接読み込んで前記第2メモリに書き込む工程と、
を順次行うことを特徴とする画像データの転送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び画像データの転送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した表示装置として、例えば、
図3に示されたものが知られている(特許文献1)。同図に示すように、表示装置1は、表示装置1全体の制御を司る第1制御部としてのCPU4と、画像データが格納された第1メモリとしてのROM5と、ドライバ3を制御して画像データを液晶表示器2に表示させる第2制御部としてのグラフィックコントローラ(以下GDC)6と、液晶表示器2に表示させる画像データを一時的に格納する第2メモリとしてのVRAM7と、これらCPU4、ROM5及びGDC6を互いに接続するデータバス8と、を備えている。
【0003】
上述した表示装置1においては、ROM5に格納してある画像データを液晶表示器2に表示させるために、ROM5に格納してある画像データを一時的にVRAM7に転送して格納する必要がある。
【0004】
従来、上述した転送方法としては、
図4に示すような手順で行われている。
図4(A)〜(E)はそれぞれ、
図3に示す表示装置1におけるリード信号、ROM5の動作状態、ライト信号、GDC6の動作状態、データバス8上の画像データのタイムチャートである。まず、CPU4が、ROM5に対してリード信号を出力する(
図4(A))。このリード信号の出力に応じてROM5は、データバス8に画像データを出力する(
図4(B)、(E))。CPU4は、データバス8に出力された画像データを読み込んで、図示しない内部メモリに格納する。
【0005】
読み込みが完了すると、CPU4は、GDC6に対してライト信号を出力すると共に(
図4(C))、データバス8に画像データを出力する(
図4(E))。上記ライト信号の出力に応じてGDC6は、データバス8に出力された画像データを読み込んで、VRAM7に書き込む(
図4(D)、(E))。
【0006】
しかしながら、上述した転送方法では、ROM5に格納されている画像データをCPU4が読み込み、その後、CPU4からGDC6を介してVRAM7に画像データを書き込む必要があった。即ち、従来の転送方法では、読み込み・書き込みの2つテップの処理が必要となり、転送するのに時間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−248965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、処理能力を上げることなく画像データの転送に必要とする処理時間の短縮を図った表示装置及び画像データの転送方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、画像データが格納される第1メモリと、前記第1メモリに格納された画像データが転送される第2メモリと、前記第1メモリに格納された画像データの読み込みを行う
ためのリード信号を出力するCPUと、前記第2メモリに対して画像データの書き込みを行う
と共に、表示器のドライバを制御して前記第2メモリに書き込まれた画像データを表示させるグラフィックコントローラと、前記第1メモリ、
前記CPU及び前記グラフィックコントローラ間を互いに接続するデータバスと、を備え、前記
CPUが前記第1メモリに格納された画像データを読み込むために第1メモリに対してリード信号を出力すると、前記第1メモリが前記画像データを前記データバスに出力する表示装置において、前記
CPUが、前記
グラフィックコントローラにも前記リード信号を出力し、前記
グラフィックコントローラが、前記リード信号の入力に応じて前記データバスに出力される画像データを前記
CPUを経由せずに直接読み取って、当該読み取った画像データを前記第2メモリに書き込むことを特徴とする表示装置に存する。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記
CPUが、前記第2メモリに対する前記画像データの転送を指示するバイパスライト信号を出力し、前記
グラフィックコントローラが、前記バイパスライト信号が出力されているときのみ、前記リード信号が出力されると前記データバスに出力される画像データを読み取って前記第2メモリに書き込むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置に存する。
【0011】
請求項3記載の発明は、画像データが格納される第1メモリと、前記第1メモリに格納された画像データが転送される第2メモリと、前記第1メモリに格納された画像データの読み込みを行う
ためのリード信号を出力するCPUと、前記第2メモリに対して画像データの書き込みを行う
と共に、表示器のドライバを制御して前記第2メモリに書き込まれた画像データを表示させるグラフィックコントローラと、前記第1メモリ、前記
CPU及び前記
グラフィックコントローラ間を互いに接続するデータバスと、を備え、前記
CPUが前記第1メモリに格納された画像データを読み込むために第1メモリに対してリード信号を出力すると、前記第1メモリが前記画像データを前記データバスに出力する表示装置において、前記第1メモリに格納された画像データを前記第2メモリに転送する画像データの転送方法であって、前記
CPUが、前記
グラフィックコントローラ及び前記第1メモリに対してリード信号を出力する工程と、前記第1メモリが前記リード信号の入力に応じて前記画像データを前記データバスに出力すると共に前記
グラフィックコントローラが前記リード信号の入力に応じて前記データバスに出力された画像データを前記
CPUを経由せずに直接読み込んで前記第2メモリに書き込む工程と、を順次行うことを特徴とする画像データの転送方法に存する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように請求項1及び3記載の発明によれば、
グラフィックコントローラが、リード信号の入力に応じてデータバスに出力される画像データを
CPUを経由せずに直接読み取って、当該読み取った画像データを第2メモリに書き込むので、
CPUが読み込み・書き込みの2ステップ必要だった処理を、読み込みの1ステップのみで可能となるため、処理能力を上げることなく画像データの転送に必要とする処理時間の短縮を図ることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、バイパスライト信号が出力されているときのみ画像データを転送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の表示装置の一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】(A)〜(E)はそれぞれ、
図1に示す表示装置1におけるバイパスライト信号、リード信号、ROMの動作状態、GDCの動作状態、データバス上の画像データのタイムチャートである。
【
図3】従来の表示装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】(A)〜(E)はそれぞれ、
図3に示す表示装置1におけるリード信号、ROMの動作状態、ライト信号、GDCの動作状態、データバス上の画像データのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の表示装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の表示装置の一実施形態を示すブロック図である。同図に示すように、表示装置1は、液晶表示器2と、この液晶表示器2を駆動するX、Yドライバ31、32と、表示装置1全体の制御を司る第1制御部としてのCPU4と、画像データが格納された第1メモリとしてのROM5と、X、Yドライバ31、32を制御して画像データを液晶表示器2に表示させる第2制御部としてのGDC6と、液晶表示器2に表示させる画像データを一時的に格納する第2メモリとしてのVRAM7と、これらCPU4、ROM5及びGDC6を互いに接続するデータバス8と、を備えている。
【0016】
上記液晶表示器2は、マトリクス状に配置されたY行X列の液晶素子と、このY行X列の液晶素子をそれぞれ挟む一対の透明電極と、このY行X列の液晶素子の背面に設けられた面光源(何れも図示せず)と、を有している。各液晶素子には、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが順次設けられている。この液晶表示器2は、例えば車両のコントロールパネルに配置される。
【0017】
上記液晶素子を挟む一対の透明電極の一方は、行毎に互いに接続されている。この行毎に互いに接続された透明電極であるY行電極E
Yがそれぞれ、Yドライバ32に接続されている。一方、上記液晶素子を挟む一対の透明電極の他方は、列毎に互いに接続されている。この列毎に互いに接続された透明電極であるX行電極E
Xがそれぞれ、Xドライバ31に接続されている。
【0018】
上記CPU4は、信号線によってROM5に接続されていて、この信号線を介してROM5にリード信号を出力する。上記ROM5は、リード信号が出力されると、格納された画像データをデータバス8に対して出力する。このリード信号を伝送するためにCPU4とROM5との間に接続された信号線は、分岐されていて、GDC6にも接続されている。即ち、CPU4から出力されるリード信号は、ROM5及びGDC6の両者に出力される。また、CPU4は、バイパスライト信号をGDC6に対して出力している。GDC6は、バイパスライト信号が出力されている間にリード信号が出力されると、データバス8に出力されている画像データをVRAM7へ書き込む。
【0019】
また、上記GDC6は、VRAM7に一時的に格納された画像データをRGB信号、階調データなどに変換し、そのRGB信号、階調データに応じてX、Yドライバ31、32を駆動する。具体的には、GDC6は、垂直同期信号をYドライバ32に出力する。Yドライバ32は、垂直同期信号に同期してY行電極E
Yの一つを順次選択して、選択されたY行電極E
Yに接続された液晶素子に対する電圧の印加が可能な状態にしておく。
【0020】
GDC6は、水平同期信号をXドライバ22に出力すると共に水平同期信号に同期してRGB信号、階調データをXドライバ31に出力する。Xドライバ31は、水平同期信号に同期してX行電極E
Xの一つを順次選択して、選択されたX行電極E
Xに接続された液晶素子にRGB信号、階調データに応じた電圧を印加する。即ち、Yドライバ32により選択された行とXドライバ31により選択された列との交点がRGB信号、階調データに応じた表示状態となる。そして、Xドライバ31、Yドライバ32によってX行Y列の液晶素子全部に対して順次、RGB信号、階調データに応じた電圧を印加することにより、画像データに対応する画像が液晶表示器2に表示される。
【0021】
次に、上述した構成の表示装置1の動作を
図2のタイムチャートを参照して説明する。
図2(A)〜(E)は、
図1に示す表示装置1におけるバイパスライト信号、リード信号、ROM5の動作状態、GDC6の動作状態、データバス上に画像データのタイムチャートである。まず、CPU4は、ROM5に格納されている画像データをVRAM7に転送するために、バイパスライト信号をGDC6に対して出力する(
図2(A))。
【0022】
次に、CPU4は、リード信号をROM5及びGDC6の両者に対して出力する(
図2(B))。ROM5は、上記リード信号の入力に応じて動作を開始してデータバス8に対して画像データを出力する(
図2(C)、(E))。GDC6は、バイパスライト信号が出力されている間にリード信号が出力されると、データバス8に出力された画像データをCPU4を経由せずに直接読み取って、読み取った画像データをVRAM7を書き込む(
図2(D))。
【0023】
上述した表示装置1によれば、
図2に示すように、GDC6が、リード信号の入力に応じてデータバス8に出力される画像データをCPU4を経由せずに直接読み取って、当該読み取った画像データをVRAM7に書き込むので、CPU4が読み込み・書き込みの2ステプ必要だった処理を、読み込みの1ステップのみで可能となるため、処理能力を上げることなく画像データの転送に必要とする処理時間の短縮を図ることができる。
【0024】
また、上述した表示装置1によれば、GDC6が、バイパスライト信号が出力されているときのみリード信号に応じてデータバス8に出力される画像データを読み取ってVRAM7に書き込む。これにより、バイパスライト信号が出力されているときのみ画像データを転送することができる。
【0025】
なお、上述した表示装置1によれば、GDC6を第2制御部としていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、CPU4自体がXドライバ31、Yドライバ32を駆動できるものであれば、例えば、VRAM7内に第2制御部を設けて、リード信号が出力されているときにデータバス8に出力されている画像データを読み取って書き込むようにしてもよい。
【0026】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 表示装置
4 CPU(第1制御部)
5 ROM(第1メモリ)
6 GDC(第2制御部)
7 VRAM(第2メモリ)
8 データバス