特許第5752426号(P5752426)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752426
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
   A63F7/02 334
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-3400(P2011-3400)
(22)【出願日】2011年1月11日
(65)【公開番号】特開2012-143361(P2012-143361A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2013年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】河内 尚則
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 恵介
(72)【発明者】
【氏名】鶴野 幸司
【審査官】 篠崎 正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−175215(JP,A)
【文献】 特開2002−191773(JP,A)
【文献】 特開2001−133493(JP,A)
【文献】 特開2006−032845(JP,A)
【文献】 特開2004−141490(JP,A)
【文献】 特開2005−152096(JP,A)
【文献】 特開2009−045504(JP,A)
【文献】 特開2008−302036(JP,A)
【文献】 特開平11−333123(JP,A)
【文献】 特開2010−220959(JP,A)
【文献】 特開2002−011226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球通路を流れる遊技球の通過を検出する球検出手段と、
遊技球で遊技が行われる遊技盤又は該遊技盤を装飾する装飾部材で覆われ、前記球検出手段に向かう電波を吸収又は反射して減衰させる電波減衰部材と、
前記電波減衰部材に接続され、前記電波減衰部材に流れた電流により不正遊技の有無を検知する不正検知手段と、
前記不正検知手段で検知された不正状態を報知する報知手段と、
を有する遊技機。
【請求項2】
前記不正検知手段は、前記電波減衰部材で減衰しきれない周波数の電波による電流が前記電波減衰部材に流れたとき、不正遊技有りと検知する請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記電波減衰部材は、軟磁性体で形成されている請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記電波減衰部材が前記球通路の一部を構成している請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記電波減衰部材は、複数の導通部材が格子状に組み付けられた格子部材である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が遊技盤の表面に沿って、釘及び風車を含む障害物に当接しながら落下する領域に設けられ、入賞することで賞球が払い出される入賞口を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の遊技機は、遊技盤を覆うガラス板が2枚のガラス(遊技者側、遊技盤側)で構成されており、遊技者側のガラスには、外部からの電波を遮断するための導電性の酸化錫膜が形成されている。
【0003】
特許文献2の遊技機は、2枚の透明樹脂体で導電合成繊維織布を挟んで電磁波検出用アンテナを形成し、この電磁波検出用アンテナを遊技機の前側を覆って取付けている。そして、電磁波検出用アンテナに電磁波検知器を接続して、電磁波検出を行っている。
【0004】
しかし、特許文献1、2の遊技機は、いずれもガラス板そのものに電波遮断又は電波検出の対策を施しているため、対策を施していないガラス板を用いた場合に比べて光の透過率が低下しており、遊技者による遊技球の視認性が低下していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−216590号公報
【特許文献2】特開平11−333123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、遊技盤に電波を照射して遊技球を獲得する不正行為に対し、遊技球の視認性の低下を抑制すると共に不正行為を防ぐことができる遊技機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る遊技機は、球通路を流れる遊技球の通過を検出する球検出手段と、遊技球で遊技が行われる遊技盤又は該遊技盤を装飾する装飾部材で覆われ、前記球検出手段に向かう電波を吸収又は反射して減衰させる電波減衰部材と、前記電波減衰部材に接続され、前記電波減衰部材に流れた電流により不正遊技の有無を検知する不正検知手段と、前記不正検知手段で検知された不正状態を報知する報知手段と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、遊技者側から遊技盤(球検出手段)に電波(以後、不正電波という)を照射する不正行為が行われたとき、不正電波は、球検出手段よりも遊技者側にある電波減衰部材に照射される。そして、電波減衰部材では、不正電波が吸収又は反射されることで減衰される。これにより、不正電波が球検出手段に到達するのを防ぐことができる。さらに、電波減衰部材は、遊技盤又は装飾部材によって覆われているため、電波減衰部材によって遊技球の視認性が低下することはない。このため、電波減衰部材による遊技球の視認性の低下を抑制することができる。また、電波減衰部材に流れた電流が不正検知手段で検知されることで報知手段が不正状態を報知する。これにより、不正を防ぐことができる。
【0009】
本発明の請求項2に係る遊技機の前記不正検知手段は、前記電波減衰部材で減衰しきれない周波数の電波による電流が前記電波減衰部材に流れたとき、不正遊技有りと検知する。
【0010】
上記構成によれば、電波減衰部材が減衰しきれる周波数の電波が存在する場合は、不正電波が減衰されるので、不正を防ぐことができる。また、電波減衰部材が減衰しきれない周波数の電波が存在した場合であっても、電波減衰部材に流れた電流が不正検知手段で検知されることで報知手段が不正状態を報知する。これにより、電波減衰部材で減衰しきれない周波数の電波による不正を防ぐことができる。
【0011】
本発明の請求項3に係る遊技機は、前記電波減衰部材は、軟磁性体で形成されている。
【0012】
上記構成によれば、磁石を用いた不正行為が行われた場合でも電波減衰部材が着磁されにくくなるので、球通路及び球検出手段における遊技球の流れる方向が電波減衰部材によって変更されるのを防ぐことができる。さらに、不正検知手段が電波減衰部材の磁力についても検知する構成となっている場合には、電波減衰部材の着磁による連続した検知ON状態の検知(誤検知)を防ぐことができる。
【0013】
本発明の請求項4に係る遊技機は、前記電波減衰部材が前記球通路の一部を構成している。
【0014】
上記構成によれば、電波減衰部材が球通路の一部を構成しているので、球通路とは異なる部位に電波減衰部材を設置する構成に比べて、遊技機内の省スペース化が可能となる。
【0015】
本発明の請求項5に係る遊技機は、前記電波減衰部材は、複数の導通部材が格子状に組み付けられた格子部材である。
【0016】
上記構成によれば、縦方向(鉛直方向)を長手方向とする電波減衰部材及び横方向(水平方向)を長手方向とする電波減衰部材のいずれか一方のみを設けた構成に比べて、電波を吸収又は反射する範囲が拡がるので、不正電波の減衰性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記構成としたので、遊技盤に電波を照射して遊技球を獲得する不正行為に対し、遊技球の視認性の低下を抑制すると共に不正行為を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るパチンコ機の正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る遊技盤の正面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るサイド飾り、遊技盤、電波シールド部材、及び球案内パネルの配置を示す説明図である。
図4】(A)本発明の第1実施形態に係る遊技盤の裏面側に取り付けられた電波シールド部材及び球案内パネルの斜視図である。(B)本発明の第1実施形態に係る遊技機のガラス板から球案内パネルまでの構成を示す断面図である。
図5】(A)、(B)本発明の第1実施形態に係る球案内パネルの正面図及び斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る球検出センサの斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る電波シールド部材による不正電波の減衰状態及び検知状態を示す説明図である。
図8】(A)本発明の第2実施形態に係る遊技機の断面図である。(B)本発明の第2実施形態の他の実施例に係る電波シールド部材と球検出センサの配置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1実施形態に係るパチンコ機について説明する。
【0020】
(パチンコ機の構成)
図1には、第1実施形態の遊技機の一例としてのパチンコ機10が示されている。パチンコ機10は、パチンコ機10の外郭を構成するとともにパチンコホールの島設備(図示省略)に設置される矩形状の外枠12を備えている。外枠12の前面には、合成樹脂で矩形額縁状に形成された内枠14が配置されており、内枠14の下側となる外枠12の前面下端部には、パチンコ機10の前面下端部を構成する合成樹脂製の下飾り16が取り付けられている。
【0021】
下飾り16の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板18を装着したガラス枠20が配置されており、ガラス枠20は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠20の奥側には、着脱交換可能に遊技盤22がセットされており、遊技盤22は、ガラス枠20で閉塞された状態でガラス板18に対向するようになっている。
【0022】
ガラス枠20の下部には、皿ユニット24が配置されている。パチンコ機10の正面視で皿ユニット24の右端部には、鍵穴26が設けられており、鍵穴26にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠20が開放し、他方に回すと皿ユニット24が開放するようになっている。
【0023】
皿ユニット24には、遊技球(図示省略)が払い出される上皿部28と、上皿部28で満杯となった遊技球が送り出される下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられており、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球を外部(例えば、いわゆる「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0024】
上皿部28の周縁壁部32における右端部には、球貸ボタン38と、返却ボタン42が設けられている。また、皿ユニット24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するための発射ハンドル44が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が収納されている。そして、皿ユニット24における下皿部30の右側には、報知手段の一例としてのスピーカ50が設けられている。
【0025】
さらに、皿ユニット24における上皿部28の周縁壁部32には、遊技者が操作可能な操作ボタン52が設けられている。操作ボタン52は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0026】
一方、ガラス枠20におけるガラス板18の周囲には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出すアーチ状の上側演出部54が設けられている。そして、上側演出部54の下端部は、皿ユニット24の周囲に略U字型に配置された下側演出部56の上端部と連結されている。この結果、上側演出部54と下側演出部56とで、遊技盤22の周囲を取り囲むように、演出部58が形成されている。
【0027】
下側演出部56は、上側演出部54及び下側演出部56共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように所定の意匠で形成されたレンズカバー62とが取り付けられている。
【0028】
レンズカバー62は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。
【0029】
また、ガラス枠20の上部角部には、それぞれ報知手段の一例としての三連表示灯64が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知や後述する不正報知等を含む)に適用される。さらに、上側演出部54における、ガラス枠20の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に音声を出力するようになっている。
【0030】
(遊技盤の構成)
図2に示すように、遊技盤22は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール72及び内レール74が取り付けられている。これらの外レール72及び内レール74によって囲まれた円形状の領域は、発射装置(図示省略)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域Fとされている。
【0031】
遊技盤22の遊技領域Fには、釘(図示省略)及び風車76が点在して打ち込まれている。また、遊技領域Fにおけるほぼ中央には、センター役物80が配置されている。センター役物80は、各種演出等の映像を表示するLCD表示部82を備えている。
【0032】
LCD表示部82では、例えば、3列の図柄列が独立して変動し、最終的に3列の図柄列が同一図柄で停止した場合に特別図柄抽選の当選を報知するといった、図柄変動パターン演出が実行される。なお、3列の内、先に2列が同一図柄で停止(仮停止)して、残りの1列が変動中の場合、あるいは、3列の内、先に左右2列が同一図柄で停止(仮停止)して、残りの中央の1列が変動中の場合を「リーチ」という。
【0033】
センター役物80の下辺部には、ステージ80Sが形成されている。ステージ80Sには、釘等で跳ね返えることで受け入れた遊技球PB、あるいは図示しないワープ路に案内されて受け入れた遊技球PBが送り込まれるようになっている。また、ステージ80Sは、傾斜面や突起部等が形成されており、遊技球PBの移動が当該傾斜面や突起部等により不規則に変化して、最終的に下辺手前から遊技盤22へ戻されるようになっている。
【0034】
一方、センター役物80の左側(図示の左側)には、普通図柄抽選の始動機能を持つ通過ゲート84が配置されている。また、センター役物80の下部には、特別図柄始動入賞口86A、86Bが上下に設けられている。
【0035】
特別図柄始動入賞口86Aは、常時、入賞可能に上部が開口しており、特別図柄始動入賞口86Bの上部開口(入賞開口部)は、特別図柄始動入賞口86Aが閉塞している。この特別図柄始動入賞口86Bには、電動チューリップ88が取り付けられている。電動チューリップ88は、遊技盤22の裏面側に配設された電チューソレノイド(図示省略)の通電、非通電によって開閉する構成となっている。ここで、電動チューリップ88が開放状態になると、特別図柄始動入賞口86Bの入賞開口部への遊技球PBの受け入れが可能となり、遊技球PBの入賞が可能となる。
【0036】
また、図2に示すように、特別図柄始動入賞口86Bの下側には、遊技領域Fの下端部付近に位置してアタッカー92が配置されている。アタッカー92には開閉扉94が設けられており、開閉扉94は、アタッカーソレノイド(図示省略)の通電、非通電によって開放又は閉塞されるようになっている。すなわち、開閉扉94の開放時には、開閉扉94上に落下した遊技球PBが開閉扉94に案内されてアタッカー92へ入賞する。
【0037】
また、遊技領域Fの中央の最下位置には、入賞せずに流化した遊技球PB(外れ球)を遊技盤22の裏側へ排出するアウト口96が設けられている。
【0038】
さらに、遊技領域Fにおけるセンター役物80よりも下で、且つ特別図柄始動入賞口86A、86Bの左右には、複数のサイド入賞口102(本実施形態では、パチンコ機10を遊技者側から正面視して、向かって左側に2個のサイド入賞口102A、120B、右側に1個のサイド入賞口102Cとする。)が設けられている。なお、サイド入賞口102は、3個に限られるものではなく、例えば、入賞率等の設計上の演算によってその数を決めればよい。
【0039】
ここで、特別図柄始動入賞口86A又は特別図柄始動入賞口86Bに遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選が実行され、この特別図柄抽選に当選すると、前記アタッカー92の開閉扉94が所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返すようになっている(「特別遊技状態」又は「大役処理」等と言う場合がある)。
【0040】
なお、前記特別図柄抽選の当選/落選は、主としてLCD表示部82の図柄変動表示演出において遊技者に報知され、この図柄変動パターン演出中、或いは、前記大役処理中の場合は、抽選結果を保留し、順次報知していくようになっている。また、図柄変動表示演出と共に、動物などが擬人化されたキャラクタが表示され、抽選で当選した旨を暗示させることにより、遊技者に期待感を持たせるといった視覚的な演出をすることがあり、その場合は、効果音によって聴覚からも遊技者の興趣を増大させる。
【0041】
一方、遊技盤22には、内レール74の内側に沿って取付けられ遊技領域Fの左下側の一部を構成する装飾部材104が設けられている。装飾部材104は、略三日月状の本体部104Aを有しており、本体部104Aの中央付近にはサイド入賞口102Aが設けられ、本体部104Aの右下側にはサイド入賞口102Bが設けられている。なお、本体部104Aの装飾状態(形状)については説明を省略する。
【0042】
ここで、図2図3、及び図4(A)、(B)に示すように、遊技盤22の裏面側(遊技者と対面する側を表面とする)におけるセンター役物80の下部には、球通路の一例としての球案内パネル120が取付けられている。球案内パネル120は、図2に鎖線で示すように、センター役物80の下部に集中している入賞口(特別図柄始動入賞口86A、86B、サイド入賞口102A、102B、102C)に対応するように取り付けられている。
【0043】
図5(A)、(B)に示すように、球案内パネル120は、遊技盤22(図2参照)の幅方向寸法と略同一の幅寸法を有しており、さらに、センター役物80(図2参照)の下部の領域に相当する遊技盤22の高さ寸法と略同一の高さ寸法を有している。そして、球案内パネル120は、全体として横長の薄板形状となっており、この薄板形状の主面部120Aの少なくとも周縁から壁面部120Bが遊技盤22側へ突出されて箱型に形成されている。
【0044】
球案内パネル120には、壁面部120Bに加えて各所に壁面部120Cが突出されている。これにより、球案内パネル120には、前記5個の入賞口(特別図柄始動入賞口86A、86B、サイド入賞口102A、102B、102C)から入賞した遊技球PBを案内するための、それぞれ独立した球案内流路122、124、126、128、130が形成されている。そして、それぞれの球案内流路122、124、126、128、130の途中には、遊技球PBを検出するための特別始動入賞センサ132S、特別始動入賞センサ134S、一般入賞センサ136AS、136BS、136CSに相当する球検出センサ140が配置されている。
【0045】
図6に示すように、球検出センサ140は、薄型板状の直方体形状であり、円形の通過孔142Aが形成されている。通過孔142Aが遊技球PBを検出する検出領域であり、この検出領域(通過孔142Aの周縁)に検出部142Bが設けられている。また、球検出センサ140には、検出部142Bからの信号を受けて出力信号を生成する信号生成部142Cが設けられている。ここで、球検出センサ140に駆動電力が供給されると、通過孔142Aに遊技球PBが通過していない状態(通常状態)において、検出信号としてH信号(3.3V又は5.0V)を出力する構成となっている。逆に、通過孔142Aを遊技球PBが通過すると、L信号(無信号)となる。
【0046】
このように、遊技球PBの非検出時にH信号、検出時にL信号とすると、例えば、外部からの電波の一部が球検出センサ140の検出領域に届くことがあっても、H信号が維持されることになる。すなわち、外部からの電波は、L信号(無信号状態)の出力をH信号に変換させる能力はあるが、H信号をL信号に変換する能力はないためである。なお、信号生成部142Cは、パチンコ機10(図1参照)の各部の動作を制御する制御部150(図7参照)に接続されている。
【0047】
(要部構成)
次に、電波減衰部材の一例としての電波シールド110について説明する。
【0048】
図7に示すように、電波シールド110は、透明な樹脂製(一例として、アクリル製)の板材112を有している。そして、板材112の表面には、複数の導通部材の一例としての鉄線114が、縦、横に間隔(例えば20mm)をあけた格子状の部材(格子部材)として取付けられている。なお、電波シールド110に用いる導通部材の材質としては、磁石によって磁化されにくい軟磁性体が好ましく、ここでは軟磁性体の一例として、鉄線を用いている。
【0049】
また、複数の鉄線114のうち、1本の鉄線114の端部には、配線116の一端が接続されており、配線116の他端は、不正検知手段の一例としての検知ユニット160に接続されている。そして、検知ユニット160は、配線118を介して制御部150に電気的に接続されている。また、検知ユニット160は、内部に電流検知回路(図示省略)を有しており、鉄線114から配線116を介して、予め設定されている電流量に相当する電流Iが流れると、この電流Iを検知して、制御部150に電流検知の信号を送るようになっている。
【0050】
一方、制御部150は、検知ユニット160から送られた電流検知の信号を受信したとき、不正遊技が行われているものとして、図1に示す三連表示灯64を点滅させ、あるいは、スピーカ50から警告音を出力させるようになっている。なお、不正遊技の報知手段としては、三連表示灯64やスピーカ50といった、パチンコ機10側に設けられているものに限らず、パチンコ機10を取付けるホールの島設備(図示省略)の表示灯あるいはスピーカであってもよい。
【0051】
図3及び図4(A)、(B)に示すように、電波シールド110は、遊技盤22の裏面側にビス(図示省略)等の取付手段で取付けられており、遊技盤22の裏面側に球案内パネル120を取付けた状態で、一般入賞センサ136BSの前方を覆うようになっている。すなわち、電波シールド110は、遊技盤22と球案内パネル120の一般入賞センサ136BSとの間に配置されており、遊技盤22があることによって、遊技者からの視認が不能とされている。
【0052】
ここで、装飾部材104は、パチンコ機10の正面視で電波シールド110の取付範囲を覆って取付けられている。このため、仮に、遊技盤22に開口部(図示省略)が形成され、当該開口部を介して電波シールド110が視認される構成であったとしても、装飾部材104が電波シールド110を覆うため、電波シールド110は、遊技者からの視認が不能とされる。
【0053】
なお、本実施形態では、一例として、一般入賞センサ136BSに対する不正行為を防ぐ構成として電波シールド110を説明しているが、遊技球PBを検出するための他のセンサ(特別始動入賞センサ132S、特別始動入賞センサ134S、一般入賞センサ136AS、136CS)に対して適用してもよい。また、図4(B)では、ガラス板18の表面側を基準として、パチンコ機10側を範囲A1、遊技者(図示省略)側を範囲A2で表している。
【0054】
次に、第1実施形態の作用について説明する。
【0055】
図2に示すパチンコ機10において、遊技者側から遊技盤22(一般入賞センサ136BS)に向けて不正電波を照射する不正行為が行われたとき、図7に示すように、不正電波EAは、一般入賞センサ136BSよりも遊技者側に配置されている電波シールド110に照射される。
【0056】
電波シールド110では、格子状に配置された鉄線114によって不正電波EAが吸収又は反射されるため、不正電波EAは減衰して微弱な電波EBとなる。これにより、不正電波EAが一般入賞センサ136BSに到達するのを防ぐことができ、一般入賞センサ136BSが不正電波EAによって作動されるのを抑制することができる。
【0057】
また、電波シールド110では、仮に、減衰しきれない周波数の不正電波が存在した場合であっても、この不正電波によって電波シールド110の鉄線114に電流Iが流れる。これにより、検知ユニット160で電流Iが検知される。そして、制御部150では、不正行為が行われたと判断して、三連表示灯64を通常時とは異なる点灯状態とし、又はスピーカ50から警告音を出力させることで不正状態を報知する。このようにして、電波シールド110で減衰しきれない周波数の電波による不正を防ぐことができる。
【0058】
ここで、図2に示すように、遊技盤22はもともと遊技領域Fを形成している部材であるため、遊技者にとって、遊技球PBの視認性が低下することはない。そして、電波シールド110は、遊技盤22により遊技者からの視認が不能とされているため、電波シールド110による遊技球PBの視認性の低下を抑制することができる。
【0059】
さらに、電波シールド110では、鉄線114が軟磁性体であるため、不正電波とは別に磁石を用いた不正行為が行われた場合でも、電波シールド110が着磁されにくくなる。これにより、球案内パネル120及び球検出センサ140における遊技球PBの流れる方向が、着磁された電波シールド110によって変更されることがなくなり、遊技球PBの流れが抑制されるのを防ぐことができる。
【0060】
加えて、図7において、検知ユニット160が電波シールド110付近の不正な磁力の有無についても検知する構成となっている場合には、電波シールド110が着磁されにくくなっているため、電波シールド110の着磁による連続した検知ON状態(誤検知)となるのを防ぐことができる。
【0061】
また、図2に示すように、パチンコ機10は、遊技盤22が電波シールド110を覆っているため、遊技盤22の裏面側(遊技者とは反対側)に配置される電波シールド110の取付面積を広げた場合でも、遊技球PBの視認性には影響を与えずに済む。これにより、取付面積の大きさに関わらず、電波シールド110を取付けることができる。
【0062】
さらに、図7に示すように、本実施形態の電波シールド110は、複数の鉄線114が格子状に組み付けられた格子部材となっているので、縦方向(鉛直方向)を長手方向とする鉄線114及び横方向(水平方向)を長手方向とする鉄線114のいずれか一方のみを設けた構成に比べて、不正電波を吸収又は反射する範囲が拡がる。これにより、不正電波の減衰性能を向上させることができる。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態に係る遊技機について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0064】
図8(A)には、第2実施形態の遊技機の一例としてのパチンコ機170が示されている。パチンコ機170は、第1実施形態のパチンコ機10と同様に三連表示灯64及びスピーカ50(図1参照)を有している。また、パチンコ機170は、遊技球PBが流れる球通路172Aが形成された遊技盤172を有しており、遊技盤172の裏面側には、遊技球PBを下方側へ案内する球案内ユニット174が設けられている。球案内ユニット174は、遊技球PBの通路の途中に球検出センサ140が取付けられており、通過孔142Aを通る遊技球PBが検出されるようになっている。
【0065】
一方、遊技盤172の表面側(遊技者側)には、装飾部材176が取付けられている。装飾部材176は、遊技球PBの一般入賞口178が形成されており、さらに、遊技盤172に取付けられる取付面176B側の上部で且つ一般入賞口178よりも下側の部位に、凹部176Aが形成されている。この凹部176Aによって、装飾部材176と遊技盤172との間に隙間が形成されており、この隙間には、電波減衰部材の一例としての電波シールド180が設けられている。また、装飾部材176の一般入賞口178の裏側下方には、遊技球PBを球通路172Aに案内する傾斜面176Cが形成されている。
【0066】
電波シールド180は、鉄製のフレーム材182が格子状に形成された格子部材であり、正面視で球検出センサ140を覆うようにして装飾部材176と遊技盤172との間に設けられている。そして、電波シールド180の格子で囲まれた複数の開口のうち1つの開口の縁部が、球通路172Aの一部を構成している。また、図示を省略するが、電波シールド180は、前述の検知ユニット160(図7参照)に配線で接続されている。
【0067】
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0068】
図8(A)に示すパチンコ機170において、遊技者側から遊技盤172(球検出センサ140)に向けて不正電波を照射する不正行為が行われたとき、この不正電波は、球検出センサ140よりも遊技者側に配置されている電波シールド180に照射される。
【0069】
電波シールド180では、格子状に配置されたフレーム材182によって不正電波が吸収又は反射されるため、不正電波は減衰して微弱な電波となる。これにより、不正電波が球検出センサ140に到達するのを防ぐことができ、球検出センサ140が不正電波によって作動されるのを抑制することができる。
【0070】
また、電波シールド180では、仮に、減衰しきれない周波数の不正電波が存在した場合であっても、この不正電波によって電波シールド180のフレーム材182に電流が流れる。これにより、検知ユニット160(図7参照)で電流が検知される。そして、制御部150(図7参照)では、不正行為が行われたと判断して、三連表示灯64(図1参照)を通常時とは異なる点灯状態とし、又はスピーカ50(図1参照)から警告音を出力させることで不正状態を報知する。このようにして、電波シールド180で減衰しきれない周波数の電波による不正を防ぐことができる。
【0071】
ここで、装飾部材176は、もともと遊技領域Fを形成している部材であるため、遊技者にとって、遊技球PBの視認性が低下することはない。そして、電波シールド180は、装飾部材176により遊技者からの視認が不能とされているため、電波シールド180による遊技球PBの視認性の低下を抑制することができる。
【0072】
さらに、電波シールド180では、フレーム材182が軟磁性体であるため、不正電波とは別に磁石を用いた不正行為が行われた場合でも、電波シールド180が着磁されにくくなる。これにより、球通路172Aにおける遊技球PBの流れる方向が、着磁された電波シールド180によって変更されることがなくなり、遊技球PBの流れが抑制されるのを防ぐことができる。
【0073】
また、パチンコ機170では、電波シールド180が遊技球PBの通路の一部を構成しているので、球通路とは異なる部位に電波シールド180を設置する構成に比べて、パチンコ機170内の省スペース化が可能となる。
【0074】
加えて、電波シールド180は、装飾部材176と遊技盤172との間に取付けられ(配置され)ているので、装飾部材176を取外すことで電波シールド180が取付け又は取外し可能となる。これにより、パチンコ機170の遊技者側(前面側)で電波シールド180の交換等のメンテナンス作業を行うことができ、電波シールド180のメンテナンス性を向上させることができる。
【0075】
ここで、第2実施形態の他の実施例として、例えば、図8(B)に示すように、電波シールド180に換えて電波シールド192を設けてもよい。電波シールド192は、鉄製で角型筒状の部材であり、奥行き方向に側面が延設されるように配置され、球通路172Aの一部を構成している。この電波シールド192によれば、正面側からの不正電波EAだけでなく、斜め方向からの不正電波ECに対しても反射及び吸収が行えるので、不正電波を減衰させることができる。
【0076】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0077】
パチンコ機10は、遊技盤22が非対称ゲージとなっていたが、対称ゲージであってもよい。また、電波シールド110、180は、遊技盤の裏、表に取付けるだけでなく、例えば、遊技盤を構成するベニヤとセルとの間に設けてもよい。さらに、電波シールド110、180を設ける部位は、遊技球PBの検出を行う球検出センサが設けられている部位であればどこでもよく、サイド入賞口の他に、アタッカー周辺、電チュー周辺、始動口周辺に設けてもよい。
【0078】
また、電波シールド180を装飾部材176に埋め込んでもよい。さらに、電波シールド180を遊技盤172の裏面側に設けてもよい。これらによっても、同等の電波シールド効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0079】
10 パチンコ機(遊技機の一例)
22 遊技盤
50 スピーカ(報知手段の一例)
64 三連表示灯(報知手段の一例)
110 電波シールド(電波減衰部材、格子部材の一例)
114 鉄線(導通部材の一例)
120 球案内パネル(球通路の一例)
140 球検出センサ(球検出手段の一例)
160 検知ユニット(不正検知手段の一例)
170 パチンコ機(遊技機の一例)
176 装飾部材
F 遊技領域
PB 遊技球
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8