(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752435
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】刈払機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/68 20060101AFI20150702BHJP
【FI】
A01D34/68 B
A01D34/68 E
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-32857(P2011-32857)
(22)【出願日】2011年2月18日
(65)【公開番号】特開2012-170347(P2012-170347A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2013年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河田 優
(72)【発明者】
【氏名】浅井 洋平
【審査官】
木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】
実開平07−036611(JP,U)
【文献】
特開平10−094313(JP,A)
【文献】
特開2006−217843(JP,A)
【文献】
特開2010−200673(JP,A)
【文献】
特開2010−201612(JP,A)
【文献】
実開昭59−110529(JP,U)
【文献】
実開平04−041216(JP,U)
【文献】
特開2011−087500(JP,A)
【文献】
実開昭62−193816(JP,U)
【文献】
国際公開第2010/018718(WO,A1)
【文献】
米国特許第03603065(US,A)
【文献】
米国特許第04044532(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/412−34/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に延びる操作棹と、該操作棹の前端側に設置されモータによって駆動される刈刃部と、該操作棹の中間部に左右方向に延びて配置されるハンドルと、を備え、該ハンドルの端部に取り付けられる把持部に該モータを起動するトリガーレバーを設けた刈払機において、該把持部は、該トリガーレバーが配置されるグリップと該トリガーレバーを取り囲むように形成された保護部とからD字状を呈して構成され、該保護部に表示面が作業者側を向いた表示部を形成することを特徴とする刈払機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハンドルの把持部に刈払機を駆動するモータを起動するトリガーレバーを設けた刈払機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、芝や雑草等の草葉を刈るのに用いられる装置として特許文献1に開示のような刈払機が知られている。こうした刈払機に関して、本出願人も特願2009−242906により既に提案している。この出願の刈払機では、ハンドルの一端に把持部が設けられ、該把持部はグリップと保護部から主に構成され、グリップには該刈払機を起動停止するトリガーレバーが設けられ、該保護部の上部(ハンドルの先端側)には表示部があり、バッテリーの残容量等の表示がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4071242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この出願の刈払機では、表示部が保護部の上部の表面(側面)に設けられているので、作業者から見て必ずしも視認しやすい角度ではなく表示内容を視認するために若干の時間を要するという欠点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、作業者にとって視認しやすい表示部を備えた刈払機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
前後に延びる操作棹と、該操作棹の前端側に設置されモータによって駆動される刈刃部と、該操作棹の中間部に左右方向に延びて配置されるハンドル
と、を備え、該ハンドルの端部に取り付けられる把持部に
該モータを起動するトリガーレバーを設けた刈払機において、該把持部
は、該トリガーレバーが配置されるグリップと該トリガーレバーを取り囲むように形成された保護部とからD字状を呈して構成され、該保護部に表示面が作業者側を向いた表示部を
形成する構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記の構成としたので、把持部に設けられた表示部が作業者にとって見やすく、表示内容を瞬時に視認できる刈払機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明にかかる刈払機の全体構成を説明するための外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0011】
以下の説明では、説明の便宜のために刈払機10の使用状態に応じた方向を定義することとする。すなわち、
図1にて図示するように、刈刃部13が設置される側を「前」、駆動部11側を「後」、把持部20側を「右」、左グリップ21側を「左」と呼ぶこととする。
【0012】
本実施形態に係る刈払機10は、長手方向に延びる軸体形状にて形成される操作棹12と、操作棹12の一端側である前側に設置される刈刃部13と、操作棹12の他端側である後側に設置されるとともに、ハウジング11aの内部に駆動源としての図示しないモータとバッテリーを備える駆動部11と、操作棹12の長手方向の中間部に設置されるハンドル14とを備えている。
【0013】
操作棹12は、中空棒状のパイプ部材により構成されており、その内部には、不図示の従動軸が回転自在な状態にて内蔵されている。操作棹12の前側先端には刈刃部13が取り付けられており、刈刃部13のホルダ13aには外周面に複数の鋸刃状の刃部が形成された円板状をした金属製の不図示の刈刃を回転自在に取り付けることが可能となっている。ホルダ13aは従動軸の回転運動に応じて回転し、草葉等の刈払いを実施できるようになっている。また、刈刃の後方直近部には、刈刃の一部を覆うように防護カバー13bが設けられており、刈払い時に発生する飛散物の後方への飛散を防ぐことで、作業者の安全が確保されている。なお、刈刃については、円板状をした金属製のものに代えて、セラミックス製のものや、回転中心から放射状に延びる複数本の紐からなるものなど、あらゆる形式の刈刃を採用することが可能となっている。
【0014】
図1乃至
図4に示すように、ハンドル14には、把持部20と左グリップ21が取り付けられている。把持部20にはモータを起動するトリガーレバー22が配置され、不図示の配線コードによってハウジング11a内のモータを制御すべく配線されている。15は図示しない肩掛けベルトを取付けることのできるホックである。
【0015】
グリップ20a、保護部20bで一体に構成される把持部20は、樹脂等で成形された半割り部材を重ね合わせ、通常金属で作られるハンドル14の先端に図示しないボルト等で取り付けられている。
【0016】
グリップ20aにはトリガーレバー22が配置され、グリップ20aとトリガーレバー22とを手で握り締めることにより、トリガーレバー22は不図示のスプリングに抗してグリップ20a内へ入り込み、グリップ20a内部の不図示のマイクロスイッチをオンするよう構成されている。マイクロスイッチは不図示の配線コードによりハウジング11a内の不図示のモータコントローラに接続されており、マイクロスイッチのオンによりモータが始動するよう構成されている。26はロックボタンであり、トリガーレバー22を誤って作業者が操作してしまわないようにトリガーレバー22の動きを規制しており、指で押し込むことにより規制を解除することができるようになっている。
【0017】
正面視C字状の保護部20bは、トリガーレバー22が不用意に枝葉に触れて作動しないよう、トリガーレバー22が作動する平面S上でトリガーレバー22を取り囲むように形成され、保護部20bとグリップ20aで正面視D字状を呈している。保護部20bのC字状の略中央部分に表示部24が設けられている。表示部24の表示面24aは作業者が視認しやすいよう作業者側に向いて形成されている。即ち、表示面24aは平面Sに略垂直な面上にあり、保護部20bの上記中央部においてグリップ20a側に向いて設けられている。表示面24aには発光ダイオード(LED1乃至LED5)が設けられ、LED1はモータに負荷がかかったときに点灯し、LED2はバッテリーの温度が一定以上に上昇すると点灯し、LED3乃至5はバッテリーの残容量によって点灯するが、これらは不図示の配線コードによって接続されたハウジング11a内のモータコントローラによって制御され表示される。
【0018】
以上のように構成された刈払機10で草刈り作業を行う場合には、作業者は、ホック15に取付けられた図示しない肩掛けベルトを肩に掛け回すとともに、ハンドル14が備える把持部20と左グリップ21を両手で把持することにより、刈払機10を自在に操ることが可能となる。
【0019】
次にモータを起動して刈刃を回転させるのであるが、そのためには、作業者は手で把持部20のグリップ20aを握り、ロックボタン26を親指で押し込み、次いでグリップ20aとトリガーレバー22を同時に握り締めればよい。トリガーレバー22は作業者の握力によってスプリングの付勢力に抗してグリップ20a内へ移動し、マイクロスイッチをオンさせるので、モータに電流が流れ刈刃が回転を始める。
【0020】
作業中に作業者がバッテリーの残容量やモータの状態を確認したい場合は、把持部20に設けられた表示部24を見ればよく、表示部24の表示面24aが作業者に向いて設けられているので、表示内容を瞬時に視認することができ便利である。
【0021】
本発明による刈払機は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、本実施の形態では、表示部24は保護部20bの左側に少し突出した形状となっているが必ずしも突出する必要はない。
【符号の説明】
【0022】
10 刈払機、11 駆動部、11a ハウジング、12 操作棹、13 刈刃部、13a ホルダ、13b 防護カバー、14 ハンドル、15 ホック、20 把持部、20a グリップ、20b 保護部、21 左グリップ、22 トリガーレバー、24 表示部、24a 表示面