(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロファイル生成手段は、前記被検体候補領域内プロファイルを取得した各点の各々に対して近傍となる位置を前記基準プロファイルを取得する基準点とすることを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層画像処理装置。
前記プロファイル生成手段は、複数の点において取得した前記基準プロファイルを更に平均化して得られたプロファイルを前記基準プロファイルとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の光干渉断層画像処理装置。
前記被検体深さ位置確定手段は、前記コントラストプロファイルに基づき、前記被検体候補領域における前記被検体領域の前記内壁部の表面側となる外周面の前記深さ方向の位置を取得し、該取得した位置と前記被検体の太さの情報とに基づいて、前記被検体領域の前記内壁部の表面と反対側となる外周面の前記深さ方向の位置を決定して、前記被検体領域の前記深さ方向の位置範囲を確定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光干渉断層画像処理装置。
前記被検体深さ位置確定手段は、前記コントラストプロファイルに基づき、前記被検体候補領域において前記深さ方向に実際に前記被検体が存在する有効領域と、前記深さ方向に前記被検体が存在しないノイズ領域とを判別し、該ノイズ領域を前記被検体候補領域から除去することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光干渉断層画像処理装置。
前記被検体深さ位置確定手段は、前記被検体に対して生じる陰影領域の有無により前記有効領域とノイズ領域とを判別することを特徴とする請求項6に記載の光干渉断層画像処理装置。
前記被検体候補領域抽出手段により抽出された前記被検体候補領域の前記深さ方向に直交する2次元方向に関する位置範囲と、前記被検体深さ位置確定手段により確定された前記被検体領域の前記深さ方向の位置範囲とにより確定される前記内壁部の3次元領域内に占める前記被検体領域の位置範囲に基づいて、前記被検体の3次元画像を生成する3次元被検体画像生成手段と、
前記3次元被検体画像生成手段により生成された前記被検体の3次元画像を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光干渉断層画像処理装置。
前記3次元被検体画像生成手段は、前記断層データを可視化することにより、前記被検体の3次元画像を生成すると共に、該生成の際に、前記被検体候補領域の前記深さ方向における前記被検体領域以外の断層データを前記基準プロファイルの断層データで置き換えることを特徴とする請求項8に記載の光干渉断層画像処理装置。
前記3次元被検体画像生成手段は、前記被検体の深さ方向の位置に応じて異なる色で色付けした前記被検体の3次元画像を生成することを特徴とする請求項8又は9に記載の光干渉断層画像処理装置。
前記プロファイル生成工程は、前記被検体候補領域内プロファイルを取得した各点の各々に対して近傍となる位置を前記基準プロファイルを取得する基準点とすることを特徴とする請求項12に記載の光干渉断層画像処理方法。
前記プロファイル生成工程は、複数の点において取得した前記基準プロファイルを更に平均化して得られたプロファイルを前記基準プロファイルとすることを特徴とする請求項12又は13に記載の光干渉断層画像処理方法。
前記被検体深さ位置確定工程は、前記コントラストプロファイルに基づき、前記被検体候補領域における前記被検体領域の前記内壁部の表面側となる外周面の前記深さ方向の位置を取得し、該取得した位置と前記被検体の太さの情報とに基づいて、前記被検体領域の前記内壁部の表面と反対側となる外周面の前記深さ方向の位置を決定して、前記被検体領域の前記深さ方向の位置範囲を確定することを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の光干渉断層画像処理方法。
前記被検体深さ位置確定工程は、前記コントラストプロファイルに基づき、前記被検体候補領域において前記深さ方向に実際に前記被検体が存在する有効領域と、前記深さ方向に前記被検体が存在しないノイズ領域とを判別し、該ノイズ領域を前記被検体候補領域から除去することを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の光干渉断層画像処理方法。
前記被検体深さ位置確定工程は、前記被検体に対して生じる陰影領域の有無により前記有効領域とノイズ領域とを判別することを特徴とする請求項17に記載の光干渉断層画像処理方法。
前記被検体候補領域抽出工程により抽出された前記被検体候補領域の前記深さ方向に直交する2次元方向に関する位置範囲と、前記被検体深さ位置確定工程により確定された前記被検体領域の前記深さ方向の位置範囲とにより確定される前記内壁部の3次元領域内に占める前記被検体領域の位置範囲に基づいて、前記被検体の3次元画像を生成する3次元被検体画像生成工程と、
前記3次元被検体画像生成工程により生成された前記被検体の3次元画像を表示する表示工程と、
を備えたことを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載の光干渉断層画像処理方法。
前記3次元被検体画像生成工程は、前記断層データを可視化することにより、前記被検体の3次元画像を生成すると共に、該生成の際に、前記被検体候補領域の前記深さ方向における前記被検体領域以外の断層データを前記基準プロファイルの断層データで置き換えることを特徴とする請求項19に記載の光干渉断層画像処理方法。
前記3次元被検体画像生成工程は、前記被検体の深さ方向の位置に応じて異なる色で色付けした前記被検体の3次元画像を生成することを特徴とする請求項19又は20に記載の光干渉断層画像処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的に癌細胞が増殖するためには、増殖のための栄養分が必要となるので、癌細胞には多くの新生血管が密集しているという特徴がある。そのため、OCT計測により取得した断層情報に基づいて血管の画像を3次元的に表示することができれば、癌の診断に非常に有効である。
【0010】
ところで、血管のようにOCT計測における測定光の減衰の大きい組織に対しては、その組織よりも深部に届く測定光の強度が小さくなる。そのため、血管から深部に向かう領域には、血管から尾を引いた陰影(血管の映り込み)が発生する。OCTにより得られた立体的な領域の断層情報を用いて血管の3次元画像等を表示した場合に、このような陰影領域も3次元画像として表示されてしまうため、血管の様子が分かり難くいという問題がある。したがって、断層情報から血管の領域を特定して陰影を取り除き、血管の画像のみを表示できるようにすることが望ましい。
【0011】
しかしながら、OCTにより得られる断層情報の値(断層データの値)は、測定光の強さやプローブからの測定対象までの距離などの測定条件によって異なり、血管等の特定の被検体に対して絶対的な値を示すものでない。また、OCT計測時における電気的、光学的なノイズ等の信号成分も含まれているため、単に断層データの値や変化だけからでは、血管等の特定の被検体の位置(領域)を特定することが難しいという問題があった。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、OCT計測により取得した生体内部の断層情報(断層データ)から血管等の特定の被検体の位置(領域)を正確に特定することができる光干渉断層画像処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、生体内部の内壁部に対する光干渉断層計測により得られた該内壁部の立体的な領域の断層情報を示す各位置における断層データを取得する断層データ取得手段と、前記内壁部の深さ方向に前記断層データを積分した積分画像を生成する積分画像生成手段と、前記積分画像生成手段により生成された積分画像に基づいて、該積分画像上に所定の被検体が存在する被検体領域の画像が存在する領域を被検体候補領域として抽出する被検体候補領域抽出手段と、前記被検体候補領域抽出手段により抽出された前記被検体候補領域内の各点における前記深さ方向の断層データの変動分布を示すコントラストプロファイルを生成するプロファイル生成手段であって、前記被検体候補領域内の各点における前記深さ方向の断層データの分布を示す被検体候補領域内プロファイルを取得するとともに、前記被検体候補領域外の所定の基準点における前記深さ方向の断層データの分布を示すプロファイルを基準プロファイルとして取得し、前記被検体候補領域内の各点における前記被検体候補領域内プロファイルと前記基準プロファイルとの差分を前記各点におけるコントラストプロファイルとして生成するプロファイル生成手段と、前記プロファイル生成手段により生成されたコントラストプロファイルに基づいて、前記被検体候補領域内における前記被検体領域の前記深さ方向の位置範囲を確定する被検体深さ位置確定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、積分画像により被検体が存在する被検体領域の深さ方向に直交する2次元方向に関する位置範囲が被検体候補領域として特定され、コントラストプロファイルにより被検体領域の深さ方向に関する位置範囲が特定される。したがって、内壁部の3次元領域内に占める被検体の位置が確定される。また、被検体領域の深さ方向の位置範囲を確定するために、被検体領域が深さ方向に存在する被検体候補領域でのプロファイルと被検体領域が深さ方向に存在しない被検体候補領域外での基準プロファイルとを比較したコントラストプロファイルを用いるため、被検体が示す固有のプロファイルのみを抽出することができ、被検体の位置を正確且つ容易に特定することができる。そして、被検体領域以外の領域(ノイズ、陰影)も容易に除去することができる。
【0015】
本発明では、前記プロファイル生成手段は、前記被検体候補領域内プロファイルを取得した各点の各々に対して近傍となる位置を前記基準プロファイルを取得する基準点とすることが望ましい。これによれば、被検体領域以外の深さ方向の位置範囲において、検体候補領域内プロファイルと基準プロファイルとで近似するため、これらの差分により得たコントラストプロファイルにおいて被検体のプロファイルが適切に得られる。
【0016】
本発明では、前記プロファイル生成手段は、複数の点において取得した前記基準プロファイルを更に平均化して得られたプロファイルを前記基準プロファイルとすることが望ましい。これによれば、各点で得られる基準プロファイルに含まれるノイズの影響を軽減することができる。
【0017】
本発明では、前記被検体深さ位置確定手段は、前記コントラストプロファイルに基づき、前記被検体候補領域における前記被検体領域の前記内壁部の表面側となる外周面の前記深さ方向の位置を取得し、該取得した位置と前記被検体の太さの情報とに基づいて、前記被検体領域の前記内壁部の表面と反対側となる外周面の前記深さ方向の位置を決定して、前記被検体領域の前記深さ方向の位置範囲を確定することが望ましい。本形態は、コントラストプロファイルに基づいて被検体の深さ方向の位置範囲を確定する一形態である。また、前記被検体の太さの情報は、前記積分画像から取得することが望ましい。これによれば、被検体の太さに関する情報を正確に得ることができ、被検体の深さ方向の位置を正確に特定することができる。
【0018】
本発明では、前記被検体深さ位置確定手段は、前記コントラストプロファイルに基づき、前記被検体候補領域において前記深さ方向に実際に前記被検体が存在する有効領域と、前記深さ方向に前記被検体が存在しないノイズ領域とを判別し、該ノイズ領域を前記被検体候補領域から除去することが望ましい。また、有効領域かノイズ領域かは、前記被検体に対して生じる陰影領域の有無により判別することができる。
【0019】
本発明では、前記被検体候補領域抽出手段により抽出された前記被検体候補領域の前記深さ方向に直交する2次元方向に関する位置範囲と、前記被検体深さ位置確定手段により確定された前記被検体領域の前記深さ方向の位置範囲とにより確定される前記内壁部の3次元領域内に占める前記被検体領域の位置範囲に基づいて、前記被検体の3次元画像を生成する3次元被検体画像生成手段と、前記3次元被検体画像生成手段により生成された前記被検体の3次元画像を表示する表示手段と、を備えたことが望ましい。本形態は、特定した被検体の位置に基づき、被検体の3次元画像を生成し表示する形態を示す。
【0020】
本発明では、前記3次元被検体画像生成手段は、前記断層データを可視化することにより、前記被検体の3次元画像を生成すると共に、該生成の際に、前記被検体候補領域の前記深さ方向における前記被検体領域以外の断層データを前記基準プロファイルの断層データで置き換えることが望ましい。これによれば、断層データからノイズ領域や陰影領域の断層データを除去することができ、断層データを可視化して3次元表示した場合に、それらの領域が画像上から除去され、被検体の3次元画像のみが表示されるようになる。
【0021】
本発明では、前記3次元被検体画像生成手段は、前記被検体の深さ方向の位置に応じて異なる色で色付けした前記被検体の3次元画像を生成することが望ましい。これによれば、被検体の各部位の深さ方向の位置が色情報によっても把握できるようになる。
【0022】
本発明では、前記被検体を血管とすることができる。本発明は、生体内部の内壁部において占める血管の位置を特定する装置として好適である。
【0023】
また、本発明は、生体内部の内壁部に対する光干渉断層計測により得られた該内壁部の立体的な領域の断層情報を示す各位置における断層データを取得する断層データ取得工程と、前記内壁部の深さ方向に前記断層データを積分した積分画像を生成する積分画像生成工程と、前記積分画像生成工程により生成された積分画像に基づいて、該積分画像上に所定の被検体が存在する被検体領域の画像が存在する領域を被検体候補領域として抽出する被検体候補領域抽出工程と、前記被検体候補領域抽出工程により抽出された前記被検体候補領域内の各点における前記深さ方向の断層データの変動分布を示すコントラストプロファイルを生成するプロファイル生成工程であって、前記被検体候補領域内の各点における前記深さ方向の断層データの分布を示す被検体候補領域内プロファイルを取得するとともに、前記被検体候補領域外の所定の基準点における前記深さ方向の断層データの分布を示すプロファイルを基準プロファイルとして取得し、前記被検体候補領域内の各点における前記被検体候補領域内プロファイルと前記基準プロファイルとの差分を前記各点におけるコントラストプロファイルとして生成するプロファイル生成工程と、前記プロファイル生成工程により生成されたコントラストプロファイルに基づいて、前記被検体候補領域内における前記被検体領域の前記深さ方向の位置範囲を確定する被検体深さ位置確定工程と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
本発明によれば、積分画像により被検体が存在する被検体領域の深さ方向に直交する2次元方向に関する位置範囲が被検体候補領域として特定され、コントラストプロファイルにより被検体領域の深さ方向に関する位置範囲が特定される。したがって、内壁部の3次元領域内に占める被検体領域の位置範囲が確定される。また、被検体領域の深さ方向の位置範囲を確定するために、被検体領域が深さ方向に存在する被検体候補領域でのプロファイルと被検体領域が深さ方向に存在しない被検体候補領域外での基準プロファイルとを比較したコントラストプロファイルを用いるため、被検体が示す固有のプロファイルのみを抽出することができ、被検体の位置を正確且つ容易に特定することができる。そして、被検体領域以外の領域(ノイズ、陰影)も容易に除去することができる。
【0025】
本発明では、前記プロファイル生成工程は、前記被検体候補領域内プロファイルを取得した各点の各々に対して近傍となる位置を前記基準プロファイルを取得する基準点とすることが望ましい。これによれば、被検体領域以外の深さ方向の位置範囲において、検体候補領域内プロファイルと基準プロファイルとで近似するため、これらの差分により得たコントラストプロファイルにおいて被検体のプロファイルが適切に得られる。
【0026】
本発明では、前記プロファイル生成工程は、複数の点において取得した前記基準プロファイルを更に平均化して得られたプロファイルを前記基準プロファイルとすることが望ましい。これによれば、各点で得られる基準プロファイルに含まれるノイズの影響を軽減することができる。
【0027】
本発明では、前記被検体深さ位置確定工程は、前記コントラストプロファイルに基づき、前記被検体候補領域における前記被検体領域の前記内壁部の表面側となる外周面の前記深さ方向の位置を取得し、該取得した位置と前記被検体の太さの情報とに基づいて、前記被検体領域の前記内壁部の表面と反対側となる外周面の前記深さ方向の位置を決定して、前記被検体領域の前記深さ方向の位置範囲を確定することが望ましい。本形態は、コントラストプロファイルに基づいて被検体の深さ方向の位置範囲を確定する一形態である。また、前記被検体の太さの情報は、前記積分画像から取得することが望ましい。これによれば、被検体の太さに関する情報を正確に得ることができ、被検体の深さ方向の位置を正確に特定することができる。
【0028】
本発明では、前記被検体深さ位置確定工程は、前記コントラストプロファイルに基づき、前記被検体候補領域において前記深さ方向に実際に前記被検体が存在する有効領域と、前記深さ方向に前記被検体が存在しないノイズ領域とを判別し、該ノイズ領域を前記被検体候補領域から除去することが望ましい。また、有効領域かノイズ領域かは、前記被検体に対して生じる陰影領域の有無により判別することができる。
【0029】
本発明では、前記被検体候補領域抽出工程により抽出された前記被検体候補領域の前記深さ方向に直交する2次元方向に関する位置範囲と、前記被検体深さ位置確定工程により確定された前記被検体領域の前記深さ方向の位置範囲とにより確定される前記内壁部の3次元領域内に占める前記被検体領域の位置範囲に基づいて、前記被検体の3次元画像を生成する3次元被検体画像生成工程と、前記3次元被検体画像生成工程により生成された前記被検体の3次元画像を表示する表示工程と、を備えたことが望ましい。本形態は、特定した被検体の位置に基づき、被検体の3次元画像を生成し表示する形態を示す。
【0030】
本発明では、前記3次元被検体画像生成工程は、前記断層データを可視化することにより、前記被検体の3次元画像を生成すると共に、該生成の際に、前記被検体候補領域の前記深さ方向における前記被検体領域以外の断層データを前記基準プロファイルの断層データで置き換えることが望ましい。これによれば、断層データからノイズ領域や陰影領域の断層データを除去することができ、断層データを可視化して3次元表示した場合に、それらの領域が画像上から除去され、被検体の3次元画像のみが表示されるようになる。
【0031】
本発明では、前記3次元被検体画像生成工程は、前記被検体の深さ方向の位置に応じて異なる色で色付けした前記被検体の3次元画像を生成することが望ましい。これによれば、被検体の各部位の深さ方向の位置が色情報によっても把握できるようになる。
【0032】
本発明では、前記被検体を血管とすることができる。本発明は、生体内部の内壁部において占める血管の位置を特定する方法として好適である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、OCT計測により取得した断層情報(反射強度データ)から血管等の被検体の位置(領域)を正確に特定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0036】
図1は本発明の実施形態に係る光干渉断層画像処理装置を適用した画像診断装置の外観図である。
図1に示すように、画像診断装置10は、主として内視鏡100、内視鏡プロセッサ200、光源装置300、断層画像処理装置としてのOCTプロセッサ400、及びモニタ装置500とから構成されている。なお、内視鏡プロセッサ200は、光源装置300を内蔵するように構成されていてもよい。
【0037】
内視鏡100は、手元操作部112と、この手元操作部112に連設される挿入部114とを備える。術者は手元操作部112を把持して操作し、挿入部114を被検者の体内に挿入することによって観察を行う。
【0038】
手元操作部112には、鉗子挿入部138が設けられており、この鉗子挿入部138が先端部144の鉗子口156に連通されている。本実施形態では、OCTプローブ600を鉗子挿入部138から挿入することによって、OCTプローブ600を鉗子口156から導出する。OCTプローブ600は、鉗子挿入部138から挿入され、鉗子口156から導出される挿入部602と、術者がOCTプローブ600を操作するための操作部604、及びコネクタ610を介してOCTプロセッサ400と接続されるケーブル606から構成されている。
【0039】
内視鏡100の先端部144には、観察光学系150、照明光学系152、及びCCD(不図示)が配設されている。
【0040】
観察光学系150は、被検体を図示しないCCDの受光面に結像させ、CCDは受光面上に結像された被検体像を各受光素子によって電気信号に変換する。本実施形態のCCDは、3原色の赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが所定の配列(ベイヤー配列、ハニカム配列)で各画素ごとに配設されたカラーCCDである。なお、符号154は、観察光学系150に向けて洗浄液や加圧エアを供給するための洗浄ノズルである。
【0041】
光源装置300は、可視光を図示しないライトガイドに入射させる。ライトガイドの一端はLGコネクタ120を介して光源装置300に接続され、ライトガイドの他端は照明光学系152に対面している。光源装置300から発せられた光は、ライトガイドを経由して照明光学系152から出射され、観察光学系150の視野範囲を照明する。
【0042】
内視鏡プロセッサ200には、CCDから出力される画像信号が電気コネクタ110を介して入力される。このアナログの画像信号は、内視鏡プロセッサ200内においてデジタルの画像信号に変換され、モニタ装置500の画面に表示するための必要な処理が施される。
【0043】
このように、内視鏡100で得られた観察画像のデータが内視鏡プロセッサ200に出力され、内視鏡プロセッサ200に接続されたモニタ装置500に画像が表示される。
【0044】
図2は
図1のOCTプロセッサの内部構成を示すブロック図である。
図2に示すOCTプロセッサ400及びOCTプローブ600は、光干渉断層(OCT:Optical Coherence Tomography)計測法による測定対象の断層情報(断層画像)を取得するためのものである。
【0045】
OCTプロセッサ400は、測定のための光Laを射出する第1の光源部(第1の光源ユニット)12と、第1の光源部12から射出された光Laを測定光(第1の光束)L1と参照光L2に分岐するとともに、被検体である測定対象Sからの戻り光L3と参照光L2を合波して干渉光L4を生成する光ファイバカプラ(分岐合波部)14と、光ファイバカプラ14で分岐された測定光L1をOCTプローブ600の光コネクタ18に導くとともに、OCTプローブ600内の回転側光ファイバFB1によって導波された戻り光L3を導波する固定側光ファイバFB2と、光ファイバカプラ14で生成された干渉光L4を干渉信号として検出する干渉光検出部20と、この干渉光検出部20によって検出された干渉信号を処理して断層情報(断層画像)を取得する信号処理部22を有する。信号処理部22で取得された断層情報は画像化されてモニタ装置500に表示される。
【0046】
また、OCTプロセッサ400は、測定の目印を示すためのエイミング光(第2の光束)Leを射出する第2の光源部(第2の光源ユニット)13と、参照光L2の光路長を調整する光路長調整部26と、第1の光源部12から射出された光Laを分光する光ファイバカプラ28と、光ファイバカプラ14で合波された戻り光(干渉光)L4およびL5を検出する検出部30aおよび30bと、信号処理部22への各種条件の入力、設定の変更等を行う操作制御部32とを有する。
【0047】
OCTプロセッサ400に接続されるOCTプローブ600は、固定側光ファイバFB2を介して導波された測定光L1を測定対象Sまで導波するとともに測定対象Sからの戻り光L3を導波する回転側光ファイバFB1と、この回転側光ファイバFB1を固定側光ファイバFB2に対して回転可能に接続し、測定光L1および戻り光L3を伝送する光コネクタ18と、を備える。
【0048】
なお、
図2に示したOCTプロセッサ400及びOCTプローブ600においては、上述した射出光La、エイミング光Le、測定光L1、参照光L2および戻り光L3などを含む種々の光を各光デバイスなどの構成要素間で導波し、伝送するための光の経路として、回転側光ファイバFB1および固定側光ファイバFB2を含め種々の光ファイバFB(FB3、FB4、FB5、FB6、FB7、FB8など)が用いられている。
【0049】
第1の光源部12は、OCTの測定のための光(例えば、赤外領域の波長可変レーザ光、あるいは低コヒーレンス光)を射出するものである。本例の第1の光源部12は、赤外の波長域で光周波数(波長)を一定の周期で掃引させながらレーザ光La(例えば、波長1.3μmを中心とするレーザ光)を射出する波長可変光源である。
【0050】
この第1の光源部12は、レーザ光あるいは低コヒーレンス光Laを射出する光源12aと、光源12aから射出された光Laを集光するレンズ12bとを備えている。また、詳しくは後述するが、第1の光源部12から射出された光Laは、光ファイバFB4、FB3を介して光ファイバカプラ14で測定光L1と参照光L2に分割され、測定光L1は光コネクタ18に入力される。
【0051】
また、第2の光源部13は、エイミング光Leとして測定部位を確認しやすくするために可視光を射出するものである。例えば、波長660nmの赤半導体レーザ光、波長630nmのHe−Neレーザ光、波長405nmの青半導体レーザ光などを用いることができる。本実施形態における第2の光源部13としては、例えば赤色あるいは青色あるいは緑色のレーザ光を射出する半導体レーザ13aと、半導体レーザ13aから射出されたエイミング光Leを集光するレンズ13bを備えている。第2の光源部13から射出されたエイミング光Leは、光ファイバFB8を介して光コネクタ18に入力される。
【0052】
光コネクタ18では、測定光(第1の光束)L1とエイミング光(第2の光束)Leとが合波され、OCTプローブ600内の回転側光ファイバFB1に導波される。
【0053】
光ファイバカプラ(分岐合波部)14は、例えば2×2の光ファイバカプラで構成されており、固定側光ファイバFB2、光ファイバFB3、光ファイバFB5、光ファイバFB7とそれぞれ光学的に接続されている。
【0054】
光ファイバカプラ14は、第1の光源部12から光ファイバFB4およびFB3を介して入射した光Laを測定光(第1の光束)L1と参照光L2とに分割し、測定光L1を固定側光ファイバFB2に入射させ、参照光L2を光ファイバFB5に入射させる。
【0055】
さらに、光ファイバカプラ14は、光ファイバFB5に入射され後述する光路長調整部26によって周波数シフトおよび光路長の変更が施されて光ファイバFB5を戻った参照光L2と、後述するOCTプローブ600で取得され固定側光ファイバFB2から導波された光L3とを合波し、光ファイバFB3(FB6)および光ファイバFB7に射出する。
【0056】
OCTプローブ600は、光コネクタ18を介して、固定側光ファイバFB2と接続されており、固定側光ファイバFB2から、光コネクタ18を介して、エイミング光Leと合波された測定光L1が回転側光ファイバFB1に入射される。入射されたこのエイミング光Leと合波された測定光L1を回転側光ファイバFB1によって伝送して測定対象Sに照射する。そして測定対象Sからの戻り光L3を取得し、取得した戻り光L3を回転側光ファイバFB1によって伝送して、光コネクタ18を介して、固定側光ファイバFB2に射出するようになっている。
【0057】
干渉光検出部20は、光ファイバFB6および光ファイバFB7と接続されており、光ファイバカプラ14で参照光L2と戻り光L3とを合波して生成された干渉光L4およびL5を干渉信号として検出するものである。
【0058】
光ファイバカプラ28から分岐させた光ファイバFB6の光路上には、干渉光L4の光強度を検出する検出器30aが設けられ、光ファイバFB7の光路上には干渉光L5の光強度を検出する検出器30bが設けられている。干渉光検出部20は、検出器30aおよび検出器30bの検出結果に基づいて、干渉信号を生成する。
【0059】
信号処理部22は、干渉光検出部20で検出した干渉信号から断層情報を取得し、取得した断層情報を画像化した断層画像をモニタ装置500へ出力する。なお、本実施形態では、干渉光検出部20で検出した干渉信号に基づいて、断層情報から血管領域を抽出して立体的な血管画像を生成し、血管の立体構造を示す画像がモニタ装置500に出力されるようになっている。これを実現するための信号処理部22の詳細な構成は後述する。
【0060】
参照光L2の光路長を可変するための光路長調整部26は、光ファイバFB5の参照光L2の射出側(すなわち、光ファイバFB5の光ファイバカプラ14とは反対側の端部)に配置されている。
【0061】
光路長調整部26は、光ファイバFB5から射出された光を平行光にする第1光学レンズ80と、第1光学レンズ80で平行光にされた光を集光する第2光学レンズ82と、第2光学レンズ82で集光された光を反射する反射ミラー84と、第2光学レンズ82および反射ミラー84を支持する基台86と、基台86を光軸方向に平行な方向に移動させるミラー移動機構88とを有する。第1光学レンズ80と第2光学レンズ82との距離を変化させることにより参照光L2の光路長が調整される。
【0062】
第1光学レンズ80は、光ファイバFB5のコアから射出された参照光L2を平行光にするとともに、反射ミラー84で反射された参照光L2を光ファイバFB5のコアに集光する。
【0063】
また、第2光学レンズ82は、第1光学レンズ80により平行光にされた参照光L2を反射ミラー84上に集光するとともに、反射ミラー84により反射された参照光L2を平行光にする。このように、第1光学レンズ80と第2光学レンズ82とにより共焦点光学系が形成されている。
【0064】
さらに、反射ミラー84は、第2光学レンズ82で集光される光の焦点に配置されており、第2光学レンズ82で集光された参照光L2を反射する。
【0065】
これにより、光ファイバFB5から射出した参照光L2は、第1光学レンズ80により平行光になり、第2光学レンズ82により反射ミラー84上に集光される。その後、反射ミラー84により反射された参照光L2は、第2光学レンズ82により平行光になり、第1光学レンズ80により光ファイバFB5のコアに集光される。
【0066】
また、基台86は、第2光学レンズ82と反射ミラー84とを固定し、ミラー移動機構88は、基台86を第1光学レンズ80の光軸方向(
図2矢印A方向)に移動させる。
【0067】
ミラー移動機構88で、基台86を矢印A方向に移動させることで、第1光学レンズ80と第2光学レンズ82との距離を変更することができ、参照光L2の光路長を調整することができる。
【0068】
操作制御部32は、キーボード、マウス等の入力手段と、入力された情報に基づいて各種条件を管理する制御手段とを有し、信号処理部22に接続されている。操作制御部32は、入力手段から入力されたオペレータの指示に基づいて、信号処理部22における各種処理条件等の入力、設定、変更等を行う。
【0069】
なお、操作制御部32は、操作画面をモニタ装置500に表示させてもよいし、別途表示部を設けて操作画面を表示させてもよい。また、操作制御部32で、第1の光源部12、第2の光源部13、光コネクタ18、干渉光検出部20、光路長ならびに検出部30aおよび30bの動作制御や各種条件の設定を行うようにしてもよい。
【0070】
図3はOCTプローブ600の断面図である。
図3に示すように、挿入部602の先端部は、プローブ外筒(シース)620と、キャップ622と、回転側光ファイバFB1と、バネ624と、固定部材626と、光学レンズ628とを有している。
【0071】
プローブ外筒620は、可撓性を有する筒状の部材であり、光コネクタ18においてエイミング光Leが合波された測定光L1および戻り光L3が透過する材料からなっている。なお、プローブ外筒620は、測定光L1(エイミング光Le)および戻り光L3が通過する先端(光コネクタ18と反対側の回転側光ファイバFB1の先端、以下プローブ外筒620の先端と言う)側の一部が全周に渡って光を透過する材料(透明な材料)で形成されていればよく、先端以外の部分については光を透過しない材料で形成されていてもよい。
【0072】
キャップ622は、プローブ外筒620の先端に設けられ、プローブ外筒620の先端を閉塞している。
【0073】
回転側光ファイバFB1は、線状部材であり、プローブ外筒620内にプローブ外筒620に沿って収容されている。回転側光ファイバFB1は、光コネクタ18で合波された測定光L1とエイミング光Leとを光学レンズ628まで導波するとともに、測定光L1(エイミング光Le)を測定対象Sに照射して光学レンズ628で取得した測定対象Sからの戻り光L3を光コネクタ18まで導波する。この戻り光L3は、光コネクタ18を介して固定側光ファイバFB2に入射する。回転側光ファイバFB1は、プローブ外筒620に対して回転自在、及びプローブ外筒620の軸方向に移動自在な状態で配置されている。
【0074】
バネ624は、回転側光ファイバFB1の外周に固定されている。回転側光ファイバFB1およびバネ624は、回転筒656とともに光コネクタ18に接続されている。
【0075】
光学レンズ628は、回転側光ファイバFB1の測定側先端(光コネクタ18と反対側の回転側光ファイバFB1の先端)に配置されている。光学レンズ628の先端部(光出射面)は、回転側光ファイバFB1から射出された測定光L1(エイミング光Le)を測定対象Sに対し集光するために略球状の形状で形成されている。
【0076】
光学レンズ628は、回転側光ファイバFB1から射出した測定光L1(エイミング光Le)を測定対象Sに対し照射し、測定対象Sからの戻り光L3を集光し回転側光ファイバFB1に入射する。
【0077】
固定部材626は、回転側光ファイバFB1と光学レンズ628との接続部の外周に配置されており、光学レンズ628を回転側光ファイバFB1の端部に固定する。固定部材626による回転側光ファイバFB1と光学レンズ628の固定方法は、特に限定されず、接着剤により、固定部材626と回転側光ファイバFB1および光学レンズ628を接着させて固定してもよいし、ボルト等を用い機械的構造で固定してもよい。なお、固定部材626は、ジルコニアフェルールやメタルフェルールなど光ファイバの固定や保持あるいは保護のために用いられるものであれば、如何なるものを用いてもよい。
【0078】
回転側光ファイバFB1およびバネ624は、回転筒656に接続されており、回転筒656によって回転側光ファイバFB1およびバネ624を回転させることで、光学レンズ628をプローブ外筒620に対し、矢印R2方向(回転側光ファイバFB1の光軸を回転中心とする回転方向)に回転させる。また、光コネクタ18は、回転エンコーダを備える。回転エンコーダからの信号に基づいて光学レンズ628の位置情報(角度情報)から測定光L1の照射位置が検出される。つまり、回転している光学レンズ628の回転方向における基準位置に対する角度を検出して、測定位置を検出する。
【0079】
さらに、回転側光ファイバFB1、バネ624、固定部材626、及び光学レンズ628は、モータ660を含む駆動機構により、プローブ外筒620内部を矢印S1方向(鉗子口方向)、及びS2方向(プローブ外筒620の先端方向)に移動可能に構成されている。
【0080】
図3の左側には、OCTプローブ600の操作部604における回転側光ファイバFB1等の駆動機構の概略構成が示されている。
【0081】
プローブ外筒620は、固定部材670に固定されているのに対し、回転側光ファイバFB1およびバネ624の基端部は、回転筒656に接続されている。回転筒656は、モータ652の回転に応じてギア654を介して回転するように構成されている。回転筒656は、光コネクタ18に接続されており、測定光L1及び戻り光L3は、光コネクタ18を介して回転側光ファイバFB1と固定側光ファイバFB2間を伝送される。
【0082】
回転筒656、モータ652、ギア654、及び光コネクタ18を内蔵するフレーム650は、支持部材662を備えている。支持部材662は、図示しないネジ孔を有しており、該ネジ孔には進退移動用ボールネジ664が咬合している。進退移動用ボールネジ664には、モータ660が接続されている。モータ660を回転駆動することによりフレーム650を進退移動させ、これにより回転側光ファイバFB1、バネ624、固定部材626、及び光学レンズ628を
図3のS1及びS2方向(プローブ外筒620の長手方向に沿った軸方向、すなわち、回転側光ファイバFB1の光軸に沿った方向)に移動させることが可能となっている。
【0083】
OCTプローブ600は、以上のような構成であり、モータ660の駆動によって回転側光ファイバFB1およびバネ624が、
図3中矢印R2方向に回転されることで、光学レンズ628から射出される測定光L1(エイミング光Le)を測定対象Sに対し、矢印R2方向(プローブ外筒620の円周方向)に対し走査しながら照射し、戻り光L3を取得する。エイミング光Leは、測定対象Sに対し、例えば青色、赤色あるいは緑色のスポット光として照射される。このエイミング光Leの反射光(測定対象Sからの反射光)は、モニタ装置500に表示された観察画像に輝点としても表示される。
【0084】
このような回転方向に沿った光走査により、プローブ外筒620の円周方向の全周において、測定対象Sの所望の部位を正確にとらえることができ、測定対象Sを反射した戻り光L3を取得することができる。
【0085】
さらに、3次元ボリュームデータを生成するための立体的な領域の断層情報を取得する場合は、モータ66を含む駆動機構により回転側光ファイバFB1及び光学レンズ628が矢印S1方向の移動可能範囲の終端まで移動され、断層情報を取得しながら所定量ずつS2方向に移動し、又は断層情報の取得とS2方向への所定量移動を交互に繰り返しながら、移動可能範囲の終端まで移動する。
【0086】
このように測定対象Sに対して所望の範囲の断層情報を取得することによって3次元ボリュームデータを得ることができる。
【0087】
図4は、測定対象Sに対して光走査がラジアル走査の場合の断層情報のスキャン面を示す図であり、
図5は
図4の断層情報により構築される3次元ボリュームデータを示す図である。干渉信号により測定対象Sの深さ方向(Z方向)の断層情報を取得し、測定対象Sに対し
図3矢印R2方向(プローブ外筒620の円周方向)に走査(ラジアル走査)することで、
図4に示すように、Z方向とZ方向と直交するX方向とからなるスキャン面での断層情報を取得することができる。またさらに、このスキャン面に直交するY方向に沿ってスキャン面を移動させることで、
図5に示すように、3次元ボリュームデータを生成するための立体的な領域の断層情報が取得できる。
【0088】
図6は内視鏡100の鉗子口156から導出されたOCTプローブ600を用いて断層情報を得る様子を示す図である。
図6に示すように、OCTプローブ600の挿入部602の先端部を、測定対象Sの所望の部位に近づけて、断層情報を得る。所望の立体的な領域の断層情報を取得する場合は、必ずしもOCTプローブ600本体を移動させる必要はなく、前述の駆動機構によりプローブ外筒620内で光学レンズ628を移動させればよい。
【0089】
図9は
図3の信号処理部22の構成を示すブロック図である。
【0090】
図7に示すように、本実施形態の信号処理部22は、干渉光検出部20から入力される干渉信号からモニタ装置500に出力される画像を生成するための信号処理を行う処理部であり、主として、フーリエ変換部410、対数変換部420、断層画像構築部450、3次元血管構造抽出処理部460、及び制御部490を備えて構成される。なお、制御部490は、操作制御部32からの操作信号に基づき信号処理部22の各部を制御する。
【0091】
干渉光検出部20には、波長掃引光源としての第1の光源部12から射出された光が測定光と参照光に分割され、OCTプローブ600から測定対象Sに測定光を照射したときに得られる反射光と参照光とが合波したときの干渉光が入力される。この干渉光検出部20は、入力された干渉光(光信号)を干渉信号(電気信号)に変換する干渉信号生成部20aと、干渉信号生成部20aで生成された干渉信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換部20bとから構成される。
【0092】
AD変換部20bでは、例えば、80MHz程度のサンプリングレートで14bit程度の分解能でアナログ信号からデジタル信号への変換が実施されるが、これらの値に特に限定されるものではない。AD変換部20bにおいてデジタル信号に変換された干渉信号は、信号処理部22のフーリエ変換部410に入力される。
【0093】
フーリエ変換部410は、干渉光検出部20のAD変換部20bにおいてデジタル信号に変換された干渉信号をFFT(高速フーリエ変換)により周波数解析を行い、測定対象Sの各深さ位置における反射光(戻り光)L3の強度、すなわち深度方向の反射強度データを生成する。フーリエ変換部410でフーリエ変換された反射強度データは、対数変換部420で対数変換される。対数変換された反射強度データは、断層画像構築部450に入力される。
【0094】
断層画像構築部450は、対数変換部420で対数変換された反射強度データに対して輝度、コントラスト調整、表示サイズにあわせたリサンプル、ラジアル走査等の走査方法に合わせての座標変換などを行い、反射強度データを断層画像として視覚化するためのデータとして構築する。また、このようにして立体な領域に対して得られた反射強度データは、3次元的に配列された各ボクセルの画素データとして割り当てられ、立体的な領域の断層情報のデータを3次元的に配列した3次元ボリュームデータ(単にボリュームデータという)が生成される。なお、立体的な領域の断層情報を示す各位置におけるデータ、即ち、ボリュームデータの各ボクセルの画素データとして割り当てられた反射強度データを、以下、断層データというものとする。
【0095】
3次元血管構造抽出処理部460は、断層画像構築部450で構築されたボリュームデータを取得し、取得したボリュームデータに基づいて、血管の情報を抽出し、血管の3次元画像を表示するための3次元血管画像を生成する。3次元血管構造抽出処理部460の処理内容について詳細は後述する。
【0096】
このようにして生成された3次元血管画像は、LCDモニタ等のモニタ装置500に出力される。なお、3次元血管画像の表示出力に代えて、又は3次元血管画像の表示とともに、断層画像構築部450で構築されたボリュームデータに基づく他の画像(3次元画像、断層画像等)をモニタ装置500に表示させることも可能である。
【0097】
図8は本実施形態における3次元血管構造抽出処理のフローチャートである。この処理は
図7の3次元血管構造抽出処理部460により行われる。
【0098】
ステップS10では、ボリュームデータ(断層データ)を取得する。
図7の断層画像構築部450で生成されたボリュームデータが3次元血管構造抽出処理部460に入力される。このとき取得されるボリュームデータとして、例えば、消化器系の内腔において
図10のような構造を有する内壁部900をOCT計測して得られたボリュームデータを例にする。
図10に示す内壁部900には、内壁の表面902より下側(表面902から内壁部900深部へと向かうZ軸の正方向)に正常な細胞が略一様に連続する領域904が存在し、その領域904中に血管906が存在するものとする。このとき、OCT計測により得られるボリュームデータは、
図11のような構造を示す。同図に示すようにボリュームデータには、血管906の断層データからなる血管領域908と、血管領域908の下側(深部)に、血管906の映り込み(陰影)となる断層データからなる陰影領域910が存在する。
【0099】
即ち、OCT計測の際に、表面902の上方から内壁部900の内部へとZ方向(Z軸の正方向)に進入した測定光L1は、血管906での強い反射により大きく減衰し、血管領域908よりも下側の領域に進行する測定光L1の強度が、血管906がZ方向に存在しない非血管領域912を通過した測定光L1の強度よりも低下する。そのため、血管領域908よりも下側において得られる断層データ(反射強度データ)が同一深さ位置の非血管領域912において得られる断層データよりも小さくなる。したがって、血管領域908よりも下側の領域全体に非血管領域912とは大きく相違する値の断層データからなる陰影領域910が形成される。
【0100】
このことから陰影領域910が存在する場合には、その上方に血管領域908が実在することを示す。ただし、陰影領域910は血管906そのものが存在する領域ではないため、後述の処理によって3次元血管画像の表示の際には画像上から除去される。
【0101】
また、断層データに含まれるノイズ成分などによって、本来、周辺部と異なる細胞や組織が存在しない領域に
図11の符号914、916で示すような特異な値の断層データからなる偽陰影領域(ノイズ領域)が形成される場合がある。このような偽陰影領域914、916は、Z方向に連続した領域を形成しないこと等から、血管領域908及び陰影領域910のいずれでもなく、3次元血管画像の表示においては不要な情報であるため後述の処理によって画像上から除去される。
【0102】
ステップS12では、ステップS10で取得したボリュームデータに基づき、ボリュームデータを深さ方向(Z方向)に積分した積分画像を生成する。ここで、OCT計測時においては、XZ平面に平行な位置で得られた断層データからなる断層画像を、Y方向の所定間隔おきの位置に配列することによって、
図11に示したようなボリュームデータが生成される。これに対して、Z方向の所定間隔おきの位置においてボリュームデータをXY平面に平行な平面で切断することによって、
図12(A)のようにXY平面に平行な断面の断層データからなる断層画像(スライス画像S(1)〜S(N))をZ方向に配列したスライス画像列Sに再構成するものとする。
図12(A)には、
図10、
図11において示した血管領域908、陰影領域910、非血管領域912、偽陰影領域914、916の各々に対応する領域に同一符号が付されている。
【0103】
このように再構成した各スライス画像S(1)〜S(N)に対して、X座標値及びY座標値(XY座標値)が一致する点の断層データを加算して積分値を求める。即ち、説明上、任意のZ座標値の位置に対してXY座標値が一定値となるZ方向の線上の位置を示すZライン930を想定するものとすると、各スライス画像S(1)〜S(N)において、そのZライン930上の点の断層データを全て加算した積分値を求める。そして、積分画像とする一枚の画像の画像面(XY座標面)において、Zライン930を想定した位置のXY座標値と一致する点の画素値を、その積分値とする。このようにして、Zライン930を想定する位置のXY座標値を変えて積分画像の各XY座標値の画素値を求めることによって、ボリュームデータをZ方向に積分した積分画像が生成される。このとき、
図11及び
図12(A)のようなボリュームデータ(スライス画像列S)に対して
図12(B)のような積分画像932が得られる。
【0104】
図12(B)には、血管領域908、非血管領域912、偽陰影領域914、916に起因して積分画像上に形成された領域に同一符号が付されている。なお、
図11のようなボリュームデータを
図12(A)のようなスライス画像列Sに再構成することなく、ボリュームデータにおいてZライン上の点の断層データを加算(Z方向に積分)することによって
図12(B)のような積分画像932を直接的に求めることも可能であり、以下においてはスライス画像列Sを用いた処理については言及しないものとする。
【0105】
ステップS14では、ステップS12で得た積分画像に基づいて、血管906(血管領域908)を示す画像が存在する領域を血管候補領域として抽出する。例えば、積分画像において、画素値が所定範囲内の値を示す領域のXY座標値の範囲を血管候補領域として抽出する。
【0106】
ここで、積分画像において血管候補領域として抽出する画素値の範囲は、血管領域908が実在する領域に起因して積分画像上に形成された画像領域の実際の画素値の範囲を経験的に取得しておくことによって事前に決めておくことができる。また、血管候補領域として抽出しない非血管候補領域の画素値の範囲を設定し、その範囲に属さない画素値の領域を血管候補領域として抽出することも可能である。更に、積分画像において画素値が急激に変化するエッジを血管候補領域と非血管候補領域の境界として抽出し、画素値の大小関係によって境界のいずれか一方側の領域を血管候補領域として抽出する等、画像構成を解析する任意の画像処理技術を用いることができる。
【0107】
この処理によれば、
図12(B)に示したような積分画像において、血管領域908に起因する画像領域が血管候補領域940として抽出される。即ち、ボリュームデータにおいてZ方向に血管領域908が存在するXY座標値の範囲に対応する積分画像上の領域が血管候補領域940として抽出される。
【0108】
また、血管候補領域940の他に、偽陰影領域914、916に起因する画像領域のように血管領域908がZ方向に実在しない領域についても血管候補領域940として抽出される可能性があり、これらの偽陰影領域914、916についても下記の説明上、血管候補領域940として抽出されたものとする。偽陰影領域914、916を除く非血管領域912については、血管候補領域940から略除外することができ、非血管候補領域942となる。ただし、非血管領域912のようにZ方向に血管領域908が存在しない領域であるにも関わらず血管候補領域と判断される可能性がある領域は、偽陰影領域914、916のようにボリュームデータにおける特定位置の断層データが特異な値であるために発生する場合に限らず、積分画像を生成する際に、複数の断層データを加算した結果として発生する場合もある。
【0109】
ステップS16では、血管コントラストプロファイルを生成する。血管コントラストプロファイルとは、血管候補領域におけるプロファイルを、非血管候補領域におけるプロファイル(基準プロファイル)との比較で示したものであり、プロファイルとは、Z方向の断層データの分布を示すものであり、ボリュームデータに対して所定のXY座標値の位置に着目したときに、その着目したXY座標値のZ方向の線上位置、即ち、Zライン上の位置(各点におけるZ座標値)と、ボリュームデータの断層データとの関係を示すものである。
【0110】
まず、プロファイルについて説明すると、プロファイルは、
図13のようなグラフにより表される。
【0111】
同図において横軸は所定のXY座標値の位置に想定したZライン上のZ座標値(深さ方向の位置)を示し、縦軸は断層データの値を示す。プロファイルは、XY座標上の任意の1点(XY座標値)に対して1つのものが生成され、着目したXY座標値に対して得られるプロファイルをそのXY座標値でのプロファイルと言うものとする。
【0112】
図11、
図12(A)に示したようなボリュームデータにおいて、非血管領域912(偽陰影領域914、916を除く)を通過するZライン930AのXY座標値に着目し、そのXY座標値でのプロファイルを作成した場合には、
図13の曲線C1のようなグラフが得られる。即ち、内壁部900の表面902が位置するZ座標値(Z0)において、断層データが急激に増大し、表面902から深くなるにつれて徐々に断層データが低下する。
【0113】
一方、血管領域908(及び陰影領域910)を通過するZライン930B(
図12(A)参照)のXY座標値に着目し、そのXY座標値でのプロファイルを作成した場合には、
図13の曲線C2のようなグラフが得られる。即ち、曲線C1と同様に内壁部900の表面902のZ座標値(Z0)において、断層データが急激に増大し、表面902から血管領域908が存在するZ座標値(Z1)の深さまでの範囲で曲線C1と同様に徐々に断層データが低下する。血管領域908が存在するZ座標値(Z1)の深さになると、血管906の表面(血管壁)において断層データが増加し、更に深くなると、測定光L1の減衰により、断層データが急激に減少した後、曲線C1と比べて小さい値を示しながら緩やかに減少する。
【0114】
また、偽陰影領域914(916)を通過するZライン930CのXY座標値に着目し、そのXY座標値でのプロファイルを作成した場合には、
図13の曲線C3のようなグラフが得られる。この曲線C3は、曲線C1と略近似した形態を示すが、Z座標値の一部の範囲(Z2で示す範囲)において曲線C1にない比較的大きな断層データの値変動が生じている。
【0115】
続いてステップS16で生成する血管コントラストプロファイルについて説明すると、
図12(B)に示したようにステップS14により積分画像に基づいて抽出した血管候補領域940には、Z方向に血管領域908が実在する適正に抽出された有効領域と、Z方向に血管領域908が存在せず、偽陰影領域914、916のような領域が存在することによって抽出された無効領域(ノイズ領域)が含まれている。
【0116】
そのため、血管候補領域940のうち、ノイズ領域を判別し(ノイズ判別処理)、ノイズ領域を除去する必要がある。また、有効領域に対して、血管領域908が実在するZ方向の位置(Z座標値の範囲)を特定(血管深さ位置算出処理)する必要がある。そこで、上記のようにZラインが通過する領域の違いによって形態が異なるプロファイルを利用し、ノイズ判別と血管深さ位置算出の処理を行う。
【0117】
また、このような処理を行う場合に、血管候補領域940における各XY座標値でのプロファイルのみの形態を解析して行うよりも、
図13の曲線C1で示したような非血管領域912を通過するZラインのXY座標値でのプロファイル、即ち、非血管候補領域942におけるXY座標値でのプロファイルを基準プロファイルとして、血管候補領域940における各XY座標値でのプロファイルと基準プロファイルとを比較して処理した方が、解析を正確且つ容易に行うことができる。
【0118】
そこで、血管候補領域940における各XY座標値でのプロファイルと基準プロファイルとの差分により得られるプロファイルを血管コントラストプロファイルと称し、ステップS16において血管候補領域940における各XY座標値での血管コントラストプロファイルを生成する。
【0119】
血管コントラストプロファイルは、
図14のようなグラフを示す。血管候補領域940において着目したXY座標値が、血管領域908(及び陰影領域910)を通過するZライン930BのXY座標値の場合、
図13の曲線C2に示したようなプロファイルが生成され、このとき、血管コントラストプロファイルは、
図14の曲線C21のようなグラフを示す。
【0120】
一方、血管候補領域940において着目したXY座標値が、偽陰影領域914、916を通過するZライン930BのXY座標値の場合、
図13の曲線C3に示したようなプロファイルが生成され、このとき、血管コントラストプロファイルは、
図14の曲線C31のようなグラフを示す。これらの具体的な説明は後述する。
【0121】
また、基準プロファイルは、血管領域908及び偽陰影領域914、916が含まれない非血管候補領域942における任意のXY座標値でのプロファイルとすることが可能である。ただし、血管候補領域940において着目しているXY座標値でのプロファイルに対して、そのプロファイル内の血管領域908及び陰影領域910以外のZ座標値の範囲、又は偽陰影領域914、916以外のZ座標値の範囲において、できるだけ類似のプロファイルを示すことが望ましい。したがって、血管候補領域940において着目しているXY座標値に対して近傍範囲となる非血管候補領域942内のXY座標値でのプロファイルを基準ファイルとすることが好適である。また、プロファイルにはOCT計測時におけるノイズ成分が含まれるため、血管候補領域940において着目しているXY座標値に対して近傍範囲となる非血管候補領域942内のXY座標値を複数選出し、それらの複数のXY座標値でのプロファイルの平均を基準ファイルとすると更に好適である。
【0122】
そこで、本実施の形態では、ステップS16の血管コントラストプロファイル生成の処理を
図9のフローチャートのように実施する。
【0123】
ステップS30では、血管候補領域940において着目している所定のXY座標値に対して、基準プロファイルを生成する複数のプロファイルを求める位置(基準プロファイルを生成するためのXY座標値)を非血管候補領域942内から選出する。その選出する数は予め決められた数(例えば5点、10点等)とする。
図12(B)の積分画像を拡大して示した
図15の積分画像において説明すると、積分画像に基づいて抽出された血管候補領域940における所定の点AのXY座標値に着目しているとすると、その点Aから血管候補領域940の最も近接する境界線までの最小距離rを求める。即ち、点Aを中心として血管候補領域940の範囲内に描かれる円であり、且つ、血管候補領域940のいずれかの境界線に接する円950の半径rを求める。そして、その最小距離r(円の半径r)に対して所定値αを加算し、点Aからの距離が距離r+α以内となる範囲(半径r+αの円952の範囲)内において、非血管候補領域942となる範囲954から、予め決められた数分のXY座標値を基準プロファイルを生成するためのXY座標値として選出する。
【0124】
ステップS32では、血管候補領域940において着目しているXY座標値でのプロファイルと、ステップS30で選定した各XY座標値でのプロファイルとをステップS10で取得したボリュームデータに基づいて生成する。
【0125】
ステップS34では、ステップ30で選定した各XY座標値でのプロファイルの平均を求め、基準プロファイルを生成する。即ち、各XY座標値でのプロファイルの同一のZ座標値における断層データを全て加算し、その加算して得られた値を、選定したXY座標値の数で割る。これによって得られた各Z座標値における値を新たな断層データとして基準プロファイルを生成する。
【0126】
ステップS36では、血管候補領域940において着目しているXY座標値での血管コントラストプロファイルを生成する。即ち、ステップS32で求めた、血管候補領域940において着目しているXY座標値でのプロファイルと、ステップS34で求めた基準プロファイルとの差分を求める。具体的には、基準プロファイルの各Z座標値における断層データを、着目しているXY座標値でのプロファイルの同一Z座標値における断層データで減算する。これによって得られた各Z座標値における値を新たな断層データとするプロファイルを生成する。これによって、
図14に示したような血管コントラストプロファイルが生成される。
【0127】
ステップS38では、血管候補領域940内の全てのXY座標値での血管コントラストプロファイルを生成したか否かを判定する。NOであれば、ステップS40により、着目するXY座標値を血管候補領域940内の未着目のXY座標値に変更して、ステップS30〜S36の処理を行う。YESであれば、本フローチャートでの血管コントラストプロファイルの生成処理を終了する。
【0128】
なお、上記のように基準プロファイルは、各XY座標値での血管コントラストプロファイルごとに異なるものを使用するのではなく、全て、又は、一定のXY座標値の範囲ごとに共通のものを使用するようにしてもよい。また、複数のXY座標値での基準プロファイルを平均化したものではなく、1点におけるXY座標値での基準プロファイルとしてもよい。
【0129】
以上のようにして血管コントラストプロファイルの生成処理が終了すると、続いて、
図8のステップS18に移行する。
【0130】
ステップS18では、ステップS16で生成した血管コントラストプロファイルに対してプロファイル解析を行う。これによって、上記のように血管候補領域940のうちの有効領域とノイズ領域を判別するノイズ判別処理を行うと共に、血管領域908の深さ位置を特定する血管深さ位置算出処理を行う。
【0131】
即ち、血管候補領域940のうち、血管領域908を通過するZラインのXY座標値での血管コントラストプロファイルは、
図14で示した曲線C21のような形状を示し、血管領域908を通過せずに偽陰影領域914、916を通過するZラインのXY座標値での血管コントラストプロファイルは、
図14の曲線C31のような形状を示す。
【0132】
これらの曲線C21、C31の形状の違いは明らかであり、これらの形状の違いが定量的に表されるような形状特徴量を定義する。例えば、断層データの値が所定の閾値dsをZ座標値の連続する範囲で越える場合にそのZ座標値の範囲の長さを形状特徴量とする。このとき、着目しているXY座標値での血管コントラストプロファイルにおいて、
図14の曲線C21のように形状特徴量Z21が所定の閾値Zs以上の場合には、そのXY座標値は、Z方向に血管領域908が実在する有効領域に属すると判断される。
【0133】
一方、
図14の曲線C31のように形状特徴量Z31が前記閾値Zs未満の場合には、そのXY座標値は、ノイズ領域に属すると判断される。即ち、ここで定義した形状特徴量は、血管候補領域940内において血管領域908がZ方向に実在する場合には、その下側に陰影領域910が存在することを考慮し、陰影領域910の存在する場合にのみ閾値Zs以上となるように定義したものであり、陰影領域910の有無によって有効領域かノイズ領域かを判別するようにしたものである。ただし、形状特徴量は他の定義によるものであってもよい。
【0134】
このようにして、血管候補領域940における各XY座標値での血管コントラストプロファイルに基づいて、血管候補領域940内の各XY座標値が有効領域に属するかノイズ領域に属するかを判別することによって、血管候補領域940を有効領域とノイズ領域とに分けることができる。
【0135】
また、血管候補領域940のうち、有効領域と判断された領域内において着目したXY座標値で血管コントラストプロファイルは、
図14の曲線C21のような形状を示し、血管領域908の上端部となるZ座標値Z1からZ座標値が増加していくにしたがって、断層データの値が負側に大きく減少した後、正側へと急激に増加し、その後、正値のまま徐々に減少する傾向を示す。したがって、血管領域908の上端部となるZ座標値Z1の近傍では、極小点Pが存在する。そこで、極小点PのZ座標値ZMINを血管領域908の上端の位置として設定する。なお、極小点PのZ座標値ZMIN以外であっても、断層データが負の値から正の値に変化する際に零値となるときのZ座標値等、グラフ上で血管領域908の上端部とみなせる特徴的な点を示すZ座標値を血管領域908の上端の位置とすることもできる。
【0136】
一方、血管領域908の下端となるZ座標値は、血管の断面が円形であると仮定して、血管領域908の上端のZ座標値ZMINに基づいて決定する。例えば、血管候補領域940の有効領域の各XY座標値に対して上記処理を実行すると、各XY座標値の位置における血管領域908の上端のZ座標値が確定する。即ち、血管906の血管壁の外表面のうち、内壁部900の表面902側となる外周面のZ座標値が確定する。また、積分画像における血管候補領域940(有効領域)の各部における幅から血管906の太さ(直径)を検出し、これに基づいて、血管906の血管壁の外表面のうち、表面902側と反対側となる下側の外周面のZ座標値を算出する。これにより、血管領域908のZ方向の位置範囲が確定するため、血管候補領域940の有効領域のXY座標値の範囲とにより、3次元領域での血管領域908の位置範囲が確定する。なお、血管906の太さは積分画像から検出するのではなく、ユーザが指定するようにしてもよいし、また、血管906の太さの情報を用いるのではなく、血管906の血管壁の表面902側となる外周面のZ座標値から表面902と反対側の外周面のZ座標値を算出してもよい。
【0137】
ステップS20では、ステップS18でのプロファイル解析の結果に基づき、ボリュームデータからノイズ領域及び陰影領域を除去する。例えば、ステップS18においてノイズ領域と判別されたXY座標値のZラインにおける各Z座標値の断層データを、そのXY座標値での血管コントラストプロファイルを生成する際に使用した基準プロファイルの断層データで置き換える。これによって、偽陰影領域914、916のようなノイズがボリュームデータから除去される。
【0138】
一方、有効領域と判別されたXY座標値のZラインの各Z座標値に対しては、そのXY座標値での血管コントラストプロファイルを生成する際に使用した基準プロファイルの断層データの値で、血管領域908以外の断層データの値を置き換える。これにより、血管領域908よりも下側に形成される陰影領域910がボリュームデータが除去される。
【0139】
ステップS22では、ステップS20により陰影領域910、偽陰影領域914、916を除去したボリュームデータに基づいて、3次元血管画像を生成しモニタ装置500に表示する。これにより、
図16のように陰影やノイズの画像のない血管906の3次元画像が表示される。
【0140】
なお、ボリュームデータの断層データを使用することなく、ステップS18のプロファイル解析により特定した血管領域908の位置(XYZ座標値)の情報のみを使用して3次元血管画像を生成し表示することも可能であり、その場合には、ステップS20のように偽陰影領域914、916や陰影領域910を除去するための処理は不要である。
【0141】
また、3次元血管画像を生成する際に、Z方向の位置に応じて異なる色で血管領域908に色付けして、血管領域908の各部の深さを視覚的に分り易く表示するようにしてもよい。
【0142】
以上、上記の3次元血管構造抽出処理では、ステップS16において血管候補領域940の全てのXY座標値での血管コントラストプロファイルを生成した後、ステップS18のプロファイル解析やステップS20のノイズ領域及び陰影領域の除去の処理を行うようにしたが、血管候補領域940の1点のXY座標値での血管コントラストプロファイルを求めるごとに、ステップS18、ステップS20の処理を行いうようにしてもよい。
【0143】
また、上記の3次元血管構造抽出処理は、ボリュームデータの深さ方向の全域について適用するのではなく、深さ方向の一部の位置範囲に限定して適用してもよい。また、深さ方向に複数の位置範囲に分割し、各位置範囲ごとに上記3次元血管構造抽出処理を適用して各位置範囲での血管領域を特定するようにしてもよい。
【0144】
また、上記実施の形態では、生体内部における血管の位置を特定し、表示を行う場合について説明したが、本願発明は、血管以外の組織を被検体として、生体内部において占める被検体の位置を特定し、被検体の3次元画像等を表示する場合についても同様に適用することができる。
【0145】
また、上記実施の形態では、OCTプロセッサ400としてSS−OCT(Swept Source OCT)装置を用いて説明したが、これに限らず、OCTプロセッサ400をSD−OCT(Spectral Domain OCT)装置としても適用可能である。
【0146】
また、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。